JP4370677B2 - 合成樹脂製成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製成形体に関し、詳しくは、フロック加工された合成樹脂製成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
フロック加工された合成樹脂製成形体、すなわち、表面に接着剤層を介してパイルが植毛されて成る合成樹脂製成形体は、例えば自動車用ウエザーストリップ等に使用されている。自動車用ウエザーストリップは、隙間風や雨などの侵入防止のために窓(ドアの窓ガラス昇降口周辺)に取付けられる目詰め部材である。そして、窓ガラスと接する側にパイルが配置される。
【0003】
従来、上記の様な合成樹脂製成形体は、例えばエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等の加硫ゴム、その他、軟質塩化ビニル等の材料で成形される。そして、その表面に接着剤を塗布してナイロン短繊維が静電植毛される。
【0004】
しかしながら、近年、燃費改善のための軽量化や環境問題に対処するための材料リサイクル等の要請により、上記の材料からオレフィン系樹脂材料への材料変換が求められている。
【0005】
ところで、オレフィン系樹脂材料は、分子内に極性基を有していないために化学的に不活性であって極めて接着性に劣る材料であるため、静電植毛工程の接着剤塗布前において、プラズマ表面処理やプライマー塗布などの前処理工程が必要となる。そして、プラズマ表面処理は、自動車用ウエザーストリップの様な製品の場合にそのフロック加工される突起面に施され、プライマー塗布は、基体の表面にフロック加工が層状に形成される製品の場合の基体表面に施される。なお、プライマー(下塗り塗料)としては、通常、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、変性ポリアミン等を溶剤で希釈したものが使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な前処理工程は著しいコスト高の要因となり、更に、プライマー塗布の場合は、プライマー中の溶媒の揮発により、環境や安全面でも問題がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、化学的に不活性なオレフィン系樹脂材料などを使用し、数多くの問題を有するプラズマ表面処理やプライマー塗布などの前処理工程なしに接着剤のみでパイルの植毛が可能な合成樹脂製成形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、プライマーに代えて特定の樹脂組成物を使用することにより上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、基体に接着剤層を介してパイルが植毛されて成る合成樹脂製成形体であって、上記の基体がポリオレフィン系樹脂または金属から成り、上記の基体と接着剤層との間には以下に規定する変性熱可塑性エラストマーから成る活性部が配置されていることを特徴とする合成樹脂製成形体に存する。
【0010】
<変性熱可塑性エラストマー>
オレフィン系ゴム(A)とプロピレン系重合体樹脂(B)と水酸基末端を有するジエンポリマー又はその水素添加物(C)とを含有し、成分( A)及び(B)の合計に対し、成分( A)の割合が70〜90重量%、成分(B)の割合が10〜30重量%であり(但し両者の合計量は100重量%)、成分( A)及び(B)の合計100重量部当たり、成分(C)の割合が0.1〜25重量部である混合物を有機パーオキサイドの存在下で動的に熱処理して得られた変性熱可塑性エラストマー。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の合成樹脂製成形体は、基体、活性部、接着剤層およびパイルより成る。活性部は、自動車用ウエザーストリップのシールリップの様に、主体部(基体)と一体化された突起状であってもよいし、基体の表面に積層された層状であってもよい。
【0012】
(基体)
本発明において、基体は、化学的に不活性な材料、すなわち、ポリオレフィン系樹脂または金属から成る。ポリオレフィン系樹脂は、通常30重量%以下の割合で熱可塑性エラストマーを含有する組成物であってもよい。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンの単独重合体またはこれらの共重合体が挙げられる。特に、プロピレン系樹脂、例えば、アイソタクチックプロピレン、ポリプロピレンとエチレン、ブテン−1又はヘキセン−1等のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体が好ましい。これらのポリオレフィン系樹脂は、例えば、日本ポリケム社製の「ノバテック」等、各社から種々の銘柄で市販されており、本発明においては、押出成形に適した銘柄の選択により、これらの市販品を好適に使用し得る。
【0014】
ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとの組成物は、ポリオレフィン系樹脂とオレフィン系またはスチレン系ゴムと軟化剤(任意成分)とをブレンドし、有機過酸化物の存在下または不存在下で動的に熱処理することにより得ることが出来る。更に、本発明の目的を損なわない範囲で上記以外のゴムを組み合わせて使用することも出来る。一方、金属としては、例えば、0.1〜0.5mm厚さの各種金属シート、例えば、鉄、メッキ処理鉄などのシートが挙げられる。
【0015】
(活性部)
本発明において、活性部は、オレフィン系ゴム(A)とプロピレン系重合体樹脂(B)と水酸基末端を有するジエンポリマー又はその水素添加物(C)とを含有する混合物を有機パーオキサイドの存在下で動的に熱処理して得られた変性熱可塑性エラストマーから成る。
【0016】
変性熱可塑性エラストマーにおいては、成分(A)として、オレフィン系ゴムと共に他のゴム成分を使用することが出来る。また、好ましい態様として、有機スズ化合物(D)と第3級アミン化合物(E)とが含有される。
【0017】
オレフィン系ゴム(A)としては、エチレン−プロピレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。これらの中では、ムーニー粘度ML1+4(100℃)150〜450のエチレン・プロピレン系共重合体ゴムが好ましく、特にEPDMが好ましい。上記の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリレデンノルボルネン等が挙げられるが、特にエチリデンノルボルネンが好ましい。オレフィン系ゴム(A)の好ましい具体例としては、エチレン含量が55〜75重量%、非共役ジエン含有量が1〜10重量%のEPDMが挙げられる。エチレン含量が55重量%未満であると押出成形性が低下し、75重量%より多いと柔軟性が失われる傾向がある。
【0018】
オレフィン系ゴムと共に使用される他のゴム成分としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)及びその水素添加物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SiS)及びその水素添加物(SEPS)、スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEEPS)等が挙げられる。
【0019】
他のゴム成分としては、水素添加スチレン・ブタジエンブロック共重合体または水素添加スチレン・イソプレンブロック共重合体が好適であり、特に、上記のSEBS、SEPS、SEEPS等のスチレン系ゴムの水素添加物が好ましい。他のゴム成分は、オレフィン系ゴムに対し、通常50重量%未満、好ましくは30重量%以下の割合で使用される。
【0020】
プロピレン系重合体樹脂(B)としては、例えば、アイソタクチックプロピレン、ポリプロピレンとエチレン又はブテン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体などが挙げられる。特に、230℃、21.18N荷重におけるMFRが0.1〜10g/10分のプロピレン系重合体樹脂が好適である。MFRが上記の範囲を外れると押出成形性に問題を生ずる恐れがある。
【0021】
水酸基末端を有するジエンポリマー又はその水素添加物(C)としては、例えばポリヒドロキシポリブタジエン又はその水素添加物などがある。具体的には、末端に少なくとも一個の水酸基を有し、分子量が通常200〜100,000、好ましくは500〜50,000、特に好ましくは800〜10,000の、常温で液体、半固体、固体のポリマーが含まれる。1分子当りの平均水酸基数は、通常1〜10、好ましくは1.5〜5である。また、水酸基価は、通常15〜250、好ましくは25〜125(KOHmg/g)である。
【0022】
ジエンポリマーの水素添加物は、例えば特開昭51−71391号公報に記載の方法などで水素添加することによって得られる。水素添加は、ポリマー中に含まれる二重結合の全部または一部について行なわれる。ヨウ素価は、通常0〜20、好ましくは0〜5(g/100g)である。
【0023】
有機スズ化合物(D)としては、モノブチル・スズ・トリメチルマレート、モノブチル・スズ・トリオクチルマレート、ジブチル・スズ・ジラウレート、ジブチル・スズ・ジラウレート・メチルマレート、ジブチル・スズ・ジオレイルマレート、ジブチル・スズ・ジメチルマレート、ジブチル・スズ・マレート、ジブチル・スズ・メトキシメチルマレート、ジブチル・スズ・ジオクチルマレート、ジブチル・スズ・ジオクチル・チオグリコレート、ジブチル・スズ・ジラウリル・メルカプタイド、トリベンジル・スズ・オクチルマレート、トリベンジル・スズ・トリメチルマレート等が挙げられる。
【0024】
第3級アミン化合物(E)は、第3級アミン構造を有する低分子化合物から高分子化合物までを包含する。
【0025】
第3級アミン構造を有する低分子化合物は、その分子量が約1,000以下のものを指し、その具体例としては、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラグアニジン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7−ウンデセン−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、テトラキス−(N−メチル−2,2,6,6−テトrメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
【0026】
一方、第3級アミン構造を有する高分子化合物は、その分子量が約1,000以上であり、常温で液体、半固体、固体のポリマーを指し、その代表例としては第3級アミノ基含有変性オレフィン重合体が挙げられる。第3級アミノ基含有変性オレフィン重合体とは、構造的な見地から、分岐状または線状の炭素鎖中に不規則または規則的に、第3級アミノ基含有不飽和化合物が共重合していたり、第3級アミン構造を有する側鎖がグラフトしている構造を有する高分子化合物の全般を指す。具体的には、第3級アミノ基含有不飽和化合物の含有量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、更に好ましくは1〜40重量%であり、JIS−K6760に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)は、通常0.1〜1,000g/10分、好ましくは0.5〜700g/10分である。第3級アミノ基含有変性オレフィン重合体は、ブリードアウトの心配が少ないため、特に好ましい。
【0027】
有機パーオキサイドとしては、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1、3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1、1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3、5−トリメチルシクロヘキサン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシド等が挙げられる。これらの中では、臭気性およびスコーチ性の点において、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
【0028】
前記の変性熱可塑性エラストマーにおいて、成分( A)及び(B)の割合は次の通りである。すなわち、両者の合計に対し、成分( A)の割合は、70〜90重量%、成分(B)の割合は10〜30重量%(但し両者の合計量は100重量%)でなければならない。成分(A)の割合が上記範囲未満では植毛密着性やゴム的性質が劣り、上記範囲を超えると成形体の機械的強度が低下する。成分( A)の好ましい割合は70〜80重量%、成分(B)の好ましい割合は20〜30重量%ある。
【0029】
一方、成分(C)の割合は、成分( A)及び(B)の合計100重量部当たり、0.1〜25重量部でなければならない。成分(C)の割合が上記範囲未満では成形体への植毛用接着剤の密着性が乏しく、植毛強度が低くなり、上記範囲を超えると経済的に不利であると共にそれ自体がブリードアウトし、却って植毛強度を低下させる恐れがある。成分(C)の割合は、好ましくは0.1〜18重量部である。
【0030】
成分(D)の割合は、成分( A)及び(B)の合計100重量部当たり、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部、更に好ましくは0.1〜3重量部である。成分(D)の割合が上記範囲未満では成形体への植毛用接着剤の密着性が乏しく、植毛強度が低くなり、上記範囲を超えるとそれ自体がブリードアウトし、却って植毛強度を低下させる。
【0031】
成分(E)の割合は、成分( A)及び(B)の合計100重量部当たり、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜18重量部、更に好ましくは0.1〜17重量部である。成分(E)の割合が上記範囲未満では成形体への植毛用接着剤の密着性が乏しく、植毛強度が低くなり、上記範囲を超えると成形体の物性バランスが悪くなる。
【0032】
有機パーオキサイドの使用量は、成分(A)及び(B)の合計100重量部当たり、通常0.005〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部の範囲から選択される。有機過酸化物の添加量が0.005重量部未満の場合は架橋反応の効果が小さく、3重量部より多い場合は押出外観が悪化しかつ経済的に有利でない。
【0033】
本発明では架橋助剤を併用することも出来る。主な架橋助剤としては、硫黄、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、トリメチロールプロパン−N、N’−m−フェニレンジマレイミドの様なペルオキシ架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートの様な多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートの様な多官能ビニルモノマー等が挙げられる。上記の様な化合物の使用により、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。
【0034】
架橋助剤の添加量は、成分(A)及び(B)の合計100重量部当たり、通常0.005〜4重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲から選択される。架橋助剤の添加量が0.005重量部未満の場合は効果が現れず、4重量部より多い場合は経済的に有利でない。
【0035】
更に、本発明においては、機械的特性や加工性の一層の改良を図るため、鉱物油系軟化剤を使用することが出来る。斯かる鉱物油系軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの種類があるが、特にパラフィン系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、成分(A)及び(B)の合計100重量部当たり、通常150重量部以下、好ましくは130重量部以下である。鉱物油系軟化剤を使用する場合、その最低使用量は、成分(A)及び(B)の合計100重量部当たり通常0.1重量部である。
【0036】
本発明における変性熱可塑性エラストマー組成物には、上記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の配合成分を配合することが出来る。斯かる成分としては、例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤などの各種添加物、前記必須成分以外の熱可塑性樹脂およびフィラー等が挙げられる。
【0037】
前記必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体の様なエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン−1樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などが挙げられる。
【0038】
また、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
【0039】
前記の変性熱可塑性エラストマーの調製には、例えば1軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機が使用される。これらの中では、2軸押出機が好適である。
【0040】
(接着剤層)
接着剤は、大別するとエマルジョン系と溶剤系の2種類に大別される。エマルジョン系としては、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム(SBR、NBR)等が挙げられる。また、溶剤系としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、クロロプレン樹脂、合成ゴム(SBR、NBR)、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂などが挙げられる。自動車用ウエザーストリップには、良好な耐水強度を有する溶剤系の1液湿気硬化型ウレタン樹脂が好適に使用される。
【0041】
(パイル)
パイルは長繊維を短繊維にカットしたものであり、素材としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等が挙げられるが、自動車用ウエザーストリップには、摺動性能を有するナイロンが好適に使用される。パイルの太さは通常0.6〜3.0デニール、長さは通常0.6〜1.5mmである。
【0042】
(基体および活性部の成形)
本発明の合成樹脂製成形体は次の様にして製造される。通常、基体の成形には押出成形が適用される。この際、ポリオレフィン系樹脂と変性熱可塑性エラストマーとを所望の形状の金型内に共押出しし、ポリオレフィン系樹脂製の基体と変性熱可塑性エラストマー製の活性部とを一体化する。これらは、公知の押出成形の技術により容易に行なうことが出来る。ポリオレフィン系樹脂に代えて金属シートを使用する場合も同様である。
【0043】
(接着剤層の形成と植毛加工)
上記によって得られた成形体の活性部の表面に接着剤を塗布し、接着剤層を形成させる。その後、植毛加工機に入れてフロック(植毛)加工を行う。接着剤塗布前においては、必要に応じ、補助的表面処理として、表面に不可避的に付着した手垢や機械油などを洗浄除去する脱脂処理などを行なってもよい。接着剤の塗布には、ナイフコータ、ロールコータ、スプレー、刷毛、ローラー等を適宜採用することが出来る。
【0044】
植毛加工方法としては、生産性が高く、植毛強度の高い静電気式加工法が好適に使用される。そして、下部電極に接着剤を塗布した成形体を置き、電荷したパイルを上方から下方へ飛翔させて植毛するダウンメゾッド方式が好適に採用される。植毛後は、加熱乾燥、残余パイル除去のためのブラッシングを行って製品とする。
【0045】
(自動車用ウエザーストリップ)
本発明のフロック加工された合成樹脂製成形体は、特に自動車用ウエザーストリップ用として好適である。図1は、自動車用ウエザーストリップの一例の断面説明図であり、符号(1)は主体部(前記の基体に該当)、(2)はシールリップ部(前記の活性部)、(3)はシールリップ部(2)に接着剤層(図示せず)を介して植毛されたパイルを表す。また、符号(21)は、パイルを植毛する必要のないシールリップ部を表す。
【0046】
上記の自動車用ウエザーストリップの主体部(1)には前述のポリオレフィン系樹脂、シールリップ部(2)には前述の変性熱可塑性エラストマーが使用される。そして、前述の通り、接着剤層には、良好な耐水強度を有する溶剤系の1液湿気硬化型ウレタン樹脂が好適に使用され、パイル(3)には、太さが通常0.6〜3.0デニール、長さが通常0.6〜1.5mmのナイロンパイルが好適に使用される。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、ここで使用した原材料および評価方法は以下に示す通りである。
【0048】
【表1】
<基体用材料>
(1)エチレン含有量5重量%、230℃、21.18N荷重のMFRが0.5g/10分のプロピレン系重合体樹脂。
<活性部用材料>
(1)成分(A1a):エチレン含量が66重量%でML1+4(100℃)が400のエチレン・プロピレン系共重合体ゴム(EPDM)
(2)成分(A1b):エチレン含量が66重量%でML1+4(100℃)が89のエチレン・プロピレン系共重合体ゴム(EPDM)
(3)成分(A2):分子量22万、スチレン含量30%のスチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEEPS)
(4)成分(B):230℃、21.18N荷重のMFRが0.7g/10分のプロピレン系重合体樹脂(PP)
(5)成分(C):ヨウ素価が1.0(g/100g)で水酸基価が83.7(KOHmg/g)のジエンポリマーの水素添加物(主原料をブタジエンとして製造された分子量が約2900、水酸基価約84のジエンポリマーを水添して製造したもの)(ジエン)
(6)成分(D):ジブチル・スズ・ジラウレート(DBTDL)
(7)成分(E):第3級アミノ基含有変性オレフィン重合体(VMX)
(8)OIL:平均分子量746、環分析0%のパラフィンオイル
【0049】
【表2】
<評価>
(1)機械的強度評価(硬度、引張破断強度、圧縮永久歪、引裂強度):
JIS−K6301に準拠して測定した。
(2)植毛性能評価:
試験片を室温にて72時間放置後、以下の(a)〜(c)の評価を行った。
(a)植毛柔軟性:
植毛加工面を上にして下方へ180度曲げた時の折り目を目視観察し、◎優、○良、△可、×不可のランク付けを行った。
(b)植毛密着性:
折り曲げた箇所を爪先で10回引っ掻き、剥離の状態を目視観察し、◎優、○良、△可、×不可のランク付けを行った。
(c)植毛耐久性:
JIS−L1084に準拠し、試験状態は水湿潤時の植毛強さとし、植毛強さの測定方法はA−2法(学振形摩擦試験フラット法)で摩擦子にJIS−L0803に規定の添付白布かなきん3号を取付けて測定し、試験片の接着剤層の一部が露出する迄の摩擦回数を計った。但し、摩擦回数の上限は2500回とした。
【0050】
実施例1〜4及び比較例1〜3
先ず、表3及び表4に示す割合で各成分を配合し(但し、成分(A)と(B)との合計量を100重量部とする。以下、同じ)、有機パーオキサイドとして2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.35重量部、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート0.8重量部を加え、2軸押出機で混練し、活性部用材料としての変性熱可塑性エラストマーを得た。そして、2押出機を備えた共押出成型機を使用し、基体用材料(プロピレン系重合体樹脂)と活性部用材料(変性熱可塑性エラストマー)とを共押出し成形し、幅20mm、厚さ1mmの平ベルト状成形体を得た。
【0051】
次いで、上記の成形体を幅10mm、長さ250mmに切断して試験片とし、その表面に市販の溶剤系1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤を湿潤状態で約200g/m2の塗布量で刷毛塗りして接着膜を形成させた。この際、プラズマ表面処理やプライマー塗布などは行なわなかった。また、補助的表面処理の脱脂処理も省略した。塗布後の乾燥は80℃雰囲気中で10分間行った。
【0052】
次いで、ダウンメゾッド方式の静電気式植毛加工機に上記の試験片を入れ、電極間距離100mm、電圧30kV、湿度45%の条件下、太さ3デニール、長さ0.8mmの市販のナイロンパイルの植毛加工を行なった。フロック加工された合成樹脂製成形体の評価結果を表1及び表2に示す。
【0053】
【表3】
Figure 0004370677
【0054】
【表4】
Figure 0004370677
【0055】
【発明の効果】
表3及び表4から明らかな様に、本発明の合成樹脂製成形体は、オレフィン系樹脂を使用しているにも拘らず、2500回以上の植毛耐久性を有し、機械的強度にも優れる。従って、オレフィン系樹脂への材料転換により、燃費改善のための軽量化、環境問題からの材料リサイクル等に寄与できる。更に、プラズマ表面処理やプライマー塗布などの前処理工程なしに接着剤のみで植毛加工が出来ため、経済的な効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用ウエザーストリップの一例の断面説明図
【符号の説明】
1:主体部(基体)
2:シールリップ部(活性部)
3:パイル
21:シールリップ部

Claims (5)

  1. 基体に接着剤層を介してパイルが植毛されて成る合成樹脂製成形体であって、上記の基体がポリオレフィン系樹脂または金属から成り、上記の基体と接着剤層との間には以下に規定する変性熱可塑性エラストマーから成る活性部が配置されていることを特徴とする合成樹脂製成形体。
    <変性熱可塑性エラストマー>
    オレフィン系ゴム(A)とプロピレン系重合体樹脂(B)と水酸基末端を有するジエンポリマー又はその水素添加物(C)とを含有し、成分( A)及び(B)の合計に対し、成分( A)の割合が70〜90重量%、成分(B)の割合が10〜30重量%であり(但し両者の合計量は100重量%)、成分( A)及び(B)の合計100重量部当たり、成分(C)の割合が0.1〜25重量部である混合物を有機パーオキサイドの存在下で動的に熱処理して得られた変性熱可塑性エラストマー。
  2. オレフィン系ゴム(A)がムーニー粘度ML1+4(100℃)150〜450のエチレン・プロピレン系共重合体ゴムである請求項1に記載の合成樹脂製成形体。
  3. 成分(A)としてオレフィン系ゴムに対して50重量%未満の割合で水素添加スチレン・ブタジエンブロック共重合体または水素添加スチレン・イソプレンブロック共重合体が使用される請求項1又は2に記載の合成樹脂製成形体。
  4. プロピレン系重合体樹脂(B)の230℃、21.18N荷重におけるMFRが0.1〜10g/10分である請求項1〜3の何れかに記載の合成樹脂製成形体。
  5. 変性熱可塑性エラストマーが、成分( A)及び(B)の合計100重量部当たり、更に、有機スズ化合物(D)0.1〜5重量部と第3級アミン化合物(E)0.01〜20重量部を含有して成る請求項1〜4の何れかに記載の合成樹脂製成形体。
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