JP4978573B2 - 土壌又は地下水の油分濃度の予測方法 - Google Patents

土壌又は地下水の油分濃度の予測方法 Download PDF

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Description

本発明は土壌又は地下水に空気を吹き込み等によって供給した場合の油分濃度の予測方法に係り、特に微生物の分解作用による油分濃度の経時的な低下を予測する方法に関する。
油槽や送油パイプ等からの油分の漏洩等によって土壌や地下水が油分で汚染されることがある。
このような土壌又は地下水中の油分は微生物によって分解され、経時的に油分濃度が低下する。
このような土壌の油分濃度の経時変化を予測する方法として、特開2006−116509の[0044]〜[0050]には、予測対象地域の土壌を採取して容器に収容し、容器内の空気を酸素に置換して密閉し、容器内の微生物を培養し、所定の間隔で容器内の溶液を採取して溶液内の汚染物質濃度を測定し、この測定結果から微生物による汚染物質の分解反応速度式を決定し、汚染物質濃度の経時変化を予測する方法が記載されている。
特開2006−116509
上記特開2006−116509の[0045]〜[0048]には容器内の溶液を所定の間隔で採取して溶液における汚染物質の濃度を測定し、微生物による汚染物質の分解反応速度定数を決定するとしているが、具体的にはどのようにして決定するのか明らかとなっていない。
また、特開2006−116509の[0046]〜[0047]では、微生物濃度を加味していないが、実際には汚染物質の分解反応速度定数は土壌中の微生物濃度によって大きく変動するので、これを一定としたのでは予測精度が劣ったものとなってしまう。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、土壌又は地下水の油分濃度の経時変化を簡便にかつ精度よく予測することができる土壌又は地下水の油分濃度の予測方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の土壌又は地下水の油分濃度の予測方法は、予測対象地域の地中に空気を供給した場合の該予測対象地域における土壌又は地下水の油分濃度の経時変化を経時変化予測式に基づいて予測する方法において、
該予測対象地域から土壌又は地下水のサンプルを採取して容器に収容し、該容器に所定期間空気を循環流通させると共に、循環空気中の酸素濃度が一定となるように該循環空気に酸素を補給手段から補給し、
この酸素補給量から該サンプルの酸素消費速度を算出し、
このサンプルの酸素消費速度から油分濃度の経時変化予測式のパラメータ値を決定し、
このパラメータ値を有した経時変化予測式に基づいて、該予測対象地域の地中に空気を供給した場合の油分濃度の経時変化を予測することを特徴とする土壌又は地下水の油分濃度の予測方法であって、
前記経時変化予測式は、
数式A:酸素の気相中と地下水との気液平衡の収支を表す数式
数式B:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う油分濃度の経時変化を表す数式
数式C:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う油分解菌総濃度の経時変化を表す数式
数式D:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う自己分解油分解菌濃度の経時変化を表す数式
数式E:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う地下水中分散油分濃度の経時変化を表す数式
数式F:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う菌体由来基質成分濃度の経時変化を表す数式
数式G:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う地下水中酸素濃度の経時変化を表す数式
の連立式であり、
各数式A〜Gを構成する各パラメータを任意のパラメータ値として複数回変化させて複数個の酸素消費速度の計算値を算出し、該複数個の計算値の中から前記サンプルの酸素消費速度に最も近似した数値を与えるパラメータ値を選出し、
この選出されたパラメータ値を有した経時変化予測式によって前記油分濃度の経時変化を予測することを特徴とするものである。
請求項の土壌又は地下水の油分濃度の予測方法は、請求項において、土壌中の油分濃度の経時変化を予測する方法であって、
前記パラメータは、少なくとも、
水中への酸素の溶解速度、
基質飽和定数、
乳化速度定数、
土壌に付着した初期油分濃度、
土壌中の初期菌体濃度、
土壌中の水に分散した初期油分濃度
であることを特徴とするものである。
本発明では、予測対象地域の土壌又は地下水の一部をサンプルとして採取し、これを容器中に収容し、空気を循環流通させ、この空気中の酸素濃度が一定となるように所定期間循環空気に酸素を補給し、この酸素補給量から酸素消費速度を計測する。
また、未定のパラメータ値を含む経時変化予測式の該未定のパラメータ値を種々変化させ、シミュレーションによって得られる酸素消費速度の計算値と上記酸素消費速度の実測値とを対比する。そして、最も実測値に近い結果を与えるパラメータ値を選定し、このパラメータ値を有した予測式に従って、該予測対象地域の地中に空気を供給した場合の該予測対象地域における土壌又は地下水の経時変化を予測する。
一般に、土壌または地下水中の油濃度は不均一であり、地域全体の油濃度の経時変化を実測して求めるには測定数を増やす必要があって、非常に煩雑である。
一方、土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機物を分解するときの酸素消費速度(OUR)はガス中濃度変化であり、比較的均一である。本発明では、この酸素消費速度を所定期間測定し、予測式をシミュレーション解析によって求めることにより、簡便に且つ精度よく油分濃度の経時変化の予測値を求めることができる。
なお、実際に油分濃度の経時変化を算出するには、非常に多くの定数と変数を入力しなければならないが、全てをパラメータとしてしまうと、計算に膨大な時間を要する。
数式A〜Gを用いると、土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機物を分解するときの酸素消費速度と、比較的少数のパラメータ値とから、油分濃度の経時変化を精度よく予測することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明における油分濃度の経時変化の予測対象地域としては、油槽や送油パイプから漏洩した油分で汚染された地域が例示されるが、これに限定されない。
本発明は、土壌中の油分濃度の経時変化を予測するのに好適であり、以下の説明は主として土壌中の油分濃度の予測についてのものであるが、土壌中に停滞している地下水についても全く同様にして油分濃度の予測を行うことが可能である。
油分としては、A重油、B重油、C重油、灯油、ガソリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、動物油、植物油などの非親水性のものが例示される。
以下の実施の形態では、次の(1)〜(5)の手順に従って土壌又は地下水中の油分濃度の経時変化を予測する。
(1)土壌又は地下水のサンプルを採取し、土壌又は地下水中に含まれる微生物が油分を酸化分解するときの酸素消費速度を測定する。
(2)酸素溶解速度Ka、基質(有機物)飽和定数Ksha、および乳化速度定数Ksと、各変数(土壌に付着した油成分S、菌体成分XBH、液中に分散した油分濃度S)の初期値をパラメータとする。この初期値は任意の値であってもよい。
(3) パラメータ値を種々変化させるシミュレーション解析を行い、各々のパラメータ値の場合の酸素消費速度を算出する。
(4)(1)の実測値と最も一致する酸素消費速度が得られた時のパラメータ値を選定する。
(5)選定したパラメータ値を有した予測式に基づいてシミュレーション解析をおこない、油分濃度の経時変化を予測する。
[酸素消費速度の実測]
予測対象地域の土壌を採取し、第1図に示す試験装置のカラム1に満杯に充填する。この土壌には、油分を好気的に分解する微生物が生息している。
このカラム1の下部からポンプ4及び配管5を介して空気を供給する。この空気中の酸素は、土壌中の微生物によって消費された後、カラム1の上部から廃空気として取り出され、配管2を介してCO吸収瓶3の液中に吹き出される。この吸収瓶3内にはアルカリ例えば水酸化ナトリウムの水溶液が収容されており、廃空気中のCOを吸収する。CO吸収に伴って循環空気の圧力が低下するので、この圧力が一定となるように酸素ボンベ6からの空気が酸素流量計を備えた酸素消費速度(OUR)計測器7及び配管8を介してCO吸収瓶3内の上部空間に導入される。
この吸収瓶3の上部空間内の空気が、ポンプ4及び配管5を介して再びカラム1に供給される。
このように、密閉されたカラム1内に常に酸素濃度が一定の空気が導入される。
このOUR計測器7で計測される酸素流量から、カラム1内の土壌中の微生物が消費する酸素の消費速度を次のようにして算出する。
なお、この解析における前提条件は、以下の2つである。
・カラム内における空気流量、気相体積、液相体積、圧力の変化は無視しうる。
・水相は土壌に付着した状態にあり、カラムから液体および液中物質は流入出しないものとする。
[カラム1内におけるOの物質収支]
第2図は、この物質収支のモデル図である。
カラム1内には、酸素濃度がCGin(mg/L)である空気が流量Q(L/day)にて流入する。
カラム1内の土壌の含水率(液相比)をWとすると、カラム1内には土壌体積(この場合はカラム容積)VとWとの積V・Wだけ水が存在する。この水への酸素の溶解速度定数をKLaとすると、流出空気中のO濃度、上記の水中のO濃度、水のO飽和濃度を用いて、カラム全体のOの物質収支は、以下の式(1)で与えられる。
Gin−QGout−Ka(C*−C)VW=0 (1)
ここで、
:流入空気の流量 (L/d)
Gin :流入空気中のO濃度 (mg/L)
Gout :流出空気中のO濃度 (mg/L)
a :Oの溶解速度定数 (1/d)
:液中のO濃度 (mg/L)
* :液中のO飽和濃度 (mg/L)
V :カラム容積 (L)
W :カラム全体における液相体積比 (−)
[Oの気液平衡]
平衡状態において、土壌内の水中のO飽和濃度と、土壌に供給された空気中のO分圧の間には次のHenryの法則が成立する。
CO2=P×yO2=K*/MO2 (2)
また、空気中のO分圧は、次のように与えられる。
O2=P×yO2=P×CGout/MO2/(1/V)=P×CGout×V/MO2 (3)
ここで、
O2 :空気中のO分圧 (atm)
O2 :空気中のOモル分率 (−)
P :セル内の全圧 (atm)
O2 :Oの分子量 (g/mol)
:OのHenry定数 (atm・L/mol)
:空気中の Oモル分率 (L/mol)
式(2)および式(3)から、以下の式が導出される。
*=P×CGout×V (4)
従って、土壌内の水中のO飽和濃度と、供給空気中のO濃度とは比例する。CGoutが約300mg/Lであり、空気圧力が大気圧である場合、C*は約10mg/Lであることから、式(1)は以下のように表される。
Gin−QGout−Ka(10×CGout/300−C)VW=0 (5)
この(5)式が数式Aに相当する。
[液中の物質収支]
土壌内の水中ではO溶解と、有機物の酸化分解によるO消費が進行する。この実施の形態においては、土壌中における油分解に影響する因子として、微生物による油の乳化に着目する。一般に、土壌内の油分は、水中に分散して微生物分解を受け易くなっている油と、土壌粒子に付着して微生物による乳化が律速する状態にある油とが存在するので、第3図に示す物質収支が成立する。
第3図の通り、汚染土壌は、乾燥固形分としての乾燥土壌相(固相)と、土壌に付着した油分相と水相とからなる。微生物はこの水相中に存在している。
土壌に付着した油分相の油分の微生物による分解は、次の1)〜5)のプロセスに従って進行する。
1) 土壌に付着した油分相の油分が微生物から産出するエステル類等の作用により乳化して水相中に分散する。
2) この分散した油分が菌体によって酸化分解され、菌体が増殖する。
3) 菌体が自己分解することにより、菌体量が減少する。
4) 自己分解した菌体は菌体の加水分解作用によって分解され、菌体由来の基質を生成させる。
5) この基質は、菌体によって酸化分解され、菌体が増殖する。
これらの反応1)〜5)によって変化する、土壌付着油分濃度、乳化油分濃度、菌体の濃度、自己分解した菌体の濃度、基質濃度の経時変化を表す式を次に説明する。
なお、濃度の単位は、活性汚泥モデルを基にしているため、菌体濃度、油分濃度の単位は土壌液相当たりmgCODCr/Lとした。
1) 土壌に付着した油分濃度の経時変化式
土壌に付着した油分濃度Sは、菌体による乳化分散を受けて減少する。油分濃度Sの経時変化は次式(6)のように与えられる。
Figure 0004978573
この(6)式が数式Bに相当する。
数式Bは、モノー(monod)式を参考にしたものである。
(6)式のSo/((Kshb/Xbh)+So)の部分について、以下の前提がある。R.Y.スタニエの微生物学(上巻)(培風館1989年176ページ)によれば、微生物の増殖速度と栄養素濃度との関係は、典型的な双曲線で表され、次の式(2)が成立する。
k=kMax*(C/(Ks+C)) (2)
kは栄養素濃度Cにおける増殖速度、kMaxは栄養素の飽和濃度における増殖速度(最大増殖速度)、Ksは1/2kMaxと同じ増殖速度となる栄養素濃度(飽和定数)
(b)式は微生物濃度Xbh、油濃度Soのときの、油の乳化速度を表す式である。
微生物濃度が多い時にはKshbは小さくなり、ほとんど影響しないが、微生物濃度が少ない時にはKshbが大きくなる。
2) 菌体濃度の経時変化式
菌体(濃度XBH)は、液中に分散した油分(濃度Sp)および菌体由来の基質(濃度Ss)を酸化分解することにより増殖する。また、菌体は、菌体自身が自己分解することにより減少する。このことから、菌体濃度XBHの経時変化は次式(7)のように与えられる。
Figure 0004978573
この(7)式が数式Cに相当する。なお、数式C及び以下の数式D〜Fは次の文献に記載されている。
Henze M.,Gujer W.,Mino T.and Loosdrecht M.(2000).Activated Sludge Models ASM1,ASM2,
ASM2D,ASM3.IWA Scientific and Technical report No.9,IWA,ISBN:1 900222 24 8
3) 自己分解した菌体の濃度の経時変化式
自己分解した菌体(濃度X)は、菌体の一部が自己分解反応を受けて生成する。また、自己分解した菌体は、分解作用を受けて減少する。従って、自己分解した菌体濃度Xの経時変化は次式(8)のように与えられる。
Figure 0004978573
この(8)式が数式Dに相当する。
ここで速度項を以下のようにまとめる。
Figure 0004978573
4) 水中に分散した油分濃度の経時変化式
水中に分散した油分(濃度S)は、土壌に付着した油分(濃度S)の乳化反応により生成する。また、この乳化油分は、菌体による酸化分解を受けて減少する。油分の酸化分解における菌体収率をYと置くと、液中に分散した油分濃度Sの経時変化は次式のように与えられる。
dS/dt=A−(1/Y)A (13)
この(13)式が数式Eに相当する。
5) 菌体由来の基質濃度の経時変化式
菌体由来の基質(濃度S)は、自己分解した菌体(濃度Xs)の加水分解反応により生成する。また、この基質は、菌体による酸化分解を受けて減少する。従って、この基質の経時変化は、上記の菌体収率Yを用いて、以下の式(14)で表される。
dS/dt=A−(1/Y)A (14)
この(14)式が数式Fに相当する。
6) 水中のO濃度の経時変化式
水中のO濃度Cは、気相からのO移動による供給によって増加し、油分の酸化分解に伴う消費により減少するので、以下の式(15)で表される。
dC/dt=Ka(C*−C)−(1−Y)/Y(A+A) (15)
この式(15)は、式(5)と同様に次式(16)に変形される。
dC/dt=Ka(10×CGout/300−C)−(1−Y)/Y(A+A) (16)
この式(16)式が数式Gに相当する。
式(16)の第二項は油分解に伴うOURに相当する。第1図に示した土壌充填カラムの場合、Qは循環流量、CGinは常に20%、Vはカラム容積であり、変数初期値と表1の定数を与えて、Oの気液平衡に関する式((5):数式A)と一連の液中における連立微分方程式((6),(7),(8),(13),(14),(16):数式B〜G)を解くことにより、カラム内土壌中の各有機物濃度やOURの経時変化が計算される。
実施例1
A重油汚染土壌として、平均粒径0.2mmの砂に、初期濃度約800mg/kgとなるよう市販のA重油を混合した後、新鮮な合成培地にA重油を基質として培養した微生物源を1%混合した培養液を、含水率6%となるように添加したものを使用した。水分添加量を低く設定したのは、カラム内部の土壌中含水率をできるだけ均一に保つためである。
第1図に示す2L容量のステンレス製カラム1にこの油分汚染土壌を詰めて、カラム下方より空気を密閉循環した。カラム出口の空気を1Nの水酸化ナトリウム溶液を入れた瓶3に通気して、油分解の過程で生成するCOを除去した。COの吸収によってカラムの内圧が低下しようとするが、この内圧が一定となるように、酸素ボンベ6から酸素を供給した。単位時間あたりの酸素供給量がOURとなる。
カラム中の模擬汚染土壌の乾燥重量は2.7kgであった。なお、空気の循環流量100ml/minであり、20℃の恒温室内で試験をおこなった。
パラメータ値を種々変え、シミュレーション解析結果が、粒径0.2mmの模擬汚染土壌で測定したOURと一致するように、最適なパラメータを求めた。ここで、化学量論に関する値とその他の定数については固定値を用いて、酸素溶解速度Ka、基質(有機物)飽和定数Ksha、および乳化速度定数Ksと、各変数(土壌に付着した油分濃度S、菌体濃度XBH、液中に分散した油分濃度S)の初期値をパラメータとした。その他、自己分解した菌体濃度X、菌体由来の基質濃度S、および液中のO濃度Cの初期値をゼロとし、流出空気中のO濃度CGoutは循環流量が十分に大きいため、300mg/Lで一定とした。
解析に用いた数値と操作したパラメータを表1に示す。酸素消費速度(OUR)の計算結果を第4図に示す。図のように、計算結果は模擬A重油汚染土壌のOURと良く一致することが確認された。
Figure 0004978573
得られたパラメータを入力して再度シミュレーション解析をおこなった結果、土壌中の残存TPH濃度(TPH:Total Petroleum Hydrocarbon(全石油系炭化水素))は第5図の通りとなった。
カラム1に充填したA重油汚染土壌中のA重油濃度は、ノルマルヘキサン抽出法による実測の結果、
0日目 800mg/kg
15日目 600mg/kg
40日目 420mg/kg
であった。この実測値と第5図とを対比すると、第5図のシミュレーション結果と実測値とは良く合致しており、表1で選定したパラメータ値を採用したシミュレーションにより、精度よくA重油濃度の経時変化を予測することが可能であることが分った。
従って、実際土壌が汚染されている土地(例えば重油漏れした土地)において地中に空気吹込井を多数設け、空気を地中に十分に供給した場合に、当該土地の地中における重油濃度の経時変化を精度よく予測することができることが認められた。
比較例1
従来のように微生物濃度が一定であると仮定し、パラメーターを表2の通り単純なものにしてシミュレーションを行ったときの酸素消費速度の計算結果を第6図に、土壌中TPH濃度変化を第5図に示す。
微生物濃度を一定とした場合にも、表2の条件において第5図のようにOURについては一定の相関が見られる。しかしTPH濃度変化については、第6図のように実測データとは大きく異なる。これは油分解速度が油濃度のみの関数となっているためである。このように比較例1のシミュレーションでは浄化期間を短く見積もることとなってしまう。
Figure 0004978573
酸素消費速度の測定用試験器の構成図である。 カラム内の酸素収支の説明図である。 土壌の水相中の物質収支の説明図である。 実施例1における酸素消費速度のシミュレーション結果と実測値を示すグラフである。 実施例1及び比較例1におけるシミュレーション結果と実測値を示すグラフである。 比較例1における酸素消費速度のシミュレーション結果と実測値を示すグラフである。
符号の説明
1 カラム
3 CO吸収装置
6 酸素ボンベ
7 酸素消費速度計測器

Claims (2)

  1. 予測対象地域の地中に空気を供給した場合の該予測対象地域における土壌又は地下水の油分濃度の経時変化を経時変化予測式に基づいて予測する方法において、
    該予測対象地域から土壌又は地下水のサンプルを採取して容器に収容し、該容器に所定期間空気を循環流通させると共に、循環空気中の酸素濃度が一定となるように該循環空気に酸素を補給手段から補給し、
    この酸素補給量から該サンプルの酸素消費速度を算出し、
    このサンプルの酸素消費速度から油分濃度の経時変化予測式のパラメータ値を決定し、
    このパラメータ値を有した経時変化予測式に基づいて、該予測対象地域の地中に空気を供給した場合の油分濃度の経時変化を予測することを特徴とする土壌又は地下水の油分濃度の予測方法であって、
    前記経時変化予測式は、
    数式A:酸素の気相中と地下水との気液平衡の収支を表す数式
    数式B:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う油分濃度の経時変化を表す数式
    数式C:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う油分解菌総濃度の経時変化を表す数式
    数式D:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う自己分解油分解菌濃度の経時変化を表す数式
    数式E:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う地下水中分散油分濃度の経時変化を表す数式
    数式F:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う菌体由来基質成分濃度の経時変化を表す数式
    数式G:土壌又は地下水中の油分の生物酸化分解に伴う地下水中酸素濃度の経時変化を表す数式
    の連立式であり、
    各数式A〜Gを構成する各パラメータを任意のパラメータ値として複数回変化させて複数個の酸素消費速度の計算値を算出し、該複数個の計算値の中から前記サンプルの酸素消費速度に最も近似した数値を与えるパラメータ値を選出し、
    この選出されたパラメータ値を有した経時変化予測式によって前記油分濃度の経時変化を予測することを特徴とする土壌又は地下水の油分濃度の予測方法。
  2. 請求項において、土壌中の油分濃度の経時変化を予測する方法であって、
    前記パラメータは、少なくとも、
    水中への酸素の溶解速度、
    基質飽和定数、
    乳化速度定数、
    土壌に付着した初期油分濃度、
    土壌中の初期菌体濃度、
    土壌中の水に分散した初期油分濃度
    であることを特徴とする土壌又は地下水の油分濃度の予測方法。
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