JP4372336B2 - 微細球状無機質粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、微細球状無機質粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体産業においては、半導体の高集積化が進むにつれ、チップの封止材の高性能化が求められ、特に電気絶縁性、低膨張率、熱伝導性などの機能が要求されている。この要求を満たすため、合成樹脂、特にエポキシ樹脂に、溶融シリカやアルミナといった無機質粒子を充填し対応しているが、、封止する時の高流動性や低金型摩耗性などの性能を発現すべく1〜100ミクロンの球状無機質粉末、及び平均粒径0.1〜5ミクロンの微細球状無機質粉末とが併用されている。
【0003】
こういった平均粒径0.1〜5ミクロンの微細球状無機質粉末の製造方法として、主として金属粉末を火炎中に投じて酸化反応させながら球状化する製法があるが、瞬間的な反応であるため、未反応成分が残りやすく、粒径もコントロールしにくい等、品質的に安定した超微粉が得られにくいうえに、金属粉末を扱う安全管理が難しいという問題があった。
【0004】
また、特開平9−278463号公報には、無機質粉末のスラリーを準備し、液滴状にし加熱溶融し微細球状無機質粉末を得る製法があるが、一般的に微細な無機質粉末スラリーはある濃度を超えると溶液中で凝集体を形成するため、このまま加熱溶融しても、凝集体のまま球状化され目的粒度の微細球状無機質粉末は得られない。したがって、高濃度のスラリーでは製造できず、用いられる熱量のほとんどは溶媒を気化させるのに使用されるので非効率であり、量産技術としてはほど遠い方法であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる課題を解決したものであり、その目的は、半導体封止材として用いられる微細球状無機質粉末を効率よく、品質的に安定して製造できる方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、微細無機質粉末を高温下火炎中に水系スラリーで供給し、微細球状無機質粉末を製造する方法において、上記微細無機質粉末の平均粒径が0.1〜5ミクロンであり、上記水系スラリーに、側鎖にアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸を、上記微細無機質粉末に対して0.1〜15%を存在させることを特徴とする微細球状無機質粉末の製造方法である。この場合において、側鎖にアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸が、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル−マレイン酸共重合体であり、微細無機質粉末が、溶融シリカ、結晶シリカ、水酸化アルミニウム又はアルミナの粉末であり、微細球状無機質粉末が、溶融シリカ又はアルミナの粉末であることが好ましい。
【0007】
【発明実施の形態】
以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0008】
本発明が目的としている微細球状無機質粉末は平均粒径が0.1〜5ミクロンの粉末である。これは、1〜100ミクロンの球状無機質粉末に添加した際に半導体封止材用途としての高流動性を最も実現できる範囲である。この微細球状無機粉末は頻度粒度分布において1つ又は2つ以上の極大値を持つものであることが好ましい。
【0009】
本発明が対象としている微細球状無機質粉末の材質としては、シリカ、アルミナ、ムライト等、火炎によって軟化、球状化できるものである。中でも、半導体封止材用としては、溶融シリカ又はアルミナが好ましい。この原料としては、上記材質が高温下で得られるものであれば何でもよく、例えば溶融シリカであれば、溶融シリカ粉末または結晶シリカ粉末等であり、アルミナであればアルミナ粉末または水酸化アルミニウム粉末等が挙げられる。
【0010】
本発明においては、高濃度スラリーの供給を実現するべく、側鎖にアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸(以下、単に「ポリカルボン酸」という。)を水系スラリースラリに存在させる。ポリカルボン酸の市販品には、花王株式会社製「ポイズ532A」、日本油脂株式会社製「AKM−0531」、「HKM−50A」、「AKM−3011−60」などがある。
【0011】
ポリカルボン酸は、無機質粉末表面に存在する水酸基に溶液中の水を介し吸着し、粒子同士の電気的反発を起こさせるとともに、側鎖による立体障害によって水系スラリー中の粉末を分散させる。この作用は、ポリカルボン酸のカルボキシル基量、分子量、分子の立体配置によって決定される。
【0012】
ポリカルボン酸は、一般的にはナトリウム塩等の金属イオン塩、又はアンモニウム塩の形態で中和されているが、これらは火炎投入後にナトリウムイオンや硝酸イオンとなって無機質粉末表面に吸着し半導体封止材としては耐湿信頼性を低下させる。したがって、使用するポリカルボン酸は未中和であることが好ましい。
【0013】
ポリカルボン酸の添加量は、水系スラリー中の無機質粉末に対して0.1〜15%、特に1〜10%であることが好ましい。0.1%未満では、粉末の分散効果が乏しくなって火炎供給時に肥大化してしまい、目的粒度の微細球状粉末が得られず、また15%超にしても分散効果は高まらない。
【0014】
無機質粉末の水系スラリーを構成する媒体は、工業用水でもよいが、イオン交換水、純水等の上質水が好ましい。
【0015】
水系スラリーの無機質粉末濃度は、特に制限はなく、ポリカルボン酸を存在させることによって、70%程度までに高めても目的粒度の微細球状無機質粉末を製造することができる。しかしながら、あまりの高濃度スラリーであると、火炎供給時に粉末同士の接触が起こって肥大化するため、30〜50%が最適である。
【0016】
無機質粉末の水系スラリーの高温火炎処理は、例えば高圧の酸素、空気によってスラリーを液滴状にし、溶融炉に、可燃性ガス−助燃ガスによって形成された温度約1900℃以上の高温火炎中に噴霧することによって行われる。可燃性ガスとしては、プロパン、ブタン、アセチレン、水素等が用いられ、助燃ガスには酸素、空気が用いられる。噴霧の方法としては、二流体ノズルなどのスプレー噴霧方式や、超音波噴霧器等が用いられる。
【0017】
熱処理された無機質粉末は、溶融炉に接続された捕集装置で回収される。捕集装置は、重力沈降室、サイクロン等の一次捕集機で10μm以上の粗粉が除去された後、目的とする微細球状無機質粉末をバグフィルター等の集塵機で回収できるように構成されていることが好ましい。しかし、熱処理された無機質粉末を一旦補集した後、回転翼を有した分級機等の捕集機で回収することもできるし、更には無機質粉末のスラリー濃度、ポリカルボン酸の量を調整し、一次捕集機を経由させることなく全量をバグフィルター等で回収することも可能である。
【0018】
また、微細無機質粉末における球状の程度に関しては、平均球形度が0.90以上、特に0.95以上が好ましい。0.9より低くなると、金型摩耗性と流動性が低下する。球形度は、走査型電子顕微鏡(日本電子社「JSM−T200型」)と画像解析装置(日本アビオニクス社製)を用い、以下のようにして測定することができる。
【0019】
先ず、粉末のSEM写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとして表示できる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr 2 であるから、B=π×(Pm/2π) 2 となり、個々の粒子の粒径度は、球形度=A/B=A×4π/(PM) 2 として算出することができるので、任意の粒子200個の平均値を粉末の平均球形度として求めた。
【0020】
本発明における粒度特性は、レーザー散乱光法による粒度測定法に基づく値であり、コールター粒度測定器(モデルLS−230;コールター社製)にて測定した。
【0021】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げて更に具体的に本発明を説明する。
【0022】
実施例1〜6 比較例1、2
溶融炉の頂部に燃料ガス供給管、助燃ガス供給管、原料粉末供給管を接続したバーナー(3本)を設置した溶融炉を用い、球状微細無機質粉末を製造した。各バーナーの中心から表1に示される水系スラリーを噴出させて球状化を行った。使用したポリカルボン酸は、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル−マレイン酸共重合体(試薬A)、ポリアクリル酸アンモニウム塩(試薬B)である。また、水系スラリーの噴霧量は90リットル/時と一定にした。
【0023】
溶融炉から排出された粉末はブロワーで吸引し、サイクロンにて10ミクロン以上の粗粒分級した後、バグフィルターで球状微細無機質粉末を捕集した。目的とする球状微細無機質粉末の収率を表2に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
実施例1〜4では高収率であった。比較例1のようにポリカルボン酸を添加しないと低収率であり、粒度も大きい結果となった。比較例2のようにポリアクリル酸アンモニウム塩を用いると、収率は実施例1よりも小さくなった。また、実施例5、6に示すように、シリカ以外の原料を用いてもバグフィルターには目的粒度の球状無機質粉末が高収率で得られた。なお、実施例5において水酸化アルミニウムを用いた場合の収率についてはAl換算での値を示した。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂等の充填材に好適な球状微細無機質粉末を高収率で製造することができる。
Claims (2)
- 微細無機質粉末を高温下火炎中に水系スラリーで供給し、微細球状無機質粉末を製造する方法において、上記微細無機質粉末の平均粒径が0.1〜5ミクロンであり、上記水系スラリーに、側鎖にアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸を、上記微細無機質粉末に対して0.1〜15%を存在させることを特徴とする微細球状無機質粉末の製造方法。
- 側鎖にアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸が、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル−マレイン酸共重合体であり、微細無機質粉末が、溶融シリカ、結晶シリカ、水酸化アルミニウム又はアルミナの粉末であり、微細球状無機質粉末が、溶融シリカ又はアルミナの粉末であることを特徴とする請求項1記載の微細球状無機質粉末の製造方法。
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