JP4361845B2 - 発光管及び低圧水銀放電ランプ - Google Patents
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Description
電球形蛍光ランプは、もともと一般白熱電球より消費電力が小さく、省エネルギー化がされていたが、サイズ的に一般白熱電球よりも大きいために、一般白熱電球を用いている既存の照明装置に当該電球形蛍光ランプを装着できなかったり、照明装置から電球形蛍光ランプの先端部分が張り出したりして、その普及の妨げとなっていた。
表1に、1996年、2000年、2004年に発売された電球形蛍光ランプ(一般白熱電球60W形に相当する。)の主要寸法及びランプ効率等の推移を示す。なお、60W形の一般白熱電球は、その最大外径(図1のD1に相当する。)が60(mm)、全長(図1のL1に相当する。)が110(mm)である。
これに対し、2004年に発売された電球形蛍光ランプは、最大外径が55(mm)、全長が110(mm)と一般白熱電球と同じ大きさであり、目標どおりの小形化を達成している。また、ランプ効率は67.5(lm/W)であり、1996年に発売されたものと比較してランプ効率が17%程度向上している。
しかしながら、最近の電球市場では、一般白熱電球に代わってより小形化されたミニクリプトン電球が主流になりつつある。このミニクリプトン電球は、例えば、60W形であれば、最大外径が35(mm)、全長が67(mm)のサイズとなっている。なお、ミニクリプトン電球60W形の発光光束は、前記一般白熱電球及び電球形蛍光ランプの発光光束と同じ810(lm)である。
本発明は、このような問題を解決するためのもので、ランプ効率及び発光光束を維持しつつ、一層の小形化が可能な発光管及びこの発光管を用いた低圧水銀放電ランプを提供することを目的とする。
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る低圧水銀放電ランプは、発光管と、口金と、前記口金を介して外部電源から給電され前記発光管を点灯させる点灯回路とを備え、前記発光管は、上記の発光管であることを特徴とし、また、発光管と、口金とを備え、前記発光管は、上記の発光管であることを特徴としている。
しかも、前記発光管は、例えば、外周径(mm)が35(mm)、長さ(mm)が40(mm)の円筒内に収まるので、この発光管を用いてランプを構成した場合、例えば、ミニクリプトン電球60W形を用いている既存の照明装置へのこのランプの適合率を70%とすることもできる。
以下、ミニクリプトン電球60W形に相当する電球形蛍光ランプ(以下「ランプ」という。)の発光管に本発明を適用させた実施の形態について図を用いて説明する。
1.構成について
(1)全体構成
図1は、実施の形態におけるランプを示す全体図であり、内部の様子が分かるように一部を切り欠いている。
保持部材210は、例えば、周壁220と、当該周壁220一端を塞ぐ底壁とを有する有底筒状をしている。底壁には発光管の端部を内部に受け入れる受入口を1対備える。
ケース250は、例えば、コーン状をしており、開口の大きい大径部側が保持部材210の周壁220に被嵌して、内部に上記電子安定器300を収納するようになっている。ケース250の開口の小さい小径部側には、一般白熱電球と同型の口金380が取り付けられている。
グローブ400の頂部406(図1における上端)の内周面は、発光管110の頂部(図1における上端)の凸部126に、熱伝導性媒体410、具体的には、シリコン樹脂を介して熱的に結合されている。これは、ランプ点灯時における発光管110の熱を熱伝導性媒体410を介してグローブ400に伝え、このグローブ400から放熱させることで、点灯時の発光管110の温度を、最高領域の発光光束が得られる最適範囲(60〜65℃程度)の温度とするためである。
図2は、発光管を示す図であり、内部の様子が分かるように一部を切り欠いている。
発光管110は、図2に示すように、ガラス管120をその中央で折り返して形成した折り返し部121と、この折り返し部121から両端部124、125までを旋回軸A(本発明の所定の軸に相当する。)を中心としてB1方向(この方向を、以下、「旋回方向」ともいう。)に旋回させた2つの旋回部122、123とからなる二重螺旋形状をしている(この二重螺旋形状をしたガラス管120を、「発光管本体115」という。)。なお、旋回軸Aと平行な方向を、以下、「旋回軸方向」という。
発光管本体115内の空間の端部に相当する部分、つまりガラス管120の両端部124、125には、フィラメントコイル131と、フィラメントコイル131をビーズガラスマウント方式により架持する一対のリード線133、134とからなる電極130が封着されている。フィラメントコイル131は、タングステン製の素線を複次、例えば、3次巻きしたものであって、最終次の巻き数が略1回である。なお、このフィラメントコイル131には、電子放射物質が充填されている。
上記構成の発光管110は、図1に示すように、その端部(ガラス管120の端部124,125)が、有底筒状の保持部材210の底壁の受入口から内部に挿入された状態で、保持部材210の内周面に接着剤390を介して固着されることで、保持部材210による保持されている。
ミニクリプトン電球60W形に相当するグローブ有りタイプのランプに本発明を適用する場合について説明する。
まず、本ランプ100は、ミニクリプトン電球60W品に相当する光量を必要とするため、発光管110の両旋回部122、123の旋回数を合せて略4.5周としている。
発光管110の状態におけるガラス管120の寸法は、内径Diが4.0(mm)、外径Doが5.6(mm)である。発光管110の大きさは、その外周径Daが35(mm)で、全長Laが40(mm)である。
二重螺旋形状のガラス管120におけるピッチ拡大位置は、ガラス管120の端部124、125から旋回軸Aの廻りに90(°)折り返し部121側へと旋回した位置である。
従って、旋回軸方向に隣合うガラス管120の最小の隙間は略1.0(mm)となる。この隙間は3.0(mm)以下が好ましい。これは、隙間が3.0(mm)より大きくなると、発光管110の全長が長くなると共に、隣合うガラス管120が旋回軸方向に離れるために輝度ムラを生じるからである。
発光管本体115内には、水銀が約3(mg)、また、緩衝ガスとしてアルゴンガスが400(Pa)でそれぞれ封入されている。
上記構成のミニクリプトン電球60W形に相当する本ランプ100は、代替対象のミニクリプトン電球に対してサイズ的に大きいものの、従来の一般白熱電球60W形に対して小形化が図られ、ミニクリプトン電球用の照明装置への本ランプ100の適合率は65%である。なお、一般白熱電球60W形に相当する従来の電球形蛍光ランプ(表1における2004年販売品)の適合率は20〜30(%)であることから、本ランプ100は、従来の電球形蛍光ランプに比べて、ミニクリプトン電球用の照明装置への適合率が飛躍的に向上しているのがわかる。
(1)検討内容
発明者らは、ミニクリプトン電球代替品として電球形蛍光ランプを適用すべく、ランプの小形化及び省エネルギー化を、当初、従来のランプを小形化してきた方法、つまり、ガラス管を細くして管壁負荷を低下させる方法で検討したが、ガラス管が細くなった分、放電路長が長くなり発光管としてさほど小形化できなかった。また、発光管についても、より小形化できる形状・構造等も検討をしたが、現在のスパイラルタイプより優れたものは見出されなかった。
これは、ガラス管の管径を細くすると、基本的に陽光柱プラズマにおける電子温度が高くなり、これにより水銀からの253.7(nm)の紫外線放射の発生効率が増大できて、ランプ効率が向上するからである。
この考えを逆に言うと、細いガラス管を用いても発光管の放電路長を長くしないと、ランプ電流密度が高くなり、ガラス管を細くしたことによるランプ効率の向上がランプ電流密度の増大による低下で相殺されると考えられていた。
図3は、発光管の管壁負荷を変えたときの各管壁負荷における発光管の内径Diとランプ効率Eとの関係を示す図である。この図は、発光管の管壁負荷L(W/cm2)を、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の5種類に設定し、発光管の内径Di(mm)が、2.5、4.0、5.5、7.4の4種類を製作(放電路長は、各発光管の内径から所定の管壁負荷になるように決められる。)して、この発光管を用いて実際に点灯試験を行った結果である。
また、点灯試験は、口金を上にした状態でランプが室温で点灯されている。また、各発光管内に希ガスとして、400(Pa)のアルゴンガスが封入され、ランプ消費電力及び発光管電力は、それぞれ12(W)及び10.9(W)である。
従って、内径Diが2.5(mm)〜5.5(mm)の範囲では、管壁負荷Lを従来の0.1(W/cm2)程度に対して、0.3(W/cm2)程度にまで大きくしても、ランプ効率Eは、従来とさほど変わらずに、67.5(lm/W)を維持できるのである。
次に、この理由について説明する。
内径Diが2.5〜5.5(mm)の範囲で生じる特異な現象は、この範囲へ内径Diを細くしたことによるランプ効率Eの向上割合が、管壁負荷Lを増大させランプ電流密度を高めたことによるランプ効率Eの低下割合を大きく上まわった故と言える。つまり、前述のように基本的には、この範囲へ内径Diを細くしたことによる陽光柱プラズマにおける電子温度の上昇割合が、ランプ電流密度を高めたことによる電子温度の低下割合を上まわった故である。
発明者らは、ミニクリプトン電球の代替を目的に検討し、その目標を、ランプ効率を67.5(lm/W)以上、ランプの全長L1を100(mm)以下とした。この値とした理由は、ランプ効率については現行の電球形蛍光ランプ60W形と同じ以上にするためであり、ランプの全長L1については、既設のミニクリプトン電球用照明装置への本発明にかかるランプの装置適合率を60(%)以上にするためである。なお、発明者らによる調査では、既設のミニクリプトン電球用照明装置への適合率を60(%)以上にするには、ランプの全長L1を100(mm)以下にする必要があった。
先ず、ランプ効率Eが67.5(lm/W)以上となるのは、図3に示す線X1よりも上の範囲である。すなわち、各内径Diにおいて線X1上の管壁負荷Lよりも小さい管壁負荷Lの値であれば、ランプ効率Eが67.5(lm/W)以上となる。
ここで、境界となる線X上に位置するA1、A2、A3、A4及びA5点における内径Diと管壁負荷Lは、内径をDi(mm)、管壁負荷をL(W/cm2)としてそれぞれを直交座標(Di、L)で表すと、A1点が(2.5、0.31)、A2点が(4.0、035)、A3点が(5.5、0.30)、A4点が(6.5、0.19)、A5点が(8.0、0.10)となる。
B.サイズについて
図4は、発光管の管壁負荷Lを変えて、各管壁負荷Lにおける発光管の内径Diとランプ全長L1との関係を示す図である。この図は、上記構成で説明した発光管を用い、その管壁負荷L(W/cm2)を、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の5種類に設定し、発光管の内径Di(mm)が、2.5、4.0、5.5、7.4の4種類を製作(放電路長は、各発光管の内径から所定の管壁負荷になるように決められる。)して、この発光管を用いて実際にランプを製作し、その全長を測定した結果である。なお、管壁負荷Lが0.35(W/cm2)のときの値は、4種類の管壁負荷Lでの試験結果を基に求めたものであり、実際の試験結果ではない。
ここで、境界となる線Y1上に位置するA6、A7、A8点における内径Diと管壁負荷Lは、内径をDi(mm)、管壁負荷をL(W/cm2)としてそれぞれを直交座標(Di、L)で表すと、A6点が(2.5、0.01)、A7点が(4.4、0.10)、A8点が(5.8、0.15)となる。
(3)まとめ
上記の結果から、図5において、線分X2よりも下の領域(線分X2は含む。)では、ランプ効率が67.5(lm/W)以上となり、一方、線分Y2よりも上の領域(Y2は含む。)では、ランプの全長L1が100(mm)以下となる。
従って、発光管の製造を考慮し、ランプ効率Eが67.5(lm/W)以上で、ランプの全長L1が100(mm)以下となるのは、線分X2、線分Y2、線分Zに囲まれた領域の内径Diと管壁負荷Lということになる。
<第2実施の形態>
以下、ミニクリプトン電球40W形に相当する電球形蛍光ランプ(以下、単に、「ランプ」という。)500の発光管に本発明を適用させた実施の形態について説明する。
図6は、実施の形態におけるランプを示す全体図である。
ランプ500は、図6に示すように、ガラス管510を二重螺旋形状に湾曲させてなる発光管520と、発光管520を保持する有底筒状の保持部材530と、発光管520を点灯させるための電子安定器(図省略)と、保持部材520に被嵌して電子安定器を覆うコーン状のケース540とを備え、ケース540における発光管510と反対側にE型の口金541が装着されている。
また、発光管510の基本構成も、前記ランプ100の発光管110に準じたものである。この場合、特に発光管510の内径Diと管壁負荷Lを前記図5と同じ範囲に、規定することにより、ミニクリプトン40W代替に適応した小形で省エネルギーの電球形蛍光ランプが得られた。
本ランプ500は、ミニクリプトン電球40W品に相当する光量を必要とするため、発光管520の両旋回部521,522の旋回数を合せて略3周となるようにしている。
ランプ500の大きさは、最大外径D2が35(mm)、全長L1が67(mm)であり、ミニクリプトン電球40W(最大外径35mm、全長67mm)と略同等にまで小形化されている。
ガラス管510は、上記のミニクリプトン電球60W形相当品と同様に、内径が4.0(mm)、外径が5.6(mm)のものが用いられている。なお、ガラス管510には、例えば、ストロンチウム・バリウムシリケイトガラスからなる軟質ガラスを用いられているほか、発光管における端部からのピッチ拡大位置、ピッチ、旋回角度等は、上記のミニクリプトン電球60W形相当品と同じである。
このランプ500をランプ電力8Wで点灯させたとき、その全光束が510(lm)、ランプ効率が63.8(lm/W)であった。また、本ランプの定格寿命時間も、上記のミニクリプトン電球40W形相当品と同様の4500〜5000(Hr)が得られている。
以上、本発明を各実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記各実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例をさらに実施することができる。
1.ランプについて
実施の形態では、本発明に係るランプは、主に、ミニクリプトン電球の代替を目的に様々な検討が行われ、発光管の内径が小さいほど、管壁負荷の変化に伴うランプ効率の変化が小さいことを見出した。この現象は、発光管の形状が二重螺旋形状に限定して生じるものではなく、発光管の形状が、例えば、「U」字状に湾曲するガラス管を複数本、例えば、4本連結したような形状、直管状のガラス管を複数本連結して隣接するガラス管を相互に上下で連結するような形状、ガラス管を1本用いた直管形状、ガラス管を1本用いて湾曲させた円環形状であっても、さらには、ガラス管の軸心が一平面内に位置するような一重又は二重螺旋形状、外観形状が円錐状をした一重又は二重の螺旋形状であっても生じ得ると考えられる。
さらに、実施形態では、ミニクリプトン電球の代替としてのランプについて説明したが、本発明の発光管は、例えば、発光管を点灯させる点灯回路を備えず、口金が片口金を使用した蛍光ランプにも適用できる。つまり、本発明は、低圧水銀放電ランプの一種であるコンパクトタイプのような発光管にも適用できるのである。なお、口金、保持部材、ケースの形状は、各実施の形態で説明した形状に限定するものではない。
2.緩衝ガスについて
実施の形態では、発光管内に緩衝ガスとしてアルゴンガスを用いたが、緩衝ガスは、アルゴンガスに限定するものではない。例えば、緩衝ガスとして、2種以上のガスを混合した混合ガスであっても良い。
110 発光管
120 ガラス管
220 保持部材
250 ケース
300 電子安定器
400 グローブ
Claims (3)
- 内部に1本の放電路となる空間を有する発光管本体と、前記空間の両端に相当する前記発光管本体の各端部に封着された電極とを備える低圧水銀放電ランプ用の発光管であって、
前記発光管本体は、1本のガラス管からなり、前記ガラス管の中央部で折り返されて形成された折り返し部からガラス管の両端までが所定の軸の廻りを旋回する二重螺旋形状をし、
前記発光管の内径と前記発光管の管壁負荷は、前記発光管の内径をDi(mm)、管壁負荷をL(W/cm2)とし、DiとLの直交座標で表すときに、点(2.5、0.31)、点(4.0、0.35)、点(5.5、0.30)、点(6.5、0.19)及び点(2.5、0.01)により囲まれた範囲(但し、前記発光管の内径が5mm以上は除く)内に規定されていることを特徴とする発光管。 - 発光管と、口金と、前記口金を介して外部電源から給電され前記発光管を点灯させる点灯回路とを備える低圧水銀放電ランプにおいて、前記発光管は、請求項1に記載の発光管であることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。
- 発光管と、口金とを備える低圧水銀放電ランプにおいて、前記発光管は、請求項1に記載の発光管であることを特徴とする低圧水銀放電ランプ。
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