JP4365565B2 - 1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンの結晶粉末および用途 - Google Patents

1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンの結晶粉末および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化防止剤として有用な1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンであって、そのパウダーテストによる圧縮度が平均25〜30である結晶粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種プラスチック、合成ゴム、ナイロン繊維、樹脂塗料などのポリマーは様々な種類が知られており、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂や、塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂など多種にわたる。それらプラスチックは軽量性、加工性、電気的特性、耐水性、耐薬品性、機械的強度などの優位性により、電気器具、自動車部品、機械部品などの工業用品から、食器、玩具などの家庭用品に至るまで様々な分野で幅広く活用されているが、これらは主として空気中の酸素、熱、光などに起因する過酸化物の生成による劣化を受けることが知られている。
これらプラスチックの劣化を抑制する目的として、アルキルフェノール類のような1価フェノール類、ビスフェノール類のような多価フェノール類などのフェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル類などのリン系酸化防止剤、チオエーテル類などのイオウ系酸化防止剤などが用いられている。
特にフェノール系酸化防止剤の一種である1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンは、プラスチック類の酸化防止剤として様々な研究がされており、その製造方法については米国特許第3723427号明細書、同第3862053号明細書に記載されている。
しかしながら、これらには得られた固体状物質についての飛散性、流動性、保存時の安定性などの粉体特性および、固体状物質の結晶状態についての記載はなく、さらに結晶化の方法としては、反応溶媒をメタノール置換したものや、さらにメタノールによる再結晶を行い、融点150〜155℃の1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを得ること以外はなんら記載されていない。このような方法によって得られた粉末のパウダーテストによる圧縮度は高く、粉体として取り扱う場合、粉塵の飛散、流動性の問題を解決することはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用時の作業性など取扱いやすく、粉塵の発生が少ない1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンの結晶粉末および用途を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、Cu−Kα線による粉末X線回折分析において、回折角(2θ±0.1°)7.1°、9.9°、12.1°、14.2°、15.5°、16.4°、17.7°、21.7°に回折ピークを示す下記式(1)で示される1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンであって、そのパウダーテストによる圧縮度が平均25〜30である結晶粉末に関する
【化2】
Figure 0004365565
本発明の第2は、請求項1記載の1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン結晶粉末を含有することを特徴とする酸化防止剤に関する。
本発明の第3は、請求項記載の酸化防止剤を有機合成樹脂に配合せしめたことを特徴とする樹脂組成物に関する。
本発明の第4は、請求項記載の樹脂組成物を成形することにより得られたことを特徴とする樹脂成形品に関する。
【0005】
例えば米国特許第3723427号明細書、同第3862053号明細書に記載されているように公知の方法で得られた1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンは、微粉末状であり、取り扱い時に粉塵が飛散するなどの作業性および作業環境上の問題があった。
本発明者らは、研究を重ね、種々検討した結果、本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンは、優れた酸化防止能力を有し、昇華、揮発が少なく、かつ使用時の作業性など取り扱いやすく、粉塵の発生が少ない結晶性の物質として得られることを見出し、問題を解決するに至った。
【0006】
本発明者らは、4−tert−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルクロライド、シアヌル酸、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンでの反応生成物を脂肪族炭化水素の存在下、結晶化することにより、Cu−Kα線による粉末X線回折分析において、回折角(2θ±0.1°)7.1°、9.9°、12.1°、14.2°、15.5°、16.4°、17.7°、21.7°に回折ピークを示す式(1)で示される1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンであって、そのパウダーテストによる圧縮度が平均25〜30である結晶粉末が得られることを見出した。
【0007】
さらに、本発明者らは、本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンのCu−Kα線による粉末X線回折分析を行った。その結果、粉末X線回折分析において、回折角(2θ±0.1°)7.1°、9.9°、12.1°、14.2°、15.5°、16.4°、17.7°、21.7°に回折ピークを有する結晶性の良い物質(図1がその粉末X線回折図である)であることを見出した。
【0008】
本発明者らは、本発明の1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンの結晶性粉末のパウダーテストによる圧縮度を測定した結果、平均25〜30であり、従来のメタノールを用いた同一化合物の結晶性微粉末が38〜43であるのに対して低い値を示し、流動性の高い結晶であることを見出した。
通常、パウダーテストによる圧縮度は、流体の流動性と最も深い因子として知られており、その測定値が小さいほど流動性が良いとされており、圧縮度が40以上の粉体は、流動性が悪いとされている。このことから、本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンは、従来のメタノールを用いた1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンより流動性が良いことは明らかである。
【0009】
本発明の1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを結晶化に用いる脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖系;2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルへキサン、3−メチルへキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、2−メチルへプタン、3−メチルへプタン、4−メチルへプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2−メチルオクタン、4−エチルヘプタン、2,3−ジメチルヘプタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、3,3,5−トリメチルヘプタン、2,2,3,3−テトラメチルヘキサン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン等の分岐系;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの環状系;また、市販されている工業品の混合溶媒、例えば、エクソン化学のアイソパー類等を挙げることができ、単独および混合溶媒で用いることができる。さらに、水およびメタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジオキサン、ジブチルエーテル、エチルイソアミルエーテル、エチルフェニルエーテルなどのエーテル類;トルエン、エチルベンゼン、クメン、o−シメン、p−シメン、m−シメン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、t−ブチルベンゼン、1−ブチル−4−メチルベンゼン、1−ブチル−2−メチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどのカルボン酸エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;四塩化炭素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの有機ハロゲン化物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キノリン、n−ブチルアミン、2−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類との混合溶媒として用いることもできる。これらは常圧下に限らず、減圧下、または加圧下で用いることもできる。
溶媒の使用量および混合割合は、結晶が完全に溶解しないこと以外は、特に制限されるものではないが、当然、収率は、溶解度に大きく影響される。
【0010】
本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンよりなる酸化防止剤を配合できる有機物質としては、樹脂組成物、天然ゴム、合成ゴム、繊維、石油類(鉱油、合成油、潤滑剤など)、紙など固体状、油脂、石鹸などのワックス状あるいは液状の有機物質を挙げることができる。樹脂組成物の例示としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル(エチル)共重合体、ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート(PC)、PC・ABSアロイ、PC・PETアロイ、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
【0011】
本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンは、それのみで樹脂等の有機物質に添加しても有効な酸化防止性が得られるが、その品質の劣化を防止できる従来公知の酸化防止剤、光安定剤とを併用することができる。併用可能な酸化防止剤として例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−4,6−ジメチルフェノール、2,6−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチル−ウンデカ−1′−イル)−フェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチル−トリデカ−1′−イル)−フェノールおよびそれらの混合物;2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびそれらの混合物;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペートおよびそれらの混合物;2,4−ビス−オクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等および2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、エチレングリコールビス[3,3′−ビス(3′−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)ブチレート]等ならびに1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−フェノール等を挙げることが出来る。
【0012】
併用可能な光安定剤として例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2′−オクチルオキシカルボニルエチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール類;4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2′,4′−トリヒドロキシ−、2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−または4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;4−tert−ブチルフェニル サリシレート、フェニル サリシレート、オクチルフェニル サリシレートなどのサレシレート類;ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイルレゾルシノール)、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルレゾルシノールなどのレゾルシノール類;3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;エチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレートなどのアクリレート類;メチル α−カルボメトキシシンナメート、メチル α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメートなどのシンナメート類;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペートなどの酸エステル類;4,4′−ジオクチルオキシオキザニリド、2,2′−ジエトキシオキシオキザニリド、2,2′−ジオクチルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキザニリド、2,2′−ジドデシルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキザニリド、2−エトキシ−2′−エチルオキザニリド、N,N′−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキザニリド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2′−エトキシオキザニリドなどのオキザリニド類;2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン類等が挙げられる。
【0013】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
Cu−Kα線による粉末X線回折分析は、マックサイエンス製TFD−18kWを用いて、対陰極Cu−Kα(1.5405Å)、40kV−50mA、走査速度2.000°/min.の条件で行った。また、粉末X線回折分析による回折角(2θ)は同一結晶型のものであれば、±0.1°程度の誤差で一致するものであるので、結晶変態の違いを明確に示すものであり、回折線の相対強度は、測定試料の粒径により、強度比が変化することがある。
パウダーテストは、ホソカワミクロンパウダーテスターTYPE−Eを使用し、見掛比重の測定に、直径5cmの100cc円柱容器を使用した。
ゆるめ見掛比重の測定操作は、容器に粉体を山盛りになるまで静かに充填し、容器面より上にある余分な粉体をすり切って重量を測定した。ゆるめ見掛比重は、このときの粉体の重量(g)÷100で求めた。
【0014】
かため見掛比重は、ゆるめ見掛比重の時と同様に粉体を充填し、タッピングを180回行った後、容器面より上にある余分な粉体をすり切って重量を測定した。かため見掛比重は、このときの粉体の重量(g)÷100で求めた。また、圧縮度をゆるめ見掛比重をA、かため見掛比重をPとし、下記式より算出した。
圧縮度=100(P−A)/P
【0015】
酸化防止剤の評価方法としては、JIS K 7212に基づき、酸化防止剤と樹脂を混練し、試験片を作製して、循環式空気炉の耐熱老化試験機にて耐熱老化性を測定した。
劣化の判断基準として150℃に保たれた循環式空気炉の耐熱老化試験機内に、縦65mm、横35mm、厚さ0.5mmの試験片を置き、黄変脆化となった時点で劣化とし、それまでに要した時間で評価した。
耐熱老化試験機は、スガ試験機(株)製ギヤー老化試験機TG−216を用いた。
【0016】
実施例1
撹拌付き容器に4−tert−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルクロライド67.6g(0.3mol)、シアヌル酸12.9g(0.1mol)、200mlのジメチルホルムアミドを混合撹拌した混合物に、トリエチルアミン30.4g(0.3mol)を滴下した。120℃で20時間混合撹拌し、ベンゼン150mlと水150mlとを添加すると2液層に分離した。ベンゼン層を水洗し、熱濾過清澄し、脱水後ベンゼンを留去し、200mlのシクロヘキサンに置換した。10gの活性炭で脱色し、熱濾過後晶析冷却を行うことにより、49g(79%)の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンが得られた。また、得られた結晶のCu−Kα線による粉末X線回折分析の結果は、図1に示す通り、回折角(2θ±0.1°)7.1°、9.9°、12.1°、14.2°、15.5°、16.4°、17.7°、21.7°に明確な回折ピークを有する結晶性の物質であることを示した。
さらに、得られた乾燥結晶について、パウダーテストによる圧縮度の測定結果は28であった。
【0017】
比較例1
撹拌付き容器に4−tert−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルクロライド67.6g(0.3mol)、シアヌル酸12.9g(0.1mol)、200mlのジメチルホルムアミドを混合撹拌した混合物に、トリエチルアミン30.4g(0.3mol)を滴下した。120℃で20時間混合撹拌し、ベンゼン150mlと水150mlとを添加すると2液層に分離した。ベンゼン層を水洗し、熱濾過清澄し、脱水後ベンゼンを留去し、200mlのメタノールに置換した。10gの活性炭で脱色し、熱濾過後晶析冷却を行うことにより、50g(81%)の1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンが得られた。また、得られた乾燥結晶について、パウダーテストによる圧縮度の測定結果は40であり、粉体の流動性が悪いことを示した。
【0018】
実施例2
未安定化ポリプロピレン粉末に、実施例1で得られた結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを0.034重量%添加し、ミキサーで窒素雰囲気下にて十分混合した。次いで、スクリュー型押出機をもちいて210℃で押し出し、ペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットを185℃で厚さ0.5mmのシートに圧縮成形して65×35mmの試験片を作成し、循環式空気炉の耐熱老化試験機{スガ試験機(株)製}にて耐熱老化性を測定した。耐熱老化性は、150℃に保たれた循環式空気炉の耐熱老化試験機内で試験片を加熱して、酸化劣化によって黄変脆化するまでの所要時間を測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004365565
<耐熱老化試験機の運転条件>
空気置換回数 5回/時間
サンプル棚回転速度 7r.p.m.
表1に示した耐熱老化試験結果より、本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを配合した合成樹脂は、優れた耐熱老化性(酸化劣化時間の延長)を示すことが明らかである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンは、優れた酸化防止能力を有し、昇華、揮発が少なく、かつ、使用時の作業性等取り扱いやすく、粉塵の発生も少なく、有機合成樹脂の酸化防止剤として優れた効果を示し、それを含む合成樹脂成形品は、高い酸化安定性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得た本発明の結晶性1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンのX線回折パタ−ンである。

Claims (4)

  1. Cu−Kα線による粉末X線回折分析において、回折角(2θ±0.1°)7.1°、9.9°、12.1°、14.2°、15.5°、16.4°、17.7°、21.7°に回折ピークを示す下記式(1)で示される1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンであって、そのパウダーテストによる圧縮度が平均25〜30である結晶粉末
    Figure 0004365565
  2. 請求項1記載の1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン結晶粉末を含有することを特徴とする酸化防止剤。
  3. 請求項記載の酸化防止剤を有機合成樹脂に配合せしめたことを特徴とする樹脂組成物。
  4. 請求項記載の樹脂組成物を成形することにより得られたことを特徴とする樹脂成形品。
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