JP4361997B2 - 球状アルミナ粉末及び樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体封止材、各種基板用等の充填材として好適な球状アルミナ粉末及びそれが充填された樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICの高機能化及び高速化の進展に伴い、その発熱量が増大傾向にある。これを受け、封止材に対しても高熱放散性の要求が高まっており、それを構成するエポキシ樹脂とフィラーの両面から検討が進められている。従来、高熱伝導性フィラーとしては窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化アルミニウム(アルミナ)が主として使用されているが、これらには一長一短がある。
【0003】
窒化アルミニウム、窒化ケイ素は、それ自体が100W/m・K以上の高い熱伝導率を有するが、封止材の流動性が低下する、成型時の金型摩耗性が激しい、空気中の水分と反応してアンモニアを発生する、等の問題が懸念され、本格的に普及するまでには至っていない。
【0004】
これに対し、アルミナは水分と反応しないのでアンモニア発生の心配はないが、流動性と金型摩耗性は、上記窒化物と同等レベルであり、まだまだ改善の余地があった。そこで、特開平5−294613号公報、特開平11−147711号公報のように、アルミナ粒子を球状化して用いる提案がなされているが、それでもまだ十分でなく、高熱伝導性と共に高流動性・低金型摩耗性を有する封止材が待たれていた。
【0005】
そこで、本出願人は、先に平均粒子径1μm以下の球状シリカ粉末を球状アルミナ粉末に適量添加し、熱伝導性、流動性及び金型摩耗性を改善した無機質粉末を提案した(特願平11−323585号明細書)。この技術は、球状シリカ粉末と球状アルミナ粉末とを併用するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、オール球状アルミナ粉末にして、更なる高熱伝導性、低金型摩耗性及び高流動性に優れた半導体封止材を得るための球状アルミナ粉末及び樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、平均粒子径1〜40μm、平均球形度0.85以上の球状アルミナ粉末であって、粒子径2μm以下の微粉の構成割合が10〜35%で、その微粉の平均球形度が0.90以上であり、しかも粒子径20μm以上の粉末の平均球形度よりも大きいものであることを特徴とする球状アルミナ粉末である。また、本発明は、この球状アルミナ粉末が充填されてなる樹脂組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0009】
本発明の球状アルミナ粉末は、2μm以下の微粉を比較的多く含み、粒度構成とその平均球形度が高度に制御されていることが特徴である。本発明において、アルミナ材質に限定したのは、アルミナ自身の熱伝導率が30W/m・K程度と比較的高いこと、及び他の高熱伝導を有する窒化物等に比較して実質的に角のない球状にすることが容易であるためである。
【0010】
本発明の球状アルミナ粉末の粒度構成は、平均粒子径1〜40μmであって、2μm以下の微粉の構成割合が10〜35%である。平均粒子径が1μm未満では、樹脂中への高充填が困難となって十分な流動性を確保することができなくなり、また40μmをこえると金型への摩耗が著しくなる。更には、粒子径2μm以下の微粉の割合が上記範囲外であると、流動性の大幅な向上はない。粒子径2μm以下の微粉にあっても、0.1μm以下の超微粉が実質的に含まれていないか、又は含まれていても0.3%以下であることが望ましい。
【0011】
本発明において、粒子径2μm超の粉末の好適な粒度構成について説明すると、2μm超20μm未満の割合が10〜60%、20μm以上の割合が35%以上、40μm以上の割合が10%以上、60μm以上の割合が1%以下である。
【0012】
20μm以上の割合が35%未満であると、樹脂への充填量を著しく高めることができなくなるので、流動性及び熱伝導率の大幅な向上は望めない。20μm以上の好ましい割合は30〜70%、特に好ましくは40〜65%である。中でも、40μm以上の割合が7%以上が好ましく、特に10〜40%、更に好ましくは15〜35%である。更に、60μm以上の割合が1%超であると、熱伝導性と流動性の面で幾分プラスとして作用するが、金型摩耗性が著しく悪化する。特に、近年のパッケージ薄型化においては無視できない問題である。
【0013】
本発明が備えなければならない次の条件は、球状アルミナ粉末の平均球形度である。まず、全体の平均球形度は0.85以上であることが必要である。平均球形度が0.85未満では、樹脂組成物の流動性が低下し金型摩耗も多くなる。
【0014】
次に、重要なことは、粒子径2μm以下の微粉の平均球形度が0.90以上であり、しかも粒子径20μm以上の粉末の平均球形度よりも大きいということである。この条件を逸脱すると、粒子径2μm以下の微粉成分による流動性助長効果を十分に引き出すことが困難となる。粒子径20μm以上の粉末の平均球形度については、0.85以上であることが好ましく、中でも実質的に粒子表面に角を含まないものが望ましい。
【0015】
本発明において、平均球形度は、例えばシスメチックス社製「FPIA−1000」等のフロー式粒子像分析装置を用い、次のようにして測定することができる。
【0016】
まず、粒子像から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとして表示できる。そこで試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定するとPM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)2として算出できる。これを任意に選ばれた200個以上の粒子について測定し、その平均値を球形度とする。実際の測定は、数千個の粒子の体積基準の平均値が自動測定される。
【0017】
本発明の球状アルミナ粉末は、水酸化アルミニウム粉末の火炎溶射法を基本技術とし、原料粒度の調整及び得られた粉末の分級・混合操作によって製造することができる。
【0018】
原料に水酸化アルミニウムを用いる理由は、火炎溶射法によって実質的に粒子表面に角を含まない球状粒子を比較的容易に得られやすいからであり、これを例えばアルミナ原料を用いたのでは、角を含んだ擬球状粒子となりやすい。また、火炎溶射法で製造する理由は、工業的規模による球状アルミナ粉末の量産化の点からであり、これを例えばバイヤ−法等で製造すると、実質的に粒子表面に角を含んだものが多くなってしまう。
【0019】
本発明で使用される水酸化アルミニウム粉末原料の供給方式は、乾式法でも構わないが、本発明の球状アルミナ粉末には2μm以下の微粉が多く含まれているので、それらの合着を防ぐため、スラリー噴霧法によることが好ましい。
【0020】
水酸化アルミニウム粉末のスラリー噴霧法について、更に詳述すると、スラリー濃度は30〜70%程度が好ましい。30%未満では生産性が損なわれると共に球形度が低下し、また70%をこえると、原料の粒度・純度にもよるがスラリー粘度が上昇し、輸送及び噴霧が困難となる。溶媒については、水が分散性、安全性及び経済性の点で好ましいが、水酸化アルミニウム粉末を分散させることができれば、アルコール等の可燃性液体や水−アルコール等の混合溶液であってもよい。スラリーの調製は、溶媒と原料粉を所定量投入し、十分に分散するまで撹拌機等で混合すればよく、特別な調製法は必要としない。
【0021】
本発明においては、水酸化アルミニウム粉末のアルミナ粉末への転化と球状化とには溶射法が用いられる。溶射法によれば、球状化させやすい利点があるが、火炎温度を2000℃前後に高めなければならないので、球状化された粒子同士、特に2μm以下の微粉同士が合着しやすくなる。そこで、本発明では、水酸化アルミニウム粉末を媒体中に分散させてスラリー状態とし、それを火炎中に微細な霧状で噴霧供給して微粉の合着を防止する。噴霧方法としては、スプレードライヤー等で用いられているような噴霧ノズルを利用できるが、好ましくは微細な液滴径を形成できる二流体ノズルである。
【0022】
火炎の形成には、水素、天然ガス、アセチレンガス、プロパンガス、ブタン等の燃料ガスと、空気、酸素等の助燃ガスとをノズルから噴射・燃焼させることによって行うことができる。
【0023】
火炎中に噴射された水酸化アルミニウム粉末は、高温の熱処理を受けて、アルミナ粉末への転化と球状化が行われる。得られた球状アルミナ粉末は、排ガスと共にブロワー等で吸引され、サイクロンやバグフィルターの捕集装置で分級・捕集される。その際の捕集温度は残存Naの除去の点からできるだけ高い方が良く、好ましくは500℃以上である。サイクロン品及び/又はバグフイルター品を適宜混合して、本発明の球状アルミナ粉末とする。
【0024】
次に、本発明の樹脂組成物について説明する。
【0025】
本発明で使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS( アクリロニトリル−アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂などである。
【0026】
これらの中、封止材用樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が好ましい。その具体例をあげれば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のグリシジルエーテル、フタル酸やダイマー酸等の多塩基酸とエポクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル酸エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、アルキル変性多官能エポキシ樹脂、β−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、2,7−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、更には難燃性を付与するために臭素等のハロゲンを導入したエポキシ樹脂などである。中でも、耐湿性や耐ハンダリフロー性の点からは、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格のエポキシ樹脂が好適である。
【0027】
エポキシ樹脂の硬化剤については、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、クロロフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール等の群から選ばれた1種又は2種以上の混合物をホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド又はパラキシレンと共に酸化触媒下で反応させて得られたノボラック型樹脂、ポリパラヒドロキシスチレン樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ピロガロールやフロログルシノール等の3官能フェノール類、無水マレイン酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等の酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミンなどをあげることができる。
【0028】
本発明の樹脂組成物には、次の成分を必要に応じて配合することができる。すなわち、低応力化剤としてシリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ブロックコポリマーや飽和型エラストマー等のゴム状物質、各種熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂状物質、更にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂の一部又は全部をアミノシリコーン、エポキシシリコーン、アルコキシシリコーン等で変性した樹脂など、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シラン化合物やメルカプトシランなど、表面処理剤として、Zrキレート、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など、難燃助剤としてSb23、Sb24、Sb25など、難燃剤として、ハロゲン化エポキシ樹脂やリン化合物など、着色剤として、カーボンブラック、酸化鉄、染料、顔料などである。更には、ワックス等の離型剤を添加することができる。その具体例をあげれば、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィンなどである。
【0029】
特に、高い耐湿信頼性や高温放置安定性が要求される場合には、各種イオントラップ剤の添加が有効である。イオントラップ剤の具体例としては、協和化学社製商品名「DHF−4A」、「KW−2000」、「KW−2100」や東亞合成化学工業社製商品名「IXE−600」などである。
【0030】
本発明の樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させるために硬化促進剤を配合することができる。その硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾールなどがある。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、上記諸材料をブレンダーやミキサーで混合した後、加熱ロール、ニーダー、1軸又は2軸押出機、バンバリーミキサーなどによって溶融混練し、冷却後に粉砕することによって製造することができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物を用いて半導体を封止するには、トランスファーモールド、マルチプランジャー等の公知の成型法が採用される。
【0033】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に本発明を説明する。
【0034】
燃焼炉を用い、溶射法で球状アルミナ粉末を製造した。燃焼炉は開放型で、内炎と外炎が形成できるように、二重管構造のLPG−酸素混合型バーナーが炉頂に設けられており、そのバーナーの中心部には更にスラリー噴射用の二流体ノズルが取り付けられている。そして、二流体ノズルの中心からスラリーが、またその周囲から酸素がそれぞれ火炎に噴射される。火炎の形成は、二重管構造バーナーのそれぞれの噴射口の細孔から、外炎形成用と内炎形成用のLPG−酸素の混合ガスが噴射されることによって行われ、LPGと酸素ガス量の制御によって火炎状態が調整される。火炎を通過した熱処理物は、ブロワーで捕集系に送られ、内壁がアルミナライニングされたサイクロンで捕集される。サイクロンの直径は700mmであり、サイクロンで熱処理物の大部分が回収できるようにブロワーからの吸引速度を調整してサイクロン入り口前の流速を調整する。サイクロンから排出されるダストを含む熱処理物の一部はバグフィルターで捕集され、排ガスのみをブロワーから排出される。途中の連絡配管は水冷ジャケット方式で水冷されている。また、サイクロン及びバグフィルターの前に冷却エアを吸引できる一次エア導入孔及び二次エア導入孔とその導入量を調整するバルブが設けられている。冷却水量とエア導入量の調整によってサイクロン及びバグフィルターの入り口流速や捕集温度が調節される。
【0035】
実施例1〜8 比較例1〜6
平均粒子径30μmの水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属社製、商品名「BW33」)を純水に入れ、粉末濃度60%のスラリーを調製した。これを二流体ノズル(アトマックス社製「型番BNH160S−IS」)の中心から、燃焼炉の火炎中に20kg/hの割合で噴射した。噴射には、ゲージ圧0.2MPa、ガス量約9Nm3/hの酸素ガスを使用した。
【0036】
一方、バーナーからは、内炎用として、LPG:6Nm3/hと酸素ガス:18Nm3/hの混合ガスを、外炎用として、バーナーの最外周の空隙から、LPG:4Nm3/hと酸素ガス:12Nm3/hの混合ガスを噴射した。アルミナ粉末をサイクロンから回収した(サンプルA)。サンプルAは、平均粒子径が約32μm、平均球形度0.89であった。
【0037】
平均粒子径8μmの水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属社製、商品名「BF083」)を用いたこと以外は、サンプルAに準じてアルミナ粉末を製造した(サンプルB)。サンプルBは、平均粒径が約8.6μm、平均球形度0.90であった。
【0038】
平均粒子径1μmの水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属社製、商品名「BF013」)を用い、そのスラリー濃度を30%、噴射時のゲージ圧を0.35MPa、ガス量を13.5Nm3/hとしたこと以外は、サンプルAに準じてアルミナ粉末を製造した(サンプルC)。サンプルCは、平均粒径が1.2μm、平均球形度0.93であった。
【0039】
平均粒子径30μmと1μmの水酸化アルミニウム粉末を8:2の質量比とした混合粉末を、酸素ガスをキャリアーに火炎中に乾式で噴射したこと以外は、サンプルAに準じてアルミナ粉末を製造した(サンプルD)。サンプルDは、平均粒径が34μm、平均球形度0.77であり、粒子同士が合着した平均球形度の低いものであった。
【0040】
平均粒径1μmの水酸化アルミニウム粉末を用いたこと以外は、サンプルDに準じてアルミナ粉末を製造した(サンプルE)。サンプルEは、平均粒径が4.3μm、平均球形度が0.75であり、粒子同士が合着した平均球形度の低いものであった。
【0041】
上記で得られたアルミナ粉末A、B、C、D及びEの適切量を種々混合し、それを53μmの篩いを通過させて表2に示される種々の球状アルミナ粉末を調合した。なお、実施例8は53μmの篩いを通過させないものである。また、比較例6は丸みを帯びているが角が存在する市販のアルミナ粉末(昭和電工社製、商品名「AS−30)である。
【0042】
得られた球状アルミナ粉末の平均球形度と粒度構成を以下に従い測定した。
(1)平均球形度
シスメックス社製フロー式粒子像分析装置(商品名「FPIA−1000」)を用い、自動測定した。
(2)粒度構成
コールター社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(商品名「LS−230」)を用いて測定した。
【0043】
次に、上記で得られた球状アルミナ粉末について、半導体封止材のフィラーとしての性能を評価するため、次の試験を行った。
【0044】
表3に示される割合で各種材料を混合し、これに、球状アルミナ粉末に対して0.4%のオルガノシラン系シランカップリング剤で処理された球状アルミナ粉末を内割で75体積%混合した。次いで熱ロールで10分間混練し、得られた混練物を冷却粉砕することによって樹脂組成物を調製した。これの熱伝導率、流動性(スパイラルフロー値)及び金型摩耗量を以下に従って測定した。それらの結果を表4に示す。
【0045】
(3)熱伝導率
熱伝導率測定装置(アグネ社製「ARC−TC−1型」)を用い、直径28mm、厚さ3mmの円盤状サイズに成型硬化後、室温において温度傾斜法で測定した。
【0046】
(4)流動性(スパイラルフロー値)
EMMI−66(Epoxy Molding Material Institute;Society of Plastic Industry)に準拠して行った。成型温度は175℃、成型圧力は7.4MPa、成型時間は90秒である。
【0047】
(5)金型摩耗量は、厚み6mm、孔径3mmのアルミニウム製ディスクの孔に175℃に加熱した樹脂組成物を150cm3通過させた後のディスクの質量減少量を摩耗量として評価した。
【0048】
【表1】
Figure 0004361997
【0049】
【表2】
Figure 0004361997
【0050】
【表3】
Figure 0004361997
【0051】
【表4】
Figure 0004361997
【0052】
表1〜4から明らかなように、本発明の球状アルミナ粉末を用いた半導体封止材は、熱伝導性、流動性、金型摩耗性の全てが比較例よりも優れていることが分かる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、熱伝導性、流動性及び金型摩耗性に優れた樹脂組成物、特に半導体封止材を得ることのできる球状アルミナ粉末、樹脂組成物が提供される。

Claims (3)

  1. 平均粒子径1〜40μm、平均球形度0.85以上の球状アルミナ粉末であって、粒子径2μm以下の微粉の構成割合が10〜35%で、その微粉の平均球形度が0.90以上であり、しかも粒子径20μm以上の粉末の平均球形度よりも大きいものであることを特徴とする球状アルミナ粉末。
  2. 2μm超20μm未満の構成割合が10〜60%、20μm以上の構成割合が35%以上、40μm以上の構成割合が10%以上、60μm以上の構成割合が1%以下であることを特徴とする請求項1記載の球状アルミナ粉末。
  3. 請求項1又は2記載の球状アルミナ粉末が充填されてなることを特徴とする樹脂組成物。
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