JP3654120B2 - ゴム/熱可塑性エラストマー複合体 - Google Patents

ゴム/熱可塑性エラストマー複合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムポリマーをEORとするゴム配合物の加硫物からなるゴム部と、TPE配合物からなるTPE部とが直接接着されてなるゴム/TPE複合体に関する。特に、ゴム配合物の加硫物からなるウェザストリップ本体(ゴム部)に、TPE配合物からなる加飾層(TPE部)が直接接着されてなる自動車用ウェザストリップ等に好適な発明である。
【0002】
ここでは、図1に示すような自動車ウェザストリップ(ドアウェザストリップ12)を、主として例にとり説明するが、図2に示すような他のタイプのウェザストリップ(ルーフサイドウェザストリップ12A:ゴム部14A、TPE部20A)、さらには、他のゴム/TPE複合体、例えば、ドア(リップ)モール等にも適用可能である。
【0003】
本明細書で使用する主たる略号は下記の通りである。
【0004】
TPE…熱可塑性エラストマー
TPO…オレフィン系TPE
EODM…エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム
EOR…エチレン−α−オレフィン系ゴム
EPDM…エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム
SP値…溶解性パラメータ(Solubility Parameter)
【0005】
【背景技術】
図1に示すドアウェザストリップ12は、U字形の取付け基部14と、取付け基部14のU字形断面の外側一面に形成される中空シール部16と、U字形取付け基部14の頂部から延設される隠蔽リップ部18とを備えている。U字形の取付け基部14及び隠蔽リップ部18の意匠面側には連続して加飾層20が形成されている。
【0006】
取付け基部14は、フランジ把持力を確保するために板金製のインサート22が埋設されているともに、U字形断面の内側対向面の一方に複数個(図例では3個)の受けリップ部24、他方に押えリップ部26を備えている。
【0007】
上記構成の加飾層20を備えたウェザストリップ12は、従来、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)をゴムポリマーとするゴム配合物の加硫物からなるウェザストリップ本体(ゴム部)に、ポリ塩化ビニル(PVC)シートを裁断して調製したストリップを接着剤により接着して加飾層を形成していた。ところが、この技術には、PVCシート裁断工程・接着剤塗布・圧着工程等が必要であり、製造工数が嵩んだ。なお、EPDMをゴムポリマーとするのは、他のゴムポリマーに比して、ポリマー密度が低く、且つ、耐候性も良好(二重結合をポリマー中に実質的に含まないため。)なためである。
【0008】
ウェザストリップの製造工数を削減するために、上記EPDM配合物からなる加硫直後のウェザストリップ本体(ゴム部)に、同系のTPO配合物からなる加飾層(TPE部)を押出しして熱融着的に直接接着させてウェザストリップを製造する方法を採用することが考えられる。この技術を記載した公知刊行物としては、特開平8−174620・8−230013号公報等がある。
【0009】
他方、ゴム部における諸物性改善の見地から、改質樹脂ポリマーとして結晶性PEを含有(通常、5〜35 phr)させたEPDM配合物を使用することを本発明者らは検討した。このEPDM配合物を記載した公知刊行物としては、特開平11−193335号公報等がある。
【0010】
ところが、上記構成のウェザストリップは、時間経過と共に黄変などの変色を生じることが分かった。変色対策として、顔料(着色料)を増量して隠蔽効果で対応することも考えられるが、特に、わずかな黄変でも目立つ明色・淡色(例えば、グレイ色等)の場合には対応困難であり、昨今の加飾層の明色・淡色化傾向には対応困難である。
【0011】
本発明は、上記にかんがみて、結晶性PEを含有するE0R系ゴム配合物でゴム部を形成して非極性TPEを直接接着させたゴム/TPE複合体において、TPE部に黄変等の変色が発生し難いものを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、黄変の原因解析を行った結果、TPE単独では変色せず、またTPE配合物中の安定剤(老化防止剤・紫外線吸収剤等)の黄変も認められなかった。
【0013】
このため、加硫ゴム(ゴム配合物)中の副資材のいずれかが、TPE部に移行して黄変の原因物質となったと推定して、鋭意開発に努力をする過程で、変色原因物質が粘着付与剤(タッキファイア)であると仮定するとともに、粘着付与剤として特定のものが変色防止作用があることを知見して、下記構成の本発明(ゴム/TPE複合体)に想到し得た。
【0014】
ゴムポリマーをエチレン−α−オレフィン系ゴム(EOR)とするゴム配合物の加硫物からなるゴム部と、熱可塑性エラストマー(TPE)配合物からなるTPE部とが直接接着されてなるゴム/TPE複合体であって、
ゴム配合物が、改質樹脂ポリマーとして結晶性PEを5〜35phr含有するとともに、粘着付与剤を含有するものであり、TPE配合物が、非極性TPEをベースポリマーとするものにおいて、
粘着付与剤の特性が、SP値:6.0〜10.0、軟化点:90〜110℃、アニリン点:80℃以上の要件を満たすとともに、前記粘着付与剤の配合量が2.5〜10phrであることを特徴とする。
【0015】
上記粘着付与剤の特性が、SP値:7.0〜9.0、軟化点:95〜104℃、アニリン点:105℃以上の要件を満たすことが、より対EPDM相溶性及び薬剤分散能が増大するとともに、変色防止能を奏し易い。
【0016】
上記粘着付与剤の全部又は主体が、水添石油炭化水素樹脂類又は水添ロジンエステル類から選択したものとすることが、より確実に変色防止能を奏し易い。
【0017】
上記水添石油炭化水素樹脂類の内、特に、水添C9石油炭化水素樹脂が、さらにより確実に変色防止能を奏する。
【0018】
上記構成において、ゴム配合物は、通常、硫黄加硫系とするとともに、ゴムポリマーをEODMとし、前記結晶性PEの配合量は5〜35 phr、粘着付与剤の配合量は2.5〜10 phrとする。
【0019】
また、ゴムポリマーをEODMとした場合、非極性TPEは、通常、オレフィン系TPEとする。
【0020】
本発明のゴム/TPE複合体は、ゴム部をウェザストリップ本体とし、TPE部を加飾層とした自動車用ウェザストリップに適用した場合、効果がより顕著となる。
【0021】
【構成の詳細な説明】
以下、上記本発明の各構成(解決手段)について、詳細に説明をする。なお、配合単位は、特に断らない限り、重量単位とする。
【0022】
なお、粘着付与剤のおける名称及び特性の一部は、ラバーダイジェスト社編・発行の「ゴム・プラスチック配合薬品」(1974)の「8.粘着付与剤(Tackifiers)」の節を参照した。
【0023】
(1) ゴム配合物:
本発明の取付け基部等のゴム部を形成するゴム配合物は、ゴムポリマーをエチレン−α−オレフィン系ゴム(EOR)とすることを前提とし、改質樹脂ポリマーとして結晶性ポリエチレン(結晶性PE)を含有するとともに粘着付与剤を含有するものである。
【0024】
上記EORとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、例えば、エチレンプロピレン共重合体ゴムでもよいが、通常、硫黄加硫が可能で取扱性が良好であるエチレン−α−オレフィン非共役ジエン共重合体ゴム(EODM)を使用する。
【0025】
EODMにおける、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、なかでもプロピレンが好ましい。また、非共役ジエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0026】
好ましいEODMとしては、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴムなどを挙げることができる。
【0027】
上記結晶性PEとしては、通常、低圧法又は中圧法で重合させて得られる、MFR値が0.5〜3.0、望ましくは1.0〜2.0のものを使用する。
【0028】
結晶性PEの配合量は、5〜35 phr、望ましくは、15〜25 phrとする。結晶性PEの配合量が過少では、加硫物における改質効果(諸物性の向上)が得難く、過多では、加硫物におけるゴム的物性(柔らかさ、伸び)が低下する。
【0029】
本発明に使用する粘着付与剤は、SP値:6.0〜10.0(望ましくは7.0〜9.0)、軟化点:90〜110℃(望ましくは95〜104℃)、アニリン点:85℃以上(望ましくは105℃以上)の各特性を満たすものとする。なお、アニリンの沸点は、184℃である(志田正二編「化学辞典」(1981-3-9)森北出版、頁3参照)。
【0030】
SP値が低過ぎても、高すぎても、ゴムポリマーとの混和性に欠けて、粘着付与剤の作用を十分に奏せず、結果的にロール加工性、PE分散性の改善効果を得難い。ちなみに、EPDMのSP値は、7.9である(出典:木村都威著「<ケーススタディ>ゴム工場の現場トラブル対策」大成社、S58.11.15 発行、P.19)。
【0031】
軟化点が低過ぎても、高すぎても、混練加工時の温度範囲から外れて粘着付与剤の作用を十分に奏せず、同様にロール加工性、PE分散性の改善効果を得難い。
【0032】
また、アニリン点は、高いほうが飽和度(非不飽和性)が高くて、パラフィン的傾向が強くなり、変色防止効果が高く、且つ、PEとの混和性が良好となりPE分散性も向上する。
【0033】
ここで、粘着付与剤の配合量は、結晶性PEの配合量の増大に応じて、増大させる必要がある。結晶性PEの配合量が上記5〜35 phrのとき、粘着付与剤2.5〜10 phr、望ましくは、4〜8 phrとする。前者に対する後者の配合比は、粘着付与剤/結晶性PE=1/2〜1/6、望ましくは、1/2.5〜1/4とする。粘着付与剤が過少では、混練時におけるロール加工に必要なロール粘着性を得難い。粘着付与剤が過多ではロール粘着性が高くなり過ぎてロール加工性に悪影響を与えるおそれがあるとともに、加硫ゴム配合物中における低分子量成分が増大して、加硫ゴム物性に悪影響をあたえたり、ブリードが発生するおそれがある。
【0034】
粘着付与剤は、上記特性を満足するものなら、クマロン樹脂系、フェノールテルペン系、石油炭化水素樹脂系、ロジン系等のうちから適宜選択できる。これらのうちで、水素添加(水添)石油炭化水素樹脂又は水添ロジンエステル類を全部又は主体とするものが上記各特性値が得易く、且つ、淡色(白色を含む)ないし無色透明なものが得易いため好ましい。
【0035】
ここで水添石油炭化水素樹脂としては、合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、不飽和炭化水素の重合体、イソプレン系樹脂等の不飽和結合を有する石油炭化水素樹脂の水素添加物を挙げることができる。これらの内で、水添C9石油炭化水素樹脂が全体的にバランスがとれた特性が得易く、且つ、無色透明なものであり、且つ、変色防止能が高くて望ましい。ここで、C9石油炭化水素樹脂とは、プロぺニルベンゼン、メチルスチレン、インデン等のC9(炭素数9)成分のみ又は主体として共重合させたものをいう。
【0036】
さらに具体的には、荒川林産化学(株)から「アルコンP90、P100」の商品名で上市されているものを好適に使用できる。
【0037】
ちなみに、「アルコンP100」の各特性値は、それぞれ平均値において、SP値:8.0、軟化点:100℃、アニリン点:110〜115℃であり、且つ無色透明で無味・無臭の樹脂である。
【0038】
上記水添ロジンエステル類としては、ロジンのメチルエステル、トリメチレングリコールエステル、ペンタエリスリトールエステル等の水素添加物を挙げることができる。
【0039】
さらに具体的には、荒川林産化学(株)から「ファインクリスタルCE−100」の商品名で上市されているものを好適に使用できる。
【0040】
ちなみに「ファインクリスタルCE−100」の各特性値は、各特性値は、それぞれ平均値において、SP値:8.4、軟化点:100℃、アニリン点:100℃であり、且つ非常に淡色のもろい塊状樹脂である。
【0041】
なお、本発明で使用する特定の粘着付与剤とともに、汎用の芳香族系、不飽和脂肪族系等の粘着付与剤を少量なら併用してもよい。
【0042】
加硫系は、過酸化物加硫系でもよいが、通常、硫黄加硫系とする。硫黄系加硫剤としては、硫黄の他に、活性硫黄放出形有機加硫剤も含まれる。活性硫黄放出形有機加硫剤としては、モルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド、有機多硫化重合体、さらには、チウラム系・チオウレア系等の含硫黄加硫促進剤を挙げることができる。そして、必要により、過酸化物加硫系薬剤、ポリアミン加硫系薬剤等を適宜併用することも可能である。
【0043】
ゴム配合物には、上記加硫系薬剤に加えて、カーボンブラック、プロセスオイル、滑剤、無機充填剤、老化防止剤、その他副資材を適宜配合して、混練等して、ウェザストリップ本体の押出し成形用ゴム材料とする。
【0044】
そして、成形材料としてのゴム配合物の調製は、例えば、図3に示すような混練工程を経て行なう。
【0045】
まず、バンバリミキサー(密閉式混合機)28等を用いて、原料ゴムと加硫剤を含む副資材とを一次混練する。一次混練後のゴム配合物M1を、練りロール機30で二次混練を練り返しを行ないながらゴム配合物中における副資材の分散度を高める。さらに、分出しロール機32で分出し(シート加工)を行ない、冷却槽34によるバッチオフ工程(冷却工程)を経てテープ状の成形材料M2を台車36に積み込む。
【0046】
上記混練工程において、特に、二次混練において、粘着付与剤の添加量が過少であると、原料ゴム配合物M1がロール30aから浮いて、練り返しができず、混練不可となる。
【0047】
(2) TPE配合物:
本発明の加飾層を形成するTPE配合物のベースポリマーとしては、ゴム部14を、非極性ゴムであるEPDM配合物で形成するため、オレフィン系TPE(TPO)、スチレン系TPE(SBS)等の非極性TPEを使用可能である。 EPDMゴム部との直接接着性及び耐候性等の見地から、非極性TPEとしてはTPOが望ましい。
【0048】
ここでTPOのハードセグメントとソフトセグメントの比率は、前者/後者=10/90〜90/10、好ましくは、70/30〜20/80とする。
【0049】
ハードセグメントは、オレフィン系樹脂からなり、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又は、プロピレンと炭素数が2個以上のα−オレフィンとの共重合体を使用でき、特に、ポリプロピレンが好ましい。炭素数が2個以上のα−オレフィンとしては、たとえばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。オレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR;2.16kg)が、通常、0.1〜100g/10分の範囲であり、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲のものを使用する。
【0050】
ソフトセグメントは、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム(EPR)、即ち、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(EPM)またはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)等を使用できる。ここで、α−オレフィンとしては、前述のハードセグメントの説明で列挙したものを使用可能であり、特に、プロピレンが好ましい。
【0051】
また、エチレン/α−オレフィンの重量比率は、通常90/10〜30/70、好ましくは、85/15〜45/55である。エチレンα−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合の非共役ジエンの含有量は、ヨウ素価で、通常5〜40である。なお、エチレンα−オレフィン共重合体ゴムとエチレンα−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを混合して用いてもよい。また、油展ゴムを用いてもよい。
【0052】
上記EORの、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)は、通常、10〜350であり、好ましくは30〜300である。該ムーニー粘度が低過ぎると、耐摩耗性等の機械的強度に劣ることがあり、一方、ムーニー粘度が高すぎると加飾層の表面に凹凸が発生し易く外観が損なわれることがある。
【0053】
EORは、TPE配合物中において、未架橋又は部分架橋、全体架橋などの状態で存在させることができる。
【0054】
上記TPE配合物には、通常、配合されるタルク、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、老化防止剤(耐熱・耐光安定剤)などの添加剤、顔料などを適宜配合して添加し、さらに、押出し混練後、造粒して、押出し成形材料とする。
【0055】
上記TPE配合物には、必要に応じてポリイソブチレン、ブチルゴムなどによって代表されるパーオキサイド非架橋型炭化水素系ゴム状物質及び/又は鉱物油系軟化剤を配合することもできる。なお、鉱物油系軟化剤の配合量は、通常、5〜100phrとする。
【0056】
本発明のゴム/TPE複合体(ウェザストリップ)は、ゴム部とTPE部とを直接接着させることにより製造する。ここで、直接接着とは、ゴム部とTPE部との間に、実質的なバリア層が存在しない接着状態を意味し、通常、後述の如く、加硫直後ゴム層上にTPEを押出して未硬化の内に圧着させて行うが、加硫完了直前の状態ゴム部上にTPE部を押出し又は熱プレスして、加硫接着的に接着させたりする場合等も含まれる。
【0057】
本発明のゴム/TPE複合体(ウェザストリップ)の製造方法は、他の慣用の方法でも可能であるが、例えば、図1に示すウェザストリップを製造する場合、下記のような方法で製造することが望ましい(図4参照)。
【0058】
▲1▼まず、クロスヘッド型の二色押出機38を使用して、ソリットゴム部(取り付け基部14)とスポンジゴム部(中空シール部16)とを共押出後、UHF(マイクロ波)加硫装置40、熱風加硫装置(HAV)42等により加硫して加硫ゴム押出物であるウェザストリップ本体(ゴム部)Wを得る。
【0059】
▲2▼次に、TPE配合物からなる加飾フィルムDをウェザストリップ本体Wとは独立して所定厚さ・幅で加飾フイルム押出装置44で押出後、該加飾フィルムDを硬化前に圧着ローラ46、48でウェザストリップ本体Wの取り付け基部14及び隠蔽リップ部18の上面に圧着して、ウェザストリップ本体Wに加飾層20を形成する。
【0060】
即ち、ウェザストリップ本体Wの加硫工程終了位置(図例では熱風加硫装置42の出口側外方)に、加飾フィルム押出装置44を配設し、さらに、その加飾フィルム押出ダイ(図示せず。)の出口側近傍に第一・第二圧着ローラ46、48を順接して行う。なお、50は引き取りローラである。なお、第一圧着ローラ46に対応させて、受けローラ52を配してもよい(図4二点鎖線参照)。
【0061】
ここで、ウェザストリップ本体Wと加飾フィルムDとの確実な直接接着性を担保するために、加飾フィルムDを、前記熱可塑性樹脂の溶融温度以上の状態で、圧着ローラ46、48とウェザストリップ本体(加硫ゴム押出し物)Wとの間に供給するとともに、該圧着ローラ46、48で熱可塑性樹脂の溶融温度以下に冷却して、圧着ローラ46、48と加硫ゴム押出し物Wとの間から送り出すことが望ましい。
【0062】
圧着ローラ46、48の制御温度は、通常、40〜50℃とする。熱可塑性樹脂の溶融温度から10〜20℃高めの温度で加飾フィルムDを押出すとともに、確実に、加飾フィルムを溶融温度以上の温度で圧着ローラ46、48と加硫ゴム押出し物Wとの間に供給させるため、ウェザストリップ本体Wも、100〜120℃程度に加熱しておくことが望ましい。
【0063】
【発明の効果】
本発明のゴム/TPE複合体は、上記のような構成により、後述の試験例で支持される如く、黄変などの変色を生じない。従って、本発明を自動車用ウェザストリップ等に適用した場合、いつまでも使用当初の美しい外観を維持するという顕著な効果を奏する。
【0064】
【試験例】
次に、本発明の効果を確認するために行った試験例について説明をする。
【0065】
なお、各実施例・比較例に使用した、「アルコンP100」、「水添ロジン」以外の粘着付与剤の特性は、下記の如くである。
【0066】
ロジン…SP値:8.3、軟化点:106℃、アニリン点:76℃、
ポリテルペン…SP値:9.1、軟化点:135℃、アニリン点:78℃、
(1) EPDM配合物の調製:
表1〜2に示す配合処方に基づいて、原料ゴムと副資材(薬剤)を、前述の図3に工程に従って、混練を行ない成形用EPDM配合物を調製した。なお、二次混練における、ロール混練機はミルブレンダーを有したロール数2本、ロール径24インチ、70kWのロール駆動モータを用いて、ロール回転数27rpm でロール加工混練を行なった。
【0067】
各ゴム配合物について、ロール混練性を、▲1▼ロール加工性、▲2▼混練分散度、▲3▼混練完了時間について、下記基準で評価した。
【0068】
▲1▼ロール加工性(ゴム材料のロール密着性を目視判断)…
○:ロールからの浮き無し、Χ:ロールからの浮き有り、
▲2▼混練分散度(混練終了後ゴム材料中に凝集塊の有無を目視判断)…
○:凝集塊なし、△:凝集塊やや有り、Χ:凝集塊目立つ
▲3▼混練完了時間(基準:2〜2.5分)
そして、それらの結果を表1・2に示すが、結晶性PEを含有しない比較例1は混練性に問題がないが、結晶性PEを含有して粘着付与剤無配合の比較例2は、混練性に問題があることが分かる。これに対して汎用の粘着付与剤配合の比較例3・4は、混練性に問題がないことが分かる。
【0069】
また、いずれの実施例も全ての項目において良好で、ロール混練性に問題がないことが分かる。
【0070】
なお、参考のために、比較例1及び実施例1・3・4における各ゴム配合物の未加硫ゴム物性(ムーニー粘度(ML1+4 145℃)及びムーニースコーチ時間(ST))をJIS K 67300 に準じて、ゴム加硫物の常態物性をJIS K 6301に準じて測定したので、それらの結果を示す表3から下記のことが分かる。
【0071】
結晶性PE10 phr含有する実施例1は、結晶性PEを含有しない比較例1に比して、10 phrで引張特性値(TB 、EB )が増大している。また結晶性PE20 phr含有する実施例2は、比較例1及び実施例1の双方に比して引張特性値(TB 、EB )とともに引裂強さ(TR )も格段に増大している。さらに、結晶性PE30 phr含有する実施例3は、実施例2に比して、引裂強さ(TR )及び100%モジュラスは増大するも、引張特性値(TB 、EB )はほとんど変わらない。
【0072】
(2) TPE配合物の調製:
PP(230℃ MFR=12g/10分)20部、EPDM(非共役ジエン:エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/プロピレン重量比=79/21、ヨウ素価=12)80部、有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン)0.2部をバンバリーミキサーを用いて12分間溶融混合し、動的に熱処理した。その後、パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナPW380」)5部、グレイ顔料(チタン系)0.6部を添加して5分間混合し、さらに単軸押出機にて造粒を行い、ペレット状の実施例1のTPE押出し成形用配合物を調製した。
【0073】
(3) 耐変色性(黄変)性試験
上記で調製した各ゴム配合物からなるゴム基体(1mmt×40mm幅)を押出し加硫(条件:170℃×10分)直後に、上記で調製したTPE配合物からなる加飾層(1mmt)を押出しし圧着(熱プレス60℃)して、積層シート状物を得て、裁断(40mm)して各試験片の調製をした。
【0074】
そして、各試験片について、下記各試験後の変色性(変色度)をJIS D 0205 に基づいて下記耐光性試験前後の色差により評価した。測定装置は、スガ試験機社製の「カラーナータ(TM式二光路眩防止光学系)」を用いた。
【0075】
試験結果を表1・2に示すが、本発明の要件を満たす粘着付与剤を使用した各実施例は、汎用の粘着付与剤を配合した比較例3・4に比して格段に黄変度が低いことが分かる。逆に、特定の粘着付与剤の配合が、変色防止能を有することが分かる。すなわち、本発明の特性を示す粘着付与剤の所定以上を配合すると、耐変色性を改善することが、粘着付与剤無配合の比較例2、及び過少配合の比較例5より、実施例1〜3の方が変色度合いが小さいことから分かる。
【0076】
また、本発明の特性要件を満たす粘着付与剤であっても、配合量が過少(2部)の比較例5は、混練性が良好でないことは勿論、変色度も各実施例に比較して若干高いことが分かる。
【0077】
<耐光性試験>
フェードメータ(紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機)(ブラックパネル温度:83℃)による促進暴露試験を、JIS D 0205に準じて400h行った。
【0078】
【表1】
Figure 0003654120
【0079】
【表2】
Figure 0003654120
【0080】
【表3】
Figure 0003654120

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するゴム/TPE複合体の一例を示すドアウェザストリップの断面図
【図2】同じく他の例を示すルーフサイドウェザストリップの断面図
【図3】ゴム配合物の混練工程の一例を示す説明図
【図4】 本発明のゴム/TPE複合体をウェザストリップに適用した場合のTPE部接着方法を示す概略全工程図
【符号の説明】
12 ドアウェザストリップ(ゴム/TPE複合体)
14 ウェザストリップ取り付け基部(ゴム部)
20 加飾層(TPE部)
30 練りロール機
30a 練りロール機のロール
W ウェザストリップ本体(ゴム部)
D 加飾フィルム(TPE部)

Claims (8)

  1. ゴムポリマーをエチレン−α−オレフィン系ゴム(EOR)とするゴム配合物の加硫物からなるゴム部と、熱可塑性エラストマー(TPE)配合物からなるTPE部とが直接接着されてなるゴム/TPE複合体であって、
    前記ゴム配合物が、改質樹脂ポリマーとして結晶性ポリエチレン(結晶性PE)を5〜35phr含有するとともに、粘着付与剤(タッキファイア)を含有するものであり、前記TPE配合物が、非極性TPEをベースポリマーとするものにおいて、
    前記粘着付与剤の特性が、SP値:6.0〜10.0、軟化点:90〜110℃、アニリン点:80℃以上の要件を満たすとともに、前記粘着付与剤の配合量が2.5〜10phrであることを特徴とするゴム/TPE複合体。
  2. 前記粘着付与剤の特性が、SP値:7.0〜9.0、軟化点:95〜104℃、アニリン点:105℃以上の要件を満たすことを特徴とする請求項1記載のゴム/TPE複合体。
  3. 前記粘着付与剤の全部又は主体が、水素添加(水添)石油炭化水素樹脂類から選択されることを特徴とする請求項2記載のゴム/TPE複合体。
  4. 前記水添石油炭化水素樹脂が、水添C9石油炭化水素樹脂であることを特徴とする請求項3記載のゴム/TPE複合体。
  5. 前記粘着付与剤の全部又は主体が、水添ロジンエステル類から選択されることを特徴とする請求項2記載のゴム/TPE複合体。
  6. 前記ゴム配合物が硫黄加硫系であるとともに、前記ゴムポリマーが、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(EODM)であるとともに、前記結晶性PEの配合量が5〜35 phr、粘着付与剤の配合量が2.5〜10 phrであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のゴム/TPE複合体。
  7. 前記非極性TPEがオレフィン系TPEであることを特徴とする請求項6記載のゴム/TPE複合体。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のゴム/TPE複合体において、前記ゴム部をウェザストリップ本体とし、前記TPE部を加飾層とすることを特徴とする自動車用ウェザストリップ。
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