JP4373399B2 - プレス装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば板金加工等に使用されるプレス装置に関するものであり、特に構造が簡単であり、正確な位置制御を要する定点加工が高精度かつ高効率でできるようにし、更に早送り用のサーボモータと加圧用のサーボモータとの協調動作を、位置検出器からの信号を利用しつつ、可能にしたプレス装置に関するものである。
電動プレスによる定点加工は従来から使用されており、騒音の発生を防止する点において有利であることが知られている。
定点加工を行う電動プレスによれば、騒音を発生することなく定点加工を行い得るのであるが、従来のものにおいては次のような問題点がある。即ち、スライド板下面に取り付けられた押圧子までの高さ寸法は、定点加工であるため常時一定になるように制御されており、この位置において押圧子を介して最終的に被加工物を押圧する。そのために、押圧子およびスライダを押圧するねじ軸とナットとは、常に同一の相対位置において、押圧子に相当する反力が作用する。
一方、電動プレスの場合に一般にねじ軸とナットとの組み合わせによってスライダを上下動させるが当該ねじ軸とナットとは、ラム軸および押圧子の位置制御を正確かつ高精度に行うために、ボールねじ係合が用いられており、ボールねじを構成するボールとボール溝とは線接触または点接触で係合している。このため、ボールとボール溝とに同一相対位置において多数回にわたって上記の反力が作用すると、ボールおよび/またはボール溝が同じ個所で局部的に磨耗することとなり、精度が低下すると共に寿命が短いという問題点がある。なおねじ軸とナットとが通常のねじ係合である場合においても、同様の問題点が存在する。
上記の問題点を解決するために、本出願人はすでに、特許文献1および特許文献2に記載したプレス装置を提案している。
図34は特許文献1に示されたプレス装置の例を示す要部縦断面正面図、図35は図34における矢視B−Bの要部断面平面図を示している。
両図において、10はベースであり、例えば長方形の平板状に形成されており、その四隅にはガイド柱20が立設されている。このガイド柱20の上端部には、長方形の平板状に形成された支持板30が、締結部材33を介して固定されている。
次に40はねじ軸であり、支持板30の中央部に軸受34を介しかつ支持板30を貫通するように正逆回転可能に支持されている。50はスライダであり、前記ガイド柱20に対して、その軸線方向に移動可能に係合されている。31は主軸モータであり、支持板30上に設けられてねじ軸40を回転してスライダ50を駆動する。60はナット部材であり、つば部61を有するナット部62と前記ねじ軸40とがボールねじ係合により螺合されると共に、ナット部62を固着している円筒部63の外周面には、差動用おねじ64が設けられている。
65は差動部材であり、中空円筒状に形成され、その内周面に前記差動用おねじ64と螺合する差動用めねじ66が設けられている。67はウォームホイールであり、前記差動部材65に一体に固着され、かつウォームギヤ68と係合するように形成されている。
ウォームギヤ68の中心部にウォーム軸が挿通固着されると共に、ウォーム軸はその両端部をスライダ50内に設けられた軸受によって回転可能に設けられている。
91は押圧子であり、前記スライダ50の中心部下面に着脱可能に設けられている。なお主軸モータ31およびモータ69は、図示省略した制御手段を介して所定の信号を印加して制御駆動可能に構成されている。
上記の構成により、主軸モータ31に所定の信号を供給して動作させると、ねじ軸40が回転し、ナット部材60を備えたスライダ50が降下し、押圧子91は初期高さ(上限待機位置)H0から加工高さ(接触位置)Hまで降下し、被加工物Wに当接する。押圧子91はベース10のテーブル92に載置された被加工物Wを押圧するべく更に降下し、これにより予め設定された押圧力で被加工物Wに対する定点加工が行われる。加工終了後、主軸モータ31の逆回転によりスライダ50が上昇し、押圧子91は初期高さH0の位置に復帰する。なお上記H0、Hの値は、図示省略した計測手段により計測され、かつ主軸モータ31との関係においても制御可能に構成されている。
上記の定点加工が予め設定された回数に到達すると、図34に示す位置、即ち押圧子91の初期高さH0の位置において主軸モータ31の作動を停止させ、差動部材65を回転させるモータ69に予め設定された信号が供給される。これによりモータ69が所定角度だけ回転し、ウォームギヤ68およびウォームホイール67を介して差動部材65が所定角度だけ回動する。この差動部材65の回動により、ナット部材60が停止しかつロックされた状態、即ち停止した差動用おねじ64に対して差動用めねじ66が回動するから、スライダ50が位置変位する。
スライダ50の位置変位により、押圧子91の初期高さH0も当然に変化するが、このままねじ軸40を回転させると、所定の定点加工が実行できない。このため、次に制御された若干の信号を主軸モータ31に供給してねじ軸40を微小回動させ、前記のスライダ50および押圧子91の変位を相殺し、押圧子91の初期高さH0を一定に保持する操作を行う。
上記のねじ軸40の回動により、ねじ軸40とナット部62との相対位置が変化する。即ちボールねじ係合に形成されたボールとボール溝との相対位置を変化させることができ、定点加工を確保しつつ、ボールおよび/またはボール溝の局部的磨耗を防止することができるようになっている。
図36は特許文献2に記載された別のプレス装置の要部断面正面図であり、同一部分は前記図34および図35と同一の参照符号で示す。
図36において、50はスライダであり、ガイド柱20と摺動係合し、上下動可能に設けられ、下部に押圧子91が固着されている。92はテーブルであり、ベース10上に設けられ、被加工物Wが載置されるものである。また59は可動体である。
次に可動体59は、この可動体59の移動方向(図36においては上下方向)と交差する面、例えば水平面で分割され、かつ対向配置された第1の可動体53と第2の可動体54とによって形成されている。なお第1の可動体53はボールねじナット52と固着されており、第2の可動体54はスライダ50と固着されている。72は差動部材であり、楔状に形成されると共に、前記第1の可動体53と第2の可動体54とを連結しており、後述するような働きをするものである。
73はモータであり、スライダ50上に支持部材74を介して設けられ、前記差動部材72を前記可動体59の移動方向と直交する方向(図36においては左右方向)に駆動するためのものである。即ち、モータ73の回転軸にはねじ軸75が連結されると共に、このねじ軸75は前記差動部材72内に設けられたナット部材(図示せず)と螺合するように形成されている。76はガイドプレートであり、例えば第1の可動体53と第2の可動体54の両側面に1対設けられ、その下端部は第2の可動体54に固定され、その上端部の近傍は第1の可動体53と摺動係合可能に形成されている。
上記の構成により、図36において主軸モータ31に所定の信号を供給して作動させると、ねじ軸40が回転し、第1の可動体53、第2の可動体54およびこれらを連結する差動部材72等からなる可動体59が降下し、前記図34に示すものと同様な押圧子91は、初期高さ(上限待機位置)H0から加工高さ(接触位置)Hまで降下し、ベース10のテーブル92に載置された被加工物Wを押圧するべく更に降下して、被加工物Wに対して定点加工が行われる。加工終了後、主軸モータ31の逆回転により可動体59が上昇し、押圧子91は初期高さH0の位置に復帰する。
上記の定点加工が予め設定された回数に到達した場合、または定点加工の都度、押圧子91の初期高さH0の位置において主軸モータ31の作動を停止させ、モータ73に予め設定された信号を供給する。これによりモータ73が所定角度だけ回転し、ねじ軸75を介して差動部材72が水平方向に微小移動する。この差動部材72の移動により第1の可動体53と第2の可動体54とが上下方向に相対移動し、可動体59の位置が変位する。この変位を相殺するための補正操作は、主軸モータ31に対する信号の供給によって行い、押圧子91の初期高さH0は一定に保持される。
上記の補正に伴うねじ軸40の回動により、ねじ軸40とボールねじナット52との相対位置が変化し、ボールねじ係合に形成されたボールとボール溝との相対位置を変化させることができるから、定点加工を確保しつつ、ボールおよび/またはボール溝の局部的磨耗を防止することができ、以後継続して定点加工を行うことができる。
なお、言うまでもなく、図34や図36を参照して説明した所の、可動体59の位置の変位を相殺する動作(主軸モータ31による)は、押圧子91による押圧が行われていない無負荷の状態の下で行われればよい。
特許文献1および特許文献2に記載されたプレス装置は上に説明したように、数回の成形加工を行う度にボールねじ係合しているボールとボール溝との相対位置を変えることができるので、ボールとボール溝との局部的な磨耗を防ぐことができる。しかし、特許文献1に示されているプレス装置では、差動部材65と差動部材を動かすモータ69およびその駆動機構がスライダ内に設けられているために、スライダが重く大きなものとなっている。更に特許文献2に示されたプレス装置では可動体が第1と第2に分かれている上にそれらとガイドプレートとが一体となった差動機構となっているために、スライダ全体が同様に大きなものとなっている。スライダがこのように大きく重くなっているために、スライダを駆動するモータに不要な負荷がかかるとともに、スライダを引き上げる際にもボールねじに負荷が掛かるものとなっていた。またスライダが重く慣性が大きいために、スライダを動かして位置を制御する際に、大きなトルクを必要としまた時間的なロスも生じるものであった。
また、特許文献1や特許文献2に示されるものにおいては、モータ31の回転によってプレス加工を行うが、プレス加工に当たっては大きい力を要することから、スライダ全体のプレス加工時の降下速度が遅くならざるお得ない。この為に、図34における初期高さH0から接触位置Hまでの降下速度も遅くなってしまう。即ち、前述の電動プレスによる定点加工を行うに当たって、被加工物がプレス加工されてゆく間においては大きい押圧力を必要とすることから、例えば特許文献1に示す主軸モータ31の容量を十分に大に設計する必要があり、装置全体として高価なものとなる。この点を解決するに当たって前記主軸モータ31の回転を大幅にギヤダウンして大きい押圧力を発生し得るようにすることが考慮される。
しかし、この場合には、次のような問題が派生してくる。即ち、主軸モータ31の回転を大幅にギヤダウンして押圧するようにすると、押圧子91が初期高さH0の位置から被加工物Wに接する高さHの位置に達するまで、押圧子91が降下する時間が非所望に大となってしまう。
この点を解決するために、高さH0から高さHまでは高速に降下させ高さHからの加工時にだけ大きい力でプレス加工することが望まれる。従って、高速に降下させるための駆動手段とプレス加工を行うためのプレス手段とを別個にもうけプレス加工の1サイクルに要する時間を短縮化することが望まれる。
このことから、本出願人は、特許文献3に記載したプレス装置を提案している。当該プレス装置においては、押圧子を被加工物Wの位置にまで降下させるために早送り用のモータでリンク機構のような往復駆動装置を駆動し、加圧用のモータにて、当該加圧用のモータの回転をギヤダウンして加圧するようにしている。なお、この構成は後述する本発明の図32に示す実施例の前提となっているものである。
勿論、前記早送り用のモータでリンク機構のような往復駆動装置を駆動する形態に代えて、早送り用のモータで押圧子を被加工物Wの位置にまで急速に降下させ、次いで、ギヤダウンした加圧用のモータにて加圧することも考慮される。この構成に関して、本出願人は特許文献4において提案している。当該特許文献4においては、早送り用のモータを用いて第1のスライダを降下させ、当該第1のスライダ上に載置されている加圧用のモータを用いて第2のスライダを降下させ、当該第2のスライダに取付けられている押圧子を用いて被加工物Wをプレス加工する。この構成は、後述する本発明の図24に示す実施例の前提となっているものである。
なお、前記特許文献4に開示されているプレス装置においては、当該2つのモータと2つのスライダとをもつ構成を採用した上で、第2のスライダの位置を検出する単一の位置検出装置(2つのモータの組に対応して単一の位置検出装置がもうけられている)をもつようにしている。
本発明の図24に示す実施例は、当該特許文献4に示す構成を、実現化するに当たって判明した課題を解決するようにしている。即ち、被加工物を現にプレス加工する際には、早送り用のモータの回転を第1のスライダに対してロックする手段を備えている。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり
(i)早送り用のモータと加圧用のモータとを別個に設け、
(ii)ロック手段を設けて、早送り用のモータの回転をロックし
これらのことによって、プレス加工の1サイクルに要する時間を短縮化し、更に
(iii)早送り用のモータによる駆動と加圧用のモータによる駆動とが存在しているにも拘わらず、単一の位置検出器を設けるだけで足りるようにした
プレス装置を提供することを目的としている。
特開2000−218395号公報 特開2002−144098号公報 特開2001−113393号公報 特開2001−62597号公報
そのため本発明のプレス装置は、
ベース、
ベースに立設された複数のガイド柱を介しベースに対して平行に保持されている支持板、
ガイド柱を摺動しベースと支持板との間で上下動することができるスライダ、
支持板に取り付けられて前記スライダを上下に早送りする早送り用の第1のモータ、
スライダを上下に移動させて被加工物をプレス加工する加圧用の第2のモータを有するプレス装置において、
前記第1のモータの回転軸に取り付けられていると共に第1のモータの回転によってスライダをベースに対して駆動させるねじ軸、
前記ねじ軸に設けられたボールねじ部と螺合するボールねじナットと、
前記ねじ軸と支持板とを一体化するロック装置と、
入力軸を備え、ロック装置で前記ねじ軸と支持板とが固定されているとき、前記入力軸から入力された回転トルクでねじ軸に対しボールねじナットを正逆回転可能に構成され、かつボールねじナットをスライダに固定可能に構成されてなるスライダ移動機構と、
前記入力軸を介しスライダ移動機構に回転トルクを付与する正転・逆転可能な前記第2のモータと、
前記第1のモータと第2のモータとの組に対してもうけられる位置検出器であって、スライダの位置を検出する位置検出器と、
を備えていることを特徴としている。
本発明に係るプレス装置の主要部分のその一部分を断面にした一実施例正面図である。 図1の矢視A−Aの要部断面図である。 ロック装置の一実施例構成説明図である。 本発明に係るプレス装置の主要部分の一部分を断面にした他の実施例正面図である。 軸変換機構の一実施例構成説明図である。 本発明に係るプレス装置の自動運転における一実施例サイクル線図である。 制御方法2そして制御方法3に対応するサイクル線図である。 図1に示す制御装置の実施例構成を示す図である。 サーボモジュールSM#1の詳細図である。 サーボドライバSD#1の詳細図である。 サーボモジュールSM#2の詳細図である。 サーボドライバSD#2の詳細図である。 図1に示す制御装置の他の実施例構成を示す図である。 サーボモジュールSM#1Aの詳細図である。 サーボドライバSD#1Aの詳細図である。 サーボモジュールSM#2Aの詳細図である。 サーボドライバSD#2Aの詳細図である。 電動プレス加工機の他の形態の一実施例概略説明図である。 図18図示の電動プレス加工機の制御方法を示した一実施例動作説明図である。 図19に示された制御方法のときの上型のストローク線図である。 制御方法を示した他の実施例動作説明図である。 図21に示された制御方法のときの上型のストローク線図である。 電動プレス加工機の更に他の形態の実施例概略説明図である。 電動プレス加工機の他の一実施例概略説明図である。 図24に用いられている上型の移動機構部の拡大説明図である。 ダブルナットロック機構がロック状態となっているときのねじ軸に対するめねじ送りナットとロックナットとの関係を表した一実施例部分拡大図である。 ダブルナットロック機構がアンロック状態となってスライダを下送りしているときのねじ軸に対するめねじ送りナットとロックナットとの関係を表した一実施例部分拡大図である。 ダブルナットロック機構がアンロック状態となってスライダを上送りしているときのねじ軸に対するめねじ送りナットとロックナットとの関係を表した一実施例部分拡大図を示している。 差動機構付ボールねじ機構の一実施例構造説明断面図である。 図24に対応する電動プレス加工機の変形例についての上型の移動機構部の一実施例拡大説明図である。 電動プレス加工機の上型の移動機構部の他の実施例拡大説明図である。 本発明の実施例によるプレス装置を示す要部断面正面図である。 プレス装置におけるスライダの変位と時間との関係を示すグラフである。 特許文献1に示されたプレス装置の例を示す要部縦断面正面図である。 図34における矢視B−Bの要部断面平面図を示している。 特許文献2に記載された別のプレス装置の要部断面正面図である。
符号の説明
30 支持板
35 早送り用のサーボモータ
50 スライダ
129 加圧用のサーボモータ
150 パルススケール
151 位置検出器
200 NC(数値制御)装置
201 タッチパネル
210 サーボモータM#1用のサーボモジュール(SM#1)
220 サーボモータM#1用のサーボドライバ(SD#1)
230 サーボモータM#1用の回転量を計測しているエンコーダ
240 サーボモータM#2)用のサーボモジュール(SM#2)
250 サーボモータM#2用のサーボドライバ(SD#2)
260 サーボモータM#2用の回転量を計測しているエンコーダ
図1は本発明に係るプレス装置の主要部分のその一部分を断面にした一実施例正面図、図2は図1の矢視A−Aの要部断面図を示している。これらの図で図34ないし図36と同じ部分には同じ参照符号を用いて示されている。
プレス装置は、長方形をしたベース10と、ベース10の四隅に立てられたガイド柱20と、ベース10に平行にガイド柱20によって支えられている支持板30とを有し、更にスライダ50(ここでは当該スライダ50はスライドプレートでもある)が、ガイド柱20に案内されガイド柱20に沿って上下動自在にベース10と支持板30との間に設けられている。
支持板30には取り付け台36を介しエンコーダを内蔵した早送り用のサーボモータ(第1のモータ)35が取り付けられており、早送り用のサーボモータ35の回転軸から延びたねじ軸40が支持板30を貫通している。そして当該ねじ軸40の中央部から下端にかけて、図1図示の如くボールねじ部41が設けられている。
早送り用のサーボモータ35から延びたねじ軸40は、支持板30にねじ軸40と同軸に開けられた通孔に取り付けられた差動円筒81によって回転自在に保持されている。差動円筒81の通孔にはスラスト軸受け82が取り付けられており、ねじ軸40を回転可能に支持している。差動円筒81の外周面にはその通孔と同軸に、第1のねじ83(例えばおねじ)が設けられており、その第1のねじ83は支持板30に設けられた第2のねじ32(例えばめねじ)に螺合して、差動円筒81を支持板30の第2のねじ32に保持している。差動円筒81をその軸の回りに回すことで支持板30に対して差動円筒81をねじ軸40と共に上下に移動できるようになっている。
早送り用のサーボモータ35の回転軸に固着されたカップリング42の下半分は、スプライン溝が切られている。一方、ねじ軸40の上端部はスプラインが切られている。ねじ軸40の上端部はスプライン溝に嵌入され、スプライン係合部43で連結されている。ねじ軸40はカップリング42で早送り用のサーボモータ35の回転軸と機械的連結がなされているので、早送り用のサーボモータ35の回転がねじ軸40に伝わり、スライダ50を駆動することができる。しかし、差動円筒81を支持板30に対して回転させてねじ軸40が上下に移動させられても、その移動はスプライン係合部43の部分で吸収されるので、早送り用のサーボモータ35には影響がなく、差動円筒81を回してねじ軸40を上下に移動できる。
また、支持板30には、差動円筒81を回転させるための軸受位置調整用の駆動源(サーボモータを用いるがラチェット機構をもつ駆動源などであってもよい)88が取り付けられている。軸受位置調整用の駆動源88の回転軸にはウォームギヤ85が取り付けられていて、その回転を、同一軸に固着されているウォームホイール84とその軸に設けられた中間歯車86とを介して、差動円筒81と一体に形成された歯車87に伝えるように構成されている。
以上の説明から、図2を参照するとより明瞭に分かるように、軸受位置調整用の駆動源88、ウォームギヤ85、ウォームホイール84、中間歯車86、歯車87、差動円筒81、および差動円筒81と支持板30とに設けられた第1ねじ83、第2のねじ32のねじ結合で差動機構80が構成されており、当該差動機構80が支持板30に取り付けられた形態となっている。なお言うまでもなく、差動機構80は支持板30の上方にもうけられてもよい。
また、支持板30にはロック装置130が設けられている。このロック装置130は、図3に示されている様に、ねじ軸40に固着された歯車131と支持板30に固定されているソレノイド132のプランジャに対して取り付けられた歯車片133とによって構成されている。
ソレノイド132の電磁コイルに通電すると、ソレノイド132のプランジャに取り付けられた歯車片133が飛び出して歯車131と噛み合う。ソレノイド132は支持板30に取り付けられているので、ねじ軸40がソレノイド132を介して支持板30と一体化される。
ソレノイド132のプランジャに取り付けられた歯車片133は、ソレノイド132への通電を切ることによりその内部に設けられたバネの弾性力で、飛び出した歯車片133が後退してねじ軸40に固着された歯車131との噛み合わせが外れ、ねじ軸40と支持板30との一体化が開放される。
このロック装置130は、図3に示されている構成のほか、ねじ軸40と支持板30とを一体化するような電磁的、機械的なクラッチを用いることもできる。またブレーキ装置を用いることもできる。本発明においては、これらを総称してロック装置と呼んでいる。
ねじ軸40の中央部から下端にかけて設けられているボールねじ部41は、ボールとボール溝とを内包してボールねじ係合するボールねじナット52に嵌入係合されており、そしてこのボールねじナット52とスライダ50との間にスライダ移動機構120が配設されている。
スライダ移動機構120は、大きく別けて、ロック装置130でねじ軸40と支持板30とが一体化されトルク付加モード(このトルク付加モードについては後ほど説明する)になっているときにスライダ50を上下動させるべくねじ軸40に対しボールねじナット52を正逆自在に回転させる機能と、ボールねじナット52をスライダ50に固定させる機能との2つの機能を具備している。
当該スライダ移動機構120は次のように構成されている。即ち、天板121及び底板122の中央部に孔部123aが形成された支持枠体123が、スライダ50の上面に固着されている。支持枠体123の内部には、
(i)天板121及び底板122にそれぞれ固着された2つのスラスト軸受125、126、
(ii)この2つの軸受125、126で挟持されると共に、中央部にボールねじ部41を自在に回転させ上下動させるに足る通孔141を備え、上部と下部とにそれぞれ円筒状軸心部127a、127bが形成されたウォームホイール127、
(iii)ウォームホイール127と噛み合うウォームギヤ128、
(iv)及びウォームギヤ128を固着している入力軸124
が配設されている。そして図1の場合には更に、当該スライダ移動機構120の入力軸124に、ウォームホイール127を正逆自在に回転可能なエンコーダを内蔵した加圧用のサーボモータ(第2のモータ)129が連結されて収納されている。
そしてウォームホイール127は、支持枠体123に形成された孔部123aに嵌め込まれた形態で、当該ウォームホイール127に設けられた上記円筒状軸心部127aを介しボールねじナット52の下端に設けられたフランジ部55に固着されている。
ウォームホイール127は、上記説明の如く、中央部にボールねじ部41を自在に回転させ上下動させるに足る通孔141を有すると共に、当該ウォームホイール127を挟持する前記2つのスラスト軸受125、126によってボールねじ部41を軸心とする形態で回転自在に保持された構造となっており、ウォームホイール127の円筒状軸心部127aは、ボールねじナット52の下端部に設けられたフランジ部55に固着された構造となっているので、スライダ移動機構120は前記の2つの機能を果たすことができる。
当該スライダ移動機構120はこのような構造を有しているので、ロック装置130への通電でねじ軸40と支持板30とが一体化され固定されているとき、正逆自在に回転可能な加圧用のサーボモータ129の正転・逆転で、ねじ軸40に対しボールねじナット52を回転させ、スライダ50が加圧用のサーボモータ129によるトルク付加モードで上下動可能となる(勿論、ねじ軸40と支持板30とが一体化され固定されていない状態でもねじ軸40とナット52とが相対回転すれば、支持板30に対してスライダ50は相対的に上下動することとなる)。また、加圧用のサーボモータ129が停止していて、ロック装置130が開放状態にあるとき、ボールねじナット52はウォームギヤ128とウォームホイール127との噛み合わせ係合を介してスライダ50と一体化され固定されているので、正逆自在に回転可能な早送り用のサーボモータ35の正転・逆転で、ねじ軸40が回転させられる場合にスライダ50を上下動させることができる。
スライダ50のほぼ中央には、スライダ移動機構120に設けられている通孔141と同様に、ボールねじ部41を自在に回転及び上下動させるに足る通孔56が設けられている。
上記説明の如く、加圧用のサーボモータ129に固着されたウォームギヤ128とウォームホイール127との噛み合わせ係合で、スライダ50がボールねじナット52とねじ軸40のボールねじ部41とが係合しており、早送り用のサーボモータ35を正回転或いは逆回転させることにより、そして更にこれに併せて加圧用のサーボモータ129をも正回転或いは逆回転させることにより、スライダ50をより急速に上昇させ或いはより急速に降下させることもでき、プレス加工に要するスライダ50の1サイクルの上下動の往復運動に要する時間を短縮化させることができる。但し、このような急速上昇あるいは急速降下はプレス負荷がかかっていない状態の下で行われるべきである。
スライダ50の下面には押圧子91或いは金型(以下押圧子91で代表させる)が取り付けられており、またベース10には成形加工されるべき被加工物Wがテーブル92に載置されるようになっている。そしてベース10と支持板30との間に、スライダ50の位置を検出するパルススケール150がガイド柱20に沿って取り付けられ、位置検出器151によってスライダ50の位置が検出されるようになっている。なお、パルススケール150は、例えば下端はベース10に固着され、上端はガイド柱20の熱による伸びなどの影響を受けないように支持板30などに拘束されないように取り付けられる。後に説明するが、スライダ50の下面に設けられた押圧子91とベース10に設置された被加工物Wとの接触位置(定点加工高さ)H或いはその直前の位置を検出すると共に、押圧子91の上限待機位置(押圧子91の初期位置)H0や下限降下位置などを検出する。
早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129との回転方向を含めた各回転速度およびその回転トルクを制御し、そしてねじ軸40を支持板30に固定させ(ねじ軸40をロックさせ)或いはその解除をさせ(ねじ軸40をアンロックさせ)るロック装置130などを制御する制御装置100は、予め各種の設定値が入力されるようになっている他、スライダ50の位置を検出するための、即ち押圧子91の位置を検出するための位置検出器151が検出する位置信号を基に、
(i)上限待機位置H0にある押圧子91が、テーブル92に載置された被加工物Wと接触する時点(接触位置H)或いは接触する直前の時点(位置)までは、早送り用のサーボモータ35によって降下するスライダ50を介して押圧子91を急速に降下させる。
(ii)そして早送り用のサーボモータ35の停止後、直ちにロック装置130をロック作動させ、押圧子91が被加工物Wと接触する時点或いは接触する直前の時点から押圧子91が予め定められた下限降下位置まで降下する時点までは、押圧子91の降下を、加圧用のサーボモータ129によって降下するスライダ50を介して、上記早送り用のサーボモータ35による急速降下速度に対して減速された形で、加圧用のサーボモータ129をトルク付加モードにして、押圧子91がテーブル92に載置された被加工物Wを押圧し、被加工物Wを所定形状に成形加工を行う制御を行わせる。
(iii)更に押圧子91が下限降下位置に到達後は、ロック装置130のロック作動を解除する(アンロックする)と共に、早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129とがそれぞれ駆動される協調駆動形態によるスライダ50の急速な上昇、即ち押圧子91を急速に上昇させる制御を行わせるようになっている(制御方法1の場合)。
上記説明では、制御装置100は、上限待機位置H0にある押圧子91を、テーブル92に載置された被加工物Wと接触する時点(接触位置H)或いは接触する直前の時点(位置)までは、早送り用のサーボモータ35の単独によって押圧子91を急速に降下させる制御を行わせているが、加圧用のサーボモータ129も一緒に押圧子91を降下させる方向に回転させ、早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129との並列駆動による協調動作をさせることにより、より急速なスライダ50の降下となる制御を行わせるようになっていてもよい(制御方法2の場合)。
この制御方法2の制御を行わせるときには、押圧子91が被加工物Wと接触する直前の時点までに早送り用のサーボモータ35を完全に停止させ、その上でロック装置130をロック作動状態にするようにされる。そしてトルク付加モードに入るようにされる。つまり押圧子91が被加工物Wと接触する時点で、加圧用のサーボモータ129はトルク付加モードで、押圧子91がテーブル92に載置された被加工物Wを押圧し、被加工物Wを所定形状に成形加工を行うトルク付加モードの制御態勢に入っている制御を必要としている。
押圧子91が被加工物Wと接触する直前の時点までに、早送り用のサーボモータ35を完全に停止させ、ロック装置130をロック作動させてねじ軸40を支持板30に固定させた状態にしておくのは、押圧子91がテーブル92に載置された被加工物Wを押圧する際に生じる反力で、ボールねじナット52、ねじ軸40(ボールねじ部41)及び差動機構80などを介してスライダ50を上方向に移動させようとする力が働いても、上記説明のねじ軸40と支持板30との一体固定化により、ねじ軸40は上記反力に基づくその回転が阻止されるので、スライダ50の上向に移動することがないようにするためである。つまり、押圧子91から確実に所定のプレス荷重を被加工物Wに付与させるためである。
前記制御方法1、2においては、制御装置100は、テーブル92に載置された被加工物Wと接触する直前の時点(位置)までは、上限待機位置H0にある押圧子91を、早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129との協調動作を行わせるが、押圧子91が下限降下位置に到達後においては次のような制御を行うことができる。即ち、下限降下位置に到達後において、早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129とをそれぞれ単独で独自に動作させ、押圧子91を元の上昇待機位置H0まで上昇させるような制御を行わせてもよい(制御方法3の場合)。
この制御方法3の制御が行われる場合にも、押圧子91が被加工物Wと接触する直前の時点までに、早送り用のサーボモータ35を完全に停止させ、その上でロック装置130をロック作動状態にする。そして押圧子91が被加工物Wと接触する時点(位置)または接触する直前の時点で、加圧用のサーボモータ129はトルク付加モードで、押圧子91がテーブル92に載置された被加工物Wを押圧し、被加工物Wを所定形状に成形加工を行う制御態勢に入っている制御が必要であることは言うまでもない。
勿論、制御装置100は、前記の制御方法1ないし3の他に、早送り用のサーボモータ35、加圧用のサーボモータ129をそれぞれ単独で動作させるよう制御できるようにされていることは言うまでもない。
このように構成された本発明のプレス装置の動作を、図6の本発明に係るプレス装置の自動運転における一実施例サイクル線図を用いて説明する。
図6の縦軸は上から順に押圧子91、早送り用のサーボモータ35、ロック装置130、加圧用のサーボモータ129の各動作、横軸は時間をそれぞれ表しており、一番上の実線は押圧子91の軌跡を示している。なお早送り用のサーボモータ35や加圧用のサーボモータ129に対応する図の部分で、「正回転」として示されている部分の基準線からの高さと、「逆回転」として示されている部分の基準線(零レベル線)からの高さとは同じである。
時間軸のT0〜T1は、早送り用のサーボモータ35、ロック装置130、加圧用のサーボモータ129がそれぞれオフ状態、押圧子91が上限待機位置H0にある状態のサイクル開始時点を表している。
時間T1〜T2は、早送り用のサーボモータ35が正回転の通電がなされスライダ50が降下を開始し、それに伴い押圧子91も降下するという押圧子91の降下期間(高速アプローチ期間)を表している。
この時間軸のT2は、押圧子91がベース10のテーブル92に載置された被加工物Wと接触する時点を表すと共に早送り用のサーボモータ35の回転停止、その直後のロック装置130のロック作動でねじ軸40と支持板30との一体化及び加圧用のサーボモータ129の正回転の通電がなされ、スライダ50、即ち押圧子91が降下を開始する時点を表す。
即ち時間T1〜T2は、押圧子91の上限待機位置H0からテーブル92に載置された被加工物Wに接触するまでの非プレス期間で、早送り用のサーボモータ35の急速なねじ軸40の回転により押圧子91を急速に降下させている。
そして時間T2〜T3は、加圧用のサーボモータ129がトルク付加モードとなり、スライダ50を介して押圧子91がベース10のテーブル92に載置された被加工物Wをプレス成形加工するプレス期間(加圧ストローク期間)を表している。
この時間軸のT3は、予め定められた押圧子91の下限降下位置到達時点を表すと共に、その直後ロック装置130の解除(アンロック)でねじ軸40と支持板30との一体化の開放及び早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129との逆回転の通電がなされることを表す。
また時間T3〜T4は、ねじ軸40と支持板30との一体化の開放の下で、早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129とが逆回転してスライダ50が上昇し、押圧子91が下限降下位置から急速に上昇して上限待機位置H0に復帰する上昇期間(高速リターン期間)を表わしている。
この時間軸のT4においては、早送り用のサーボモータ35の逆回転が停止し、スライダ50が降下開始時点の元の位置に復帰し、押圧子91の上限待機位置H0到達時点を表す。なお時間軸のT4に至る以前に加圧用のサーボモータ129の逆回転が停止している。
時間軸のT5は1サイクル完了時点をそれぞれ表している。このようにして時間T1〜T2と時間T3〜T4との非プレス期間においては、押圧子91を急速に降下・上昇させることにより、成形加工の1サイクルに要する時間を短縮化させている。
図7は制御方法2そして制御方法3に対応するサイクル線図である。図示の態様は図6の場合と同様であるが、図7の場合には図6の場合にくらべて、早送り用のサーボモータ35が回転停止を行う時間T2よりも以前の時間T13において加圧用のサーボモータ129が起動されている。そして図7に示す場合には、早送り用のサーボモータ35が回転停止を行う時間T2よりも以前に、加圧用のサーボモータ129が既に所定回転状態に達している。
早送り用のサーボモータ35が回転停止した時間T2においてロック装置130がロック状態となり、加圧用のサーボモータ129がトルク付加モードとなって被加工物Wをプレス成形加工するプレス期間(加工ストローク期間)となる。時間T3において図6の場合と同様に、押圧子91が下限降下位置に達する。そして、時間T3以降における動作は図6の場合と同じである。
なお、図7において、時間T11は早送り用のサーボモータ35が所定回転状態に達した時間であり、時間T12は早送り用のサーボモータ35が制動状態に入った時間であり、時間T13は加圧用のサーボモータ129が起動された時間であり、時間T14は加圧用のサーボモータ129が所定の回転状態に達した時間であり、時間T15は加圧用のサーボモータ129が制動状態に入った時間である。また時間T16は加圧用のサーボモータ129が逆回転方向の下で所定の回転状態に達した時間であり、時間T17は早送り用のサーボモータ35が逆回転方向の下で所定の回転状態に達した時間であり、時間T18は加圧用のサーボモータ129が制動状態に入った時間であり、時間T19は加圧用のサーボモータ129が回転停止状態に達した時間であり、時間T20は早送り用のサーボモータ35が制動状態に入った時間である。
また図7に示す曲線Qは早送り用のサーボモータ35のみによる押圧子91の降下と上昇とを表し、曲線Rは加圧用のサーボモータ129のみによる押圧子91の降下と上昇とを表している。そして曲線Pは曲線Qと曲線Rとを合成した結果による、押圧子91の降下と上昇とを表している。
ここで差動機構80の動作を説明する。即ち、プレス加工のサイクル数が予め設定された回数に到達すると、制御装置100は、予め設定された角度だけボール軸受位置調整用のサーボモータ88を回転させる駆動信号をボール軸受位置調整用のサーボモータ88に印加する。これによりウォームギア85、ウォームホイール84、中間歯車86、歯車87を介して差動円筒81が所定角度だけ僅か回転する。この所定角度の差動円筒81の回転により、差動円筒81は支持板30に対して上或いは下方向に所定の距離だけ移動させられ、スライダ50がこの所定の距離だけ上或いは下方向に変位する。
スライダ50がこの所定の距離だけ上或いは下方向に変位した後は、押圧子91の初期高さH0(上限待機位置H0)がこの所定の距離だけ変わっているので、定点加工させるためにこの所定の距離分だけ相殺するべく、早送りのサーボモータ35又は加圧用のサーボモータ129へ制御装置100から補正制御信号が印加される。
この補正制御信号の印加後のプレス加工のサイクルでは、押圧子91の初期高さH0は補正制御信号の印加前のプレス加工のサイクルと同じではあるが、スライダ移動機構120のウォームホイール127に形成された円筒状軸心部127aに固着されているボールねじナット52内部のボールに対するボール溝やボールねじ部41のボール溝に対する相対位置は、以前の上記加圧用のサーボモータ129による加工モードでの相対位置とは異なっている。即ちボールねじナット52内部のボールとボール溝やボールねじ部41のボール溝との相対位置が変わっており、そのためその局所的な磨耗を防止することができる。このボールねじナット52内部のボールとボール溝やボールねじ部41のボール溝との相対位置を変化させ、定点加工をしつつボールねじナット52内部のボールとボール溝やボールねじ部41のボール溝との局所的な磨耗を防止できるので、プレス加工の精度を以前と同様に保持でき、かつプレス装置の寿命を延ばすことができる。
図8は図1に示す制御装置の実施例構成を示す。ただし、図8においては、ロック装置130に対する制御と差動機構80に関する制御とについては図示を省略している。
図中の符号30、35、50、129、150、151は図1に対応しており、200はNC(数値制御)装置、201はタッチパネル、210はサーボモータM#1(早送り用のサーボモータ35)用のサーボモジュール(SM#1)、220はサーボモータM#1(早送り用のサーボモータ35)用のサーボドライバ(SD#1)、230はサーボモータM#1(早送り用のサーボモータ35)用の回転量を計測しているエンコーダ、240はサーボモータM#2(加圧用のサーボモータ129)用のサーボモジュール(SM#2)、250はサーボモータM#2(加圧用のサーボモータ129)用のサーボドライバ(SD#2)、260はサーボモータM#2(加圧用のサーボモータ129)用の回転量を計測しているエンコーダを表している。
サーボモジュールSM#1(210)やサーボモジュールSM#2(240)は、後述するように、夫々対応するサーボモータM#1(35)やサーボモータM#2(129)による動作のあるべき位置パターンを与えられ、NC装置200による制御の下で夫々のサーボモータM#1(35)やサーボモータM#2(129)に対する速度指令を発する。
またサーボドライバSD#1(220)やサーボドライバSD#2(250)は、後述するように、夫々速度指令を受信した上で、夫々の対応するエンコーダ#1(230)やエンコーダ#2(260)からのエンコーダフィードバック信号を受信して、夫々のサーボモータM#1(35)やサーボモータM#2(129)を駆動する。
なお、サーボモジュールSM#2(240)においては、図1に示すパルススケール150と位置検出器151とからのリニアスケールフィードバック信号を受信しており、後述するように、所定の期間ではゼロクランプ信号を発しサーボドライバSD#2(250)に対して速度指令を発しはするが、サーボドライバSD#2(250)は当該所定の期間サーボモータM#2(129)をゼロクランプ状態に置く(サーボモータM#2(129)は電源を印加されてはいるが回転しないようにゼロ位置にクランプされる)。
図9はサーボモジュールSM#1の詳細図である。図中の符号211は位置パターン生成部であってサーボモータM#1(35)の回転による位置パターンを与える。符号212は目標位置演算部であって刻々の目標位置モニタ信号を発するもの、213は加算器、214は位置ループゲインKpを乗算するものであって速度指令出力値信号を発するもの、215はアナログ速度指令部であって速度指令を発するものである。
また符号216は図8に示すエンコーダ230からのエンコーダフィードバック信号(パルス信号)を受信して逓倍するもの、217は絶対位置検出部であってエンコーダフィードバック信号を累算してサーボモータM#1(35)の回転によって生じた絶対位置を検出する。
更に、符号218は現在位置演算部であってサーボモータM#1(35)の現在位置を演算して加算器213に供給する。また符号219−1は機械座標ラッチ位置判定部、符号219−2は機械座標フィードバック発生部である。
サーボモジュールSM#1(210)は、位置パターン生成部211にもとづいて発せられる目標位置モニタ信号と、図8に示すエンコーダ230からのエンコーダフィードバック信号にもとづいて現在位置演算部218において演算された現在位置との差(位置偏差)に応じて、アナログ速度指令部215が速度指令を発する。
図10はサーボドライバSD#1の詳細図である。図中の符号35、50、230は図8に対応し、221は分周器であってエンコーダ230からのパルスを分周してエンコーダフィードバック信号を得るもの、222は加算器、223は速度ループゲインを与えるもの、224は電力変換部であってサーボモータM#1(35)が所望される速度で回転するように電力供給を行うもの、225は電流検出部であってサーボモータM#1(35)に供給される電流値を検出して電力変換部224にフィードバックするものである。
サーボドライバSD#1(220)は、エンコーダフィードバック信号を、図8に示すサーボモジュールSM#1(210)に供給すると共に、当該サーボモジュールSM#1(210)からの速度指令を受信する。
加算器222は、分周器221によって得られたエンコーダフィードバック信号と速度指令との偏差を得て、速度ループゲイン223を乗じた後に、電力変換部224を介してサーボモータM#1(35)を駆動する。
図11はサーボモジュールSM#2の詳細図である。図中の符号200、240は図8に対応し、符号241は位置パターン生成部であってサーボモータM#2(129)の回転によるあるべき位置パターンを与える。符号242は目標位置演算部であって刻々の目標位置モニタ信号を発するもの、243は加算器、244は位置ループゲインKpを乗算するものであって速度指令出力値信号を発するもの、245はアナログ速度指令部であって速度指令を発するものである。
また符号246は図8に示すリニアスケール(位置検出器)151からのリニアスケールフィードバック信号(パルス信号)を受信して逓倍するもの、247は絶対位置検出部であってリニアスケールフィードバック信号を累算して図1に示すスライダ50の移動によって生じた絶対位置を検出する。
更に、符号248は現在位置演算部であって前記スライダ50の現在位置を演算して加算器243に供給する。また符号249−1は機械座標ラッチ位置判定部、符号249−2は機械座標フィードバック発生部である。
なお、サーボモジュールSM#2(240)は、ゼロクランプ指令を用意して、サーボドライバSD#2(250)に供給する。当該ゼロクランプ指令は、図12を用いて後述するように、サーボモータM#2(129)が起動状態にない期間中、当該サーボモータM#2(129)に対して電源エネルギを印加してはいるが、当該サーボモータM#2(129)をゼロ位置に保持する(電源エネルギを印加されてはいるが実質上非回転状態に置かれる−−正回転状態と逆回転状態とを極く微小時間で繰り返している状態にされる)。
サーボモジュールSM#2(240)は、位置パターン生成部241にもとづいて発せられる目標位置モニタ信号と、図8に示すリニアスケール(位置検出器)151からのリニアスケールフィードバック信号にもとづいて現在位置演算部248において演算された現在位置との差(位置偏差)に応じて、アナログ速度指令部245が速度指令を発する。
図12はサーボドライバSD#2の詳細図であって、符号129、150、151、250、260は図8に対応している。そして符号251は分周器であってエンコーダ260からのパルスを分周してエンコーダフィードバック信号を得るもの、252は加算器、253は速度ループゲインを与えるもの、254は電力変換部であってサーボモータM#2(129)が所望される速度で回転するように電力供給を行うもの、255は電流検出部であってサーボモータM#2(129)に供給される電流値を検出して電力変換部254にフィードバックするものである。
また、符号256は位置ループゲインを与えるものである。また257は信号切替スイッチ(機械的スイッチの形で図示しているが実際には電子回路で構成される)であって、ゼロクランプ信号(指令)にもとづいて、電力変換部254に供給する信号を「位置指令」信号から「速度指令」信号に切替えるものである。
図12において、分周器251、加算器252、速度ループゲイン253までの動作は、図10に示す分周器221、加算器222、速度ループゲイン223までの動作と同じである。即ち、速度ループゲイン253からの出力信号は、図11に示すアナログ速度指令部245からの速度指令と図12に示す分周器251からのエンコーダフィードバック信号との偏差に対応して、サーボモータM#2(129)が回転すべき速度に見合う速度を得るような信号となっている。そして、この速度ループゲイン253からの当該出力信号は、ゼロクランプ指令によって、信号切替スイッチ257が切替えられた後(図示のOFF位置の側に切替えられた後)に、電力変換部254に供給される。即ち、サーボモータM#2(129)が、図1に示すスライダ50を移動(降下あるいは上昇)させる作用を行うよう指示された後に、はじめて当該サーボモータM#2(129)を図11に示す位置パターン生成部241に従う制御に入るようになる。
しかし、サーボドライバ250においては、ゼロクランプ信号(指令)によって信号切替スイッチ257が切替えられるまでの間、信号切替スイッチ257は図示のON位置に置かれ、電力変換部254は位置ループゲイン256からの出力信号を受けてサーボモータM#2(129)を運転する。即ち、サーボモータM#2が僅かに正回転してエンコーダ260がサーボモータM#2の正回転状態の発生を出力したとすると、電力変換部254はサーボモータM#2の当該正回転を打消すようにサーボモータM#2が僅かに逆回転をするように、サーボモータM#2を運動させる。換言すれば、サーボモータM#2(129)は、電源エネルギを供給されてはいるが、いわゆるゼロ位置を保つように制御されている。更に言えば、サーボモータM#2(129)は、この間、図1に示すボールねじナット52が非所望に回動しないようにブレーキをかけている。当該ボールねじナット52は、信号切替スイッチ257が切替わって電力変換部254が速度ループゲイン253側からの信号を受信する段階になってはじめて、ねじ軸40に対して相対回動が許されるようになる。
なお、重要なことであるが、図8に示すNC装置200からによる制御の下でサーボモータM#1(35)が起動されるとリニアスケール(位置検出器)151は、スライダ50の降下を検出することになる。そして、図11に示す位置パターン生成部241から出力される目標位置モニタ信号(サーボモータM#2(129)の目標位置モニタ信号)も、NC装置200の制御の下で出力されてくる。しかし、サーボモータM#2の目標位置は、ゼロクランプ信号(指令)によって信号切替スイッチ257が切替えられるまでの間、ゼロ位置を維持しているべきである。この制御のズレは、ゼロクランプの間、逐次あるいはまとめて補正される。そして、ゼロクランプ信号(指令)によって信号切替スイッチ257が速度指令の側に切替えられた時点で正しく、いわばゼロ位置からスタートするようにされる。
図13ないし図17は、図8ないし図12に示した制御装置の変形例を示す。図13ないし図17に示す制御装置に関して、図8ないし図12と異なる点は、大略、次の点である。
図8ないし図12においては、加工中における早送り用のサーボモータ35と加圧用のサーボモータ129の両者についての位置パターン生成部211や241からの情報にもとづく目標位置と、図示の現在位置演算部218や248からの現在位置との偏差をとり、当該偏差にもとづいて、上記両者のサーボモータを駆動せしめていた。即ち、フィードバック制御を行いつつプレス加工を行うようにしていた。
これに対して、図13ないし図17においては、プレス加工を行うに当たって、本番の加工を行う本番加工段階に先立って、いわゆるティーチングを行って本番加工段階における前記目標位置情報を修得しておく(ティーチング段階という)ようにする。即ち、本番加工段階においては、ティーチング段階で修得した目標位置情報にもとづいて、前記のフィードバック制御を行うことなく、いわばフィードフォワード制御にてプレス加工を行うようにしている。
なお、言うまでもなく、プレス加工を行うに当たっては、図1に示すスライダ50がプレス加工中の時々刻々において精密に水平状態を保持しつつ降下されることが望まれる。特に、早送り用のサーボモータと加圧用のサーボモータとの組を複数組用意して、単一のスライダ50を降下させてゆくような場合においては、当該水平状態を保持させることが重要となる。
しかしながら、プレス加工においては、被加工体の形状に対応して、プレス加工中の時々刻々被加工体から生じる反力が変化する。またプレス加工を、きわめてゆっくりと行う場合と急速に行う場合とでは、特に加圧用のサーボモータ129に対するあるべき駆動制御の態様が異なる。
このために、ティーチング段階においては、最初の段階では、スライダ50を水平に保持することを条件にきわめてゆっくりとプレス加工を行って情報を修復してゆく。そして次に、その修得情報を加味した上でスライダ50を水平に保持することを条件にプレス加工の加工速度を高めて情報を修得する。このようなティーチングを繰り返しつつ、本番加工段階に見合う加工速度でかつスライダ50を厳格に水平に保ち得る情報を修得する。このような本番加工段階に見合う修得情報を保持しておいて、当該修得情報にもとづいて本番加工段階におけるプレス加工が、フィードバック制御なしに実行される。ただ必要に応じて、本番加工段階におけるプレス加工中に、何らかの原因によって、スライダ50のあるべき位置とスライダ50の現在実位置とが閾値を超えて異なってしまうことが生じるおそれがある。このことのために、エラー検出部を用意することが望まれる。
図13は図1に示す制御装置の他の実施例構成を示す。ただし、図13においても、ロック装置130に対する制御と差動機構80に関する制御とについては図示を省略している。
図中の符号30、35、50、129、150、151は図1に対応しており、200はNC(数値制御)装置、201はタッチパネル、210AはサーボモータM#1(早送り用のサーボモータ35)用のサーボモジュール(SM#1A)、220AはサーボモータM#1(早送り用のサーボモータ35)用のサーボドライバ(SD#1A)、230はサーボモータM#1(早送り用のサーボモータ35)用の回転量を計測しているエンコーダ、240AはサーボモータM#2(加圧用のサーボモータ129)用のサーボモジュール(SM#2A)、250AはサーボモータM#2(加圧用のサーボモータ129)用のサーボドライバ(SD#2A)、260はサーボモータM#2(加圧用のサーボモータ129)用の回転量を計測しているエンコーダを表している。
サーボモジュールSM#1A(210A)やサーボモジュールSM#2A(240A)は、後述するように、夫々対応するサーボモータM#1(35)やサーボモータM#2(129)による動作のあるべき位置パターンを与えられ、NC装置200による制御の下で夫々のサーボモータM#1(35)やサーボモータM#2(129)に対する移動指令を発する。
またサーボドライバSD#1A(220A)やサーボドライバSD#2A(250A)は、後述するように、夫々移動指令を受信した上で、夫々の対応するエンコーダ#1(230)やエンコーダ#2(260)からのエンコーダフィードバック信号を受信して、夫々のサーボモータM#1(35)やサーボモータM#2(129)を駆動する。
なお、サーボモジュールSM#2A(240A)においては、図1に示すパルススケール150と位置検出器151とからのリニアスケールフィードバック信号を受信しており、後述するように、所定の期間ではゼロクランプ信号を発しサーボドライバSD#2A(250A)に対して移動指令を発しはするが、サーボドライバSD#2A(250A)は当該所定の期間サーボモータM#2(129)をゼロクランプ状態に置く(サーボモータM#2(129)は電源を印加されてはいるが回転しないようにゼロ位置にクランプされる)。
図14はサーボモジュールSM#1Aの詳細図である。図中の符号211は位置パターン生成部であってサーボモータM#1(35)の回転によるあるべき位置パターンを与える。符号212Aは目標位置演算部であって刻々の目標位置に対応して移動指令を発するものである。
また符号216は図13に示すエンコーダ230からのエンコーダフィードバック信号(パルス信号)を受信して逓倍するもの、217は絶対位置検出部であってエンコーダフィードバック信号を累算してサーボモータM#1(35)の回転によって生じた絶対位置を検出する。
更に、符号218は現在位置演算部であってサーボモータM#1(35)の現在位置を演算する。また符号219−1は機械座標ラッチ位置判定部、符号219−2は機械座標フィードバック発生部である。
また、270Aは、機械的スイッチの形で図示した切替スイッチ部であって、本番のプレス加工が行われる以前における、いわゆるティーチング段階において、現在位置演算部218において演算された現在位置情報を目標位置演算部212Aに供給し、本番プレス加工が行われる本番加工段階においては、当該現在位置情報を後述するエラー検出部271Aに供給するよう切替えるものである。なお、当該切替えは、図1に示す制御装置100に対応するNC(数値制御)装置200によって指示される。
271Aは、エラー検出部であって、前記本番加工段階において、何らかの異常状態が発生して、目標位置演算部212Aからの移動指令に対応する現在位置情報(指令現在目標位置情報)の値と、エンコーダフィードバック位置にもとづいて現在位置演算部218から得られる実現在位置情報の値との間に、閾値を超える位置偏差が生じた際にエラー発生信号を発して警告するものである。
図14に示す目標位置演算部212Aは、次のように動作する。
即ち、前記ティーチング段階においては、前述の如く、現在位置演算部218からの実現在位置情報を受け取っている。そして位置パターン生成部211から供給されてくる所の、刻々の前記指令現在目標位置情報の値と現在位置演算部218からの前記実現在位置情報の値との偏差を抽出して保持する(その保持されている一連の偏差値を保持偏差情報と呼ぶことにする)と共に、当該偏差に対応した形で移動指令を発する。
一方、前記本番加工段階においては、目標位置演算部212Aは、前記ティーチング段階において獲得して保持している前記保持偏差情報を、加工の進行に応じて読み出して考慮し、移動指令とする。
図15はサーボドライバSD#1Aの詳細図である。図中の符号35、50、230は図13に対応し、221は分周器であってエンコーダ230からのパルスを分周してエンコーダフィードバック信号を得るもの、222は加算器、223は速度ループゲインを与えるもの、224は電力変換部であってサーボモータM#1(35)が所望される速度で回転するように電力供給を行うもの、225は電流検出部であってサーボモータM#1(35)に供給される電流値を検出して電力変換部224にフィードバックするもの、226Aは位置ループゲインを与えるものである。
サーボドライバSD#1A(220A)は、エンコーダフィードバック信号を、図13に示すサーボモジュールSM#1A(210A)に供給すると共に、当該サーボモジュールSM#1A(210A)からの移動指令を受信する。また226Aは位置ループゲインを乗ずるものである。
当該図15に示すサーボドライバSD#1Aの動作は、基本的には図10に示したものと同じであるので説明を省略する。
図16はサーボモジュールSM#2Aの詳細図である。図中の符号200は図13に対応し、符号241は位置パターン生成部であってサーボモータM#2(129)の回転による位置パターンを与える。符号242Aは目標位置演算部であって刻々の移動指令を発するものである。
また符号246は図13に示すリニアスケール(位置検出器)151からのリニアスケールフィードバック信号(パルス信号)を受信して逓倍するもの、247は絶対位置検出部であってリニアスケールフィードバック信号を累算して図1に示すスライダ50の移動によって生じた絶対位置を検出する。
更に、符号248は現在位置演算部であって前記スライダ50の現在位置を演算する。また符号249−1は機械座標ラッチ位置判定部、符号249−2は機械座標フィードバック発生部である。
また、272Aは、機械的スイッチの形で図示した切替スイッチ部であって、本番のプレス加工が行われる以前における、いわゆるティーチング段階において、現在位置演算部248において演算された現在位置情報を目標位置演算部242Aに供給し、本番プレス加工が行われる本番加工段階においては、当該現在位置情報を後述するエラー検出部273Aに供給するよう切替えるものである。なお、当該切替えは、図1に示す制御装置100に対応するNC(数値制御)装置200によって指示される。
273Aは、エラー検出部であって、前記本番加工段階において、何らかの異常状態が発生して、目標位置演算部242Aからの移動指令に対応する現在位置情報(指令現在目標位置情報)の値と、エンコーダフィードバック信号にもとづいて現在位置演算部248から得られる実現在位置情報の値との間に、閾値を超える位置偏差が生じた際にエラー発生信号を発して警告する。
図16に示す目標位置演算部242Aは、次のように動作する。
即ち、前記ティーチング段階においては、前述の如く、現在位置演算部248からの実現在位置情報を受け取っている。そして位置パターン生成部241から供給されてくる所の、刻々の前記現在位置情報の値と現在位置演算部248からの前記実現在位置情報の値との偏差を抽出して保持する(その保持されている一連の偏差値を保持偏差情報と呼ぶことにする)と共に、当該偏差に対応した形で移動指令を発する。
一方、前記本番加工段階においては、目標位置演算部242Aは、前記ティーチング段階において獲得して保持している保持偏差情報を、加工の進行に応じて読み出して移動指令とする。
なお、サーボモジュールSM#2A(240A)は、ゼロクランプ指令を用意して、サーボドライバSD#2A(250A)に供給する。当該ゼロクランプ指令は、図17を用いて後述するように、サーボモータM#2(129)が起動状態にない期間中、当該サーボモータM#2(129)に対して電源エネルギを印加してはいるが、当該サーボモータM#2(129)をゼロ位置に保持する(電源エネルギを印加されてはいるが実質上非回転状態に置かれる−−正回転状態と逆回転状態とを極く微小時間で繰り返している状態にされる)。
サーボモジュールSM#2A(240A)は、前記ティーチング段階においては、位置パターン生成部241にもとづいて発せられる現在位置と、図8に示すリニアスケール(位置検出器)151からのリニアスケールフィードバック信号にもとづいて現在位置演算部248において演算された実現在位置との差(位置偏差)に応じて、サーボモジュールSM#2Aに対して移動指令を発する。そして、その間に修得して位置偏差を例えばメモリ上に保存して、前記本番加工段階における移動指令を発する際に利用するようにする。また本番加工段階において何らかの原因によって発生するかも知れない非所望な位置ズレが生じた際にエラー検出部273Aからエラー発生信号を発するようにされる。
図17はサーボドライバSD#2Aの詳細図であって、符号129、150、151、250A、260は図13に対応している。そして符号251は分周器であってエンコーダ260からのパルスを分周してエンコーダフィードバック信号を得るもの、252は加算器、253は速度ループゲインを与えるもの、254は電力変換部であってサーボモータM#2(129)が所望される速度で回転するように電力供給を行うもの、255は電流検出部であってサーボモータM#2(129)に供給される電流値を検出して電力変換部254にフィードバックするものである。
また、符号256は位置ループゲインを与えるものである。また257は信号切替スイッチ(機械的スイッチの形で図示しているが実際には電子回路で構成される)であって、ゼロクランプ信号(指令)にもとづいて、電力変換部254に供給する信号を「位置指令」信号から「速度指令」信号に切替えるものである。また258Aは位置ループゲインを与えるものである。
図17に示すサーボドライバSD#2Aの動作は、基本的には図12に示したものと同じであるので説明を省略する。
なお、重要なことであるが、図13に示すNC装置200からによる制御の下でサーボモータM#1(35)が起動されるとリニアスケール(位置検出器)151は、スライダ50の降下を検出することになる。そして、図16に示す位置パターン生成部241から出力される目標位置モニタ信号(サーボモータM#2(129)の目標位置モニタ信号)も、NC装置200の制御の下で出力されてくる。しかし、サーボモータM#2の目標位置は、ゼロクランプ信号(指令)によって信号切替スイッチ257が切替えられるまでの間、ゼロ位置を維持しているべきである。この制御のズレは、ゼロクランプの間、逐次あるいはまとめて補正される。そして、ゼロクランプ信号(指令)によって信号切替スイッチ257が速度指令の側に切替えられた時点で正しく、いわばゼロ位置からスタートするようにされる。
図4は本発明に係るプレス装置の主要部分の一部分を断面にした他の実施例正面図を示している。
図4に示された本発明に係るプレス装置は、基本的には図1で示されたものと同じ構成である。
図4で示された構成のもので図1で示されたものと異なる部分は、主として次の2つの点である。即ち、加圧用のサーボモータ129が支持板30に配置されている。そして、加圧用のサーボモータ129が支持板30に配置されているので、当該加圧用のサーボモータ129の支持板30に対し垂直方向の回転軸をスライダ移動機構120の入力軸124と軸方向を合わせると共に、加圧用のサーボモータ129の回転トルクをスライダ移動機構120の入力軸124に伝動する軸変換機構160が新たに設けられている。
図4において、上記の異なる2点以外は図1のものとプレス装置の構成や動作も同じであるので、その説明は省略するが、構成上重量のある加圧用のサーボモータ129を支持板30に配置したので、当該加圧用のサーボモータ129がスライダ50に配置されている場合に比べスライダ50の重量が軽くなり、その慣性が小さくなるために、スライダ50を移動させてその位置を制御する際に、小さなトルクで済ますことができる。それ故、スライダ50の急速な停止や急速な始動が可能となり、プレス加工の1サイクルに要する時間の短縮化が可能となる。つまりプレス装置の高効率化が可能となる。
図5は軸変換機構の一実施例構成説明図を示しており、図4と同じものは同一の参照符号が付されている。
図5において、軸変換機構160は次のような構成で、支持板30に配置された加圧用のサーボモータ129の回転トルクをスライダ移動機構120の入力軸124に伝達するようになっている。
即ち、支持板30に回転可能に取り付けられた加圧用のサーボモータ129の回転軸161は支持板30を貫通し、その支持板30から貫通した回転軸161に歯車162が固着されている。歯車162は歯車163と噛み合わされ、歯車163は、方向変換軸164に切られたスプライン165に嵌入係合されると共に、支持板30に固定の歯車支持ケース166に収納された2つのスラスト軸受167、168で挟持されており、歯車163の回転が方向変換軸164に伝達され、かつ方向変換軸164は歯車163に設けられたスプライン溝とのスプライン係合で歯車163内を自在に摺動できるようになっている。
また方向変換軸164には、ウォームギヤ169が固着されており、ウォームギヤ169には、スライダ移動機構120の入力軸124に固定されたウォームホイール170と噛み合わされている。
軸変換機構160がこのように構成されているので、加圧用のサーボモータ129を支持板30に配設しても、支持板30に取り付けられた加圧用のサーボモータ129の回転トルクがスライダ移動機構120の入力軸124に伝達され、図1で説明したスライダ移動機構120内に加圧用のサーボモータ129が配設されている場合と全く同様の機能を、図5図示の軸変換機構160で果たすことができる。
図5で示された軸変換機構160では、ウォームギヤ169とウォームホイール170とで支持板30に取り付けられた加圧用のサーボモータ129の支持板30に対し垂直な回転軸161とスライダ移動機構120の支持板30に対し水平な入力軸124との軸合わせを行っているが、はすば歯車などの組み合わせやその他種々の歯車を用いて軸変換することができる。
図18は電動プレス加工機の他の形態の一実施例概略説明図を示している。図18において、ベース301と支持板302と複数のガイド柱303とで形成された枠体304の内部にはスライダ305が設けられ、スライダ305の四隅にガイド柱303と係合しガイド柱303の軸方向にスライダ305が自在に摺動する孔がそれぞれ設けられている。
支持板302の上面には、1個又は複数個の、例えば2、3或いは4個の取り付け台307が設けられており、1個又は複数個の各取り付け台307には、エンコーダを内蔵した早送り用のサーボモータ308が取り付けられている。
以下に説明する1個又は複数個の取り付け台307に取り付けられた各サーボモータ308に関連する構成・構成部品は全く同じものであるので、その1つについて説明することにする。
図18に示す実施例について説明すると、取り付け台307の内部において早送り用のサーボモータ308の出力軸に固着された歯車309と噛み合う歯車310は、ボールねじ軸311を軸にして取り付け台307に回転自在に軸支されている。ボールねじ軸311は、取り付け台307及び支持板302の上下方向にそれぞれ貫通し、上から順に円柱部312、スプラインが切られたスプライン部313、ボール溝を有する右ねじの上おねじ部314及びボール溝を有する左ねじの下おねじ部315を備えている。
ボールねじ軸311の円柱部312は、取り付け台307に設けられた支持ケース316内を摺動自在に支持されるようになっている。またボールねじ軸311のスプライン部313は、歯車310とスプライン結合されており、歯車310の回転によってボールねじ軸311が回転されるが、歯車310が非回転状態の下でボールねじ軸311自身が非回転状態でその軸方向に摺動自在に移動できるようになっている。つまり歯車309と310との噛み合わせ、及び歯車310とボールねじ軸311のスプライン部313とのスプライン結合の両者により早送り用のサーボモータ308の回転制御でボールねじ軸311の回転を制御させることができる。
ボールねじ軸311の上おねじ部314は、内部にボールとナット部材とが設けられたボールねじ機構317と螺合すると共に、ボールねじ機構317の上部には、カラー318を介してウォームホイール319が固定されている。そしてボールねじ機構317はベアリング320とカラー321とを介して支持板302に回転自在に軸支されている。支持板302にはエンコーダを内蔵した加圧用のサーボモータ323が取り付けられており、加圧用のサーボモータ323の出力軸に固着されたウォーム324はウォームホイール319と噛み合わされている。従って、加圧用のサーボモータ323の回転のみによってスライダ305を降下せしめてプレス加工を行っている期間では、加圧用のサーボモータ323の正回転・逆回転に応じてウォーム324とウォームホイール319との噛み合わせを介してのボールねじ機構317が回転し、この回転により、ボールねじ機構317が回転していることからボールねじ軸311は回転せずに下方向に移動させられる(このボールねじ軸311の回転方向及び上下方向の移動については、早送り用のサーボモータ308の動作を連動させることがあり、これについては後に説明する)。
スライダ305の上面には、中央部にボールねじ軸311を回転させるに足る孔を有する取り付け台325を介し、内部にボールとナット部材とが設けられたボールねじ機構326が取り付けられており、ボールねじ軸311の下おねじ部315が、ボールねじ機構326と螺合されている。上記早送り用のサーボモータ308の回転制御によりボールねじ軸311が回転制御されるので、ボールねじ軸311の下おねじ部315とボールねじ機構326との螺合を介し、スライダ305を往復運動させることができる。
スライダ305の下端面には上型327が取り付けられ、またベース301にはこの上型327に対応する位置に下型328が設けられている。そしてベース301と支持板302との間に、スライダ305の位置を検出するパルススケール329がガイド柱303に沿って取り付けられ、パルススケール329で上型327と下型328に載置された被加工物330との接触位置、上型327の上限待機位置及び下限降下位置を検出すると共に上型327の位置が検出されるようになっている。
単一のスライダ305に対応して1つ又は複数個の組、即ち早送り用のサーボモータ308と加圧用のサーボモータ323との組がもうけられている。早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の各回転を制御する制御装置331は、予め各種の設定値が入力されるようになっている他、パルススケール329が検出する位置信号を受け入れる。そして当該制御装置331は、上型327が下型328に載置された被加工物330と接触する直前までは、早送り用のサーボモータ308の回転及び必要に応じて加圧用のサーボモータ323の回転を介して上型を急速に降下させる。上型327が被加工物330と接触する直前から上型327が予め定められた下限降下位置(図18の上型327の想像線位置(327))まで降下するまでは、加圧用のサーボモータ323の回転によるトルク付加モードで上型327を降下させると共に、下型328に載置された被加工物330を押圧させる制御を行わせ、上型327が下限降下位置に到達後は早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の回転を介して上型を急速に上昇させる制御を行わせる。
このように構成された電動プレス加工機の早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の回転によるボールねじ軸311の回転方向及び上下方向移動について説明しておく。
今、加圧用のサーボモータ323がオフ、即ち回転停止状態にあるとき、ウォーム324とウォームホイール319との結合により、ボールねじ機構317は支持板302に固定されている。つまりボールねじ機構317はウォーム324とウォームホイール319との結合を介し支持板302と一体化されている。このような状態の下で、早送り用のサーボモータ308が正回転し、歯車309が図18の紙面上側から見て(以下回転はすべて紙面上側から見るものとする)反時計方向に回転すると、ボールねじ軸311は時計方向に回転し、支持板302に固定されたボールねじ機構317と螺合する右ねじの上おねじ部314、即ちボールねじ軸311は枠体304から見て下方向に移動する(以下ことわらない限りボールねじ軸311の移動方向はすべて枠体304から見るものとする)。
時計方向に回転するボールねじ軸311の左ねじの下おねじ部315は、取り付け台325を介してスライダ305に固定されているボールねじ機構326と螺合しているので、ボールねじ軸311が時計方向に回転することによりボールねじ機構326が下方向に移動し、スライダ305も下方向に移動する。従って、スライダ305、即ちスライダ305の下面に固着されている上型327は、ボールねじ軸311自身の回転されつつの下方向への移動とボールねじ機構326がボールねじ軸311の回転に対応して下方向への移動とが加算された形態で高速で下方向に移動する。このときの上型327の移動速度をV1とする。
早送り用のサーボモータ308が逆回転し、歯車309が時計方向に回転すると、ボールねじ軸311は反時計方向に回転し、支持板302に固定されたボールねじ機構317と螺合する右ねじの上おねじ部314、即ちボールねじ軸311は回転しつつ上方向に移動する。
反時計方向に回転するボールねじ軸311の左ねじの下おねじ部315は、取り付け台325を介してスライダ305に固定されているボールねじ機構326と螺合しているので、ボールねじ軸311の回転に対応してボールねじ機構326自体が上方向に移動する。従って、スライダ305、即ちスライダ305の下面に固着されている上型327は、ボールねじ軸311自体の回転されつつの上方向への移動とボールねじ機構326がボールねじ軸311の回転に対応して上方向への移動とが加算された形態で上方向に移動する。このときの上型327の移動速度は上記のV1である(早送り用のサーボモータ308の回転は正逆同一制御としている)。
この様に、上おねじ部314の右ねじのピッチPrと下おねじ部315の左ねじのピッチPlとが同じ場合、1つのボールねじ軸311に右ねじと左ねじとの2種類を設けることにより、右ねじ又は左ねじの1種類のものよりも2倍の速度で上型327を早く移動させることができる。
今、早送り用のサーボモータ308に対して現在の回転方向と反対方向への非所望な力がかかった場合も、当該反対方向へは回転しない程度の駆動力を与えておいて回転方向にも回転しないようにしておく状態(以下回転停止保持状態という)にあるとき、このような状態の下で、加圧用のサーボモータ323が正回転し、そのウォーム324を介しウォームホイール319が反時計方向に回転すると、ウォームホイール319を固着しているボールねじ機構317も反時計方向に回転する。これにより反時計方向に回転するボールねじ機構317と螺合する右ねじの上おねじ部314、即ちボールねじ軸311は下方向に移動する。これによりスライダ305も下方向に移動する。このときの上型327の移動速度をV2とする。
加圧用のサーボモータ323が逆回転し、そのウォーム324を介しウォームホイール319が時計方向に回転すると、ウォームホイール319を固着しているボールねじ機構317も時計方向に回転する。これにより時計方向に回転するボールねじ機構317と螺合する右ねじの上おねじ部314、即ちボールねじ軸311は上方向に移動する。これによりスライダ305も上方向に移動する。このときの上型327の移動速度は上記のV2である(加圧用のサーボモータ323の回転は正逆同一制御としている)。
上記の説明から、早送り用のサーボモータ308と加圧用のサーボモータ323とが同時に正回転しているときには、スライダ305の下面に固着されている上型327は、早送り用のサーボモータ308による下方向への速度V1と、加圧用のサーボモータ323による下方向の速度V2との和V=V1+V2で下方向に移動する。そして早送り用のサーボモータ308と加圧用のサーボモータ323とが同時に逆回転しているときには、スライダ305の下面に固着されている上型327は、早送り用のサーボモータ308による上方向への速度V1と、加圧用のサーボモータ323による上方向の速度V2との和のV=V1+V2の速度で上方向に移動する。
図19は図18図示の電動プレス加工機の制御方法を示した一実施例動作説明図を示している。
図19において、縦軸は上型327の速度、横軸は時間をそれぞれ表している。そして、今、図18に示す如く、例えばベース301の上面を基準点0として、上型327が待機状態、つまり上型327の上限上昇位置にあるときの上型327の先端位置をH1、上型327の先端が下型328に載置された被加工物330と接触する前の予め定められた位置をH2、上型327の先端が下型328に載置された被加工物330と接触する位置をH3、上型327が下限降下位置に到達したときの上型327の先端位置をH4(H4<H3<H2<H1)とする。
上型327が待機状態のH1から被加工物330と接触する前の予め定められた位置H2までは、パルススケール329の位置検出に基づく早送り用のサーボモータ308の正回転で、スライダ305、即ち上型327の降下は、時間T0〜T1では加速度で、時間T1〜T2では等速制御される。パルススケール329が被加工物330と接触する前の予め定められた位置H2を検出すると、上型327は時間T2〜T3で減速制御され、早送り用のサーボモータ308は停止する。この早送り用のサーボモータ308による時間T2〜T3の上型327の速度はV1’で降下する。
一方、被加工物330と接触する前の予め定められた位置H2の検出で、加圧用のサーボモータ323は正回転を始めると共に、時間T2〜T3で加圧用のサーボモータ323のエンコーダによる早送り用のサーボモータ308の動きに反比例の加速追従を行う。これにより上型327は、時間T2〜T3では、早送り用のサーボモータ308の減速制御による上型327の降下速度V1’と、加圧用のサーボモータ323の加速制御による上型327の降下速度V2’とを加算した速度V1’+V2’で降下する。その後の上型327の時間T3〜T5では、パルススケール329の位置検出に基づく加圧用のサーボモータ323の回転制御により、上型327は速度V2のトルク付加モードで降下する。即ち上型327は、時間T4〜T5の等速制御そして時間T5〜T6の減速制御による上型327の下型328に載置された被加工物330をプレスするプレス期間となる。
パルススケール329が上型327の下限降下位置H4を検出したとき、早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323を共に逆回転させ、以後は早送り用のサーボモータ308はパルススケール329の位置検出に基づき、そして加圧用のサーボモータ323はそのエンコーダにより早送り用のサーボモータ308の動きに追従し、時間T6〜T7の加速制御、時間T7〜T8の等速制御、そして時間T8〜T9の減速制御を経て、上型327を上限上昇位置、即ち元の待機位置H1まで復帰させ、プレス加工の1サイクルが終了する。
図20は図19に示された制御方法のときの上型のストローク線図である。なお加減速状態については無視して示している。
図20において、早送り用のサーボモータ308が始動する時間T0の上限上昇位置(待機位置)Aから停止するまでの時間T3のBまでの上型327のストロークABは、時間T3のBから加圧用のサーボモータ323が停止するまでの上型327が下限降下位置に到達する時間T6のCまでの上型327のトルク付加モードのストロークBCに比べ遙かに大きく、上型327はプレス期間時間T4に入る少し前までは急速に降下することを表している。
また、プレス期間終了後の時間T6のCから早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323による上限上昇位置(待機位置)に戻る時間T9のAまでの上型327のストロークCAは、上記上型327のトルク付加モードのストロークBCに比べ遙かに大きく、上型327がプレス期間終了後も急速に上昇することを表している。
つまり、早送り用のサーボモータ308に基づく速度V1でストロークABが確保され、加圧用のサーボモータ323に基づく速度V2(V2≪V1)でストロークBC(BC≪AB)が確保され、そして早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の両者に基づく速度V1+V2でストロークCA(CA≫BC)が確保されるという動作が行われる。
図21は制御方法を示した他の実施例動作説明図を示している。
図21において、縦軸は上型327の速度、横軸は時間をそれぞれ表している。そして、図21においても、ベース301の上面を基準点0として、上型327が待機状態、つまり上型327の上限上昇位置にあるときの上型327の先端位置をH1、上型327の先端が下型328に載置された被加工物330と接触する前の予め定められた位置をH2、上型327の先端が下型328に載置された被加工物330と接触する位置をH3、上型327が下限降下位置に到達したときの上型327の先端位置をH4(H4<H3<H2<H1)とする。
上型327が待機状態のH1から被加工物330と接触する前の予め定められた位置H2までは、パルススケール329の位置検出に基づく早送り用のサーボモータ308の正回転と加圧用のサーボモータ323のエンコーダによるサーボモータ308の動きに追従した加圧用のサーボモータ323の正回転とによるスライダ305、即ち上型327は時間T0〜T1では共に加速度で、時間T1〜T2では共に等速制御される。この時間T1〜T2では、上記説明したとおり上型327は、サーボモータ308の正回転に基づく上型327の速度V1とサーボモータ323の正回転による上型327の速度V2とが加算された速度V(=V1+V2)で急速に降下する。パルススケール329が被加工物330と接触する前の予め定められた位置H2を検出すると、上型327は時間T2〜T3で減速制御され、早送り用のサーボモータ308は前述の回転停止保持状態に戻る。
一方、被加工物330と接触する前の予め定められた位置H2の検出(時間T1)を契機に、加圧用のサーボモータ323はパルススケール329の位置検出に基づくトルク付加モードの回転制御が行われる。その後の時間T3〜T5では、加圧用のサーボモータ323だけの回転制御により、上型327は速度V2のトルク付加モードで降下する。
時間T4で上型327の先端が下型328に載置された被加工物330と接触する位置H3まで降下し、その後時間T4〜T5の等速制御そして時間T5〜T6の減速制御による上型327の下型328に載置された被加工物330をプレスするプレス期間となる。
パルススケール329が上型327の下限降下位置H4を検出したとき、早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323を共に逆回転させ、以後は早送り用のサーボモータ308はパルススケール329の位置検出に基づき、そして加圧用のサーボモータ323はそのエンコーダにより早送り用のサーボモータ308の動きに追従し、時間T6〜T7の加速制御、時間T7〜T8の等速制御、そして時間T8〜T9の減速制御を経て、上型327を上限上昇位置、即ち元の待機位置H1まで復帰させ、プレス加工の1サイクルが終了する。
図22は図21に示された制御方法のときの上型のストローク線図である。なお加減速状態については無視して示している。
図22において、早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323が始動する時間T0の上限上昇位置(待機位置)Aから停止するまでの時間T3のBまでの上型327のストロークABは、時間T3のBから加圧用のサーボモータ323が停止するまでの上型327が下限降下位置に到達する時間T6のCまでの上型327のトルク付加モードのストロークBCに比べ遙かに大きく、上型327はプレス期間時間T4に入る少し前までは急速に降下することを表している。
また、プレス期間終了後の時間T6のCから早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323による上限上昇位置(待機位置)に戻る時間T9のAまでの上型327のストロークCAは、上記上型327のトルク付加モードのストロークBCに比べ遙かに大きく、上型327がプレス期間終了後も急速に上昇することを表している。
つまり、早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の両者に基づく速度V1+V2でストロークABが確保され、加圧用のサーボモータ323に基づく速度V2(V2≪V1)でストロークBC(BC≪AB)が確保され、そして早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の両者に基づく速度V1+V2でストロークCA(CA≫BC)が確保されるという動作が行われる。
図23は電動プレス加工機の更に他の形態の実施例概略説明図を示しており、図23においては図18と同じものは同一の符号が付されている。図23と図18との相違は、歯車310の回転をロックするためのロック機構332が取り付け台307に設けられている点である。その外の構成は図18のものと同じであるので、その説明は省略する。
図23において、ロック機構332が作動すると、当該ロック機構332のクランプ片333が歯車310と係合し、歯車310の回転をロックするようになっている。つまり歯車310はボールねじ軸311のスプライン部313に摺動自在に嵌合されているので、ロック機構332の作動により、歯車310を介してボールねじ軸311の回転を阻止する。
これにより、上型327が下型328に載置された被加工物330をプレスする際に生じる反力で、スライダ305、ボールねじ機構326及びボールねじ軸311などを介してスライダ305を上向きに移動させようとする力が働いても、上記説明のロック機構332の作動の下では、ボールねじ軸311はその回転が阻止され、上型327は被加工物330に所定のプレス荷重を効率よく付与することができる。この点で、図23図示の電動プレス加工機は図18図示の電動プレス加工機よりもプレス効率が優れている。
このようなロック機構332を備えた図23図示の電動プレス加工機は、図18図示の電動プレス加工機と同様に、図19或いは図21に示された制御法で制御されるが、このときの1つ又は複数個の早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の各回転を制御する制御装置331は、予め各種の設定値が入力されるようになっている他、パルススケール329が検出する位置信号を基に、上型327が下型328に載置された被加工物330と接触する前までは、少なくとも早送り用のサーボモータ308の回転を介して上型327を急速に降下させ、上型327が被加工物330と接触する前から上型327が予め定められた下限降下位置(図18の上型327の想像線位置(327))まで降下するまでは、加圧用のサーボモータ323の回転によるトルク付加モードで上型327を降下・押圧させると共に、上型327が下型328に載置された被加工物330と接触する直前までにはボールねじ軸311の回転を阻止するロック機構332を作動させる制御を行わせ、上型327が下限降下位置に到達後はロック機構332の解除(アンロック状態)の下で早送り用のサーボモータ308及び加圧用のサーボモータ323の回転を介して上型を急速に上昇させる制御を行わせるようになっている。
即ち、ロック機構332は、図19、図21において、時間T3〜T4の間で作動してボールねじ軸311の回転をロックさせ、時間T6でそのロックを解除(アンロック)する動作を行う。このロック機構332の動作で、上記説明の上型327が下型328に載置された被加工物330をプレスする際に生じる反力で、ボールねじ軸311などを介してスライダ305を上向きに移動させようとする力が働いても、ボールねじ軸311は回転せず、上型327は被加工物330に所定のプレス荷重を付与する。
このロック機構332は、ボールねじ軸311を回転させる歯車310を利用して取り付け台307の位置でボールねじ軸311をロックするようにしているが、この位置に限られることはなく、例えば支持板302の位置やスライダ305の位置にロック機構を配置し、ボールねじ軸311の回転を阻止するようにしてもよい。
上記説明では、上おねじ部314の右ねじのピッチPrと下おねじ部315の左ねじのピッチPlとが同じとしてきたが、必ずしも等しくなくてもよく、上おねじ部314のピッチPr>下おねじ部315のピッチPlであれば、上型327はより早く降下・上昇移動させることができる。また上おねじ部314が右ねじで下おねじ部315が左ねじで説明したが、上おねじ部314が左ねじで下おねじ部315が右ねじとしても同じ効果を得ることができることは言うまでもない。
上型327の上限待機位置H1、上型327の先端が下型328に載置された被加工物330と接触する前の予め定められた位置をH2、上型327と下型328に載置された被加工物330との接触位置H3、及び下限降下位置H4を検出する位置検出器として、パルススケール329が示されているが、位置検出ができ制御装置331へその検出信号を送出できるものであれば、他の電子式或いは機械式いずれの位置検出器でも使用することができる。
図24は電動プレス加工機の他の一実施例概略説明図を示している。
図24において、ベース401と支持板402と複数のガイド柱403とで形成された枠体404の内部には、2つのスライダ(第1のスライダ)405、スライダ(第2のスライダ)406が設けられ、各スライダ405、406の四隅に、ガイド柱403と係合しガイド柱403の軸方向にスライダ405、406が自在に摺動する摺動穴がそれぞれ設けられている。
支持板402の上面には、複数個の、例えば4つの取り付け台408が設けられており、各取り付け台408には、エンコーダを内蔵した早送り用のサーボモータ409が取り付けられている。
以下に説明する4つの取り付け台408に取り付けられた各早送り用のサーボモータ409に関連する構成・構成部品は全く同じものであるので、その1つについて説明することにする。
取り付け台408の内部において早送り用のサーボモータ409の軸に固着された早送り用のねじ軸(第1のねじ軸)410は、回転自在に支持板402に軸支されると共に、スライダ406に固定されためねじ送りナット411(第1の連結機構)に螺合され、スライダ406の下方にさらに設けられているスライダ405を突出することが可能となっている。従って、上記4つの早送り用のサーボモータ409の同期した正回転・逆回転により、スライダ406が上昇或いは降下し、早送り用のサーボモータ409の回転制御でスライダ406を往復運動させることができる。
スライダ406には、ねじ軸410を当該スライダ406にクランプする、即ち固定するダブルナットロック機構414が設けられている。このロック機構414が働くと、ねじ軸410がスライダ406に固定(ロック)され、ねじ軸410とスライダ406とが一体化し、ねじ軸410とスライダ406とは相互に移動することができないようになっている。
スライダ406の上面には、複数個の、例えば2、3又は4つの取り付け台415が設けられおり、各取り付け台415には、エンコーダを内蔵した減速機416付の加圧用のサーボモータ417が取り付けられている。取り付け台415に取り付けられた各加圧用のサーボモータ417に関連する構成・構成部品も全く同じものであるので、以下の説明でもその1つについて説明することにする。
取り付け台415の内部において加圧用のサーボモータ417の軸に固着されたボールねじ軸(第2のねじ軸)418は、内部にボールとナット部材とが設けられた作動機構付ボールねじ機構(第2の連結機構)419と螺合し、スライダ406に回転自在に軸支されている。ボールねじ軸418とスライダ405の上面に固定された当該作動機構付ボールねじ機構419とで、2つのスライダ406とスライダ405とが連結された構造となっている。つまり、取り付け台415に設けられた上記複数個の加圧用のサーボモータ417を同期して正回転或いは逆回転させることにより、スライダ405が上昇或いは降下し、加圧用のサーボモータ417の回転制御でスライダ405を往復運動させることができる。
スライダ405の下端面には上型407が取り付けられ、またベース401にはこの上型407に対応する位置に下型420が設けられている。そしてベース401と支持板402との間に、スライダ405の位置を検出するパルススケール421が4つのガイド柱403に沿ってそれぞれ取り付けられ、上型407と下型420に載置された被加工物422との接触位置を検出すると共に、上型407の上限待機位置及び下限降下位置を検出するようになっている。スライダ405などの平行制御は、上記4つのパルススケール421を基準にして行われる。
それぞれ2個ないし4個の早送り用のサーボモータ409と、2個ないし4個の加圧用のサーボモータ417との各回転を制御し、そしてねじ軸410をスライダ406に固定(ロック)させ或いはその解除(アンロック)をさせるロック機構414を制御する制御装置(第1の制御装置)423は、予め各種の設定値が入力されるようになっている他、スライダ405の位置検出をするための、即ち上型407の位置検出をするためのパルススケール421が検出する位置信号を受け入れる。そして当該制御装置423は、上限待機位置にある上型407が下型420に載置された被加工物422と接触する時点あるいは接触する直前の時点までは、早送り用のサーボモータ409によるねじ軸410の回転によって降下するスライダ406及び必要に応じて加圧用のサーボモータ417の回転によって降下するスライダ405を介して、上型407を急速に降下させる。早送り用のサーボモータ409の停止後に直ちにロック機構414をロックさせ、上型407が被加工物422と接触した時点あるいは接触する直前の時点から上型407が予め定められた下限降下位置(図24の上型407の想像線位置(407))まで降下する時点までは、上型407の降下を加圧用のサーボモータ417によって降下するようにする。即ち、スライダ405は、上記の急速降下速度にくらべて減速される。この場合制御装置423は加圧用のサーボモータ417をトルク付加モードにして、上型407が下型420に載置された被加工物422を押圧し、被加工物422を所定の形状にプレス加工を行うようにする。そして上型407が下限降下位置に到達後は、ロック機構414のロックを解除(アンロック)すると共に、加圧用のサーボモータ417によるスライダ405の上昇と早送り用のサーボモータ409によるスライダ406の上昇との両方を用いて上型407を急速に上昇させる制御を行わせる。
早送り用のサーボモータ409の停止後ロック機構414をロックしてねじ軸410をスライダ406に固定(ロック)させるのは、上型407が下型420に載置された被加工物422をプレスする際に生じる反力で、スライダ405、差動機構付ボールねじ機構419及びボールねじ軸418などを介してスライダ406を上向きに移動させようとする力が働いても、上記説明のねじ軸410とスライダ406との一体化により、ねじ軸410はその回転が阻止されるので、スライダ406は上向きに移動することはなく停止位置を維持させるためである。つまり上型407は被加工物422に所定のプレス荷重を付与することができる。
図25は図24に用いられている上型の移動機構部の拡大説明図を示しており、図24と同じものは同一の符号が付されている。
図25において、支持板402の上面に取り付けられた取り付け台408を貫通した早送り用のサーボモータ409の出力軸425は、ねじ軸410の先端部にカップリング426を介して連結されている。支持板402に設けられた孔427には、ベアリングホルダ428を介してねじ軸410に嵌め込まれたベアリング429が取り付けられ、早送り用のサーボモータ409によって駆動されるねじ軸410が回転自在に支持板402に取り付けられている。
またスライダ406の上面に取り付けられた取り付け台415を貫通した加圧用のサーボモータ417の減速機416を介しての出力軸430は、ボールねじ軸418の先端部にカップリング431を介して連結されている。スライダ406に設けられた孔432には、ベアリングホルダ433を介してボールねじ軸418に嵌め込まれたベアリング434が取り付けられ、加圧用のサーボモータ417によって駆動されるボールねじ軸418が回転自在にスライダ406に取り付けられている。
スライダ406に取り付けられたロック機構414は、スラスト荷重用のベアリング435、ロックナット436、クランプ片437及びロックナット弛緩機構438で構成され、弛緩を容易にするベアリング435を中間にして配置されためねじ送りナット411とロックナット436とのダブルナットでねじ軸410を固定(ロックナット436に対してねじ軸410の回転を停止する)し、或いはねじ軸410を開放(ロックナット436に対してねじ軸410の回転を自由にする)するようになっている。このめねじ送りナット411とロックナット436とのダブルナットでのねじ軸410の固定(ロック)・開放(アンロック)は、当該ロックナット436に固着されたクランプ片437を介しロックナット436を僅かに正・逆回転させるロックナット弛緩機構438で行われるようになっている。
図26はダブルナットロック機構がロック状態となっているときのねじ軸に対するめねじ送りナットとロックナットとの関係を表した一実施例部分拡大図を示している。
図26において、紙面上側から見てロックナット436がクランプ片437を介して時計周りに僅かに回転させられ、ロックナット弛緩機構438がクランプの状態にある。このときロックナット436のねじ溝の下側とねじ軸410のねじ山の下側とが当接すると共に、めねじ送りナット411のねじ溝の上側とねじ軸410のねじ山の上側とが当接し、ねじ軸410はロックナット436に対し固定される。従ってロックナット436、クランプ片437、そしてスライダ406に固定されているロックナット弛緩機構438を介して、ねじ軸410はスライダ406に固定される。
図27はダブルナットロック機構がアンロック状態となってスライダ406を下送りしているときのねじ軸に対するめねじ送りナットとロックナットとの関係を表した一実施例部分拡大図を示している。
図27において、紙面上側から見てロックナット436がクランプ片437を介して反時計周りに僅かに回転させられ、ロックナット弛緩機構438がアンクランプの状態にある。このときロックナット436のねじ溝とねじ軸410のねじ山とが中立状態に位置され、紙面上側から見てねじ軸410が時計周りに回転すると、ねじ軸410のねじ山の下側がめねじ送りナット411のねじ溝の下側と当接しながら、スライダ406を下送りする。
図28はダブルナットロック機構がアンロック状態となってスライダ406を上送りしているときのねじ軸に対するめねじ送りナットとロックナットとの関係を表した一実施例部分拡大図を示している。
図28において、紙面上側から見てロックナット436がクランプ片437を介して反時計周りに僅かに回転させられ、ロックナット弛緩機構438がアンクランプの状態にある。このときロックナット436のねじ溝とねじ軸410のねじ山とが中立状態に位置され、紙面上側から見てねじ軸410が反時計周りに回転すると、ねじ軸410のねじ山の上側がめねじ送りナット411のねじ溝の上側と当接しながら、スライダ406を上送りする。
図29は差動機構付ボールねじ機構の一実施例構造説明断面図を示している。なお、差動機構付ボールねじ機構については、前述の本出願人による特開2002−144098号公報(特許文献2)に公開されている。
図24で用いられている差動機構付ボールねじ機構419は、図29図示の構造を備えており、差動機構付ボールねじ機構419は、ボールねじ軸418と複数のボール450とナット部材451とからなるボール軸受を備え、更に可動部材452と差動部材453と受け部材454とを有するボール軸受位置調整手段を備えている。
ナット部材451は、ボール450を介してボールねじ軸418とボールねじ係合すべくその孔部にボール溝455が設けられており、ボール450を介してのボールねじ軸418とナット部材451とのボールねじ係合によって、上型407の正確で高精度な位置制御ができるようになっている。
ナット部材451の下端部には、ボール軸受位置調整手段に属する所の、中心部にボールねじ軸418を貫通させるための孔が設けられた可動部材452が固定されている。当該可動部材452と、中心部にボールねじ軸418を貫通させるための孔が設けられ、かつ上端面に傾斜面456が形成されている受け部材454との間に、中心部にボールねじ軸418を貫通させると共に自身の摺動を可能にするに足る孔を備えた差動部材453が設けられている。そして当該差動部材453はその下端面が受け部材454に形成されている傾斜面456と同じ傾斜角で逆向きの傾斜面が形成されていて、差動部材453が、図面左右方向(図29のAの矢印両方向)に摺動し、可動部材452を介してナット部材451が垂直方向(図29のBの矢印両方向)にのみ移動するようになっている(図29ではナット部材451が垂直方向にのみ移動する拘束機構は図示省略されている)。
差動部材453を上記図面左右方向に移動させるためのねじ部457をサーボモータや手動で回転させ、ナット部材451を垂直方向に微小距離移動させることにより、ボールねじを構成するボール450とボール溝455との線接触又は点接触で係合するボールねじにあって、荷重時常に同一位置での線接触又は点接触で係合することから生じるボール450やボール溝455の局部的な磨耗を回避することができる。
即ち、上型407が最下点に達した時点で上型407を更に降下させようとする最大荷重が生じるが、同じ上型407及び同じ下型420と、同じ被加工物422とを用いてプレス加工を続けると、当該最大荷重におけるボールねじ軸418とボール450とナット部材451のボール溝455は、同じ決まった位置関係の下でボールねじ軸418とボール450とが局部的に接触し、この接触部に局部的に磨耗が生じる。当該差動機構付ボールねじ機構419を用い、各プレス加工の都度、或いは所定回(例えば5回程度)の各プレス加工の都度、差動部材453を矢印A両方向に挿入し、或いは排出することによって、最大荷重での上述のボールねじ軸418とボール450とナット部材451のボール溝455との位置関係が僅かにズレてゆくことになり、磨耗が防止される。差動部材453を挿脱する状況は、1回の挿入で、径10mm程度のボール450の大径上で上記の接触部が2μm程度ずつズレてゆくようなものである。このようにすれば、差動部材453が約15700回挿入することによって、接触点がボール450の大径上を一周する。
なお、図24に示された場合、2つのスライダ405、406を備えているので、スライダ406の停止位置、即ち上型407が上限待機位置にあるときのスライダ405とスライダ406との間隔を極僅か変えることにより、上記ボールねじ軸418とボール450とナット部材451のボール溝455との位置関係を変えることができ、そしてプレス加工時の荷重時にナット部材451のボール溝455は、その加工開始位置が替わり、ナット部材451の耐久性が確保されるが、必ずしもボール軸受位置調整手段を必要とするものではない。
図30は図24に対応する電動プレス加工機の変形例についての上型の移動機構部の一実施例拡大説明図を示しており、図24、図25と同じものは同一の符号が付されている。
図30において、図示省略のベースと支持板402と複数のガイド柱403とで形成された枠体404の内部には、スライダ460が設けられ、スライダ460の四隅に、ガイド柱403と係合しガイド柱403の軸方向にスライダ460が自在に摺動する摺動穴がそれぞれ設けられている。
支持板402の上面には、例えば2つ又は4つなど複数個の取り付け台461が設けられており、各取り付け台461には、減速機416を介して(当該減速機416は省略してもよい)エンコーダを内蔵した早送り用のサーボモータ409が取り付けられている。
以下に説明する上記複数個の取り付け台461に取り付けられた各早送り用のサーボモータ409に関連する構成・構成部品は全く同じものであるので、その1つについて説明することにする。
スライダ460の上面に取り付けられた取り付け台461を貫通した早送り用のサーボモータ409の出力軸462は、ボールねじ軸(第3のねじ軸)463の先端部にカップリング464を介して連結されている。支持板402に設けられた孔465には、ベアリングホルダ466を介してボールねじ軸463に嵌め込まれたベアリング467が取り付けられ、早送り用のサーボモータ409によって駆動されるボールねじ軸463が回転自在に支持板402に取り付けられている。
支持板402にはロック機構468が設けられている。このロック機構468は、図3に示すロック機構と同様の構造をもっており、ボールねじ軸463に固定された歯車439と当該歯車439と噛み合う歯車片441を有するソレノイド440で構成されている。このロック機構468が働くと、歯車片441が歯車439の歯と噛み合うこととなり、ボールねじ軸463が支持板402に固定され、ボールねじ軸463と支持板402とが一体化し、ボールねじ軸463が回転することができないようになる。
スライダ460の上面には内部が中空469の支持体470が固着されている。この支持体470の中空469には、スライダ460に設けられた孔472と共に中央にボールねじ軸463を自在に回転させるに足る孔473を有し、上下2つのスラスト荷重用のベアリング474、475でボールねじ軸463を中心軸として回転自在に設けられたウォームホイール476と、ウォームホイール476に噛み合うウォーム477が固定されたエンコーダ内蔵の加圧用のサーボモータ478とが設けられている。ウォームホイール476の上部には、ボールねじ軸463と螺合する、内部にボールとナット部材を備えたボールねじ機構479が回転自在に支持体470の天井部に突出する形態で固定されている。
加圧用のサーボモータ478が停止していると、加圧用のサーボモータ478の出力軸に固定されたウォーム477とウォームホイール476との噛み合いで、当該ウォームホイール476の上部に固定されたボールねじ機構479は、スライダ460と一体化するので、早送り用のサーボモータ409の正回転・逆回転によりボールねじ軸463が駆動され、ボールねじ軸463に螺合されているボールねじ機構479、ウォームホイール476、2つのベアリング474、475、支持体470などで構成される連結機構(第3の連結機構)471を介してスライダ460が上昇或いは降下し、早送り用のサーボモータ409の回転制御でスライダ460を往復運動させることができる。
また、ロック機構468が作動し、ボールねじ軸463が支持板402と一体化した状態の下で、加圧用のサーボモータ478が正回転・逆回転すると、ウォームホイール476とボールねじ機構479とで構成される回転部が、静止状態にあるボールねじ軸463を介して回転し、スライダ460を上昇或いは降下させる。即ち加圧用のサーボモータ478の回転制御でスライダ460を往復運動させることができる。
早送り用のサーボモータ409の停止後ロック機構468をロックしてボールねじ軸463を支持板402に固定させるのは、上型407が下型420に載置された被加工物422をプレスする際に生じる反力で、スライダ460を上向きに移動させようとする働きによりボールねじ軸463を回転させようとするが、上記説明のボールねじ軸463と支持板402との一体化により、ボールねじ軸463はその回転が阻止されるので、スライダ460は上向きに移動することはなく、スライダ460の上向きへの移動を阻止させるためである。つまり上型407は被加工物422に所定のプレス荷重を付与することができる。
図示省略されているが、スライダ460の下端面には上型407(図24参照)が取り付けられ、またベース401(図24参照)にはこの上型407に対応する位置に下型420(図24参照)が設けられている。そしてベース401と支持板402との間に、スライダ460の位置を検出するパルススケール421が4つのガイド柱403に沿ってそれぞれ取り付けられ、上型407と下型420に載置された被加工物422(図24参照)との接触位置を検出すると共に、上型407の上限待機位置及び下限降下位置を検出するようになっている。
各早送り用のサーボモータ409及び加圧用のサーボモータ478の各回転を制御し、そしてボールねじ軸463を支持板402に固定させ或いはその解除をさせるロック機構468を制御する制御装置(第2の制御装置)480は、予め各種の設定値が入力されるようになっている他、スライダ460の位置検出をするための、即ち上型407の位置検出をするためのパルススケール421が検出する位置信号を受け入れる。そして当該制御装置480は、上限待機位置にある上型407が下型420に載置された被加工物422と接触する直前の時点までは、早送り用のサーボモータ409によるボールねじ軸463の回転及び必要に応じて加圧用のサーボモータ478による連結機構471の上記回転部の回転を介して上型407を急速に降下させる。早送り用のサーボモータ409の停止後に直ちにロック機構468をロックさせて支持板402とボールねじ軸463とを固定させ、上型407が被加工物422と接触した時点あるいは接触する直前の時点から上型407が予め定められた下限降下位置(図24の上型407の想像線位置(407))まで降下する時点までは、上型407の降下を、支持板402とボールねじ軸463との固定の下で連結機構471の回転部の回転によるスライダ460を介して上記の急速降下速度にくらべて減速させて降下する。この場合制御装置480は、支持板402とボールねじ軸463との固定の下で加圧用のサーボモータ478をトルク付加モードにして、上型407が下型420に載置された被加工物422を押圧し、被加工物422を所定の形状にプレス加工を行うようにする。そして上型407が下限降下位置に到達後は、ロック機構468のロックを解除し、支持板402とボールねじ軸463との固定開放の下で早送り用のサーボモータ409と加圧用のサーボモータ478との両方を用いてスライダ460を介して上型407を元の上限待機位置まで急速に上昇させる制御を行わせるようになっている。
なお、ボールねじ機構479は、図29で説明した差動機構付ボールねじ機構419のボール軸受位置調整手段を備えていない構造であるので、その説明は省略している。このボール軸受位置調整手段を備えていない構造のボールねじ機構479を用いたのは、ロック機構468をロックさせて支持板402とボールねじ軸463とを固定させた下で、加圧用のサーボモータ478の回転でウォームホイール476を極僅か回転させ、ボールねじ軸463とボールねじ機構479との噛み合わせ位置関係を変えることができるからである。ボールねじ機構479に替え、図29で説明したボール軸受位置調整手段を備えた差動機構付ボールねじ機構419と同様の機能を備えたものを用いることも勿論できる。これについては後の図31で説明する。
図31は電動プレス加工機の上型の移動機構部の他の実施例拡大説明図である。
図31において、図30と同じものは同一の符号が付され、基本的に図30と同じ構成になっており、図30のものと異なるところは、図29で説明した差動機構付ボールねじ機構419が、ボールねじ機構479とボール軸受位置調整手段481とに分離されて、ボール軸受位置調整手段481がスライダ460とベース盤482との間に設けられている点と、ボールねじ機構479のナット部材(図29のナット部材451参照)の内部構造の点である。
図31のボールねじ機構479のナット部材の内部構造は、図31図示の如く、ボールねじ軸463のボール溝に配置されたボールは、ボールねじ軸463やボールねじ機構479の回転によってその下方のボール溝から上方のボール溝に循環されるようになっており、このボールの循環により当該ボールの局部的な集中的磨耗に対する回避が行われる。
また、ボール軸受位置調整手段481がスライダ460とベース盤482との間に設けられているので、ねじ部457を回すことにより、差動部材453が図面左右方向に移動する。従って支持体470を取り付けているベース盤482を介しボールねじ機構479のナット部材が垂直方向に微小距離移動する。これによりプレス加工の荷重時にボールねじ機構479のナット部材におけるボール溝は、ボールねじ軸463のボール溝に配置されたボールとの当接する位置が変化し、即ちプレス加工の荷重時におけるボールねじ機構479のナット部材におけるボール溝がボールに当接する位置が変わり、毎回毎回同一位置にボールが当接する図30のものに比べ、ボールねじ機構479のナット部材の耐久性が確保される。
以下図面を参照しながら本発明の更に他の実施例について説明する。図32に本発明の実施例によるプレス装置を要部断面正面図で示している。図で、ベース510が床面上に固定されていて、ベース510に垂直に立てられたガイド柱520によって支持板530が保持されている。ベース510と支持板530との間にガイド柱520に沿って往復動することができるスライダ540が設けられており、スライダ540とベース510との間に成形空間がある。この成形空間では、ベース上に成型用の固定金型(下型)が、スライダの下面に固定金型に対応する可動金型(上型)が取り付けられており、これら両金型の間に例えば被成形板を入れて成形するようになっている。
スライダ540は、支持板に取り付けた駆動モータ(早送り用のサーボモータ)550によって支持板530に対して駆動させることができる往復駆動手段によって、ベース510と支持板530との間でガイド柱520に沿って往復運動させられる。クランク軸551が支持板530上に立てられた1対の支持部材535、535間に軸受を介して回転可能に設けられ、クランク軸551は連接棒552を介して支持板530を貫通して設けられたクイル553と接続している。駆動モータ550は一方の支持部材535に取り付けられており、その回転が減速機を介してクランク軸551に伝わるようになっている。クイル553の下端部には第一のねじ(第一のねじは、本実施例ではおねじなので、以下「おねじ」と呼ぶ)554が設けられている。そのおねじ554と螺合している第二のねじ(第二のねじは、本実施例ではめねじなので、以下「めねじ」と呼ぶ)561を内周面に持った大歯車562がスライダ540内に軸受によって回転可能に保持されている。大歯車562はスライダ540に対してその中心軸の周りにのみ回転して、その軸方向には動かないので、駆動モータ550によってクランク軸551が回転したときにスライダ540はガイド柱520に沿って往復運動する。
スライダ540内には、めねじ561を持った大歯車562と係合している他の歯車(「小歯車」という)563が軸受で支持されて、回転可能に設けられている。その小歯車563は、前記大歯車562よりも歯数を少なくして、小歯車563の回転が大歯車562に減速して伝わるようになっていることが好ましい。
支持板530には、前記クランク軸551を回転させるための駆動モータ550とは別に駆動モータ(加圧用のサーボモータ)570が取り付けられていて、その駆動モータ570の駆動軸に取り付けられた小歯車572を回転させる。支持板530にはこの小歯車572と係合している大歯車573が回転自在に取り付けられている。駆動モータ570の回転が小歯車572から大歯車573に減速されて伝わる。この大歯車573はスライダ540に設けられた小歯車563と同軸に位置しており、これら歯車の間に渡された回転軸580によって大歯車573からスライダ540の小歯車563へ回転が伝わるようになっている。このように駆動モータ570とスライダ540に設けられた大歯車562との間あるいはスライダ540に設けているめねじ561との間に回転伝達機構が構成されている。
スライダ540に設けられた小歯車563は前記回転軸580に固定されており、小歯車563が回転軸580とともに回転するようになっている。しかし、支持板530に設けられている大歯車573に対して回転軸580はスプラインあるいは滑りキーなどで取り付けられており、回転軸580は大歯車573とともに回転はするが、軸方向には大歯車573に対して自由に移動することができるようになっている。スライダ540は、クランク軸551の回転あるいはスライダに設けた大歯車562の回転によってベース510と支持板530との間で上下に動くので、その動きに伴ってスライダ540に取り付けた小歯車563と支持板530に取り付けられている大歯車573との間隔が変化する。支持板530に設けた大歯車573と回転軸580との間は軸方向に自由に移動することができるので、スライダ540が支持板530に対して上下動をしても駆動モータ570の回転をスライダ540の小歯車563に伝えることができる。
支持板530に取り付けられた駆動モータ570の回転によってその小歯車572が回転し、その回転が回転軸580を介してスライダ540に取り付けられた大歯車562に伝わる。大歯車562の回転によって、その大歯車内周に付けられためねじ561がクイル553に対して上下動して、スライダ540が上下動する。駆動モータ570とスライダ540の大歯車562との間では大きな減速比となっているので、駆動モータ570の回転が大幅に減速されてスライダ540の上下動となる。そのためにスライダを上下に動かす力はその減速比の逆数倍に増大されてワークに対する加圧力を大幅に増大させ得る。その結果駆動モータ(加圧用のサーボモータ)を小容量のものとすることができる。
図示していない駆動制御装置から駆動モータ550に所定の駆動信号を供給してクランク軸551を回転させるとスライダ540は図33に示す初期高さH0(上止点)から定点加工高さHの近傍の高さH1(下止点)まで降下する。この位置で、駆動モータ550に所定の駆動信号を供給して作動させて、スライダ540の大歯車562をクイル553に対して回転させると、スライダ540が高さH1から定点加工高さHまで降下しワークに当接する。これにより、金型を介して予め設定された押圧力でワークに対する定点加工が行われる。
降下終了後まず駆動モータ570を逆回転させてスライダ540を定点加工高さHから高さH1まで上昇して、駆動モータ550の回転によってスライダ540を上止点まで上昇させる。あるいは、まず駆動モータ550を回転させてスライダ540を図33の鎖線のように動かすこともできる。
加工時にスライダ540を高さH1から定点加工高さHまで降下させ、降下終了後スライダ540を定点加工高さHから高さH1まで上昇させるために駆動モータ570を所定回数あるいは所定角度回転させる。駆動モータ570の回転を正確に制御するには、駆動モータ570にロータリーエンコーダ571を取り付けておき、その回転数あるいは回転角度を測定しながらその回転量を制御することが望ましい。
上記実施例では往復駆動装置としてクランク軸の回転によってスライダを上下に移動させた構成としていたが、クランク軸に代えて、トグル機構などを用いることができる。
このように本発明のプレス装置では、第1のモータと第2のモータとの組に対して1つだけもうけられる位置検出器からの信号を利用しつつ、早送り用のサーボモータ(第1のモータ)と加圧用のサーボモータ(第2のモータ)とを制御することができる。
更に固定された支持板にスライダの加工ストロークを変える差動機構が設けられている構造を備え、その上、スライダを上下動の往復運動をさせるに当たって、少なくとも被加工物のプレス成形加工完了後から降下前の元の位置に復帰するまでの押圧子の上昇の際には、第1のモータと第2のモータとのスライダを駆動する2つのモータを並列的に駆動する形態で協調駆動させ、スライダを上下動の往復運動をさせる制御を行うようにしたので、そして第2のモータを支持板に配置したプレス装置では、スライダの軽量化によるスライダの慣性を小さくなるようにしたので、スライダの上下動を俊敏に制御でき、プレス加工の1サイクルに要する時間が短縮化され、高効率のプレス装置となる。

Claims (15)

  1. ベース、
    ベースに立設された複数のガイド柱を介しベースに対して平行に保持されている支持板、
    ガイド柱を摺動しベースと支持板との間で上下動することができるスライダ、
    支持板に取り付けられて前記スライダを上下に早送りする早送り用の第1のモータ、
    スライダを上下に移動させて被加工物をプレス加工する加圧用の第2のモータを有するプレス装置において、
    前記第1のモータの回転軸に取り付けられていると共に第1のモータの回転によってスライダをベースに対して駆動させるねじ軸、
    前記ねじ軸に設けられたボールねじ部と螺合するボールねじナットと、
    前記ねじ軸と支持板とを一体化するロック装置と、
    入力軸を備え、ロック装置で前記ねじ軸と支持板とが固定されているとき、前記入力軸から入力された回転トルクでねじ軸に対しボールねじナットを正逆回転可能に構成され、かつボールねじナットをスライダに固定可能に構成されてなるスライダ移動機構と、
    前記入力軸を介しスライダ移動機構に回転トルクを付与する正転・逆転可能な前記第2のモータと、
    前記第1のモータと第2のモータとの組に対してもうけられる位置検出器であって、スライダの位置を検出する位置検出器と、
    を備えていることを特徴とするプレス装置。
  2. 前記位置検出器の位置検出信号に基づいて、第1のモータと、第2のモータと、前記駆動源と、ロック装置とに対して各制御信号を与え、
    スライダの下面に取り付けられた押圧子がベースに載置された被加工物に接触する時点又は接触する直前の時点までのスライダの降下と、
    プレス成形加工時の降下と、
    降下前の元の位置までの上昇と、
    ロック装置のロック作動およびその開放と
    を制御させて、
    スライダの下面に取り付けられた押圧子で、被加工物をプレス加工させるように制御する制御装置を
    備えていることを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  3. 前記制御装置が、プレス加工の1サイクルにおいて、少なくとも被加工物のプレス成形加工完了後から降下前の元の位置までに復帰する押圧子の上昇の際、第1のモータと第2のモータとを並列駆動する協調駆動をさせ、スライダを上下動させる制御を行うことを特徴とする請求項2記載のプレス装置。
  4. 前記第2のモータがスライダに設けられ、第2のモータの回転軸とスライダ移動機構の前記入力軸とが結合されていることを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  5. 前記第2のモータが支持板に設けられ、かつ第2のモータとスライダ移動機構との間に、前記駆動源のモータの回転軸の方向をスライダ移動機構の前記入力軸と同方向に軸変換する軸変換手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  6. 前記スライダ移動機構が、天板及び底板を有し、天板及び底板の中央部に孔部が形成されスライダに固着された支持枠体を備えると共に、支持枠体内には、天板及び底板にそれぞれ固着された2つのスラスト軸受、この2つのスラスト軸受で挟持されると共に中央部にボールねじ部を自在に回転させ上下動させるに足る通孔を有しかつ上部と下部とにそれぞれ円筒状軸心部が形成されたところのボールねじナットに固着され前記穴部に嵌め込まれてなるウォームホイール、ウォームホイールと噛み合うウォームギヤ、及びウォームギヤを固着している入力軸を具備してなることを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  7. 第1のモータと第2のモータとの組が、前記スライダを上下動するために、複数組もうけられ、
    当該複数組の夫々が、互いに独立して駆動制御され、前記スライダを協調して上下動する
    ことを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  8. 駆動源による駆動によってねじ軸を支持板に対して上下移動させる差動機構をそなえ、
    当該差動機構は、
    第1のねじを外面に持つとともに前記ねじ軸を回転自在に保持している通孔を前記第1のねじと同軸に持っている差動円筒と、
    支持板に設けられているとともに差動円筒の前記第1のねじを螺合させて差動円筒を保持している第2のねじと、
    支持板に取り付けられていて、差動円筒を支持板およびねじ軸とに対して回転させる駆動源と
    を備えていることを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  9. 前記差動機構は、前記差動円筒と一体になった歯車と、駆動源の回転軸に取り付けられたウオームギアと、そのウオームギアと差動円筒の歯車との間で動力を伝達させる手段とを有することを特徴とする請求項8記載のプレス装置。
  10. 駆動源による駆動によってねじ軸を支持板に対して上下移動させる差動機構をそなえ、
    当該差動機構は、スライダの移動方向と交差する面で分割されて形成されてなる可動体で構成され、
    当該可動体が、上記スライダの移動方向に対向する第1の可動体と第2の可動体とを備えると共に、第1の可動体と第2の可動体との間にもうけられて挿入方向あるいは抽出方向に駆動される楔状の傾斜面をもつ差動部材を備えてなり、
    かつ当該差動部材を上記挿入方向あるいは抽出方向に駆動する動力伝達手段を有することを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  11. 前記プレス装置は、
    ベースと支持板と複数のガイド柱とで形成された枠体と、
    下端面に上型が取り付けられると共にガイド柱を自在に摺動するスライダと、 左回り又は右回りのいずれか一方のねじ山の上おねじ部とその残りの他方のねじ山の下おねじ部とを有するねじ軸を介し、支持板に設けられた早送り用のモータの回転でスライダを上下動させる、下おねじ部と螺合する連結機構と、
    ねじ軸の上おねじ部と螺合し、支持板に回転自在に軸支されたねじ機構と、
    ねじ機構に固着されたウォームホイールと、
    該ウォームホイールと噛み合うウォームを備えると共に、上おねじ部と螺合したねじ機構を回転させることによりねじ軸を上下動させる、支持板に設けられた加圧用のモータと、
    上型に対応する位置にベースに設置された下型と、
    上型の位置を検出する位置検出器と、
    位置検出器が検出する位置信号を基に、上型が下型に載置された被加工物と接触する時点又は接触する直前の時点までは、少なくとも早送り用のモータの回転を介して上型を急速に降下させ、上型が被加工物と接触する時点又は接触する直前の時点から上型が予め定められた下限降下位置まで降下するまでは、加圧用のモータの回転によるトルク付加モードで上型を降下・押圧させる制御を行わせ、上型が下限降下位置に到達後は早送り用のモータ及び加圧用のモータの回転を介して上型を急速に上昇させる制御装置と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  12. 前記プレス装置は、
    ベースと支持板と複数のガイド柱とで形成された枠体と、
    下端面に上型が取り付けられると共にガイド柱を自在に摺動するスライダと、 左回り又は右回りのいずれか一方のねじ山の上おねじ部とその残りの他方のねじ山の下おねじ部とを有するねじ軸を介し、支持板に設けられた早送り用のモータの回転でスライダを上下動させる、下おねじ部と螺合する連結機構と、
    ねじ軸の上おねじ部と螺合し、支持板に回転自在に軸支されたねじ機構と、
    ねじ機構に固着されたウォームホイールと、
    該ウォームホイールと噛み合うウォームを備えると共に、上おねじ部と螺合したねじ機構を回転させることによりねじ軸を上下動させる、支持板に設けられた加圧用のモータと、
    ねじ軸の回転を阻止するロック機構と、
    上型に対応する位置にベースに設置された下型と、
    上型の位置を検出する位置検出器と、
    位置検出器が検出する位置信号を基に、上型が下型に載置された被加工物と接触する時点又は接触する直前の時点までは、少なくとも早送り用のモータの回転を介して上型を急速に降下させ、上型が被加工物と接触する時点又は接触する直前の時点から上型が予め定められた下限降下位置まで降下するまでは、加圧用のモータの回転によるトルク付加モードで上型を降下・押圧させると共に、上型が下型に載置された被加工物と接触する直前までにはねじ軸の回転を阻止するロック機構を作動させる制御を行わせ、上型が下限降下位置に到達後はロック機構の解除の下で早送り用のモータ及び加圧用のモータの回転を介して上型を急速に上昇させる制御装置と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  13. 前記プレス装置は、
    ベースと支持板と複数のガイド柱とで形成された枠体と、
    下端面に上型が取り付けられると共にガイド柱を自在に摺動する第1のスライダと、
    支持板と第1のスライダとの間に設けられガイド柱を自在に摺動する第2のスライダと、
    支持板に設けられた第1のモータによって正回転・逆回転駆動される早送り用の第1のねじ軸を介し、第2のスライダを上下動させる第1の連結機構と、
    第2のスライダに設けられた第2のモータによって正回転・逆回転駆動される第2のねじ軸を介し、第1のスライダを上下動させる第2の連結機構と、
    第2のスライダと第1のねじ軸とを固定するロック機構と、
    上型に対応する位置にベースに対応して設置された下型と、
    上型と下型に載置された被加工物との接触位置を検出すると共に、上型の上限待機位置及び下限降下位置を検出する位置検出器と、
    位置検出器が検出する位置信号を基に、上型が下型に載置された被加工物と接触する時点又は接触する直前の時点までは、少なくとも第2のスライダを介して上型を急速に降下させ、上型が被加工物と接触した時点あるいは接触する直前の時点でロック機構を介して第2のスライダと第1のねじ軸とを固定させ、上型が被加工物と接触した時点あるいは接触する直前の時点から上型が予め定められた下限降下位置まで降下する時点までは、上型の降下を第1のスライダを介して減速し、第2のモータをトルク付加モードで上型が下型に載置された被加工物を押圧する制御を行わせ、上型が下限降下位置に到達後は第1のスライダ及び第2のスライダを介して上型を急速に上昇させる第1の制御装置と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  14. 前記プレス装置は、
    ベースと支持板と複数のガイド柱とで形成された枠体と、
    下端面に上型が取り付けられると共にガイド柱を自在に摺動するスライダと、
    支持板に設けられた第1のモータによって正回転・逆回転駆動されるねじ軸を介し、スライダを上下動させる回転部を備えた第3の連結機構と、
    支持板とねじ軸とを固定するロック機構と、
    スライダに設けられ、第3の連結機構の回転部を正回転・逆回転させると共に、第3の連結機構の回転部の正回転・逆回転を介しスライダを上下動させ、さらにスライダと第3の連結機構の回転部との固定が可能な加圧用の第2のモータと、
    上型に対応する位置にベースに対応して設置された下型と、
    上型と下型に載置された被加工物との接触位置を検出すると共に、上型の上限待機位置及び下限降下位置を検出する位置検出器と、
    位置検出器が検出する位置信号を基に、上型が下型に載置された被加工物と接触する時点又は接触する直前の時点までは、少なくとも第1のモータによるねじ軸の回転を介して上型を急速に降下させ、第1のモータの停止後直ちにロック機構を介して支持板とねじ軸とを固定させ、上型が被加工物と接触した時点あるいは接触する直前の時点から上型が予め定められた下限降下位置まで降下する時点までは、上型の降下を、支持板とねじ軸との固定の下で第3の連結機構の回転によるスライダを介して減速し、支持板とねじ軸との固定の下で第2のモータのトルク付加モードで上型が下型に載置された被加工物を押圧する制御を行わせ、上型が下限降下位置に到達後は、スライダとねじ軸との固定開放の下でスライダを介して上型を急速に上昇させる第2の制御装置と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  15. ベース、
    ベースに立設された複数のガイド柱を介しベースに対して平行に保持されている支持板、
    ガイド柱を摺動しベースと支持板との間で上下動することができるスライダ、
    支持板に取り付けられて前記スライダを上下に早送りする早送り用の往復駆動手段、
    前記スライダを上下に移動させて被加工物をプレス加工する加圧用のモータを有するプレス装置において、
    前記加圧用のモータの回転を検出するモータ用エンコーダと、前記スライダの移動を計測する所の位置検出器とをそなえ、
    往復駆動手段に設けられた第1のねじと、
    スライダに設けられ前記第1のねじと螺合した第2のねじと、
    前記支持板に取り付けられた前記加圧用のモータと、
    加圧用のモータと前記第2のねじとを接続していて加圧用のモータの回転を第2のねじに伝える回転伝達機構とを備え、
    前記往復駆動手段によって前記スライダを当該往復駆動手段の移動終点近傍まで動かして、前記第2のねじを第1のねじに対して回転させることによりスライダとベースとの間に加圧力を生じさせることを特徴とするプレス装置。
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