JP4364388B2 - 芳香族環状カーボネート類混合物の製造法及び該芳香族環状カーボネート類混合物からの線状ポリカーボネート - Google Patents

芳香族環状カーボネート類混合物の製造法及び該芳香族環状カーボネート類混合物からの線状ポリカーボネート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂よりI)1)良好収率で、2)反応性良好な芳香族環状カーボネート類混合物を製造する方法、II)該方法により製造された品質良好で反応性良好な芳香族環状カーボネート類混合物、III)該芳香族環状カーボネート類混合物より、3)反応性良好に、4)色調、耐熱劣化性、耐加水分解性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂を与える重合方法を提供するものであり、IV)ならびにそれによって得られた品質良好な芳香族ポリカーボネート樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来知られていた芳香族環状カーボネート類の製造方法としては米国特許第4,644,053号公報、Macromolecules 1991,Vol.24 p3035−3044、あるいは特公平7−3751号公報に記載されているようにモノ、またはオリゴカーボネートのビスクロロフォーメートを加水分解、縮合する方法、あるいはオリゴカーボネートのモノクロロフォーメートを環化させ製造する方法が提案されている。これらの製造方法は、それぞれ操作の簡便性、目的物の収量の良非などの特徴を有している。
【0003】
しかしながら、いずれの方法にせよ、原料にクロロホーメート類を使用していることは共通している。すなわち、該クロロホーメート類を製造する時、いずれの方法にせよ、有毒なホスゲンを使用する必要があり、ホスゲンを使用しないでかかるクロロホーメート類を製造する有効な方法は存在しないのが現状である。従って現在環境に対する安全性の高まりの中、斯かる有毒なホスゲンの使用を前提とするこれらの方法は、環境安全上問題のあるプロセスであることに変わりない。
【0004】
また芳香族環状カーボネート類が、ポリカーボネートよりイオン的反応機構により熱分解的に生成するとの記述が、以下の文献に記載されている。
1)Foti etal.:J.Polym.Sci.Polymer Chemistry Ed,21 1567 (1983)
2)G.Montaudo,C. Puglisi,F.Samperi:Poly.Deg. And Stab.26 285 (1989)
3)G.Montaudo,C.Puglisi,R.Rapisardi、F.Samperi:Poly.Deg.And Stab,31 163 (1991)
【0005】
これらの記述に従えば、原理的にはホスゲンを使用しなくてもポリカーボネートより直接芳香族環状カーボネート類を入手可能である。しかしながら上記文献類に記述されている方法は、反応機構的なものであり、残念ながら、実際に芳香族環状カーボネートの合成、製造に使用できるまでに至っていない。
【0006】
またポリカーボネートより、芳香族環状カーボネート類の製造を記述したものとしては、Polym. Material Sci. Eng. Vol.67 457−458頁(1992)がある。上記文献によればポリカーボネート(PC)をテトラヒドロフラン(THF)中に0.25wt%濃度で溶解し、水酸化セシウム(CsOH)触媒の存在下、PC、触媒モル比;PC/CsOH=333、反応温度50℃で反応させ、芳香族環状カーボネートを最高収率72%で得ていることが記載されている。しかしながら、芳香族環状カーボネート類の収量を向上させるため、THF中のPC濃度を0.5%、1.0%、3%へと上昇させると、芳香族環状カーボネート収率はそれぞれ、67%、56%、39%と大幅に低下することが記載されている。
【0007】
ちなみに、最高収率を与える条件下、100L反応容器中にて、50Kgの溶媒を使用したとしても,反応に使用できるポリカーボネート量は125gに過ぎず、得られる芳香族環状カーボネート類の収量は高々99gに過ぎず、実用的な量で芳香族環状カーボネート類を製造する方法とはいえない。さらにまた、この反応で得られる芳香族環状カーボネート類の重合反応性も使用原料により、ばらつきがあり必ずしも良好なものではない。
【0008】
芳香族ポリカーボネートはその優れた、透明性、耐熱性などより、各種用途に広く使用されているが、現在その製造法としてはホスゲン及び塩化メチレン溶媒を使用する、界面重合法が広く採用されている。
【0009】
しかしながら上記ホスゲン、あるいは塩化メチレンの環境に対する負荷が問題となり、現在カーボネート結合プレカーサーとして炭酸ジエステル、とりわけジフェニルカーボネートを使用する溶融重合法、あるいは固相重合法が注目を浴びている。しかしながら溶融重合法、あるいは固相重合法により、高重合度ポリカーボネートを製造するためには高温度条件下で高真空条件を長時間持続する必要があり、かかる条件を満足するためは、大きな設備を必要とする。
【0010】
これに対し、芳香族環状カーボネートからのポリカーボネートの重合は、極めて簡便な条件下、すなわち、触媒の存在下、あるいは非存在下で、単に該芳香族環状カーボネートを200℃あるいはそれ以上で、数十分間、加熱するのみで行うことができ、極めて簡便に高重合度のポリカーボネートを得ることができる利点を有する。芳香族環状カーボネートからの高重合度ポリカーボネートの合成は上記Macromolecules 1991,24,3035〜3044頁などに記載されている。
【0011】
したがってかかる芳香族環状カーボネート類を安全にかつ収量良く、かつ反応性のよい芳香族環状カーボネート類を製造する方法が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、以下記述するように、不純物含有量が特定量以下であり、特定末端基構造を有し、かつ特定な分子量分布を有するポリカーボネートを原料として使用することにより、芳香族環状カーボネート類混合物を製造する反応における芳香族環状カーボネート類の収量を向上させうる事を見出した。さらにかかるポリカーボネートを原料として使用することにより、得られる芳香族環状カーボネート類の品質が良好であり、重合、ポリマー化する時、重合活性が良好であり、しかも得られた重合物ポリマーの物性、とりわけ、色調、耐熱劣化性、耐加水分解性が良好である事を見出した。
【0013】
すなわち本発明の第1の目的は芳香族ポリカーボネートを原料として収率良く、芳香族環状カーボネート類混合物を製造する方法を提供するものである。本発明のさらに他の目的は、重合時の活性が良好であり、色調、耐熱性、耐加水分解性の良好な重合物を与える芳香族環状カーボネート類混合物を提供することに有る。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、主たる繰り返し単位が下記式(1)
【0015】
【化2】
Figure 0004364388
【0016】
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、Wは、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のシクロアルキリデン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜10の置換基を有しても良いアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基もしくはスルホン基又は直接結合である。)であらわされる芳香族ポリカーボネートから、芳香族環状カーボネート類混合物を製造する方法において、該芳香族ポリカーボネートを溶媒中、アルカリ金属化合物触媒の存在下に反応させ、環状カーボネート類混合物を含有する反応溶液を製造する第一の工程、該反応溶液より芳香族環状カーボネート類混合物を分離する第二の工程よりなる。
【0017】
本明細書にいう芳香族環状カーボネート類混合物とは、カーボネートの環状二量体、環状三量体および高次環状体等の実質的に環状体より成る混合物との意味である。
【0018】
上記第一の工程における芳香族ポリカーボネートとして分子量、および分子量分布に関し
1)粘度平均分子量が10、000〜60、000であり、Mn;ポリスチレン換算数平均分子量、とMw;ポリスチレン換算重量平均分子量の比であるMw/Mnが2.0〜3.0のものが使用される。
【0019】
反応収率の観点よりは、粘度平均分子量は高い方が、線状オリゴマーの収量が低く、好ましいが、反応速度の点、さらに溶媒中への、ポリカーボネートの溶解性の点からは、分子量は低い方が、好ましい。したがって両観点のバランスより、粘度平均分子量としては、10,000から60,000のポリカーボネートが好ましく採用される。
【0020】
また、Mw/Mnの比の値は、芳香族環状カーボネート類混合物の品質の点において、重要である。すなわちこの値が大きい原料を使用した場合、理由不明であるが得られた芳香族環状カーボネート類中、構造不詳の不純物成分含有量が増大し、その結果、重合反応が良好に進行しないこと、あるいは該芳香族環状カーボネート類を重合したポリカーボネートの色調、耐加水分解性あるいは流動性が低下した不良ポリマーが得られることである。このMw/Mn値はポリカーボネートの分子量分布に関するパラメータであり、何ら不純物の有無を示唆するものでは無いので、上記結果は予想外のことである。強いて、想像すれば、Mw/Mn値が大きいことは、低分子量、あるいは高分子量の成分が多く含有される事を意味するので、かかる低分子量、あるいは高分子量のものが何らかの副反応にかかわっていると、推定される。
【0021】
即ち、Mw/Mn値は小さい方が、好ましいが、3.0より小さいと実用上問題が無い。またこの値の下限としては理論値として1が例示されるが、理論値のものは実際上入手不可能であり、1.5程度でも何ら差異は、認められない。ポリカーボネートの生成反応機構上の特徴から実際上はMw/Mn値は2.0以上のものの入手が容易であるが、さらに実際的には2.2程度であっても何ら問題無く使用できる。
【0022】
さらに不純物含有量に関しては
2)リン化合物含有量がリン元素として30ppm以下であり、かつ
3)水分含有量0.01wt%以下である原料ポリカーボネートを使用することにより本発明目的を実現すことが出来る。
【0023】
さらにまたより好ましい実施体様においては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、およびアルカリ(土類)金属以外の金属化合物の含有量が元素としてそれぞれ2ppm以下、リン、ハロゲン以外の非金属元素含有化合物の含有量が元素としてそれぞれ3ppm以下、ハロゲン含有量がハロゲン元素の合計量として30ppm以下であるポリカーボネートを使用することにより、アルカリ金属触媒による芳香族ポリカーボネートからの芳香族環状カーボネート生成反応が、十分速い反応速度で、進行するとともに、反応選択率、反応収率も良好なものと成る。
【0024】
本明細書において、これらの金属元素、非金属元素としては、例えば有機金属化学 −基礎と応用−山本明夫著に記載のような周期表の分類によるが、本発明においてとくに問題となる非金属元素としてはN、S、Se、B、Asであり、さらに主たる対象としてS、Nである。
【0025】
リン含有量に関しては、リン元素として30ppm以下の含有量のポリカーボネートを使用することが、芳香族ポリカーボネートからの芳香族環状カーボネート生成反応が十分に速い反応速度で進行するとともに、反応選択率、および反応収率も良好なものと成るために好ましい。
【0026】
リン化合物、特に亜燐酸エステル類は、市販ポリカーボネート中、酸化防止剤として、10〜1000ppm(リン元素として1〜100ppm)さらには、難燃剤としてさらにそれ以上までも添加されているので、かかるリン含量の多い原料ポリカーボネートからは、前もってリン分を除いて、リン元素として30ppm以下あるいは好ましくは、20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下特に好ましくは5ppm以下にしておくべきである。特に好ましくは1ppmあるいはそれ以下のものにしておくのが好ましい。
【0027】
芳香族ポリカーボネート中の水分含有量に関しては、水分含有量が0.01wt%を超えると生成する芳香族環状カーボネートの開環反応が優勢になり、得られた芳香族環状カーボネート中に好ましくない線状低重合体が混入するようになり、この結果、芳香族環状カーボネートの重合活性が不良となり、該芳香族環状カーボネート類混合物より製造されるポリカーボネートとしては、重合度(即ち固有粘度、あるいはこれより計算される粘度平均重合度)の低いものしか得られず、その上、色調、耐熱劣化性、耐加水分解性の低い不良水準のものが得られることと成る。
【0028】
ポリカーボネート中の含水量を0.01wt%範囲内にするには、例えば13×102Pa以下の真空条件下、110〜150℃の温度で1〜10hrの乾燥処理を行う事により容易に達成できる。
【0029】
ハロゲン量に関しては、ポリカーボネートがホスゲンや塩化メチレン溶媒を使用して製造されたものであるとき、クロロフォーメ−ト、あるいは塩化メチレン成分としてポリカーボネート中に通常1〜30ppm残存混入しており、アルカリ触媒を不活性化する効果を有する。したがってハロゲン元素の合計量は好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下、特に好ましくは5ppm以下の値にしておくことが好適である。1ppm以下であれば特段に好ましい。
【0030】
リン、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、およびアルカリ(土類)金属以外の金属元素、非金属元素、ハロゲン量等の不純物元素量を規定値あるいはそれ以下に低減するには、具体的には、ポリカーボネートをTHF等の非ハロゲン系溶媒に溶解し、希薄アルカリ水で常温、あるいは加温条件下、洗浄後、所望によってはキレート樹脂、イオン交換樹脂と接触させた後、沈殿溶媒例えばメタノールを添加し、ポリカーボネートを沈殿させ、回収する操作を、1回あるいは、数回繰返すことにより、リン、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、およびアルカリ(土類)金属以外の金属元素、非金属元素、ハロゲン量等の不純物元素量を上記範囲内に入るようにする事ができる。
【0031】
これら不純物の値が規定値を超えると、アルカリ触媒で、芳香族ポリカーボネートより芳香族環状カーボネートを生成する反応速度が遅くなるとともに、反応選択率、反応収率も低下して好ましい結果が得られないのみならず、得られる芳香族環状カーボネートの安定性が不良となり、保管中分解反応を起こしやすくなる。またこれらの芳香族環状カーボネートの色調も不良となり、反応性(重合速度)も不良のものと成る。
【0032】
金属化合物、非金属元素含有化合物としては、非共有電子対を有する化合物に配位する能力を有するもの、およびポリエチレンテレフタレートあるいはポリカーボネート製造時、エステル交換触媒としての活性を有するものが特に好ましくない。
【0033】
これらの金属、非金属元素を低減させる方法としては、例えば、前述したごとく、ポリカーボネート溶液を希薄アルカリ水溶液洗浄とカチオン交換樹脂処理を組み合わせ行うのが有効である。この処理によりポリカーボネート中のアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、およびアルカリ(土類)金属以外の金属化合物の元素含有量を2ppm以下、リン以外の非金属元素含有化合物量を容易に3ppm以下の値にできる。さらに数回繰返すことにより好ましくはそれぞれ1ppm、以下あるいはさらに好ましくは0.5ppm以下特に好ましくは0.1ppm以下にすることができる。
【0034】
分子末端基構造に関しては、該ポリカーボネート末端基が、実質的にアリールオキシ基及びフェノール性OH基よりなり、かつフェノール性OH基の含有量が5〜50モル%であるポリカーボネートを使用することが必須であり、かかるポリカーボネートを使用することにより、アルカリ触媒による芳香族ポリカーボネートからの芳香族環状カーボネート生成反応が順調に進行する。即ち反応を順調に進行するためにはフェノール性OH末端基含有量が適切な量含有されている必要性がある。
【0035】
OH末端基含有量が5モル%に満たないと、芳香族環状カーボネート生成反応の速度が小さく、反応進行に長時間を要し、この間に芳香族環状カーボネートが副反応を起こし、反応選択率、反応収率が低下してしまう。また末端OH基含有量が50%を超えるとポリカーボネートの反応速度は増加するが、得られた芳香族環状カーボネート中好ましくない線状低重合体が混入するようになり、重合活性が不良となり、かつまた該芳香族環状カーボネート類混合物より製造されるポリカーボネートの品質、とりわけ色調、耐熱劣化性、耐加水分解性の低い不良水準のものと成る。
【0036】
OH濃度が上記範囲を超えて多すぎるときには本発明者等が以前提案したアメリカ特許公報5,696,222号に記載のような特定サリチル酸エステルで処理する方法が有効である。該方法に従い、容易に目的OH基濃度に調節可能である。
【0037】
またOH基濃度が5モル%より低い場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のビスフェノール類、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシ化合物を好ましくは、エステル交換触媒の存在下、あるいは不存在下、溶融反応させることにより達成できる。
【0038】
本発明の更なる好ましい実施態様として、上記第一の工程において使用する溶媒が下記溶媒グループから選ばれる少なくとも一種よりなるポリカーボネート溶解性の溶媒であることが好ましい。すなわち溶媒グループとしては、エーテル化合物類、チオエーテル化合物類、ケトン化合物類、スルフォ化合物類、スルフォキシド化合物類、およびアミド化合物類系の活性水素を含有しない、常圧沸点300℃以下、かつ水分含有量が20ppm以下、溶解酸素量が10ppm以下のものが好ましく選択される。
【0039】
かかる溶媒の具体例としては、例えばチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、およびジフェニルエーテル等のエーテル化合物類、チオエーテル化合物類、アセトフェノン、シクロヘキサノン、およびアセトン等のケトン化合物類、N,N−ジメチルフォルムアミド、およびN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系化合物類等が例示される。これらの中ではジオキサン、テトラヒドロフランが好ましいものとして例示される。
【0040】
これら溶媒を反応溶媒として使用するには、溶媒中の水分、および溶存酸素量を低減せしめておくことが好ましい。水分含有量は低いほど好ましく、20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
【0041】
溶媒中の水分量を上記量に低下させるには、いわゆる脱水剤、例えば、カルシウムハイドライド、リチウムボロハイドライド等の金属水素化物を使用する方法も有るが、水分吸着剤、とりわけモレキュラーシーブによる方法が好適に芳香族環状カーボネート類混合物の収量を高めることができ好ましい。
【0042】
さらに該溶媒中の溶存酸素量を低下させておくことが、得られる芳香族環状カーボネート類混合物の重合活性を高め、さらに該芳香族環状カーボネート類混合物を重合して得られるポリカーボネートの色調、耐加水分解性を向上させるために好ましい。溶存酸素濃度を10ppmに低下させるには通常の脱気プロセスに従えば良い。溶存酸素濃度は、5ppm以下にすることがさらに好ましい。
【0043】
さらに好ましくは、上記第一の工程におけるアリカリ金属触媒の使用量を、上記(1)式で表される繰り返し単位1モルあたり1×10-6〜1×10-1当量とすることが好ましい。好ましくは1×10-6〜5×10-2当量、さらに好ましくは5×10-6〜1×10-2当量とすることを特徴とする。触媒量は少なすぎると、添加効果が無いことがあり、また多すぎると環状カーボネートの分解を引き起こすことがある。
【0044】
本発明で使用するアルカリ金属触媒の金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、およびルビジウムが例示されるが、反応速度、および収率の点より好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、およびセシウムが選択される。
【0045】
これらの元素の水素化物、炭化水素化合物、ボロヒドリド化合物、アルミニウムヒドリド化合物、アート錯体、酸化物、水酸化物、アルコラート、フェノラート、ビスフェノール塩、および1,3−ジケト錯体などが好ましく使用される。なおこれらのアルカリ金属化合物は、水分含有量の無いものが好ましい。
【0046】
具体的には例えばナトリウムヒドリド、カリウムヒドリド、ルビジウムヒドリド、セシウムヒドリド等の水素化物、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、ブチルリチウム、ベンジルカリウム、ベンジルセシウム、インデニルセシウム等の炭化水素化合物、ナトリウムボロヒドリド、カリウムボロヒドリド、セシウムボロヒドリド、ナトリウムアルミニウムヒドリド、カリウムアルミニウムヒドリド、セシウムアルミニウムヒドリド、等のボロヒドリド化合物、アルミニウムヒドリド化合物、ナトリウムテトラフェニルボレート、カリウムテトラフェニルボレート、セシウムテトラフェニルボレート等のアート錯体、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化ルビジウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム等の酸化物、水酸化物、ナトリウムメチラート、カリウムt−ブトキシド、セシウムプロポキシド、セシウムt−ブトキシド、ルビジウムエチラート、ナトリウムフェノラート、カリウムフェノラート、セシウム2,4−ジt−ブチルフェノラート、ビスフェノールAモノナトリウム塩、ビスフェノールAジナトリウム塩、ビスフェノールAジカリウム塩、ビスフェノールAモノセシウム塩、ビスフェノールAジセシウム塩等のビスフェノール塩、およびナトリウムアセチルアセトナート、カリウムアセチルアセトナート、ルビジウムアセチルアセトナート、セシウムアセチルアセトナート等の1,3−ジケト錯体が例示される。
【0047】
触媒の存在下、反応条件としては、反応温度は室温〜120℃、好ましくは30〜110℃、さらに好ましくは30〜100℃である。反応温度がこれより低くても反応は進行する。反応温度は低いほど反応選択率が高く好ましいが、反応速度の点からは、高い方が好ましい。しかし反応温度を高くすると反応選択率が低下してすることがある。反応選択率、反応速度の観点より、上記反応温度が好ましく選択される。
【0048】
反応時間は10分から5時間の範囲が選択される、反応時間は、ポリカーボネートの反応転化率を考慮して上記範囲内で、適宜選択される。
【0049】
上記第一の工程が終了した段階で、あるいは第二の段階において、芳香族環状カーボネート類混合物を含有するポリカーボネートの貧溶媒溶液が得られた段階で、アルカリ金属触媒は触媒不活性化剤により処理されるのが好ましい。触媒不活性化剤としては、カルボン酸、燐酸、酸性あるいは中性燐酸エステル、亜燐酸、酸性あるいは中性亜燐酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸アンモニウム塩、スルホン酸ホスホニウム塩が例示される。
【0050】
これら触媒不活性化剤の添加量はアルカリ金属触媒のアルカリ金属元素1当量あたり0.8〜20当量、好ましくは0.9〜10当量、さらに好ましくは、0.9〜5当量、特に好ましくは0.95〜2当量の範囲である。
【0051】
かかる触媒不活性化剤は、化学量論的には、アリカリ触媒1当量あたり1当量で十分なはずであるが不活性化能力に高低があり、それによって量を加減する。
【0052】
酸自体を添加する場合、基本的には1当量添加するのを基本とする。多すぎると環状カーボネートが分解し好ましくない。それに対しエステル、スルホン酸アンモニウム塩、スルホン酸ホスホニウム塩では、そのような悪影響は少ないので多く添加してもかまわない。
【0053】
これら触媒不活性化剤としては
ア)蟻酸、酢酸、酪酸、蓚酸、琥珀酸、アジピン酸、安息香酸、テレフタル酸等の低級カルボン酸類
イ)燐酸、燐酸トリメチル、燐酸ジブチル、燐酸モノオクチル、燐酸トリフェニル、燐酸ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、燐酸トリス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)、ジオクチルペンタエリスリチルジフォスフェート等の燐酸及びこれらの低級酸性、中性エステル誘導体
ウ)亜燐酸、亜燐酸トリブチル、亜燐酸ジノニル、亜燐酸モノデシル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸ビス(2,4−ジt−ブチルフェニル)、亜燐酸トリス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)、ビス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチルジフォスファイト等の亜燐酸及びこれらの低級酸性、中性エステル誘導体
エ)ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ノニルスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、ノニルスルホン酸オクチル、メタンスルホン酸ドデシル、等のスルホン酸、スルホン酸低級エステル類
オ)ベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラメチルホスフォニウム塩、ノニルスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスフォニウム塩、ドデシルベンゼンテトラブチルホスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩等が例示される。
【0054】
また、上記記載の第二の工程で、上記第一の工程で製造した芳香族環状カーボネート類混合物を含有する反応溶液に水に非溶解性のポリカーボネートの非溶媒を添加し、次いで析出する不溶分を分離して得られた環状カーボネート類混合物を含有する反応溶液の溶媒を、特定温度範囲すなわち150℃以下において除去することにより芳香族環状カーボネート類混合物を製造することができる。
【0055】
特公昭41−14595号公報中、芳香族環状カーボネートそれ自体は、純粋な形では十分安定な化合物であるが、微小量のヒドロキシル化合物の存在下200℃に加熱することにより、きわめて容易に開環重合反応をすることが記述されている。
【0056】
本発明の溶媒、及び溶媒除去の段階において、上記200℃まで上昇させることは不可であることは、当然であるが、好ましくは、150℃を超えないようにする必要がある。150℃を超えた場合、反応溶液中含有される少量のヒドロキシ化合物等の重合開始剤作用により、芳香族環状カーボネート類の開環反応、あるいはその他の副反応を引き起こし、芳香族環状カーボネート類の収量が低下する。したがって溶媒除去の温度は好ましくは、140℃以下、さらに好ましくは130℃以下に保つ必要がある。
【0057】
さらに本発明の芳香族環状カーボネート類混合物は
ア)分子構造的に、カーボネート構造単位1モルあたりフェノール性OH末端基2.5×10-2等量未満、
不純物として;
イ)加水分解性ハロゲン元素の合計含有量が2ppm以下
ウ)アルカリ(土類)金属化合物の含有量が元素としてそれぞれ2ppm以下
エ)リン化合物含有量がリン元素として3ppm以下
オ)アルカリ(土類)金属以外の金属化合物の元素含有量がそれぞれ1ppm以下、リン、ハロゲン以外の非金属化合物の元素の含有量がそれぞれ2ppm以下であることを特徴とする混合物である。
【0058】
かかる分子構造的に、カーボネート構造単位1モルあたりのフェノール性OH末端基濃度が2.5×10-2等量未満であることにより、重合反応における活性が高まり、該芳香族環状カーボネート類混合物から得られるポリカーボネート樹脂の分子量が高いものとなる。
【0059】
さらに、フェノール性OH末端基の含有量を上記範囲内とすることににより、該芳香族環状カーボネート類混合物の保管時の安定性を良好なものと出来る。即ち、長期に保管時の剤の着色を防止することが出来る。着色した剤からは、ポリカーボネート本来の透明樹脂は得がたく、剤及び樹脂の経済的価値は低下したものとなってしまう。
【0060】
カーボネート構造単位1モルあたりフェノール性OH末端基量は、少ないほど上記の意味で好ましい。しかしカーボネート構造単位1モルあたりのフェノール性OH末端基量は2.5×10-2等量未満で有れば許容される範囲である。しかし好ましくは1.0×10-2等量未満、さらに好ましくは5×10-3等量未満、特に好ましくは1.0×10-3等量未満である。
【0061】
フェノール性OH末端のほか、不純物もまた芳香族環状カーボネート類混合物の反応性、即ち重合速度、及び重合ポリカーボネートの重合度に大きな影響を有する。加えて不純物レベルは得られるポリカーボネートの色相、及び透明性およびポリカーボネートの安定性即ち耐熱劣化性、耐加水分解性に重要な悪影響を及ぼす。
【0062】
即ち、加水分解性ハロゲン特に塩素、および重金属元素、なかでもFe、Cr,Ni,n、Tiは本来無色透明性を特徴とするポリカーボネートの色相に対し、黄色味を強くし商品価値を低下させるとともに、長期間高温保持時に当初無色透明であった色相を悪化させ、黄色味のアップを引き起こすとともに、分子量低下を引き起こす。分子量の低下は当然ながら長期間高温保持された成形品の耐衝撃性、破断強度、破断伸度などの機械的性質の低下をもたらす。
【0063】
また上記不純物およびりん元素は、得られた芳香族環状カーボネートの重合活性を低下させる。即ち所定の分子量までアップする時間が長くなったり、また所定の分子量まで上昇しない場合も発生する。
【0064】
芳香族環状カーボネートの品質、および安定性、該芳香族環状カーボネートより得られるポリカーボネート樹脂の無色透明性を損なわないレベル、機械的性質の安定性の許容できるレベルを勘案して上記不純物レベルが例示される。
【0065】
ポリカーボネート樹脂の本来の特徴である無色透明性、および機械的性質をより活かすためには、芳香族環状カーボネート類混合物は好ましくは
ア)加水分解性ハロゲン元素の合計含有量が0.5ppm以下
イ)アルカリ(土類)金属化合物含有量が元素としてそれぞれ1.0ppm以下
ウ)リン化合物含有量がリン元素として2ppm以下
エ)アルカリ(土類)金属以外の金属化合物の含有量が元素としてそれぞれ0.5ppm以下、リン、ハロゲン以外の非金属元素含有化合物の含有量が元素としてそれぞれ1ppm以下のレベルであり、さらに好ましくは
ア)加水分解性ハロゲン元素の合計含有量が0.5ppm以下
イ)アルカリ(土類)金属化合物含有量が元素としてそれぞれ0.8ppm以下
ウ)リン化合物含有量がリン元素として1ppm以下
エ)リン、ハロゲン以外の非金属元素含有化合物の含有量が元素としてそれぞれ0.5ppm以下のレベルであり、アルカリ(土類)金属以外の金属化合物の含有量がそれぞれ0.1以下である。
【0066】
かかる分子構造的特徴および不純物レベルを満たす芳香族環状カーボネート類混合物を得る手法としては、出発原料である芳香族ポリカーボネートの分子構造的パラメータ、不純物パラメータを満足させること、及び溶媒、触媒、反応条件を満たすようにすることが必要である。
【0067】
さらにより好ましい分子構造的特徴および不純物レベルを満たす芳香族環状カーボネート類混合物を得る手法としては、芳香族環状カーボネート溶液を、活性炭処理とOH型強塩基性イオン交換樹脂処理及びH型強酸性イオン交換樹脂処理を組み合わせ併用することにより達成できる。この処理は1回の処理で十分なレベルまで好ましい分子構造的特徴および不純物レベルを低減することができるが、さらに2回以上処理し、さらに低い不純物レベルまで達成することができる。
【0068】
斯かる処理により容易に加水分解性ハロゲン含有量、アルカリ(土類)金属元素、金属化合物、非金属化合物元素の含有量を0.5ppm、あるいは0.1ppm以下とすることが出来る。3回以上に処理回数を上げても、その繰返しの効果は大きくない。
【0069】
この時、芳香族環状カーボネート溶液はあえて特別に芳香族環状カーボネートを溶解して作成する必要は無く、第一の工程で作成した環状カーボネート類混合物を含有する溶液、あるいは第二の工程で作成した環状カーボネート類混合物の溶液を直接活性炭処理とOH型強塩基性イオン交換樹脂処理及びH型強酸性イオン交換樹脂処理することにより容易に効果的に得ることができる。本発明で使用する活性炭は特別のものでなくて良い。処理効果が発揮されるためには、活性炭の比表面積が300m2/g以上の表面積が大きいものが好ましい。より好ましくは500m2/g以上のものである。
【0070】
イオン交換樹脂は市販のイオン交換樹脂が十分効率的に処理しうる。かかる処理の順序としては、イオン交換樹脂処理をまず行い、次いで活性炭処理の順に行う。OH型強塩基性イオン交換樹脂処理とH型強酸性イオン交換樹脂処理はどちらの処理を先に行ってもかまわない。
【0071】
またこれらの処理反応形式はバッチ式、セミバッチ式、流通式、完全混合槽、あるいは管式反応機などその様式は問わない。
【0072】
本発明の環状ポリカーボネート混合物は実質的に触媒を添加しないでも加熱溶融重合可能である。しかしながら重合プロセスをより効率的に進行させるため、溶融重合法ポリカーボネートの製造に使用される、従来公知のエステル交換触媒の存在下200℃以上に過熱することにより、容易に開環重合し、色相、安定性良好な線状ポリカーボネートを生成する。
【0073】
中でも、斯かる触媒としては、1)塩基性窒素化合物あるいは塩基性リン化合物及びまたは2)アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物が好ましいものとして例示される。
【0074】
これらのうち含窒素塩基性化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)等の、分子中にアルキル、アリール、アルキルアリール基等を有するアンモニウムヒドロキシド類;テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムエトキシド等のアルキル、アリール、アルキルアリール基等を有する塩基性アンモニウム塩類;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の第3級アミン類;あるいは、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、およびテトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)等の塩基性塩類をあげることができる。
【0075】
また、含リン塩基性化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド(Me4POH)、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルキルアリール基等を有するホスホニウムヒドロキシド類;あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド(Me4PBH4)、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(Bu4PBPh4)、およびテトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート(Me4PBPh4)等の塩基性塩をあげることができる。
【0076】
上記含窒素塩基性化合物及び/又は含リン塩基性化合物は、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が原料芳香族環状カーボネートのカーボネート結合1モルに対し、1×10-5〜5×10-4化学当量となる割合で用いるのが好ましく、より好ましくは、同じ基準に対し2×10-5〜5×10-4化学当量となる割合、特に好ましくは同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4化学当量となる割合で使用される。
【0077】
一方、重合用の触媒として使用されるアルカリ(土類)金属化合物は、原料芳香族環状カーボネートのカーボネート結合1モルに対し、アルカリ(土類)金属元素として5×10-8〜1×10-6化学当量の範囲で使用される。かかる量の触媒を使用することにより、重縮合反応速度を損なうことなく実施でき、かつ重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主鎖開裂反応や、成形加工時における装置内での異物の生成や焼けの発生等の好ましくない現象を効果的に抑止でき、良質な線状ポリカーボネートを製造することが出来るので好ましい。
【0078】
ここで重合用の触媒として使用されるアルカリ(土類)金属化合物としては、例えば、アルカリ(土類)金属の水酸化物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩リン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等があげられ、具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水素化バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、硝酸ルビジウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸カルシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、およびフェノールのナトリウム塩、カリウム塩等があげられる。
【0079】
上記の方法により本発明の耐久性、安定性に優れた重合体が得られるが、これを用いて各種成形品を成形する場合に用途に応じて従来公知の加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、および離型剤などを添加してもよい。
【0080】
また、本発明の芳香族ポリカーボネートの分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、トリメチルホスフェート、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。
【0081】
また、本発明の芳香族ポリカーボネートには溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワックス、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、および蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0082】
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルであるのが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0083】
更に、本発明の芳香族ポリカーボネートに本発明の目的を損なわない範囲で、剛性などを改良する為に無機および有機充填材を配合することが可能である。かかる無機充填材のとしてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の板状または粒状の無機充填材やガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、カーボン繊維、アラミド繊維、金属系導電性繊維等の繊維状充填材、架橋アクリル粒子、架橋シリコーン粒子等の有機粒子を挙げることができる。これら無機および有機充填材の配合量は本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対して1〜150重量部が好ましく、3〜100重量部が更に好ましい。
【0084】
また、本発明で使用可能な無機充填材はシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネートの分解が抑制されるなど良好な結果が得られる。
【0085】
本発明の芳香族ポリカーボネートには、本発明の目的が損なわれない範囲であれば他の樹脂を配合することもできる。
【0086】
かかる他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0087】
本発明で製造されるポリカーボネートから射出成形法などにより、耐久性、安定性が良好な成形品を得ることができる。
【0088】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記の特定不純物を特定値以下に抑えることで、該ポリマーの耐久性、特に厳しい温湿条件下での長時間の耐久性を保持する効果が得られ、該ポリマーを使用して得られたコンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW等、マグネット・オプティカルディスク(MO)等、デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RAM等)で代表される高密度光ディスク用の基板は長期に渡って高い信頼性が得られる。特にデジタルバーサタイルディスクの高密度光ディスクに有用である。
【0089】
本発明で製造される芳香族ポリカーボネート樹脂からのシートは、接着性や印刷性の優れた芳香族ポリカーボネートシートであり、その特性を生かして電気部品、建材部品、自動車部品等に広く利用され、具体的には各種窓材即ち一般家屋、体育館、野球ドーム、車両(建設機械、自動車、バス、新幹線、電車車両等)等の窓材のグレージング製品、また各種側壁板(スカイドーム、トップライト、アーケード、マンションの腰板、道路側壁板)、車両等の窓材、OA機器のデイスプレーやタッチパネル、メンブレンスイッチ、写真カバー、水槽用ポリカーボネート樹脂積層板、プロジェクションテレビやプラズマディスプレイの前面板やフレンネルレンズ、光カード、光ディスクや偏光板との組合せによる液晶セル、位相差補正板等の光学用途等に有用である。かかる芳香族ポリカーボネートシートの厚みは特に制限する必要はないが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.2〜8mm、0.2〜3mmが特に好ましい。また、かかる芳香族ポリカーボネートシートに、新たな機能を付加する各種加工処理(耐候性を改良するための各種ラミネート処理、表面硬度改良のための耐擦傷性改良処理、表面のしぼ加工、半および不透明化加工等)を施してもよい。
【0090】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に添加剤を配合するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、溶融押出法でシート化する。
【0091】
本発明のポリカーボネートは、前記の各成分を任意の方法、例えばタンブラー、ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、または押し出し機等により混合して製造することができる。
【0092】
本発明で製造されるポリカーボネートから射出成形法などにより、耐久性、安定性が良好な成形品を得ることができる。
【0093】
本発明で製造されるポリカーボネートはいかなる用途に使用してもよく、特に光ディスク基板材料として用いることが好ましい。
【0094】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は実施例にのみ限定されるものではない。
【0095】
[原料ポリカーボネートの製造]
原料ポリカーボネートとしては以下の12種のものを用いた。それぞれの物性を表1、2に示す。
【0096】
PC−1;市販の帝人化成(株)製汎用グレードポリカーボネート;L1250を、真空乾燥機中、120℃×12hr×13Paで乾燥した。
【0097】
PC−3;PC−1を20倍量の試薬特級テトラヒドロフランに溶解し、Na型強イオン交換樹脂処理を加えた後、電子工業用高純度メタノールを添加し、ポリカーボネートを沈殿させた。沈殿したポリカーボネートをメタノールで洗浄し、風乾した。
【0098】
PC−2;PC−3を真空乾燥機中、120℃×12hr×13Paで乾燥した。
【0099】
PC−4;PC−2に再度、洗浄と乾燥の同一処理を加えた。
【0100】
PC−5;PC−2にビスフェノールAモノ(t−ブチルフェニルカーボネート)をルーダー中で溶融添加し、フェノール性OH濃度を調整した。
【0101】
PC−6、PC−7;攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応装置に原料である精製ビスフェノールA、137重量部、精製ジフェニルカーボネート、135重量部、および重合触媒として、ビスフェノールAジナトリウム塩0.81×10-4重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド15×10-3重量部をし込んで窒素雰囲気下、150℃で溶解した。攪拌しつつ温度を180℃に昇温、反応槽内を133×102Paに減圧し、生成するフェノールを留去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを留去しながら、40×102Paで20分間反応させた。さらに徐々に昇温し220℃で20分間、240℃で20分間、反応させ、その後270℃で徐々に減圧し27×102Paで10分間、13×102Paで5分間反応を続行し、最終的に270℃、0.6×102Paで所定の分子量に成るまで反応を続行した。得られたポリカーボネートを乾燥したもの(PC−6)、および乾燥しなかったもの(水分量0.25wt%のもの、PC−7)を得た。
【0102】
PC−8、9;PC−6で製造したポリカーボネート、100重量部当りO−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートをそれぞれ、2.75、および0.97重量部を、280℃、10分、13Pa条件下で混合反応させた。
【0103】
PC−10、11;PC−8で得られたポリカーボネート100重量部当り、それぞれ0.032、および0.10重量部のトリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)フォスファイトを溶融添加した。
【0104】
PC−12;PC−6において、ジフェニルカーボネートを141重量部に、ビスフェノールAジナトリウム塩を、8.1×10-4重量部に変更、使用し、最終的に反応温度を290℃、真空度を2.7×102Paで反応を継続し所定の分子量が得られるまで反応させた。
【0105】
[芳香族環状カーボネート類混合物の製造 実施例1〜7、比較例1〜8]
上記PC1〜PC12の12種の原料ポリカーボネートを表3、4記載のように、モレキュラーシーブで乾燥、窒素ガスで脱酸素した所定量のTHF、100重量部中に溶解し、所定量のセシウムブトキシドを添加、乾燥窒素気流下40℃で5hr反応を行った。反応後当量の酢酸で中和後、ヘキサン300重量部を添加、沈殿物を遠心分離後、上澄み液を分離した。ヘキサン溶液を100重量部の純水で洗浄し遠心分離装置で下層の水槽を除去した。この操作を5回繰り返した後、40℃以下の温度で溶媒を除去した後1×102Pa以下の高真空下、溶媒、水分を完全に除去した。得られた芳香族環状カーボネート類混合物の収量、収率を表3、4中に記す。
【0106】
[芳香族環状カーボネート類混合物の精製]
得られた芳香族環状カーボネート類混合物1重量部をクロロフォルム100重量部に溶解し、純水で洗浄を3回行った。その後活性炭1重量部を添加、10hr室温で攪拌した。活性炭を濾過分別した後、エバポレーターで溶媒を除去した。得られた精製環状カーボネート類混合物を室温条件下、10Pa以下の高真空で乾燥した。表5、6に該精製処理をしたもの、してないものを記し、それぞれの物性を示した。
【0107】
[芳香族環状カーボネート類混合物からのポリカーボネート重合:実施例8〜14、比較例9〜23]
表5、6のように精製処理をした、あるいは精製処理をしてない芳香族環状カーボネート類混合物、表7のように各種金属を含有する各種の芳香族環状カーボネート類混合物;254重量部を、ナトリウムフェノキシド1.2×10-4重量部とともに、SUS316製容器中290℃20分加熱混合した。反応後ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩8.2×10-4重量部を添加した。得られたポリカーボネートの物性を表5、6、7中に記す。
【0108】
[分析]
原料ポリカーボネート、得られた環状カーボネート類混合物、およびポリカーボネートの物性は以下のように測定した。
【0109】
1)数平均分子量、重量平均分子量測定法
試料3mgをクロロフォルム3mlに溶解し、孔径0.45μmの親水性PTFEミリポアフィルターで濾過、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した。なお分子量校正に単分散ポリスチレン(EasiCal;ポリマーラボラトリー社製)を使用した。
GPC測定条件
カラム;PLgel5μ MIXD−D(300×7.5mm)2本;ポリマーラボラトリー社製
移動相;クロロフォルム
流量 ;1.0ml/nim
検出 ;481紫外可視検出器(日本ウォーターズ株製)にて254nm波長にて検出。
【0110】
2)溶媒中溶存酸素濃度の測定
セントラル化学(株)製、有機溶媒用DOメーター;UC−12−SOLにより測定。
【0111】
3)金属元素、非金属元素の定量
試料約2gを精秤、石英製坩堝に取り、バーナー、ついで電気炉にて順次灰化した。灰化物を濃硝酸で処理し、希硝酸で過熱溶解した後、希硝酸で加熱溶解、定量した。
アルカリ金属元素の定量はフレーム原子吸光法(日立製作所(株)製;偏光ゼーマン型原子吸光光度計 Z5700)にて、実施。金属、リンを含む非金属元素はICP質量分析法(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ6500)にて定量した。
【0112】
4)ハロゲン量;試料をアルゴン/酸素気流中燃焼、発生ハロゲン化か水素をドーマン社製、ドーマン微量滴定装置、MCTS−120により滴定し、滴定に要した電気量よりハロゲン量を定量。
【0113】
5)活性ハロゲン量の定量;試料 約5gをトルエン50ml中に溶解、溶離液(2.8mMNaHCO3/2.25mMNa2CO3=1:1)10mlを加えた後、純水40mlを加え、攪拌抽出、その抽出液注の塩素量をダイオネックス社イオンクロマトグラフィー2000iで定量した。
【0114】
6)溶融粘度安定性;
レオメトリックス社製;RAA型流動解析装置を用い、窒素気流下、せん断速度1rad/sec300℃にて測定した溶融粘度の変化の絶対値を30分間測定し1分間当りの変化率を求めた。ポリカーボネート樹脂の長期安定性が良好であるためには、この値が1%を超えてはならない。好ましくは0.5%、特に好ましくは0%である。
【0115】
7)OH基濃度の定量;試料0.02gを0.4mlの重水素化クロロフォルムに溶解、20℃にて1H−NMR(日本電子株式会社製EX−270)を用いて測定した。
【0116】
8)耐熱性(5%重量減温度);℃
窒素気流下、TG−DSCにより測定。界面重合法或いは、エステル交換法によるビスフェノールよりのポリカーボネートのこの値は485℃であった。480℃より低い値を示すものは、不純物或いはその他の理由によりポリカーボネート本来の安定性が実現されてなく、NGと判定。
【0117】
9)ポリカーボネートの重合度
塩化メチレン中ウベローデ粘度管にて、固有粘度[η]を測定し、次式により粘度平均分子量;Mvを求めた。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
【0118】
10)ハーゼン
芳香族環状カーボネートを、JISK4101に規定される色数試験方法に基づき、直径23mm、肉厚1.5mm、の平底パイレックスガラス製比色管を用い液深140mm、170℃、溶融状態で1hr窒素気流下保持し、ハーゼン標準比色液と比較測定した。
【0119】
【表1】
Figure 0004364388
【0120】
【表2】
Figure 0004364388
【0121】
【表3】
Figure 0004364388
【0122】
【表4】
Figure 0004364388
【0123】
【表5】
Figure 0004364388
【0124】
【表6】
Figure 0004364388
【0125】
【表7】
Figure 0004364388
【0126】
【発明の効果】
本発明により、芳香族ポリカーボネート樹脂より1)良好収率で、2)反応性良好な芳香族環状カーボネート類混合物を製造することができる。また該方法により製造された芳香族環状カーボネート類混合物より、3)反応性良好で、しかも4)色調、耐熱劣化性、耐加水分解性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂を与えることができる。

Claims (5)

  1. 芳香族環状カーボネート混合物を、繰り返し単位が下記式(1)
    Figure 0004364388
    (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、Wは、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のシクロアルキリデン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜10の置換基を有しても良いアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基もしくはスルホン基又は直接結合である。)であらわされる芳香族ポリカーボネートから製造するに際し、該製造法が該芳香族ポリカーボネートを溶媒中、アルカリ金属化合物触媒の存在下、反応させ、芳香族環状カーボネート混合物を含む反応溶液を製造する第一の工程、および該反応溶液より芳香族環状カーボネート混合物を分離する第二の工程よりなり、第一の工程における該芳香族ポリカーボネートが、下記1)〜4)を満足することを特徴とする芳香族環状カーボネート混合物の製造法。
    1)粘度平均分子量が10,000〜60,000であり、Mn;ポリスチレン換算数平均分子量、とMw;ポリスチレン換算重量平均分子量の比であるMw/Mnが2.0〜3.0、2)リン化合物含有量がリン元素として30ppm以下、3)水分含有量0.01wt%以下、4)該ポリカーボネート末端基が、アリールオキシ基及びフェノール性OH基よりなり、かつフェノール性OH基の含有量が全末端基の5〜50モル%である。
  2. 該芳香族ポリカーボネートにおけるアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、およびアルカリ(土類)金属以外の金属化合物の含有量が元素としてそれぞれ2ppm以下、リンおよびハロゲン以外の非金属元素化合物の含有量が元素としてそれぞれ3ppm以下であり、かつハロゲン化合物の含有量がハロゲン元素の合計量として30ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の芳香族環状カーボネート混合物の製造法。
  3. 第二の工程が、第一の工程で製造した該反応溶液に水に非溶解性のポリカーボネートの貧溶媒を添加し、次いで析出する不溶分を分離し、さらに150℃以下において反応溶液から溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の芳香族環状カーボネート混合物の製造法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする芳香族環状カーボネート混合物。
  5. 上記請求項4記載の芳香族環状カーボネート混合物を、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性窒素化合物、および塩基性リン化合物からなる群より選ばれる1つ以上の化合物よりなる触媒の存在下に溶融重合せしめることを特徴とする線状ポリカーボネートの製造方法。
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