JP4365044B2 - ドア用ウェザーストリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドア外周に沿って取付けられ、ドア閉時にボディとの隙間をシールするドア用ウェザーストリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すように、自動車のドアDの外周にはそれに沿って、ドア用ウェザーストリップが取付けられていて、ドア閉時にはボディBとドアDとの隙間をシールするようになっている。
ドア用ウェザーストリップは、図4乃至図7に示すように、取付基部10の車内側及び車外側に中空シール部20及びシールリップ部30がそれぞれ一体成形されたものであり、ドアD閉時には、それら中空シール部20とシールリップ部30がボディBに弾接するようになっている。
【0003】
図4及び弾接によりその形状が変形した様子を示す図5には、いわゆるベンディングタイプのものを示し、図6及び弾接によりその形状が変形した様子を示す図7には、いわゆるコンプレッションタイプのものを示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前者のベンディングタイプのドア用ウェザーストリップは、中空シール部20の断面形状が舌状で、先細であるため、先端付近でしかシールが行われない。そのため、十分なシール巾Sを確保することができないので、防音性や水密性が悪化する要因になっていた。特に、ヒンジ部のシールの乗り変わり部や、ヒンジ当り部においてはシール巾の低下が著しい。
そこで従来は、図示は省略するが、中空シール部20のラップ代(ドアを閉じた際の中空シール部の撓み量)を増加させたり、中空シール部20の高さを高くするように断面形状を変化させる必要があった。
また、ベンディングタイプのドア用ウェザーストリップは、図4に示すように、ボディBに対する中空シール部20の当たり始めの位置Mと屈曲位置Nとの角度θが大きいため、ドア閉時に圧縮荷重が急激に変化してドア閉じ性が悪いという問題もあった。
【0005】
一方、後者のコンプレッションタイプのドア用ウェザーストリップは、断面形状が円状で十分なシール巾を得られるが、図7に示すように、撓みによりボディに当たらず隙間Qが発生する場合がある。
また、ヒンジ部のシールの乗り変わり部においては、中空シール部20のシール面が、図7に示す位置から、シールリップ部30側に変化するためシールが不十分になるといった問題があった。
【0006】
特に、図3に示すような、ドア外周に沿う一本回しのもの、すなわち押出成形されたドア用ウェザーストリップのその両端部がドア後端上部において一箇所(黒塗りした部分)Pだけ型成形されたものについては、生産性、コストの点から断面形状があまり変化しない方が望ましい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ベンディングタイプとコンプレッションタイプとの中間的な断面形状を設定することにより、ドア全周に渡りシール性の確保とドア閉じ性能の向上を図るドア用ウェザーストリップを提供することにある。
また他の目的は、そのようなドア用ウェザーストリップをドア外周に同一の断面形状で配することにより生産性の向上を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のドア用ウェザーストリップは、ドア(D)外周に沿って取付けられた基底部(43)と,
基底部(43)の車内側及び、車外側に垂設された第一柱壁(41)及び、第一柱壁(41)よりも長さの長い第二柱壁(42)と,
第一柱壁(41)と第二柱壁(42)とを連結する連結壁(44)と,
連結壁(44)の車外側に一端が接続され、外側に向けて膨出湾曲した車外側壁(51)と,
連結壁(44)の車内側に一端が接続され、第一柱壁(41)に略直角方向に延びる車内側壁(53)と,
車外側壁(51)の他端と車内側壁(53)の他端との間に接続されるとともに、外側に向けて膨出湾曲し、ドア(D)閉時にボディ(B)に弾接する当接壁(52)と,及び、
第二柱壁(42)と連結壁(44)との接続部位から延設され、ドア(D)閉時にボディ(B)に弾接するシールリップ部(60)と,を備え、
車外側壁(51)と当接壁(52)とを略同一の肉厚にするとともに壁の長さを当接壁(52),車外側壁(51),連結壁(44),車内側壁(53)の順に短くなるように設定し、車内側壁(53)の長さを第一柱壁(41)の長さと略同一にし、しかも、当接壁(52)と車内側壁(53)との接続部位(X)を薄肉とし、さらに車内側壁(53)に対して当接壁(52)を略直角に位置するように形成して、
前記ドア(D)閉時に、当接壁(52)を略直線状に弾性変形させ、当接壁(52)が弾接するボディ(B)の面に対して略平行になるようにし、
さらに、ドア(D)のヒンジ部において、車内側壁(53)の肉厚を、連結壁(44),車外側壁(51),当接壁(52)よりも薄くしたことを特徴とする。
【0009】
また請求項2に記載の発明は、車外側壁(51)と当接壁(52)との接続部位(Y)を薄肉としたことを特徴とする。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載のドア用ウェザーストリップは、断面が同一に押出成形された、ドア(D)外周に沿う一本回しのもので、両端部が一箇所(P)で型成形されたものであることを特徴とする。
【0012】
なお括弧内の記号は、図面および後述する発明の実施の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、中空シール部を構成する壁の長さを当接壁,車外側壁,連結壁,車内側壁の順に短くなるようし、当接壁と車内側壁との接続部位を薄肉とし、さらに車内側壁に対して当接壁を略直角に位置するように形成し、ドア閉時には、当接壁は、略直線状になるように弾性変形し、その当接壁が弾接するボディの面に対して略平行になるようにしたので、当接壁はその全体がボディに密着する。よって、当接壁とボディとの間に、図7で示したような隙間Qを生じさせることはなく、優れたシール性が得られる。
【0014】
また、連結壁の車内側に第一柱壁と略同じ長さの車内側壁を設け、さらにボディとの弾接時に屈曲点となる、車内側壁と当接壁との接続部位を薄肉にしてあるので、ボディに対する中空シール部の当たり始めの位置と接続部位との角度は、その接続部位がボディに近づくことにより、図4で示した従来例と比較して小さくなる。
よって、その分、ドア閉時に圧縮荷重が急激に変化することが防止され、ドア閉じ性が改善される。
なお、ヒンジ部のシールの乗り変わり部に使用した場合には、弾接面が、当接壁から車外側壁に変わるが、コンプレッションタイプのドア用ウェザーストリップに比して、当接壁側と車外側壁側とのシール機能の差は大きくないので、車外側壁によれば、ベンディングタイプのドア用ウェザートリップの車外側壁と同程度に十分シールしうる。
さらに、ドアのヒンジ部において、車内側壁の肉厚を、連結壁,車外側壁,当接壁よりも薄くしたので、弾接時に当接壁の屈曲を一層容易にすることができる。
【0015】
このように、本発明のドア用ウェザーストリップは、従来のベンディングタイプとコンプレッションタイプとの中間的な断面形状を設定するものであるので、両者の利点を有するとともに、両者の欠点を軽減するものである。
【0016】
また請求項2に記載の発明によれば、車外側壁と当接壁との接続部位を薄肉としたので、その接続部位を確実に屈曲点として機能させることができる。
【0018】
また請求項3に記載の発明によれば、上述したようなドア用ウェザーストリップを、ドア外周に沿う一本回しとして使用するので、その製造には同一の断面で押出成形すればよく、生産性が向上し、コストの低廉が図れる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るドア用ウェザーストリップがボディに弾接する前の状態,図2は弾接した後の状態の断面をそれぞれ示している。
本発明の実施の形態に係るドア用ウェザーストリップは、従来例で示したもの(図4,図6)と同様に自動車のドアDの外周に沿って取付けられた取付基部40と、その取付基部40の車内側及び車外側に一体成形され、ドアD閉時には、ボディBに弾接する中空シール部50及びシールリップ部60とからなる。
【0020】
取付基部40は、中央に中空部40aが形成されたもので、ドア外周のサッシュに嵌め込まれる断面略直線状の基底部43と、その基底部43の車内側から垂設された第一柱壁41と、同じく基底部43の車外側から垂設された第二柱壁42と、第一柱壁41と第二柱壁42とを連結する連結壁44からなり、第二柱壁42の長さ(高さ)は第一柱壁41の長さ(高さ)の約2倍にしてある。なお、連結壁44は、後述する中空シール部50の車外側壁51と当接壁52との接続部位Yに向けて膨出湾曲させてあり、シールリップ部60が強い外圧(例えば高水圧)を受けても耐え得るようにしてある。
シールリップ部60は、第二柱壁42と連結壁44との接続部位から延設され、また中空シール部50は連結壁44の車内側に一体成形されている。
【0021】
中空シール部50は、車外側壁51と、当接壁52と、車内側壁53、及び連結部44とで囲まれてなる。
車外側壁51は、連結壁44の車外側、より詳細にはシールリップ部60の付け根部が接続される部位よりも車内側に、その一端が接続され、シールリップ部60側に向け(図1において左上側)外側に膨出湾曲している。
当接壁52は、車外側壁51の他端と後述する車内側壁53の他端との間に接続され、車外側壁51とは逆側に向け(図1において右下側)外側に膨出湾曲している。ヒンジ部以外においては、ドア閉時にはこの当接壁52がボディBに弾接するようになっている。
また、車内側壁53は、連結壁44の車内側に一端が接続され、第一柱壁41に対して略直角方向、すわなち、基底部43と略平行に延びている。
【0022】
車外側壁51と当接壁52の肉厚は、略同一にしてある。また、壁の長さは、当接壁52,車外側壁51,連結壁44,車内側壁53の順に短くなるように設定してあり、車内側壁53の長さは、第一柱壁41の長さと略同一に設定してある。しかも、当接壁52と車内側壁53との接続部位Xはノッチを設けることにより、当接壁52の他の部位や車内側壁53の他の部位に比して薄肉にしてある(特に、ノッチを設けることなく、肉厚だけを薄くしてもよい)。さらに車内側壁53に対して当接壁52の車内側壁53側の端部は、略直角に位置するように形成してある。
【0023】
これにより、ドア閉時には、当接壁52は、図2に示すように、略直線状になるように弾性変形し、その当接壁52が弾接するボディBの面に対して略平行になる。
したがって、当接壁52はその全体がボディBに密着するので、ボディBとの間に、図7で示したような隙間Qを生じさせることはなく、優れたシール性が得られる。
【0024】
また、連結壁44の車内側に第一柱壁41と略同じ長さの車内側壁53を設け、さらにボディBとの弾接時に屈曲点となる、車内側壁53と当接壁52との接続部位Xを薄肉にしてあるので、図1に示すように、ボディBに対する中空シール部50の当たり始めの位置Mと接続部位Xとの角度θは、接続部位XがボディBに近づくことにより、図4で示した従来例と比較して小さくなる。
よって、その分、ドア閉時に圧縮荷重が急激に変化することが防止され、ドア閉じ性が改善される。
【0025】
また、車外側壁51と当接壁52との接続部位Yは、車外側壁51の他の部位や当接壁52の他の部位に比して薄肉に設定してあり、屈曲点として確実に機能するようにされている。同様の理由から、連結壁44と車外側壁51との接続部位Zも薄肉に設定してある。
【0026】
このようなドア用ウェザーストリップを、図3で示したように、ドア外周に沿う一本回しのもの(その両端部は、フロントドアにおいては、ドア後端上部において一箇所で型成形されている。又、リヤドアの場合には、ドア前端上部において一箇所で型成形されている。)にした場合には、同一の断面で押出成形すればよいので、生産性が向上し、コストの低廉が図れる。
なお、ヒンジ部のシールの乗り変わり部においては、弾接面が、当接壁52から車外側壁51に変わるが、コンプレッションタイプのドア用ウェザーストリップに比して、当接壁52側と車外側壁51側とのシール機能の差は大きくないので、車外側壁51によれば、ベンディングタイプのドア用ウェザートリップの車外側壁と同程度に十分シールしうる。
【0027】
また、シール巾の低下が目立つドアDのヒンジ部において、特に、車内側壁53の肉厚を、連結壁44,車外側壁51,当接壁52よりも薄くして、当接壁52の屈曲を一層容易にするようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のとおり請求項1に記載の発明によれば、ドア閉時には、当接壁は、略直線状になるように弾性変形し、その当接壁が弾接するボディの面に対して略平行になるようにしたので、当接壁はその全体がボディに密着する。よって、当接壁とボディとの間に、図7で示したような隙間Qを生じさせることはなく、優れたシール性が得られる。
【0029】
また、連結壁の車内側に第一柱壁と略同じ長さの車内側壁を設け、さらにボディとの弾接時に屈曲点となる、車内側壁と当接壁との接続部位を薄肉にしてあるので、ボディに対する中空シール部の当たり始めの位置と接続部位との角度は、その接続部位がボディに近づくことにより、図4で示した従来例と比較して小さくなる。
よって、その分、ドア閉時に圧縮荷重が急激に変化することが防止され、ドア閉じ性が改善される。
さらに、ドアのヒンジ部において、車内側壁の肉厚を、連結壁,車外側壁,当接壁よりも薄くしたので、弾接時に当接壁の屈曲を一層容易にすることができる。
【0030】
また請求項2に記載の発明によれば、車外側壁と当接壁との接続部位を薄肉としたので、その接続部位を確実に屈曲点として機能させることができる。
【0032】
また請求項3に記載の発明によれば、上述したようなドア用ウェザーストリップを、ドア外周に沿う一本回しとして使用するので、その製造には同一の断面で押出成形すればよく、生産性が向上し、コストの低廉が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るドア用ウェザーストリップを示す拡大断面図であり、図3のA−A線拡大断面図に相当する図である。
【図2】図1のドア用ウェザーストリップの形状が変形した様子を示す拡大断面図である。
【図3】ドアに取付けられたドア用ウェザーストリップを示す側面図である。
【図4】従来例に係るドア用ウェザーストリップを示す拡大断面図であり、図3のA−A線拡大断面図に相当する図である。
【図5】図4のドア用ウェザーストリップの形状が変形した様子を示す拡大断面図である。
【図6】もう一つの従来例に係るドア用ウェザーストリップを示す拡大断面図であり、図3のA−A線拡大断面図に相当する図である。
【図7】図6のドア用ウェザーストリップの形状が変形した様子を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 取付基部
20 中空シール部
30 シールリップ部
40 取付基部
40a 中空部
41 第一柱壁
42 第二柱壁
43 基底部
44 連結壁
50 中空シール部
51 車外側壁
52 当接壁
53 車内側壁
60 シールリップ部
B ボディ
D ドア
M 当たり始めの位置
N 屈曲位置
P 型成形部
Q 隙間
S シール巾
X 当接壁52と車内側壁53との接続部位
Y 車外側壁51と当接壁52との接続部位
Z 連結壁44と車外側壁51との接続部位
θ 角度

Claims (3)

  1. ドア外周に沿って取付けられた基底部と,
    該基底部の車内側及び、車外側に垂設された第一柱壁及び、第一柱壁よりも長さの長い第二柱壁と,
    前記第一柱壁と第二柱壁とを連結する連結壁と,
    該連結壁の車外側に一端が接続され、外側に向けて膨出湾曲した車外側壁と,
    連結壁の車内側に一端が接続され、前記第一柱壁に略直角方向に延びる車内側壁と,
    前記車外側壁の他端と車内側壁の他端との間に接続されるとともに、外側に向けて膨出湾曲し、ドア閉時にボディに弾接する当接壁と,及び、
    前記第二柱壁と連結壁との接続部位から延設され、ドア閉時にボディに弾接するシールリップ部と,を備え、
    前記車外側壁と当接壁とを略同一の肉厚にするとともに壁の長さを当接壁,車外側壁,連結壁,車内側壁の順に短くなるように設定し、車内側壁の長さを前記第一柱壁の長さと略同一にし、しかも、当接壁と車内側壁との接続部位を薄肉とし、さらに車内側壁に対して当接壁を略直角に位置するように形成して、
    前記ドア閉時に、当接壁を略直線状に弾性変形させ、当接壁が弾接するボディの面に対して略平行になるようにし、
    さらに、前記ドアのヒンジ部において、前記車内側壁の肉厚を、前記連結壁,車外側壁,当接壁よりも薄くしたことを特徴とするドア用ウェザーストリップ。
  2. 前記車外側壁と当接壁との接続部位を薄肉としたことを特徴とする請求項1に記載のドア用ウェザーストリップ。
  3. 前記請求項1又は2に記載のドア用ウェザーストリップは、断面が同一に押出成形された、前記ドア外周に沿う一本回しのもので、両端部が一箇所で型成形されたものであることを特徴とするドア用ウェザーストリップ。
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