図1は車載型楽曲再生システム10の概略構成図である。車載型楽曲再生システム10は、1個のヘッドユニット11と、複数個のポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・とを装備する。典型的なヘッドユニット11はカーナビゲーション装置に実装され、該カーナビゲーション装置がヘッドユニット11の機能を併せ持つ。ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・は、各ユーザに所持され、自動車の車内へ適宜、持ち込んで、ケーブル又は無線を介してヘッドユニット11へ切り離し自在に接続可能になっている。ケーブルは例えばUSBケーブルやLANケーブルであってよく、無線は例えば無線LANやブルートゥース(bluetooth)等であってもよい。ヘッドユニット11は、ハードディスク装置12内にMP3等の楽曲圧縮ファイルで記録されている楽曲をそれ自体で再生可能になっている。各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・も、それ自体で不揮発性メモリ29にMP3等の楽曲圧縮ファイルで記録されている楽曲を再生自在になっている。不揮発性メモリ29は、例えばハードディスク装置又はフラッシュメモリ等から成る。楽曲は、1曲ごとに所定のフォーマットの規定に従い圧縮されたMP3,WMA,AAC等の楽曲圧縮ファイルとしてハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29に記録されている。
ヘッドユニット11は、ハードディスク装置12の他に、情報処理部13、アンプ14、表示部15、キー16及び情報保存部17を装備する。情報処理部13は、各種のプログラムに従って所定の演算を行うCPU20を備える。情報処理部13は、各種の情報を例えばLCD(liquid crystal display)から成る表示部15に表示し、ユーザは、ヘッドユニット11への指示をキー16を操作することにより行い、キー16への入力情報は、情報処理部13へ送られて、情報処理部13において対応の処理が行われる。ユーザによるヘッドユニット11への指示は、リモコン(図示せず)を介して行うこともできる。
情報保存部17は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリから成り、CPU20によりデータを適宜、読書き自在になっている。情報保存部17は、プレイリスト情報22、再生履歴情報23及び機器接続情報24等を保存する。プレイリスト情報22には、ヘッドユニット11の所有者専用のプレイリストだけでなく、複数ユーザに共通する後述のプレイリストに係る情報も含み、プレイリスト情報22はプレイリストの再利用のために保存されている。再生履歴情報23とは、ヘッドユニット11における過去所定期間内の楽曲の再生履歴に係る情報であり、機器接続情報24は、その保存時にどのようなポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・がヘッドユニット11に接続されていたかを検出するための情報である。車載型楽曲再生システム10及び各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・は、MAC(Media Access Control)アドレス等のIDが付与され、該IDにより相互に識別自在になっている。スピーカ18は、ヘッドユニット11とは別体で設けられ、アンプ14からのオーディオ信号を音へ変換する。ヘッドユニット11が、ハードディスク装置12内の楽曲を再生する場合には、情報処理部13が、ハードディスク装置12から楽曲のファイルを読み込んで、対応の規格(例:MP3,WMA)に基づきデコードして、アナログのオーディオ信号を生成し、それをアンプ14へ出力する。アンプ14は、アナログオーディオ信号を増幅し、スピーカ18へ出力する。
ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・は、ユーザの衣服のポケットに格納可能な例えばiPod(米国アップル社登録商標)等の楽曲再生器であり、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ29を内蔵する。不揮発性メモリ29には多数の楽曲がMP3やWMA等のオーディオフォーマットのファイルで記録されている。各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・は、ヘッドユニット11からの再生指示を受け付けると、指示のあった楽曲ファイルを読み込んで、対応の規格(例:MP3,WMA)に基づきデコードして、アナログ又はデジタルのオーディオ信号を生成する。そして、そのオーディオ信号を、車載型楽曲再生システム10との通信の規格に変換して、車載型楽曲再生システム10へ伝送するようになっている。
図2はハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29における楽曲ファイル32のデータ構造を示している。各楽曲の音声データはMP3等の規格により圧縮された楽曲ファイル形式でハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29に記録される。各楽曲ファイル32はヘッダとデータ部とを備え、データ部には、オーディオ信号を圧縮した音声データが記録され、また、ヘッダには、ジャンル、アーティスト、タイトル(楽曲名)等の付帯情報が記録される。各楽曲の付帯情報は、所定の楽曲編集ソフトにより楽曲ファイル32を作成する際に、例えば、CDのデータベースGrace note CDDB(http://www.cddb.com)から適宜入手して入力作業を省いたり、自ら、テキスト入力したりして、音声データと共に楽曲ファイル32内に格納することができる。Grace note CDDBでは、楽曲(トラック)の付帯情報として、タイトル、アーティスト、レーベル、発売年、クレジット情報、ジャンル・・・が定義されている。なお、楽曲は、ハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29においてフォルダを利用して管理されており、フォルダは、通常、アルバムに対応し、アルバムの付帯情報として、前述のGrace note CDDBでは、アルバムについてのタイトル、アーティスト、レーベル、ジャンル等が定義されている。典型的な楽曲ファイル32は、ハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29において所定のフォルダ内に格納されている。楽曲に係る情報には、楽曲自体(トラック自体)の楽曲ファイル32に格納されている付帯情報だけでなく、フォルダ(アルバム)の付帯情報をも含めることができる。
図3は嗜好情報ファイル33の構造図である。嗜好データは、ハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29に、所定のファイル名(拡張子も含む)の嗜好情報ファイル33に格納されて記録される。ヘッドユニット11及びポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・の所有者は、所定のプログラムにより音楽に関する自分の好みを嗜好データを嗜好情報ファイル33に格納して、ハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29に登録できるようになっている。嗜好データは、例えば、好きなジャンル、嫌いなジャンル、嫌いなアーティスト及びプレイリストについて登録できる。嗜好データは、登録が必須のものではなく、ユーザによっては嗜好情報ファイル33をハードディスク装置12及び不揮発性メモリ29に記録していない場合もある。図3では、プレイリストが、好き嫌いの情報と共に嗜好情報ファイル33に格納されているが、嗜好データとは別個のファイルに記録されてもよい。嗜好情報ファイル33は通常、メタファイルとして利用される。また、嗜好情報ファイル33は、ヘッドユニット11及びポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・が必須に保有していなければならないものではなく、ユーザのポータブルオーディオプレーヤによっては嗜好情報ファイル33がないことがあるとする。
ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・の所有者としての各ユーザの楽曲についての好き嫌い(嗜好)は、嗜好情報ファイル33が存在しなくも、他のデータにより代替できる。例えば、ユーザが自分のポータブルオーディオプレーヤに保有する付帯情報(ジャンルやアーティスト名等)付き楽曲に基づき、各ジャンルの総曲数を調べ、多ければ、それは該ユーザが特に好んでいるジャンルと、判断できる。また、ポータブルオーディオプレーヤに再生履歴が存在している場合には、再生履歴に基づきジャンルやアーティストについての聴取頻度や聴取回数を調べ、それらの大きい又は多いものは該ユーザが特に好んでいるジャンルやアーティストと判断できる。
図4は携帯電話35におけるメタファイル36のデータ構造を示している。携帯電話35は、ヘッドユニット11にケーブルや無線を介して切り離し自在に接続される。メタファイル36は携帯電話35の不揮発性メモリ37に記憶され、メタファイル36の各フィールドには、楽曲ファイル32(図2)におけるヘッダ部分の付帯情報の各情報要素名が記録される。ヘッドユニット11は、携帯電話35のメタファイル36から各情報要素名を読み込むことにより、携帯電話35のユーザの嗜好情報を検出できる。
携帯電話35におけるメタファイル36の作成方法には、ユーザが携帯電話35に対して、アドレス帳への電話番号登録と同様な編集操作で、テキストデータを入力して、メタファイル36を直接、作成することの外に、ユーザが携帯電話35をオーディオ再生機器に接続して、該オーディオ再生機器のメタデータ又はメタファイルを転送することがある。携帯電話35等へのメタデータ等の転送元のオーディオ再生機器には、例えば、パソコン、携帯型再生装置、又はホームオーディオ機器が挙げられる。それらメタデータ等の転送元のオーディオ再生機器は、ユーザ自身の所有のものに限定されず、嗜好情報が許容範囲内であれば、家族や知人等の他人の所有するものであってもよい。
携帯電話35等へのメタデータ等の転送元のオーディオ再生機器からのメタデータ等の構築方法には、ユーザの嗜好をテキスト入力するだけでなく、例えば、好みの1個の楽曲をオーディオ再生機器において再生している期間に所定のキーを操作することによりその再生楽曲の付帯情報(例えばジャンルやアーティスト)がユーザのお気に入りの嗜好情報として一気に登録されるようにしたり、ユーザが、楽曲の再生中に、それが好みと判断すれば、そのつど、キーを操作し、所定期間にわたりキー操作の回数をカウントし、嗜好データが統計データとして作成されるようになっていてもよい。
車載型楽曲再生システム10における3人のユーザA,B,Cによるグループ用プレイリスト構築方法について説明する。ユーザAは運転者でもあり、ヘッドユニット11はユーザAの自動車に装備されているものとする。ここでは、ユーザAのヘッドユニット11は、ハードディスク装置12に楽曲を全く有していないか、又は接続されたポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cからのデコード済みのオーディオ信号を受信して、オーディオ信号に係るオーディオを放音器52から出力可能になっているものの、ヘッドユニット11自身では楽曲ファイルをデコードする機能を装備しないタイプのものとする。ユーザA,B,Cはポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cを所持する。
最初、ユーザAのみが、他には誰も同乗させることなく、自分の自動車を運転している。ヘッドユニット11にはポータブルオーディオプレーヤ28aをUSBケーブルで接続し、ポータブルオーディオプレーヤ28a専用のプレイリストをヘッドユニット11において作成し、該ポータブルオーディオプレーヤ28a専用のプレイリストに基づき再生された楽曲を聞いている。
或る場所からユーザB,CがユーザAの自動車に同乗し、ポータブルオーディオプレーヤ28b,28cがそれぞれワイヤレス及びUSBによりヘッドユニット11へ接続されたと仮定する。ユーザB,Cは、グループ用プレイリストに基づく楽曲再生に参加するならば、ポータブルオーディオプレーヤ28b,28cをエントリモードへ切替え、拒否するならば、エントリモードへ切替えは行わないことにする。全面許容の一律のエントリモードの他に、エントリモードを複数個に分割して設定することもできる。第1のエントリモードは、ヘッドユニット11への自分のポータブルオーディオプレーヤの保有楽曲の楽曲信号の送信は許容するが、嗜好情報の送信は禁止するもの、第2のエントリモードは嗜好情報の送信は許容するが、楽曲信号の送信は禁止するもの、第3のエントリモードは楽曲信号及び嗜好情報の両方の送信を許容するものである。ここでは、全面許容の一律のエントリモードを想定し、ユーザB,C共にエントリモードへ切り替えたとする。
ヘッドユニット11は、ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cのメタデータを収集する。嗜好情報に関して、ユーザA,Bは共に好きなジャンルがロックとジャズ、ユーザCは好きなジャンルがロックのみであったとする。この場合、ロックはグループ員全員の好きなジャンルとなっているので、ヘッドユニット11は、自動的に、選択条件を、「ジャンルがロックに属する楽曲」に設定する。
嗜好情報に関して、ユーザA,B,Cは共に好きなジャンルがロックとジャズであったとする。この場合は、その旨を表示部15に表示し、今回の選択条件をロック及びジャズのどちらにするかをグループに決定させる。その他の方法としては、選択条件をロックかジャスかのいずれかに属する楽曲と自動設定することもできる。この選択条件の場合に、プレイリストへの登録数の制限が20曲であれば、ロック及びジャズの楽曲がそれぞれ10個ずつ登録されることになる。
ヘッドユニットは、嗜好情報の収集結果を表示部15に表示するともできる。表示部15への嗜好情報の収集結果の表示はランキング形式を採用することもできる。例えば、ユーザA,Bは共に好きなジャンルがロックとジャズ、ユーザCは好きなジャンルがロック及びポップスであったとする。ランキング形式の表示では、一位にロック、二位にジャズ、三位にポップが表示される。グループは、今回の選択条件を、必ずしも一位のジャンルに設定することなく、二位以下のものを設定してもよい。
図5は各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cの不揮発性メモリ29に楽曲データとして格納されている楽曲ファイルを、ジャンルを区別して示している、楽曲ファイルの符号のA,B,Cはそれぞれポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cが保有している楽曲ファイルであることを意味し、添え字のr,jはそれぞれロック及びジャズの楽曲ファイルであることを意味し、さらに、3番目の添え字1,2,3,・・・は、ポータブルオーディオプレーヤ別及びジャンル別の順番を示している。図5において、「・・・」はロック及びジャズ以外の楽曲ファイルが格納されていることを意味する。
ユーザA,B,Cの協議に従い又はヘッドユニット11による自動設定により、今回のグループ用プレイリスト作成の基礎とする選択条件はロックに属する楽曲に設定されたとする。ヘッドユニット11は、該選択条件に基づき、ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cの保有楽曲の中から、ジャンルがロックである楽曲を選択する。ここで、ジャンルがロックに属する楽曲が、ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cにそれぞれ50、40,10個、存在し、グループ全体の総数が100曲であったとする。
ヘッドユニット11は、グループ用プレイリストの最大登録数(該最大登録数はあらかじめのユーザ設定やグループ用プレイリスト作成ごとのユーザ選択ができるようになっている。ここでは20とする。)に対し、5:4:1の配分で、すなわちそれぞれ10,8,2曲ずつポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cから該当楽曲を選択し、これら選択した楽曲をグループ用プレイリストに登録する。
図6は各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cから選択した楽曲に基づき作成されたグループ用プレイリスト41における楽曲登録状況及び再生順を示している。ジャンルがロックに属する楽曲の選択条件選択条件に対して各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cから選択された楽曲Ar1,Ar2,Ar3,・・・、Br1,Br2,Br3,・・・Cr1,Cr2,Cr3,・・・がグループ用プレイリスト41に登録される。また、再生順は、ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cの順番で1個ずつ再生するものとし、最後のポータブルオーディオプレーヤ28cの楽曲を再生した次は、再び、最初のポータブルオーディオプレーヤ28aの楽曲の再生へ戻る循環形式となっている。
グループ用プレイリストに基づく楽曲再生途中において、ユーザBが途中降車する。ポータブルオーディオプレーヤ28bはヘッドユニット11へワイヤレス通信により接続されているので、ヘッドユニット11は、ポータブルオーディオプレーヤ28bとの通信が一定時間途絶えてから、グループ用プレイリストに登録されていた楽曲でかつポータブルオーディオプレーヤ28bから選択された楽曲について、グループ用プレイリストにおける表示をネガポジ反転する。ポータブルオーディオプレーヤ28bとの通信不能後、一定時間待ってから、ネガポジ反転するのは、ポータブルオーディオプレーヤ28bとの通信不能が永久的なものではなく、ユーザBだけがたまたま買い物等の一時的な用事で降車し、再び自動車に戻ってくる可能性があり、その場合には、ポータブルオーディオプレーヤ28bからの選択楽曲を支障なく再生可能になるからである。しかしながら、表示をネガポジ反転されている楽曲が、再生順番になったにもかかわらず、ポータブルオーディオプレーヤ28bとの通信が回復しない場合には、その楽曲の再生をスキップし、グループ用プレイリスト上で再生順番が次の楽曲を再生する。
なお、人が降車する場合は、停車状態、すなわち、シフトレバーがパーキングモードとなったり、サイドブレーキが作動状態になったりするので、それらに基づき停車状態を検出し、停車状態期間は、通信確認(通信不能監視)の頻度を高めることが好ましい。
次にユーザCが下車したとする。ポータブルオーディオプレーヤ28cはヘッドユニット11へUSBケーブル等の有線接続となっているので、ポータブルオーディオプレーヤ28cからの選択楽曲であってグループ用プレイリストに登録されている楽曲については、ポータブルオーディオプレーヤ28cとのケーブル接続が切り離された時点で、直ちにグループ用プレイリストから削除してもよい。
図7は各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c,・・・の不揮発性メモリ29に格納されている楽曲データ48を、ジャンルを区別することなく示している。楽曲データ48は、楽曲ごとに1個のファイルを構成しており、各ファイルの具体的なデータ構造は、楽曲に係る所定のフォーマット(例:MP3,WMA,AAC)により規定されており、各ファイルには、音声データと付帯情報とを含む情報としての楽曲情報が格納されている。今、所定の選択条件(以下、説明の便宜上、該選択条件を「選択条件Q」と呼ぶことにする。)Qに合致する楽曲として、楽曲データ48aでは、楽曲A1,A2,A3,A4、楽曲データ48bでは、楽曲B1,B2,B3,B4、楽曲データ48cでは、楽曲C1,C2,C3,C4が存在したと仮定する。なお、ヘッドユニット11は、接続状態のポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c,・・・からのデコード後のオーディオ信号を受信して、スピーカ18から出力することは可能であるが、自身が保有した楽曲を再生する機能を装備していない場合、又は自身がハードディスク装置12に保有している楽曲を再生する機能を装備しているものの、ハードディスク装置12に保有楽曲が存在していない場合を想定する。
図8は選択条件Qに合致する楽曲についてのプレイリストを示している。選択条件Qについてポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c,・・・の不揮発性メモリ29において検索が行われ、選択条件Qに合致する楽曲は、プレイリストに登録される。プレイリストに登録された楽曲は、一般的なプレイリストでは、プレイリスト名及びアーティスト名等により表示される。また、プレイリストでは、楽曲は再生順に上から下に並べられる。該プレイリストにおける楽曲の再生順は、ポータブルオーディオプレーヤ28aから順番に一曲ずつ再生して、ポータブルオーディオプレーヤ28cの楽曲を再生したら、また、ポータブルオーディオプレーヤ28aの楽曲の再生に戻る方式となっている。
車載型楽曲再生システム10が図8のプレイリストの再生順に従い各楽曲を再生している期間に、再生順番の4番から7番までの期間T1にポータブルオーディオプレーヤ28cとの通信が不能になったと仮定する。ヘッドユニット11は、A1,B1,C1,A2,B2と順番に再生していくが、6番目のC2は、ポータブルオーディオプレーヤ28cとの通信不能のために、再生が困難であることが分かる。そこで、C2の再生をスキップして、C2の次のA3を再生する。こうして、車載型楽曲再生システム10は、グループ員の離脱等のためにポータブルオーディオプレーヤ28cとの通信が不能になっても、図8のプレイリストに基づく再生処理を支障なく継続できる。
図9は一部のポータブルオーディオプレーヤとの通信不能が生じた場合にプレイリスト上の該当楽曲の再生スキップにより対処するプレイリスト処理のフローチャートである。S201では、ヘッドユニット11はポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c,・・・との通信を開始する。S202では、所定の選択条件に合致する楽曲をポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c,・・・から探索して、該当する楽曲を登録したグループ用楽曲プレイリストを自動作成する。S203では、グループ用プレイリストに基づき楽曲を順番に再生する。
S204では、各ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c,・・・との通信が可能状態に保持されているかを判定する。通信可能となっていれば、S209へ進み、グループ用楽曲プレイリストに基づく再生を継続する。通信不可能なポータブルオーディオプレーヤがあれば、S205へ進む。S205では、通信不可能になっているポータブルオーディオプレーヤの存在することを警告する。この警告は、典型的には、再生中の楽曲の再生音を阻害させないために、表示部15における表示により行われるが、スピーカ18からの音声により行われてもよい。また、S205では、通信不可能になっているポータブルオーディオプレーヤがどのユーザのものかを表示部15に表示することもできる。
S206では、通信不能になっていたポータブルオーディオプレーヤが通信復帰したか否かを判定し、通信復帰していれば、S209へ進み、なお、通信不能状態になっていれば、S207へ進む。S207では、通信不能中のポータブルオーディオプレーヤに対し、それから選択した楽曲については、再生をスキップし、通信復帰しだい(S208の判定が正)、S209へ進む。
図10はポータブルオーディオプレーヤ28cが通信不能となった場合の楽曲の再生順の説明図である。図10(a)は初期のプレイリストにおける再生順を示し、図10(b)及び(c)はポータブルオーディオプレーヤ28cと期間T2に通信不能が生じてその後の通信復帰した場合の現実の再生順を示している。所定の選択条件Qについてポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cの不揮発性メモリ29において検索が行われ、選択条件Qに合致する楽曲A1〜A4,B1〜B4,C1〜C4が選択され、それに基づき所定のプレイリストが作成される。該プレイリストでは、ポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28cからの選択楽曲を循環させて、再生する再生順方式を採用しており、楽曲の再生順はA1,B1,C1,A2,B2,C2,A3,・・・となる。今、ヘッドユニット11が、図10(a)の再生順で楽曲を再生している場合に、ポータブルオーディオプレーヤ28cとの通信が、再生順の3番から6番までに相当する期間T2、不能になったと仮定する。
ヘッドユニット11は、A1、B1と再生を進めるが、C1の楽曲信号を受信できない。ヘッドユニット11は、C1の再生をスキップして、C1の代わりに、再生順がC1の次となっているA2を再生し、以降、B2,・・・を再生する。ヘッドユニット11は、B2の再生を終了して、C2を再生しようとするが、ポータブルオーディオプレーヤ28cとはなお通信不能となっているため、C1と同様に、C2の再生をスキップして、再生順がC2の次となっているA3を再生し、以降、B3,・・・を再生する。
再生順か7番に相当する時刻では、ポータブルオーディオプレーヤ28cとの通信が復帰している。車載型楽曲再生システム10は、B3の再生終了後、ポータブルオーディオプレーヤ28cの再生保留楽曲の中で最初のもの、すなわちC1を再生し、その次に、ポータブルオーディオプレーヤ28aの楽曲A4を再生する。このように変更された再生順が図10(b)に示されている。図10(b)の再生順では、ポータブルオーディオプレーヤ28cに係る楽曲のみの通信不能前の再生順C1,C2,C3,C4は、通信復帰後も、不変となっている。
図10(c)は、ポータブルオーディオプレーヤ28cとの通信復帰後の別の再生順を示しており、通信不能のために再生保留された楽曲C1,C2は、図10(a)の本来の再生順で最後の楽曲C4の後に回されている。
図11は一部のポータブルオーディオプレーヤとの通信不能が生じた場合にプレイリスト上の該当楽曲の削除により対処するプレイリスト処理のフローチャートである。図11において、S231〜S235,S238,S239及びS240は前述の図9のS201〜S205,S207,S208及びS209とそれそれ同一となっており、説明を省略する。
S236では、通信不能中のポータブルオーディオプレーヤに対し、それから選択した全楽曲については、プレイリストからの削除を行うか否かを判定する。該判定は、自動で行ってもよいし、ユーザに、正否のどちらにするかを選択させるようにしてもよい。自動で行うときは、例えば、通信不能時間を計測し、通信不能時間がまだ所定時間未満であるときは、S238へ進み、所定時間以上になっていたら、S237へ進むようにしてもよい。S237では、通信不能中のポータブルオーディオプレーヤから選択した全楽曲について、プレイリストから削除するように、プレイリストを更新する。
図12は楽曲処理装置50の機能ブロック図である。楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の一例はそれぞれヘッドユニット11(図1)及びポータブルオーディオプレーヤ28a,28b,28c・・・(図1)である。放音器52の一例はスピーカ18(図1)である。記憶装置53の一例はハードディスク装置12(図1)である。前述のヘッドユニット11は、楽曲を自分のハードディスク装置12に保有して、それら保有楽曲を再生して、再生音をスピーカ18から出力自在になっているが、楽曲処理装置50は、楽曲を自分では保有することなく、携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の保有楽曲のみの再生音をスピーカ18から出力自在になっていてもよい。両者を区別するとき、前者の楽曲処理装置50を「楽曲保有型楽曲処理装置50」と呼び、後者の「非保有型楽曲処理装置50」と呼ぶことにする。楽曲保有型楽曲処理装置50は、本発明を適用するために、1個以上の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・を接続されればよいが、非保有型楽曲処理装置50は、2個以上の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・を接続される必要がある。楽曲保有型楽曲処理装置50の場合、該楽曲保有型楽曲処理装置50に保有している楽曲は、該楽曲保有型楽曲処理装置50の所有者(自動車のドライバーや楽曲処理装置50を居間等に配備する家庭の住人等)の保有する楽曲となる。
すなわち、楽曲保有型楽曲処理装置50は、1個以上の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・を接続され、各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・からの楽曲信号を受信して該楽曲信号に係る再生音を放音器52より出力可能になっているとともに、自身が装備する記憶装置53内の楽曲を再生して、再生音を放音器52から出力可能になっている。
また、非保有型楽曲処理装置50は2個以上の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・を接続され、各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・からの楽曲信号を受信して該楽曲信号に係る再生音を放音器52より出力可能になっている。
各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から楽曲処理装置50への楽曲信号は、典型的には、各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・において楽曲ファイルをデコードして、デコード後のオーディオ信号である。この場合、楽曲処理装置50は、携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から受信したオーディオ信号を、単に、増幅するのみで放音器52から再生音を出力することができる。各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から楽曲処理装置50への楽曲信号は、楽曲ファイルデータであってもよい。この場合は、楽曲処理装置50は、受信した楽曲ファイルをデコードして、オーディオ信号を生成する必要がある。
楽曲処理装置50は、楽曲選択手段55、プレイリスト作成手段56及び再生手段57を有している。楽曲保有型楽曲処理装置50では、楽曲選択手段55は、楽曲処理装置50及び各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。非保有型楽曲処理装置50では、楽曲選択手段55は、各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。
プレイリスト作成手段56は、選択された楽曲を再生対象楽曲として登録したプレイリストを作成する。再生手段57は、プレイリストに登録されている楽曲を1個ずつ再生する。
選択条件には、肯定条件(例:過去1週間以内に聴取した楽曲という条件)だけでなく、否定条件(例:過去1週間以内に聴取しなかった楽曲という条件)を含むものとする。選択条件には、典型的には、グループ内で好まれている楽曲を抽出するような選択条件が設定されるが、面白さとしては、過半数のユーザには嫌われているが少数のユーザには好まれている楽曲を抽出する選択条件があってもよい。
選択条件は、例えば、(a)楽曲処理装置50においてあらかじめ標準の幾つかが用意されていて、楽曲処理装置50のユーザによりそれらの中から1個をユーザ設定しておくようになっているか、(b)グループの楽曲を新規に作成するごとに、作成に先立ち、それら選択条件から1個を選択するようにするか、(c)グループの楽曲を新規に作成するごとに、ユーザが手動で設定するかされる。
典型的な楽曲処理装置50では、プレイリスト作成手段56の作成するプレイリストに登録される楽曲数には、制限があるが、無制限の場合もある。また、楽曲数の制限には、20曲以内とか、楽曲数で直接制限される場合の他に、プレイリストの全曲の総再生時間が30分以内というように、総再生時間により規定される場合もある。さらに、選択条件によっては、楽曲選択手段55が全員の楽曲処理装置50又は携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から選択した楽曲の総数が、プレイリストの制限数に達しないこともあり得る。プレイリストに登録する楽曲数に制限がある場合であって、選択条件に該当する楽曲の個数が制限数を越えるときには、楽曲選択手段55は、選択数を制限数内とするために、選択条件に該当する全部の楽曲の中から所定の優先基準に従い絞込みを行う必要がある。優先基準としては、例えば、多数のユーザが保有している楽曲を優先したり、逆に、一人のユーザしか保有していない楽曲を優先したりする基準がある。
こうして、複数のユーザが、楽曲処理装置50又は携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・に記録して自動車の車内又は建物の室内へ持ち寄った楽曲について、選択条件を設定して、該選択条件に合致する楽曲を選択して、音楽を全員で楽しむことができる。
なお、プレイリストは、その最後の楽曲を再生後、破棄することなく、情報保存部17にプレイリスト情報22として保存し、次の場面では、プレイリストを新たに作成することなく、プレイリスト情報22を読み出して、再利用することができる。プレイリストに基づく再生は、プレイリストの最後の楽曲まで行くことなく、ユーザの都合により途中終了することも可能であり、再利用(レジューム)したい場合には、途中終了時に情報保存部17にプレイリスト情報22として保存する。プレイリスト情報22には、プレイリスト自体の情報の他に、途中終了のときに最後に再生した楽曲に係る情報等、その他の情報も含めることができる。
以下、楽曲処理装置50についてさらなる具体例を説明する。
選択条件とは、楽曲の付帯情報、楽曲処理装置50若しくは各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・における楽曲再生履歴、楽曲処理装置50若しくは各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・におけるユーザ別プレイリスト、又は楽曲処理装置50若しくは各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・における楽曲嗜好情報、又は楽曲処理装置50若しくは各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・が共通に保有している若しくは保有していない楽曲に係る選択条件である。
楽曲の付帯情報に係る選択条件とは、図2に関連して説明したように、ジャンル、アーティスト若しくは年代に係る選択条件である。楽曲再生履歴とは各楽曲についての再生回数に係る選択条件である。ユーザ別プレイリストに係る選択条件とはユーザ別プレイリストに登録されている楽曲に係る選択条件である。楽曲嗜好情報に係る選択条件とは、図3に関連して説明したように、特定のジャンル、アーティスト若しくは年代についての好き嫌いに係る選択条件である。
楽曲選択手段55は、楽曲の再生機能を有しない携帯型情報機器であって楽曲処理装置50に切り離し自在に接続される携帯型情報機器より接続時に選択条件に係る情報を入手して該情報を反映した選択条件に該当する所定の複数個の楽曲を楽曲処理装置50又は携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の保有楽曲の中から選択してもよい。携帯型情報機器の一例は、携帯電話35(図4)である。ユーザによっては、携帯型楽曲再生機器を持っていないことがあり、自分の嗜好情報が、選択条件に反映されず、疎外感を抱くことがある。そのようなユーザが携帯電話を持っていたら、該携帯電話に記録されている嗜好情報を楽曲処理装置50へ伝送し、楽曲処理装置50は、該嗜好情報を考慮した選択条件を設定可能になる。なお、携帯電話における嗜好情報の登録は、アドレス帳編集ソフトウェアのようなソフトウェアを使用することにより、アドレス帳への電話番号登録のような形式で実現可能である。
選択数に制限がある場合には、楽曲処理装置50又は各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・からそれぞれ選択する楽曲の個数を、楽曲処理装置50又は各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・において選択条件に該当する楽曲の個数比に基づくものにする。例えば、選択条件に該当する楽曲が、楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・にそれぞれ100,50,30,20あったとし、制限数が20であるとする。個数比は約分すると、10:5:3:2であるので、楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・からそれぞれ10,5,3,2個ずつ選択されることになる。制限数は、楽曲処理装置50におけるユーザ設定により予め行なわれたり、プレイリストを作成するつど、指定可能であったりする。厳密な個数比では、選択数が小数となってしまう楽曲処理装置50又は携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・では、小数第一位を四捨五入等の処理を実施し、最終選択数を制限数に合わせる。最終選択数が制限数より若干、少なくなってもよいとする。
楽曲処理装置50はさらに再生順番決定手段60を有している。再生順番決定手段60は、選択された楽曲の再生順番を、再生楽曲の保有元としての楽曲処理装置50若しくは各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・が循環する順番形式で、又は楽曲処理装置若しくは各携帯型楽曲再生機器において選択条件に該当する楽曲の個数に基づく順番形式で決定する。プレイリスト作成手段56は、選択された楽曲を、決定された再生順番に表示したプレイリストを作成する。再生手段57は、プレイリスト上の再生順番に基づき楽曲を再生する。
典型的なプレイリストでは、登録された各楽曲は、プレイリストにおいて、例えば楽曲名、楽曲名以外のメタデータ(アーティスト名やジャンル等)、携帯型楽曲再生機器情報(例:誰々の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・からの楽曲である)、及び/CODEC(COmpression/DECompression)情報に対応付けて表示される。また、典型的なプレイリストでは、楽曲は、再生順番の早い方から遅い方へ上から順番に並ぶ。
選択された楽曲の再生順番を、再生楽曲の保有元としての楽曲処理装置50若しくは各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・が循環する順番形式例として次の(a)、及び楽曲処理装置若しくは各携帯型楽曲再生機器において選択条件に該当する楽曲の個数に基づく順番形式例として次の(b),(c)を挙げる。
(a)楽曲処理装置50又は各携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・からその選択楽曲を1曲ずつ順に再生し、残りの選択楽曲がなくなった楽曲処理装置50又は携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・は、スキップする再生順番方式で、全部の選択楽曲を再生する。すなわち、(携帯型楽曲再生機器51aからの選択楽曲が1個しかなかった場合):楽曲処理装置50の1曲目→携帯型楽曲再生機器51aの1曲目→携帯型楽曲再生機器51bの1曲目→携帯型楽曲再生機器51cの1曲目→楽曲処理装置50の2曲目→携帯型楽曲再生機器51bの2曲目→携帯型楽曲再生機器51cの2曲目・・・
(b)楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の内で選択楽曲の一番多かった機器の全選択曲→その次に多かった機器の全選択曲→・・・→一番少なかった機器の全選択曲
(c)選択楽曲の一番少なかった機器の1曲→その次に少なかった機器の曲を比率に応じた数(前述の100:50:30:20の例では、5:2.5:1.5:1となり、1.5は四捨五入すると2であるので、2)→・・・→一番多かった機器の曲を比率に応じた数(前述の100:50:30:20の例では、5)→選択楽曲の一番少なかった機器の1曲→・・・
別の再生順番方式を採用する楽曲処理装置50では、再生順番決定手段60は、目的地までの誘導路上の所定地点に関連する楽曲が、該所定地点の通過予測時刻に再生されるように、楽曲の再生順番を決定する。再生手段57は、選択された楽曲を、決定された再生順番に並べたプレイリストを作成する。再生手段57は、プレイリスト上の再生順番に基づき楽曲を再生する。
誘導路上の所定地点を通過する時の楽曲再生の具体例を説明する。楽曲処理装置50は、ヘッドユニット11のように、カーナビゲーション装置に実装されることがある。ユーザが、カーナビゲーション装置搭載の自動車でドライブする際、出発時に、目的地を設定してルート検索すると、旅行時間及び通過地点と各通過地点を通過する予想時刻が判明する。これを基にプレイリスト上の再生順番を決定する。
例えば、東京駅から湘南海岸経由で伊豆方面へドライブに出掛けるとする。東京駅に集合して、カーナビゲーション装置により伊豆を目的地として及び湘南海岸を経由地としてルート探索を実施し、今回のドライブコースを設定する。カーナビゲーション装置は、誘導路と共に、誘導路上の各通過地点の予想通過時刻を計算する。該予想通過時刻に基づき湘南海岸を通過する頃に、海に関連した楽曲を再生するようなプレイリストをプレイリスト作成時に作成することができる。
楽曲処理装置50は、さらに、現在地検出手段63を有してもよい。現在地検出手段63は、GPS等を用いて現在地を検出する。再生手段57は、プレイリストに登録されている楽曲であってかつ現在地に関連する楽曲を再生する。典型的なプレイリストでは、楽曲名が楽曲の再生順番に上から下へ並ぶが、現在地関連の楽曲を再生する場合には、プレイリスト上の再生順番が、適宜、変更されることになる。例えば、現在地が海の見える道路である場合には、海に関連の楽曲がプレイリストから選択されて再生される。現在地の検出タイミングは、典型的には、現在地に関連する楽曲の再生が開始する少し前、例えばその前の楽曲を再生していて、次の再生楽曲を決める時である。
楽曲処理装置50は、また、楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の全部が保有する楽曲に基づき所定の選択条件を決めて、楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の1個が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する所定の楽曲を選択してもよい。すなわち、選択条件に合致する楽曲は、楽曲処理装置又は1個の携帯型楽曲再生機器から行う。ただし、その場合においても、グループ全体の嗜好を反映するために、選択条件は、全体、すなわち楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の全部が保有する楽曲に基づき決める。
楽曲処理装置50は、楽曲処理装置50及び別々の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から同一の楽曲が重複選択されてプレイリストに登録されている場合には、該同一の楽曲の内、再生順番が2番目以降のものについては、そのまま再生するか又は再生をスキップするかする。再生をスキップする場合には、ユーザは同一の楽曲を繰り返し聞かなくて済む。重複選択のために、スキップする楽曲を図6のCr2とすると、Cr2をスキップする代わりに、例えば、Cr3を再生してもよい、すなわち、スキップされた楽曲を選択されている携帯型楽曲再生機器から、再生待ち順が、スキップされた楽曲の次である楽曲を、スキップされた楽曲の代わりに再生するのである。さらに、重複選択のために、スキップする楽曲を図6のCr2とすると、Cr2をスキップする代わりに、例えば、Crxを再生してもよい、Crxとは、スキップされた楽曲Cr2を選択された携帯型楽曲再生機器cの保有楽曲であって、今回の選択条件には該当していたものの、登録数制限のために、図6のプレイリストへの登録から漏れた楽曲である。
或る楽曲処理装置50では、プレイリスト作成手段56は、楽曲処理装置50及び別々の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から同一の楽曲が重複選択された場合には、該重複選択された楽曲の内の1個のみが登録されるように、プレイリストを作成してもよい。プレイリストに重複して登録されていないということは、同一の楽曲が繰り返し再生されないことを意味する。ここで、再生順番決定手段60は、重複選択された楽曲の内の1個のみがプレイリストに登録される楽曲は、重複選択のなかった他の楽曲より再生順番を前に又は後ろに決定してもよい。そして、プレイリスト作成手段56は、選択された楽曲を、決定された再生順番に並べたプレイリストを作成する。再生手段57は、プレイリスト上の再生順番に基づき楽曲を再生する。これにより、重複選択された楽曲の内の1個のみがプレイリストに登録される楽曲の再生が、最初又は最後に再生されることになる。
プレイリスト作成手段56が、楽曲処理装置50及び別々の携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・から同一の楽曲が重複選択された場合には、該重複選択された楽曲の内の1個のみが登録されるように、プレイリストを作成したときについて、付言する。グループのメンバーがユーザA,B,Cの三人であって、携帯型楽曲再生機器51a,51b,51cはそれぞれユーザA,B,Cの所有とする。グループ用プレイリストに基づく楽曲再生の再生順では、例えば、携帯型楽曲再生機器51aからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51bからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51cからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51aからの選択楽曲→・・・と、携帯型楽曲再生機器51a,51b,51cから選択楽曲を循環形式で1個ずつ再生する再生順を採用することがある。ユーザA,B,Cとは別個の仮のユーザXを想定し、該ユーザXが所有する仮の携帯型楽曲再生機器xを想定し、重複選択されたために重複選択楽曲の1個のみがプレイリストに登録されている楽曲は携帯型楽曲再生機器xからの選択楽曲とみなす。そして、グループ用プレイリストに基づく楽曲再生の再生順では、携帯型楽曲再生機器51xからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51aからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51bからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51cからの選択楽曲→携帯型楽曲再生機器51xからの選択楽曲→・・・と、携帯型楽曲再生機器x,51a,51b,51cから選択楽曲を循環形式で1個ずつ再生する再生順を採用してもよい。
楽曲選択手段55は、所定の選択条件に該当する楽曲が楽曲処理装置50及び携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・に重複して保有されている場合には、該楽曲を選択から除外する。これにより、ユーザは自分の保有していない楽曲を聞くことができる。
楽曲処理装置50は、自動車又は建物内に配備されるものである。すなわち、本発明は、車室内での実施に限定されず、家庭やレジャー施設の室内で実施されてもよい。
携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の1個が、楽曲処理装置50であってもよい。この場合、携帯型楽曲再生機器51a,51b,51c・・・の1個が、楽曲処理装置50を兼ねる結果、専用の楽曲処理装置50は不要となる。
別の楽曲処理装置50は、携帯型情報機器(例:携帯電話)を接続されて、携帯型情報機器から嗜好情報を入手し、これに基づき選択条件を設定して、該当する楽曲を自身の保有楽曲の中から選択し、選択した楽曲に基づきプレイリストを作成し、該プレイリストに基づく楽曲再生を行うことができるようになっている。すなわち、別の楽曲処理装置50は、自身が装備する記憶装置53内の楽曲を再生して、再生音を放音器から出力可能になっている。楽曲選択手段51は、楽曲の再生機能を有しない又は再生可能な楽曲を保有していない携帯型情報機器であって楽曲処理装置に切り離し自在に接続される携帯型情報機器より接続時に選択条件に係る情報を入手して該情報を反映した選択条件に該当する楽曲であって楽曲処理装置50自身の保有する楽曲の中から選択する。プレイリスト作成手段56は、選択された楽曲を再生対象楽曲として登録したプレイリストを作成する。再生手段57は、プレイリストに登録されている楽曲を1個ずつ再生する。
図13は楽曲処理装置70の機能ブロック図である。該楽曲処理装置70は、前述の楽曲処理装置50(図12)に、携帯型楽曲再生機器との通信不能時の対処機能を追加したものとなっている。楽曲処理装置70も、楽曲処理装置50と同様に、楽曲を自分のハードディスク装置等の記憶装置73に保有して、それら保有楽曲を再生して、再生音を放音器72から出力自在になっていてもよいし、楽曲を自分では保有することなく、携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・の保有楽曲のみの再生音を放音器72から出力自在になっていてもよい。両者を区別するとき、前者の楽曲処理装置70を「楽曲保有型楽曲処理装置70」と呼び、後者の楽曲処理装置70を「非保有型楽曲処理装置70」と呼ぶことにする。楽曲保有型楽曲処理装置70は、本発明を適用するために、1個以上の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を接続されればよいが、非保有型楽曲処理装置70は、2個以上の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を接続される必要がある。楽曲保有型楽曲処理装置70の場合、該楽曲保有型楽曲処理装置70に保有している楽曲は、該楽曲保有型楽曲処理装置70の所有者(自動車のドライバー又は楽曲処理装置70を居間等に配備する家庭の住人)の保有する楽曲となる。
すなわち、楽曲保有型楽曲処理装置70は、1個以上の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を接続され、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・からの楽曲信号を受信して該楽曲信号に係る再生音を放音器52より出力可能になっているとともに、自身が装備する記憶装置73内の楽曲を再生して、再生音を放音器52から出力可能になっている。
また、非保有型楽曲処理装置70は、2個以上の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を接続され、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・からの楽曲信号を受信して該楽曲信号に係る再生音を放音器52より出力可能になっている。
楽曲処理装置70は、楽曲選択手段75、プレイリスト作成手段76、再生手段77、監視手段78及び再生制御手段79を有している。楽曲保有型楽曲処理装置70の楽曲選択手段75は、楽曲処理装置70及び各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。非保有型楽曲処理装置70の楽曲選択手段75は、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。
プレイリスト作成手段76は、選択された楽曲を登録したプレイリストを作成する。再生手段77は、プレイリストに登録されている楽曲を1個ずつ順番に再生する。監視手段78は、各携帯型楽曲再生機器と通信不能状態になっていないかを監視する。再生制御手段79は、通信不能の携帯型楽曲再生機器の保有する楽曲は該楽曲の再生をスキップするように、再生手段77を制御する。
携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が楽曲処理装置70とUSBケーブルやLANケーブル等を介して接続されている場合には、該USBケーブルやLANケーブルを携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・から抜くことにより、楽曲処理装置70は携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・と通信不能状態になる。携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が楽曲処理装置70と無線LANやブルートゥース等を介して接続されている場合には、該携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を所有するユーザが、楽曲処理装置70の配備されている車内や室内から退出したりして、無線の到達領域外へ出ることにより、楽曲処理装置70は携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・と通信不能状態になる。さらに、携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・の電池切れや、通信部品の故障等によっても、楽曲処理装置70は携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・と通信不能状態になる。
こうして、グループの一部のユーザが離脱したり、一時的なケーブル接続不良が生じたり等の原因により、楽曲処理装置70が一部の携帯型楽曲再生機器(以下、説明の便宜上、通信不能が起きた携帯型楽曲再生機器を「携帯型楽曲再生機器71c」と仮定する。。)と通信不能になっても、残ったユーザの携帯型楽曲再生機器71a,71b,71d,・・・における選択楽曲に基づき、選択条件に合致した楽曲の再生を継続することができる。なお、プレイリストは、次の再利用のために、情報保存部17にプレイリスト情報22として保存可能である。
楽曲処理装置70のさらなる具体的態様について説明する。
再生制御手段79は、通信不能の携帯型楽曲再生機器71cから選択した楽曲であって再生をスキップしようとする楽曲が、通信可能な携帯型楽曲再生機器の保有楽曲の中に同一楽曲としてあるときは、再生をスキップすることなく、該通信可能な携帯型楽曲再生機器から該同一楽曲の楽曲信号を受信して、該スキップしようとした楽曲を再生するように、再生手段77を制御する。これにより、スキップして再生しない楽曲を最小限に抑制できる。
再生制御手段79は、通信不能な携帯型楽曲再生機器との通信が復帰したならば、通信不能のために再生保留していた該携帯型楽曲再生機器の保有する楽曲を通信復帰後に再生するように、再生手段77を制御する。通信不能には、グループ員の離脱のように、永久的なものと、ケーブルの外れのように、一時的なものがある。一時的な通信不能の場合には、通信復帰後に、通信不能に因り再生を保留していた楽曲を再生することにより、未再生楽曲を残して、プレイリストを終了することを極力防止できる。
再生制御手段79は、通信復帰した携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲であって再生保留していた全楽曲を、該携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・の通信復帰後は、該携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・の非再生保留で未再生の全楽曲より前に又は後に再生するように、再生手段77を制御する。前述の図10(b)及び(c)はこの例を示している。これにより、通信不能に因る再生保留した楽曲を通信復帰後、漏れなく再生可能となる。
再生制御手段79は、これから再生しようとする楽曲ではなく、現在再生中の楽曲の楽曲信号の送信元の携帯型楽曲再生機器との通信が不能になった場合には、通信不能後、所定時間内に通信復帰したときには、該楽曲の再生を再開し、また、復帰しなかったときには、プレイリストにおいて再生順番が次の楽曲を再生するように、再生手段77を制御する。プレイリストに登録された楽曲を再生開始する前に、該楽曲の楽曲信号の送信元の携帯型楽曲再生機器が通信不能になることがあるが、楽曲を再生中に該楽曲の楽曲信号の送信元の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が突然、通信不能に陥り、該楽曲の再生が困難になってしまうことが起こり得る。通信不能時間が短ければ、再生停止時間はユーザをいらいらさせずに済むので、通信復帰を待って、該楽曲の再生を再開する。しかし、通信不能時間が長く続くようであれば、該楽曲の再生再開を諦め、プレイリストの再生順において該楽曲の次の楽曲を再生するようにして、ユーザに不快感を与えることを防止できる。
楽曲処理装置70はさらにプレイリスト更新手段85を有している。プレイリスト更新手段85は、プレイリストに登録されている楽曲であって通信復帰した携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲について、通信復帰時に、該携帯型楽曲再生機器71cの保有楽曲から消失していた場合には、プレイリストから該楽曲を削除するように、プレイリストを更新する。グループ用プレイリストに基づく楽曲再生中、一部のユーザは自分の携帯型楽曲再生機器を楽曲処理装置70との接続から切り離して、所定の操作を行い、例えば所定の楽曲を削除することがあるかもしれない。該楽曲処理装置70はこのような場面に対処できる。
プレイリスト更新手段85は、携帯型楽曲再生機器71cとの通信不能後、該携帯型楽曲再生機器71cの通信復帰が困難と判断したときには、該携帯型楽曲再生機器71cから選択した楽曲は、プレイリストから削除するように、プレイリストを更新する。携帯型楽曲再生機器71cの通信復帰が困難と判断するときとして、例えば通信不能時間が所定時間以上継続したときがある。プレイリストからの該当楽曲の削除以降では、該当楽曲のスキップ処理は不要となり、プレイリストにおける再生順番に従い楽曲の再生を続けることができる。なお、プレイリストは、再利用のために、適宜、記憶装置73に記憶することができる。
プレイリスト更新手段85のプレイリスト更新処理を再生制御手段79における再生スキップ制御に関連付けさせる楽曲処理装置70では、通信不能となってから所定時間内は、通信復帰の可能性があるので、プレイリストからの該当楽曲の登録削除を保留し、すなわち、再生制御手段79が、プレイリストに登録されている楽曲であって通信不能中の携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲についての再生をスキップするように、再生手段77に指示する。そして、通信不能時間が長引き、通信復帰の見込みがないと判断すると、プレイリスト更新手段85は、通信不能中の携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲をプレイリストから削除するように、プレイリストを更新する。
プレイリスト更新手段85のプレイリスト更新処理を、再生制御手段79における再生スキップ制御に関連付けさせることなく、すなわち、再生制御手段79における再生スキップ制御とは独立に実施することもできる。
具体的には、プレイリスト更新手段85のプレイリスト更新処理を再生制御手段79における再生スキップ制御とは独立に実施する楽曲保有型楽曲処理装置70では、1個以上の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を接続され、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・からの楽曲信号を受信して該楽曲信号に係る再生音を放音器より出力可能になっているとともに、自身が装備する記憶装置73内の楽曲を再生して、再生音を放音器から出力可能になっている。そして、楽曲選択手段75は、楽曲処理装置及び各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。プレイリスト作成手段76は、選択された楽曲を再生対象楽曲として登録したプレイリストを作成する。再生手段77は、プレイリストに登録されている楽曲を1個ずつ順番に再生する。監視手段78は、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・と通信不能状態になっていないかを監視する。プレイリスト更新手段85は、通信不能の携帯型楽曲再生機器71cから楽曲信号を受信して再生する楽曲については該楽曲をプレイリストから削除するように、プレイリストを更新する。
また、プレイリスト更新手段85のプレイリスト更新処理を再生制御手段79における再生スキップ制御とは独立に実施する非保有型楽曲処理装置70では、2個以上の携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・を接続され、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・からの楽曲信号を受信して該楽曲信号に係る再生音を放音器より出力可能になっている。楽曲選択手段75は、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。プレイリスト作成手段76は、選択された楽曲を再生対象楽曲として登録したプレイリストを作成する。再生手段77は、プレイリストに登録されている楽曲を1個ずつ順番に再生する。監視手段78は、各携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・と通信不能状態になっていないかを監視する。プレイリスト更新手段85は、通信不能の携帯型楽曲再生機器71cから楽曲信号を受信して再生する楽曲については該楽曲をプレイリストから削除するように、プレイリストを更新する。
楽曲処理装置70はさらに通知手段88を有している。通知手段88は、通信不能に係る情報をユーザに通知する。通信不能に係る情報とは、例えば、(a)通信不能が生じている旨、又は(b)どの携帯型楽曲再生機器71cと現在、通信不能となっているか等である。通知は、典型的には、楽曲の再生音を阻害しないように、表示部15における視覚的な通知とされるが、スピーカ18からの音声で通知されてもよい。
楽曲処理装置70は、自動車に装備されるだけでなく、建物の室内に配備されてもよい。楽曲処理装置70が自動車に装備される場合には、携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・は車内に持ち込まれて、楽曲処理装置70との通信を確立するが、楽曲処理装置70が建物の所定の室内に配備される場合には、携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・は室内又は屋内に持ち込まれて、楽曲処理装置70との通信を確立することになる。
携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・の1個が、楽曲処理装置70であってもよい。この場合、携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・の1個が、楽曲処理装置50を兼ねる結果、専用の楽曲処理装置70は不要となる。
図14は楽曲処理方法100のフローチャートである。前述の図9及び図11のプレイリスト処理方法は楽曲処理方法100の具体例である。楽曲処理方法100は楽曲保有型楽曲処理装置70及び非保有型楽曲処理装置70に適用される。楽曲保有型楽曲処理装置70に適用される楽曲処理方法100では、S101において、楽曲処理装置及び各携帯型楽曲再生機器が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。非保有型楽曲処理装置70に適用される楽曲処理方法100では、S101において、各携帯型楽曲再生機器が保有する楽曲の中から所定の選択条件に該当する楽曲を選択する。
S102では選択された楽曲を再生対象楽曲として登録したプレイリストを作成する。S105では、プレイリストに登録されている楽曲を1個ずつ順番に再生する。S103では、各携帯型楽曲再生機器と通信不能状態になっていないかを監視する。S104では、通信不能の携帯型楽曲再生機器71cから楽曲信号を受信して再生する楽曲については再生をスキップするか、プレイリストから削除する。
S105では、通信不能の携帯型楽曲再生機器71cから選択した楽曲であって再生をスキップしようとする楽曲が、通信可能な携帯型楽曲再生機器の保有楽曲の中に同一楽曲としてあるときは、再生をスキップすることなく、該通信可能な携帯型楽曲再生機器における該同一楽曲を再生するようにしてもよい。
S103では、通信不能となった携帯型楽曲再生機器71a,71b,71c,・・・が通信復帰したか否かの監視も行う。通信復帰があった場合には、S105において、通信不能のために再生保留していた該携帯型楽曲再生機器の保有する楽曲を再生する。また、この再生保留楽曲の再生では、通信復帰した携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲であって再生保留していた全楽曲は、該携帯型楽曲再生機器の通信復帰後は、該携帯型楽曲再生機器の非再生保留で未再生の全楽曲より前に又は後に再生するようにする。
一方、楽曲の再生中に、該楽曲を保有する携帯型楽曲再生機器との通信が不能になることがある。S104では、通信不能となった携帯型楽曲再生機器71cが、所定時間内に通信復帰したか否かを監視し、S105では、所定時間内に通信復帰したときには、該楽曲の再生を再開し、また、復帰しなかったときには、プレイリストにおいて再生順番が次の楽曲を再生する。
プレイリストに登録されている楽曲であって通信復帰した携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲について、通信復帰時に、該携帯型楽曲再生機器の保有楽曲から消失していたことが起きることがある(S115の判定が正)。このような場合には、S116により、プレイリストから該消失楽曲を削除する。
S104では、所定の携帯型楽曲再生機器71cが通信不能に陥ると、該通信不能の携帯型楽曲再生機器71cに係る楽曲を再生スキップに代えて直ちにプレイリストから削除するようにしているが、第1段階では、再生スキップに留め、該所定の携帯型楽曲再生機器71cの通信復帰が困難と判断したときには、該携帯型楽曲再生機器71cが楽曲信号の送信元となる楽曲については、それをプレイリストから削除するようにしてもよい。
S103では、監視の結果判明する通信不能に係る情報をユーザに通知してもよい。楽曲処理方法100も、楽曲処理装置70と同様に、車室内への適用と共に、建築物の室内での適用が可能である。
本発明のプログラムは、コンピュータを楽曲処理装置70の各手段として機能させる。本発明のプログラムは、また、コンピュータに楽曲処理方法100の各ステップをコンピュータに実現させる。
70:楽曲処理装置、71a,71b,71c:携帯型楽曲再生機器、72:放音器、73:記憶装置、75:楽曲選択手段、76:プレイリスト作成手段、77:再生手段、78:監視手段、79:再生制御手段、88:通知手段、100:楽曲処理方法。