JP4371363B2 - 薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池 - Google Patents

薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどの携帯端末機器の需要が急激に拡大しており、これらの機器の小型軽量化および高機能化に伴って、それらの電源として主として用いられるリチウム二次電池のさらなる高エネルギー密度化が要求されている。しかし、現在実用化されているリチウム二次電池に用いられる炭素系負極の容量は理論値に近い値にまで到達しており、より高容量なリチウム二次電池を実現するためには負極材料の新規開発が必須である。
このような中で最近では、高容量リチウム二次電池用の新たな負極材料として、Liと合金化しない材料からなる集電体上に、Liと合金化するSnまたはSn含有合金からなる薄膜を形成し、その薄膜を負極材料として用いる薄膜電極が注目されている(特許文献1、特許文献2参照。)。特許文献1は、集電体である銅板上に、電解めっき法によりSn薄膜を形成するものであり、特許文献2は、電解めっき法により、銅箔上にSn、Zn、Sb、またはそれらを含有する合金を素材とする薄膜を形成するものである。
Liと合金化する金属の中でも、特にSnは従来の黒鉛系負極材料と比較して高いエネルギー密度(994mAh/g)を有するため、次世代の負極材料として注目されている。しかし、実際の薄膜電極にSnを用いた場合は、LixSnの組成式でx=4.4までLiを電気化学的に挿入すると、薄膜の体積が3〜4倍にまで膨張してしまう。かかる体積膨張はリチウム二次電池のサイクル特性の低下を招くことになる。さらに、Snを単独で用いると、Sn自身が触媒能を持つために電解液を分解してしまうという問題もある。
上記問題を解決するために、Sn系の合金薄膜が提案されている(非特許文献1参照。)。非特許文献1には、電解めっき法によりCu箔上に形成されたSn薄膜を、Snの融点付近で熱処理することで、Cu−Sn界面でCu原子とSn原子とが相互拡散した傾斜性構造の薄膜を得ることができると記載されている。即ち、Cu箔上にSnをめっきすることで形成した薄膜をSnの融点付近で長時間熱処理するとCu−Sn界面で原子の相互拡散が起こり、最終的にCu/Cu3Sn/Cu6Sn5/Snもしくはこの組成に近い結晶構造を有するCu−Sn合金が形成される。このとき形成されるCu6Sn5合金はLiを可逆的に吸蔵・脱離可能であり、体積変化もSnと比較して小さく、加えて触媒能を持たないため、上記Sn薄膜特有の問題を解決できる負極材料として期待されている。
特開2001−68094号公報 特開2001−256968号公報 Journal of Power Sources, 107(2002),p.48−55
上記Cu−Sn合金において、リチウムに対する可逆電極としての反応性はCu6Sn5合金が最も高く、可逆電極としての機能は、Cu6Sn5合金の生成度合いによって決定される。しかし、Cu箔中のCu原子と薄膜中のSn原子との反応性が低ければCu6Sn5の生成時の副生成物として可逆電極機能の低いCu3Sn合金が多く生成してしまい、可逆電極としての機能も低下するという問題がある。このことから、リチウム二次電池用の負極材料としてCu−Sn合金を用いるためには、可逆電極機能の高いCu6Sn5合金をいかに効率良く、また純度良く生成するかが問題となる。
そこで、本発明は、Cu6Sn5に代表される、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成された薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いた充放電サイクル特性の高いリチウム二次電池を提供するものである。
本発明の薄膜電極は、集電体上に、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成されてなる薄膜電極であって、前記薄膜中に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素をさらに含有し、前記金属元素の含有量が、前記金属元素とCuとの合計質量の割合で0.1質量%以上20質量%以下であり、前記薄膜のX線回折測定において、前記薄膜中のSnの(101)回折線の強度をIa、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることを特徴とする。
また、本発明の薄膜電極の製造方法は、集電体上に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含むCu合金層を形成する工程と、前記Cu合金層上にSn層またはSn合金層を形成する工程と、前記Cu合金層と、前記Sn層または前記Sn合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱する工程とを含み、前記加熱工程により、前記集電体上に、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜を形成し、前記薄膜のX線回折測定において、前記薄膜中のSnの(101)回折線の強度をIa、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることを特徴とする。
また、本発明の薄膜電極の製造方法は、集電体上に、Sn層またはSn合金層を形成する工程と、前記Sn層または前記Sn合金層の上に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含むCu合金層を形成する工程と、前記Sn層または前記Sn合金層と、前記Cu合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱する工程とを含み、前記加熱工程により、前記集電体上に、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜を形成し、前記薄膜のX線回折測定において、前記薄膜中のSnの(101)回折線の強度をIa、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることを特徴とする。

また、本発明のリチウム二次電池は、上記薄膜電極を負極として用いたことを特徴とする。
本発明の薄膜電極は、集電体上にCu6Sn5に代表される、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成されているので、上記薄膜電極をリチウム二次電池に用いた場合にLiの吸蔵・脱離に伴う体積変化が少なく、可逆電極機能も向上できる。
また、本発明の薄膜電極の製造方法は、集電体上にCu6Sn5に代表される、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を効率よく且つ純度よく生成することができる。
また、本発明のリチウム二次電池は、上記薄膜電極を用いているので、充放電サイクル特性を向上できる。
前述の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者らはCuと合金化する低融点の金属が一定量添加されたCu合金層を集電体上に形成し、さらにその上にSn層またはSn合金層を形成し、これを熱処理することにより、Cu合金とSnまたはSn合金との反応が促進されて、Cu6Sn5に代表される空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜の形成が容易になることを見出し、さらに上記金属間化合物の形成に関与する各種の条件を調整することで、可逆性の高い合金組成を有する薄膜電極を開発するに至った。ここで、上記Cu−Sn系金属間化合物とは、CuとSnを少なくとも含む金属間化合物を意味し、Cu6Sn5に限定されるものではなく、例えば、Cu6-xxSn5あるいはCu6Sn5-xx(ただし、Mは融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を表す。)などの形で表されるように、CuまたはSnの一部が他の元素で置換された化合物も含む。以下、本発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明の薄膜電極の実施の形態を説明する。本発明の薄膜電極の一例は、集電体上に、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成されてなる薄膜電極であって、上記薄膜中に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素をさらに含有し、上記金属元素の含有量が、上記金属元素とCuとの合計質量の割合で0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
上記薄膜電極は、集電体上にCu6Sn5に代表される空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成されているので、上記薄膜電極をリチウム二次電池に用いた場合にLiの吸蔵・脱離に伴う体積変化が少なく、可逆電極機能も高くなる。また、上記薄膜中に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素をさらに含有しているため、熱処理時にCuやSnの拡散が促進され、可逆電極機能が低いCu3Snの生成が防止できる。
上記融点が700℃以下であってSnを除く金属元素としては、例えば、Zn(融点419.6℃)、In(融点156.6℃)、Sb(融点630.7℃)、Pb(融点327.5℃)、Bi(融点271.3℃)などが挙げられる。これらの金属元素は単独で用いても良いし、複数を添加することもできる。
ここで、上記金属元素は、Cu−Sn系金属間化合物中に固溶する形で存在していてもよいし、上記金属間化合物とは別の相の形で薄膜中に存在していてもよい。Cu−Sn系金属間化合物中に固溶する形で存在する場合は、固溶する元素の種類にもよるが、薄膜の均一性が向上し、可逆性や耐久性などの点で優れた特性が期待できる。また、金属間化合物の固溶限が広がり、均一相が形成されやすくなる効果も期待される。
上記金属元素の含有量は、上記金属元素とCuとの合計質量の割合で0.1質量%以上20質量%以下とする必要がある。0.1質量%未満では、Cu3Snなど、上記金属間化合物以外の異相の生成が多くなるからである。一方、20質量%を超えると、充放電に関与しない異相の生成が多くなり、形成される薄膜の特性が損なわれてしまうため、上記金属元素の含有量は20質量%以下とするのがよく、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、上記薄膜の厚さは、10μm以下であることが好ましい。10μm以下であれば薄膜内での原子の相互拡散がより容易となるからである。
上記集電体の材質は、電池内で安定的に存在できる金属であれば特に限定されないが、一般には、Cu、Ni、Fe、Ti、およびそれらの元素を少なくとも1つ含む合金から選ばれる少なくとも1つの金属からなることが好ましい。これらの金属は、電気化学的に不活性であり、物理的・化学的により安定だからである。
また、上記集電体は、複数の金属層からなる積層体で構成することもできる。これにより、集電体と上記Cu−Sn系金属間化合物とが反応しやすい場合でも、集電体と上記Cu−Sn系金属間化合物との間に、集電体と反応しにくい金属層を配置して積層体とすることで、集電体の反応による容量低下や強度低下を防止できる。
上記集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、集電体の強度と可撓性を確保できるからである。
また、上記薄膜のX線回折測定において、上記薄膜中のSnの(101)回折線(2θ=30.644deg)の強度をIa、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線(例えば、Cu6Sn5では、2θ=30.092deg)の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることが好ましい。
上記薄膜中の成分の大部分がSnと、例えばCu6Sn5であれば、Ia/Ib=(薄膜中のSnの割合)/(薄膜中のCu6Sn5の割合)の関係があるため、この範囲内であれば、Cu6Sn5が上記薄膜中で主成分となるからである。
さらに、上記空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物以外のCu−Sn系金属間化合物の析出割合も少ないほど望ましく、例えば、Cu3SnのX線回折ピークの最強ピークの強度をIcとしたときに、0≦Ic/Ib≦0.03であるのが望ましい。
次に、本発明の薄膜電極の製造方法の実施の形態を説明する。本発明の薄膜電極の製造方法の一例は、集電体上に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含むCu合金層を形成する工程と、上記Cu合金層上にSn層またはSn合金層を形成する工程と、上記Cu合金層と、上記Sn層または上記Sn合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱する工程とを含むことを特徴とする。
これにより、集電体上に、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成されてなる薄膜電極を容易に作製できる。
また、Cu合金層中に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を、全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含有させることにより、CuとSnとの反応性が高まって、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物が生成されやすくなり、逆に可逆性が低いCu3Snの生成が防止できる。さらに、上記Cu合金層と、上記Sn層または上記Sn合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱することにより、Sn原子がCu合金中に拡散しやすくなり、CuのみとSnとを反応させた場合よりも、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物が効率よく生成でき、Cu3Snの生成を抑制できる。
上記金属元素は、融点が700℃以下であることが必要である。これにより、熱処理時にCuやSnが拡散しやすくなり、目的とするCu−Sn系金属間化合物を形成しやすくなるからである。上記融点が700℃以下であってSnを除く金属元素としては、例えば、Zn(融点419.6℃)、In(融点156.6℃)、Sb(融点630.7℃)、Pb(融点327.5℃)、Bi(融点271.3℃)などが挙げられる。これらの金属元素は単独で用いても良いし、複数を添加することもできる。
上記金属元素の含有量は、Cu合金層全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下とする必要がある。0.1質量%未満では、Cu3Snなど、上記金属間化合物以外の異相の生成が多くなるからである。一方、20質量%を超えると、充放電に関与しない異相の生成が多くなり、形成される薄膜の特性が損なわれてしまうため、上記金属元素の含有量は20質量%以下とするのがよく、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
上記Cu合金層の厚さは、10μm以下であることが好ましく、また上記Sn層または上記Sn合金層の厚さも、10μm以下であることが好ましい。また、これらの層の全体の厚さも10μm以下が好ましい。この範囲内であれば、薄膜内での原子の相互拡散がより容易となるからである。
上記Cu合金層、Sn層またはSn合金層の形成方法としては、例えば、物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、液相成長法などが挙げられる。物理的気相成長法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタクシー法(MBE法)、レーザーアブレーション法など、化学的気相成長法としては熱CVD法、有機金属CVD法(MOCVD法)、RFプラズマCVD法、電子サイクロン(ECR)プラズマCVD法、光CVD法、レーザーCVD法、原子層エピタクシー法(ALE法)など、液相成長法としてはめっき法(電解めっき法、無電解めっき法)、陽極酸化法、塗布法、ゾル−ゲル法などが挙げられる。これらの中でも、液相成長法は比較的簡易な設備で実施可能であるため望ましく、特に電解めっき法は集電体表面への密着性が良く、めっき薄膜表面の平滑性も高く、さらに大面積での成膜が容易かつ安価に行えるためより好ましい。なお、これらの薄膜形成方法は、単独で用いても複数を組み合わせて用いてもよい。
上記加熱工程はCu、Snなどの酸化を防止するために、真空、不活性雰囲気、還元性雰囲気の下で行うことが好ましい。ここで、真空とは外気圧より低い圧力状態を意味し、不活性雰囲気とは例えばアルゴンなどの不活性ガスを導入した雰囲気を意味し、還元性雰囲気とは水素などの還元性ガスを導入した雰囲気を意味する。
また、上記加熱温度は、Snの融点(231.97℃)よりも低い温度であることが必要であり、通常は220℃以下で加熱される。Snの融点よりも高い温度で加熱すると、薄膜中のSnがCuと合金を形成する前に溶出してしまうからである。さらに、上記加熱時間は、薄膜中のCu原子とSn原子とが相互拡散するために十分に長く設定する必要があり、10時間以内、より好ましくは24時間以内で行われる。この加熱時間をより短縮するためには、加熱温度を150℃以上とすることが好ましい。
上記集電体の材質は、電池内で安定的に存在できる金属であれば特に限定されないが、一般には、Cu、Ni、Fe、Ti、およびそれらの元素を少なくとも1つ含む合金から選ばれる少なくとも1つの金属からなることが好ましい。これらの金属は、電気化学的に不活性であり、物理的・化学的により安定だからである。
また、本発明の薄膜電極の製造方法の他の一例は、集電体上に、Sn層またはSn合金層を形成する工程と、上記Sn層または上記Sn合金層の上に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含むCu合金層を形成する工程と、上記Sn層または上記Sn合金層と、上記Cu合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱する工程とを含むことを特徴とする。
このように、先に集電体上にSn層またはSn合金層を形成し、その上にCu合金層を形成しても、前述の製造方法と同様の効果を得ることができる。この場合は、熱処理時に集電体の金属とSn層またはSn合金層とが反応しないように、集電体の材質としては、Ni、Fe、Ti、およびそれらの元素を少なくとも1つ含む合金から選ばれる少なくとも1つの金属からなることが好ましい。
続いて、本発明のリチウム二次電池の実施の形態について説明する。本発明のリチウム二次電池の一例は、上記で説明した薄膜電極を負極として用いたリチウム二次電池である。Cu6Sn5に代表される空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を負極活物質の主成分として用いることにより、リチウム二次電池の高容量化が期待でき、さらに上記金属間化合物を薄膜電極に適用することによって充放電サイクル特性の向上が可能となる。
本実施形態のリチウム二次電池に用いる正極としては、正極活物質に導電助剤、およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、アルミニウム箔などの集電体を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。正極活物質としては、例えば、LiCoO2などのリチウム・コバルト酸化物、LiMn24などのリチウム・マンガン酸化物、LiNiO2などのリチウム・ニッケル酸化物、LiNiO2のNiの一部をCoで置換したLiNixCo(1-x)2、さらに、MnとNiを等量含んだLiNi(1-x)/2Mn(1-x)/2Cox2、オリビン型LiMPO4(M:Co、Ni、Mn、Fe)を用いることができる。
上記リチウム二次電池に用いる電解質の溶媒としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられ、これらは複数を同時に使用することもできる。また、この溶媒には必要に応じて、他の成分を添加することも可能である。
上記電解質の溶質としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiC49SO3、LiCF3CO2、Li224(SO32、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO22、LiCn2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO22[ここで、Rfはフルオロアルキル基を示す。]、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiN(C25SO2)(C49SO2)、LiN(CF3SO2)(C25SO2)などが挙げられる。
さらに、上記電解質以外にも、Liイオンの輸送体であれば制約無く用いることができ、例えば、各種ポリマーからなるゲルポリマー電解質、真性ポリマー電解質、LiPONなどの無機固体電解質、Liイオン含有常温溶融塩などを用いることができる。
上記リチウム二次電池に用いるセパレータとしては、強度が充分で上記電解液を多く保持できるものが良く、この点から、厚さ10〜50μm、開口率30〜70%のポリプロピレン製、ポリエチレン製、またはポリプロピレンとポリエチレンのコポリマー製のフィルムや不織布からなるセパレータが好ましい。
以上のように、本実施形態の薄膜電極は、従来の薄膜電極と比べて、集電体上に、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が効率的に生成できるため、高容量で、かつサイクル特性が高いリチウム二次電池を提供することが可能となる。さらに、本実施形態の薄膜電極は、上記リチウム二次電池以外にも、リチウム一次電池などの電極としても使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚さが10μmの電解銅箔を3cm×5cmに切り出して本実施例の集電体とした。次に、表面の酸化被膜、油脂、汚れなどを除去するために、上記集電体を40℃に加熱した濃度10%の硫酸水溶液中に4分間浸漬した。その後、水酸化ナトリウム5g/dm3、オルトケイ酸ナトリウム20g/dm3、炭酸ナトリウム(無水)10g/dm3、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド1g/dm3をそれぞれ溶解させた脱脂水溶液を準備し、この脱脂水溶液の60℃に加熱した浴中で、上記集電体を5A/dm2の電流密度で1分間の陰極電解脱脂を行った。次に、この集電体を蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
続いて、上記集電体をシアン化銅32g/dm3、シアン化亜鉛10g/dm3、シアン化ナトリウム50g/dm3、炭酸ナトリウム7.5g/dm3、重炭酸ナトリウム10g/dm3、アンモニア水5g/dm3を溶解させた水溶液からなるめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で90分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ3μmのCu−Zn合金めっき薄膜(Zn含有率:10質量%)を形成した。
さらに、上記集電体を硫酸第一錫40g/dm3、硫酸60g/dm3、クレゾールスルホン酸40g/dm3、ゼラチン2g/dm3、β−ナフトール1g/dm3を溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で150分間の電解めっきを行い、集電体表面にさらに厚さ5μmのSnめっき薄膜を形成して薄膜電極を得た。この薄膜電極を水洗後、真空電気炉にて200℃で17時間熱処理した後、室温まで徐冷した。次に、この薄膜電極をアルゴン雰囲気中のドライボックスに移し、直径16mmの大きさに打ち抜いて実施例1の負極を作製した。
(実施例2)
厚さが10μmの電解ニッケル箔を3cm×5cmに切り出して本実施例の集電体とした。次に、実施例1と同様にして上記集電体の陰極電解脱脂を行い、蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
次に、上記集電体を硫酸銅190g/dm3、硫酸60g/dm3を溶解させた水溶液からなるめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で45分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ1.5μmのCuめっき薄膜を形成して、厚さ11.5μmの積層体からなる集電体とした。なお、本実施例で積層体からなる集電体を用いるのは、電解ニッケル箔と下記Cu−Zn合金との反応を防止するためである。
続いて、上記集電体をシアン化銅45g/dm3、シアン化亜鉛7.5g/dm3、シアン化ナトリウム75g/dm3、炭酸ナトリウム7.5g/dm3、重炭酸ナトリウム10g/dm3、アンモニア水1.2g/dm3を溶解させた水溶液からなるめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で45分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ1.5μmのCu−Zn合金めっき薄膜(Zn含有率:1.7質量%)を形成した。
さらに、上記集電体を硫酸第一錫40g/dm3、硫酸60g/dm3、クレゾールスルホン酸40g/dm3、ゼラチン2g/dm3、β−ナフトール1g/dm3を溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で150分間の電解めっきを行い、集電体表面にさらに厚さ5μmのSnめっき薄膜を形成して薄膜電極を得た。この薄膜電極を水洗後、真空電気炉にて200℃で17時間熱処理した後、室温まで徐冷した。次に、この薄膜電極をアルゴン雰囲気中のドライボックスに移し、直径16mmの大きさに打ち抜いて実施例2の負極を作製した。
(比較例1)
厚さが10μmの電解銅箔を3cm×5cmに切り出して本比較例の集電体とした。次に、実施例1と同様にして上記集電体の陰極電解脱脂を行い、蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
次に、上記集電体を硫酸第一錫40g/dm3、硫酸60g/dm3、クレゾールスルホン酸40g/dm3、ゼラチン2g/dm3、β−ナフトール1g/dm3を溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で150分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ5μmのSnめっき薄膜を形成して薄膜電極を得た。この薄膜電極を水洗後、真空電気炉にて200℃で17時間熱処理した後、室温まで徐冷した。次に、この薄膜電極をアルゴン雰囲気中のドライボックスに移し、直径16mmの大きさに打ち抜いて比較例1の負極を作製した。
(比較例2)
厚さが10μmの電解銅箔を3cm×5cmに切り出して本比較例の集電体とした。次に、実施例1と同様にして上記集電体の陰極電解脱脂を行い、蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
次に、上記集電体をシアン化銀0.0024g/dm3、シアン化銅158g/dm3、シアン化カリウム1.7g/dm3、炭酸カリウム18g/dm3を溶解させた水溶液からなるめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で90分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ3μmのCu−Ag合金めっき薄膜(Ag含有率:0.13質量%)を形成した。
続いて、上記集電体を硫酸第一錫40g/dm3、硫酸60g/dm3、クレゾールスルホン酸40g/dm3、ゼラチン2g/dm3、β−ナフトール1g/dm3を溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で150分間の電解めっきを行い、集電体表面にさらに厚さ5μmのSnめっき薄膜を形成して薄膜電極を得た。この薄膜電極を水洗後、真空電気炉にて200℃で17時間熱処理した後、室温まで徐冷した。次に、この薄膜電極をアルゴン雰囲気中のドライボックスに移し、直径16mmの大きさに打ち抜いて比較例2の負極を作製した。
(比較例3)
厚さが10μmの電解ニッケル箔を3cm×5cmに切り出して本比較例の集電体とした。次に、実施例1と同様にして上記集電体の陰極電解脱脂を行い、蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
次に、上記集電体を硫酸銅190g/dm3、硫酸60g/dm3を溶解させた水溶液からなるめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で45分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ1.5μmのCuめっき薄膜を形成して、厚さ11.5μmの積層体からなる集電体とした。
続いて、上記集電体をシアン化銅45g/dm3、シアン化亜鉛0.35g/dm3、シアン化ナトリウム75g/dm3、炭酸ナトリウム7.5g/dm3、重炭酸ナトリウム10g/dm3、アンモニア水1.2g/dm3を溶解させた水溶液からなるめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で45分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ1.5μmのCu−Zn合金めっき薄膜(Zn含有率:0.08質量%)を形成した。
さらに、上記集電体を硫酸第一錫40g/dm3、硫酸60g/dm3、クレゾールスルホン酸40g/dm3、ゼラチン2g/dm3、β−ナフトール1g/dm3を溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で150分間の電解めっきを行い、集電体表面にさらに厚さ5μmのSnめっき薄膜を形成して薄膜電極を得た。この薄膜電極を水洗後、真空電気炉にて200℃で17時間熱処理した後、室温まで徐冷した。次に、この薄膜電極をアルゴン雰囲気中のドライボックスに移し、直径16mmの大きさに打ち抜いて比較例2の負極を作製した。
上記のようにして得た実施例1、2および比較例1〜3の負極を用いて、それぞれの集電体の表面に形成した薄膜中のCu6Sn5の生成をX線回折法により確認した。X線回折装置としては理学電機製の“RINT2500V”(商品名)を用い、X線源にはCuKα線を用いた。測定試料は、酸化を防ぐために上記で得られた各負極をアルゴン雰囲気のドライボックス内で1cm×1cmに切り出したものを用いた。また、測定は気密試料台を用いて行った。その結果得られたX線回折図を図1、図2に示す。
このようにして得られたX線回折図を、図1、図2に示したCu6Sn5、Sn、Cu、Cu3Snの粉末X線回折データ(PDFカード)と照合した。即ち、PDFカード:04−0673(Sn)、PDFカード:04−0836(Cu)、PDFカード:45−1488(Cu6Sn5)、PDFカード:01−1240(Cu3Sn)と照合して、薄膜中の成分の分析を行った。
その結果、実施例1および実施例2の試料では、Cu6Sn5の回折ピークと若干のSnの回折ピークのみが認められたが、比較例1および比較例3の試料では、未反応のSnおよびCu3Snの回折ピークが認められ、比較例2の試料では、Cu6Sn5の回折ピークは全く認められなかった。以上の結果より、実施例1および実施例2の薄膜中の成分の大部分は、SnとCu6Sn5であることが分かる。
次に、各試料のX線回折の結果から、Snの(101)回折線の強度IaとCu6Sn5の(113)回折線の強度Ibとの強度比(Ia/Ib)を求めた。上記のとおり、実施例1および実施例2の薄膜中の成分の大部分は、SnとCu6Sn5であることから、前述のとおりIa/Ib=(薄膜中のSnの割合)/(薄膜中のCu6Sn5の割合)の関係が成立する。また、同様にCu3Snの回折ピークの最強ピークの強度Icと上記Ibとの強度比(Ic/Ib)を求めた。これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1および実施例2では、形成される薄膜のX線回折パターンには、Cu6Sn5以外の相のピークは実質的に認められず、薄膜がほぼCu6Sn5の単一相で構成されていることが分かる。
これに対して、Cu合金層を形成せず、集電体であるCuとSn層とを直接反応させた比較例1、およびZnを0.08質量%しか含有しないCu合金層を形成し、これをSn層と反応させた比較例3では、形成される薄膜中に未反応のSnが残存しており、いずれも実施例1および実施例2に比べてCu6Sn5の形成効率が低くなることが分かる。また、Cu合金層の添加元素として、融点が700℃を超えるAg(融点961.9℃)を用いた比較例2では、Cu6Sn5以外の金属間化合物が形成され、目的とする薄膜が形成されないことが分かる。
以上より、薄膜の主成分をCu6Sn5とするためには、Cu合金層中に融点が700℃以下の金属元素を0.1重量%以上加える必要があることが分かる。
次に、上記で作製した負極と組み合わせるための正極を以下のように作製した。先ず、正極活物質であるLiCoO2を90質量%、導電助剤であるカーボンブラックを6質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを4質量%、溶剤としてN−メチルピロリドンを40質量%、をそれぞれ均一になるように混合して正極合剤含有ペーストを調製した。続いて、集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、上記正極合剤含有ペーストを、単位面積あたりの合剤質量が32mg/cm2になるように塗布して乾燥した後、カレンダー処理を行って、電極密度3.2g/cm3となるように正極合剤層の厚みを調整した。その後、直径15mmに打ち抜いて正極とした。
電解液としては、1.2mol/dm3のLiPF6を、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(混合体積比=1:2)に溶解したものを用いた。セパレータとしては、東燃セティーラ製のポリエチレン製セパレータ“EMM25”(商品名、厚さ25μm)を用いた。
これらの正極、セパレータ、電解液と、実施例1、2および比較例1〜3の負極をそれぞれコイン型セルに組み込み、リチウム二次電池を作製し、このリチウム二次電池を用いて充放電試験を行った。充放電試験は、電流密度を0.2mAh/cm2に設定し、4.3Vまで充電後、3Vまで放電して充電電気量および放電電気量を測定して、下記式1により初回充放電効率を算出した。また、この条件で充放電サイクル試験を行い、下記式2によりサイクル特性を算出した。なお、下記放電容量および充電容量は、正極合剤1gあたりの電気容量(mAh/g)で表される。
(数1)
初回充放電効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100 (式1)
(数2)
サイクル特性(%)=(50サイクル後の放電容量/初回放電容量)×100 (式2)
表2に上記充放電試験の結果を示す。
表2から明らかなように、実施例1および実施例2は、可逆機能の高いCu6Sn5が効率良く生成していることから、比較例1〜3に比べて初回充放電効率が高くなった。また、Cu6Sn5は充放電による体積膨張が小さく、さらに電解液を分解する触媒能も小さいため、充放電サイクル特性も向上した。
一方、比較例1および比較例3ではCu6Sn5の生成が不十分であり、比較例2ではCu6Sn5が全く生成されていないため、いずれも初回充放電効率が低く、充放電サイクル特性も低かった。
以上のように本発明の薄膜電極を用いたリチウム二次電池は、充放電サイクル特性などの信頼性に優れ、かつ高容量であるため、そのリチウム二次電池を電源とする携帯電話、ノートパソコン、PDAなどの携帯端末機器を小型軽量化、高機能化することができる。
実施例1および実施例2で作製した薄膜電極のX線回折図とPDFデータである。 比較例1〜比較例3で作製した薄膜電極のX線回折図とPDFデータである。

Claims (16)

  1. 集電体上に、空間群P63/mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜が形成されてなる薄膜電極であって、
    前記薄膜中に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素をさらに含有し、
    前記金属元素の含有量が、前記金属元素とCuとの合計質量の割合で0.1質量%以上20質量%以下であり、
    前記薄膜のX線回折測定において、前記薄膜中のSnの(101)回折線の強度をIa、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることを特徴とする薄膜電極。
  2. 前記金属元素が、Zn、In、Sb、Pb、およびBiから選ばれる少なくとも1つの元素である請求項1に記載の薄膜電極。
  3. 前記薄膜の厚さが、10μm以下である請求項1または2に記載の薄膜電極。
  4. 前記集電体が、Cu、Ni、Fe、Ti、およびそれらの元素を少なくとも1つ含む合金から選ばれる少なくとも1つの金属からなる請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜電極。
  5. 前記集電体が、複数の金属層からなる積層体である請求項4に記載の薄膜電極。
  6. 前記集電体の厚さが、5μm以上20μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜電極。
  7. 集電体上に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含むCu合金層を形成する工程と、
    前記Cu合金層上にSn層またはSn合金層を形成する工程と、
    前記Cu合金層と、前記Sn層または前記Sn合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱する工程とを含み、
    前記加熱工程により、前記集電体上に、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜を形成し、
    前記薄膜のX線回折測定において、前記薄膜中のSnの(101)回折線の強度をIa、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることを特徴とする薄膜電極の製造方法。
  8. 集電体上に、Sn層またはSn合金層を形成する工程と、
    前記Sn層または前記Sn合金層の上に、融点が700℃以下であってSnを除く金属元素を全体の質量割合で0.1質量%以上20質量%以下の割合で含むCu合金層を形成する工程と、
    前記Sn層または前記Sn合金層と、前記Cu合金層とが形成された集電体を、Snの融点よりも低い温度で加熱する工程とを含み、
    前記加熱工程により、前記集電体上に、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物を含む薄膜を形成し、
    前記薄膜のX線回折測定において、前記薄膜中のSnの(101)回折線の強度をIa、空間群P6 3 /mmcに属するNiAs型のCu−Sn系金属間化合物の(113)回折線の強度をIbとしたときに、0≦Ia/Ib≦0.1であることを特徴とする薄膜電極の製造方法。
  9. 前記金属元素が、Zn、In、Sb、Pb、およびBiから選ばれる少なくとも1つの元素である請求項またはに記載の薄膜電極の製造方法。
  10. 前記集電体が、Cu、Ni、Fe、Ti、およびそれらの元素を少なくとも1つ含む合金から選ばれる少なくとも1つの金属からなる請求項に記載の薄膜電極の製造方法。
  11. 前記集電体が、Ni、Fe、Ti、およびそれらの元素を少なくとも1つ含む合金から選ばれる少なくとも1つの金属からなる請求項に記載の薄膜電極の製造方法。
  12. 前記加熱が、真空、不活性雰囲気および還元性雰囲気から選ばれるいずれかの雰囲気下で行われる請求項11のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
  13. 前記加熱の温度が、150℃以上220℃以下である請求項12のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
  14. 前記Cu合金層の厚さが、10μm以下である請求項13のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
  15. 前記Sn層または前記Sn合金層の厚さが、10μm以下である請求項14のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
  16. 請求項1〜のいずれかに記載の薄膜電極を負極として用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
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