JP4362930B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱用熱交換器への温水流量の調整により吹出空気温度を調整する車両用空調装置において、風量変動、温水温度変動等の外乱による吹出空気温度の変動を抑制するための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、先に、特願平9−204731号において後席側空調ユニットの小型化を図るために、加熱用熱交換器への温水流量を温水流量調整弁により調整して車室内への吹出空気温度を調整するものを提案している。車両エンジンの温水回路ではエンジン駆動の温水ポンプを有し、この温水ポンプにより加熱用熱交換器へ温水を供給するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような車両用空調装置において温水流量の具体的な調整方式は大別して次の2つである。
【0004】
第1の方式は乗員により操作される温度設定器の操作信号に基づいて温水流量調整弁の目標開度を直接決定し、この目標開度となるように温水流量調整弁の実際の開度を調整する方式である。この第1の方式であると、目標開度を風量や温水温度の変動等の外乱を考慮せずに決定しているので、これら外乱の影響により車室内への吹出空気温度が変動するという問題が生じる。
【0005】
そこで、第2の方式では、車室内への吹出空気温度を検出する温度センサを追加設置し、この温度センサの検出信号に基づいて温水流量調整弁の目標開度を補正(フィードバック制御)している。この第2の方式によると、吹出空気温度のフィードバック制御により吹出空気温度の変動を抑制できるが、温度センサの追加設置により部品点数、組付工数が増加し、コストアップを招く。
【0006】
そこで、本発明は上記点に鑑み、風量や温水温度の変動による吹出空気温度の変動の抑制と低コスト化を両立できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、エンジン(12)により駆動される温水ポンプ(14)を有し、エンジン(12)により加熱された温水が温水ポンプ(14)により循環する温水回路(13)と、
車室内へ向かって空気を送風する送風手段(18)と、
温水回路(13)に設置され、温水回路(13)の温水と送風手段(18)の送風空気とを熱交換して送風空気を加熱する加熱用熱交換器(17)と、
加熱用熱交換器(17)をバイパスして温水を流すバイパス通路(167)と、
バイパス通路(167)の開度をエンジン(12)から供給される温水の圧力変動に応じて調整する圧力応動弁(168)と、
エンジン(12)から加熱用熱交換器(17)に供給される温水流量を調整して、加熱用熱交換器(17)の吹出空気温度を調整する温水流量調整弁(16)と、
温水流量調整弁(16)の目標開度を算出するとともに温水流量調整弁(16)の開度を目標開度となるように制御する制御装置(35)とを備え、
制御装置(35)は、温水流量調整弁(16)の目標開度を、送風手段(18)の送風量に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正し、更に温水流量調整弁(16)の開度が最大開度の1/2を超える高開度領域においてのみ、温水流量調整弁(16)の目標開度を、温水の圧力に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする。
【0008】
これにより、風量の変動による吹出空気温度の変動を良好に抑制できる。しかも、既存の風量制御信号をそのまま利用して目標開度の補正を行うことができるから、特別にセンサを追加設置する必要がなく、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
また、請求項1に記載の発明では、加熱用熱交換器(17)をバイパスして温水を流すバイパス通路(167)と、このバイパス通路(167)の開度をエンジン(12)から供給される温水の圧力変動に応じて調整する圧力応動弁(168)とを備えているから、温水の圧力変動による加熱用熱交換器(17)への温水流量変動を温水回路側にて圧力応動弁(168)の作用で低減できる。
そこで、請求項1に記載の発明では、圧力応動弁(168)では吸収しきれない特定条件の下でのみ、すなわち、温水流量調整弁(16)の開度が最大開度の1/2を超える高開度領域においてのみ、温水流量調整弁(16)の目標開度を、温水の圧力に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正している。
【0009】
請求項2に記載の発明では、エンジン(12)により駆動される温水ポンプ(14)を有し、エンジン(12)により加熱された温水が温水ポンプ(14)により循環する温水回路(13)と、
車室内へ向かって空気を送風する送風手段(18)と、
温水回路(13)に設置され、温水回路(13)の温水と送風手段(18)の送風空気とを熱交換して送風空気を加熱する加熱用熱交換器(17)と、
加熱用熱交換器(17)をバイパスして温水を流すバイパス通路(167)と、
バイパス通路(167)の開度をエンジン(12)から供給される温水の圧力変動に応じて調整する圧力応動弁(168)と、
エンジン(12)から加熱用熱交換器(17)に供給される温水流量を調整して、加熱用熱交換器(17)の吹出空気温度を調整する温水流量調整弁(16)と、
温水流量調整弁(16)の目標開度を算出するとともに温水流量調整弁(16)の開度を目標開度となるように制御する制御装置(35)とを備え、
制御装置(35)は、温水流量調整弁(16)の目標開度を、温水の温度に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正し、更に温水流量調整弁(16)の開度が最大開度の1/2を超える高開度領域においてのみ、温水流量調整弁(16)の目標開度を、温水の圧力に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする。
【0010】
これにより、温水温度の変動による吹出空気温度の変動を良好に抑制できる。しかも、温水温度センサは種々な目的で用いられる既存のものを共通使用できるので、やはり特別にセンサを追加設置する必要がなく、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様に、加熱用熱交換器(17)をバイパスして温水を流すバイパス通路(167)と、このバイパス通路(167)の開度をエンジン(12)から供給される温水の圧力変動に応じて調整する圧力応動弁(168)とを備えているから、温水の圧力変動による加熱用熱交換器(17)への温水流量変動を温水回路側にて圧力応動弁(168)の作用で低減できる。
そこで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様に、圧力応動弁(168)では吸収しきれない特定条件の下でのみ、すなわち、温水流量調整弁(16)の開度が最大開度の1/2を超える高開度領域においてのみ、温水流量調整弁(16)の目標開度を、温水の圧力に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正している。
なお、請求項1および請求項2に記載の発明において、温水圧力はエンジン回転数と相関があるので、温水圧力による弁目標開度の補正はエンジン回転数に基づいて特別のセンサの追加なしで低コストで実施することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1において、制御装置(35)は、温水流量調整弁(16)の目標開度を、更に温水の温度に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする。
【0012】
これにより、風量と温水圧力と温水温度との三者の変動に対して吹出空気温度の変動を良好に抑制できる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項において、制御装置(35)は、温水流量調整弁(16)の目標開度を、更に送風手段(18)の送風量に基づいて吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする。
【0014】
これにより、風量と温水温度温水圧力の三者の変動に対して吹出空気温度の変動を良好に抑制できる
【0015】
請求項5に記載の発明のように、制御装置(35)に、車室内への目標吹出空気温度を算出する第1算出手段(S120)と、目標吹出空気温度に基づいて温水流量調整弁(16)の目標開度を算出する第2算出手段(S150)と、温水流量調整弁(16)の目標開度を補正する開度補正手段(S170)とを備えることにより、請求項1ないし4に記載の発明を具体化できる。
【0016】
請求項6に記載の発明のように、制御装置(35)に、乗員により操作される温度設定器(37)の操作信号に基づいて温水流量調整弁(16)の目標開度を決定する目標開度決定手段(S150)と、温水流量調整弁(16)の目標開度を補正する開度補正手段(S170)とを備えることにより、請求項1ないし4に記載の発明を具体化できる。
【0019】
請求項に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、温水流量調整弁(16)は、温水入口側の第1絞り(163)と温水出口側の第2絞り(164)の開度を調整する弁体(161)を有し、第1絞り(163)と第2絞り(164)の中間部位にバイパス通路(167)を連通させることを特徴とする。
【0020】
このような2段絞り(163、164)とバイパス通路(167)との組み合わせにより、加熱用熱交換器(17)前後の温水圧力を低減して、温水流量調整弁(16)による吹出温度制御性を向上できる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両用空調装置の全体システム構成図であり、ワンボックスタイプのRV車(リクレイショナルビークル)における車室内後席側の領域を空調する後席側空調ユニットに本発明を適用した例を示す。
【0023】
図1において、10は前席側空調ユニットで、車両の車室内最前部の計器盤の内側部に配設されて、車室内前席側の領域を空調するものである。11は前席側空調ユニット10の温水式ヒータコア(加熱用熱交換器)で、車両エンジン12からの温水(エンジン冷却水)を熱源として空調空気を加熱する。ヒータコア11に隣接配置されたエアミックスドア(温度調整手段)11aにより冷温風の混合割合を調整して前席側の車室内吹出温度を調整する。
【0024】
車両エンジン12の温水回路13には車両エンジン12により回転駆動される温水ポンプ14が備えられており、この温水ポンプ14により温水が温水回路13を循環する。
【0025】
なお、図1には図示しないが、ヒータコア11の空気流れ上流側には、空調空気を送風する送風ユニット、空調空気を冷却する冷凍サイクルの蒸発器(冷却用熱交換器)等が備えられている。
【0026】
15は後席側空調ユニットであって、車両の車室内後席(2番目、3番目の座席)側に配設されて後席側の領域を空調するものである。後席側空調ユニット15には、車両温水回路13に結合された温水流量調整弁16およびこの調整弁16を介して温水が循環する温水式のヒータコア(加熱用熱交換器)17が備えられている。
【0027】
次に、本実施形態による後席側空調ユニット15の具体的構成を図2に基づいて説明すると、後席側空調ユニット15は大別して、車両前方側に配置した送風ユニット(送風手段)18と、車両後方側に配置した熱交換ユニット19とから構成されている。
【0028】
送風ユニット18は、遠心式の多翼送風ファン(シロッコファン)20、ファン駆動用モータ21、およびスクロールケーシング22から構成されている。ここで、遠心式送風ファン20は、スクロールケーシング22の吸入口を通して軸方向の両方向から車室内の空気(内気)を吸入し、矢印Aのように熱交換ユニット19に向かって送風する。
【0029】
熱交換ユニット19は樹脂製のケース19aを有し、このケース19aの内部において下方側に蒸発器(冷却用熱交換器)23が配置されており、この蒸発器23の下側空間に送風ユニット18からの空気が流入する。この蒸発器23は車両空調用冷凍サイクルにおいて前席側空調ユニット12の蒸発器(図示せず)と並列に接続されている。ここで、車両空調用冷凍サイクルは周知のごとく車両エンジンにて駆動される圧縮機により冷媒が循環する。
【0030】
後席用蒸発器23は後席用減圧装置(図示せず)で減圧された低圧の気液2相冷媒を空調空気から吸熱して蒸発させるものである。この蒸発器23は略長方形の薄型形状であり、水平より若干の角度だけ傾斜配置して略水平方向に配置している。そして、蒸発器23の空気流れ下流側、すなわち、蒸発器23の上方側にヒータコア17が水平に配設されている。
【0031】
このヒータコア17は、図1に概略図示するように所定間隔を隔てて対向配置した入口タンク部17aと出口タンク部17bとの間に熱交換コア部17cを設けて構成されている。この熱交換部17cは周知のごとく複数の偏平形状のチューブと、複数のコルゲート状の伝熱フィンとを交互に並列的に積層したものである。このヒータコア17は、いわゆる全パスタイプのヒータコアであり、入口タンク部17aから温水を熱交換コア部17cの複数のチューブの全てを通して、出口タンク部17bに向かって一方向に流す構成となっている。
【0032】
そして、図2に示すようにケース19aの外部で、ヒータコア17の斜め上方部には前記した温水流量調整弁16が隣接配置されており、ヒータコア17の温水入口配管17dおよび温水出口配管17eは図1に示すように温水流量調整弁16に接続される。この流量調整弁16は、ヒータコア17への温水流量を調整することにより、ヒータコア17での空気加熱量を調整して車室内吹出空気の温度を調整する温度調整手段としての役割を果たす。
【0033】
なお、流量調整弁16の構成は、基本的には本件出願人の出願に係る特開平8−72529号公報等において公知であるため、以下その概要のみを説明する。エンジン12からの温水はエンジン駆動の温水ポンプ14により流量調整弁16を介してヒータコア17に循環する。流量調整弁16の樹脂製のケース160内には、円柱状の弁体(ロータ)161が回動自在に収容されており、この弁体161には温水流量制御用の制御流路162が形成されている。
【0034】
この制御流路162はその温水入口側と出口側で2段絞り、すなわち、入口側の第1絞り163および出口側の第2絞り164を形成する。そして、弁体161の回動量により2段絞り163、164の絞り量を調整して温水流量を調整する。ケース160にはエンジン12からの温水が流入する温水入口165と温水出口166が形成されており、温水入口165から温水は制御流路162を経由して温水出口166から温水入口配管17dを通ってヒータコア17に供給される。
【0035】
また、流量調整弁16にはバイパス通路167が設けてあり、このバイパス通路167は、弁体161の制御流路162の2段絞り163,164の中間部位からヒータコア17をバイパスして温水を流すためのものである。そして、このバイパス通路167には、エンジン12から供給される温水の圧力の上昇に応じてバイパス通路167の開口面積(開度)を増大させる圧力応動弁(バイパス弁)168が設置されている。この圧力応動弁168の弁体168aにはコイルスプリング(弾性手段)168bのバネ力が閉弁方向に作用する。
【0036】
図3は流量調整弁16の分解斜視図で、下部に弁機構部16Aを構成し、上部に駆動機構部16Bを構成している。図4は下部の弁機構部16Aの平面図である。下部の弁機構部16Aに上記した弁体161、圧力応動弁168等が内蔵され、且つ、バイパス通路167等が形成されている。
【0037】
また、下部の弁機構部16Aのケース160には第2の温水入口169および温水出口170が形成されており、第2の温水入口169はヒータコア17を通過した温水をケース160内の圧力応動弁168下流側部位に流入させる。そして、ヒータコア17からの戻り温水とバイパス通路167からのバイパス温水が圧力応動弁168の下流側で合流した後に、第2の温水出口170からエンジン12側に温水が還流する。
【0038】
上部の駆動機構部16Bのケース171には駆動用モータ(電気駆動装置)172、このモータ172の出力軸の回転が伝達される扇状の減速ギヤ173等が内蔵され、この減速ギヤ173の回転軸173aが弁体161の回転軸161aに一体に連結されるようになっている。
【0039】
図1の流量調整弁16によると、弁体161の回動量により制御流路162の2段絞り163,164の絞り量を調整してヒータコア17への温水流量を調整するとともに、圧力応動弁168の作用すなわち、温水圧力の変動に応じてバイパス通路167の開口面積(開度)を変化させる作用により、エンジン回転数変動によるヒータコア17への温水流量の変動を抑制するようになっている。
【0040】
再び、図2において、ケース19aのうち、ヒータコア17の上面部には、後席側乗員の頭部に向けて空気を吹き出すためのフェイス用吹出開口部24、および、後席側乗員の足元に向けて空気を吹き出すためのフット用吹出開口部25が形成してある。これら両吹出用開口部24、25は、ヒータコア17の上方(空気流れ下流側)において、ヒータコア17とそれぞれ対向するように配置されている。
【0041】
フェイス用吹出開口部24には、フェイスダクト26の一端(下端部)が連結されており、このフェイスダクト26の他端側は天井部まで立ち上がっている。そして、フェイスダクト26の天井部に設けたフェイス吹出口から後席側乗員の頭部に向けて空気(冷風)を吹き出すようになっている。
【0042】
また、フット用吹出開口部25には、フットダクト27の一端が連結されており、このフットダクト27の他端側に車両床面上に突出する吹出ダクト部(図示せず)を形成し、この吹出ダクト部に設けたフット吹出口から後席側の乗員足元に向けて空気(温風)を吹き出すようになっている。
【0043】
そして、上記両吹出開口部24、25の空気上流側部位(下方側)には、上記両吹出開口部24、25を開閉する吹出モード切替ドア(吹出モード切替手段)28が配設されている。この吹出モード切替ドア28は、上記両吹出開口部24、25の開口面に沿って(つまり、水平方向に沿って)往復運動することにより、吹出開口部24、25を開閉する板状のスライド式ドアからなる。
【0044】
このスライド式ドアからなる吹出モード切替ドア28はその下面部にラック(図示せず)を形成しており、このラックに噛み合う連結ギヤー29は、駆動用モータ(電気駆動装置)30の出力軸30aにリンク機構30b等を介して連結されている。これにより、吹出モード切替ドア28はモータ30の回転力により上記両吹出開口部24、25の開口面に沿って図2の実線位置から1点鎖線位置の間を移動可能となっている。
【0045】
そして、ケース19a内のヒータコア17の周囲において、フェイス吹出用開口部24側の部位には、ヒータコア17をバイパスして空気が流れるる冷風バイパス路31、およびこの冷風バイパス路31を開閉する冷風バイパスドア32が設けられている。このドア32は、回転軸32aを中心として図2の実線位置から一点鎖線位置の間を回動する板ドアからなる。冷風バイパスドア32の回転軸32aはリンク機構30b等を介してモータ30の出力軸30aに連結されて、冷風バイパスドア32と吹出モード切替ドア28は1つのモータ30により連動操作される。
【0046】
次に、温水流量調整弁16の電気制御部を図1により説明すると、温水流量調整弁16の弁体161は図3の駆動用モータ172により回転駆動され、そして、流量調整弁16の弁体161の回転軸161aにはポテンショメータからなる位置センサ34が連結されており、この位置センサ34から弁体161の回転位置信号、すなわち実際の弁開度SWを表す信号が制御装置35に入力される。
【0047】
後席側の空調制御パネル36は車室内の後席側に配置されて後席側の乗員により手動操作されるもので、後席側の設定温度Tsetを決定する温度設定器37、後席側の吹出モード設定器38、後席側の風量設定器39等が備えられ、これらの設定信号が制御装置35に入力される。
【0048】
また、制御装置35には、車両エンジン12の回転数Neを検出するエンジン回転数センサ40、車室内温度Trを検出する内気センサ41、外気温度Tamを検出する外気センサ42、車室内への日射量Tsを検出する日射センサ43、ヒータコア17へ流入する温水温度Twを検出する水温センサ44、蒸発器23の吹出直後の冷風温度Teを検出する蒸発器温度センサ45等のセンサ群から検出信号が入力される。
【0049】
制御装置35は例えば、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成されるもので、予め設定されたプログラムに基づいて所定の演算処理を行って、上記したモータ30、172、送風機モータ21等の作動を制御する。
【0050】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。まず最初に、後席側空調ユニット15の機械的構成部分の作動を説明すると、送風ファン20の作動により車室内後席側空間の内気がスクロールケーシング22内に吸入され、熱交換ユニット19に送風される。この熱交換ユニット19では最初に下側に位置する蒸発器23を通過して送風空気は冷却され、冷風となる。この冷風は、次に、上方側に位置するヒータコア17を通過して加熱され、乗員の欲する所定温度となる。
【0051】
ここで、ヒータコア17に流入する温水の流量は、流量調整弁16の弁体161の回転操作角により制御流路162の2段絞り163、164の開度を調整することにより連続的に調整することができ、この温水流量の調整により車室内への吹出空気温度を連続的に調整できる。
【0052】
特に、ヒータコア17の微少能力制御時には、弁体161の回転操作角(弁開度)を小さくして、2段絞り163、164の開度を双方とも小開度に絞るとともに、この2段絞り163、164の中間部(制御流路162)をバイパス通路167に全開状態に近い大開度にて連通させるので、この2段絞り163、164の中間部の圧力を下げることができる。
【0053】
その結果、ヒータコア17前後の差圧を十分小さくできるので、弁体161の回転操作角(弁開度)の変化に対する温水流量の変化(最終的には車室内への吹出空気温度の変化)を、特別小さな開口面積を必要とせずに、緩やかすることができる。これにより、弁体161の回転操作角により車室内への吹出空気温度をきめ細かく制御できる。
【0054】
また、車両用空調装置の温水供給源をなすエンジン12と温水ポンプ14は、自動車の走行条件の変化に伴って回転数が大幅に変化するので、エンジン12からの温水供給圧は走行条件の変化により大幅に変化し、これが流量制御弁16による温水流量制御、ひいては吹出空気温度調整に対する大きな外乱要素となる。
【0055】
そこで、ヒータコア17をバイパスして温水を流すバイパス通路167に圧力応動弁168を設けている。この圧力応動弁168においては、エンジン12からの温水供給圧が上昇して、弁体168a前後の差圧がスプリング168bにより定まる所定圧より高くなると、弁体168aが図1の上方(図4の下方)へ移動して開弁し、弁体168aと弁座シール部168c(図4)との間の隙間(開口面積)が上記差圧に応じて変動することより、圧力応動弁168はその弁体168a前後の圧力差を一定値に維持するように作用する。
【0056】
このような圧力応動弁168の作用により、エンジン12からの温水供給圧の変化による暖房用熱交換器17への温水流量の変動を抑制して、吹出空気温度の変動を抑制することができる。
【0057】
なお、車室内への吹出モードは、吹出モード切替ドア28を操作して、フェイス用吹出開口部24およびフット用吹出開口部25を開閉することにより、以下のごとく設定できる。
【0058】
すなわち、切替ドア28を図2の実線位置に操作すると、切替ドア28によりフェイス用吹出開口部24を開放し、フット用吹出開口部25を閉塞するので、フェイス用吹出開口部24からフェイスダクト26を通って天井部のフェイス吹出口のみから空調風を吹き出すフェイスモードを実行できる。
【0059】
このフェイスモードでは、切替ドア28の実線位置への移動と連動して冷風バイパス路31を冷風バイパスドア32により開放するので、通風路の圧損を小さくすることにより、最大冷房時の風量を増大し、冷房能力を向上できる。
【0060】
次に、図2の一点鎖線位置に切替ドア28を操作すると、切替ドア28によりフット用吹出開口部25を開放し、フェイス用吹出開口部24を閉塞するので、フット用吹出開口部25からフットダクト27を通って床面上のフット吹出口のみから空調風を吹き出すフット吹出モードを実行できる。
【0061】
次に、図2の実線位置と一点鎖線位置の中間位置に切替ドア28を操作すると、フェイス用吹出開口部24およびフット用吹出開口部25をともに略半開状態に開放できるので、フェイス用吹出開口部24およびフット用吹出開口部25から、両ダクト26、27を経由して、フェイス吹出口とフット吹出口の両方から同時に空調風を吹き出すバイレベル吹出モードを実行できる。
【0062】
ところで、車室内への吹出空気温度は流量調整弁16の弁体161の回転操作角(弁開度)が一定であっても、以下述べる外乱の影響により車室内への吹出空気温度の変動が生じる。
【0063】
まず、図5〜図7は外乱として風量の変動による吹出空気温度の変動を示す実験データで、流量調整弁16の弁開度と吹出空気温度との関係を示すものである。図5はフェイス(Face)モード時を示し、図6はバイレベル(B/L)モード時を示し、図7はフット(Foot)モード時を示す。各図において、横軸の弁開度=0°が最大冷房位置で、弁開度=130°が最大暖房位置である。
【0064】
また、各図において、三角印の特性は送風ファン20の駆動用モータ21への印加電圧(ブロワ電圧)を最小電圧として送風ファン20の回転速度を最小速度とし、車室内への吹出風量を最小(Lo)レベルとしたときの吹出空気温度の制御特性を示す。四角印の特性は送風ファン20の駆動用モータ21への印加電圧(ブロワ電圧)を中間電圧として送風ファン20の回転速度を中間速度とし、車室内への吹出風量を中間(Me)レベルとしたときの吹出空気温度の制御特性を示す。丸印の特性は送風ファン20の駆動用モータ21への印加電圧(ブロワ電圧)を最大電圧として送風ファン20の回転速度を最大速度とし、車室内への吹出風量を最大(Hi)レベルとしたときの吹出空気温度の制御特性を示す。
【0065】
図5のフェイスモードでは、弁開度の使用範囲が通常、0°〜60°程度であり、この弁開度の使用範囲において風量の変動により吹出空気温度が最大10℃変化してしまう。図6のバイレベルモードでは、弁開度の使用範囲が通常、30°〜80°程度であり、この弁開度の使用範囲において風量の変動によりフェイス吹出空気温度が最大9℃変化し、そして、フット吹出空気温度が最大10℃変化してしまう。
【0066】
図7のフットモードでは、弁開度の使用範囲が通常、30°〜130°程度であり、この弁開度の使用範囲において風量の変動により吹出空気温度が最大10℃変化してしまう。
【0067】
次に、図8は外乱として温水温度の変動による吹出空気温度の変動を示す実験データで、流量調整弁16の弁開度とフットモードの吹出空気温度との関係を示すものである。条件として風量は中間(Me)レベルで、ヒータコア吸い込み空気温度は15℃である。
【0068】
図中、三角印の特性は温水温度=88℃のときの吹出空気温度の制御特性を示し、また、四角印の特性は温水温度=75℃のときの吹出空気温度の制御特性を示す。図8から理解されるように、温水温度=75℃→88℃の変動により流量調整弁16の弁開度の最大開度(130°)付近、すなわち最大暖房位置付近では、吹出空気温度が12℃程度変化してしまう。
【0069】
次に、図9は車両エンジン12の回転数変動に基づく温水圧力の変動による吹出空気温度の変動を示す実験データで、流量調整弁16の弁開度と吹出空気温度との関係を示すものである。条件として風量は中間(Me)レベルで、ヒータコア吸い込み空気温度は10℃である。
【0070】
図中、aは第1実施形態による流量調整弁16(図3、4に示すバイパス通路167および圧力応動弁168を持った弁構成)、およびこのバイパス通路167および圧力応動弁168を持たない通常の流量調整弁におけるエンジンアイドル回転時の制御特性を示し、bは第1実施形態による流量調整弁16におけるエンジン回転数:6000rpm時の制御特性を示し、cは通常の流量調整弁におけるエンジン回転数:6000rpm時の制御特性を示す。
【0071】
なお、エンジンアイドル回転時の温水圧力(締め切り圧)は1kPaで、エンジン回転数:6000rpm時の温水圧力(締め切り圧)は72kPaである。ここで、締め切り圧とは後席側ヒータコア17への温水流れを遮断した状態における後席側ヒータコア17前後の温水圧力である。
【0072】
第1実施形態による流量調整弁16では、バイパス通路167および圧力応動弁168を持ち、温水圧力に応じてバイパス通路167へのバイパス温水流量を調整するため、フェイスモードの弁開度の使用範囲(通常、0°〜60°程度)において、温水圧力の変動による吹出空気温度の変動幅dを4℃程度の僅少値に抑えることができる。
【0073】
これに対し、バイパス通路167および圧力応動弁168を持たない通常の流量調整弁では、圧力応動弁によるバイパス温水流量の調整作用がないため、フェイスモードの弁開度の使用範囲において、温水圧力の変動による吹出空気温度の変動幅eが20℃程度に拡大してしまう。
【0074】
但し、第1実施形態による流量調整弁16においても、弁開度の高開度領域では温水圧力の変動による吹出空気温度の変動幅が拡大する傾向にある。ここで、、弁開度の高開度領域は、最大開度の1/2を超える開度範囲であって、具体的には70°以上の領域である。
【0075】
弁開度の高開度領域において、温水圧力の変動による吹出空気温度の変動幅が拡大するのは次の理由からである。すなわち、弁開度の高開度領域では、圧力応動弁168の前後の差圧が減少し、圧力応動弁168を通してバイパスされる温水流量が減少するので、圧力応動弁168によるバイパス流量の調整可能な範囲が僅少となり、その結果、エンジン回転数変動によるヒータコア17への温水流量変化の吸収が不十分となるからである。
【0076】
これに対し、弁開度の低、中開度領域では、圧力応動弁168の前後の差圧が増大し、圧力応動弁168を通してバイパスされる温水流量が多いので、圧力応動弁168のバイパス流量調整により、エンジン回転数変動によるヒータコア17への温水流量変動を良好に吸収できるから、温水圧力の変動による吹出空気温度の変動幅を縮小できる。
【0077】
以上のことから、第1実施形態による流量調整弁16を使用しても、弁開度の高開度領域ではエンジン回転数変動が外乱となって、吹出空気温度の変動幅が拡大する。
【0078】
そこで、第1実施形態では、流量調整弁16の弁開度制御に際して、上記した外乱、すなわち、風量(ブロワ電圧)、温水温度および温水圧力(エンジン回転数)に基づく弁開度の補正を行って、吹出空気温度の変動を抑制する。
【0079】
図10は流量調整弁16の弁開度制御を含む車両空調制御のフローチャートであり、制御装置35のマイクロコンピュータにより実行される。図10の制御ルーチンは、車両エンジン12のイグニッションスイッチがオンされて制御装置35に電源が供給された状態において、後席用空調ユニット15が作動状態になると起動される。
【0080】
先ず、ステップS100ではフラグ、タイマー等の初期化がなされ、次のステップS110で後席用空調制御パネル36の温度設定器37にて設定された設定温度Tset、前述したセンサ群40〜45の各検出値(Ne、Tr、Tam、Ts、Tw、Te)および位置センサ34から弁体161の実際の弁開度SWを表す信号を読み込む。
【0081】
続いて、ステップS120にて、下記数式1に基づいて、車室内後席側へ吹き出される空調風の目標吹出温度(TAO)を算出する。この目標吹出温度(TAO)は車室内後席側を設定温度Tsetに維持するために必要な吹出温度である。
【0082】
【数1】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
なお、上記Kset、Kr、Kam、およびKsはゲイン、Cは補正用の定数である。
【0083】
次に、ステップS130にて送風ファン20により送風される空気の送風量を上記TAOに基づいて決定する。この送風量決定方法は周知であり、上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で風量を大きくし、上記TAOの中間温度域で風量を小さくする。この風量は具体的には送風ファン駆動用モータ21の印加電圧(ブロワ電圧)により決定する。
【0084】
次に、ステップS140にて、上記TAOに応じて吹出モードを決定する。この吹出モードは、周知のごとくTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれて、フェイスモード→バイレベルモード→フットモードと切替設定する。
【0085】
次に、ステップS150にて、温水流量調整弁16の目標弁開度SWOを下記数式2に基づいて算出する。
【0086】
【数2】
SWO=〔(TAO−Te)/(Tw−Te)〕×130(°)
なお、温水流量調整弁16の弁開度(回転操作角)の最大値は前述のように130°であるので、上記数式2では、この130°の乗算により目標弁開度SWOを百分率(%)でなく、回転角度(°)で表している。
【0087】
次に、ステップS160にて、上記ステップS150で算出された、温水流量調整弁16の目標弁開度SWOの補正要否を判定する。この目標弁開度SWOの算出は所定の制御周期ごとに行われるが、前回のSWOの算出後に、外乱情報(風量およびエンジン回転数)に変化があれば、目標弁開度SWOの補正要と判定してステップS170に進む。
【0088】
図11はステップS170による目標弁開度SWOの補正方法の具体例を示すもので、ステップS1700では風量による補正量θ1を算出する。前述の図5〜図7に示すように吹出モードごとに風量による吹出温度変動への影響度が異なるため、吹出モードごとに、風量を表すブロワ電圧と補正量θ1との関係を定めたマップa,b,cを予め設定して、ROMに記憶しておく。
【0089】
そして、中間風量(Me)レベルのブロワ電圧を基準として、ブロワ電圧が中間風量(Me)レベルより増加すると、上記マップa,b,cに基づいてその増加程度に応じたプラス側の補正量θ1を算出する。逆に、ブロワ電圧が中間風量(Me)レベルより減少すると、その減少程度に応じたマイナス側の補正量θ1を算出する。
【0090】
次に、ステップS1710では温水圧力による補正量θ2を算出する。この補正量θ2は図9に示す温水圧力の影響による吹出温度変動を低減するためのものであり、そのため、実際の弁開度SWが所定開度以上(例えば、70°以上)の高開度領域にあるときのみ、補正量θ2の算出を行って、実際の弁開度SWが所定開度より小さいときは補正量θ2の算出を行わない。
【0091】
補正量θ2の算出も予め設定してROMに記憶してあるマップdに基づいて行う。このマップdでは、温水圧力がエンジン回転数と相関があるため、エンジン回転数Neにより補正量θ2を決めている。具体的には、図9に示すアイドル回転数と、実用上の高回転数(6000rpm)との間の所定の中間回転数Neoを基準とし、エンジン回転数Neが所定の中間回転数Neoより上昇すると、マップdに基づいてその上昇程度に応じたマイナス側の補正量θ2を算出する。逆に、エンジン回転数Neが所定の中間回転数Neoより低下すると、その低下程度に応じたプラス側の補正量θ2を算出する。
【0092】
次に、ステップS1720では、最終的に、補正量θをθ=θ1+θ2の式から算出する。そして、ステップS1730で補正後の目標弁開度SWO’をSWO’=SWO+θの式から算出する。
【0093】
次に、図10のステップS180では、上記各ステップS130、S140、S150およびS170(S1730)で決定された作動状態が得られるように、各アクチュエータ(送風機モータ21、モータ30、172)に対して制御信号を出力する。温水流量調整弁16の弁体駆動用モータ172では、位置センサ34により検出される実際の弁開度SWが補正後の目標弁開度SWO’となるように弁体161を回転操作する。
【0094】
第1実施形態によると、温水温度変動については目標弁開度SWOの算出式(数式2)にて温水温度Twを取り込み、Twによる目標弁開度SWOの補正を行うことができる。更に、目標弁開度SWOの算出後に、風量および温水圧力(エンジン回転数)に基づいて目標弁開度SWOを補正し、この補正後の目標弁開度SWO’となるように温水流量調整弁16の実際の弁開度SWを制御するから、上記外乱(風量、温水温度、および温水圧力)の影響による吹出温度変動を抑制できる。
【0095】
しかも、風量、温水温度、および温水圧力(エンジン回転数)という外乱情報はいずれも既存のセンサの検出信号あるいは制御装置内部の演算情報をそのまま利用して判定できるから、コストアップを生じない。
【0096】
(第2実施形態)
なお、第1実施形態では、数式1に基づいて、車室内へ吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを算出し、この目標吹出温度TAOに基づいて送風量、吹出モード、および目標弁開度SWOを決定する場合について説明したが、第2実施形態は目標吹出温度TAOを算出せずに、乗員の操作信号に基づいて直接、送風量、吹出モード、および目標弁開度SWOを決定する方式の車両空調装置に本発明を適用した例である。
【0097】
図12、図13は第2実施形態による制御を示すもので、図12は図10に対応し、図13は図11に対応する。図12のステップS1110では、乗員の操作信号、すなわち、▲1▼吹出モード設定器38による吹出モード設定信号、▲2▼温度設定器37による温度設定信号、および▲3▼風量設定器39による風量設定信号を読み込む。
【0098】
次に、ステップS1120では、車両環境情報として▲4▼エンジン回転数Neおよび▲5▼温水温度Twを読み込む。次に、ステップS150では、温水流量調整弁16の目標弁開度SWOを温度設定器37による温度設定信号に基づいて直接、決定する。すなわち、温度設定器37による温度設定信号が低温側から高温側へ移行するに従って弁開度が増大するように目標弁開度SWOを決定する。
【0099】
このように目標弁開度SWOの決定に際して温水温度Twによる補正を行わないから、第2実施形態では、ステップS170による目標弁開度SWOの補正処理の中で温水温度Twによる目標弁開度SWOの補正を行う。
【0100】
図13は図11に対してステップS1715を追加している。このステップS1715では温水温度による補正量θ3を算出する。この補正量θ3は図8に示す温水温度の影響による吹出温度変動を低減するためのものであり、そのため、補正係数αと位置センサ34により検出される実際の弁開度SWとの関係を定めたマップeを予め設定して、ROMに記憶しておく。ここで、図8の実験結果から弁開度SWの増加に応じて補正係数αが増加するようにマップeは設定してある。なお、マップeのMCは、弁体開度SW=0°の最大冷房位置で、MHは弁体開度SW=130°の最大暖房位置である。
【0101】
そして、マップeに実際の弁開度SWを適用して補正係数αをまず決定する。次に、基準温水温度Twoと、水温センサ44により検出される現状の温水温度Twとの温度差ΔT(=Two−Tw)を算出する。次に、この温度差ΔTに補正係数αを乗じて、補正量θ3を決定する。基準温水温度Twoより現状の温水温度Twの方が高いときは補正量θ3はマイナス側となり、逆に、基準温水温度Twoより現状の温水温度Twの方が低いときは補正量θ3はプラス側となる。
【0102】
そして、ステップS1720では、最終的に、補正量θをθ=θ1+θ2+θ3の式から算出する。
【0103】
第2実施形態のように乗員の操作信号に基づいて直接、送風量、吹出モード、および目標弁開度SWOを決定する方式の車両空調装置においても、目標弁開度SWOの算出後に、外乱(風量、温水温度、および温水圧力)に基づいて目標弁開度SWOを補正し、この補正後の目標弁開度SWO’となるように温水流量調整弁16の実際の弁開度SWを制御するから、上記外乱の影響による吹出温度変動を抑制できる。
【0104】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、本発明を後席側空調ユニット15のヒータコア17への温水流量を調整する温水流量調整弁16の弁開度補正について説明したが、前席側空調ユニット10においても、温度制御方式としてヒータコア11への温水流量調整方式を採用している場合には同様に本発明を適用できる。
【0105】
第3実施形態は図14に示すように前席側空調ユニット10の温水式ヒータコア11と車両エンジン12との間の温水回路13に第1実施形態と同じ温水流量調整弁16を配置し、この温水流量調整弁16によりヒータコア11への温水流量を調整し、それにより、前席側のフェイス用吹出開口部50、フット用吹出開口部51、および図示しないデフロスタ用吹出開口部から車室内前席側へ吹き出す空気の吹出温度を調整する。
【0106】
なお、第3実施形態の電気制御部は第1、第2実施形態と同じでよく、第3実施形態においても図10、11、あるいは図12、図13で説明した、外乱情報(風量、温水温度、および温水圧力)に基づいて温水流量調整弁16の弁開度の補正制御を行うことにより、外乱の影響を低減して車室内前席側への吹出空気温度を良好に調整できる。
【0107】
(他の実施形態)
なお、上記第1、第2実施形態では、図11、図13に示すようにステップS1700、S1710、S1715で風量、温水温度、および温水圧力に基づく補正量θ1、θ2、θ3をそれぞれ個別に算出した後に、この補正量θ1、θ2、θ3をステップS1720で加算して最終的な補正量θを求めるようにしているが、風量、温水温度、および温水圧力を反映した多次元マップを予め設定しておき、この多次元マップに基づいて最終的な補正量θを一挙に得るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体システム構成の説明図である。
【図2】第1実施形態の後席側空調ユニットの縦断面図である。
【図3】第1実施形態の温水流量調整弁の分解斜視図である。
【図4】第1実施形態の温水流量調整弁における弁機構部の分解斜視図である。
【図5】フェイスモード時における風量と温水流量調整弁開度と吹出空気温度との関係を示すグラフである。
【図6】バイレベルモード時における風量と温水流量調整弁開度と吹出空気温度との関係を示すグラフである。
【図7】フットモード時における風量と温水流量調整弁開度と吹出空気温度との関係を示すグラフである。
【図8】フットモード時における温水温度と温水流量調整弁開度と吹出空気温度との関係を示すグラフである。
【図9】フェイスモード時におけるエンジン回転数(温水圧力)と温水流量調整弁開度と吹出空気温度との関係を示すグラフである。
【図10】第1実施形態の空調制御のフローチャートである。
【図11】図10の要部の詳細を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態の空調制御のフローチャートである。
【図13】図12の要部の詳細を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態の全体システム構成の説明図である。
【符号の説明】
10…前席側空調ユニット、15…後席側空調ユニット、
16…温水流量調整弁、161…弁体、167…バイパス通路、
168…圧力応動弁、17…ヒータコア、24…フェイス吹出開口部、
25…フット吹出開口部、35…制御装置。

Claims (7)

  1. エンジン(12)により駆動される温水ポンプ(14)を有し、前記エンジン(12)により加熱された温水が前記温水ポンプ(14)により循環する温水回路(13)と、
    車室内へ向かって空気を送風する送風手段(18)と、
    前記温水回路(13)に設置され、前記温水回路(13)の温水と前記送風手段(18)の送風空気とを熱交換して送風空気を加熱する加熱用熱交換器(17)と、
    前記加熱用熱交換器(17)をバイパスして温水を流すバイパス通路(167)と、
    前記バイパス通路(167)の開度を前記エンジン(12)から供給される温水の圧力変動に応じて調整する圧力応動弁(168)と、
    前記エンジン(12)から前記加熱用熱交換器(17)に供給される温水流量を調整して、前記加熱用熱交換器(17)の吹出空気温度を調整する温水流量調整弁(16)と、
    前記温水流量調整弁(16)の目標開度を算出するとともに前記温水流量調整弁(16)の開度を前記目標開度となるように制御する制御装置(35)とを備え、
    前記制御装置(35)は、前記温水流量調整弁(16)の目標開度を、前記送風手段(18)の送風量に基づいて前記吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正し、更に前記温水流量調整弁(16)の開度が最大開度の1/2を超える高開度領域においてのみ、前記温水流量調整弁(16)の目標開度を、前記温水の圧力に基づいて前記吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  2. エンジン(12)により駆動される温水ポンプ(14)を有し、前記エンジン(12)により加熱された温水が前記温水ポンプ(14)により循環する温水回路(13)と、
    車室内へ向かって空気を送風する送風手段(18)と、
    前記温水回路(13)に設置され、前記温水回路(13)の温水と前記送風手段(18)の送風空気とを熱交換して送風空気を加熱する加熱用熱交換器(17)と、
    前記加熱用熱交換器(17)をバイパスして温水を流すバイパス通路(167)と、
    前記バイパス通路(167)の開度を前記エンジン(12)から供給される温水の圧力変動に応じて調整する圧力応動弁(168)と、
    前記エンジン(12)から前記加熱用熱交換器(17)に供給される温水流量を調整して、前記加熱用熱交換器(17)の吹出空気温度を調整する温水流量調整弁(16)と、
    前記温水流量調整弁(16)の目標開度を算出するとともに前記温水流量調整弁(16)の開度を前記目標開度となるように制御する制御装置(35)とを備え、
    前記制御装置(35)は、前記温水流量調整弁(16)の目標開度を、前記温水の温度に基づいて前記吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正し、更に前記温水流量調整弁(16)の開度が最大開度の1/2を超える高開度領域においてのみ、前記温水流量調整弁(16)の目標開度を、前記温水の圧力に基づいて前記吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  3. 前記制御装置(35)は、前記温水流量調整弁(16)の目標開度を、更に前記温水の温度に基づいて前記吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記制御装置(35)は、前記温水流量調整弁(16)の目標開度を、更に前記送風手段(18)の送風量に基づいて前記吹出空気温度の変動を相殺する方向に補正することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  5. 前記制御装置(35)は、車室内への目標吹出空気温度を算出する第1算出手段(S120)と、
    前記目標吹出空気温度に基づいて前記温水流量調整弁(16)の目標開度を算出する第2算出手段(S150)と、
    前記温水流量調整弁(16)の目標開度を補正する開度補正手段(S170)とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記制御装置(35)は、乗員により操作される温度設定器(37)の操作信号に基づいて前記温水流量調整弁(16)の目標開度を決定する目標開度決定手段(S150)と、
    前記温水流量調整弁(16)の目標開度を補正する開度補正手段(S170)とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記温水流量調整弁(16)は、温水入口側の第1絞り(163)と温水出口側の第2絞り(164)の開度を調整する弁体(161)を有し、
    前記第1絞り(163)と前記第2絞り(164)の中間部位に前記バイパス通路(167)を連通させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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