JP4370019B2 - 電気二重層コンデンサの電界賦活方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分極性電極に静電容量の大きい高性能な炭素材料を使用してなる電気二重層コンデンサにおいて、最初の充電条件及び2回目の充電(再充電)条件を最適化することにより、同じ分極性電極を用いた場合であっても、静電容量密度を向上させることを可能ならしめる電気二重層コンデンサの電界賦活方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層コンデンサは、ファラッド級の大容量を有し、充放電サイクル特性にも優れることから、電子機器のバックアップ電源や自動車を始めとした各種輸送機のバッテリーとして用いられている他、エネルギーの有効利用の観点からは、夜間電力の貯蔵といった用途での使用も検討されている。
【0003】
このような電気二重層コンデンサの基本構造の1つである単電極セル10は、図1に示されるように、一般的には金属材料からなる集電体20・22にそれぞれ正極側の分極性電極24と負極側の分極性電極26が形成され、分極性電極24・26がセパレータ28によって隔離された構造を有しており、分極性電極24・26には、溶媒と電解質とからなる電解液が含浸される。
【0004】
図2は単キャパシタセル12の構造を示しており、複数の単電極セル10を、集電体20・22に形成された電極取り出し部30・32をそれぞれ電気的に並列接続した構造を有している。自動車用等に用いられる比較的容量の大きな電気二重層コンデンサとしては、このような単キャパシタセル12が好適に用いられる。これら単電極セル10や単キャパシタセル12は、共に平板型であり、高充填、大面積化が容易である特徴を有するが、内部抵抗は大きくなりがちである。
【0005】
このような平板型の電気二重層コンデンサに対して、図3に示すような捲回型の電気二重層コンデンサ70もあり、捲回型は単キャパシタセル12と同様に、高容量化に適した構造である。捲回型電気二重層コンデンサ70においては、集電体20に正極側の分極性電極24が形成された正極シート72と、集電体22に負極側の分極性電極26が形成された負極シート74とを、セパレータ28を介して円筒状に捲回して作製された捲回体76が用いられ、例えば、この捲回体76をケース78に収容して電解液を充填し、各極シート72・74と電極端子80の各々との導通を確保しながら、電極端子80が形成された封口板82でケース78の開口端面を封止することで作製される。
【0006】
このような電気二重層コンデンサ用の分極性電極材料としては、比表面積が1000m2/g以上の活性炭を主体とするものが従来から使用されている。しかし、このような活性炭を用いた電気二重層コンデンサの静電容量密度は15F/cc程度が限界であり、また、耐電圧も3V程度であった。そこで、分極性電極材料の高容量化を図るべく、特開平9−275042号公報や特開平9−320906号公報には、炭素材料をアルカリ化合物と共に熱処理して製造された高容量の新しい分極性電極材料が報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、電気二重層コンデンサの静電容量は、製造後に充電・放電の処理を行うことによって確認され得るが、この最初の充電条件及び2回目の充電(再充電)条件によって、同じ分極性電極材料を用いた電気二重層コンデンサであっても、静電容量に差が現れることが予想される。即ち、発明者は、分極性電極材料中に静電容量を発現する場を可能な限り多く形成して安定に存在させること、即ち、電解液中のアニオン及びカチオンと分極性電極材料との相互作用の場を多く形成して安定に存在させることが、最初の充電条件及び2回目の充電(再充電)条件を最適化することにより、可能であると考えた。
【0008】
このような最初の充電条件の最適化は、使用する分極性電極材料の種類に依存することなく、適応されるものである。特に、炭素材料をアルカリ化合物と共に熱処理して製造された分極性電極材料を用いた場合のように、最初の充電における電位と充電時間の関係が、2回目以降の充電における電位と時間の関係と異なる挙動を示す場合には、最初の充電条件が、静電容量の発現に深く関与していると考えられることから、最初の充電条件を最適化することは非常に重要と考えられる。
【0009】
また、アルカリ化合物と共に熱処理して製造された分極性電極材料では、充放電によって体積変化が生ずるため、この体積変化の可逆性を良好に保つことができる構造であって、しかも大きな静電容量が発現する構造を得るための大きな要因が、最初の充電条件にあるということが予想される。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気二重層コンデンサの最初の充電条件を最適化することによって静電容量の増大を可能ならしめる電気二重層コンデンサの電界賦活方法を提供することにある。
【0011】
即ち、本発明によれば、アルカリ金属とアルカリ金属化合物の少なくとも1種と共に、アルカリ金属の蒸気が発生する温度以上で熱処理された炭素材料を主材として形成された分極性電極が、有機電解液に浸漬されてなる電気二重層コンデンサの電界賦活方法であって、電気二重層コンデンサに最初の充電を行った後に一旦放電させ、放電させた電気二重層コンデンサの分極性電極の極性を反転させて再充電を行う工程を備え、最初の充電における定電流充電を、実使用時に使用する電流よりも低い電流で行い、及び/又は、最初の充電を、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで定電流充電を行った後、当該所定電圧において緩和電流が十分に小さくなるまで定電圧充電を行うとともに、再充電における定電流充電を、実使用時に使用する電流よりも低い電流で行い、及び/又は、再充電を、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで定電流充電を行った後、当該所定電圧において緩和電流が十分に小さくなるまで定電圧充電を行うことを特徴とする電気二重層コンデンサの電界賦活方法、が提供される。
【0014】
このような本発明の電界賦活方法においては、最初の充電や再充電における定電流充電の充電電流を、実使用時の充電電流の1/2以下とすることが好ましく、また、緩和電流が十分に小さくなるまで行う定電圧充電の充電電圧を、単セル当たり、3V超4V未満の範囲とすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電界賦活方法が好適に適用される電気二重層コンデンサ(以下、「コンデンサ」という。)は、アルカリ金属とアルカリ金属化合物(以下、「アルカリ金属等」という。)の少なくとも1種と共に、そのアルカリ金属の蒸気が発生する温度以上で熱処理された炭素材料を主材として形成された分極性電極が、有機電解液に浸漬されてなるコンデンサである。
【0016】
アルカリ金属等と共に熱処理する前の炭素材料(以下、「炭化材料」という。)は、石油コークス、石炭コークス、石油ピッチ(タール)、石炭ピッチ(タール)、フェノール樹脂、メソフェーズカーボン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ヤシガラ、大鋸屑等の有機材料を、不活性ガス雰囲気中で、約700℃〜1000℃の温度範囲で熱処理し、炭化させることによって作製される。これらの有機材料は、1種類を単独で用いてもよく、また複数種の混合物として用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス、ヘリウムガスといった希ガスが好適に用いられる。
【0017】
次に、得られた炭化材料は、所定粒径を有するように粉砕することが好ましい。ここで、有機材料が粉末状である等のために炭化材料が粉末の形で得られる場合には、粉砕処理は必ずしも必要ではない。この粉砕処理により、次工程におけるアルカリ金属等との反応の均一化と、熱処理時間の短縮を図ることができるようになる。なお、ここでの粉砕処理は、乾式・湿式を問わず、公知の種々の方法を用いることができる。
【0018】
作製された粉末状の炭化材料は、アルカリ金属等の少なくとも1種と共に、そのアルカリ金属の蒸気が発生する温度以上で熱処理される。ここで、アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム、リチウムが好適に用いられ、これらアルカリ金属の化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物や炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩が好適に用いられる。これらのアルカリ金属とその化合物は、複数種を混合して用いてもよい。
【0019】
なお、これらのアルカリ金属の蒸気が発生する温度での処理とは、炭素材料とアルカリ金属等を混合し、アルカリ金属の蒸気が発生する温度にまで加熱して処理することをいい、この熱処理は不活性ガス雰囲気中で行われる。
【0020】
炭化材料は、こうしてアルカリ金属等と共に熱処理された後、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒や蒸留水等を用いて、洗浄、濾過、乾燥して単離され、分極性電極に用いられる炭素材料が得られる。
【0021】
こうして得られた炭素材料の微構造は、原料として使用した有機材料によって異なるが、大きくは、図4の模式図に示した2種類に分けることができる。図4(a)、(b)に示されるように、炭素材料90・92は、共に黒鉛類似の微結晶炭素94(微結晶炭素94の網平面は紙面に垂直)が層状に積層されてなる構造体96から主に構成され、構造体96そのものは微結晶炭素94がほぼ平行にほぼ等間隔で積み重なった構造を有している点で、共通している。
【0022】
そして、図4(a)の炭素材料90の構造は、各構造体96間の配列が、層平面が略平行に、但し、完全に平行となるようには配向しておらず、不規則に角度を持って積み重なった構造を有している。このような炭素材料90は、炭化処理における黒鉛化が起こり易い有機材料を用いた場合に多くみられる。
【0023】
一方、図4(b)の炭素材料92の構造は、各構造体96がランダムに網目状に配列された構造を有し、このような炭素材料92は、炭化処理における黒鉛化が起こり難い有機材料を用いた場合に多くみられる。
【0024】
さて、このような炭素材料を主材料として、分極性電極が作製される。この分極性電極の作製は、炭素材料に有機バインダやカーボンブラック等の導電助剤を添加した後、混合、混練等し、板状やシート状といった種々の形状に加工することで行われる。
【0025】
なお、炭素材料は、コンデンサの構造に関係なく分極性電極の材料として用いることができる。例えば、分極性電極を前述した図1記載の単電極セル10や図2記載の単キャパシタセル12、更には図3記載の捲回体76のような構造に形成して、ケースに収容し、有機電解液を含浸させることで種々の構造のコンデンサが作製される。
【0026】
コンデンサの構造は異なっても、使用される有機電解液には変わりはない。有機電解液の溶質、即ち電解質としては、4級アンモニウムの4フッ化ホウ酸(BF4 -)塩又は6フッ化リン酸(PF6 -)塩、或いはテトラエチルアンモニウム(TEA+)又はテトラブチルアンモニウム(TBA+)のBF4塩又はPF6塩、トリエチルメチルアンモニウム(TEMA+)のBF4塩又はPF6塩、或いは4級ホスホニウム塩のBF4塩又はPF6塩、テトラエチルホスホニウム(TEP+)のBF4塩又はPF6塩、或いは一般式
【0027】
【化1】
【0028】
(式中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、R1、R2は同じ基でもよいし、異なる基でもよい。)に示されるイミダゾリウム誘導体のBF4塩又はPF6塩、1−エチル−3−メチルイリダゾリウム(EMI+)のBF4塩又はPF6塩が好適に用いられる。
【0029】
一方、電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチルラクトン(GBL)、エチレンカーボネート(EC)、スルホラン(SL)の少なくとも1種を含むものが好適に用いられる。また、前記PC、GBL、EC、SLの少なくとも1種を含むものを主溶媒とし、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)の少なくとも1種を含むものを副溶媒としたものを用いることも可能である。
【0030】
ここで、主溶媒とは、その物質単独であっても電解液溶媒として十分な性能が得られる溶媒をいい、副溶媒とは、その物質単独では電解液溶媒としての性能は低いが、主溶媒と組み合わせて用いることで、主溶媒単独又は副溶媒単独以上の性能が得られる溶媒をいい、副溶媒の添加量は、例えば50%以下である、といった制限のあるものではない。
【0031】
さて、こうして作製されたコンデンサの最初の充放電においては、一般的には、先ず所定電圧となるまでは定電流充電を行い、次いで定電流充電後の所定電圧にて一定時間ほど定電圧充電を行うことで充電が行われ、そして、充電状態から所定の電流値で定電流放電を行うことで放電が行われる。こうして静電容量が確認される他、最初の充電によって、コンデンサの静電容量がほぼ決定される。
【0032】
図8は、前述した炭素材料を用いて作製した分極性電極の厚みが0.5mmのコンデンサの最初(第1回)の充放電と2回目以降の充放電における電圧の時間変化を示したグラフである。このグラフは1個の単電極セルでの充放電特性を示したものであり、充電における定電流充電は4mA/cm2で4Vとなるまで行い、次いで4Vで20分間の定電圧充電を行い、その後に2mA/cm2の定電流で放電を行った結果を示している。
【0033】
最初の充放電曲線と2回目の充放電曲線とを比較すると、特に、充電開始直後の定電流充電域での電圧変化の様子が著しく異なっていることがわかる。しかし、2回目以降の充放電においては、充放電曲線には殆ど変化は現れていない。このことから、最初の充放電における特に充電段階での定電流充電が、分極性電極の充放電に関わる組織や構造、形態の形成、即ち静電容量の発現に密接に関係していることが推測される。そこで、本発明においては、最初の充電処理、即ち、最初の分極性電極の充電が、静電容量を発現させる賦活の役割を果たしていると考えて、これを「電界賦活」と呼ぶこととしたものである。
【0034】
本発明の電界賦活方法においては、まず、最初の充電による電界賦活方法として、最初の充電における定電流充電を、実使用時に使用する電流よりも低い電流で行う定電流充電段階での処理と、最初の充電を、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで定電流充電を行った後、その所定電圧において緩和電流が十分に小さくなるまで定電圧充電を行う定電圧充電段階での処理のうち、少なくとも一方の処理を行うものである。
【0035】
ここで先ず、最初の充電における定電流充電段階について説明する。定電流充電は、その後に行う定電圧充電電圧に到達するまで行われるが、本発明では、実使用時に使用する電流よりも低い電流でこの定電流充電が行われる。周知の通り、コンデンサは常に一定の充電電流で使用しなければならないものではないが、大電流での充電は、コンデンサの使用寿命を短くするおそれがあり、好ましくは定電流、定電圧を制御する充電回路を通して充電が行われることが好ましい。このような定電流の値が、実使用時に使用する電流(充電電流)の値である。
【0036】
また、定電圧充電電圧は耐電圧や寿命を考慮して、適切な値に定められ、このときの定電圧が実使用電圧であり、これらの値は、共に例えば自動車用等といったコンデンサの用途や分極性電極の材料等によって異なる。そのため、本発明の最初の充電における定電流充電の電流値は、適宜、使用用途や構成材料に適した値に定められる。
【0037】
前述した炭素材料を用いたコンデンサでは、後述する実施例に示すように、定電流充電時の充電電流を、実使用時の充電電流の1/2以下、好ましくは1/4程度とすることで、静電容量の増大が図られることが明らかとなった。
【0038】
なお、上述した小さい電流値による定電流充電によって静電容量が増大する1つの理由としては、次のことが考えられる。即ち、本発明のコンデンサは、図9に示すように、静電容量C1〜Cnを有するコンデンサ要素が多段接続された等価回路で表されると考えられ、そのため後段のコンデンサ要素まで充電させるためには、低電流で時間をかけて行う必要がある。従って、緩やかな条件で最初の充電を行うことにより、後段のコンデンサ要素まで電界賦活され、静電容量が増大したと考えられる。なお、図9中のR1〜Rnは抵抗を表す。
【0039】
続いて、最初の充電における定電圧充電段階について説明する。最初の充電において、先に行われる定電流充電は、前述した最初の充電による電界賦活方法によって行うことが好ましいが、この定電流充電は、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで行う。実使用電圧は用途、耐電圧等によって異なり、また、電解液の分解電圧は使用する溶媒、溶質によって定められる。前述した炭素材料を用いたコンデンサでは、この所定電圧は、単セル当たり3V超4V未満の値とすることが好ましい。
【0040】
この場合の「単セル当たり」は、1個のコンデンサが図1に示した単電極セル10を複数個ほど並列に接続して構成されている場合、即ち図2に示した単キャパシタセル12等の場合では、「コンデンサ1個当たり」と同義となる。一方、1個のコンデンサが単電極セル10を複数個ほど直列に接続して構成されている場合には、「単電極セル当たり」の意味であり、それぞれの単電極セル10に所定電圧が印加されるように、コンデンサ1個にかける必要電圧は、単電極セル10の直列接続数と単電極セルに印加する所定電圧との積となる。
【0041】
定電圧充電を開始すると、徐々に充電電流値が小さくなるが、本発明においては、この定電圧充電時の緩和電流が十分に小さくなるまで、充電処理を継続する。これにより、分極性電極における炭素材料の細部にまで、静電容量の発現の場が形成されることにより、静電容量の増大が現れるものと推測される。
【0042】
このような使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧における定電圧充電を終了した後、更に電解液の分解電圧を上限として、高い電圧まで定電流充電を行い、到達電圧において引き続き定電圧充電を行い、最初の充電を完了する。この場合のより高い電圧での定電圧充電は、処理時間を緩和電流が十分に小さくなるまで行うことは必ずしも必要ではない。
【0043】
次に、本発明の電界賦活方法においては、最初の充電及び放電を行った後に、分極性電極の極性を反転させて再充電(再充電による電界賦活)を行う。勿論、再充電後には放電を行う。つまり、本発明の電界賦活方法は、2回の充放電を行うことで1回の電界賦活の処理が終了するものである。
【0044】
なお、このとき電源の極性を変えず、電源からのリード線をコンデンサの正負極が反転するようにつなぎ変えてもよい。
【0045】
再充電における充電方法にも、前述した最初の充電による電界賦活方法を適用することができる。この再充電の終了後に放電を行い、以降の充放電は、どちららの電極を正極としても構わない。例えば、コンデンサに正極/負極の印等を付して、その印に従って実用に供すればよい。
【0046】
このような再充電による電界賦活によって、静電容量が増大する理由の一つとしは、以下のことが考えられる。即ち、前述した電解質が溶解して生ずるカチオンとアニオンとでは、カチオンのイオン半径が大きい場合が多く、つまりはカチオンとアニオンとのイオン半径に差のある場合が多い。このため、最初の充放電後に極性を反転させて再充放電を行った場合には、両方の電極に、イオン半径の大きなイオンによって、イオンの移動のためのパスが形成されるとともに、より広い静電容量の発現の場が形成されるものと推測される。
【0047】
そして、一旦、このようなパスが形成されれば、イオン半径の小さい方のイオンは、より大きなイオン半径を有するイオンによって形成されたパスを利用することができるので、イオンの移動度の向上が図られ、また、静電容量の発現の場も広く形成されているので、イオン半径の小さい方のイオンが効率的に静電容量の発現に寄与することができるようになり、静電容量が増大するものと考えられる。
【0048】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明するが、以下の実施例が本発明を限定するものでないことはいうまでもない。
有機材料として石油コークスを用い、石油コークス100gを、窒素雰囲気中、800℃で2時間ほど熱処理して炭化処理を行い、室温まで冷却した。なお、この時の昇温速度は100℃/時間とした。その後、得られた炭化材料を平均粒径35μmに粉砕した。この炭化材料の粉末50gと水酸化カリウム100gをアルミナ坩堝に入れ、窒素ガス雰囲気中、800℃で2時間の熱処理を行った。冷却後に、不要な水酸化カリウム等のカリウム化合物を水洗して除去し、濾過により粉末を分離、乾燥して粉末状の炭素材料を得た。
【0049】
得られた炭素材料1gに対して、導電助剤としてのカーボンブラック0.1g、バインダーとしてのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を添加して、混合、混練し、更に圧延して厚み0.5mmのシート状に成形した。こうして作製した電極シートから、直径19mmφに打ち抜いたものを正負極の分極性電極として用い、また、集電体としてアルミニウム箔を、セパレータとしてガラス繊維不織布を用い、更にPCを溶媒とし、テトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(TEABF4)を溶質として濃度1mol/Lの電解液を作製し、図1記載の単電極セル10と同等の構造を有するコンデンサを複数個作製した。なお、コンデンサの作製は、露点80℃以下のアルゴンガス雰囲気のグローブボックス中で行った。
【0050】
作製したコンデンサ3個についての最初の充放電を、それぞれ2mA(参考例1)、5mA(参考例2)、10mA(比較例)の定電流で4Vまで定電流充電を行い、その後4Vにて20分間の定電圧充電を行った後、5mAの放電電流にて放電することで行った。その後に、2V、2.5V、3V、3.5V、4Vの電圧で充放電を行う通電試験を行った。ここでの通電試験における充電電流は10mA、放電電流は5mAとした。
【0051】
得られた静電容量密度(単位体積当たりの静電容量の大きさ)と電圧との関係を示す試験結果を図5に示す。図5に示されるように、最初の充電電流の値を小さくした参考例1・2で、比較例に対して静電容量密度の増大が図られることが確認された。
【0052】
また、前述の通りに作製したコンデンサ2個を用い、一方は10mAで3.5Vまで充電した後、3.5Vにて24時間の定電圧充電を行い、その後、4Vまで10mAで通電し、更に4Vで20分保持した定電圧充電を行い、10mAで放電した。このような最初の充電を行ったコンデンサを参考例3とする。他方のコンデンサは、前述した比較例と同じであり、10mAの定電流で4Vまで定電流充電を行い、その後4Vにて20分間の定電圧充電を行った後、10mAで放電したものである。こうして電界賦活を行った参考例3と比較例のコンデンサについて、前述した通電試験を行った結果は図6に示す通りである。参考例3では、比較例に対して静電容量の増大が確認された。
【0053】
更に、前述の通りに作製したコンデンサ2個を用い、これらの双方について、10mAの定電流で4Vまで定電流充電を行い、その後4Vにて20分間の定電圧充電を行った後、10mAで放電した。その後、1個のみについて電源の極性を反転させて、同じ充放電条件により再充電を行った。この極性を反転させた再充電を行ったコンデンサを参考例4とする。再充電を行っていないコンデンサは前述した比較例と同等である。これらのコンデンサに前述した通電試験を行った結果を図7に示す。極性を反転させて再充電を行った参考例4で、比較例と比較して、静電容量密度の増大が図られることが確認された。
【0054】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、最初の充電条件及び2回目の充電(再充電)条件を最適化することによって、同じ分極性電極を用いた場合であっても、静電容量密度の向上が図られるという顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 単電極セルの構造の一例を示す斜視図である。
【図2】 単キャパシタセルの構造の一例を示す斜視図である。
【図3】 捲回型電気二重層コンデンサの構造の一例を示す斜視図である。
【図4】 本発明に好適に用いられる炭素材料の微構造を模式的に示す説明図である。
【図5】 最初の充電における定電流充電条件を異ならしめた電気二重層コンデンサの静電容量密度と電圧との関係を示すグラフである。
【図6】 最初の充電における定電圧充電条件を異ならしめた電気二重層コンデンサの静電容量密度と電圧との関係を示すグラフである。
【図7】 電気二重層コンデンサの静電容量密度と電圧との関係を、電極の極性を反転させた充放電の有無で比較したグラフである。
【図8】 本発明の炭素材料を用いた電気二重層コンデンサの充放電特性を示すグラフである。
【図9】 本発明の電気二重層コンデンサの等価回路図である。
【符号の説明】
10…単電極セル、12…単キャパシタセル、22・24…集電体、26…分極性電極、28…セパレータ、30・32…電極取り出し部、70…捲回型電気二重層コンデンサ、72…正極シート、74…負極シート、76…捲回体、78…ケース、80…電極端子、82…封口板、90・92…炭素材料、94…微結晶炭素、96…構造体。
Claims (3)
- アルカリ金属とアルカリ金属化合物の少なくとも1種と共に、アルカリ金属の蒸気が発生する温度以上で熱処理された炭素材料を主材として形成された分極性電極が、有機電解液に浸漬されてなる電気二重層コンデンサの電界賦活方法であって、
前記電気二重層コンデンサに最初の充電を行った後に一旦放電させ、放電させた前記電気二重層コンデンサの前記分極性電極の極性を反転させて再充電を行う工程を備え、
前記最初の充電における定電流充電を、実使用時に使用する電流よりも低い電流で行い、及び/又は、前記最初の充電を、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで定電流充電を行った後、当該所定電圧において緩和電流が十分に小さくなるまで定電圧充電を行うとともに、
前記再充電における定電流充電を、実使用時に使用する電流よりも低い電流で行い、及び/又は、前記再充電を、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで定電流充電を行った後、当該所定電圧において緩和電流が十分に小さくなるまで定電圧充電を行うことを特徴とする電気二重層コンデンサの電界賦活方法。 - 前記最初の充電における定電流充電の充電電流が、実使用時の充電電流の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層コンデンサの電界賦活方法。
- 前記実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧が、単セル当たり、3V超4V未満の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気二重層コンデンサの電界賦活方法。
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