JP2007103168A - 発光管及び発光管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 渦巻き形蛍光ランプなどの略一平面内を渦巻き状に巻回された巻回部を有する発光管において、従来より高いランプ効率を実現する発光管を提供する。
【解決手段】 略一平面内を渦巻き状に巻回された巻回部を有する発光管本体と、前記発光管本体の両端部に配設された一対の電極とを有する発光管であって、前記発光管本体の陽光柱領域に相当する横断面の内周の形状が、前記平面と略垂直な方向に扁平(bi<ai)である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、発光管及び発光管の製造方法に関する。
省エネルギー及び省資源の時代を迎えて、近年は照明分野においても、従来の蛍光ランプを代替する種々のコンパクト蛍光ランプの開発が進められている。
特許文献1に開示された渦巻き形蛍光ランプの、その発光管を構成する発光管本体は、略一平面内において渦巻き状に巻回した巻回部を有している。このため、従来の環形蛍光ランプと同等のコンパクト性でありながら、放電距離を稼いで発光量を増大させることが可能である。
特開2005−158467号公報 特開平9−92154号公報 意匠登録第969870号公報(正面図) 特開平9−45283号公報 独国特許発明第860675号明細書 独国特許発明第871927号明細書
この渦巻き形蛍光ランプが環形蛍光ランプに取って代わる存在になるためには、コンパクト性に加えて、高いランプ効率を実現することが急務である。
しかしながら、渦巻き形蛍光ランプにおいては、同ワットタイプ(例えば48Wタイプ)の環形蛍光ランプと比べて、十分なランプ効率の向上を実現できていないのが現状である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、渦巻き形蛍光ランプなどの略一平面内を渦巻き状に巻回された部分を有する発光管において、従来の環形蛍光ランプより高いランプ効率の実現を可能とする発光管及びそのような発光管の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の発光管は、略一平面内を渦巻き状に巻回された巻回部を有する発光管本体と、前記発光管本体の両端部に配設された一対の電極とを有する発光管であって、前記発光管本体の陽光柱領域に相当する横断面の内周の形状が、前記巻回部の巻回平面と略垂直な方向に扁平であることを特徴としている。
また、本発明に係る請求項2に記載の発光管は、請求項1に記載の発光管であって、前記横断面における内周形状の扁平率は、0.31〜0.81であることを特徴としている。
また、本発明に係る請求項3に記載の発光管は、請求項1または2に記載の発光管であって、前記扁平な横断面の内周における前記巻回平面と略垂直な方向の縦内径が、3.5mm〜9.0mmであることを特徴としている。
また、本発明に係る請求項4に記載の発光管の製造方法は、外観視略円錐体形状をした二重螺旋体のガラス管を準備する準備工程と、前記二重螺旋体としてのガラス管をその管軸が略同一平面上に並ぶところまで平坦になるように変形させる平坦化工程と、平坦化されたガラス管を、その横断面が前記平面と略垂直な方向に扁平になるように変形させる扁平化工程と、を含むことを特徴としている。
また、本発明に係る請求項5に記載の発光管の製造方法は、請求項4に記載の発光管の製造方法であって、前記二重螺旋体のガラス管を対向面が略平行な一対の平板の間に配し、両平板の間隔を規制部材が規制する所定間隔まで狭めることにより、前記平坦化工程と前記扁平化工程を一連の工程で行うことを特徴としている。
本発明に係る発光管によれば、陽光柱領域に相当する横断面の内周の形状が、前記巻回平面と略垂直な方向に扁平であるので、内周の径が長い巻回平面方向への光放射割合を減らすことができるので発光損失を抑制し、ランプ効率を向上させることが可能となる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本実施の形態に係る二重渦巻き形蛍光ランプ1の平面図であり、発光管2の内部がわかるよう一部を切り欠いて示している。図1(b)は二重渦巻き形蛍光ランプ1の正面図である。
二重渦巻き形蛍光ランプ1は管入力48Wタイプであり、発光管2と、発光管2の両端部に取り付けられた口金3,4とを備えている。
二重渦巻き形をした発光管2は、発光管本体5とこの発光管本体5内の両端部6,7に設けられた電極8,9とを備えている。
発光管本体5は、バリウム・ストロンチウムシリケートガラス(軟化点675℃の軟質ガラス)製である。
発光管本体5内面には、蛍光体層10が形成され、その内部には図示しない水銀及び希ガスが封入されている。
蛍光体層10は、例えば、赤(Y23:Eu3+)、緑(LaPO4:Ce3+,Tb3+)及び青(BaMg2Al1627:Eu2+)の各色を発光する蛍光体を混合した希土類蛍光体を塗布することで形成されている。
発光物質である水銀は、発光管本体5内部に水銀単体の形態で5mg封入されている。なお、水銀の封入形態は、上記水銀単体の形態の他に、ビスマス・インジウム水銀などのアマルガムの形態で封入してもよい。
希ガスとしては、発光管本体5内に、アルゴン(Ar)が封入圧が約500Paとなるように封入されている。
発光管本体5は、中央部11と、この中央部11を挟んで対向する両端部6,7と、両端部6,7と中央部11との間に位置し、渦巻き状に巻回する巻回部12とからなる。
なお、端部7には、排気管13(発光管本体5排気後に、先端部封止)が封着されている。
巻回部12は、中央部11から時計回りに一方の端部7まで巻回する右巻回部14と、同じく中央部11から時計回りに他方の端部6まで巻回する左巻回部15とからなる。したがって中央部11は右巻回部14と左巻回部15の折り返し部となっている。
発光管本体5は、その管軸が略同一平面内に含まれている。なお、必ずしも管軸が全長に亘って同一平面内に含まれている必要はなく、少なくとも巻回部12の管軸が略同一平面内に含まれていればよい。
電極8,9はタングステンフィラメントコイルであって、それぞれリード線16a,16b、リード線17a,17bを有している。
リード線16a,16b及びリード線17a,17bは、発光管本体5内から外部に延出しており、口金3,4の電源接続端子ピン19a,19bと電気的に接続される。
なお、ランプ1は、口金3,4を介して図示しない灯具に取り付けられ、この灯具に設けられた高周波専用の電子安定器により点灯される。点灯時(放電時)には、発光管本体5内の一対の電極8,9間のほぼ全域が柱状をした陽光柱領域となる。
発光管本体5は、中央部11を除く、残り全ての部分の横断面が、巻回部12の巻回平面と略垂直な方向(以下、巻回平面の方向を「横方向」といい、この方向に略垂直な方向を「縦方向」という場合がある。)に扁平となっている。
なお、中央部11は、点灯時に最冷点が形成される箇所であり、ランプ効率が最大となる最冷点温度(55℃〜65℃)になるようにその形状は設計されている。
図2は、図1のA−A線における断面図である。なお、図2では蛍光体層10を取り除いた状態で示している。
図2に示すように、横断面の内周(内側の線)の形状は、従来のような円形ではなく、縦方向に扁平となっている。横断面の形状は競争路状(トラック状)であるとも言い得る。
このように、横断面の形状が扁平であるため、特に縦内径が短い分、陽光柱プラズマ領域における電子及び水銀イオンの管内壁への拡散距離を実質的に短くすることが可能となる。
このため、電子温度を上昇させて、蛍光体膜10(図1参照)において可視光に変換される253.7nmの紫外線の放射効率を増大させることができ、もって発光効率を向上させることが可能となる。
また、縦内径が短いため、発光管2からは、その巻回平面と垂直な方向へ放射される光の割合が多くなるため、例えば発光管2を備えた蛍光ランプ1をその巻回平面が水平になるように設置した場合に、直下方向(直上方向)への照度を強めることができ、照明用途に有用である。
その一方で、横内径が長い分、発光管2からは巻回平面に平行な方向へ放射される光の割合が少なくなる。従って、放射された光が発光管2の巻回部12等に吸収されること、すなわち発光損失をも抑制できる。
この点、限られた空間内で放電距離を稼ぐために、巻回部12の渦巻き部分どうしの隙間が狭化する状況にある。本実施の形態によれば、上記隙間が狭くなっても発光損失を抑制でき、コンパクト性と高ランプ効率を両立し得ることとなる。
なお、電極8,9が設けられる位置は、陽光柱プラズマ領域でないため、この電極8,9の位置に相当する発光管本体5の両端部の横断面は略円形としても構わない。
次に、蛍光ランプ1の各部材の具体的な寸法を記す。
発光管本体5の最大外囲径D=186mm、巻回部12間の隙間=3.5mm、発光管本体5の平均肉厚t=0.9mm、電極8,9間距離=1300mm、中央部11の最大管外径=17.5mm、横断面の横内径ai=16.1mm、横断面の縦内径bi=6.0mm、横断面の直線部分c=8mm。
この寸法の蛍光ランプ1を試作して、特性測定を行ったところ、管入力48Wにおいて初期光束4820(lm)でランプ効率100.4(lm/W)という良好な結果が得られた。
なお、比較のため管内径11.2mm、管外径13.0mmの横断面が略円形で、巻回部間の隙間が約8.8mmの発光管本体(本実施の形態に係る発光管本体5は、この発光管本体を扁平に加工したものである。)を製作し、これを備えたランプの特性を測定したところランプ効率は、89.9(lm/W)に過ぎなかった。
続いて、発光管本体の縦内径(bi)の長さとランプ効率との関係等を調べた試験の結果について述べる。
図3は、本試験結果を示す図であり、図3(a)は、縦内径(bi)とランプ効率の関係を示し、図3(b)は試験に用いたランプの扁平率を示す。
ここで、扁平率fの計算式は次に示す通りである。
f=[(aiーbi)/ai]
本試験は、図1と同様の構成を備えたランプにおいて、横断面の内側の外囲全長(約35mm)を固定して、縦内径(bi)及び横内径(ai)の2つの寸法パラメータを変化させることによって行った。
同図に示すように、主としてランプ効率は縦内径に依存しており、特に、縦内径が3.5mm〜9.0mmの範囲において、同ワットタイプ(48W)の環形蛍光ランプのランプ効率92.9(lm/W)と比べて、5%以上[92.9(lm/W)×1.05=97.5(lm/W)]高い結果が得られ、有効な高効率(省エネ)化を実現できる結果となった。
ここで、縦内径が3.5mmより小さくなるとランプ効率が下がるのは、陽光柱プラズマ領域において電子温度が過度に上昇して、185nm紫外線や電極損失の増大と、253.7nm紫外線の相対的な減少をもたらしたことに起因する。なお、図3(b)における「評価」の項目において、「○」は5%以上の高い結果が得られたものを、「△」はランプ効率の向上は見られたものの著しいものではなかったことを示す。
続いて、本実施の形態に係る発光管の製造方法について説明する。
<発光管の製造工程の概略>
図4は、発光管を製造する工程の概略を説明するための図である。
最初に製造工程の流れを簡単に説明し、その後各工程について説明する。
先ず、図4の(a)に示すように、直管状のガラス管21を用意し、このガラス管21を加熱により軟化させる。続いて、図示しない円錐状の形成治具の錐面に沿って巻き付け、両端部の不要な部分を切断により除去することにより、図4(b)に示すような二重螺旋体としてのガラス管22を形成する(準備する)。このガラス管22は、巻回方向から見た外観形状が略円錐体形状をしており、頂部には突出部23が形成されている。
その後、二重螺旋体のガラス管22の内面に蛍光体懸濁液を塗布し、ガラス管22を加熱して焼成処理を行う。この焼成処理は、次に述べる平坦化工程・扁平化工程における加熱を利用して行っても良く、これにより生産効率アップと製造コスト低減が図られる。
そして、上記ガラス管22を再度加熱し、ガラス管22を、その中心軸Zの方向にガラス管22の管軸が略同一平面上に並ぶところまで平坦に変形させ(平坦化工程)、そのままガラス管の横断面が仮想軸Z方向(上記平面と略垂直な方向)に扁平になるように変形させる(扁平化工程)。
この後、ガラス管22の変形により形成された発光管本体5の、その両端部に電極を封着する電極封着工程、内部に水銀及び緩衝ガスを封入する封入工程を経て発光管2が製造される。
<平坦化・扁平化工程>
次に、図5〜図7を参照して本実施の形態に係る平坦化・扁平化工程について説明する。
図5,図6は平坦化・扁平化工程を説明するための図である。図7は、平坦化・扁平化工程で使用する加熱炉の概略図である。
平坦化・扁平化工程に用いる治具24は、ガラス管22を仮想軸Zの方向から挟む構造をしており、一対の平板(可動板25と固定板26)と、両平板の対向面が平行な状態で接離するように案内する6本のガイド棒27a〜27fを備えている。なお、可動板25及び固定板26は、平面視した場合に、略正方形状をしている。
可動板25の、上記ガイド棒27a〜27fに対応する位置には6個のガイド孔28a〜28fが穿設され、中央位置には突出部23用の退避穴29が穿設されている。
固定板26の主面の四隅には、可動板25との近接を規制するストッパー30a〜30dがそれぞれ設けられている。ストッパー30a〜30dの高さは互いに等しく、その高さは横断面を扁平にするために横断面略円形のガラス管22の管外径より短く設定している。このストッパー30a〜30dの高さが、変形工程後のガラス管22の横断面の縦外径の長さとなる[縦内径(bi)=縦外径(ai)ー2(肉厚t)となる]。
なお、ストッパー30a〜30dを固定板26に設ける代わりに、可動板25に設けても構わない。
各部材の材質と寸法は次の通りである。
可動板25及び固定板26は、ステンレス鋼からなる。可動板25の重量は、約1.2kgである。
ガイド棒27a〜27fは、外径が2.5mmで、周方向に35mm間隔で固体板26に設けられており、また、ガイド孔28a〜28fの直径は、2.6mmである。
続いて、二重螺旋体としてのガラス管22を平坦になるように変形させる平坦化工程と、横断面を扁平になるように変形させる扁平化工程についてさらに詳しく説明する。
まず、治具24を準備し、可動板25と固定板26との間に、図6(a)に示すようにガラス管22をセットする。なお、ガラス管22をセットする際には、可動板25を取り外しても良いし、可動板25と固定板26との間隔を広くした状態でセットしても良い。
セットする位置は固定板26の主面の略中央の位置であって、可動板25の退避穴29に突出部23がちょうど入りこむ位置である。このとき、退避穴29の周縁が突出部23に当接する。
次に、図7に示すように、治具24をコンベア33により加熱炉34内に搬送して、ガラス管22の外周面が略600℃になるように加熱する。
このとき、軟質ガラスであるガラス管22が、軟化点675℃近くになるため、塑性変形可能な状態となり、可動板25はその自重により下降(固定板26に接近)し始める。
この接近は、可動板25が固定板26のストッパー30a〜30dに接触するまで続き、その過程で、図6(b)に示すように、ガラス管22は平坦に変形され、そして、図6(c)に示すように、横断面が略円形から扁平へと変形される。このように平坦化と扁平化は一連の工程においてなされるので製造コストの点で有利である。
このようにして、管軸が略同一平面上に位置し、その横断円が上記平面と略垂直な方向に扁平である発光管本体5が得られる。
なお、ガラス管22の変形に用いる治具は、基本的に可動板25の重量を利用したものであり、その構造が非常に簡単であるため、発光管本体5を安価に製造できる。
<その他>
(1)本実施の形態では、横断面の形状が扁平の一例として競争路状(図2参照)の場合を説明したが、直線部分を有しない扁平な楕円形状であってよい。
本発明に係る発光管によれば、コンパクトで、しかも従来より高いランプ効率を実現できる。
図1(a)本実施の形態に係る二重渦巻き形蛍光ランプ1の平面図、図1(b)二重渦巻き形蛍光ランプ1の正面図 図1のA−A線における断面図 試験結果を示す図 発光管を製造する工程の概略を説明するための図 平坦化・扁平化工程を説明するための図 平坦化・扁平化工程を説明するための図 平坦化・扁平化工程で使用する加熱炉の概略図
符号の説明
1 蛍光ランプ
2 発光管
5 発光管本体
6,7 発光管本体の端部
8,9 電極
12 巻回部
14 右巻回部
15 左巻回部
22 ガラス管(二重螺旋体)
24 治具
25 可動板
26 固定板
30a〜30d ストッパー

Claims (5)

  1. 略一平面内を渦巻き状に巻回された巻回部を有する発光管本体と、
    前記発光管本体の両端部に配設された一対の電極とを有する発光管であって、
    前記発光管本体の陽光柱領域に相当する横断面の内周の形状が、前記巻回部の巻回平面と略垂直な方向に扁平であることを特徴とする発光管。
  2. 前記横断面における内周形状の扁平率は、0.31〜0.81であることを特徴とする請求項1に記載の発光管。
  3. 前記扁平な横断面の内周における前記巻回平面と略垂直な方向の縦内径が、3.5mm〜9.0mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の発光管。
  4. 外観視略円錐体形状をした二重螺旋体のガラス管を準備する準備工程と、
    前記二重螺旋体としてのガラス管をその管軸が略同一平面上に並ぶところまで平坦になるように変形させる平坦化工程と、
    平坦化されたガラス管を、その横断面が前記平面と略垂直な方向に扁平になるように変形させる扁平化工程と、
    を含むことを特徴とする発光管の製造方法。
  5. 前記二重螺旋体のガラス管を対向面が略平行な一対の平板の間に配し、両平板の間隔を所定間隔まで狭めることにより、前記平坦化工程と前記扁平化工程を一連の工程で行うことを特徴とする請求項4に記載の発光管の製造方法。
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