JP4369887B2 - 超音波洗浄方法および超音波洗浄装置 - Google Patents

超音波洗浄方法および超音波洗浄装置 Download PDF

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本発明は超音波洗浄方法および超音波洗浄装置に関し、より詳細には、微小な袋穴が形成されているようなワークであっても、袋穴の内部まで確実に洗浄することができる超音波洗浄方法および超音波洗浄装置に関するものである。
超音波洗浄装置は各種機械部品等の洗浄に広く使用されている。しかしながら、袋穴のような洗浄液が十分に入り込むことができない洗浄部位や、複雑な形状に形成された洗浄部位があるワークの場合は、洗浄槽に被洗浄物をセットして洗浄液を洗浄槽に供給した際に、袋穴の内部などに大気が残留して被洗浄部位の全体に十分に洗浄液が満たされず、超音波洗浄によって洗浄した際に、超音波が被洗浄部位に的確に作用しないために確実な洗浄ができないという問題があった。
これらの問題を解消する方法として、ワークを洗浄槽に収容した後、洗浄液を洗浄槽に供給する前に洗浄槽を減圧し、ワークに残っている空気とともに異物を排出させる方法(たとえば、特許文献1参照)や、洗浄槽に洗浄液を供給して超音波洗浄する際に、洗浄槽内を減圧して洗浄液を脱気する操作と大気に開放する操作を繰り返し行って洗浄する方法(たとえば、特許文献2参照)などが提案されている。
特開平7−31942号公報 特開平10−57913号公報
超音波洗浄時に洗浄槽内を減圧する操作と大気に開放する操作を繰り返し行って洗浄する方法によれば、被洗浄物の袋穴に大気が閉じこめられたような場合でも、減圧して大気に開放することによって袋穴内に洗浄液が進入するから、袋穴内に超音波振動が確実に作用し、袋穴の内部まで洗浄することが可能である。しかしながら、洗浄槽内を減圧する際には、完全真空にまで減圧しないから、袋穴を完全に洗浄液によって満たすことができず、このために洗浄残りが起こり得る。
また、被洗浄物に超音波振動を作用させた後、大気に開放した際には袋穴内から洗浄液が排出されることになるが、洗浄が困難なきわめて細径の袋穴の場合は、袋穴に満たされている洗浄液の量がきわめて限られており、洗浄液の排出操作で袋穴の内外に通流する洗浄液の分量はきわめて少量に限られるから、洗浄液中に汚れを拡散させて排出させる作用が限られ、洗浄効率が必ずしも高くならないという問題があった。
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、きわめて細径の袋穴が形成されているようなワークであっても、袋穴内に洗浄液を満たして確実に袋穴内に超音波を作用させて洗浄することができ、また、袋穴内の汚れを確実に排出することができ、確実かつ効率的な洗浄を可能にする超音波洗浄方法および超音波洗浄装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、内部領域が外部から気密にシールされる真空チェンバーとして形成される洗浄槽内に、上部および側面が遮蔽された容器状に形成された内槽を、ワークの上方および側方を覆うようにワークに被せてセットする工程と、前記洗浄槽に、前記内槽内に空気が残留する状態として、前記内槽が沈む深さにまで洗浄液を供給する工程と、前記洗浄槽を減圧した後、前記洗浄槽を大気開放することにより、前記内槽を前記洗浄液によって満たし、この状態で洗浄液に超音波を作用させる工程と、音波洗浄後、前記洗浄槽を減圧し、前記内槽に満たされていた洗浄液を内槽から排出させる工程とを備えていることを特徴とする。
また、前記内槽に洗浄液を満たして洗浄液に超音波を作用させる工程と、洗浄液に超音波を作用させた後、前記洗浄槽を減圧し、前記内槽から洗浄液を排出させる工程とを複数回、繰り返して行うことにより、より確実に洗浄することができる。
また、前記洗浄槽を減圧し、前記内槽から洗浄液を排出させる際に、洗浄液が突沸するように、洗浄槽に供給する洗浄液をあらかじめ温度調整することにより、細径の袋穴等を備えた被洗浄物であっても確実に洗浄することができる。
また、前記ワークがバスケットに収納され、前記内槽を、前記ワークが収納されたバスケットの上方および側方を覆うように配置して洗浄することを特徴とする。
また、前記超音波洗浄方法を利用するワークの洗浄に用いられる超音波洗浄装置であって、内部領域が外部から気密にシールされる真空チェンバーとして形成される洗浄槽と、該洗浄槽に洗浄液を供給する供給タンク、および前記洗浄槽から排出される洗浄液を収容する排液タンクと、前記洗浄槽を減圧する真空ポンプと、ワークの上方および側方を覆う配置として前記洗浄槽内にセットされ、前記洗浄液中に沈む深さにまで洗浄液を供給した際に、内部に空気が残留する状態とする、上部および側面が遮蔽された容器状に形成された内槽と、前記真空ポンプにより、前記洗浄槽を真空排気した後、前記洗浄槽を大気開放し前記内槽が前記洗浄液で満たされた状態において、前記洗浄液に超音波を作用させ超音波洗浄する超音波振動子と、を備えていることを特徴とする。
また、前記内槽を洗浄槽に固定して、内槽の浮き上がりを防止する固定具が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る超音波洗浄方法および超音波洗浄装置によれば、洗浄槽にワークをセットする際に、ワークの上方および側方を覆うように内槽を配置し、洗浄槽を減圧する操作と洗浄槽を大気開放する操作を行うことにより、内槽を洗浄液で満たした状態でワークに超音波を作用させることができ、洗浄槽を減圧することにより洗浄液中の溶存気体による超音波洗浄におけるキャビテーションの減衰を防止してワークを効果的に洗浄することができる。また、洗浄後に洗浄槽を真空引きすることにより、温度調節された洗浄液が突沸すると同時に、内槽から強制的に洗浄液が排出され、汚れを含んだすべての洗浄液をワークの近傍に停滞させずに排出させることができ、洗浄効果を高めることができる。
図1は本発明に係る超音波洗浄方法を利用してワークを洗浄する超音波洗浄装置の要部である洗浄槽10、および洗浄槽10の制御に関する構成を示す。
洗浄槽10は、容器本体の上部開口部に開閉可能に開閉蓋12が設けられ、開閉蓋12を閉めた状態で洗浄槽10の内部領域が外部から気密にシールされる真空チェンバーとして構成されている。洗浄槽10には洗浄槽10の内部領域を真空排気する真空ポンプ14が接続され、洗浄槽10内を大気開放するバルブ15が接続されている。
また、洗浄槽10には、洗浄液の供給部として、フィルター16、ポンプ17を介して洗浄液が貯溜された供給タンク18が接続されている。供給タンク18から洗浄槽10に供給される間に、洗浄目的に合わせて洗浄液を温度調節する温度調節機構が設けられる。この温度調節機構としては供給タンク18内で洗浄液をヒータを用いて加温する方法、配管内に熱交換器を設置して温度調節する方法等が利用できる。なお、洗浄液としては炭化水素系の洗浄液、グリコールエーテル系の洗浄液、シリコーン系洗浄液等、適宜洗浄液を使用することができる。
洗浄槽10の底部には超音波振動子20が配置され、洗浄槽10の外部には超音波振動子20を駆動する超音波発信器21が配置されている。
本実施形態の超音波洗浄装置において特徴とする構成は、バスケット23にワーク22を収納して洗浄槽10の内部にワーク22をセットする際に、バスケット23の上方を覆うように内槽24を配置して洗浄するように構成したことにある。内槽24は一方が開口する有底の容器状(ステンレスバット)に形成したもので、ワーク22を収容するバスケット23が内部に収容できる開口形状および深さに形成されている。
以下、図1〜5にしたがって、上記超音波洗浄装置を用いた洗浄方法について説明する。
図1は、洗浄槽10に洗浄対象物であるワーク22をセットした状態を示す。ワーク22はバスケット23に収容し、仕切り網11の上にのせ、バスケット23の上から内槽24を被せてセットする。バスケット23をセットする際には、固定具13aを用いて仕切り網11よりも上方に位置するようにバスケット23を固定する。また、内槽24は洗浄操作中に浮き上がらないように、固定具13bを用いて洗浄槽10に固定する。また、内槽24をセットする際には、バスケット23の上部と内槽24の内面上部(天井面)とを若干離間させるようにする。
図示例のワーク22は、袋穴を有する被洗浄物の例として細長いキャップ状に形成された製品の例を示す。バスケット23に多数個のワーク22を収納することによって、ワーク22は開口部が下向き、上向き、横向き、斜め向きといったようにさまざまな向きでバスケット23に収納される。
被洗浄物を収納したバスケット23と内槽24とを洗浄槽10にセットした後、開閉蓋12を閉め、洗浄槽10に洗浄液を供給する。図2が洗浄槽10に洗浄液30を供給した状態を示す。
洗浄槽10に洗浄液30を供給していくと、洗浄液30は洗浄槽10の底部から徐々に溜まっていくが、内槽24部分では、内槽24の上部および側面が遮蔽されていることにより、内部に空気が残留した状態になる。洗浄槽10の液面上での圧力P1は大気圧であり、内槽24の内部空間での圧力P2は、大気圧に洗浄液30中に内槽24が沈められていることによる液圧を加えた圧力となる。内槽24は固定具13bにより浮き上がりが防止される。
次に、図2の状態から、真空ポンプ14を作動させ、洗浄槽10内を真空排気する。図3は、洗浄槽10内を真空排気している状態を示す。真空ポンプ14を作動させることにより、洗浄槽10の液面上の空間から大気が排気され、これとともに洗浄槽10内が減圧され、内槽24の空間に残留していた大気が洗浄液30中に排出される。内槽24から排出されるエアは洗浄液30中で泡状に排気される。
この減圧操作では、液面上の空間部分の圧力V1を1Torr(約133Pa)程度まで減圧する。このときの内槽24の内部空間の圧力V2は、液面上の空間部分の圧力V1に洗浄液30中に浸漬されていることによる液圧が付加された圧力となる。このときの内槽24における液面の高さは、図2における液面と同一高さに維持される。
洗浄槽10を所定の真空度まで減圧した後、真空ポンプ14を停止させ、バルブ15を開いて洗浄槽10を大気開放する。図4が、洗浄槽10を大気開放した状態を示す。
前工程での減圧操作により内槽24の内部空間は減圧されているから、洗浄槽10を大気開放することにより、洗浄液30に大気圧が作用して内槽24内に一気に洗浄液30が流入し、内槽24が洗浄液30によって満たされる。
実際には、前工程での減圧操作は完全真空にまで減圧するものではないから、内槽24の上部にわずかに空間部分が残った状態になる。図のA線は内槽24内における洗浄液30の液面の高さを示す。内槽24をセットする際に、バスケット23の上部が内槽24の内面上部(天井面)から若干離間するようにしたのは、内槽24に浸入した洗浄液30中にバスケット23の全体が完全に浸漬するようにするためである。
この大気開放操作によって、洗浄槽10に供給されていた洗浄液30の液面が下がるようになる。図4では、内槽24の外部の液面が内槽24の側面位置まで下がる様子を示しているが、洗浄槽10にあらかじめ供給する洗浄液30は、この大気開放操作の際に、内槽24の開口部が、内槽24の外側における洗浄液30の液面よりも低位となるようにしておけばよい。
内槽24に洗浄液30が満たされたところで超音波発信器21により超音波振動子20を駆動して超音波洗浄を行う。内槽24に収容されているバスケット23の全体が洗浄液30によって満たされているから、バスケット23に収納されているワーク22に確実に超音波振動が作用して超音波洗浄がなされる。
前工程で洗浄槽10を減圧したことにより、洗浄液30に含まれていた気体が排出され、洗浄液30は脱気された状態になり、強力なキャビテーションを発生させることができる環境になる。すなわち、溶存気体による減衰がきわめて少ない好適な超音波洗浄が可能となる。
なお、バスケット23に収納されている個々のワーク22についてみると、各々のワーク22の向きによっては、洗浄槽10に洗浄液30を供給した際に袋穴内に大気が残留した状態になる。これらのワーク22についても、上述した操作工程で内槽24について説明した作用とまったく同様に、洗浄槽10を減圧操作した後、洗浄槽10を大気開放することによって袋穴内に洗浄液30が浸入し、袋穴が洗浄液30によって満たされた状態となる。これによって、個々のワーク22についても、いわば強制的に袋穴に洗浄液30が充填され、袋穴内に超音波振動が確実に作用する状態で超音波洗浄がなされる。
所定時間超音波洗浄を行った後、超音波振動子20を停止し、真空ポンプ14を作動させ、再度、洗浄槽10を真空排気する。
図5は、図4の状態から洗浄槽10を真空排気した状態を示す。この真空排気操作によって、内槽24に浸入していた洗浄液30が内槽24から排出され、これとともに洗浄液30の液面が元の液面まで上昇する。洗浄槽10の液面上の圧力はV1となり、内槽24の内部空間の圧力はV2(V1に洗浄液30の液圧を加えたもの)となる。
真空ポンプ14によって洗浄槽10内を再度真空排気する操作は、内槽24に満たされていた洗浄液30を内槽24から強制的に排出することを目的とするものであり、内槽24から洗浄液30が洗浄槽10内に排出されることによって、超音波洗浄によってワーク22から除かれた汚れが洗浄液30とともに洗浄槽10内に放出される。
図5で、線Bは、内槽24から洗浄液30が排出された際における内槽24内における洗浄液30の液面の高さを示す。上述したように、洗浄槽10を再度、真空排気すると内槽24から洗浄液30が排出される。この洗浄液30の排出操作の際にはバスケット23に収納されているワーク22から完全に洗浄液30を排出させるようにする必要がある。バスケット23を洗浄槽10にセットする際に、仕切り網11から若干上方に離間させてバスケット23を支持するのは、バスケット23に収納されているすべてのワーク22について確実な洗浄効果が作用するためである。すなわち、洗浄槽10にバスケット23をセットする際には、この内槽24から洗浄液30を排出させた際の液面の高さよりもバスケット23の底部が高く位置するようにセットする必要がある。
上述したように、内槽24に入り込んでいた洗浄液30を内槽24から外部に流出させることによって、ワーク22から取り除かれた汚れがワーク22の近傍に停滞することを防止し、洗浄液30中に汚れを拡散させて排出することが可能となる。
また、洗浄槽10を減圧して洗浄槽10の内部が真空に近づいていくと、洗浄液30の沸点が下がり洗浄液30の突沸現象(洗浄液が急激に沸騰する現象)が生じる。この突沸現象は、ワーク22の袋穴に洗浄液30が残留していると、汚れとともに洗浄液30を外部に吐き出すように作用し、洗浄液30が内槽24から排出される作用と合わせてワーク22の汚れを排出することができる。
本実施形態において洗浄液30を温度調節して洗浄槽10に供給しているのは、減圧操作の際に洗浄液30を突沸させやすくするためである。洗浄液30による突沸作用を効果的に作用させるため、使用する洗浄液の50Torr(約6.7kPa)程度の真空条件下における沸点に洗浄液30を温度調節するとよい。
洗浄槽10を減圧して内槽24から洗浄液30を強制的に排出した後、真空ポンプ14を停止し、バルブ15を開いて洗浄槽10を再度大気開放する。これによって、図4に示す状態、すなわち、内槽24に洗浄液30が流入して内槽24が洗浄液30によって略満たされた状態になるから、この状態で再度、超音波振動子20を駆動して超音波洗浄を行う。そして、超音波洗浄後、再度、真空ポンプ14により洗浄槽10を減圧することにより、内槽24から洗浄液30を洗浄槽10内に排出させる。
このように、洗浄槽10を大気開放し超音波洗浄する操作と、洗浄槽10を減圧して内槽24から洗浄液30を排出する操作を繰り返し行うことによってワーク22を洗浄することができる。
ワーク22を洗浄した後は、排液タンク19に洗浄液30を排出して、1回の洗浄工程が完了する。複数回の洗浄工程を行う場合は、この後、供給タンク18から新たに洗浄液30を洗浄槽10に供給し、上述した洗浄工程によってワーク22を洗浄すればよい。このように、上述した洗浄工程を複数回行うことによって、ワーク22の洗浄効果を飛躍的に高めることができる。また、洗浄後に排液タンク19に洗浄液30を排出することにより、洗浄後に多くの装置仕様を選択・付加することが可能となる。たとえば、ベーパー乾燥機能を付加し、洗浄後工程に連動させること、多槽式自動超音波洗浄装置の最終仕上げ工程に本洗浄方式を組み入れることが可能である。また、排液タンクの汚れた洗浄液は、真空蒸留再生装置を付加することで洗浄液の再利用が可能となる。
本発明に係る超音波洗浄方法によれば、ワーク22を収納したバスケット23を内槽24に収納し、洗浄槽10を減圧する操作と洗浄槽10を大気開放する操作を組み合わせ、内槽24に洗浄液30が満たされるようにしてワーク22を洗浄すること、洗浄後に内槽24から強制的に洗浄液30を排出させることによって、きわめて細径の袋穴が形成されているような洗浄が困難な被洗浄物であっても容易にかつ確実に洗浄することが可能になる。
本洗浄方法による作用上の特徴点は、超音波洗浄時に内槽24に満たされていた洗浄液30を内槽24から流出させるようにすることにより、ワーク22から汚れを含んだ洗浄液30を排出して洗浄液30による洗浄作用が有効に作用するようにした点にある。
従来の減圧による超音波洗浄では、洗浄領域にあるワークから強制的に洗浄液を流出させる操作が行われないから、洗浄後にワークから洗浄液が排出されたとしても、たとえばワークの袋穴に満たされていた洗浄液は緩やかに排出されるのみであり、したがってワークから排出された洗浄液はワークの近傍に停滞して滞留することがあり、結果としてワークに汚れが付着して残ってしまうことがある。
これに対して、本発明方法によれば、洗浄領域にある洗浄液30をワーク22の近傍から強制的に、かつ瞬時に排出することにより、ワーク22の近傍に汚れが滞留することがなく、これによって洗浄効果を高めることができる。本発明方法による場合は、ワーク22に形成される袋穴の穴径が細くなればなるほど、袋穴に満たされている洗浄液の量が少なくなるから、洗浄領域にある洗浄液を流出させることによる洗浄効果が高まるようになる。
また、本発明方法によれば、減圧操作と大気開放操作を繰り返し行うだけで効果的な超音波洗浄ができるという利点もある。
また、洗浄液30の突沸現象を利用することにより、袋穴等の狭小個所から洗浄液30を吐き出させることによってさらに洗浄効果を高めることが可能となる。
表1は、従来の洗浄方法と本発明の洗浄方法によってワークを洗浄し、洗浄結果を比較評価した結果を示す。図6は、表1での試験結果をグラフに表したものである。
試験で使用したワークは、外径0.8mm、長さ7.5mmの円柱体に形成され、一方の端面から内径0.6mm、深さ2.5mmの袋穴を形成した金属精密切削製品である。 表1に示す試験例1は、従来の洗浄工程によるもので、通常の超音波洗浄装置(減圧装置はついていない)を使用し、トリクレンを洗浄液として300分間超音波洗浄を行ったものである。試験例2および試験例3は、ともに密閉式減圧超音波洗浄装置を使用し、公知の洗浄方式(本発明の内槽はついていない)により炭化水素系洗浄剤を洗浄液として洗浄テストしたものである。試験例2では、洗浄槽を減圧した後、洗浄液を給液し30分間超音波洗浄した。試験例3では、真空引きと大気開放を繰り返す条件で30分間超音波洗浄した。試験例4、5は内槽を備える上述した本発明方法によるものである。なお、試験例4では密閉式減圧超音波洗浄を行う前に、袋穴内部以外の仕上げ洗浄を超音波洗浄によって別途行った。
いずれの試験の場合も、サンプル数は1ロットあたり20000個である。洗浄の良否は、顕微鏡目視検査によって行った。洗浄が的確になされていない場合は袋穴が黒穴として目視されることから良否判定した。なお、黒穴とは、最終工程の金めっき処理において、金めっきが付かない部分が黒く見える袋穴の底部を意味する。
表1の試験結果から、試験例2、3では、目標とする従来の洗浄工程による品質基準から大きく乖離する結果となったのに対し、試験例4、5の場合には洗浄全工程での所要時間が大きく短縮でき、かつ不良率が明らかに低下していることがわかる。試験例4と試験例5とを比較すると、試験例4による方が不良率が改善されている。これは試験例4の方が洗浄工程数を増やしたことによるものである。実際の洗浄作業としては試験例5の方法で、十分に不良率を抑えて確実で効率的な洗浄を行うことができる。
なお、洗浄テストで使用した洗浄対象物は、金属精密切削製品で個々の製品は非常に軽量である。本発明に係る超音波洗浄方法では、内槽24に一気に洗浄液が供給され、内槽24から速やかに洗浄液が排出されるから、洗浄液が移動する際に洗浄対象物がバスケット23の内部で移動して洗浄対象物の袋穴の開放口方向が移動とともに変化し、均一な洗浄効果をもたらすことができる。
これに対して、洗浄対象物が比較的大きなものや、バスケット23に固定する必要があるものの場合には、袋穴の開放口方向が下向きのまま固定されてしまうことがあり、洗浄結果にばらつきが生じる懸念がある。その場合には、バスケット23に回転機構を設けて、洗浄対象物の向きを変えられるようにするとよい。
超音波洗浄装置にワークをセットした状態を示す説明図である。 洗浄槽に洗浄液を供給した状態を示す説明図である。 洗浄槽を真空排気した状態を示す説明図である。 洗浄槽を大気開放した状態を示す説明図である。 洗浄槽を再度真空排気した状態を示す説明図である。 表1の試験結果を示すグラフである。
符号の説明
10 洗浄槽
11 仕切り網
12 開閉蓋
13a、13b 固定具
14 真空ポンプ
15 バルブ
16 フィルター
18 供給タンク
19 排液タンク
20 超音波振動子
21 超音波発信器
22 ワーク
23 バスケット
24 内槽
30 洗浄液

Claims (6)

  1. 内部領域が外部から気密にシールされる真空チェンバーとして形成される洗浄槽内に、上部および側面が遮蔽された容器状に形成された内槽を、ワークの上方および側方を覆うようにワークに被せてセットする工程と、
    前記洗浄槽に、前記内槽内に空気が残留する状態として、前記内槽が沈む深さにまで洗浄液を供給する工程と、
    前記洗浄槽を減圧した後、前記洗浄槽を大気開放することにより、前記内槽を前記洗浄液によって満たし、この状態で洗浄液に超音波を作用させる工程と、
    音波洗浄後、前記洗浄槽を減圧し、前記内槽に満たされていた洗浄液を内槽から排出させる工程とを備えていることを特徴とする超音波洗浄方法。
  2. 前記内槽に洗浄液を満たして洗浄液に超音波を作用させる工程と、
    音波洗浄後、前記洗浄槽を減圧し、前記内槽から洗浄液を排出させる工程とを複数回、繰り返して行うことを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄方法。
  3. 前記洗浄槽を減圧し、前記内槽から洗浄液を排出させる際に、洗浄液が突沸するように、洗浄槽に供給する洗浄液をあらかじめ温度調整することを特徴とする請求項1または2記載の超音波洗浄方法。
  4. 前記ワークがバスケットに収納され、前記内槽を、前記ワークが収納されたバスケットの上方および側方を覆うように配置して洗浄することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の超音波洗浄方法。
  5. 請求項1記載の超音波洗浄方法を利用するワークの洗浄に用いられる超音波洗浄装置であって、
    内部領域が外部から気密にシールされる真空チェンバーとして形成される洗浄槽と、
    洗浄槽に洗浄液を供給する供給タンク、および前記洗浄槽から排出される洗浄液を収容する排液タンクと、
    前記洗浄槽を減圧する真空ポンプと
    ワークの上方および側方を覆う配置として前記洗浄槽内にセットされ、前記洗浄液中に沈む深さにまで洗浄液を供給した際に、内部に空気が残留する状態とする、上部および側面が遮蔽された容器状に形成された内槽と、
    前記真空ポンプにより、前記洗浄槽を真空排気した後、前記洗浄槽を大気開放し前記内槽が前記洗浄液で満たされた状態において、前記洗浄液に超音波を作用させ超音波洗浄する超音波振動子と、
    を備えていることを特徴とする超音波洗浄装置。
  6. 前記内槽を洗浄槽に固定して、内槽の浮き上がりを防止する固定具が設けられていることを特徴とする請求項5記載の超音波洗浄装置。
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