JP4370411B2 - 育毛養毛剤、育毛養毛用毛髪化粧料および育毛養毛用医薬組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、育毛養毛剤、前記育毛養毛剤を有効成分として含有する養育毛用の毛髪化粧料及び医薬組成物に関するもので、詳しくは、発毛育毛の効果に優れ、かつ長期にわたる使用に十分耐え得る安全性を備えた育毛養毛剤、前記育毛養毛剤を有効成分として含有する育毛養毛用の毛髪化粧料及び医薬組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人間にとって毛髪は容姿を大きく左右し、美容上非常に重要な位置を占めている。また脱毛症には今だに的確な治療法がなく、脱毛症又はその傾向のある人々の深い悩みの種となっている。脱毛症には先天性と後天性のものがあるが、その発症原因,発生機序について多くの研究がなされてはいるものの不明な点が多く、そのため手探り的に開発された育毛養毛剤が非常に多く市場に出ているのが現状である。
【0003】
従来より、各種薬剤を配合した養毛化粧料が知られている。例えば、ビタミンE、アロキサジン、ピリジンN−オキシド、アデノシン3',5'−環状一リン酸等の化合物を配合してなる組成物(下記特許文献1〜3参照)、ヨクイニン、イチョウ、カシュウ等の生薬抽出エキスを配合してなる組成物(下記特許文献4〜6参照)が開示されている。その他にも、血流循環改善効果を有するビタミンE類・センブリエキスや、栄養補給剤となるアミノ酸としてシステイン・メチオニンや、女性ホルモン剤であるエストラジオール・エチニルエストラジオールなどが育毛養毛剤に配合されている。
【0004】
更に、これらの有効成分を脱毛の様々な原因に対応して適宜組み合わせた育毛養毛剤が開発されており、脱毛症の予防及び/又は治療に用いられている。従来の養育毛用毛髪化粧料はフケ、カユミの改善や、抜毛などの予防に有効で、発毛や育毛を促進するとされているが、非常に個人差が大きく、作用も十分とはいえないため、いまだ満足すべき効果を発揮するものは得られていなかった。
【0005】
近年、骨形成蛋白について、毛包形成との関わりが指摘され、この骨形成蛋白の育毛養毛作用に関心がもたれているが、毛包形成に関与するという説(下記非特許文献1参照)や毛包形成に阻害的に作用するという説(下記非特許文献2参照)があり、具体的な役割は判明していなかった。特に、ヒト毛包形成における作用は報告されていなかった。このように、毛包形成のメカニズムや毛包形成に関与する物質の探索から、新規の育毛養毛剤を創出する試みも検討されてはいるが、毛包形成を促進して育毛養毛効果を有する物質を見出するところには至っていない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭64−56608号公報
【特許文献2】
特開平1−261321号公報
【特許文献3】
特開平2−204406号公報
【特許文献4】
特公平1−13451号公報
【特許文献5】
特開平2−48512号公報
【特許文献6】
特開平2−48514号公報
【非特許文献1】
Liang Maら、Development 130: 379−389, 2003
【非特許文献2】
Collin Jamoraら、Nature 422: 317−322, 2003
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに提供された育毛養毛剤には前記のとおり各種の化合物、生薬等の抽出物が適用されているが、実際には顕著な効果を示すものがほとんどなく、ある程度の効果を有するものも皮膚刺激があるなど、連続使用が困難であるといった欠点があった。そのため、育毛養毛の効果に優れ、かつ長期にわたる使用に十分耐え得る安全性を備えた育毛養毛の促進剤を探索し、これを有効成分としたより効果の高い新たな育毛養毛剤を開発することが課題であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような事情に鑑み、脱毛防止、発毛等に有効で、安全性に優れた薬剤を探索するため、脱毛症の原因解明を行い、脱毛者の脱毛部位と非脱毛部位の毛乳頭細胞における遺伝子発現比較を行った。すなわち脱毛者の脱毛部位と非脱毛部位の各々の細胞で発現している遺伝子についてDNAアレイ解析を用いて網羅的に解析した(DNAアレイ解析に関しては「DNAマイクロアレイ実践マニュアル」を参照)。その結果、脱毛者の脱毛部位において、非脱毛部位と比較して遺伝子発現が増加している因子群と、遺伝子発現が低下している因子群が存在することをつきとめた。この遺伝子発現が低下している因子群には、毛乳頭細胞から細胞外に放出され、且つ非脱毛部位に対する脱毛部位の前記因子の発現比が顕著に低下しているものとして、骨形成蛋白(Bone morphogenic protein、以下、BMPともいう)、及びエフリン(ephrin)が存在しており、これらに着目し更に検討を進めた。その結果、これら因子が、毛包細胞の増殖性を高める作用、更には髪の毛を構成する蛋白質であるケラチンを合成する能力を高める作用を有することを見出した。本発明では、これらの作用を総称して、「ケラチン生合成促進作用」という用語を用いる。
【0009】
これらケラチン生合成促進作用を有する蛋白質は、後述のように所定量を生体の所要部位に投与する必要があるが、これらの蛋白質は生体内に存在するため、外部から投与しなくても、生体内に既に存在する当該蛋白質を活性化する物質を投与するだけでも、一定の育毛養毛効果を期待できることも判明した。したがって、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質とその活性化剤とを同時投与すれば、より効果的であることも推定される。
【0010】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を採用した育毛養毛剤、前記育毛養毛剤を有効成分として含有する育毛養毛用の毛髪化粧料及び医薬組成物を提供する。
[1] 育毛養毛成分としてエフリンA3を含有することを特徴とする育毛養毛剤。
[2] 育毛養毛成分として、さらにローマンカモミール抽出物を含有することを特徴とする、上記[1]に記載の育毛養毛剤。
[3] 育毛養毛成分として、エフリンA3の活性化作用を有するローマンカモミール抽出物を含有することを特徴とする育毛養毛剤。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の育毛養毛剤を有効成分として含有する育毛養毛用毛髪化粧料。
[5] 上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の育毛養毛剤を有効成分として含有する育毛養毛用医薬組成物。
【0011】
【発明実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
(育毛養毛を促進する方法)
本発明を適用して哺乳類の育毛養毛を促進する方法は育毛養毛成分として、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質、及びその活性化剤の少なくともいずれか一方を、育毛養毛させたい部分に与えることを特徴とする。前記蛋白質としては、骨形成蛋白、エフリンがあげられ、前記骨形成蛋白、エフリン、及びそれらの活性化剤は、育毛養毛効果を有し、脱毛の防止、発毛の促進等により養毛育毛を図り、美容上の毛髪容姿を改善し、脱毛症等の治療に使用することなどができる。
【0012】
前記骨形成蛋白(Bone morphogenic protein、BMP)とは、骨形成因子とも呼ばれる生体内に存在する蛋白質であり、これまでに同様な骨形成作用を有しアミノ酸配列が異なる16種類の蛋白質が存在することが知られている(J.Invest.Dermatol.120:36−47,2003)。本発明における骨形成蛋白とは、前記骨形成蛋白及びそのペプチド断片のうち、ケラチン生合成促進作用を発揮するものであり、そのような骨形成蛋白としては、BMP1を除く、全ての骨形成蛋白及びケラチン生合成促進作用を有する骨形成蛋白のペプチド断片を挙げることができる。周知のように、BMP1はプロテアーゼ活性を持つ蛋白質でありながら、命名の過程でBMPと表記されてきた。従って本発明でいう骨形成蛋白には含まれない。本発明においては、以上の骨形成蛋白を、単一若しくは複数で使用することができる。
【0013】
これらの骨形成蛋白のうち、毛包細胞の増殖性を高める作用、及びケラチンを合成する能力を高める作用、すなわちケラチン生合成促進作用に優れる点からBMP2、及び/又はBMP5を使用することが好ましい。また、前述のケラチン生合成促進作用を有する、骨形成蛋白のペプチド断片を使用することもできる。
【0014】
前記エフリン(ephrin)は、前記ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質であり、同様な機能を有し、アミノ酸配列が異なる6種類の蛋白質が存在する。本発明におけるエフリンとは、前記エフリン及びそのペプチド断片のうち、ケラチン生合成促進作用を発揮するものであり、全てのエフリン及びケラチン生合成促進作用を有するエフリンのペプチド断片を挙げることができる。また、本発明においては、これらのエフリンを、単一若しくは複数で使用することができる。
【0015】
これらのエフリンのうち、ケラチン生合成促進作用に優れる点から、エフリンA3を使用することが好ましい。また、前述のケラチン生合成促進作用を有する、エフリンのペプチド断片を使用することもできる。
【0016】
前記骨形成蛋白、及びエフリンの活性化剤は、骨形成蛋白及びエフリンの少なくともいずれか一方の活性を賦活し、それらの毛包細胞の増殖性を高める作用、更には髪の毛を構成する蛋白質であるケラチンを合成する能力を高める作用を活性化するものであれば、薬理学的、製剤学的に許容される範囲である限り、特に制限されない。前記活性化剤としては、特定の植物の抽出物、合成物などが挙げられる。
【0017】
前記ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質を投与せず、前記活性化剤単独の投与でも一定の育毛養毛効果を得ることが可能である。それは、前記蛋白質は生体内に存在する蛋白質であり、この生体内蛋白質が活性化剤によって活性化されることにより、前記の毛包細胞の増殖性を高める作用、及びケラチンを合成する能力を高める作用、すなわちケラチン生合成促進作用が生じるためと推定される。
【0018】
前記植物の抽出物としては、シイタケ、ジュニパー、ハゴロモグサ、ヒメオドリコオソウ、ラベンダー、リッツェアクベバ、セイヨウボダイシュ、マンケイシ、ヨーロッパシラカバ、ソウキセイ、ローマンカモミールの抽出物を挙げることができるが、特にこれに限定されない。これらの抽出物のなかでも、ラベンダー、ハゴロモグサ、ローマンカモミールの抽出物を使用することが、毛包細胞の増殖性を高める作用、及びケラチンを合成する能力を高める作用に優れる点から好ましい。
【0019】
これらの抽出物は、市販品あるいは公知の方法によって得られたものを使用することができる。この場合、抽出に用いる溶媒としては水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0020】
前記抽出工程における各種条件は、特に制限されるものではないが、通常、抽出原料と前記抽出溶媒との比率は、質量比で抽出原料:抽出溶媒=1:2〜1:50程度の範囲が好ましく、抽出温度としては、5〜80℃の範囲で、1時間〜1週間、抽出溶媒に浸漬したり、攪拌することによって行うと好適である。なお、抽出pHは、極端な酸性又はアルカリ性でなければ、特に制限はない。
【0021】
前記抽出溶媒が水、エタノール、水/エタノール(含水エタノール)等の非毒性の溶媒である場合は、抽出物をそのまま用いても良く、あるいは希釈液として用いることができる。また、前記抽出物を濃縮エキスとしてもよく、凍結乾燥などにより乾燥粉末物にしたり、ぺースト状に調製してもよい。なお、他の溶媒を用いた場合は、溶媒を留去後、乾燥分を非毒性の溶媒で希釈して用いることが望ましい。
【0022】
前記抽出物の配合量は、特に制限されるものではないが、通常製剤全体に対して抽出物として0.01〜20質量%(以下、%と略称する)、特に0.1〜10%が好ましい。この濃度の範囲より少ないと十分な効果が期待できず、また多すぎても効果が頭打ちになったり、製剤の安定性の面で不具合が発生する可能性がある。
【0023】
前記骨形成蛋白、エフリン、及び前記活性化剤は、塗布剤、スプレー剤、貼付剤、トリートメント剤など、毛髪化粧料及び医薬品組成物などとして許容される種々の製剤として、育毛養毛させたい部分に接触、浸透など種々の方法により与え、哺乳類の育毛養毛を促進することができる。
【0024】
(育毛養毛剤)
また本発明は、育毛養毛成分として、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質、及び該蛋白質の活性化剤の少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする育毛養毛剤を提供する。前記蛋白質、及び該蛋白質の活性化剤は、育毛養毛効果を有し、育毛養毛剤として使用することができる。育毛養毛剤とは、一般に頭部など毛髪を有する体の部分に使用し、脱毛の防止、発毛の促進等の育毛養毛効果を有する外用剤のことをいう。
【0025】
本発明の育毛養毛剤の前記蛋白質としては、骨形成蛋白、及びエフリンを挙げることができ、これらの少なくともいずれか一方を含有する。前記骨形成蛋白としては、BMP1を除く、16種類の骨形成蛋白が、単独又は複数使用される。前記エフリンとしては、6種類のエフリンが、単独又は複数使用される。骨形成蛋白のなかでも、BMP2、及びBMP5を使用することが好ましく、また、エフリンのなかでも、エフリンA3を使用することが好ましい。
【0026】
前記骨形成蛋白、及びエフリンは、は動物組織から抽出する方法もあるが、当該蛋白質を発現する遺伝子を導入した微生物もしくは動物細胞の培養上清から抽出することで含量の高い均一な蛋白質を得、これら蛋白質を配合することが可能である。
【0027】
前記蛋白質の活性化剤としては、特定の植物の抽出物、合成物などが挙げられる。
【0028】
前記植物の抽出物としては、前述のように、シイタケ、ジュニパー、ハゴロモグサ、ヒメオドリコオソウ、ラベンダー、リッツェアクベバ、セイヨウボダイシュ、マンケイシ、ヨーロッパシラカバ、ソウキセイ、ローマンカモミールの抽出物を挙げることができるが、特にこれに限定されない。これらの抽出物のなかでも、ラベンダー、ハゴロモグサ、ローマンカモミールの抽出物を使用することが、前述の蛋白質の毛包細胞の増殖性を高める作用、及びケラチンを合成する能力を高める作用、すなわちケラチン生合成促進作用に優れる点から好ましい。
【0029】
本発明の育毛養毛剤は、更に、既存の育毛養毛成分を含有してもよい。前記既存の養育毛成分としては、ペンタデカン酸グリセリド(以下、PDGともいう)、コレウスエキス(特開平09−157136号公報)、ゲンチアナエキス、マツカサエキス、ローヤルゼリーエキス、クマザサエキス(以上、特開平10−45539号公報)などの化学物質及びエキス類を挙げることができる。中でも、育毛養毛効果の点から、PDG、コレウスエキスが好ましい。
【0030】
前記既存の育毛養毛成分の化学物質及びエキス類としては、市販品あるいは公知の方法によって得られたものを使用することができる。特に、前記エキス類は植物成分の抽出により得ることができる。この場合、抽出に用いる溶媒としては水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類などが挙げられ、これらは一種を単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。抽出方法は、通常の植物エキスの抽出法などの方法に準じて行えばよく、必要により公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。また、市販の抽出物も用いることができる。
【0031】
本発明の有効成分は、任意の量で配合できる。配合量は、製品形態、使用頻度によるが、蛋白質及びそのペプチド断片を配合する場合は、0.000001〜0.001重量%(以下、%と略称する)であり、0.00001〜0.01%が好ましい。前記活性化剤成分の配合量は、前記植物の抽出物の場合、前述のように0.01〜20%、特に0.1〜10%が好ましい。この濃度の範囲より少ないと十分な効果が期待できず、また多すぎても効果が頭打ちになったり、製剤の安定性の面で不具合が発生する可能性がある。
【0032】
本発明の有効成分である前記既存の育毛養毛成分のうちゲンチアナエキス、マツカサエキス、ローヤルゼリーエキス、クマザサエキスを0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10%、PDGを0.01〜20%、好ましくは0.1〜10%、コレウスエキスを0.00001〜10%、好ましくは0.001〜5%とすることが好ましい。この配合比率の範囲より少ないと十分な効果が期待できず、また多すぎても効果が頭打ちになったり、製剤の安定性の面で不具合が発生する可能性があり、好ましくない。
【0033】
また、本発明の育毛養毛剤には、使用目的に応じて、上記有効成分以外の任意の成分を配合することができる。そのような成分としては、例えば、精製水、エタノール、非イオン性界面活性剤、糖質系界面活性剤およびその他の界面活性剤、セルロース類、油脂類、エステル油、高分子樹脂、色剤、香料、紫外線吸収剤やビタミン類、ホルモン類、血管拡張剤、アミノ酸類、抗炎症剤、皮膚機能亢進剤、角質溶解剤等の薬効成分などを挙げることができる。
【0034】
前記セルロース類としてはヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが、前記界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノまたはイソステアレート、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノミリスチン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン)等が、前記油脂類としては、多価アルコール脂肪酸エステル(トリ−2エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン酸等)、サフラワー油、月見草油、ホホバ油等が、前記エステル油としては不飽和脂肪酸アルキルエステル(オレイン酸エチル、リノール酸イソプロピル等)ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピルが、前記アミノ酸類としては、メチオニン、セリン、グリシン、シスチン等が、更に前記角質溶解剤としては、サリチル酸、レゾルシン等が、前記高分子樹脂としては、両性、カチオン性、アニオン性及びノニオン性ポリマーが、前記紫外線吸収剤としては、メトキシケイ皮酸オクチル(ネオヘリオパンAV)、オキシベンゾン、ウロカニン酸等が挙げられる。
【0035】
本発明の育毛養毛剤の利用分野は、各種の外用製剤類(動物用に使用する製剤も含む)全般において利用でき、具体的には、カプセル状、粉末状、顆粒状、固形状、液状、ゲル状、軟膏状、或いは気泡性の1)医薬品類、2)医薬部外品類、3)局所又は全身用の皮膚化粧品類、4)頭皮・頭髪に適用する薬用及び/又は化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、トリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料など)が挙げられる。
【0036】
本発明は、また、育毛養毛剤を有効成分として含有する養育毛用毛髪化粧料及び医薬品組成物を提供する。前記育毛養毛用の毛髪化粧料及び医薬品組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、既知の薬効成分を必要に応じて適宜配合することができる。例えば抗菌剤、抗炎症剤、保湿剤等を配合することができる。
【0037】
本発明の育毛養毛用の毛髪化粧料及び医薬品組成物は、常法に従って均一溶液、ローション、ジェルなどの形態で外用して使用することができる。また、本発明の養育毛用毛髪化粧料は、エアゾールの形態をとることができ、その場合には、上記成分以外に、n−プロピルアルコールまたはイソプロピルアルコールなどの低級アルコール:ブタン、プロパン、イソブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の可燃性ガス:窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等の圧縮ガスを含有することができる。
【0038】
(育毛養毛剤のスクリーニング方法)
また、本発明の育毛養毛剤のスクリーニングは、(イ)骨形成蛋白に対する活性化物質を選択すること、及び(ロ)エフリンに対する活性化物質を選択すること、のうちの少なくともいずれか一方を選択することにより行うことが好ましい。このスクリーニング方法は、育毛養毛剤が男性型脱毛に対する抑制剤である場合に特に有用である。
【0039】
前記の活性物質の選択は、骨形成蛋白及び/又はエフリンの毛包細胞の増殖性を高める作用、及びケラチンを合成する能力を高める作用の少なくともいずれか一方を指標として行われる。
【0040】
本発明においては、前記の2つの指標のうち、少なくとも一つを指標とするスクリーニング方法であれば如何なる試験方法を用いてもよい。試験に用いる材料としては、マウスなどの小動物、毛乳頭細胞や外毛根鞘細胞などの従来技術にて実施可能な培養細胞など如何なる試験材料を用いても良く、これら蛋白質の活性化を調べる方法としても遺伝子工学的手法あるいは免疫組織学的手法、ウエスタンブロッティングなどの生化学的手法など任意の方法を単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。好ましくは、候補化合物を添加した後の毛乳頭細胞から得られるメッセンジャーRNA(リボ核酸)を試験材料とし、BMPあるいはエフリンの発現量をRT−PCR(Reverse transcriptase polymerase chain reaction)法あるいは定量的PCR法(何れも「バイオ実験イラストレイテッド▲3▼巻、秀潤社を参照)を用いて定量する。
【0041】
本発明は、前記スクリーニング方法により選択された育毛養毛剤である。選択された育毛養毛作用を有する物質としては、前記の植物の抽出物などが挙げられる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
[実施例1〜4、比較例1]
本発明の有効成分の毛包細胞に対する影響を調べるために、ヒト毛包由来細胞の培養系を用いて、表−1に示した成分(BMP2及びBMP5は100ng/ml、残りの成分は0.1%エキス重量%で添加)を5日間添加して培養した後の細胞増殖性を検討した。
【0044】
【表1】
【0045】
表−1の結果から、本発明の有効成分であるBMP2、BMP5、及び前記蛋白質の活性化剤であるローマンカモミール抽出物を添加した場合に良好な毛包細胞の増殖作用及びその亢進作用が認められた。
【0046】
[実施例5〜7、比較例2,3]
本発明の有効成分の毛髪形成に対する影響を調べるために、ヒト毛包由来細胞の培養系を用いてBMP2(50,100ng/ml)及びBMP5(100ng/ml)を添加して12時間培養した後の細胞中のケラチン遺伝子量を遺伝子工学的に測定した。図1に示されるように、BMP2(100ng/ml)及びBMP5(100ng/ml)の添加により、細胞中のケラチン遺伝子量の増加が認められた。下記の表2に、BMP2及びBMP5の添加によるケラチン遺伝子量の増加を、比較例(BMP2及びBMP5の添加なし)のケラチン遺伝子量との比で示した。
【0047】
【表2】
【0048】
以上の結果より、本発明の有効成分は良好な毛包細胞の増殖亢進作用を有するとともに、毛髪形成に対しても亢進作用があることが判明した。また、本発明の範囲外の試験試料(比較例1〜4)はいずれもそれらの作用を示さなかった。
【0049】
[実施例8]
次に本発明の有効成分を実際の製品に適用した配合例による実施例を示す。なお、下記の各配合例の育毛養毛剤は、それぞれの組成に従い、各剤型の常法に準じて調整した。なお、下記の配合量の単位は重量%である。
【0050】
下記の表3には、本発明の有効成分であるBMP5を適用した配合例を示した。本配合例は、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質のみを適用した配合例である。
【0051】
【表3】
【0052】
下記の表4には、本発明の有効成分であるローマンカモミール抽出エキスを適用した配合例を示した。本配合例は、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質の活性化剤のみを適用した配合例である。
【0053】
【表4】
【0054】
下記の表5には、本発明の有効成分であるエフリン及びハゴロモグサ抽出物を適用した配合例を示した。本配合例は、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質及びその蛋白質の活性化剤をともに適用した配合例である。
【0055】
【表5】
【0056】
下記の表6には、本発明の有効成分であるラベンダー抽出エキスを適用した配合例を示した。本配合例は、ケラチン生合成促進作用を有する蛋白質の活性化剤のみを適用した配合例である。
【0057】
【表6】
【0058】
[実施例9]
毛乳頭細胞をDMEM(10%FBSを添加)培地中で培養し、評価に可能な細胞数に達したところで評価物質を添加した。評価物質を添加してから8時間後に細胞を回収し、遺伝子抽出キット(Rneasy mini kit、キアゲン社)を用いてメッセンジャーRNAを抽出した。この試料に対し、BMPもしくはephrinを検出するためのオリゴヌクレオチドを用いてRT−PCR反応を行った(PCR反応は従来技術に沿って行った)。反応後の遺伝子産物をゲル電気泳動により分離し、内部標準とするGAPDH(グルタルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ)とのバンド濃度比により間接的に定量し、評価物質の効果を判定した。その結果、BMP2及びBMP5を評価物質とした場合には、図1に示すゲル電気泳動像が得られた。このバンド濃度比により間接的に定量した結果を表2に示した。表2に示すように、BMP2及びBMP5はケラチン遺伝子量を明らかに上昇させ、ケラチン生合成促進作用を有することが判明した。
【0059】
【発明の効果】
本発明の育毛養毛方法、育毛養毛剤、及び育毛養毛用の毛髪化粧料及び医薬品組成物は、優れた育毛養毛効果を有し、かつ長期にわたる使用に十分耐え得る安全性を備えるものである。また、本発明の育毛養毛剤のスクリーニング方法は、効率よく、かつ高精度で行うことができ、優れた育毛養毛効果を有する育毛養毛剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】左図は、BMP2を添加した場合のヘアケラチンHa3−II遺伝子のバンドを表す図である。
右図は、BMP5を添加した場合のヘアケラチンHa3−II遺伝子のバンドを表す図である。
Claims (5)
- 育毛養毛成分としてエフリンA3を含有することを特徴とする育毛養毛剤。
- 育毛養毛成分として、さらにローマンカモミール抽出物を含有することを特徴とする請求項1に記載の育毛養毛剤。
- 育毛養毛成分として、エフリンA3の活性化作用を有するローマンカモミール抽出物を含有することを特徴とする育毛養毛剤。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の育毛養毛剤を有効成分として含有する育毛養毛用毛髪化粧料。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の育毛養毛剤を有効成分として含有する育毛養毛用医薬組成物。
Priority Applications (1)
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