JP4361908B2 - 酸化第二銅粉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩基性炭酸銅から低塩素含有量の酸化第二銅を工程数の少ない省力化された製造設備で製造する方法に関するものである。このようにして得られたものは、メッキ用に最適な酸化第二銅である。
従来、酸化第二銅は、プリント配線板銅源、装飾メッキの下地処理、顔料、触媒、ガラスおよび陶器の着色剤、弱電部品、条虫駆除剤、肥料、他の銅化合物原料、電子複写機用キャリアー・トナー用などとして使用されている。
その製造方法は、亜酸化銅、銅の伸線・伸延時に副生するミルスケールおよび電解銅粉の微粒子を流動床あるいは移動床で400〜600℃に加熱して酸化し、粉砕、分級する加熱酸化法が知られている。また、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅などの銅化合物を500℃以上に加熱して分解後、粉砕、分級する熱分解法、塩化第二銅、硫酸銅あるいは硝酸銅などの銅化合物の溶液を80〜100℃に加熱しつつアルカリ水溶液によってpHを12以上にして酸化銅を生成させ、水洗、乾燥後、粉砕する直接湿式法、塩化第二銅、硫酸銅あるいは硝酸銅などの銅化合物の溶液を常温〜微加温でアルカリ溶液によって中性付近で中和して、水酸化銅あるいは炭酸銅をまず製造し、500℃以上に加熱して分解させ、粉砕、分級する間接湿式法、等がある。
また、最近では、塩化第二銅を含むプリント基板のエッチング排液を苛性アルカリでpH1まで中和し、この銅の溶液と苛性アルカリ水溶液とを、温度40〜50℃に保持した水溶液中に同時に滴下混合して、その溶液のpHを4〜10の範囲に保持しながら銅の水和物を生成させ、次いでpHを10以上にして加熱酸化して、析出した反応生成物を水洗かつ固液分離する方法が開発されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記の従来の製造方法では、高温で酸化させるために所定の加熱炉と熱源とを必要とし、また炭酸銅を経由する方法では、加熱分解後に不純物である塩素を除去するために洗浄を必要とし工程数が増え、省力化に繋がらないといった欠点がある。
また、エッチング排液を用いる方法では、エッチング排液に含まれる銅を酸化第二銅として回収するために、安価に製造できる利点はあるが、酸化第二銅中の不純物である塩素イオンを充分除去することができず、かつ粒子径もあまり大きくすることができない。さらにまた硫酸銅などの銅メッキ液に対する溶解性が低いことも解消すべき課題として挙げられている。
塩化第二銅の水溶液とアルカリ溶液とを反応させて酸化銅粉を得、この酸化銅粉を加熱することにより酸化銅粉が得られることが報告されているが、銅メッキ液に対する更なる溶解性と品質の向上が要求される(例えば、特許文献2)。
特開平5−319825号公報 特開2005−029892号公報
本発明は、銅メッキ液に対する溶解性がよく且つメッキ添加剤を分解しない高品質な酸化第二銅を製造するための製造方法を提供することである。
本発明は、銅メッキ液に供給される銅源である酸化第二銅粉を製造する方法において、
塩基性炭酸銅であるCuCO ・Cu(OH) と、苛性ソーダ水溶液及び/または苛性カリ水溶液である苛性アルカリ溶液と、を50〜100℃の反応温度で反応させて銅の含有量が銅元素として62〜79重量%、比表面積が20m/g以上の酸化第二銅を製造することを特徴とする酸化第二銅の製造方法である。
苛性アルカリ溶液の濃度は、例えば1〜20重量%である。苛性ソーダに対する塩基性炭酸銅のモル比(塩基性炭酸銅/苛性ソーダ)0.2〜0.45であることが好ましい。前記塩基性炭酸銅は例えばCuCO・Cu(OH)である。製造された酸化第二銅は、例えばエックス線回折スペクトルの(−1,1,1)面のピーク強度Iと基準酸化第二銅の(−1,1,1)面のピーク強度Isとのピーク強度比I/Isが0.3以下、およびエックス線回折スペクトルの(−1,1,1)面のピークの半値幅Fと基準酸化第二銅の(−1,1,1)面のピークの半値幅Fsとの半値幅比F/Fsが3.0以上である。また酸化第二銅は例えば20%硫酸水溶液中におけるビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの分解率が12.5%以下である。酸化第二銅の塩素含有量は例えば20ppm以下である。
本発明の酸化第二銅の製造方法によれば、後述の実験例から明らかなように従来法より溶解性がよく、メッキ添加剤を分解しない、工程数を減らせて省力化可能な製法で、高品位な酸化第二銅を得る事が出来、工業的に極めて有用な方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化第二銅の製造方法は、塩基性炭酸銅および苛性アルカリを用いるものである。
当該塩基性炭酸銅は、塩基性炭酸銅であれば何れでもよく、CuCO・Cu(OH)、2CuCO・Cu(OH)、5CuO・2CO・nHOおよび5CuO・3CO・nHOなどが例示でき、好ましくは本発明ではCuCO・Cu(OH)がよい。

当該苛性アルカリは、アンモニア系を除く強アルカリであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属からなる強アルカリが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
本発明の製造方法において、水溶液中(反応液中と称す)の塩基性炭酸銅/苛性アルカリのモル比は、0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、0.45以下であり、好ましくは0.375以下であり、より好ましくは0.3以下である。
該反応液中の塩基性炭酸銅/苛性アルカリのモル比が0.2未満の場合、反応の効率が悪化することがあるので好ましくない。また、塩基性炭酸銅/苛性アルカリのモル比が0.45超では酸化銅の純度が低下することがあるため好ましくない。そして塩基性炭酸銅/苛性アルカリのモル比が、0.25〜0.3では、反応液中へのCuイオンの溶解量が減少し、スラリー濃度も好ましい範囲に抑えられるので好ましい。またCu/OHのモル比が大きい場合でも反応は良好に進行するが、一方で反応液中のスラリー濃度が上昇し、液のハンドリングの悪化を招く。
本発明における反応液中の苛性アルカリ濃度は、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%であり、特に好ましくは7.5〜12.5重油%の範囲である。
本発明における反応液中の苛性アルカリの濃度が1%未満の場合でも反応は良好に進行するが、スラリー濃度が低く大量のアルカリ廃水が発生する事になるので好ましくない。また、本発明における反応液中の苛性アルカリ濃度が20%を超えると反応液中に溶解するCuの量が増加することからCu/OHのモル比を大きくする必要があり、その結果スラリー濃度が上昇し液のハンドリング悪化を招くので好ましくない。
本発明における反応液中の反応温度は、50〜100℃が好ましく、より好ましくは55〜90℃であり、特に好ましくは60〜80℃である。
反応温度が50℃未満の場合は反応速度が遅くなり長時間の反応が必要となることがあるため好ましくない。反応温度が90℃超では反応槽の材質に大きな制約が生ずるためコスト的に好ましくない。
本発明の酸化第二銅製造方法において、反応系の制御は上記の条件を反映させれば特に限定する必要はない。例えば、所定濃度の苛性アルカリ水溶液を予め調整しておき、所定の温度に加温した後、所定量の塩基性炭酸銅を投入した後、反応液の電気伝導度(EC)を測定し、この値を指標として、苛性アルカリ、もしくは塩基性炭酸銅を投入すればよい。
本発明の反応時間は20分〜10時間が例示でき、好ましくは30分〜6時間であり、より好ましくは45分〜6時間の範囲が好ましい。
反応時間が20分未満では反応温度などを高くする必要があることがあるので好ましくない。また、反応時間が10時間超えでは細かい粒子が増えることがあるため好ましくない。
本発明における反応液中のECは、12〜24S/mが好ましく、14〜22S/mがより好ましく、16〜20S/mが更に好ましい。ECが24S/m超ではスラリー濃度が低くなりアルカリ廃液の量が増加するので好ましくない。また、ECが12S/m未満であるとスラリー濃度が高くなり液のハンドリング悪化を招くので好ましくない。
反応終了後、反応液は常法に従い、固液分離、水洗浄、脱水、乾燥、必要に応じて粉砕、分級を行い製品とする。
反応終了後の固液分離は、ろ過、遠心分離、デカンテーションなどを用いることができる。
この固液分離後の水洗浄は、ハロゲンイオンを含まない水であれば如何様なものでも使用することができ、例えば純水である。洗浄については、酸化第二銅製品中の塩素イオン濃度を20ppm以下にすることが好ましい。
水洗浄後の脱水と乾燥は、酸化第二銅製品から水が除かれれば如何様な方法を用いることができる。例えば、脱水では、ろ過または遠心分離を時間を掛けることにより行うことができる。また、乾燥は、脱水したものを風乾でも真空乾燥でもよく、このとき加熱しても良い。加熱温度は50〜120℃が好ましく、より好ましくは55〜100℃であり、更に好ましくは60〜90℃である。乾燥温度を120℃超で行うと比表面積が減少することがあるので好ましくない。
○作用
本発明に係わる酸化第二銅の製造方法は、次の(1)式のような反応により行なわれると考えられる。
CuCO・Cu(OH)+2NaOH→2CuO+NaCO+2HO (1)
すなわち、(1)式に示すように、反応液中に存在する苛性アルカリにより、塩基性炭酸銅中の炭酸イオンを分離すると同時に、酸化第二銅が生成する。また、通常の500℃以上に加熱する方法と比べて本発明の製造方法では、ほとんど熱がかからないので、得られる酸化第二銅の比表面積の低下を招かない。
各種メッキの銅源として本発明の酸化第二銅を使用した場合、メッキ添加剤を分解しない特徴を有する。すなわち、本発明の酸化第二銅は、メッキ浴に使用される添加剤、例えばビス(3スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)の分解を抑制する。この分析は、サイクリックボルタメトリースイープ(CVS)やSPSを分離定量できる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することができる。
本発明の酸化第二銅は、メッキの仕上がりに悪影響となる不純物の含有量が少ない。この理由は、本発明の製造方法における塩基性炭酸銅の苛性アルカリでの処理により、メッキの仕上がりに悪影響を及ぼすCrやAs及び陰イオンであるClやBr等の不純物を効率よく分離できる事である。それゆえ、本発明の製造方法では、塩基性炭酸銅の由来によってClが多く含まれていたとしても、脱炭酸される反応中と後の洗浄工程を経る事で、塩基性炭酸銅中に存在している不純物であるCl等が低減される。このことから本発明の酸化第二銅中の塩素含有量は、20ppm以下であり、好ましくは10ppm以下である。なお、本発明の酸化第二銅中の塩素含有量は分析限界以下であった。
本発明の酸化第二銅の製造原料として用いる塩基性炭酸銅は、この出発原料が硫酸塩系、硝酸塩系、塩化物塩系の何れであっても問題なく使用することができる。
<実施例>
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、%は重量%であり、部は重量部である。
チタン製容器に1%水酸化ナトリウム水溶液を1リットル入れ70℃に加熱し、そこに塩基性炭酸銅と苛性ソーダとのモル比(以下、塩基性炭酸銅/苛性ソーダをCu/OHと記載する)が0.25になるように塩基性炭酸銅を投入し1時間反応させた。その後、固液分離し、10倍量の水で洗浄し、70℃で乾燥してサンプルAとした。そしてこのサンプルAの、銅含有量をキレート滴定で測定し、この結果を表1に記載した。
○銅含有量の分析方法
酸化第二銅の分析はキレート滴定で行った。手順は、まず酸化第二銅10gを精秤し、8mol/Lの塩酸約35ml及びイオン交換水を加え、加熱溶解させた。その後、この溶液を室温に冷却しイオン交換水で1000mlにメスアップした。この液10mlに、イオン交換水100ml、1mol/Lの塩化アンモニア水溶液10ml及びムレキシド希釈粉末0.2gを加えた後、アンモニア水でpH8付近まで中和し、1/20mol/LEDTA水溶液で滴定し、銅含有量を測定した。
○塩素濃度の分析方法
測定装置:平沼産業株式会社自動滴定装置C−2012
酸化第二銅10gを200mlのビーカーに取りM/20硝酸銀10mlを加えた後、イオン交換水20ml及び7mol/L硝酸50mlを加え加熱溶解した。冷却後に平沼自動滴定装置(C−2012)を用いて過剰な硝酸銀1/20mol/LNHSCNで逆滴定し、前もって測定していたブランク値より差し引き塩素濃度を算出した。
Cu/OHのモル比を0.4にした以外は実施例1と同様に操作し、サンプルBを作製した。そしてこのサンプルBの、銅含有量を測定し、この結果を表1に記載した。
<比較例1>
Cu/OHのモル比を0.5にした以外は実施例1と同様に操作し、比較サンプルAを作製した。そしてこの比較サンプルAの、銅含有量を測定し、この結果を表1に記載した。
<比較例2>
Cu/OHのモル比を0.1にした以外は実施例1と同様に操作し、比較サンプルAを作製した。そしてこの比較サンプルBの、銅含有量を測定し、この結果を表1に記載した。
Figure 0004361908
その結果、比較例1のサンプルでは銅含有量が低下する事がわかった。
1%の水酸化ナトリウムを10%の水酸化ナトリウムにした以外は実施例1と同様に操作し、サンプルCを作製した。そしてこのサンプルCの、銅含有量を実施例1と同様に測定し、この結果を表2に記載した。
1%の水酸化ナトリウムを20%の水酸化ナトリウムにした以外は実施例1と同様に操作し、サンプルDを作製した。そしてこのサンプルDの、銅含有量を実施例1と同様に測定し、この結果を表2に記載した。
<比較例3>
1%の水酸化ナトリウムを0.5%の水酸化ナトリウムにした以外は実施例1と同様に操作し、比較サンプルCを作製した。そしてこの比較サンプルCの、銅含有量を測定し、この結果を表2に記載した。
Figure 0004361908
その結果、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を上げると銅含有量が増加し、得られる酸化第二銅の純度が上昇する傾向にある事がわかった。
チタン製容器に10%水酸化ナトリウム水溶液を1リットル入れ50℃に加熱し、そこにCu/OHのモル比が0.25となるように塩基性炭酸銅を投入して1時間反応させた。その後、固液分離し、10倍量の水で洗浄し、70℃で乾燥してサンプルEとした。そしてこのサンプルEの、銅含有量をキレート滴定で測定し、この結果を表3に記載した。
50℃の反応温度を80℃にした以外は実施例5と同様に操作し、サンプルFを作製した。そしてこのサンプルFの、銅含有量を測定し、この結果を表3に記載した。
<比較例4>
50℃の反応温度を40℃にした以外は実施例5と同様に操作し、比較サンプルDを作製した。そしてこの比較サンプルDの、銅含有量を測定し、この結果を表3に記載した。
Figure 0004361908
その結果、反応温度は50℃程度でも反応は良好に進むことが確認できた。ただし、温度が高いほうが銅含有量が増加する傾向が確認できた。
1時間の反応時間を2時間にした以外は実施例5と同様に操作し、サンプルGを作製した。そしてこのサンプルGの、銅含有量を測定し、この結果を表4に記載した。
1時間の反応時間を4時間にした以外は実施例5と同様に操作し、サンプルHを作製した。そしてこのサンプルHの、銅含有量を測定し、この結果を表4に記載した。
1時間の反応時間を6時間にした以外は実施例5と同様に操作し、サンプルIを作製した。そしてこのサンプルIの、銅含有量を測定し、この結果を表4に記載した。
Figure 0004361908
その結果、反応時間の長時間化は酸化第二銅中の銅含有量にあまり影響を与えない事が確認できた。
チタン製容器に10%水酸化ナトリウム水溶液を3リットル入れ70℃に加熱し、そこにCu/OHのモル比が0.25となるように塩基性炭酸銅を投入して1時間反応させた。その後、10%水酸化ナトリウム水溶液と塩基性炭酸銅とを連続的に投入し、容器内の反応液が2回入れ替わった段階で検体を採取した。更にこの操作と反応を続け、容器内の反応液が4回、6回および8回入れ替わった段階で検体を採取した。採取した検体は、固液分離し、10倍量の水で洗浄し、70℃で乾燥してサンプルJ〜Nとした。そしてこのサンプルJ〜Nの、銅含有量をキレート滴定で測定し、この結果を表5に記載した。
Figure 0004361908
その結果、得られた酸化第二銅中の銅含有量は安定しており、反応中の液の状態が良好な状態を維持して推移している事が確認できた。よって、バッチではなく連続的に生産が可能であることが確認できた。
<比較例5>
塩基性炭酸銅を400℃〜600℃で熱分解して酸化第二銅を作製した(比較サンプル1)。
銅源として実施例3で作製したサンプルCから調製したメッキ模擬液(ハイスロー浴と言われるメッキ液を参考に銅を硫酸銅五水塩換算で100g/リットルと200g/リットルの硫酸とを含有)に一般的にメッキに使用される添加剤ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)を5ppm添加して分析試料とした。
その後、液中に存在するSPSの濃度をHPLCを用いてSPS残存率を測定した。この結果、SPS残存率は93%であった。なお、対照は、メッキ模擬液にSPSを添加して同様の操作を行い、そしてSPS量を測定し、この値を用いた。
HPLCの分析条件
カラム:Waters製Atlantis dC18
溶出液:A液/20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH2.4)、B液/アセトニトリル
B液濃度/1%(0〜1分)→(4%/分)→41%(11分)
検出:PDA(190〜400nm)247nm

比較サンプル1についても同様に操作した結果、SPS残存率は18%であった。
その結果、従来品の酸化第二銅のSPS残存率が低いものであるのに対し、本発明で得られた酸化第二銅のSPS残存率は良く、従来品に比べて本発明による酸化第二銅はSPSを殆ど分解しない事が確認できた。
メッキ液には、実際に装飾メッキに使用されている硫酸銅浴のものを用いた。即ち、液温20℃のメッキ液500mlに実施例3で作製したサンプルCを5g入れ、200rpmで2分間撹拌した。その後ろ過して不溶分量を測定した。この結果、ほぼ100%溶解していた。そして、溶解試験中における溶液の伝導率を測定し、この結果を図1に記載した。
比較サンプル1についても同様に操作した結果、溶解率は60%であった。また比較サンプル1についても試験中の伝導率を測定し、この結果を図1に記載した。
その結果、従来品の酸化第二銅では溶けにくかったメッキ液に対しても、本発明による酸化第二銅は良好に溶解した。また、繰り返し試験によりこの傾向の再現性が確認された。
実施例3で作製したサンプルC比表面積の測定をBET一点法で行った結果、表面積は
31m/g
であった。また、比較サンプル1についても同様に測定した結果
5.7m/g
であった。
その結果、従来品に比べて本発明による酸化第二銅は比表面積が一桁大きい事が確認できた。従って本発明の酸化第二銅は溶解性が既述のように大きいと推測できる。
<比較例6>
塩基性炭酸銅を600℃で30分間熱分解して酸化第二銅を作製した(比較サンプル2)。
実施例3で作製したサンプルCのエックス線回折スペクトルを測定(図2 )し(−1,1,1)面のピーク強度(I)と半値幅(F)を測定した。また、比較サンプル2についても同様に測定(図3 )した。図2及び図3の縦軸はX線強度(カウント数)、横軸は回折角であるなお、基準とした酸化第二銅は、実施例3で作製したサンプルCおよび比較サンプル2を800℃で8時間処理したものを用いた。この基準とした酸化第二銅についてエックス線回折スペクトルを測定(図4)し(−1,1,1)面のピーク強度(Is)と半値幅(Fs)を測定した。得られたピーク強度と半値幅について表6 に示す。
Figure 0004361908
その結果、従来品に比べて本発明による酸化第二銅は結晶化度が低い事が確認できた。
サンプルCと比較サンプル1とにおける溶解試験中の伝導度の経過を示す。 サンプルCのエックス線回折スペクトル 比較サンプル2のエックス線回折スペクトル 基準酸化第二銅のエックス線回折スペクトル
符号の説明
図1の横軸は、経過時間(秒)を示す。
図1の縦軸は、伝導度(S/m)を示す。
図1の「×」はサンプルCにおける伝導度の経過を示す。
図1の「○」は比較サンプル1における伝導度の経過を示す。

Claims (6)

  1. 銅メッキ液に供給される銅源である酸化第二銅粉を製造する方法において、
    塩基性炭酸銅であるCuCO ・Cu(OH) と、苛性ソーダ水溶液及び/または苛性カリ水溶液である苛性アルカリ溶液と、を50〜100℃の反応温度で反応させて銅の含有量が銅元素として62〜79重量%、比表面積が20m/g以上の酸化第二銅を製造することを特徴とする酸化第二銅の製造方法。
  2. 苛性アルカリ溶液の濃度が1〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載の酸化第二銅の製造方法。
  3. 苛性ソーダに対する塩基性炭酸銅のモル比(塩基性炭酸銅/苛性ソーダ)が0.2〜0.45であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化第二銅の製造方法。
  4. 酸化第二銅におけるエックス線回折スペクトルの(−1,1,1)面のピーク強度Iと基準酸化第二銅の(−1,1,1)面のピーク強度Isとのピーク強度比I/Isが0.3以下、およびエックス線回折スペクトルの(−1,1,1)面のピークの半値幅Fと基準酸化第二銅の(−1,1,1)面のピークの半値幅Fsとの半値幅比F/Fsが3.0以上、であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の酸化第二銅の製造方法。
  5. 20%硫酸水溶液中におけるビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの分解率が12.5%以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の酸化第二銅の製造方法。
  6. 酸化第二銅の塩素含有量が20ppm以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の酸化第二銅の製造方法。
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