JP4360539B2 - 円筒状印刷基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキソ印刷等の印刷分野において使用されるシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に貼り付けて、円筒状印刷基材を作製するための方法に関するものである。
印刷分野においては、印刷機で円筒状の基材を使用することが広く行われている。例えば、フレキソ印刷分野では、版を貼り込む版胴、版にインキを転移させるアニロックスロールがあり、グラビア印刷、オフセット印刷分野においてもブランケットロールなどがある。
特に最近、フレキソ印刷分野においては、版胴上に正確に位置合わせをしながらシート状の版を貼り込む方法ではなく、剛直あるいはフレキシブルな円筒状支持体上に版を貼り込み、貼り込んだものを版胴に挿入する方法、更に円筒状支持体上にパターン形成可能な樹脂版を形成した円筒状印刷原版を形成し、その後表面にパターンを形成して版胴に挿入する方法が取られるようになってきた。パターンを形成したシート状の印刷版を版胴に取り付ける際に、精度良く位置合わせするためには相当な時間を要すること、厚み精度を確保するために、版胴とシート状印刷版との間に貼り込むクッションテープに気泡が入らないように慎重に作業することが必要であり、この作業にも多大な時間を要することが問題であった。
特許文献1(日本国特許第2846954号公報)には、シート状に成形されたレーザー彫刻原版を円筒状支持体上に巻きつけ、シートの両端部の接合部分の樹脂を融着し、研磨等の方法により継ぎ目のない印刷原版を形成する方法が記載されている。しかしながら、樹脂を融着するために高温に加熱する必要があるため、作製装置に複雑な機構が必要であった。また、樹脂を溶融し融着させるため、光硬化工程後にこの処理を行うことができない。これは、光硬化により3次元架橋した感光性樹脂硬化物は熱可塑性を有しないためであり、融着処理は光硬化工程前に実施する必要がある。
また、円筒状支持体上にシート状印刷版を貼り付け、印刷機のエアーシリンダーに円筒状支持体をはめ込むことにより、シート状印刷版で必要な位置合わせを省略することが行われているが、シートの両端部の接合部に発生する凹部が大きい場合には、印刷時に版胴がバウンドして印刷物の品質を低下させる問題もあった。そのため、接合部をできるだけ少なくするか、あるいは同じ厚みのダミー版を貼り込むなどの方法が取られていたが、これらの加工に多大な時間を要する問題点を有していた。
また、特許文献2(特開2003−154628号公報)には、円筒状支持体上に写真製版技術でパターンを形成するシート状印刷原版を貼り付け、シート両端部の接合部位に発生する隙間にシール材を塗布する記載があるが、シール材に液状感光性樹脂を用いる記載はなく、更にレーザー彫刻法を用いてパターンを形成できるシート状印刷原版に関する記載もない。
したがって、上記のような問題点を解決し、簡単に円筒状印刷基材を作製する方法が求められていた。液状感光性樹脂組成物を用いてシート両端部の接合部に発生する凹部を充填する方法は知られていなかった。
日本国特許第2846954号公報 特開2003−154628号公報
本発明は、短時間で作製可能な円筒状印刷基材を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討し、円筒状支持体上にシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付け、円筒状印刷基材を製造する方法であって、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に巻きつけた際にシート両端部の接合部位に発生する凹部に、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分を含む液状感光性樹脂組成物(A)を充填する工程、活性光線を照射することにより、該液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる工程を含む方法により容易に円筒状印刷基材を作製でき、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、液状感光性樹脂組成物を用いて任意の形状の凹部を充填し、光硬化させて固定化することが、本発明の技術思想である。液状感光性樹脂組成物を用いることにより極めて短時間の内に円筒状印刷基材を形成することが可能となる。また、粘着層を用いて円筒状支持体上にシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付けた場合には、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を切断することにより、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体から取り外すことにより、円筒状支持体を再度利用することができる。
本発明は下記の通りである。
1. 円筒状支持体上にシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付け、円筒状印刷基材を製造する方法であって、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に巻きつけた際にシート両端部の接合部位に発生する凹部に、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分を含む液状感光性樹脂組成物(A)を充填する工程、活性光線を照射することにより、該液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる工程を含むことを特徴とする円筒状印刷基材の製造方法。
2. シート状印刷原版が、レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物から形成されていることを特徴とする1.に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
3. シート状印刷原版あるいはシート状印刷版が、シート状支持体を有することを特徴とする1.、2.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
4. さらに、円筒状支持体と、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版の間に、クッション層を積層する工程を含むことを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
5. 液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる工程の後に、さらに、形成された感光性樹脂硬化物層の厚さを調整する工程を含むことを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
6. 活性光線が200nm以上450nm以下の波長の光を含む光線であることを特徴とする1.に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
7. 液状感光性樹脂組成物(A)に光照射する雰囲気が、大気中であることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
8. 液状感光性樹脂組成物(A)が、数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、光重合開始剤を有することを特徴とする1.から7.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
9. 光重合開始剤が、水素引き抜き型光重合開始剤および崩壊型光重合開始剤を含有するか、あるいは分子内に水素引き抜き型光重合開始剤として作用する部位と崩壊型光重合開始剤として作用する部位を有する化合物を含有することを特徴とする8.に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
10. 感光性樹脂組成物(A)の20℃における粘度が、10Pa・s以上50kPa・s以下であることを特徴とする1.から9.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
11. 感光性樹脂組成物(A)の光硬化時の寸法収縮率が3%以上30%以下であることを特徴とする1.から10.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
12. 円筒状支持体上あるいはクッション層上に、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を巻きつける工程の前に、さらに、円筒状支持体上に接着剤層あるいは粘着材層を形成する工程を含むことを特徴とする1.から11.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
13. 感光性樹脂組成物(A)を光硬化させて得られた感光性樹脂硬化物層が、シート状印刷原版において、表面に凹凸パターンを形成可能な層と同じ組成の樹脂層であり、感光性樹脂組成物(A)を光硬化させ感光性樹脂硬化物層を形成する工程の後に、さらに、該感光性樹脂硬化物層の厚さを調整し、シート状印刷原版の両端部の接合部の高低差を除去する工程を含むことを特徴とする1.から12.のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
14. 円筒状支持体表面に粘着層を介して貼り付けられたシート状印刷原版あるいはシート状印刷版の両端部の接合部位に発生する凹部に液状感光性樹脂組成物を充填し、活性光線を照射することにより該液状感光性樹脂組成物を光硬化させた円筒状印刷基材の後処理において、シート状印刷版の深さ方向に切れ目を入れ切断する工程、該シート状印刷版を円筒状支持体から外す工程を含むことを特徴とする円筒状支持体の再生方法。
15. シート状印刷原版あるいはシート状印刷版の深さ方向に切れ目を入れ切断する工程において、レーザー光を照射することにより切れ目を入れ切断することを特徴とする14.に記載の円筒状支持体の再生方法。
本発明は、円筒状印刷基材を、短時間で簡便に作製することができる。
以下、本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の特徴は、円筒状印刷基材を、短時間に容易に形成できることにある。
本発明の円筒状印刷基材は、円筒状支持体上にシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付け、円筒状印刷基材を製造する方法によって製作され、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に巻きつけた際にシート両端部の接合部位に発生する凹部に、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分を含む液状感光性樹脂組成物(A)を充填する工程、活性光線を照射することにより、該液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる工程を含む方法により作製される。
本発明の円筒状支持体は、厚さ0.2mm以上50mm以下、より好ましくは0.5mm以上30mm以下、更に好ましくは0.5mm以上10mm以下の樹脂硬化物層から形成されていることが好ましい。更に、該樹脂硬化物層中には、有機系繊維、無機系繊維、有機系微粒子、無機系微粒子の群から選ばれる少なくとも1種類の補強材を有していることが好ましい。
本発明で得られる円筒状剛性体の厚さが0.2mm以上50mm以下であれば、形状安定性を確保することができ、重量も極端に重くなく持ち運びが容易である。
繊維からなる補強材は、織布であっても不織布であっても構わない。特に限定するものではないが、有機系繊維の具体例として、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などを挙げることができる。また、バクテリアが生産するセルロースナノ繊維から形成された不織布を用いても構わない。無機系繊維の具体例として、ガラス繊維、カーボン繊維等を挙げることができる。また、補強材として微粒子を用いる場合、微粒子の形状は、球状、針状、多面体状、麟片状等いずれの形態であっても構わない。平均粒子径は0.01μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは0.02μm以上50μm以下、更に好ましくは0.05μm以上10μm以下である。有機系微粒子の材質として、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。更に、無機系微粒子の材質として、シリカ、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素等のセラミックス、ニッケル、クロム、チタン等の金属、粘土鉱物、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素から形成される微粒子を挙げることができる。
また、本発明の円筒状支持体において、表面の凹凸の高低差は、最大値が30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。高低差の最大値が30μm以下であれば、印刷原版、印刷版、アニロックスロール、ブランケットロール等の印刷基材を形成した場合に厚さ精度を確保することができる。本発明の円筒状支持体表面に存在する凹凸の高低差は、接触式変位センサ(キーエンス社製、商標「AT3−010」)を用いて測定し、該接触式変位センサを固定し、エアーシリンダー等に固定された円筒状剛性体を1回転させて1箇所の円周を測定するものとする。円筒状支持体の回転速度は、接触式センサの応答が追従できる速度に設定することが好ましく、毎秒1回転以下が望ましい。更に、測定箇所は3箇所とし、円筒状支持体の幅方向中央部1箇所と、端部から1cmの部分2箇所とし、エアーシリンダー表面の任意に選んだ1点の位置を基準点と設定する。測定箇所3箇所は、エアーシリンダー表面の任意に選んだ1点を基準点に高低差を測定することになる。測定箇所3箇所の基準点に対する高低差の最大値を、本発明における凹凸の高低差の最大値と定義する。この測定法では、エアーシリンダーの1点を基準点としているため、円筒状支持体の全表面の高低差が、この基準位置に対し10μm以下、より好ましくは5μm以下であることが望ましい。したがって、エアーシリンダー、およびエアーシリンダーを固定し回転させる機器の作製精度も10μm未満、より好ましくは5μm未満であることが望ましい。
本発明では、円筒状支持体上にシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付ける工程を含む。シート状印刷原版とは、表面にパターンを形成される前のシート状物である。また、シート状印刷版とは、表面にパターンを形成されたシート状物を指す。これらは印刷版基材として使用できる材料から構成される。シート状印刷原版表面にパターンを形成する方法として、先ず、シート状印刷原版が感光性樹脂組成物層から形成されている場合、フォトリソグラフィーを用いて露光、現像工程を経る方法がある。この方法において露光工程ではネガマスクを用いて光が照射された部分の感光性樹脂組成物を光硬化させる方法、レーザー光を走査しネガマスクなしに直接光硬化させる方法を挙げることができる。ネガマスクを用いる方法では、シート状印刷原版と別にネガフィルムを用意することもでき、また、シート状印刷原版表面に光線透過性を制御できるフィルムが一体化した積層体であっても構わない。また、フォトリソグラフィーを用いずに、直接レーザー光を照射し、照射された部分の樹脂が除去されることによりパターンを形成するレーザー彫刻法がある。レーザー彫刻法で用いる樹脂は、特に限定するものではなく、固体状の樹脂であれば何でも構わない。その中でも感光性樹脂組成物層に全面に光を照射し硬化させた感光性樹脂硬化物層から形成されたものが、特に好ましい。
円筒状支持体上に、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付ける際に、巻きつけられたシート状印刷原版あるいはシート状印刷版の両端部の接合部位に発生する凹部に、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分を含む液状感光性樹脂組成物(A)を充填し、その後、活性光線を照射することにより、前記感光性樹脂組成物(A)を光硬化させて固定化する。感光性樹脂組成物は、極めて短時間で光硬化することができるので、円筒状支持体上のシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を、短時間で固定化することが可能である。感光性樹脂組成物中の光重合開始剤は、200nm以上450nm以下に大きな光吸収を有する化合物が多いので、この波長領域の光を含む光線を用いることにより、感光性樹脂組成物を効果的に光硬化できる。また、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を巻きつけた円周状の縁部にも液状感光性樹脂組成物を塗布し、光硬化させることによりシールしても構わない。用いる光源としては、特に限定するものではないが、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアークランプ、ケミカルランプ、殺菌灯等を挙げることができる。また、複数種類の光源を組み合わせて使用することもできる。更に、狭い範囲の感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる場合には、光ファイバー等を用いて導いたスポット状の光を照射することもできる。
本発明で用いる液状感光性樹脂組成物(A)は、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分を含むことが好ましい。共通する成分が多いほど、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版と液状感光性樹脂組成物(A)の硬化物との接着性は向上する。本発明のシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分とは、ポリマーを構成するモノマー単位が同じものあるいは置換基で置換されているものも含む。また、異なるモノマー単位を含んでいても構わない。共通するモノマー単位が、好ましくは全モノマー単位の10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは40%以上である。したがって、全く同じ分子構造である必要はない。前記ポリマー成分と数平均分子量が同じである必要もない。共通する成分が、どの程度存在するかを同定する方法として、熱分解ガスクロマトグラフィーにより熱分解して生成する成分を分離し、質量分析計で分析する熱分解GC/MS法を好ましい方法として挙げることができる。継ぎ目のない円筒状印刷基材を製造するためには、両者のポリマー成分が同じ組成であることが好ましい。
本発明で用いる液状感光性樹脂組成物(A)の20℃における粘度は、好ましくは10Pa・s以上50kPa・s以下、より好ましくは50Pa・s以上20kPa・s以下、更に好ましくは100Pa・s以上10kPa・s以下である。液状樹脂は、円筒状に塗布することが容易であり、前記の粘度範囲であれば、重力により液ダレを起こすことなく容易に成形することが可能である。また、特に大気中で光硬化させることができる液状感光性樹脂組成物が好ましい。
本発明の液状感光性樹脂組成物を充填する方法は、特に限定するものではなく、公知のいかなる方法を取ることができる。簡便な方法としては、へら等の冶具を用いて埋め込み方法が好ましく、スポイトやディスペンサを用いて充填することもできる。
円筒状支持体上に、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を固定する方法として、円筒状支持体上表面あるいはシート状物の裏面に、接着剤層あるいは粘着剤層を形成し、両者を貼り付ける方法が特に好ましい。粘着剤層を形成した場合には、感光性樹脂組成物(A)を光硬化させて形成した感光性樹脂硬化物を除去し、シート状印刷版を外すことにより、円筒状支持体を再度利用することもできる。また、冶具を用いてシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に仮留めし、仮留めしている間に感光性樹脂組成物(A)を充填し、光硬化させて固定化しても構わない。この場合、接着剤層あるいは粘着剤層がなくても処理することが可能である。
また、本発明では円筒状支持体と、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版の間にクッション層を形成することもできる。クッション層としては、発泡ポリウレタン等のエラストマー、ショアA硬度が好ましくは20度以上70度以下、より好ましくは20度以上50度以下のエラストマー等を用いることができる。
液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物層の厚さを調整することもできる。感光性樹脂硬化物層の厚さは、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版の厚さ以下に調整することが好ましい。厚さを調整する方法は、刃物で削り取る方法、グラインダー等の装置を用いて削る方法等を挙げることができる。
本発明の液状感光性樹脂組成物(A)は、数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)、数平均分子量が1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、光重合開始剤を有する組成物であることが好ましい。また、感光性樹脂組成物(A)を大気中で光硬化させる場合には、該光重合開始剤が水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊型光重合開始剤を含有するか、あるいは同一分子内に水素引き抜き型光重合開始剤として作用する部位と崩壊型光重合開始剤として作用する部位を有する化合物であることが好ましい。
樹脂(a)としては、特に限定するものではなく、公知の高分子化合物を用いることができる。具体的には、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の硬度の高いゴム弾性のあるゴム系高分子化合物、弾性率の高い熱可塑性樹脂等の20℃において固体状の樹脂、あるいは分子内に重合性不飽和基を有する不飽和ポリウレタン、不飽和ポリエステル、液状ポリブタジエン等の20℃において液状の樹脂等を好ましい高分子化合物として挙げることができる。ゴム系高分子化合物として、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンモノマーとの重合物が好ましい。該モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが、また共役ジエンモノマーとしてはブタジエン、イソプレンなどが用いられ、熱可塑性エラストマーの代表的な例としてはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体などが挙げられる。弾性率の高い熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。20℃において固体状樹脂の場合、溶剤に溶解できるものが特に好ましい。樹脂(a)の数平均分子量の好ましい範囲は1000以上30万以下、より好ましくは5000以上10万以下、更に好ましくは7000以上5万以下である。本発明の数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定し、分子量既知のポリスチレンを基準に換算した値を用いる。
本発明でいう重合性不飽和基は、ラジカル重合反応、付加重合反応、開環付加重合反応する官能基であることが好ましい。ラジカル重合反応する重合性不飽和基として、ビニル基、アセチレン基、メタクリル基、アクリル基等を挙げることができる。また、付加重合反応する重合性不飽和基として、シンナモイル基、チオール基、アジド基を有する化合物を挙げることができる。更に、開環付加反応性を有する重合性不飽和基として、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキサン基、環状イミノエーテル基等を有する化合物を挙げることができる。
感光性樹脂組成物の不揮発成分全重量に基づいて、樹脂(a)成分は10〜90wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜80wt%、さらに好ましくは30〜70wt%である。
感光性樹脂組成物に含まれる重合性不飽和基を有する有機化合物(b)は、ラジカル重合反応、付加重合反応、開環付加重合反応する化合物であり、公知の化合物も使用することができ、特に限定するものではない。
ラジカル反応性化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等があげられるが、その種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。前記化合物の誘導体の例としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−、フルオレン−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物などがあげられる。また、窒素、硫黄等の元素を含有した複素芳香族化合物であっても構わない。
また、付加重合反応性を有する重合性不飽和基として、シンナモイル基、チオール基、アジド基を有する化合物を挙げることができる。更に、開環付加反応性を有する重合性不飽和基として、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキサン基、環状イミノエーテル基等を有する化合物を挙げることができる。特に有用なエポキシ基を有する化合物エポキシ基を有する化合物として、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などを挙げることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、エポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業社製、商標名「HF−105」)を挙げることができる。
感光性樹脂硬化物層(A)の機械強度を高めるためには、樹脂(a)あるいは有機化合物(b)としては脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。また、前記芳香族の誘導体として、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
本発明における樹脂(a)、有機化合物(b)、の割合は、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。
感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(c)としては、公知の光重合開始剤を使用することができる。例えば、芳香族ケトン類やベンゾイルエーテル類などの公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノンなどの中から使用することができ、それらを組み合わせても使用できる。特に大気中で光硬化させる場合には、ベンゾフェノン等の水素引き抜き型光重合開始剤と、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン等の崩壊型光重合開始剤との組み合わせが特に好ましい。更に、同一、分子内に水素引き抜き型重合開始剤として作用する部位と崩壊型光重合開始剤として作用する部位が存在する化合物を用いても大気中光硬化に効果が見られる。光を吸収して酸を発生する芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤あるいは光を吸収して塩基を発生する重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤の添加量はバインダー(a)と有機化合物(b)の合計量の0.01〜10wt%範囲が好ましい。
液状感光性樹脂組成物(A)は、溶剤を含まなくとも、含んでいても構わないが、取り扱いの容易性から溶剤を含まない無溶剤型の液状感光性樹脂組成物が、より好ましい。
液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物の寸法収縮率は、3%以上30%以下、より好ましくは5%以上25%以下、更に好ましくは5%以上20%以下である。寸法収縮率がこの範囲であれば、該液状感光性樹脂組成物(A)が硬化収縮するため、円筒状支持体上に、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を十分強固に固定化することができる。
本発明でいう寸法収縮率とは、シート状支持体上に厚さ2mmの液状感光性樹脂組成物(A)の層を形成し、その後、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)とフィルター(オーク製作所社製、商標「UV−35−APRフィルター」)を用いて測定した照度に照射時間を掛け合わせて求まるエネルギー量が1000mJ/cmである光を、照射して得られる感光性樹脂硬化物層の厚みの減少率で定義する。
この感光性樹脂硬化物層は、感光性樹脂組成物(A)を光架橋硬化させて形成したものである。感光性樹脂組成物(A)として請求項8の組成物を用いた場合は、有機化合物(b)の重合性不飽和基、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、有機化合物(b)同士、樹脂(a)同士、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて架橋硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記架橋硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物を同定することができる。更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応の樹脂(a)、未反応の有機化合物(b)、および重合性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。架橋硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
また、本発明では、円筒状支持体表面に粘着層を介して貼り付けられたシート状印刷版の両端部の接合部位に発生する凹部に液状感光性樹脂組成物を充填し、活性光線を照射することにより該液状感光性樹脂組成物を光硬化させた円筒状印刷基材の後処理において、シート状印刷版の深さ方向に切れ目を入れ切断する工程、該シート状印刷版を円筒状支持体から外す工程を経ることにより円筒状支持体を再生して再利用することが可能である。粘着層を形成する粘着剤の材質は特に限定するものではなく、ゴム系、アクリル系、シリコーン系など入手可能なものを用いることもできる。また、粘着剤の形態から分類すると、溶剤型、水溶液型、エマルジョン型、ホットメルト型、光硬化型、熱延展型などを挙げることができる。特に粘着層を、液状感光性樹脂組成物を光硬化させて形成するものが短時間で形成することができるので好ましい。シート状印刷原版あるいはシート状印刷版と、円筒状支持体間にクッション層が積層されていても構わない。粘着層の積層位置としては、円筒状支持体上あるいはクッション層上であることが好ましい。シート状印刷原版あるいはシート状印刷版に切れ目を入れて切断する方法は、特に限定するものではないが、円筒状支持体あるいはクッション層へのダメージを少なく抑える方法として、ダイヤモンドブレードを回転させて切断する方法、レーザー光を照射して切断する方法が好ましい。特にレーザー光を照射して切断する方法は、レーザー光を細く絞り込むことが可能であるので好ましい方法である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)粘度
感光性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(2)数平均分子量の測定
樹脂(a)および有機化合物(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂(a)に関しては紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。本発明の実施例あるいは比較例で用いている樹脂(a)、有機化合物(b)は、GPC法で用いて求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。
(3)重合性不飽和基の数の測定
合成した樹脂(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。
レーザー彫刻可能なシート状印刷原版を形成するために用いる樹脂として、下記製造例1で、樹脂(ア)を製造した。
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(実施例1)
(レーザー彫刻可能なシート状印刷原版の形成)
前記の製造例で得られた樹脂(ア)100重量部に対し、を用い、重合性モノマーとしてフェノキシエチルメタクリレート25重量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート19重量部、無機多孔質体として富士シリシア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカである、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)5重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部とベンゾフェノン1重量部、その他添加剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5重量部を加えて20℃で液状の感光性樹脂組成物(イ)を作成した。得られた感光性樹脂組成物(イ)を、シート状支持体である厚さ125μmのPET上にドクターブレードを用いて塗布し、シート状の感光性樹脂組成物層を形成した。更にその後、得られた感光性樹脂組成物層にメタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)の紫外線を4000mJ/cm(UVメーターとUV−35−APRフィルターを用いて積算したエネルギー量)照射し、シート状印刷原版を作製した。これらのシート状印刷原版はレーザー彫刻可能であり、感光性樹脂硬化物層の厚さは1.7mmであった。
液状感光性樹脂組成物(イ)の20℃における粘度は、1200Pa・sであった。
また、感光性樹脂組成物(イ)の光硬化収縮率は、4%であった。
(円筒状クッション層の形成)
内径213.384mm、幅300mm、厚さ2.00mmのガラス繊維強化プラスチック製の円筒状支持体上に、発泡ポリウレタンから形成された片面に接着剤層の付いたクッションテープを気泡が入らないように、接着剤層が円筒状支持体表面に接着するように慎重に被覆し、円筒状支持体上にクッション層を形成した。
更に、形成したクッション層の上に、厚さ25μmの両面テープを積層し、表面に接着剤層が露出した円筒状物を作製した。
(円筒状印刷基材の形成)
上記のようにして得られた円筒状物の上に、レーザー彫刻可能なシート状印刷原版を気泡が入らないように慎重に貼り付けた。円筒状物の上に貼り付けられたシート状印刷原版の両端部の接合部位には、幅5mmの凹部からなる継ぎ目が存在した。
幅5mmの凹部からなる継ぎ目(深さは、レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層の厚さ1.7mmとPETフィルムの厚さ0.125mmの合計となる、1.825mmであった。)に、前記液状感光性樹脂組成物(イ)をへらを用いて充填し、メタルハライドランプの光を照射し、光硬化させた。液状感光性樹脂組成物(イ)の光硬化物層の厚さは、約2mmあったため、厚い部分をカッターを用いて除去し、高さの調整を行った。シート状印刷原版の高さよりも若干低くなった。また、シート状印刷原版と液状感光性樹脂組成物(イ)の光硬化物は、完全に接着し、接合部を指で押しても剥がれることはなかった。液状感光性樹脂組成物の充填から光硬化まで、5分間以内に完了した。
得られた円筒状印刷基材を、エアーシリンダーに装着し、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製、商標「ZED−mini−1000」)を用いてレーザー彫刻した。エアーシリンダーを周速度が毎分300mで回転し、レーザー彫刻したが、エアーシリンダーの回転は極めて安定しておりシート状印刷原版が外れることもなくレーザー彫刻し、印刷原版表面に凹凸パターンを形成することができた。
(実施例2)
実施例1と同様にして、レーザー彫刻可能なシート状印刷原版を円筒状物表面に貼り付け、更に液状感光性樹脂組成物(A)を継ぎ目に充填し、光硬化させた光硬化物を得た。
得られた円筒状積層体を、エアーシリンダーに取り付け、回転させながらバイト刃を用いて切削し、グラインダーを用いて表面を荒削りし、更に表面に微細な砥石を有するフィルムを用いて精密研磨して、継ぎ目のない厚さ1.14mmのレーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層を得た。切削、研磨の工程においても、接合部位が剥がれることはなかった。
(実施例3)
実施例1で用いたレーザー彫刻可能なシート状印刷原版をシリンダーに取り付け、レーザー彫刻法を用いて印刷原版表面に凹凸パターンを形成したシート状印刷版を作製した。その後、実施例1と同様にして表面に接着剤層が露出した円筒状物を形成し、前記パターンを形成したシート状印刷版を貼り付けた。表面にパターンが形成されているため、接合部位にも凹凸が存在した。幅約5mmの継ぎ目に液状感光性樹脂組成物(A)をへらで充填し、メタルハライドランプの光を照射して光硬化させた。
作製された円筒状印刷基材をエアーシリンダーに装着し、周速度が毎分300mで回転させたが、接合部位が剥がれることはなかった。
(実施例4)
内径213.384mm、幅300mm、厚さ2.00mmのガラス繊維強化プラスチック製の円筒状支持体上に、発泡ポリウレタンから形成された片面に接着剤層の付いたクッションテープを気泡が入らないように、接着剤層が円筒状支持体表面に接着するように慎重に被覆し、円筒状支持体上にクッション層を形成した。
形成されたクッション層の上に、液状感光性樹脂組成物(旭化成ケミカルズ社製、商標「APR−K−11」)を厚さ約50μmで塗布し、窒素を噴きつけながらケミカルランプ(中心波長:370nm)の光を照射し光硬化させた。表面に若干のタックが存在する粘着層を成形した。
その後、実施例1と同様にして円筒状印刷基材を作製した。
作製された円筒状印刷基材をエアーシリンダーに装着し、周速度が毎分300mで回転させたが、接合部位が剥がれることはなかった。
得られた円筒状印刷基材を構成するシート状印刷版部を、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて切断し、円筒状支持体から取り外すことができた。クッション層および円筒状支持体にはダメージはなかった。
(比較例1)
シート状印刷原版の両端部の接合部位に発生する凹部を充填する樹脂として、熱硬化性エポキシ樹脂を用いる以外、実施例1と同様にして円筒状印刷基材を作製した。熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させるのに、1日を要した。また、硬化に長時間を要したため、接合部位に若干の浮きが見られた。
本発明は、フレキソ印刷等の印刷分野において使用されるシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に貼り付けて、円筒状印刷基材を作製するための方法として好適に利用できる。

Claims (10)

  1. 円筒状支持体上にシート状印刷原版あるいはシート状印刷版を貼り付け、円筒状印刷基材を製造する方法であって、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を円筒状支持体上に巻きつけた際にシート両端部の接合部位に発生する凹部に、該シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を構成するポリマー成分と同じ成分を含む液状感光性樹脂組成物(A)を充填する工程、活性光線を大気中で照射することにより、該液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる工程を含み、該液状感光性樹脂組成物(A)が数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、光重合開始剤を有し、
    該光重合開始剤が、水素引き抜き型光重合開始剤および崩壊型光重合開始剤を含有するか、あるいは分子内に水素引き抜き型光重合開始剤として作用する部位と崩壊型光重合開始剤として作用する部位を有する化合物を含有することを特徴とする円筒状印刷基材の製造方法。
  2. シート状印刷原版が、レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  3. シート状印刷原版あるいはシート状印刷版が、シート状支持体を有することを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  4. さらに、円筒状支持体と、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版の間に、クッション層を積層する工程を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  5. 液状感光性樹脂組成物(A)を光硬化させる工程の後に、さらに、形成された感光性樹脂硬化物層の厚さを調整する工程を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  6. 活性光線が200nm以上450nm以下の波長の光を含む光線であることを特徴とする請求項1記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  7. 感光性樹脂組成物(A)のB型粘度計を用いて測定される20℃における粘度が、10Pa・s以上50kPa・s以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  8. 感光性樹脂組成物(A)の光硬化時の寸法収縮率が3%以上30%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  9. 円筒状支持体上あるいはクッション層上に、シート状印刷原版あるいはシート状印刷版を巻きつける工程の前に、さらに、円筒状支持体上に接着剤層あるいは粘着材層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  10. 感光性樹脂組成物(A)を光硬化させて得られた感光性樹脂硬化物層が、シート状印刷原版において、表面に凹凸パターンを形成可能な層と同じ組成の樹脂層であり、感光性樹脂組成物(A)を光硬化させ感光性樹脂硬化物層を形成する工程の後に、さらに、該感光性樹脂硬化物層の厚さを調整し、シート状印刷原版の両端部の接合部の高低差を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
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