本発明の好ましいフォトレジストの樹脂および樹脂混合物としては、続く以下に特定される「構造1〜6」が挙げられ、該樹脂構造は、「構造1」および同様の表示の下に示されている。これらの「構造1」および同様の表示は、本明細書の他の部分に引用され、特定の樹脂を示す。
樹脂混合物の構成の相対量は、適切に広く変動可能である。たとえば、2つの樹脂混合物において、2つの樹脂のそれぞれは、樹脂混合物の全重量を基準として5〜95重量%の量で存在することができ、より典型的には、それぞれの樹脂は、樹脂混合物の全重量を基準として10〜90重量%の量または20〜80重量%の量で存在することができる。
本発明のポリマーは、フリーラジカル重合によって調製することができ、たとえば、複数のモノマーの反応によって、ラジカル開始剤の存在下、不活性雰囲気(たとえば、N2またはアルゴン)下、加熱温度、たとえば約70℃以上で、上記様々な単位を提供することができる。しかし、使用される特定試薬の反応性および反応溶媒(溶媒を使用する場合)の沸点に基づいて、反応温度を変えることができる。本発明の開示の点に基づき、当業者は、任意の特定の系に適する反応温度を容易に経験的に決定することができる。
必要に応じて、反応溶媒を使用することができる。適切な溶媒としては、アルコール、たとえばプロパノールおよびブタノール、ならびに芳香族溶媒、たとえばベンゼン、クロロベンゼン、トルエンおよびキシレンが挙げられる。ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドも適している。ニートで重合反応を行うこともできる。
様々なフリーラジカル開始剤を使用して、本発明のコポリマーを調製することができる。たとえば、アゾ−ビス−2,2’−イソブチロニトリル(AIBN)および1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物を使用することができる。過酸化物、ペルエステル、過酸および過硫酸塩も使用することができる。
好ましくは、本発明のコポリマーは、重量平均分子量(Mw)1,000〜約100,000を有し、より好ましくは約2,000〜約30,000を有する。
上記のように、本発明の樹脂混合物の1以上、またはすべてのメンバーは、極めて低い多分散性値、特に1.4以下、より好ましくは1.3以下、または1.2以下を有する。
このような低い多分散性の樹脂は、多くの方法によって調製することができる。形成樹脂は、たとえば、分留、クロマトグラフィーまたは有機溶媒洗浄によって処理されて、より均質で低い多分散性の樹脂を提供することができる。このような精製処理後に、(ゲル透過クロマトグラフィーによって)樹脂の多分散性を評価して、目標の多分散性値が実現されているかを判定することができる。
ポリマー合成も、低い多分散性値を有する本発明の混合物およびレジストに有用なフェノール樹脂を直接提供することができる。特に、フリーラジカル重合では、TEMPO(市販)を含むピペリジニル(N−オキシ)剤などのフリーラジカル制御剤を使用して、低い多分散性フェノール性ポリマーを生成することができる。このようなフリーラジカル重合制御剤の使用は、米国特許第6,107,425号に開示されている。
このようにして形成されたフェノール樹脂は、所望により官能化することができ、たとえば、上記のように、1以上のフォト酸レイビル基をフェノール酸素上にグラフトすることができる。形成されたポリマーも、さらに上記のように精製して(たとえば、分留、有機溶媒洗浄、クロマトグラフィー)、低い多分散性値を有する樹脂を提供することができる。
上記のように、本発明のフェノール樹脂混合物は、特に化学増幅されたポジ型レジストの樹脂成分として非常に有用である。本発明のフォトレジストは、一般に、上記のように、1以上のフォト酸発生化合物と、少なくとも2つの異なる樹脂の樹脂混合物とを含む。
樹脂混合物は、水性アルカリ現像液で現像可能なレジストのコーティング層を付与するために十分な量で使用される必要がある。
本発明のフォトレジストは、1以上のフォト酸発生剤(すなわち「PAG」)を含む必要があり、これは活性化放射線への露光の際に、レジストのコーティング層中に潜像を生成するために十分な量で使用される。
本発明のフォトレジストで使用される、一般に好ましいPAGは、オニウム塩類、特にヨードニウムおよびスルホニウムPAGである。適切なオニウム塩PAGは、Cameronらの米国特許第6,200,728号に開示されている。
本発明のレジストで使用される、2つの特に好ましいオニウムPAGは、以下のヨードニウムPAG1およびPAG2である。
このようなヨードニウムPAGは、欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)に開示されるようにして調製することができ、該出願は、上記PAG1の合成を詳述している。
上記カンファースルフォネート基以外の陰イオンで錯化された上記2つのヨードニウム化合物も適切である。特に、好ましい陰イオンとしては、式RSO3 −の陰イオンが挙げられ、式中Rは、アダマンタン、アルキル(たとえば、C1−12アルキル)、およびペルフルオロアルキル、たとえばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである。
本発明のレジストで使用される好ましいフォト酸発生化合物の別の基は、下記式の化合物をはじめとするイミドスルホネートである。
式中、Rは、カンファー、アダマンタン、アルキル(たとえば、C1−12アルキル)、およびペルフルオロアルキル、たとえばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特にペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナノンスルホネートである。特に好ましいPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
他の適切なPAGとしては、スルホン化エステルおよびスルホニルオキシケトンが挙げられる。適切なスルホネートPAGを開示する「J of Photopolymer Science and Technology」、4(3)、337−340(1991年)を参照し、該PAGとしては、ベンゾイントシレート、t−ブチルフェニルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートおよびt−ブチルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートが挙げられる。好ましいスルホネートPAGも、Sintaらの米国特許第5,344,742号に開示されている。
他の有用な酸発生剤としては、ニトロベンジルエステル類およびs−トリアジン誘導体が挙げられる。適切なs−トリアジン酸発生剤は、たとえば、米国特許第4,189,323号に開示されている。
本発明のレジスト組成物の好ましい任意の成分は、染料化合物である。好ましい染料は、典型的に、露光放射線の反射およびその影響(たとえば、ノッチング)を低減することによって、パターン化されたレジスト画像の解像度を向上することができる。好ましい染料としては、置換および非置換フェノチアジン、フェノキサジン、アントラセンおよびアントラロビン化合物が挙げられる。置換フェノチアジン、フェノキサジン、アントラセンおよびアントラロビンの好ましい置換基としては、たとえば、ハロゲン、C1−12アルキル、C1−12アルコキシ、C2−12アルケニル、アセチルなどのC1−12アルカノイル、フェニルなどのアリールが挙げられる。このような化合物のコポリマーも、染料として使用することができ、たとえば、アントラセンアクリレートポリマーまたはコポリマーが挙げられる。クルクミン染料も、いくつかの用途に使用することができる。個別の組成物の成分とするよりはむしろ、このような染料はコポリマーに直接組み入れることもでき、たとえば、上記単位2)の2つの隣接するR1部分が一緒になって縮合環を形成し、アセナフチル部分などを提供する。deep−UV露光における反射の低減に加えて、染料の使用は、248nmもしくは他のdeep−UV波長を越えて、たとえば365nmもしくは436nmの露光波長に、本発明の組成物のスペクトル感度を拡張しうる。
他の好ましい任意の添加剤は、追加の塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、またはTBAHの乳酸塩であり、これは、現像されたレリーフ画像の解像度を向上することができる。追加の塩基は、適切に、比較的少量、たとえば、光活性成分(PAG)に対して約1〜20重量%で使用される。
本発明のフォトレジストは、また、他の任意の材料を含有することができる。たとえば、他の任意の添加剤としては、反条痕剤、可塑剤、速度促進剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、典型的に、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。ただし比較的高濃度で、たとえば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜30重量%の量で存在することができるフィラーおよび染料を除く。
本発明のフォトレジスト組成物は、当業者によって、容易に調製することができる。たとえば、本発明のフォトレジスト組成物は、適切な溶媒にフォトレジスト成分を溶解することにより調製することができ、適切な溶媒としては、たとえば、エチルラクテート、グリコールエーテル、たとえば2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;セロソルブエステル、たとえばメチルエチルケトン;および3−エトキシエチルプロピオネートなどが挙げられる。典型的には、組成物の固形分含有量は、フォトレジスト組成物の全重量の約5〜35重量%の範囲で変動する。樹脂バインダーおよびPAG成分は、フィルムコーティング層、良好な質の潜像およびレリーフ画像の形成を提供するために十分な量で存在する必要がある。レジスト成分の例示的な好ましい量に関しては、次の実施例1を参照されたい。
本発明のレジスト組成物は、一般に既知の手順に従って使用される。本発明の液体コーティング組成物は、スピニング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によって、基体に適用される。スピンコーティングの場合、コーティング用溶液の固形分含有量を調節して、利用される特定のスピニング設備、溶液の粘性、スピナーの速度およびスピニングのために可能な時間に基づいて、所望のフィルム厚を提供することができる。
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストによるコーティングを含むプロセスで従来使用される基体に適切に適用される。たとえば、組成物は、マイクロプロセッサーおよび他の集積回路コンポーネントの生産用のシリコンまたは二酸化ケイ素のウェハ上に適用することができる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英または銅基体もまた使用することができる。液晶ディスプレイおよび他の平面パネルディスプレイ用途に使用される基体、たとえば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物コーティング基体なども適切に使用される。
表面へのフォトレジストのコーティングに続いて、加熱によって乾燥して好ましくはフォトレジストコーティングに粘着性がなくなるまで溶媒を除去する。その後、従来の方法でマスクを介してイメージ化される。露光は、フォトレジスト系の光活性成分を効果的に活性化するために十分なものであり、レジストコーティング層にパターン化された画像を生成する。より具体的には、露光エネルギーは、典型的に、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存して、約1〜300mJ/cm2の範囲である。
本発明のレジスト組成物のコーティング層は、好ましくは、deep−UV範囲の露光波長によって、つまり、典型的に約300nm以下の範囲で、特に約248nmで、光活性化される。
露光に続いて、組成物のフィルム層を、好ましくは、約70℃〜約160℃の範囲の温度でベークする。その後、フィルムを現像する。露光されたレジストフィルムは、極性現像液を使用して、ポジ型に作用させる。好ましくは水性現像液、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムなどによって例示される無機アルカリ;テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液などの第四アンモニウムヒドロキシド溶液などが挙げられる。一般に、現像は、当該技術分野で認識された手順に従う。
基体上へのフォトレジストコーティングの現像の次に、現像された基体は、たとえば、本技術分野で既知の手順に従って、レジストが除去された基体領域を化学的にエッチング、またはめっきすることにより、レジストが除去されたそれらの領域上を選択的に処理することができる。マイクロエレクトロニクス基体の製造、たとえば、二酸化ケイ素ウェハの製造のために、適切なエッチング剤としては、ガスエッチング剤、たとえば、塩素またはフッ素系エッチング剤、たとえばCF4またはCF4/CHF3エッチング剤が挙げられ、これはプラズマ流として適用される。このような処理の後、レジストは、既知の剥離手順を使用して、処理された基体から除去することができる。
本明細書で述べられるすべての文献は、引用してその全体が組み込まれる。
次の限定されない実施例は、本発明の具体例である。