JP4364605B2 - 建設機械のトラックフレーム製造方法 - Google Patents
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Description
また走行体は、センタフレームと、その両側に設けられた一対のサイドフレームよりなるトラックフレームを有していて、センタフレーム上に旋回装置を介して旋回体が設置されており、サイドフレームの前後に設けられたアイドラとスプロケットの間に履帯が捲装されている。
内輪は内周面に内歯ギヤが形成されていて、旋回体側に設置された旋回モータの回転軸に取り付けられたピニオンが内歯ギヤと噛合されており、旋回モータによりピニオンを回転駆動することにより、走行体に対して旋回体を旋回できるようになっている。
このため岩盤掘削等の過酷な条件下における作業時には、トラックフレームの丸胴部分に過大な応力が発生し、特にセンタフレームと丸胴の溶接部分にこの過大な応力が集中的に作用するため、従来では肉盛溶接によりセンタフレームと丸胴の溶接部分の強度を高める等の対策をしている。
しかしこの肉盛溶接は、溶接が複数行程に及ぶため、作業に多くの工数を必要とする問題がある。
すなわち凹湾曲部は、Rが大きくなるほど応力が分散されるため、局部的に集中する応力の分散が図れるが、前記特許文献1のように凹湾曲部のRを大きく取れないものでは、集中応力の緩和が図れない問題がある。
また前記製造方法により得られたトラックフレームは、丸胴とセンタフレームの溶接部から凹湾曲部のRが始まる従来のトラックフレームに比べて凹湾曲部のRを大きくできるため、作業中に発生した掘削反力により丸胴に過大な応力が作用しても、丸胴とセンタフレームの溶接部に集中する応力を緩和することができ、これによって過大な集中応力により溶接部に亀裂が発生したり、溶接部より丸胴が破損するのを未然に防止することができる。
図1は油圧ショベルの側面図、図2は作業機を取り外した状態の油圧ショベルの正面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4は丸胴に形成された凹湾曲部の拡大断面図である。
図1に示す油圧ショベルは、自走自在な走行体1と、走行体1上に旋回装置2を介して旋回自在に設置された旋回体3とよりなる。
走行体1は、センタフレーム4aと、その両側に互に平行するよう設けられた一対のサイドフレーム4bよりなるトラックフレーム4を有していて、各サイドフレーム4bの一端側にはアイドラ6が前後移動自在に支承されており、他端側には油圧モータよりなる走行モータ7により回転駆動されるスプロケット8が設けられている。
アイドラ6とスプロケット8の間には無端状の履帯9が捲装されていて、この履帯9をスプロケット8で駆動することにより、走行体1が自走できるようになっていると共に、サイドフレーム4bの上下部には、複数の転輪10が回転自在に支承されている。
作業機11は図1に示すように、基端が車体フレーム3aに枢着され、ブームシリンダ12により起伏自在なブーム13と、ブーム13の先端に基端側が枢着され、アームシリンダ14により回動自在なアーム15と、アーム15の先端に枢着され、バケットシリンダ16により回動自在なバケット17とより構成されている。
車体フレーム3aの前部には、作業機11の側方に運転室18が設置され、車体フレーム3aの後部には、ボンネットカバー19aにより覆われたエンジン室19が設置されていて、このエンジン室19内に動力用のエンジン(図示せず)が収容されており、車体フレーム3aの後端にはカウンタウエイト20が取り付けられている。
トラックフレーム4の丸胴4cは、鋼板や鋳鋼により円筒状に形成されていて、トラックフレーム4のセンタフレーム4a上に次のように固着されている。
丸胴4cの下端部には、図3に示すように外周側へ突出するフランジ4dが形成されており、フランジ4dの外周面がセンタフレーム4aの上面中央に開口された開口部4eの内周面に溶接されている。
フランジ4dの外周側の肉厚tは、センタフレーム4aの上面板4fとほぼ同一となっていて、上面板4fの上面に連続するフランジ4dの上面は、丸胴4cの半径方向に向かって角度α1で順次高くなるよう傾斜する直線よりなる第1湾曲部5aが形成されている。
そして第1湾曲部5aの上端は、凹湾曲部5全体のRを構成する第2湾曲部5bの下端に連続しており、第2湾曲部5bの上端は、直線または緩い曲線よりなる第3湾曲部5cの下端に連続している。
第3湾曲部5cの上端は丸胴4cの外周面に達していて、丸胴4cの外周面に対して角度α2で丸胴4cの外周面に連続しており、第1、第2、第3湾曲部5a、5b、5cにより形成された凹湾曲部5は、図3の実線で示すように直線と曲線の組み合わせ、もしくは緩い曲線と曲線の組み合わせによって全体が構成されている。
なお比較のため従来(特許文献1)の凹湾曲部を仮想線で示す。
外輪2dは固着具2fにより旋回体3の車体フレーム3a底面に固着されていると共に、内輪2aの内周面には内歯ギヤ2gが形成されていて、旋回体3側に設置された旋回モータの回転軸に取り付けられたピニオン(ともに図示せず)がこの内歯ギヤ2gに噛合されており、旋回モータによりピニオンを回転駆動することにより、走行体1に対して旋回体3が旋回されるようになっている。
走行体1を構成するトラックフレーム4の製作に当たっては、センタフレーム4aの中央部に丸胴4cを、そして両側にサイドフレーム4bを溶接することによりトラックフレーム4全体を製作するが、センタフレーム4aに丸胴4cを溶接した後、丸胴4cの外周面に凹湾曲部5を切削加工する。
凹湾曲部5は前述したように第1、第2、第3湾曲部5a、5b、5cにより構成されていて、これら第1、第2、第3湾曲部5a、5b、5cは、数値(NC)制御される縦型旋盤等の工作機械を使用して高精度で切削加工しているが、切削する順番は、まず直線よりなる第1湾曲部5aを切削し、次に第1湾曲部5aを基準に第2、第3湾曲部5b、5cを順次切削加工していくが、切削順位はこれに限定されることはない。
これによって従来のトラックフレーム(特許文献1)に比べて、丸胴4cの肉厚を増加させることができる。
さらに凹湾曲部5の応力の集中を抑制するため、第1、第2、第3湾曲部5a、5b、5cを切削加工した後、凹湾曲部5全体を研摩して、表面粗度の改善を図っている。
油圧ショベルのような建設機械は、主として掘削作業を行うことが多いが、岩盤掘削や岩盤破砕のような過酷な作業等を行う場合には、過大な掘削反力が作業機11に加わることがある。
作業機11に加わった過大な掘削反力は、旋回装置2を介して旋回体3を支持するトラックフレーム4の丸胴4cに作用する。
このため丸胴4cとセンタフレーム4aの溶接部に応力が集中して発生することになるが、丸胴4cの下部側外周面には、溶接部に集中する応力を分散する凹湾曲部5が予め切削加工されている。
この凹湾曲部5は、丸胴4cの下端部に形成されたフランジ4dの上面を、丸胴4cの半径方向に向かって順次高くなる傾斜面よりなる第1湾曲部5aに、凹湾曲部5の主要部を構成するRよりなる第2湾曲部5bを連続させて形成したことにより、従来のトラックフレームの丸胴に比べて凹湾曲部5全体のRを大きくとることができる。
凹湾曲部5のRを大きく取ることにより溶接部に集中する応力を分散させることができることは前述したが、これによって溶接部に応力が集中するのを緩和することができるため、集中応力により溶接部に亀裂が発生したり、溶接部が破損するのを未然に防止することができる。
また図6は、第1湾曲部5aと第2湾曲部5b及び第3湾曲部5cからなる凹湾曲部5の第1湾曲部5aを緩い曲線R1で、そして第3湾曲部5cを緩い曲線R2で形成した変形例を示しており、図7は、第1湾曲部5aと第2湾曲部5b、第3湾曲部5c及び第4湾曲部5dからなる凹湾曲部5の第1湾曲部5aを緩い曲線R1で、そして第3湾曲部5cを緩い曲線R2で形成した変形例を示すもので、何れの変形例でも前記実施の形態と同様に、凹湾曲部5のRを大きく取ることにより溶接部に集中する応力を分散させることができると共に、第2湾曲部5bのRを大きく形成しても、丸胴4cの特に最も過大な応力が発生する下部の肉厚が減少することがないため、丸胴4cの強度や剛性が低下することがなく、これによって過大な荷重により丸胴4c自体が破損するのを防止することができる効果が得られる。
3 旋回体
4 トラックフレーム
4a センタフレーム
4c 丸胴
4d フランジ
5 凹湾曲部
5a 第1湾曲部
5b 第2湾曲部
5c 第3湾曲部
Claims (1)
- トラックフレームを備えた走行体上に旋回体が旋回自在に設けられた建設機械のトラックフレーム製造方法において、前記トラックフレームのセンタフレームに、丸胴の下部に突設されたフランジを溶接する工程と、前記フランジ上面を前記丸胴の半径方向へ順次高くなる直線または緩い曲線によりテーパ状に切削することにより第1湾曲部を形成する工程と、前記第1湾曲部に連続するよう前記丸胴をR状に切削することにより第2湾曲部を形成する工程と、前記第2湾曲部に連続する直線または緩い曲線により前記丸胴の外周面に達するよう前記丸胴を切削することにより第3湾曲部を形成する工程とを備えたことを特徴とする建設機械のトラックフレーム製造方法。
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