JP4366734B2 - スタンプ作成装置用インクリボン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光エネルギー吸収性物質を含有した多孔性樹脂層を有する印材に印刷済みの印刷媒体を介して光を照射することによって印版を形成するスタンプ作成装置に用いられる、前記印刷媒体に熱転写されるインクが基材に担持されたスタンプ作成装置用インクリボンに関する。
【0002】
【従来の技術】
スタンプ作成装置として、特開平6−278350号公報に記載されたものが知られている。この公報に記載のスタンプ作成装置は、装置本体内に配置されたサーマルヘッドを駆動して熱転写リボンのインクを印刷紙リボン側に転写し、これによって形成したネガフィルムを紫外線照射光源と印面形成部材(印材)との間に搬送し、この状態で紫外線を照射することにより印材を構成する紫外線硬化性樹脂をネガフィルムの透明部分に対応するように部分的に硬化させるものであって、その後、印材の未硬化部分を所定の液体中で洗浄して除去することによって所望のスタンプが作成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなスタンプ作成装置においては、紫外線硬化性樹脂を印材として用いているため、光が入らないように厳重に保管しなければならないという問題がある。また、光の照射後に未硬化の樹脂を除去するための洗浄処理が必要となり、スタンプの製造に手間がかかるという問題もある。
【0004】
そこで、本出願人は、これらの問題を有しないスタンプ作成装置として、カーボンブラックなどの光エネルギー吸収性物質を含有した多孔性樹脂層を有する印材に、サーマルヘッドで透明フィルムにインクが熱転写されてなるポジ原稿を介して光を照射することによって印版を形成するスタンプ作成装置を提案している(特願平9−249981号)。
【0005】
しかしながら、かかるスタンプ作成装置に用いられる、印刷媒体に熱転写されるインクが基材に担持されたインクリボンとしての望ましい特性、および、透明フィルムである印刷媒体としての望ましい特性については明らかにされていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、光エネルギー吸収性物質を含有した多孔性樹脂層を有する印材に印刷済みの印刷媒体を介して光を照射することによって印版を形成するスタンプ作成装置に用いられる、前記印刷媒体に熱転写されるインクが基材に担持されたスタンプ作成装置用インクリボンとして好適なものを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のスタンプ作成装置用インクリボンは、光エネルギー吸収性物質を含有した多孔性樹脂層を有する印材に印刷済みの印刷媒体を介して光を照射することによって印版を形成するスタンプ作成装置に用いられる、前記印刷媒体に熱転写されるインクが基材に担持されたスタンプ作成装置用インクリボンにおいて、前記インクは非透光性を有しているとともにその融点が光を照射しても液化により流動しない温度として低くとも75℃とされ、前記インクの層を少なくとも2層有しており、前記基材に最も近い層の融点が他の層の融点よりも低く、前記基材から最も離れた層側から光が照射される。
【0008】
請求項1によると、インクが非透光性を有しているために、光がインクを透過してインクと対向する部分の印材に達することがなく、印刷されたインクの形状に従って印版が形成される。また、インクの融点が光を照射しても液化により流動しない温度として低くとも75℃とされているため、印材の製版時に印刷媒体に転写されたインクに光が照射されてもインクが液化しづらく熱伝導性も低いため、印材の製版時に照射される光エネルギーがインクを介して熱として印材に与えられることがほとんどない。また、転写されたインクが液化により流動することがほとんどなくなり、所望の形状の印版を形成することができる。すなわち、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて画質の良好なスタンプを形成することができる。
また、請求項1によると、基材に最も近い層の融点が他の層の融点よりも低いので、熱転写時にインクが容易に基材から剥離して円滑に印刷媒体に転写させることができる。
また、請求項1によると、光の照射源に近い位置にある基材から最も離れた層の融点を高くしておくことにより、当該層が、光の照射源により照射された光によって溶融してしまうのを極力防止することができる。
また、請求項2のスタンプ作成装置用インクリボンは、前記基材に最も近いインクの層の融点が、熱転写されるときに溶融する温度として高くとも100℃とされている。
請求項2によると、基材に最も近い層の融点が、熱転写されるときに溶融する温度として高くとも100℃とされているので、熱転写時にインクをきわめて円滑に印刷媒体に転写することができる。
【0009】
また、請求項3のスタンプ作成装置用インクリボンは、前記インクの塗付量が2.5g/m2 以上である。
【0010】
請求項3によると、インクの塗付量が2.5g/m2 以上であるので、製版時にインクに与えられた熱が印材に伝わりづらく、より優れた画質のスタンプを形成することができる。
請求項4のスタンプ作成装置用インクリボンは、前記基材から最も離れた前記インクの層の色が白色度70以上の白色である。
【0011】
請求項5のスタンプ作成装置用インクリボンは、前記基材から最も離れた前記インクの層の色が、光沢度が10以下の金色および銀色から選択されたいずれかである。
【0012】
請求項4、5によると、インクの色が金色、銀色または白色であるために、印材の製版時に照射される光を高い率で反射することができる。そのため、印材の製版時に照射される光エネルギーがインクを介して熱として印材に与えられることがほとんどなく、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて画質の良好なスタンプを形成することができる。
【0013】
【0014】
また、請求項4、5によると、インクが白色度70以上または光沢度10以下であるので、インクにおける光の反射率が高く、印材の製版時に照射される光をきわめて高い率で反射することができる。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
また、請求項6のスタンプ作成装置用インクリボンは、前記インクの粘度が200cps以上である。ここで、粘度は、ロトビスコ粘度計により100℃で溶融したインク粘度を測定したものである。
【0020】
請求項6によると、インクの粘度が200cps以上であるため、印材の製版時に印刷媒体に転写されたインクに光が照射されてもインクが軟化しづらく、印刷媒体に転写されたインクが流動することがほとんどなくなる。そのため、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて、所望の形状の印版を形成することができる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態のインクリボンが巻回されたロールが装着されるスタンプ作成装置の全体斜視図、図2は全体断面図、図3は部分断面図である。本実施の形態のスタンプ作成装置1は、装置本体12に対して着脱可能であって透明の原稿フィルム8を複数枚収納可能なフィルムマガジン2と、フィルムマガジン2の近傍の装置本体12に設けられた印版識別(見出し)ラベル用のカットシートCSの供給口3と、サーマルヘッド5を備えた印刷部4と、印刷された原稿フィルム8に基づいてスタンプ本体7の下面に配された印材(図示せず)に印面を形成するためのスタンプ部6と、スタンプ部6の近傍の装置本体12に設けられたカットシートCSおよび原稿フィルム8の排出口108とを有している。
【0027】
印刷部4の上面に設けられたヘッドホルダユニット102は、その下側にサーマルヘッド5を有しているとともに、軸110を中心として上方に回動可能となっている。これにより、装置内部のメンテナンスができるようになっている。
【0028】
スタンプ部6下方には、キセノン管11を具備した発光ユニット(HU)10が着脱自在に設けられている。発光ユニット10はスライドレバー101を上方に摺動させることによってスタンプ作成装置1から取り外しが可能である。また、スタンプ部6には、スタンプ本体7を出し入れする際に開閉される上蓋36と上前蓋106とが設けられている。図4に、上蓋36および上前蓋106を開いてスタンプ本体7を発光ユニット10のステージ33上においてスタンプ収納部70の所定位置に装填するときの様子を示す。図4に示すように、上蓋36の裏面には、後述する押圧板PLが設けられている。
【0029】
このスタンプ作成装置1は、パーソナルコンピュータ201(図16参照)と接続されることによって、パーソナルコンピュータ201からの制御にしたがって、原稿フィルム8へのポジ原稿の印刷、カットシートCSへの印版識別ラベルの印刷、ポジ画像が印刷された原稿フィルム8に基づくスタンプの製版といった各種動作を実行するように構成されている。
【0030】
つまり、フィルムマガジン2から印刷部4に搬送された原稿フィルム8に対して、サーマルヘッド5が所定の文字、図形等のポジ画像を印刷し、その印刷された原稿フィルム8がスタンプ部6に送られる。そして、発光ユニット10によってスタンプ本体7の下面に配された印材に原稿フィルム8を介して光が照射されることによって、印材が製版されスタンプ作成装置1による一連のスタンプ作成動作が完了する。
【0031】
また、カットシートCS印刷の場合には、供給口3からカットシートCSが供給され、原稿フィルム8ではなくカットシートCSに文字、図形などのポジ画像が印刷され、排出口108から排出される。印刷されたカットシートCSは、スタンプ本体7の印版識別(見だし)ラベルとして後述するグリップ部材112(図5参照)の頂部に貼着されてよい。
【0032】
ここで、本実施の形態のスタンプ作成装置1に用いられる印材およびスタンプ本体7を備えたスタンプユニットの構造について説明する。ここで用いられる印材は、例えば本出願人による特願平9−249983号に開示されているような、カーボンブラックなどの光エネルギー吸収性物質を分散させた軟質多孔性樹脂(例えば、ウレタン系樹脂)からなる下側層と、インクを貯溜するとともに下側層に均一に圧力が印加されるようにする硬質多孔性樹脂(例えば、ポリビニルホルマール)からなる上側層とを具備した2層構造を有する印材である。
【0033】
この印材を圧縮した状態でポジ画像が印刷された透明な原稿フィルム(ポジ原稿)を介して選択的に光を照射すると、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層の部分は、光エネルギー吸収物質の発熱作用によって溶融後固化されるので、シールされてインクを透過しない状態となる。一方、原稿の印刷部分に対応した下側層の部分は、光が照射されないだけでなく原稿の印刷部分からの伝導熱で溶融固化されることもなく、原稿の文字等に対応してシールされないでそのまま残存することとなる。これにより、所望パターンのシール部(非印刷部)と非シール部(印刷部)とが印材の下面に混在した印判が形成される。
【0034】
また、スタンプ本体7は、図5に示すスタンプユニット111の一部を構成しており、このスタンプユニット111は、スタンプ印刷時にユーザが把持するためのグリップ(取っ手)部材112、スカート部材114、スタンプ本体(ホルダ部材)7、および、スタンプ不使用時に印材のカバーとなるキャップ部材116を備えている。スタンプ本体7は、一体に形成された上部ホルダ部81と下部ホルダ部82とから構成されている。そして、スタンプ本体7がスカート部材114内で上下に移動可能となるようにスタンプ本体7とグリップ部材112とが連結される。印材(図示せず)は、スタンプ本体7の下面に熱接着により配設されており、その周縁部からインクが漏れないようにされている。インクは印材の硬質多孔性樹脂からなる上側層に貯溜されている。従って、スタンプ印刷時にキャップ部材116を取り外した状態でグリップ部材112を押し下げて印材を印刷用紙に接触させると、印材上方から供給されたインクが印材の下側層の非シール部だけから滲出して印刷用紙に付着し、所望の画像がスタンプ印刷されることになる。
【0035】
図5に示すように、スタンプ本体7の側面下方には、1つの楔形の傾斜溝43と、傾斜溝43の両側の3カ所にある凹形の検出溝44とが設けられている。検出溝44の数および位置パターンは、それぞれサイズが異なるスタンプ本体7の種類によって異なるようにされている。傾斜溝43は、スタンプ作成装置1を使用して印材に印版を形成する際にスタンプ本体7をスタンプ収納部70の所定製版位置にセットするために設けられた溝である。また、検出溝44は、スタンプ収納部70に収納されたときにスタンプ本体7の種類(サイズ)を特定するために使用される。
【0036】
次に、フィルムマガジン2について、図2および図3並びに図6〜図8に基づいて説明する。図6はフィルムマガジンの平面図、図7は装置への装填時におけるフィルムマガジン2の断面図であり、図8は装置から取り出したときのフィルムマガジン2の断面図である。図6〜図8に示すように、フィルムマガジン2は、多数の原稿フィルム8を収容可能な無蓋箱状のマガジン本体22と、装脱装置24とを備えている。マガジン本体22は、原稿フィルム8が載置される受け板25と、着脱枠26と、本体枠27とを備え、受け板25と着脱枠26はそれぞれ左右向きの支点P、Qで揺動可能に本体枠27に枢支されている。
【0037】
装脱装置24は、フィルムマガジン2の装置本体12への押し込みセット時に、そのフィルムマガジン2の押し込み操作に伴って受け板25(原稿フィルム8の搬送方向下流側)を、装置本体12に支承された繰り出しローラ23に向けて押し上げる押上げ機構24Aと、フィルムマガジン2の装置本体12からの引き抜き時に、その引き抜き操作に伴って受け板25先端側を繰り出しローラ23から遠ざかるように、強制的にマガジン底2aに向けて引き下げる引下げ機構24Bとで構成されている。
【0038】
押上げ機構24Aは、バネ28aで突出付勢される状態で装置本体12に装着された押上げ片28と、押上げ片28の入り込みを許容するようにマガジン底2aおよび着脱枠26に形成された孔29等から構成され、フィルムマガジン2の挿入操作に伴って受け板25が押上げ片28に当接して押し上げられる。すなわち、着脱枠26は、受け板25の両角部が原稿シートを介して着脱枠26の分離爪32を押し上げることにより、支点Q回りで揺動上昇するのである。
【0039】
また、引下げ機構24Bは、着脱枠26を下方に(マガジン底2aに向けて)常時押圧付勢するトーションバーバネ30を備えており、フィルムマガジン2の抜き出しに伴う押上げ片28と受け板25との干渉が解除されると、着脱枠26を下方に強制揺動させる。つまり、押上げ機構24Aによる着脱枠26の押し上げは、トーションバーバネ30の付勢力に抗して行われる。
【0040】
着脱枠26は、フィルムマガジン2のセット等において、繰り出しローラ23のフィルム搬送方向上流側および下流側のそれぞれに位置して原稿フィルム8に作用する第1および第2の分離爪31、32を備えている。一対の第1分離爪31は、原稿フィルム8の左右端部に引っ掛かり作用し、一対の第2分離爪32は原稿フィルム8の先端側の両角部に引っ掛かり作用するものであり、引き下げ機構24Bの作動時に原稿フィルム8を繰り出しローラ23から引き離すべく強制下げ力を伝達させる役割を担っており、引き下げ機構24Bの構成部分でもある。
【0041】
しかして、フィルムマガジン2を装置本体12に装着するだけで、最も上にある原稿フィルム8先端部が繰り出しローラ23に押圧接触する状態となり、この状態で繰り出しローラ23を駆動回転することで原稿フィルム8を印刷部4に向けて良好に搬送することができる。そして、フィルムマガジン2を装置本体12から引き抜き操作すると、その引き抜きの初期作動において原稿フィルム8先端部を搬出しローラ23との押圧接触状態から下方に強制移動させることができる。
【0042】
つまり、分離爪31、32を、微粘着面とした繰り出しローラ23の表面から原稿フィルム8を強制分離させる作用位置と、繰り出しローラ23から引き離された退避位置とに切り替え自在に構成し、かつ作用位置にある分離爪31、32を退避位置に向けて押圧付勢するトーションバーバネ30を設けるとともに、このトーションバーバネ30の押圧付勢力に抗して分離爪31、32を作用位置に保持可能に構成してある。
【0043】
繰り出しローラ23の外周面は微粘着面としてあり、原稿フィルム8の印刷側面についたゴミ、埃などの異物を搬送開始時点で除去できるようになっている。すなわち、繰り出しローラ23の外周面23を、粘度が45mm巾で0.01N以上0.5N以下の範囲に設定されたシリコンゴムによって形成してあり、原稿フィルム8との接触時に異物が原稿フィルム8から引き剥がされ、繰り出しローラ23に粘着されるクリーニング作用が生じる。
【0044】
なお、微粘着面によって原稿フィルム8との接触摩擦が強化され、原稿フィルム8を確実に送り出せる利点がある。また、フィルムマガジン2を装置本体12に挿入セットした状態で長期間が過ぎると、原稿フィルム8が繰り出しローラ23の微粘着面に比較的強固に粘着してしまうことが予想されるが、前述したように、着脱枠26に備えた計4カ所の第1および第2分離爪31、32により、引き下げ機構24Bの引き剥がし力が原稿フィルム8に確実に作用し、両者を良好に分離させることができる。
【0045】
次に、カットシートCSの送り出し機構について説明する。カットシートCSの送り出し機構は、供給口3の直後に設けられた一対の送り出しローラ19、20と、送り出しローラ19、20の直後に設けられてサーマルヘッド5方向に湾曲したシートガイド21とを有している。供給口3から供給されたカットシートCSは、一対の送り出しローラ19、20の間を経て、シートガイド21およびガイドレール15によって、サーマルヘッド5による印刷が可能な位置へと搬送される。図9は、原稿フィルム8およびカットシートCSの搬送系の要部を、カットシートCSを搬送する場合を例として示す図である。図9に示すように、カットシートCSは、送り出しローラ19、20を経てサーマルヘッド5とプラテン14との間に案内される。
【0046】
カットシートCSを送り出す一対の送り出しローラ19、20のうち、サーマルヘッド5側となる送り出しローラ19の外周面は、繰り出しローラ23と同じく微粘着面としてあり、カットシートCSの印刷側面の異物をサーマルヘッド5の手前において除去できるようになっている。ただし、カットシートCS自体が微粘着面に張りついてしまわないよう、カットシートCSを微粘着面から強制分離させるバネ板47が設けられている。
【0047】
すなわち、図9に示すように、カットシートCSの幅よりも送り出しローラ19の幅を狭くし、バネ板47の左右の作用片47a、47bを送り出しローラ19両端位置においてカットシートCSに押し付けるように接触させることにより、カットシートCSが送出しローラ19に巻き付くのを防止して、良好に搬送されるようにしてある。ただし、送り出しローラ19の幅はカットシートCSの被印刷面(被記録面)の幅より広く設定されている。送り出しローラ19や繰り出しローラ23の微粘着面は着脱自在に巻回装備されており、汚れによってクリーニング機能が低下した場合には容易に新品と交換できるようになっている。
【0048】
また、送り出しローラ19、20の近傍のカットシートCSと対向する位置には、発光素子と受光素子とを有する反射型フォトセンサPS2が設けられている。フォトセンサPS2は、発光素子からこれと対向する位置を通過するカットシートCSに対して照射された光が受光素子に向けて反射されるような位置に固定されている。このフォトセンサPS2と、カットシートCSの側部に設けられたシート識別表示部(図示せず)とによって、カットシートCSを識別することが可能である。
【0049】
次に、印刷部4の構造について説明する。印刷部4には、インクリボン(熱転写リボン)9の元巻ロール13aおよび巻取ロール13bが設けられている。ヘッドホルダユニット102の下側に配設されたサーマルヘッド5の下方には、プラテン14が設けられている。また、元巻ロール13aの下方には、原稿フィルム8やカットシートCSをサーマルヘッド5とプラテン14との間に案内するガイドレール15と、搬送途中での原稿フィルム8やカットシートCSの浮き上がりを防止する押えガイド16とが配設されている。また、サーマルヘッド5の下流側には移送ガイド17と、一対の供給ローラ18が設けられている。
【0050】
次に、スタンプ部6の構造について説明する。図10は、スタンプ部6の下方に着脱可能に装着される発光ユニット(HU)10の断面図であり、図11は平面図である。発光ユニット10は、キセノン管11と、キセノン管11の上方に配置されてスタンプ本体7との間に介装される透明アクリル板製のステージ(光透過面)33と、キセノン管11の周囲を覆うリフレクタボックス34とを有しており、これらが一体形成されている。
【0051】
発光ユニット10の上方には、様々なサイズのスタンプ本体をそのサイズに合わせて両側から挟みつけてセッティングするためのスタンプ収納部70が設けられている。上述した印刷部4で印刷されたポジ原稿はステージ33上に搬送されて製版位置で停止し、その上にスタンプ本体7が載置された状態で、スタンプ収納部70によりスタンプ本体7が位置合わせされる。また、発光ユニット10を装置本体12と接続するコネクタ49は、装置本体12側の雌コネクタ49Aと、発光ユニット10側の雄コネクタ49Bとで構成されている。
【0052】
本実施の形態のスタンプ作成装置1では、発光ユニット10が装置本体12とは別体として着脱自在に設けられているので、キセノン管11などの部品交換を装置を分解する必要なく容易に行うことができるとともに、光透過面の汚れを落とすなどのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0053】
また、スタンプ部6の上蓋36の回動軸36aは、図12および図13に示すように、装置本体12の背面フレームFR1から正面側に伸びる側面フレーム121によって支持されている。そして、上蓋36は、この回動軸36aに捲回されたトーションバネ36bによって、開放時にはほぼ垂直位置となるように付勢される。また、上蓋36の前端に回動可能に取り付けられた上前蓋106は、トーションバネ106aによって前方に開く方向に付勢されており、開放時にはやや前方に傾いた位置となる。この結果、スタンプ収納部70に対してスタンプ本体7をセットする際に上蓋106および上前蓋106が邪魔になることがない。
【0054】
トーションバネ36b、106aの付勢力に抗して上蓋36および上前蓋106を閉じる方向に回動させると、上前蓋106の裏側に伸びるリブ106bの円弧状の切り込み部106cが、正面側フレームFR2に設けられた引っかけ棒150と係合する。これによって、上蓋36および上前蓋106を図13に示すように閉じた状態に維持しておくことができる。そして、上蓋36および上前蓋106が閉じた状態では、フレームFR2に取り付けられた透過型フォトセンサPS1の発光素子と受光素子との間をリブ106bが遮るようになっており、これによって上蓋36および上前蓋106が閉じたことを検出することができる。
【0055】
上蓋36の裏側には平板金属製の押圧板PLが固定されている。押圧板PLは、スタンプ本体7をスタンプ収納部70にセットした状態で上蓋36および上前蓋106を閉じたときに、スタンプ本体7をステージ33の方向に押圧し、スタンプ本体7の下面に設けられた印材を所定量だけ圧縮するような位置に設定されている。
【0056】
次に、本実施の形態に係るインクリボン9について説明する。図14は、インクリボン9の断面図である。インクリボン9は、基材91と、下側インク層92と、上側インク層93とが積層されることによって、つまり下側インク層92と上側インク層93とが基材91に担持されることによって構成されている。基材91は、厚さ3〜8μm程度のPETフィルムから構成されている。下側インク層92は、厚さ2.5〜3.0μm程度のインク層であり、与えるエネルギーが低くても、基材91からむら無く安定して剥離するように構成されている。また、上側インク層93は、厚さ0.2〜0.4μm程度のインク層であり、転写対象物である原稿フィルム8やカットシートCSに転写抜けなく安定して転写するように構成されている。そのため、上側インク層93は、原稿フィルム8やカットシートCSにくっつき易い性質を有している。
【0057】
インクリボン9は、基材91側がサーマルヘッド5と当接する方向で、元巻ロール13aおよび巻取ロール13bに巻回されている。下側インク層92および上側インク層93は、上側インク層93が原稿フィルム8に接触するようにして、サーマルヘッド5によって原稿フィルム8に熱転写される。そして、下側インク層92および上側インク層93が熱転写された原稿フィルム8は、上側インク層93がスタンプ本体7の印材と対向し、下側インク層92が原稿フィルム8を介して発光ユニット10と対向するようにスタンプ部6の所定位置まで搬送される。
【0058】
そのため、原稿フィルム8の印刷時には、サーマルヘッド5による熱が下側インク層92側から2つのインク層92、93に加えられ、スタンプ製版時には、キセノン管11による光が上側インク層93側からインク層92、93に加えられる。
【0059】
基材91に担持されたインクとして必要な特性の一つとして、非透光性がある。つまり、キセノン管11によるスタンプ製版時に、インクに照射された光はインクを透過して印材に達することがあってはならない。本実施の形態では、下側インク層92および上側インク層93の材料がともにこの条件を満たすように選択されている。また、下側インク層92および上側インク層93の少なくともいずれかが非透光性を有していてもよい。
【0060】
また、インクとしてもう一つ必要な特性として、スタンプ製版時にキセノン管11によって照射される光に起因した熱への耐熱性がある。つまり、製版時の加熱によりインクを介して印材に多量の熱が与えられたり、インクが溶融流動することがあっては、印材の所望部分以外が溶融固化して予定した印版を形成することができなくなる。かかる耐熱性を考慮して、下側インク層92および上側インク層93の融点はともに75℃以上、具体的には下側インク層92の融点が75℃で上側インク層93の融点が85℃、としてある。このように、2つのインク層92、93の融点がともに75℃以上であるため、印材の製版時に原稿フィルム8に転写されたインク層92、93にキセノン管11から光が照射されてもインク層92、93が液化しづらく熱伝導性も低いため、キセノン管11から照射される光エネルギーがインク層92、93を介して熱として印材に与えられることがほとんどない。また、転写されたインク層92、93がキセノン管11から光を照射されても液化により流動することがほとんどなくなり、所望の形状の印版を形成することができる。そのため、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて画質の良好なスタンプを形成することができる。
【0061】
また、下側インク層92および上側インク層93の2層合計としての基材91へのインクの塗付量は、2.8g/m2 となっている。このように、本実施の形態のインクリボン9によると、単位面積当りのインクの塗付量が2.8g/m2 と多いので、インク層92、93の合計厚が大きく、製版時にインクに与えられた熱が印材に伝わりづらく、より優れた画質のスタンプを形成することができる。なお、本発明者の得た知見によると、基材91へのインクの塗付量は、印材へ伝わる熱を少なくするという観点からは、少なくとも2.5g/m2 以上であることが必要であり、2.8g/m2 以上であることがより好ましい。
【0062】
また、本実施の形態のインクリボン9は下側インク層92および上側インク層93の2層のインク層を有しており、上述したように熱転写時には下側インク層92側からサーマルヘッド5による熱が加えられる。そのため、上述したように下側インク層92の融点が上側インク層93の融点よりも低くされることで、熱転写時にインクを円滑に原稿フィルム8に転写することができる。本実施の形態では、下側インク層92の融点が100℃以下であるので、下側インク層92が比較的溶融しやすく、熱転写時にインクをきわめて円滑に原稿フィルム8に転写することができる。
【0063】
また、上述のように上側インク層93の融点を85℃としてあるのは、下側インク層92よりもキセノン管11に近く溶融しやすい上側インク層93がスタンプ製版時にキセノン管11から照射される光によって溶融することを極力防止するためである。なお、かかる観点から、上側インク層93の融点は、少なくとも80℃〜85℃以上としておくことが好ましい。
【0064】
さらに、本実施の形態のインクリボン9においては、上側インク層93が白色であり、その白色度が70以上、具体的には74とされている。これは、上側インク層93を白色、特に白色度70以上のものとすることによって、スタンプ製版時にキセノン管11から照射される光を高い率で反射することができて、キセノン管11から照射される光エネルギーがインクを介して熱として印材に与えられることがほとんどなく、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができるからである。なお、上側インク層93を金色または銀色としても本実施の形態と同様の好ましい結果が得られ、特に、その光沢度を10以下とすることが好ましい。
【0065】
上述した白色度Wおよび光沢度ΔEは、以下のようにして定義されたものである。
W=100−{(100−L* )2 +(a* )2 +(b* )2 }1/2
ΔE={(L* )2 +(a* )2 +(b* )2 }1/2
(L* :明度、a* :赤の色度、b* :黄色の色度)
また、白色度Wおよび光沢度ΔEは、紫外線ロングライフフェードメータによる色彩値および印字物色差の測定値である。
【0066】
本実施の形態では、上側インク層93だけを白色としたが、上側インク層93および下側インク層92の両方を白色としてもよく、下側インク層92だけを白色としてもよい。ただし、キセノン管11からの光を反射するという観点からは、少なくとも上側インク層93を白色としておくことが好ましい。これは、金色または銀色とする場合についても同様である。
【0067】
さらに、本実施の形態のインクリボン9において、下側インク層92および上側インク層93の粘度はそれぞれ200〜300cps(センチポアーズ)および300〜400cpsと200cps以上となっている。そのため、印材の製版時に原稿フィルム8に転写されたインクに光が照射されてもインクが軟化しづらく、透明フィルム8に転写されたインクが流動することがほとんどなくなる。そのため、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて、所望の形状の印版を形成することができる。
【0068】
また、下側インク層92および上側インク層93、特にキセノン管11からの光が直接照射される上側インク層93に、光硬化性樹脂を混入してもよい。これによるとキセノン管11からの光の照射でインクが硬化してインクが流動することがほとんどなくなる。そのため、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて、所望の形状の印版を形成することができる。
【0069】
本実施の形態のインクリボンには、レジン系、セミレジン系、ワックス系のいずれのインクも用いることができる。ただし、レジン系は比較的硬く、ワックス系は比較的柔らかく、セミレジン系はこれら両者の中間的な性質を有しているために、用いるインクの種類によってサーマルヘッド5への通電時間(および/または印加電圧)を適宜変更しサーマルヘッド5での総発生熱量を制御することが好ましい。すなわち、レジン系のインクを用いるときには通電時間を比較的長くし(および/または印加電圧を大きくし)、ワックス系のインクを用いるときには通電磁間を比較的短くする(および/または印加電圧を小さくする)というような制御を行う。
【0070】
また、スタンプ作成装置1は、EEPROM216にインク種類とサーマルヘッド5への通電時間とを対応させたテーブルを具備しており、これによりインク種類の変更にも対応できるようになっている。つまり、インクリボン9のインク種類を変えたときには、それに応じてサーマルヘッド5での発生熱量を変えられるようになっている。また、スタンプ作成装置1は、パーソナルコンピュータ201からの入力信号やスタンプ作成装置1自体の調整によってEEPROM216を書き換えることにより、既知のインクだけではなく新たな種類のインクにも対応できるようになっている。
【0071】
次に、本実施の形態に係るスタンプ作成装置用印刷媒体である原稿フィルム8について説明する。図15は、原稿フィルム8の断面図である。厚さ100μm程度のPETフィルムから構成された原稿フィルム8の両面には、静電気防止処理剤であるシリコン系樹脂94がそれぞれ厚さ0.1μm程度塗付されている。このように原稿フィルム8の両面に静電気防止処理剤が塗付されているので、原稿フィルム8に埃などの微小な不純物が付着することがほとんどなくなる。そのため、インクが原稿フィルム8に転写されやすく且つ原稿フィルム8から剥離しづらい。なお、静電気防止処理剤として用いられるものには、シリコン系樹脂のほかに、アクリル系樹脂などがある。
【0072】
なお、原稿フィルム8には、静電気防止処理剤とともにまたはこれに代わって、下側インク層92および上側インク層93に含有された溶剤、例えばアクリルやシリコン系樹脂、と同一の溶剤が塗付されていてもよい。これによって、原稿フィルム8からインクが剥離しづらくなる。
【0073】
次に、スタンプ作成装置1の制御系について説明する。図16は、図1に示したスタンプ作成装置1の概略的なブロック図である。図16において、スタンプ作成装置1の全体動作を制御するCPU200には、パーソナルコンピュータ201とデータをやり取りするためのPCインターフェイス制御回路203と、サーマルヘッド5を駆動制御するサーマルヘッド制御回路205と、ROM212と、RAM214と、EEPROM216と、原稿フィルム8やカットシートCSを搬送するためのステップモータSMの駆動動作を制御するステップモータ制御回路207と、キセノン管11の発光を制御するキセノン管発光制御回路210と、スタンプ作成装置1の動作状態をユーザに知らせるための液晶ディスプレイLCDと、フォトセンサPS1、PS2と、その他図示しない部材とが接続されている。
【0074】
ROM212には、各種の制御処理プログラムが記憶されており、CPU200は、これらの制御処理プログラムに従って各種の動作を行う。また、RAM214には、CPU200により演算された演算結果などが一時的に記憶される。また、EEPROM216は、上述したインクリボンに関する情報やカットシートCSの種類に関する情報などをユーザによる書き換え可能に記憶している。
【0075】
次に、スタンプ作成装置1による印版識別ラベル印刷動作およびスタンプ製版動作について説明する。なお、以下の動作は特に記載しない限りCPU200からの命令により実行される。
【0076】
印版識別ラベル印刷動作の場合、印版識別ラベル印刷処理命令をパーソナルコンピュータ201から受け取ると、フォトセンサPS2によって検出されたカットシートCSの種類に応じて、供給口3から供給されたカットシートCSに対して印刷部4のサーマルヘッド5によって印面データがインクリボン9を用いてポジ印刷される。そして、印刷されたカットシートCSは、排出口108から排出される。
【0077】
次に、スタンプ作成装置1の製版動作について、スタンプ作成装置1の製版動作フローチャートである図17に基づいて説明する。まず、パーソナルコンピュータ201から原稿印刷および製版実行の命令を受けると、ステップS11において、パーソナルコンピュータ201から印面データを受信する。そして、ステップS12において、キセノン管11の発光用コンデンサ(図示せず)への充電が開始される。そして、ステップS13において、サーマルヘッド5および図示しないステップモータSMが駆動され、受信した印面形状のデータに従って原稿フィルム8の上面にインクリボン9を用いてポジ原稿が印刷される。
【0078】
次に、ステップS14において、印刷された原稿フィルム8が所定の製版位置に到達するようにステップモータSMが駆動され、原稿フィルム8が所定位置に移動したかどうかが判断される。原稿フィルム8が所定位置に移動したと判断されると(S14:YES)、ステップS15に進んで上蓋36および上前蓋106(メインカバー)が閉まっているかどうかがフォトセンサPS1からの検出信号により判断される。このステップS15はメインカバーが閉まっていると判断されるまで繰り返される(S15:NO)。
【0079】
次に、メインカバーが閉まっていると判断されると(S15:YES)、ステップS16において、スタンプ本体7がスタンプ収納部70にセットされているかが判断される。スタンプ本体7がセットされていると判断されると(S16:YES)、続いて、ステップS17において、スタンプサイズが正しいかどうか、つまり、スタンプサイズ検出センサ(図示せず)で検出されたスタンプ本体7のサイズが、パーソナルコンピュータ201から与えられた原稿印面データのサイズと一致するかどうかが判断される。スタンプサイズが正しいと判断された場合には(S17:YES)、ステップS18に進む。
【0080】
次に、ステップS18において、発光用コンデンサの充電が完了したかが判断される。そして、発光用コンデンサの充電が完了したと判断されると(S18:YES)、ステップS19においてキセノン管11の発光が行われ、スタンプ本体7の下面に配された印材が製版され、所望の印版が形成される。なお、ステップS14、16、17、18のいずれかのステップにおいて「NO」と判定されたときには、キセノン管11の発光は中止され(ステップS20)、本処理が終了する。このように、キセノン管11を発光させてスタンプ製版を行うに当たり、いくつものチェックを行うことで、誤操作によって無駄な製版動作を実行してしまうといった事態が生じないようにしている。
【0081】
このスタンプ作成装置1では、パーソナルコンピュータ201からのデータに基づいて印面形状を決定できるので、ワープロで作成した文字はもちろん、デジタルカメラ等で取り込んだ画像情報など、プリンタに出力可能なデータならばいかなるものでも用いることができ、多種多様な印面形状のスタンプを容易に作成することができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態には様々な設計変更が可能である。例えば、基材91上のインクの層を1層または3層以上としてもよいし、その色、材料、厚みなどは特許請求の範囲内において適宜変更してよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、インクが非透光性を有しているために、光がインクを透過してインクと対向する部分の印材に達することがなく、印刷されたインクの形状に従って印版が形成される。また、インクの融点が光を照射しても液化により流動しない温度として低くとも75℃とされているため、印材の製版時に印刷媒体に転写されたインクに光が照射されてもインクが液化しづらく熱伝導性も低いため、印材の製版時に照射される光エネルギーがインクを介して熱として印材に与えられることがほとんどない。また、転写されたインクが液化により流動することがほとんどなくなり、所望の形状の印版を形成することができる。すなわち、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて画質の良好なスタンプを形成することができる。
また、請求項1によると、基材に最も近い層の融点が他の層の融点よりも低いので、熱転写時にインクが容易に基材から剥離して円滑に印刷媒体に転写させることができる。
また、請求項1によると、光の照射源の近くに配置された層の融点を高くしておくことにより、当該層が、光の照射源により照射された光によって溶融してしまうのを極力防止することができる。
また、請求項2によると、基材に最も近い層の融点が、熱転写されるときに溶融する温度として高くとも100℃とされているので、熱転写時にインクをきわめて円滑に印刷媒体に転写することができる。
【0084】
また、請求項3によると、インクの塗付量が2.5g/m2 以上であるので、製版時にインクに与えられた熱が印材に伝わりづらく、より優れた画質のスタンプを形成することができる。
【0085】
また、請求項4または5によると、インクの色が金色、銀色または白色であるために、印材の製版時に照射される光を高い率で反射することができる。そのため、印材の製版時に照射される光エネルギーがインクを介して熱として印材に与えられることがほとんどなく、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて画質の良好なスタンプを形成することができる。
【0086】
また、請求項4または5によると、インクが白色度70以上または光沢度10以下であるので、インクにおける光の反射率が高く、印材の製版時に照射される光をきわめて高い率で反射することができる。
【0087】
【0088】
【0089】
また、請求項6によると、インクの粘度が200cps以上であるため、印材の製版時に印刷媒体に転写されたインクに光が照射されてもインクが軟化しづらく、印刷媒体に転写されたインクが流動することがほとんどなくなる。そのため、印材の必要部分以外が溶融固化するのを効果的に防止することができて、所望の形状の印版を形成することができる。
【0090】
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施の形態によるインクリボンが装着されるスタンプ作成装置の全体斜視図である。
【図2】 図1のスタンプ作成装置の全体断面図である。
【図3】 図1のスタンプ作成装置の部分断面図である。
【図4】 図1のスタンプ作成装置において、上蓋および上前蓋が開いた状態での斜視図である。
【図5】 図1のスタンプ作成装置に装着されるスタンプ本体を含むスタンプユニットの分解斜視図である。
【図6】 図1のスタンプ作成装置のフィルムマガジン部分の平面図である。
【図7】 図1のスタンプ作成装置のフィルムマガジン部分の断面図である。
【図8】 図1のスタンプ作成装置のフィルムマガジン部分の断面図である。
【図9】 図1のスタンプ作成装置の搬送系を示す概略斜視図である。
【図10】 図1のスタンプ作成装置の発光ユニットの断面図である。
【図11】 図1のスタンプ作成装置の発光ユニットの平面図である。
【図12】 図1のスタンプ作成装置において、上蓋および上前蓋が開いた状態での断面図である。
【図13】 図1のスタンプ作成装置において、上蓋および上前蓋が閉じた状態での断面図である。
【図14】 本発明の好適な実施の形態によるインクリボンの断面図である。
【図15】 本発明の好適な実施の形態による原稿フィルムの断面図である。
【図16】 図1のスタンプ作成装置の制御系を示すブロック図である。
【図17】 図1のスタンプ作成装置の製版動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 スタンプ作成装置
2 フィルムマガジン
4 印刷部
5 サーマルヘッド
6 スタンプ部
7 スタンプ本体(ホルダ部)
8 原稿フィルム
インクリボン
10 発光ユニット
12 装置本体
91 基材
92 下側インク層
93 上側インク層
94 静電気防止処理剤
Claims (6)
- 光エネルギー吸収性物質を含有した多孔性樹脂層を有する印材に印刷済みの印刷媒体を介して光を照射することによって印版を形成するスタンプ作成装置に用いられる、前記印刷媒体に熱転写されるインクが基材に担持されたスタンプ作成装置用インクリボンにおいて、
前記インクは非透光性を有しているとともにその融点が光を照射しても液化により流動しない温度として低くとも75℃とされ、
前記インクの層を少なくとも2層有しており、前記基材に最も近い層の融点が他の層の融点よりも低く、
前記基材から最も離れた層側から光が照射されることを特徴とするスタンプ作製装置用インクリボン。 - 前記基材に最も近いインクの層の融点が、熱転写されるときに溶融する温度として高くとも100℃とされていることを特徴とする請求項1に記載のスタンプ作成装置用インクリボン。
- 前記インクの塗付量の合計が2.5g/m2 以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスタンプ作成装置用インクリボン。
- 前記基材から最も離れた前記インクの層の色が白色度70以上の白色であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタンプ作成装置用インクリボン。
- 前記基材から最も離れた前記インクの層の色が、光沢度が10以下の金色および銀色から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタンプ作成装置用インクリボン。
- 前記インクの粘度が200cps以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスタンプ作成装置用インクリボン。
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