JP4180773B2 - 下水を活性汚泥法により処理する下水処理場の設計支援装置 - Google Patents

下水を活性汚泥法により処理する下水処理場の設計支援装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性汚泥プロセスの設計や運転を支援するために、水質のシミュレーションを行う活性汚泥プロセスのシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水中からの窒素やリンを除去可能な方法は下水高度処理法と呼称され、大別して物理化学的方法と生物学的方法がある。生物学的な窒素除去機構を利用した下水高度処理とは、生物反応槽に溶存酸素の存在しない状態(無酸素状態)を作り出し、酸素が存在する好気状態と組合せて窒素除去を実現する方法である。
【0003】
代表的な窒素除去プロセスである「循環式硝化脱窒法」は、生物反応槽の前段を嫌気槽、後段を好気槽とし、好気槽で生成された硝酸性窒素を嫌気槽に循環することによって硝酸性窒素を窒素ガスとして除去する方法である。また、小規模下水処理場に適用されている「オキシデーションディッチ法」は、水深の浅い無終端水路を生物反応槽とし、曝気装置の酸素供給を制御することにより、反応槽内に好気ゾーンと無酸素ゾーンを作り、窒素を除去する方法である。ここで無酸素状態とは、溶存酸素は存在しないが、硝酸性窒素(NO3)のように窒素酸化物が存在する状態である。
【0004】
地方への下水道の普及に伴い、新規処理場に採用されている処理方法として、オキシデーションディッチ法(以下OD法と略す)が著しく多くなっている。OD法は、最初沈殿池を設けず、機械式曝気装置を有する水深の浅い無終端水路を反応タンクとして、低負荷条件で活性汚泥処理を行い、最終沈殿池で固形分離を行う下水処理方式である。OD法に用いられる曝気装置は活性汚泥処理に必要な酸素を供給するほか、生物反応槽であるオキシデーションディッチ(以下OD槽と略す)内の活性汚泥と流入下水を混合撹拌し、混合液に流速を与えてOD槽内を循環させるとともに活性汚泥を沈降しないようにする。OD法は固形物滞留時間(SRT)が長く、硝化反応が進みやすいために、窒素除去性能に優れている。
【0005】
OD法の運転方式では、OD槽を好気ゾーンと無酸素ゾーンに分割して行う連続曝気と、時間によって曝気装置は曝気と無酸素撹拌を交互に行う間欠曝気があげられる。連続曝気の窒素処理は、好気ゾーンでの硝化反応と、嫌気ゾーンでの脱窒反応を利用するものであり、窒素の除去性能はこの微妙な好気ゾーンと嫌気ゾーンのバランスに左右される。間欠曝気での窒素処理は、エアレーション装置の曝気時間帯で硝化反応を、無酸素撹拌時間帯で脱窒反応を組合せる仕組みであり、窒素の除去性能は曝気装置の曝気スケジュールに依存する。従来、OD法の窒素処理はOD槽を好気ゾーンと無酸素ゾーンに分割して行う連続運転が主流であったが、近年、好気ゾーンと無酸素ゾーンに分けることができない小容量のOD槽が増えていることから、間欠曝気による自動制御も検討されるようになった。
【0006】
OD法は負荷変動に強く、窒素除去に優れていると言われているが、連続運転、間欠運転のどちらもOD槽内の硝化・脱窒反応を適切に維持しなければ、高い窒素除去率を得ることができない。有機物、リン、窒素除去を目的とした下水高度処理は、関連している各種微生物の生息環境を適切に維持することによって性能が発揮される。特に、好気条件すなわち溶存酸素濃度をどのように制御すれば、放流水中の窒素除去を維持できるかについては非常に重要である。
【0007】
これまで有機物、リン、窒素の複雑な反応過程を算出し提示できる方法がなく、下水高度処理の設計や運転は経験と勘に依存していた。そのため、経験していない流入下水の水質と量、生物反応槽構成、運転条件に対しては予測できない事態が発生し、その都度対策を講じている。例えば、下水高度処理施設設計マニュアル(案)や、小規模下水道計画・設計・維持管理指針と解説などの指針によれば、稼動している一部の処理場の実績値を用いて各種高度処理方式に所要の設計法や運転管理法を提供しているが、流入水条件や方式の異なる他の処理場への適用には課題があった。
【0008】
一方、生物反応をモデル化し、数値シミュレーションによって活性汚泥プロセスの特性を評価する方法が提案されている。生物反応のモデルの例として、海外では1995年、国際水環境協会(IAWQ)が発表した活性汚泥モデルNo.2(IAWQ:IAWQ Scientific and Technical Report No.3,Activated Sludge Model No.2,1995)が提案されている。また、特開平8−323393号公報、特開平10−43787号公報のように、下水処理プロセスシミュレータによって水質を計算する方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のなかで国際水環境協会(IAWQ)が発表した活性汚泥モデルNO.2は、活性汚泥中の微生物(菌体)の種類を定義し、関連する生物反応をモデル化しているのみで、このモデルを用いたシミュレータを提示しているわけではない。実際に活性汚泥プロセスのシミュレータを作成するには、提示された生物反応モデルの他に最低でも、生物反応槽の流体モデル、最終沈殿池の流体モデルが必要で、さらに、流入下水の質と量、生物反応槽の容積と構成、送気条件、運転条件などを組合せて数値計算しないと実現できない。従って活性汚泥モデルNO.2のみでは下水高度処理の設計に適用できず、ましてや適切な運転条件を決定することはできない。
【0010】
特開平8−323393号公報の循環式硝化脱窒法の水質シミュレーション装置では、硝化液循環法の数値シミュレーションによって窒素濃度や窒素除去率などを計算し、時系列トレンドデータとして提示している。しかし、数時間に及ぶ嫌気槽と好気槽においてリンや窒素や有機物がどのように変動し、除去されているかを提示しておらず、硝化反応や脱膣反応過程の進行状況を把握できないので、曝気装置と溶存酸素の計測位置の関係などの計装条件や、曝気・非曝気などの運転条件が適切であるか否かは判断できない。また、OD法への適用についてはなんら記載されていない。
【0011】
特開平10−43787号公報の下水処理シミュレータは、生物反応モデルに流体や反応条件を組み合わせて活性汚泥プロセスをシミュレーションする方法である。しかし、特開平10−43787にはOD槽を複数の完全混合槽に分割されたとき、流れに伴う物質収支の概念について記載されているのみで、土木構造や機器構成を考慮しておらず、曝気装置の位置と放流水質の関係、DO制御の最適化は利用不可能である。
【0012】
一方、窒素由来の水質汚濁の防止には、好気状態での硝化反応と無酸素状態での脱窒反応との2つ工程をバランスよく行わないと高い窒素除去率が得られない。このために、OD槽の形状や、OD槽の水路長や、曝気装置の組合せは非常に重要である。さらに、曝気装置を連続運転しDO槽内に好気ゾーンと無酸素ゾーンを常に形成させる連続曝気方式と、曝気装置の曝気と非曝気を繰り返すことによってOD槽全体を好気・無酸素とする間欠曝気方式のそれぞれにおいて、OD槽内の溶存酸素をどのように維持すれば窒素除去率が高くできるのかは、OD槽の形状、水路長、曝気装置の仕様、DO計の配置から判断せねばならない。このとき、DO槽の混合液は短い時間でOD槽内を周回するので、OD槽内における基質や溶存酸素の流動も十分考慮せねばならない。例えば、曝気装置から供給される溶存酸素は、微生物反応に消費されながらOD槽内を周回するため、曝気装置から流下するに従って、溶存酸素は徐々に低下する。連続曝気の場合、DOの濃度勾配は好気ゾーンと無酸素ゾーンになり、硝化と脱窒に直接影響を与える。DOの管理は硝化と脱窒の生物反応は大きな影響を与え、窒素の除去性能の限界を決めてしまう。
【0013】
このように、土木構造、曝気装置、DO計の配置、及びDO目標値などの緒条件から、窒素除去性能を計算提示できる手段が不可欠であるが、特開平10−43787の下水処理シミュレータにはこれらに対する考慮がない。
【0014】
このように、下水高度処理において、リン、窒素などの汚濁物質は処理出口に流れながら徐々に減少するのではなく、複雑な増減の挙動を示す。従って、生物反応槽の入口から最終沈殿池出口にかけて水質変動を計算し、機器の配置や仕様の最適条件を探索し、理解しやすいように表示することが非常に重要であるにもかかわらず、特開平8−323393号公報、特開平10−43787号公報の下水処理シミュレータにはなんら考慮されていない。
【0015】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を克服し、目標処理水条件を満たす適切な生物反応槽の土木構造、曝気装置、計装、運転条件の設計を支援できる活性汚泥プロセスのシミュレーション装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性汚泥プロセスの設計や運転を支援するために、水質のシミュレーションを行う活性汚泥プロセスのシミュレーション装置であって、生物反応槽内の曝気装置の位置を設定する曝気装置位置設定手段と、曝気装置の溶存酸素供給能力を設定する曝気仕様設定手段と、生物反応槽の水質を演算するモデル演算装置と、該演算装置の演算結果に基づいてDO計測位置とDO目標値を演算する計装演算手段を具備したことを特徴とする。
【0017】
また、前記計装演算手段は、水質除去率を演算する除去率演算手段(実施例では、窒素除去率演算手段)を具備し、該除去率演算手段による除去率が最大となるDO計測位置とDO目標値を結果として出力させ、曝気装置とDO計の位置関係を的確に把握できる。あるいは、前記計装演算手段は、DO計測位置を変化させる位置移動手段と、DO目標値を変化させる目標値自動演算手段を具備し、DO計測位置とDO目標値の最適条件を自動的に探索できる。
【0018】
また、前記位置移動手段は、DOを前記曝気装置設置位置を基準に流下方向に移動させながら実施することを特徴とする。また、前記除去率演算手段は、曝気装置をDOを目標値として運転した場合の窒素除去率を計算することを特徴とする。また、前記計装演算手段は、判定手段を具備し、前記水質除去率が高くかつ電力量が低いDO計測位置とDO目標値を結果として出力することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば以下のような作用効果がある。シミュレーションを用いてプラントを設計する場合、単に放流水のリンや窒素を計算しただけではプラントがどの程度の除去性能を有しているのか判断できず、最適な構成と運転方法の決定は難しい。例えば、OD法の窒素除去性能は、好気と無酸素ゾーンにおける反応に左右されており、これを定量的に評価しなければならない。窒素除去性能は、流入水質条件、OD槽の構造、曝気装置の仕様と位置、DO計の位置によって異なるので、単に放流水質から仮に窒素除去率が改善されたことが分かったとしても、その要因がどこにあるのかは判断できない。プラントの一連の反応の結果によって放流水の窒素は変動しているので、従来技術のように1箇所の水質を表示するのではなく、本発明のように土木、機械、計装の整合を提示することによって、除去性能を向上させることが明確になり、最適設計を容易に行なえる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図2は本発明を適用する活性汚泥プロセスの一例である。長円形オキシデーションディッチ法(OD法)の例で、有機物、アンモニア性窒素、リンなどを含む流入汚水は生物反応槽1への流入水3として送られる。生物反応槽1には最初沈殿池からの流入水3と返送汚泥管5からの返送汚泥(活性汚泥)が流入し、撹拌混合が行われる。生物反応槽1は、深さ1.0〜2.5m程度の環状あるいは長円形の水路を設けている。曝気装置9は、生物反応槽1の活性汚泥反応に必要な酸素を供給するほか、生物反応槽1の活性汚泥と流入水3を混合撹拌し、混合液に流速を与えて無終端水路の生物反応槽1内を循環させるとともに汚泥を沈降しないようにする、いわば、曝気と撹拌の2つ機能を有する。曝気装置9には、横軸式、縦軸式、スクリュー式、散気方式など様々の方式があり、水面を撹拌混合したり、空気を送り込むことによって酸素を供給している。
【0021】
曝気装置9の曝気運転方式には、事前に設定したスケジュールに従って曝気と非曝気を繰り返すタイマー方式や、溶存酸素濃度(DO)計10を配置し、この計測データに基づいて曝気と非曝気を自動的に繰り返すDO制御方式制御がある。DO制御方式には連続曝気と間欠曝気の2つがある。連続曝気は生物反応槽1の前半を好気状態に、後半を無酸素状態に保ち、一つの生物反応槽内において硝化反応と脱窒反応を同時に行う方式である。DO目標値を維持するように曝気装置9の曝気と非曝気を繰り返す。一方、間欠曝気は目標DOに達するまで曝気を継続して生物反応槽1全体を好気状態にし、目標DOに達した後はしばらく非曝気として無酸素状態とすることで、硝化反応と脱窒反応を交互に繰り返す。
【0022】
曝気されている時間は、生物反応槽1内の混合液の汚濁物質は、酸素供給により活発化した活性汚泥の働きにより処理される。例えば、活性汚泥は有機物を吸着し、供給された空気中の酸素を吸収して有機物を酸化分解して炭酸ガスと水にする。また、流入下水中のアンモニア性窒素は硝酸性窒素(NO3)に酸化される。これを硝化反応と呼んでいる。なお、これら有機物、アンモニア性窒素、リンなどの汚濁物質の一部は活性汚泥の増殖にも利用される。
【0023】
非曝気の時間は、曝気装置9は撹拌混合のみを行う。この時、生物反応槽1内では、曝気時間帯に生成された硝酸性窒素(NO3)がDOの存在しない環境に置かれ、硝酸性窒素は還元されて窒素ガス(N2)として大気中に放出される。これを脱窒反応と呼んでいる。このように、アンモニア性窒素は、硝化反応と脱窒反応を経て水中から除去される。
【0024】
生物反応後の処理水は最終沈殿池2に導かれる。最終沈殿池2では、活性汚泥を重力沈降させ、上澄み液を塩素消毒した後、放流管8によって放流する。最終沈殿池2の沈降汚泥の一部は返送ポンプ4によって返送汚泥管5を介してOD槽1へ送られ、残りの汚泥は余剰ポンプ6によって余剰汚泥管7を介して系外へ排出される。返送ポンプ4は、返送汚泥量の制御や、事前に設定したタイマー引き抜きのスケジュールに従って運転される。余剰ポンプ6は、余剰汚泥量の制御や、事前に設定したタイマー引き抜きのスケジュールによって運転される。
【0025】
以上説明したDO法を対象としたシミュレータ20の構成について説明する。図1は本発明の一実施例によるシミュレータの機能ブロック図を示す。データ設定装置30はシミュレーションに必要なデータを入出力装置70のキーボード71またはマウス72を用いて入力される。データ設定装置30に入力されるシミュレーションデータはモニタ73に表示される。また、モニタ73は、データベース60に格納されたデータを棒グラフ、トレンドグラフ、計算結果一覧表、除去率、物質収支などの形式で編集し表示する。
【0026】
流入条件設定手段31は流入下水量と流入水質の濃度を設定する。ここで水質とは例えば、有機物(易分解性と難分解性)、アンモニア性窒素、全窒素、リン、浮遊物濃度、アルカリ度、DO、硝酸性窒素、水温などである。データは24時間変動パターンでもよいし、24時間を通して一定値としてもよい。反応槽寸法設定手段32は生物反応槽1の水路幅、水路長さおよび有効水深の寸法データを設定する。曝気装置位置設定手段33は生物反応槽1のなかの曝気装置9の位置を設定する。曝気仕様設定手段35は、曝気装置9の酸素供給性能と撹拌性能を設定する。酸素供給性能は例えば、酸素総括移動係数、酸素溶解効率などである。また、撹拌性能は例えば、生物反応槽1内に与える流速である。運転条件設定手段37は曝気装置の曝気と非曝気の運転方法、沈殿池2から生物反応槽1への返送汚泥量、余剰汚泥量などの運転条件を設定する。これらのシミュレーション条件はデータベース60に格納される。
【0027】
モデル演算装置50はデータベース60に設定されたシミュレーション条件に基づき、生物モデル演算手段51、輸送モデル演算手段52およびDOモデル演算手段53を用いて、生物反応槽、最終沈殿池、返送汚泥、及び余剰汚泥の水質、汚泥濃度及び流量をシミュレーション計算し、その結果をデータベース60に格納する。
【0028】
生物モデル演算手段51は、生物反応によって変化する水質および汚泥濃度の変化を計算する。生物モデル演算手段51としては、国際水環境協会(IAWQ)が発表した「活性汚泥モデルNO2」などで公知のモデルを適用してもよいし、化学反応式から作成したモデルや実験的に求めたモデルを適用することもできる。
【0029】
輸送モデル演算手段52は、流入汚水量、返送汚泥量、余剰汚泥量、曝気装置の仕様に基づいてプロセス全体の流量の変化を計算する。溶存酸素モデル演算手段53は曝気装置から生物反応槽1に供給されるDOを計算する。これら生物モデル演算手段51、輸送モデル演算手段52および溶存酸素モデル演算手段53で構成されるモデル演算手段30の計算結果はデータベース60に格納される。
【0030】
計装演算手段40は、データベース60に格納されたシミュレーション条件を参照してモデル演算装置50を用いて例えば窒素のシミュレーションを実行し、その計算結果から、DO計測位置と制御目標値を演算し、データベース60に格納する。計装演算手段40は、位置移動手段46、目標値設定手段47、窒素除去シミュレーション手段48、判定手段49から構成されている。
【0031】
位置移動手段46は、生物反応槽内のDO濃度計の位置を移動し、曝気装置とDO計の相対位置を自動的に変化させる。目標値設定手段47は、DO目標値を自動的に変化させる。窒素除去シミュレーション手段48は、位置移動手段46によるDO計の位置と目標値設定手段47によるDO濃度目標値の条件、及びデータベース60に格納されたシミュレーション条件に従って除去率を計算する。判定手段49は窒素除去シミュレーション手段48の結果から、例えば窒素除去率が高くかつ曝気装置の動力費用が低い条件を抽出し、データベース60に格納する。
【0032】
図3に窒素除去率のシミュレーションの実施例を示す。DO目標値を変更した場合の、窒素除去率のシミュレーション結果の一例である。図3(a)は、曝気装置の流下方向の一個所にDO計を設置し、このDO計の値が目標値を維持できるように曝気装置の曝気、非曝気を制御させて窒素除去率を計算した。さらに、DOの目標値を段階的に変化させて、窒素除去率の変化をプロットすると、除去率を最大とするDOの目標値の関係を求めることができる。このように、DOの目標値を適切に設定することによって、窒素除去率を最大にすることができることをシミュレーションと実験によって見出した。また、図3(b)は、DOの目標値を段階的に変化させて、曝気装置の運転に要した電力量を計算した一例である。
【0033】
図4に窒素除去率のシミュレーションの複数例を示す。図4(a)は、図3で説明したDO目標値と窒素除去率のシミュレーションを、DO計の位置を変えて実施した例である。DO計の位置によって、除去率を最大に保つためのDO目標値が変化することも、シミュレーションと実験によって見出した。
【0034】
なお、図4(b)にDO計の位置を示すように、曝気装置をNo.4に配置し、No.2,No.3位置にDO計を設置すると、図4(a)に示すように窒素除去率を最大にするためのDO目標値が一義的に決定できる。しかし、DO計をNo4の位置に設置した場合のDO目標値はゼロになるため、DO制御には不適な場所と判断できる。このように、シミュレーションを用いて窒素除去率とDO目標値の相関関係を計算することによって、適切なDO計の設置場所を判定できる。
【0035】
図5にデータ編集手段60による水質データの画面表示例を示す。OD槽を12の位置に分割した場合におけるモニタ73への表示例を示している。モニタ73には、流入水(流入下水)、分割された反応槽(No1〜12)、最終沈殿池2からの放流水、及び返送汚泥の構成を表示している。図5では、シミュレーションによって決定した曝気装置とDO計の位置を表示している。
【0036】
次に、シミュレータの動作を説明する。図6はシミュレータの動作を示す一実施例のフローチャートである。ステップS1では、流入条件設定手段31で流入水量および流入水質(有機物、アンモニア性窒素、リン、SS、アルカリ度、水温など)の濃度を設定する。ステップS2では、反応槽寸法設定手段32によって生物反応槽の水路長、幅、有効水深などを設置する。ステップS3では、曝気装置の位置と溶存酸素供給に関する仕様を設定する。ステップS4では、運転条件定手段37によって返送ポンプ4の制御条件(返送汚泥量、返送率の目標値、タイマー引抜き)、余剰ポンプ6の制御条件(余剰汚泥量、余剰汚泥率目標値、タイマー引抜き)を設定する。
【0037】
以上のシミュレーション設定条件に基づいて、計装演算手段40がシミュレーションを開始する。ステップS5では位置移動手段46が生物反応槽内でDO計の位置を定める。初期は、曝気装置の位置であり、シミュレーションの過程において段階的に流下方向に移動させる。ステップ6では、DO計の制御目標値を定める。初期値は例えば0.01mg/Lを設定する。
【0038】
ステップ7ではシミュレーションを実行し、窒素除去率を計算する。ステップS7からステップS8に移行し、ステップS8では制御目標値が設定上下限内をすべて設定したかを判定し、設定上下限内すべて実施と判定するとステップS9に移行し、未済と判定するとステップ5に戻り、再度設定値を変更してステップS7の処理を繰り返し実行する。
【0039】
ステップS9では、窒素除去率が最も高い場合のDO目標値を抽出する。ステップS10では、DO計の位置が生物反応槽内のすべての範囲を移動したかを判定し、範囲内すべて実施と判定するとステップS11に移行し、未済と判定するとステップ5に戻り、再度設定値を変更してステップS6からステップS9の処理を繰り返し実行する。
【0040】
ステップS11では、窒素除去率が最大とするDO計の位置と、DO目標値を抽出する。例えば全窒素除去率80%以上程度が目安とされている。
【0041】
ステップS12では、データ編集手段60、時刻設定手段62によって、DO計の位置、目標値を、流入水、生物反応槽、放流水、返送汚泥の水質と一緒に編集してモニタ73に表示する。また、曝気装置の電力量、曝気・非曝気時間なども表示する。
【0042】
なお、ステップS11の判定を除去率としたが、放流水質としてもよく、また運転時の使用電力量から判定することもできる。ステップS8とS9の判定においても運転時の使用電力量から判定してもよく、また、ステップS5とS10、及びS6とS8の判定は、ソフトウエアによって自動的に実行したが、人間が実行しても良い。
【0043】
以上のシミュレーションを、生物反応槽の寸法、曝気の位置、及び運転条件を変えて試行し、プロセス内の水質変動を把握できる。この結果、プロセス全体が最適な除去性能を発揮するためには、どこの機器仕様、機器配置、運転条件を改善すべきか容易に把握できる。また、水質除去に必要な電力量も計算できるので、省エネを含めてプラントを総合的に判断できる。
【0044】
なお、上述の実施例はオキシデーションディッチ法について説明したが、他の活性汚泥水処理装置でも同様な効果が得られることは明らかである。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、曝気装置とDO計の位置関係と運転の最適化が図れるので、流入条件や返送や余剰などの運転条件と組合わせてシミュレーションを実行し、有機物、りん、窒素の除去率を容易に高めることができる。これによって計画と設計も容易になり、時間を短縮できる。また、水質除去の観点から既存プラントの妥当性を評価でき、放流水質基準を満足できる最小面積や最小コストの算出にも利用できるので、設備の更新に有効である。また、適切な運転条件の検討を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の活性汚泥プロセスのシミュレーション装置の一実施例を示す構成図。
【図2】本発明を適用する活性汚泥プロセスの概略の構成図。
【図3】実施例のシミュレーション結果を示す説明図。
【図4】複数のシミュレーション結果等を示す説明図。
【図5】水質データの画面表示例を示す説明図。
【図6】本発明の一実施例によるシミュレーション手順を示すフロー図。
【符号の説明】
1…生物反応槽、2…最終沈殿池、3…流入水、4…返送ポンプ、5…返送汚泥管、6…余剰ポンプ、7…余剰汚泥管、8…放流管、9…曝気装置、10…溶存酸素濃度計、11…汚泥引き抜き管、20…シミュレータ、30…データ設定装置、31…流入条件設定手段、32…反応槽寸法設定手段、33…曝気装置位置設定手段、35…曝気仕様設定手段、37…運転条件設定手段、40…計装演算手段、46…位置移動手段、47…目標値設定手段、48…窒素除去シミュレーション手段、49…判定手段、50…モデル演算装置、51…生物モデル演算手段、52…輸送モデル演算手段、53…溶存酸素モデル演算手段、60…データベース、63…プラント入力手段、70…入出力装置、71…キーボード、72…マウス、73…モニタ。

Claims (3)

  1. 下水を処理する活性汚泥法のプロセスをシミュレーションする下水処理場の設計支援装置であって、
    生物反応槽の寸法データを設定する反応槽寸法設定手段と、前記生物反応槽に流入する流入下水量と流入水質の濃度を設定する流入条件設定手段と、前記生物反応槽内の曝気装置の位置を設定する曝気装置位置設定手段と、前記曝気装置の溶存酸素供給能力を設定する曝気仕様設定手段と、前記生物反応槽における前記曝気装置の曝気と非曝気の運転方法、沈殿池から前記生物反応層への返送汚泥量などの運転条件を設定する運転条件設定手段を有するデータ設定装置と、
    前記各設定手段により設定された設定値をシミュレーション条件とし生物反応によって変化する水質および汚泥濃度の変化を計算する生物モデル演算手段、プロセス全体の流量の変化を計算する輸送モデル演算手段及び前記曝気装置から前記生物反応槽に供給される溶存酸素濃度を計算する溶存酸素モデル手段を用いて、前記生物反応槽の水質を演算するモデル演算装置と、
    前記生物反応槽内の溶存酸素計測位置を変化させる位置移動手段と、溶存酸素目標値を変化させる目標値設定手段前記位置移動手段による溶存酸素計測位置と前記目標値設定手段による溶存酸素目標値と前記モデル演算装置の演算結果に基づいて、窒素除去率を演算する除去率演算手段を有する計装演算手段を具備し、
    前記計装演算手段によるシミュレーションを実行して前記除去率演算手段による窒素除去率を計算し、該窒素除去率が最大となるように前記溶存酸素計測位置と前記溶存酸素目標値を変化させながら繰り返し計算し、かつ前記計算の結果から前記曝気装置の電力量が低い条件を抽出することを特徴とする下水を活性汚泥法により処理する下水処理場の設計支援装置。
  2. 請求項1において、前記位置移動手段は、前記曝気装置の設置位置を基準にシミュレーションに応じて段階的に流下方向に移動させることを特徴とする下水を活性汚泥法により処理する下水処理場の設計支援装置。
  3. 請求項1において、前記除去率演算手段は、前記溶存酸素濃度計の位置を変えて前記窒素除去率が最も高い場合の溶存酸素濃度を抽出することを特徴とする下水を活性汚泥法により処理する下水処理場の設計支援装置。
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