JP4367037B2 - 水質情報演算処理装置 - Google Patents

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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水質情報演算処理装置に関し、特に、活性汚泥プロセスの設計や運転を支援するために、水質のシミュレーションを行うのに好適な水質情報演算処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水や工場排水などの汚水は活性汚泥と呼ばれる微生物群によって浄化されており、この処理を活性汚泥プロセスと称している。現在稼動している下水処理場は活性汚泥プロセスが主流で、有機物の除去を主目的とした標準活性汚泥法を採用している。標準活性汚泥法は、流入下水中の有機物を生物反応槽で活性汚泥に摂取あるいは酸化分解させた後、後段に設けられた最終沈殿池で活性汚泥を沈降させて上澄み液を放流する。
【0003】
近年、閉鎖性水域での窒素・リンの総量規制を受け、下水処理場ではこれらの栄養塩類を除去する高度処理方式の導入が進められている。下水中からの窒素やリンを除去する高度処理方式は、大別して物理化学的方法と生物学的方法がある。生物学的方法は既存施設である標準活性汚泥法を改造して構築可能であることから、下水処理場に導入されつつある。標準活性汚泥法は生物反応槽全体に空気を供給しているので、生物反応槽は常に溶存酸素が存在する好気状態になっている。これに対して、生物学的な窒素・リン除去機構を利用した下水高度処理とは、生物反応槽に溶存酸素の存在しない嫌気状態を作り出し、好気状態と組合せてリン除去,窒素除去を実現する方法である。
【0004】
生物学的窒素除去は、好気状態での硝化工程と無酸素状態での脱窒工程から構成する。一般的に、硝化反応を行う細菌を硝化菌あるいは自家栄養菌(以下、自家栄養菌と称す)と、脱窒反応を行う細菌を脱窒菌あるいは他家栄養菌(以下、他家栄養菌と称す)と称している。生物学的リン除去は、嫌気状態でのリン放出工程と好気状態でのリン過剰摂取工程を利用して下水中のリンを除去する処理方法である。このようにリン過剰摂取を行う能力を有する細菌を一般的にリン蓄積菌と呼ばれている。
【0005】
このような下水高度処理は、有機物,窒素・リン除去に関連する他家栄養菌,自家栄養菌,リン蓄積菌、の生息環境を適切に維持することによって性能が発揮される。また、活性汚泥中の各種微生物の生息環境は流入条件や運転条件に大きく左右され、標準活性汚泥法に比べると、処理施設の設計や維持管理は複雑である。
【0006】
しかし、これまで有機物,窒素・リンの複雑な反応過程を算出し提示できる方法がなく、下水高度処理の設計や運転は経験と勘に依存していた。そのため、経験していない流入下水水質と量,生物反応槽構成,運転条件に対しては予測できない事態が発生し、その都度対策を講じるという問題があった。
【0007】
一方、生物反応をモデル化し、数値シミュレーションによって活性汚泥プロセスの特性を評価する方法が提案されている。生物反応のモデルの例として、海外では国際水協会(IWA)が発表した活性汚泥モデルASM No.1(1986),No.2(1995),No.2d(1998),No.3(1999)が提案されている。現在、窒素,リン除去モデルとして活性汚泥モデルNo.2(以下ASM−No.2と称す)とNo.2d(以下ASM−No.2dと称す)が最も利用されている。しかし、これらの活性汚泥モデルは、生物反応を数学的に記述された構造であり、シミュレーションソフトウェアを提供するわけではない。また、特開2000−167585号公報,特開2002−1370号公報、のように、生物モデルを用いた下水処理プロセスシミュレータによって水質を計算する方法が提案されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−167585号公報
【特許文献2】
特開2002−1370号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のなかで国際水協会(IWA)が発表した活性汚泥モデルASM−No.2,ASM−No.2dでは、硝化,脱窒,リン放出,リン摂取,有機物分解,菌体増殖・自己分解などの反応プロセスの反応速度は、それぞれ、他家栄養菌,自家栄養菌,リン蓄積菌の濃度によって計算されている。そのために、前記の反応プロセスの反応速度を正確に計算するためには、活性汚泥中の他家栄養菌,自家栄養菌,リン蓄積菌の濃度を把握しなければならない。国際水協会の活性汚泥モデルでは、重クロム酸カリウムによるCOD(化学的酸素要求量;以下CODcrと略す)や呼吸速度や反応速度とを用いて、他家栄養菌,自家栄養菌,リン蓄積菌の濃度を表している。単位はgCOD/m3 である。しかし、呼吸速度や反応速度を計測するには特殊な機器と技術を要するだけではなく、他の反応を抑制するための様々な前処理が必要であり、処理場では容易に実施できない問題点がある。なお、前記の前処理とは、例えば、他家栄養菌の呼吸速度を測定する際は、硝化反応の抑制処理である。
【0010】
一方、下水処理場において、日常の汚泥管理は、反応槽内の汚泥濃度(MLSS)(単位:mg/L)によって行われている。その理由は、手分析または自動計測器によって容易にMLSSを得ることができるからである。MLSSの手分析測定は、反応槽の混合液を濾紙で濾過し、濾紙に残留した固形物を乾燥して、その固形物の重量を計測するという簡単な方法であるために、日常的に行われている。また、MLSSの自動計測器の性能の向上に伴い、MLSS計による連続測定を行う処理場も多い。下水処理場において、例えば、SRT(固形物滞留時間;単位:日)やA−SRT(好気的固形物滞留時間;単位:日),SVI(汚泥容量指標;単位:mL/gSS)などの管理指標は全て、MLSSを基準にしたものである。なお、SRTとは活性汚泥が余剰汚泥として引かれるまでの平均滞留時間をいい、SVIとは、SV30(汚泥容量;単位:%)に基づき、汚泥1gが占める容量mL数で表したものをいう。前記SV30[%]とは、生物反応槽内の混合液を1リットルのメスシリンダーに入れ、30分静置したのち沈降した汚泥量をパーセントで表したものである。最終沈殿池での汚泥沈降状況はSV30、またはSVIによって管理されている。SVIが大きいほど汚泥の沈降性が悪く、沈降しない汚泥は処理水と一緒に系外へ流出される。SVIは重要な指標であり、その定義を式(1)に示す。
【0011】
SVI[mL/gSS]=SV30[%]×0.01×1000[mL]
/(MLSS[mg/L]×1[L]×0.001) …(1)
しかし、国際水協会の活性汚泥モデルのように、他家栄養菌,自家栄養菌,リン蓄積菌の濃度をgCOD/m3 で表すと、MLSS[mg/L]を計算できないため管理指標であるSRT,A−SRT,SVIを計算提示することができない。
【0012】
また、低水温時、自家栄養菌の系内保持時間を高めるにはA−SRTを大きくする必要があり、そのためには、MLSSを高める必要がある。一方、MLSSを高めると空気量が増大するため、エネルギー節減の観点からは低く保つことが望ましい。このような相反する条件を適切に管理するにはA−SRTを維持できる最低MLSSを求める必要がある。さらに、MLSSは処理プロセスの維持管理に用いられるだけではなく、反応タンク容量の設計因子としても使用されている。このように、活性汚泥プロセスにとっては、MLSSはなくてはならない必須の指標である。このように、活性汚泥をMLSSで表現することは非常に重要であるにもかかわらず、国際水協会の活性汚泥モデルでは表現できないという課題があった。
【0013】
また、これらのことについて、従来の下水処理シミュレータでは、国際水協会の活性汚泥モデルと同様に微生物濃度をgCOD/m3 で扱うために、MLSSを表現することはできなく、上記の課題を解決することができない。
【0014】
そこで、本発明の目的は上記従来技術の問題点を克服し、MLSSを基準に汚泥中の微生物濃度と不活性固形物濃度を定義し、生物モデルに反映し、目標処理水条件を満たす適切な生物反応槽の土木構造,曝気条件,計装,運転条件を支援することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記も目的を達成するために、本発明は、反応槽内の汚泥濃度情報を入力する手段と、汚泥濃度情報に基づいて微生物濃度情報及び不活性固形物濃度情報を演算する手段を有するように構成した。
【0016】
或いは、活性汚泥プロセスの設計や運転を支援するために、水質シミュレーションを行う活性汚泥プロセスのシミュレーションシステムであって、流入水の水量と水質を設定する流入条件設定手段と、処理プロセスの寸法や生物反応槽の分割を設定する土木構造設定手段と、MLSSを設定する手段と、該MLSS中の不活性固形物濃度を設定する手段と、MLSSと前記不活性固形物濃度から微生物濃度を演算する手段と、MLSS中の自家栄養菌濃度を演算する手段と、MLSS中のリン蓄積菌濃度を演算する手段と、MLSS中の他家栄養菌濃度を演算する手段と、処理プロセスの運転条件設定手段と、最終沈殿池の汚泥沈降指標を入力するSVI設定手段と、生物反応槽,最終沈殿池の処理水及び返送汚泥の水質と汚泥濃度を演算するモデル演算手段と、該モデル演算手段にて演算された水質データと汚泥濃度を格納するデータベースと、該データベースから水質データと汚泥濃度を取り出すデータ編集手段と、データの表示手段を具備したことを特徴とする。
【0017】
また、前記微生物濃度演算手段は、MLSSと不活性固形物濃度との差に基づいて微生物濃度を演算する手段を有することを特徴とする。
【0018】
また、前記自家栄養菌濃度演算手段は、A−SRTを用いて自家栄養菌濃度を演算する手段を有することを特徴とする。
【0019】
また、前記リン蓄積菌濃度演算手段は、MLSS中のリン濃度と、不活性固形物中のリン濃度と、微生物中のリン濃度を用いてリン蓄積菌濃度を演算する手段を有することを特徴とする。
【0020】
また、前記他家栄養菌濃度演算手段は、微生物濃度と自家栄養菌濃度とリン蓄積菌濃度との差に基づいて他家栄養菌濃度を演算する手段を有することを特徴とする。
【0021】
また、前記モデル演算手段は、生物反応を演算する生物モデル演算手段と、流体を演算する輸送モデル演算手段,曝気装置の溶存酸素供給能力を演算する溶存酸素モデル演算手段を有することを特徴とする。
【0022】
また、前記生物モデル演算手段は、MLSSの時間変化を演算する手段を有することを特徴とする。
【0023】
また、前記輸送モデル演算手段は、前記SVI設定手段にて設定されたSVIを用いて最終沈殿池の汚泥沈降速度を表現する手段と、返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を演算する手段を有することを特徴とする。
【0024】
また、前記データ編集手段は、前記生物モデル演算手段にて演算されたMLSSと、前記輸送モデル演算手段にて演算された返送汚泥濃度及び余剰汚泥濃度を用いて、単位時間当たりの反応槽汚泥質量,返送汚泥質量,余剰汚泥質量を演算する手段と、SRTを演算する手段を有することを特徴とする。
【0025】
上記構成の効果に言及すると、混合液の浮遊物質は生物反応を行う微生物と生物反応に関与しない不活性固形物からなる。そのために、反応槽の活性汚泥濃度を表すMLSSを用いて他家栄養菌,自家栄養菌,リン蓄積菌濃度を定義することによって、処理水質を計算できるだけではなく、反応後のMLSS,返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度も計算可能となる。また、返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を用いて、単位時間当たりの返送汚泥質量と余剰汚泥質量を計算することもできる。さらに、MLSS,反応槽容積と単位時間当たり余剰汚泥質量を用いて、SRTやA−SRTを算出することができる。
【0026】
また、流入水量,流入水質,季節,運転条件変動時、処理水質を満足できるMLSSを提示し、プロセスの維持管理を支援することができる。
【0027】
このように、従来技術のように放流水の水質を計算しただけではなく、本発明のようにMLSSを計算することによって、土木,機械,計装,汚泥状況の整合を提示でき、汚濁物質の除去性能を向上させることができ、最適設計と最適運転を容易に行える。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を活性汚泥プロセスのシミュレーションに適用した一実施例である。
【0029】
図1において、嫌気槽1a,無酸素槽1b,好気槽1cの3槽の生物反応槽1と、好気槽1cから無酸素槽1bに循環する嫌気−無酸素−好気法を説明する。流入汚水は沈砂池(図示せず)にて土砂,ゴミなど大きな固形物を沈降除去したのち、最初沈殿池(図示せず)に流入する。最初沈殿池では固形物を沈降除去し、有機物,アンモニア性窒素,リンなどを含む上澄み液は生物反応槽1への流入水3として送られる。生物反応槽1には最初沈殿池からの流入水3と返送汚泥管5からの返送汚泥(活性汚泥)が流入し、撹拌混合が行われる。一方、生物反応槽1には、送気管12,送気装置13を介してブロワ11から空気が送気される。さらに、生物反応槽1では、循環ポンプ8によって循環汚泥管9を介して好気槽1cから無酸素槽1bへ汚泥を循環する。ここで、嫌気槽1aには溶存酸素(DO)と硝酸性窒素(NO3 )がともに存在しない状態であり、主にりん(PO4 −P)の放出反応が進行する。
【0030】
嫌気槽1aにおいて活性汚泥は体内に貯蔵していたりんを加水分解して下水中に放出する。又、活性汚泥はりん放出と同時に有機物を吸着し菌体内に貯蔵する。この生物反応によって、嫌気槽1aではリンが増加し、有機物が減少する。
【0031】
無酸素槽1bには嫌気槽1aから流出した下水と返送汚泥の混合水、及び好気槽1cからの循環水が流入し、機械撹拌設備(図示せず)で撹拌混合される。無酸素槽1bでは好気槽1cから硝酸性窒素(NO3 )が循環され、かつ溶存酸素の存在しない環境になり、硝酸性窒素は還元されて窒素ガス(N2 )として大気中に放出される。これを脱窒反応と呼んでいる。
【0032】
好気槽1cの底部には送気装置(散気装置)13が設置されており、ブロワ11から送気管(空気管)12を介して送気された空気が送気装置(散気装置)13によって散気し、好気槽1c内の下水と活性汚泥からなる混合液を撹拌するとともに酸素を供給する。送気管(空気管)12に設けられる開閉弁14は好気槽への風量を調節する。ブロワ11は、事前に設定した風量を送風する制御方式や、好気槽1cに設けられた溶存酸素濃度(DO)計16の値が所定値に維持するように送風する制御方式によって運転される。好気槽1c内の混合液の汚濁物質は、酸素供給により活発化した活性汚泥の働きにより処理される。例えば、活性汚泥は有機物を吸着し、供給された空気中の酸素を吸収して有機物を酸化分解して炭酸ガスと水にする。また、りんは好気条件において、活性汚泥中の菌体内に貯蔵され、嫌気槽1aで放出された以上に摂取されて流入下水中の濃度よりも減少する。また、アンモニア性窒素は硝酸性窒素に酸化される。これを硝化反応と呼んでいる。なお、これら有機物,リン,アンモニア性窒素などの汚濁物質の一部は活性汚泥の増殖にも利用される。MLSS計17は、生物反応槽内の混合液濃度を計測し、汚泥管理に使われる。
【0033】
このような生物反応後の処理水は最終沈殿池2に導かれる。最終沈殿池2では、活性汚泥を重力沈降させ、上澄み液を塩素消毒した後、放流管10によって放流する。最終沈殿池2の沈降汚泥の一部は返送ポンプ4によって返送汚泥管5を介して生物反応槽1へ送られ、残りの汚泥は余剰ポンプ6によって余剰汚泥管7を介して系外へ排出される。返送ポンプ4は、返送汚泥量の制御や、返送汚泥量と流入下水量の比率の制御によって運転される。循環ポンプ8は、循環液量の制御や、循環液量と流入下水量の比率の制御によって運転される。余剰ポンプ6は、余剰汚泥量の制御や、余剰泥量と流入下水量の比率の制御によって運転される。
【0034】
以上に説明した嫌気−無酸素−好気法を対象としたシミュレータ20の構成について、引き続き図1にて説明する。
【0035】
シミュレータ20はデータ設定装置30,微生物濃度演算装置40(ここで、微生物濃度情報とは、微生物濃度を含む、微生物濃度と実質的に同値な情報を示す。)と、モデル演算装置50,データ編集手段60,係数設定装置65,入出力装置70,データベース90、から構成される。ここでは、プラントの設計に適用した例について説明する。データ設定装置30はシミュレーションに必要なデータをキーボード71、またはマウス72を用いて入力し、モニタ73に表示される。流入条件設定手段31は流入汚水量,流入水質の濃度および水温の設定を行う。ここで水質とは例えば、有機物(易分解性と難分解性),アンモニア性窒素,全窒素,リン,浮遊物濃度,アルカリ度,溶存酸素,硝酸性窒素などである。データはプラント入力手段80によって入力されたプラントの24時間実測データでもよいし、日平均値と24時間変動パターンにて作成した24時間データでもよいし、24時間を通して一定値としてもよい。土木構造設定手段32は生物反応槽及び最終沈殿池の有効幅,有効長さおよび有効水深の寸法データ設定,生物反応槽の槽分割設定および配管設定を行う。前記の配管設定は例えば本実施例の循環汚泥管9,送気管(空気管)12,返送汚泥管5の設置状況を設定する。運転条件設定手段33はブロワ11から生物反応槽1への送風量,好気槽1cから無酸素槽1bへの循環汚泥量,沈殿池2から嫌気槽1aへの返送汚泥量,余剰汚泥量などの運転条件を設定する。
【0036】
MLSS初期値設定手段34は手分析またはMLSS計によって測定された生物反応槽MLSSを設定する(ここで、汚泥濃度情報とは、汚泥濃度を含む、汚泥濃度と実質的に同値な情報を示す。)。
【0037】
不活性固形物濃度設定手段35は、MLSS中で生物反応に関与しない不活性固形物濃度の設定を行う(ここで、不活性固形物濃度情報とは、不活性固形物濃度を含む、不活性固形物濃度と実質的に同値な情報を示す。)。通常の活性汚泥プロセスでは、この不活性固形物は主に流入水中の無機物と微生物自己分解時の生成物であるが、凝集剤などの化学薬品を添加する活性汚泥プロセスの場合、化学反応によって生成する塩類も不活性固形物となる。微生物の自己分解時は約10%の不活性固形物が生成すると言われているので、これを参考に不活性固形物濃度を定義してもよいし、実データの解析および実験から得た結果を設定してもよい。不活性固形物濃度設定手段35の一実施例として、式(2)に、アルミニウムを含む凝集剤(例えば、硫酸アルミニウム,PAC)を添加したプロセスにおける不活性固形物濃度を計算する実施例を示す。
【0038】
不活性固形物濃度[mg/L]
=fAl[gAl/gSS]×fss_Al[gSS/gAl]
×MLSS[mg/L] …(2)
ただし、fAl:SS当たりのAl含有量、fss_Al:Al当たりの固形物発生量
SS(汚泥固形物量)当たりのAl含有量は、汚泥分析値を参照してもよいし、凝集剤の注入率から得た検量線で設定してもよい。また、Al当たりの固形物発生量fss_Alは、凝集剤の種類によって異なり、文献値を参照してもよいし、実験で得られた実測値でもよい。また、一般的に下水処理場で用いられている凝集剤は、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)塩などがある。式(2)の実施例には、アルミニウム(Al)を含む凝集剤を用いた例を示したが、硫酸第一鉄溶液や塩化第二鉄溶液のような鉄を含む凝集剤も用いた場合も同様に設定できる。
【0039】
SVI設定手段36は、手分析よって測定されたSVIを設定する。
【0040】
このようなデータ設定装置30から設定されたシミュレーション条件はデータベース90に格納される。また、モニタ73に設定内容をグラフィックなどにより表示する。
【0041】
微生物濃度演算装置40はデータベース90のシミュレーション条件に基づき、微生物濃度演算手段41と、自家栄養菌濃度演算手段42と、リン蓄積菌濃度演算手段43と、他家栄養菌濃度演算手段44を用いて、生物反応に関与する微生物濃度の初期値を演算し、その結果をデータベース90に格納する。
【0042】
微生物濃度演算手段41は、MLSS初期値設定手段34で設定したMLSSと、不活性固形物濃度設定手段35で設定した不活性固形物濃度を用いて、MLSS中の生物反応を行う微生物濃度設定を行う。微生物濃度は式(3)によって得られる。
【0043】
微生物濃度[mg/L]=MLSS[mg/L]−不活性固形物濃度[mg/L]
…(3)
自家栄養菌濃度演算手段42は、例えば式(3)で得られた微生物濃度を用いて自家栄養菌濃度を式(4)で計算する。
【0044】
自家栄養菌濃度[mg/L]
=(A−SRT実績/θXA)×φ[gSS/gSS]×微生物濃度[mg/L]
…(4)
ただし、φ:微生物当たりの最大自家栄養菌量[gSS/gSS]
θXA:硝化に必要なA−SRT[日]
また、自家栄養菌の硝化に必要なA−SRTであるθXAは、下水道施設計画・設計指針に基づいて式(5)で計算してもよいし、実験的に決定してもよい。
【0045】
θXA=δ×20.6×exp(−0.0627×T) …(5)
ただし、T:水温[℃]
δ:流入水T−Nの変動に対する補正係数
次に、図2により自家栄養菌濃度演算手段42の演算フローを説明する。
【0046】
図2は、自家栄養菌濃度演算手段42の演算フローの一実施例である。ステップS1では、流入条件設定手段31によって設定された水温と式(5)を用いて、硝化に必要なA−SRTを計算する。ステップS2では、MLSS初期値設定手段34で得られたMLSSと、土木構造設定手段32で得られた反応槽容積と、運転条件設定手段33で得られた余剰汚泥量に基づきA−SRTの実績値を演算する。ステップS3では、式(3)で得られた微生物濃度と、ステップS1で得られた硝化に必要なA−SRTと、ステップS2で得られたA−SRT実績値を用いて、自家栄養菌濃度を式(4)で計算する。
【0047】
ここで、図1に戻り、リン蓄積菌濃度演算手段43を説明する。
【0048】
リン蓄積菌濃度演算手段43は、MLSSに含まれているリン濃度と、例えば式(2)で得られた不活性固形物濃度と、例えば式(3)で得られた微生物濃度を用いてリン蓄積菌濃度設定を算出する。一例を式(6)に示す。
【0049】
リン蓄積菌濃度[mg/L]
=(Sp[mgP/L]−Bp[mgP/L]−Ip[mgP/L])
/fpp[gP/gSS] …(6)
ただし、fpp:リン蓄積菌当たりのポリリン酸含有量[gP/gSS]
また、式(6)のなか、Sp,Bp,Ipはそれぞれ、式(7),(8),
(9)で定義できる。
【0050】
Sp[mgP/L]=MLSS[mg/L]×fsp[gP/gSS] …(7)
Bp[mgP/L]=微生物濃度[mg/L]×fxp[gP/gSS]…(8)
Ip[mgP/L]=不活性固形物濃度[mg/L]×fip[gP/gSS]
…(9)
ただし、fsp:MLSS当たりのP含有量
fxp:微生物当たりのP含有量
fip:不活性固形物当たりのP含有量
fsp,fxp,fip,fppは文献値を参照してもよいし、実験で得られた経験値を用いてもよい。もちろん、これらの値は活性汚泥プロセスによって異なる。
【0051】
次に、図32によりリン蓄積菌濃度演算手段43の演算フローを説明する。
【0052】
図3はリン蓄積菌濃度演算手段43の演算フローの一実施例を示す図である。ステップS11では、MLSS初期値設定手段34で得られたMLSSを用いて、MLSSに含まれているリン濃度を式(7)で計算する。ステップS12では、式(3)で得られた微生物濃度を用い、微生物に含まれているリン濃度を式
(8)で計算する。ステップS13では、式(2)で得られた不活性固形物濃度を用い、不活性固形物に含まれているリン濃度を式(9)で計算する。ステップS14では、ステップS11で得られたMLSSに含まれているリン濃度と、ステップS12で得られた微生物に含まれているリン濃度と、ステップS13で得られた不活性固形物に含まれているリン濃度を用いて、リン蓄積菌濃度を式(6)で計算する。
【0053】
ここで、再び図1に戻り、他家栄養菌濃度演算手段44を説明する。
【0054】
図1の他家栄養菌濃度演算手段44は、例えば、式(3)で得られた微生物濃度と、式(4)で得られた自家栄養菌濃度と、式(6)で得られたリン蓄積菌濃度を用いて他家栄養菌濃度を算出する。一例を式(10)に示す。
【0055】
他家栄養菌濃度[mg/L]=微生物濃度[mg/L]
−自家栄養菌濃度[mg/L]−リン蓄積菌濃度[mg/L] …(10)
このように、微生物濃度演算装置40から算出されたシミュレーション条件はデータベース90に格納される。また、モニタ73に算出内容をグラフィックなどにより表示する。
【0056】
モデル演算装置50はデータベース90のシミュレーション条件に基づき、生物モデル演算手段51と、輸送モデル演算手段52と、溶存酸素モデル演算手段53を用いて、生物反応槽,最終沈殿池,返送汚泥、及び余剰汚泥の水質,汚泥濃度及び流量を計算し、その結果をデータベース90に格納する。
【0057】
生物モデル演算手段51は、生物反応モデルによって変化する水質、及びMLSSを計算する。これらの生物反応モデルには国際水協会が発表したASM−No.2,ASM−No.2dなどの公知のモデルを適用してもよいし、化学反応式から作成したモデルや実験的に求めたモデルを適用してもよい。ここで、ASM−No.2の他家栄養菌増殖の反応速度を式(11)に示す。
【0058】
【数1】
Figure 0004367037
【0059】
ただし、SO2:溶存酸素[gO2/m3],SF :容易に分解する有機物[gCOD/m3],SA:発酵産物(酢酸)[gCOD/m3],SNH4:アンモニア態窒素[gN/m3],SNO3:硝酸態窒素[gN/m3],SPO4:溶解性リン[gP/m3],SALK:アルカリ度[gCOD/m3],XH:他家栄養菌[gCOD/m3],μH:最大増殖速度[1/d],KO2:SO2の飽和係数[gO2/m3],KF:SF の飽和係数[gCOD/m3],KNH4:SNH4の飽和係数[gN/m3],KPO4:SPO4の飽和係数[gP/m3],KALK:SALKの飽和係数[gCOD/m3
発明が解決しようとする課題のなかにも述べたように、国際水協会の活性汚泥モデルでは、微生物濃度をgCOD/m3 で扱うために、例えば、式(10)で得られた他家栄養菌濃度[mg/L]は、そのままでは式(11)のXhには適用できない。
【0060】
次に、図4を用いて本発明の生物モデル演算手段51の一実施例をを説明する。図4に本発明の微生物濃度[mg/L]をASM−No.2に適用する実施例を示す。ステップS21では、式(4)で得られた自家栄養菌濃度[mg/L]と、式(6)で得られたリン蓄積菌濃度[mg/L]と、式(10)で得られた他家栄養菌濃度[mg/L]の単位をmg/LからgCOD/m3に変換する。mg/Lの単位をgCOD/m3に変換する一例を式(12)に示す。
【0061】
M[gCOD/m3]=S[mg/L]×θ[gCOD/g] …(12)
ただし、SM,S:微生物濃度、θ:単位変換値
なお、単位変換値θは微生物によって異なり、文献値を参照してもよいし、各自の実験データを用いてもよい。
【0062】
ステップ22では、ステップ21で得られた他家栄養菌濃度[gCOD/m3],自家栄養菌濃度[gCOD/m3],リン蓄積菌濃度[gCOD/m3]をASM−No.2に適用し、水質及び微生物濃度,慢分解性固形物濃度(単位:gCOD/m3 )の変化を計算する。前記の慢分解性固形物は、微生物の自己分解時に生成する固形物質である。
【0063】
ステップ23では、ステップ22で得られた、反応後の他家栄養菌濃度[gCOD/m3]と、反応後の自家栄養菌濃度と、反応後のリン蓄積菌濃度と、反応後の慢分解性固形物濃度の単位をgCOD/m3からmg/Lに変換する。gCOD/m3の単位をmg/Lに変換する一例を式(13)に示す。
【0064】
S[mg/L]=SM[gCOD/m3]/θ[gCOD/g] …(13)
ステップ24では、式(13)で得られた、反応後の他家栄養菌濃度[mg/L]と、反応後の自家栄養菌濃度[mg/L]と、反応後のリン蓄積菌濃度[mg/L]と、反応後の慢分解性固形物濃度[mg/L]を用いて、反応後のMLSSを式(14)で計算する。
【0065】
反応後のMLSS[mg/L]=反応後の他家栄養菌濃度[mg/L]
+反応後の自家栄養菌濃度[mg/L]
+反応後のリン蓄積菌濃度[mg/L]
+反応後の慢分解性固形物濃度[mg/L]
+反応前の不活性固形物質濃度[mg/L] …(14)
このように、生物モデル演算手段51によってMLSSの濃度変化は計算できる。また、生物モデル演算手段51は生物反応槽に適用するだけではなく、最終沈殿池にも同様に適用することで、生物反応による最終沈殿池の汚泥濃度変化も計算できる。
【0066】
ここで、再び、図1を用いて、輸送モデル演算手段52を説明する。
【0067】
図1の輸送モデル演算手段52は、流入汚水量,返送汚泥量,余剰汚泥量、及び循環汚泥量の流体に基づいて、変化する水質、及び汚泥濃度を計算する。また、最終沈殿池では、微生物濃度演算装置(SVI設定手段)40で得られたSVIを用いて、汚泥沈降速度を表現し、沈降汚泥の汚泥濃度の変化を計算する。
【0068】
溶存酸素モデル演算手段53は送風量から好気槽1cに供給される溶存酸素を、例えば総括酸素移動容量係数の概念を利用して計算する。
【0069】
これらモデル演算装置50の計算結果はデータベース90に格納される。
【0070】
係数設定装置65は、例えば、微生物濃度演算装置40に必要な係数データと、生物モデル演算手段51に必要な係数データをキーボード71、またはマウス72を用いて入力し、モニタ73に表示される。前記の微生物濃度演算装置40に必要な係数データは、例えば、式(2)のfss_Al,式(6)のfppなどであり、前記の生物モデル演算手段51に必要な係数データは、例えば、式(11)のμH,KO2,KNH4などである。
【0071】
データ編集手段60は、データベース90に格納されたデータを棒グラフ,トレンドグラフ,計算結果一覧,除去率,物質収支などの形式で編集しモニタ73に出力する。
【0072】
次に、図5に本発明のシミュレーションの動作を示す一実施例のフローチャートである。ステップS31では、流入条件設定手段31によって流入水量,流入水質(有機物,アンモニア性窒素,リン,SS,アルカリ度など)の濃度および水温を設定する。ステップS32では、土木構造設定手段32によって生物反応槽及び最終沈殿池の寸法と、生物反応槽の槽分割と、配管設定を行う。ステップS33では、運転条件設定手段33によって、ブロワ11の制御条件(送風量,DO目標),返送ポンプ4の制御条件(返送汚泥量,返送率の目標値,タイマー引抜き),余剰ポンプ6の制御条件(余剰汚泥量,余剰率の目標値,タイマー引抜き),循環ポンプ8の制御条件(循環汚泥量,循環率の目標値)を設定する。ステップS34ではMLSS初期値設定手段34によってMLSSの初期値を設定する。ステップS35では式(2)を用いて不活性固形物濃度を設定する。ステップS36では、SVI設定手段36によってSVIを設定する。ステップS37では式(3)を用いて微生物濃度の初期値を設定する。ステップS38では、式(4)を用いて自家栄養菌濃度初期値を演算する。ステップS39では、式(6)を用いてリン蓄積菌濃度初期値を演算する。ステップS40では、式(10)を用いて他家栄養菌濃度初期値を設定する。ステップS41では、ステップ37,38,39で設定した自家栄養菌濃度,リン蓄積菌濃度,他家栄養菌濃度の単位を式(12)によってmg/LからgCOD/m3に変換する。
【0073】
以上の条件設定に基づいて、ステップS42ではシミュレーションを実行し、有機物,窒素,リン,微生物,慢分解性固形物の濃度を計算する。ステップS43では、ステップS42の計算結果のうち、自家栄養菌濃度,リン蓄積菌濃度,他家栄養菌濃度,慢分解性固形物濃度の単位を式(13)によってgCOD/m3 からmg/Lに変換する。ステップS44では、式(14)を用いてMLSS,返送汚泥濃度,余剰汚泥濃度の変化を計算する。
【0074】
図6に、図5の実施例のステップS34,S35,S36の設定画面例を示す。
【0075】
図7には、係数設定装置65の実施例を示す。図7には、式(6)のリン蓄積菌濃度の演算に必要な係数データを設定する画面例を示す。図5の実施例ステップ39では、実施例図7の係数データを用いて、式(6)によってリン蓄積菌濃度を計算する。
【0076】
図8に、微生物濃度演算装置(SVI設定手段)40で入力したSVIを用いて最終沈殿池の汚泥沈降速度を表す実施例を示す。SVIが小さいほど、汚泥の沈降速度が大きく、逆に、SVIが大きいほど、汚泥の沈降速度が小さくなる。このように、SVIを用いて汚泥の沈降速度を表現することで、最終沈殿池の沈降汚泥の汚泥濃度を表現することができ、返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を計算できる。
【0077】
図9には、図5の実施例ステップ44で計算された返送汚泥濃度の24hトレンドグラフの実施例を示す。このように、常時に変動している汚泥濃度(微生物と不活性固形物を含む)を計算することができる。
【0078】
図10にデータ編集手段60の一実施例を示す。図10には、図5の実施例で得られ反応槽流出MLSS,返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を用いて、単位時間当たりの汚泥質量を計算した例を示す。単位時間当たりの汚泥質量は式(15)によって得られる。
【0079】
汚泥質量[kg/h]=汚泥濃度[mg/L]×流量[m3/h] …(15)
なお、式(15)の実施例には1h当たりの汚泥質量を示したが、1日当たりの汚泥質量も同様に計算できる。図10の実施例に示すように、生物反応槽と最終沈殿池において、各々の汚泥収支を取ることで、SRTやA−SRTを計算することができ、SRTやA−SRTによる維持管理が可能となる。なお、SRTは式(16)によって得られる。
【0080】
SRT[日]=(MLSS[mg/L]×反応槽容積[m3])
÷(余剰汚泥濃度[mg/L]×余剰量[m3/h]×24[h/日])
…(16)
図11に、本発明による維持管理の実施例を示す。図11には、余剰汚泥量を減らしてシミュレーションをした結果の実施例を示す。余剰汚泥量を減らすと、MLSSは経過時間とともに増加し、放流水T−NはMLSSの増加に伴い、減少する。図11には、t時間後、MLSS2300mg/Lに達するとき、放流水T−Nは10mg/Lを満足できる例を示す。本発明による維持管理は、例えば、図11の結果に基づいて、反応槽内のMLSSを2300mg/Lに維持するように余剰汚泥量を操作する。このように、流入水量,流入水質,運転条件や水温の変動時、図11のように処理水質を満足できるMLSSを提示し、処理プロセスの維持管理に反映できる。
【0081】
以上のシミュレーションを、プロセスの土木構造や計装設備,汚泥仕様,運転条件を変えて試行し、プロセス内の水質と汚泥の変動を把握できる。この結果、プロセス全体が最適な除去性能を発揮するために、どこの土木構造や運転条件を改善すべきか容易に把握できる。
【0082】
このように、処理水質を計算できるだけではなく、反応後のMLSS,返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度も計算可能となる。また、返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を用いて、単位時間当たりの返送汚泥質量と余剰汚泥質量を計算することもできる。さらに、MLSS,反応槽容積と単位時間当たり余剰汚泥質量を用いて、SRTやA−SRTを算出することができる。また、流入水量,流入水質,季節,運転条件変動時、処理水質を満足できるMLSSを提示し、プロセスの維持管理を支援することができる。
【0083】
したがって、土木,機械,計装,汚泥状況の整合を提示することで、汚泥濃度条件と運転の最適化を図れるので、流入条件や曝気や返送や余剰など運転条件と組み合わせてシミュレーションを実行し、有機物,窒素,リンの除去性能を容易に高めることができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、目標処理水条件を満たす適切な生物反応槽の土木構造,曝気条件,計装,運転条件等を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の活性汚泥プロセスのシミュレーションシステムの一実施例を示す構成図。
【図2】本発明の自家栄養菌濃度を演算する手段を示す実施例。
【図3】本発明のリン蓄積菌濃度を演算する手段を示す実施例。
【図4】本発明の生物モデルを演算する手段を示す実施例。
【図5】本発明の一実施例によるシミュレーション手順を示すフロー図。
【図6】本発明のMLSSを設定する画面例。
【図7】本発明の係数設定装置を示す画面例。
【図8】本発明の汚泥沈降速度を示す実施例。
【図9】本発明による汚泥濃度の計算結果を示す実施例。
【図10】本発明による汚泥質量の計算結果を示す実施例。
【図11】本発明による維持管理を示す実施例。
【符号の説明】
1…生物反応槽、2…最終沈殿池、3…流入水、4…返送ポンプ、5…返送汚泥管、6…余剰ポンプ、7…余剰汚泥管、8…循環ポンプ、9…循環汚泥管、10…放流管、11…ブロワ、12…送気管、13…送気装置、14…開閉弁、16…溶存酸素濃度(DO)計、17…MLSS計、20…シミュレータ、30…データ設定装置、31…流入条件設定手段、32…土木構造設定手段、33…運転条件設定手段、34…MLSS初期値設定手段、35…不活性固形物濃度設定手段、36…SVI設定手段、40…微生物濃度演算装置、41…微生物濃度演算手段、42…自家栄養菌濃度演算手段、43…リン蓄積菌濃度演算手段、44…他家栄養菌濃度演算手段、50…モデル演算装置、51…生物モデル演算手段、52…輸送モデル演算手段、53…溶存酸素モデル演算手段、60…データ編集手段、65…係数設定装置、70…入出力装置、71…キーボード、72…マウス、73…モニタ、80…プラント入力手段、90…データベース。

Claims (10)

  1. 活性汚泥法により処理するプロセスをシミュレーションするシステムであって、流入水の水量と水質を設定する流入条件設定手段と、処理プロセスの寸法や生物反応槽の分割を設定する土木構造設定手段と、反応槽内の汚泥濃度を設定する手段と、汚泥濃度情報中の不活性固形物濃度を設定する手段と、汚泥濃度情報と前記不活性固形物濃度から微生物濃度を演算する手段と、汚泥濃度情報中の自家栄養菌濃度を演算する手段と、汚泥濃度情報中のリン蓄積菌濃度を演算する手段と、汚泥濃度情報中の他家栄養菌濃度を演算する手段と、処理プロセスの運転条件設定手段と、最終沈殿池の汚泥沈降指標を入力するSVI設定手段と、生物反応槽,最終沈殿池の処理水及び返送汚泥の水質と汚泥濃度を演算するモデル演算手段と、該モデル演算手段にて演算された水質データと汚泥濃度を格納するデータベースと、該データベースから水質データと汚泥濃度を取り出すデータ編集手段と、データの表示手段を具備したことを特徴とする水質情報演算処理装置。
  2. 請求項1において、汚泥濃度情報と不活性固形物濃度情報との相対的な差に基づいて微生物濃度情報を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  3. 請求項1において、好気的固形物滞留時間を用いて自家栄養菌濃度を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  4. 請求項1において、汚泥濃度情報中のリン濃度と、不活性固形物中のリン濃度と、微生物中のリン濃度を用いてリン蓄積菌濃度を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  5. 請求項1において、微生物濃度と自家栄養菌濃度とリン蓄積菌濃度との差に基づいて他家栄養菌濃度を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  6. 請求項1において、生物反応を演算する生物モデル演算手段と、流体を演算する輸送モデル演算手段,曝気装置の溶存酸素供給能力を演算する溶存酸素モデル演算手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  7. 請求項において、前記生物モデル演算手段は、汚泥濃度情報の時間変化を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  8. 請求項において、前記輸送モデル演算手段は、前記SVI設定手段にて設定されたSVIを用いて最終沈殿池の汚泥沈降速度を表現する手段と、返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  9. 請求項おいて、前記輸送モデル演算手段は、前記SVI設定手段にて設定されたSVIを用いて最終沈殿池の汚泥沈降速度を表現する手段と、返送汚泥濃度と余剰汚泥濃度を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
  10. 請求項において、前記生物モデル演算手段にて演算された汚泥濃度情報と、前記輸送モデル演算手段にて演算された返送汚泥濃度及び余剰汚泥濃度を用いて、単位時間当たりの反応槽汚泥質量,返送汚泥質量,余剰汚泥質量を演算する手段と、固形物滞留時間を演算する手段を有することを特徴とする水質情報演算処理装置。
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