JP4359267B2 - 導電体ペースト、積層型チップバリスタおよびその製造方法 - Google Patents

導電体ペースト、積層型チップバリスタおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、めっき液を使用した電気めっきにより、めっき膜を成膜して用いられる外部端子電極を形成するための導電体ペースト、およびこの導電体ペーストを用いた積層型チップバリスタの製造方法、ならびに、積層型チップバリスタに関する。
近年の電子機器の小型化、高性能化に伴い、表面実装可能なチップ部品は必要不可欠である。このような表面実装可能なチップ部品は、通常2個もしくはそれ以上の外部端子電極を有する構造をしている。これらのチップ部品に、外部端子電極を形成する方法としては、素子本体に、金属などの導電粉を含む外部電極用のペーストを塗布し、その後乾燥し、焼付けする工程が一般的である。そして、このような外部端子電極は、ハンダでの実装を可能とするために、NiやSnなどでめっき処理が行われる。
外部端子電極を形成するための外部電極用ペーストとしては、導電粉としての金属粉末や有機ビヒクルに加えて、ガラスフリットを含有するものが使用される。このようにガラス成分を含有させることにより、焼付け時に、ガラス成分が加熱・溶融されることとなるため、外部端子電極と、素子本体のセラミックス層とを、良好に接合することができる。特に、ガラス成分を含有させることにより、本来、難しい「セラミックス−金属」間の接合を「セラミックス−ガラス−金属」とすることができ、短時間で容易な接合を工業的に可能にしている。
一方、電子機器の小型化が進み、外部端子電極の形状が小さくなり、結果として、外部端子電極の厚さが減少すると、従来のように、外部端子電極を比較的に大型の形状とした場合と比べて、外部端子電極と、素子本体のセラミックス層との接合面積が小さくなってしまう。そのため、外部端子電極と、素子本体のセラミックス層との接合が弱くなってしまい、NiやSnなどでめっき処理を施した際に、外部端子電極が剥離してしまい、結果として、得られた電子部品を基板上にハンダ付けした際における固着強度が、極端に小さくなるなどの不具合が生じていた。特に、素地の側面に外部端子電極を複数個形成するような製品では、その形状の特性上、電極面積が小さくなってしまうため、上記の不具合は顕著となっていた。
このような問題を解決する方法として、たとえば、外部端子電極を形成するための外部電極用ペースト中のガラスの添加量を増やす方法や、外部電極用ペースト中のガラスを、NiやSnをめっきするためのめっき液に溶解し難いガラスを選択する方法などが挙げられる。
しかしながら、外部電極用ペースト中のガラスの添加量を多くすると、めっき処理を施した際における外部端子電極の剥離の可能性を低減することは可能となるが、ガラスの量を多くすることに起因する、作業上の不具合が起こってしまう。すなわち、外部端子電極の焼付けの際に製品同士が付着してしまったり、製品が焼付け用の治具に溶着してしまうなどの不具合が起こってしまい、歩留まりが低下してしまうという問題が発生する。
また、外部電極用ペースト中のガラスとして、めっき液に溶解し難いガラスを使用した場合にも、同様に、めっき処理を施した際における外部端子電極の剥離の可能性を低減することは可能となるが、外部端子電極表面に存在するガラスが、めっきの際に邪魔となってしまい、均一なめっき膜を形成できなくなるという問題が発生する。さらに、均一なめっき膜が形成されるように、外部電極用ペースト中のガラスの添加量を減らすと、外部端子電極の焼結が不十分となり、めっき後の特性が劣化してしまうという問題を引き起こすこととなる。
これに対して、たとえば、特許文献1には、形成される外部端子電極のめっき液に対する耐性を高くするために、融点の異なる2種類のガラスフリットを添加した導電体ペーストが開示されている。しかしながら、この文献で使用されているガラスフリットは、いずれもめっき液に溶解し易いガラスフリットであり、そのため、めっき処理およびハンダリフローにより特性(特に、電気特性)が悪化してしまうという問題があった。
特開平6−349314号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、積層型チップバリスタの外部端子電極を形成するための導電体ペーストにおいて、得られる外部端子電極の表面にめっき膜を形成する際に、均一なめっき膜を形成でき、しかも、めっき処理後およびハンダリフロー後においても、外部端子電極の接着強度および電気特性を良好に保つことができる導電体ペーストを提供することを目的とする。また、本発明は、このような導電体ペーストを用いて製造され、外部端子電極の接着強度および電気特性に優れ、しかも、ハンダにより基板上に実装した際に、優れた固着強度を有する積層型チップバリスタおよびその製造方法を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る導電体ペーストは、
主成分としてZnOを含む層間電圧非直線性抵抗体層と、内部電極層とが交互に積層され、積層方向の両外側端部に外側保護層が配置された素子本体および前記素子本体の両端部に形成された外部端子電極を有する積層型チップバリスタにおいて、めっき液を使用した電気めっきにより、めっき膜が成膜されることとなる前記外部端子電極を形成するための導電体ペーストであって、
導電粉と、
有機ビヒクルと、
下記式(1)で示される、前記めっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%未満である難溶解ガラスフリットと、
下記式(1)で示される、前記めっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%以上である易溶解ガラスフリットと、を含有し、
前記導電粉100重量部に対する、前記難溶解ガラスフリットと前記易溶解ガラスフリットとの合計の含有量が、5〜20重量部であり、かつ、
前記難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとの割合が、重量比で、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)=0.1〜2.0であり、
前記易溶解ガラスフリットは、B −ZnO−SiO 系ガラス、ZnO−B −SiO −Al 系ガラス、B −ZnO−Al −SrO系ガラス、B −ZnO−SiO −SnO系ガラスから選ばれる少なくとも1つである。
めっき液への溶解度(重量%)={(めっき液浸漬前のガラスフリットの重量−めっき液に24時間浸漬後のガラスフリットの重量)/めっき液浸漬前のガラスフリットの重量}×100 …(1)
本発明に係る積層型チップバリスタの製造方法は、
主成分としてZnOを含む層間電圧非直線性抵抗体層と、内部電極層とが交互に積層され、積層方向の両外側端部に外側保護層が配置された素子本体および前記素子本体の両端部に形成された外部端子電極を有する積層型チップバリスタを製造する方法であって、
素子本体表面に、請求項1に記載の導電体ペーストを塗布して、導電体ペースト膜を形成する工程と、
前記導電体ペースト膜を乾燥し、その後、焼き付けして、外部端子電極を形成する工程と、
前記外部端子電極の表面に、めっき液を使用した電気めっきにより、めっき膜を成膜する工程と、を有する
本発明に係る積層型チップバリスタは、
主成分としてZnOを含む層間電圧非直線性抵抗体層と、内部電極層とが交互に積層され、積層方向の両外側端部に外側保護層が配置された素子本体および前記素子本体の両端部に形成された外部端子電極を有する積層型チップバリスタであって、
前記外部端子電極の表面には、めっき液を使用した電気めっきにより形成されためっき膜を有しており、
前記外部端子電極は、
導電材と、
下記式(1)で示される、前記めっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%未満である難溶解ガラスフリットと、
下記式(1)で示される、前記めっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%以上である易溶解ガラスフリットと、を含有し、
前記導電材100重量部に対する、前記難溶解ガラスフリットと前記易溶解ガラスフリットとの合計の含有量が、5〜20重量部であり、かつ、
前記難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとの割合が、重量比で、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)=0.1〜2.0であり、
前記易溶解ガラスフリットは、B −ZnO−SiO 系ガラス、ZnO−B −SiO −Al 系ガラス、B −ZnO−Al −SrO系ガラス、B −ZnO−SiO −SnO系ガラスから選ばれる少なくとも1つである
めっき液への溶解度(重量%)={(めっき液浸漬前のガラスフリットの重量−めっき液に24時間浸漬後のガラスフリットの重量)/めっき液浸漬前のガラスフリットの重量}×100 …(1)
なお、本発明において、導電体ペーストに含有される前記導電粉とは、焼成後の外部端子電極を構成することとなる導電性を有する各種導電材の他、焼成後にこのような導電材となる各種化合物をも含むものである。
本発明に係る導電体ペーストは、めっき膜を形成するためのめっき液に比較的に溶解し難い難溶解ガラスフリットと、比較的に溶解し易い易溶解ガラスフリットとを含有している。そのため、この導電体ペーストを使用して形成される外部端子電極は、その表面にNi等を主成分とするめっき膜を、めっき液を使用した電気めっきにより形成した際に、積層型チップバリスタを構成する素子本体との接合を良好に保ちつつ、しかも、均一にめっき膜を形成することができる。そして、Ni等を主成分とするめっき膜を形成した後においても、素子本体との接合を良好に保つことができるため、めっき処理後およびハンダリフロー後における特性の劣化を有効に防止することができ、さらに、均一にめっき膜を形成することができるため、積層型チップバリスタのハンダを使用した基板上への実装を良好に行うことができる。
さらに、本発明の積層型チップバリスタの製造方法によると、上述の本発明の導電体ペーストを使用して、外部端子電極を形成する。そのため、本発明の方法により得られる積層型チップバリスタは、めっき処理後およびハンダリフロー後においても、特性の劣化を有効に防止され、しかも、Ni等を主成分とするめっき膜を均一に形成することができるため、基板上へ実装した際における固着強度を高くすることができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層型チップバリスタの斜視図、
図2は図1のII−II線に沿う積層型チップバリスタの概略断面図、
図3は本発明の他の実施形態に係る積層型チップバリスタの斜視図である。
積層型チップバリスタ
図1に示すように、電子部品の一例としての積層型チップバリスタ2は、素子本体8を有し、この素子本体8の側面には、一対の外部端子電極10,10が形成されている。
素子本体8の形状は、特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、縦(0.6〜5.6mm)×横(0.3〜5.0mm)×厚み(0.3〜1.9mm)程度である。
図2は、II−II線に沿う積層型チップバリスタの概略断面図である。図2に示すように、積層型チップバリスタ2は、層間電圧非直線性抵抗体層4と、内部電極層6とが交互に積層された素子本体8を有する。素子本体8の両端部には、素子本体8の内部で交互に配置された内部電極層6と各々導通する一対の外部端子電極10,10が形成してある。内部電極層6は、各端面が素子本体8の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部端子電極10,10は、素子本体8の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層6の露出端面に接続されて、バリスタ回路を形成している。
素子本体8において、層間電圧非直線性抵抗体層4および内部電極層6の積層方向の両外側端部には、外側保護層4aが配置してあり、素子本体8の内部を保護している。外側保護層4aの材質は、層間電圧非直線性抵抗体層4の材質と同じであっても異なっていても良い。外側保護層4aの厚みは、たとえば100〜500μm程度である。
層間電圧非直線性抵抗体層4、外側保護層4a
層間電圧非直線性抵抗体層4および外側保護層4aは、酸化亜鉛系バリスタ材料層で構成される。この酸化亜鉛系バリスタ材料層は、たとえば、ZnOを主成分とし、副成分として希土類元素、Co、IIIb族元素(B、Al、Ga及びIn)、Si、Cr、アルカリ金属元素(K、Rb及びCs)およびアルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr及びBa)等を含む材料で構成される。または、ZnOを主成分とし、副成分としてBi、Co、Mn、Sb、Al等を含む材料で構成されていても良い。
ZnOを含む主成分は、電圧−電流特性における優れた電圧非直線性と、大きなサージ耐量とを発現する物質として作用する。なお、電圧非直線性とは、一対の外部端子電極10,10の間に徐々に増大する電圧を印加する際に、素子に流れる電流が非直線的に増大する現象を言う。
層間電圧非直線性抵抗体層4中でのZnOの含有量は、特に限定されないが、層間電圧非直線性抵抗体層4を構成する全体の材料を100質量%とした場合に、通常、69.0〜99.8質量%である。また、層間電圧非直線性抵抗体層4の厚みは、通常5〜100μm程度である。
内部電極層6
内部電極層6は、導電材を含んで構成される。内部電極層6に含まれる導電材としては、特に限定されないが、PdまたはAg−Pd合金からなることが好ましい。内部電極層6の厚さは、用途に応じて適宜決定すればよいが、通常0.5〜5μm程度である。
外部端子電極10
外部端子電極(下地電極)10は、導電材とガラス成分とを含んで構成される。このようにガラス成分を含有させることにより、素子本体8を構成する層間電圧非直線性抵抗体層4との接合性を向上させることができる。外部端子電極10の厚さは、用途に応じて適宜決定すればよいが、通常10〜50μm程度である。
そして、この外部端子電極(下地電極)10の表面には、Niを主成分として含有する第1のめっき膜と、さらに、この第1のめっき膜の表面にSnを主成分として含有する第2のめっき膜と、が形成される。これらのめっき膜は、めっき液を使用した電気めっきによって成膜され、積層型チップバリスタ2のハンダでの実装を可能とすることを主たる目的として、形成されるめっき膜である。
外部端子電極10に含まれる導電材としては、特に限定されないが、通常、AgやAg−Pd合金から構成されるものが好ましい。
本実施形態においては、上記ガラス成分として、上述のNiを主成分とする第1のめっき膜を形成するためのめっき液に対して、比較的に溶解し難い難溶解ガラスフリットと、比較的に溶解し易い易溶解ガラスフリットと、を含有する。この難溶解ガラスフリットは、下記式(1)で示される、第1のめっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%未満であるガラスフリットであり、同様に、易溶解ガラスフリットは、下記式(1)で示される、第1のめっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%以上であるガラスフリットである。
めっき液への溶解度(重量%)={(めっき液浸漬前のガラスフリットの重量−めっき液に24時間浸漬後のガラスフリットの重量)/めっき液浸漬前のガラスフリットの重量}×100 …(1)
なお、ガラスフリットのめっき液への溶解度を測定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、以下の方法により測定することができる。
すなわち、まず、めっき液に溶解しない素材(たとえば、アルミナ板)上に、ガラスフリットを焼き付ける。次いで、素材上に焼き付けたガラスフリットを、第1のめっき膜を形成するためのめっき液に24時間浸漬させ、その後、このめっき液から引き上げる。そして、めっき液に浸漬させる前後のガラスフリットの重量から、上記式により、ガラスフリットのめっき液への溶解度を測定する。なお、この際に使用するめっき液としては、たとえば、第1のめっき膜を、Niを主成分とするめっき膜とする場合には、Niめっき膜を電気めっきにより形成する際に、一般的に用いられるNiめっき液を使用すれば良い。
外部端子電極10中に含有させるガラス成分として、上述の難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとを使用するため、下地電極としての外部端子電極10の表面に、上述の第1のめっき膜を形成する際に、素子本体8との接合を良好に保ちつつ、しかも、均一にめっき膜を形成することができる。そして、第1のめっき膜を形成した後においても、素子本体8との接合を良好に保つことができるため、めっき処理後およびハンダリフロー後における特性の劣化を有効に防止することができ、さらに、均一にめっき膜を形成することができるため、ハンダを使用した基板上への実装を良好に行うことができる。
難溶解ガラスフリットとしては、第1のめっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%未満であるガラスフリットであれば良く、特に限定されないが、たとえば、SiO−B系ガラス、SiO−B−NaO系ガラス、SiO−B−KO−Al−NaO系ガラスなどが挙げられ、これらは、1種または2種以上混合して用いることができる。
易溶解ガラスフリットとしては、第1のめっき膜を形成するためのめっき液への溶解度が1重量%以上であるガラスフリットのうち、−ZnO−SiO系ガラス、ZnO−B−SiO−Al系ガラス、B−ZnO−Al−SrO系ガラス−ZnO−SiO−SnO系ガラス挙げられ、これらは、1種または2種以上混合して用いることができる。
外部端子電極10中における、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの合計の含有量は、導電材100重量部に対して、5〜20重量部であり、好ましくは7〜20重量部、より好ましくは7〜15重量部である。難溶解ガラスフリットおよび易溶解ガラスフリットの合計の含有量が、少なすぎると、外部端子電極10と、素子本体8を構成する層間電圧非直線性抵抗体層4との接合が不十分となってしまい、外部端子電極10表面にめっき膜を形成した後における電気特性(特に、バリスタ電圧)が劣化してしまう傾向にある。一方、含有量が多すぎると、外部端子電極表面に存在するガラスの量が多くなってしまい、この表面に存在するガラスがめっき処理の際に邪魔となってしまい、結果として、均一なめっき膜を形成できなくなる傾向にある。
また、ガラス成分中における、難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとの含有比率は、重量比で、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)=0.1〜2.0の範囲であり、好ましくは0.3〜1.5の範囲、より好ましくは0.4〜1.4の範囲である。(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)<0.1、すなわち、難溶解ガラスフリットが少なすぎると、ハンダ付けした際に、SnあるいはSn−Pbと外部端子電極10に含有されている銀(Ag)とが反応すると言う、銀食われが発生してしまい、その結果、外部端子電極10中の金属銀がなくなってしまい、外部端子電極10としての機能である接合が不十分となる。(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)>2.0、すなわち、易溶解ガラスフリットが少なすぎると、外部端子電極表面に存在する難溶解ガラスフリットの量が多くなってしまい、この表面に存在する難溶解ガラスフリットがめっき処理の際に邪魔となり、結果として、均一なめっき膜を形成できなくなる傾向にある。
積層型チップバリスタの製造方法
次に、本実施形態に係る積層型チップバリスタ2の製造方法の一例を説明する。
本実施形態の積層型チップバリスタ2は、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部端子電極を形成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、図1に示す層間電圧非直線性抵抗体層4および外側保護層4aを形成するための電圧非直線性抵抗体層用ペースト、および内部電極層6を形成するための内部電極層用ペーストをそれぞれ準備する。
電圧非直線性抵抗体層用ペーストは、電圧非直線性抵抗体磁器組成物原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。電圧非直線性抵抗体磁器組成物原料は、各種原料を使用して、焼成後の層間電圧非直線性抵抗体層4が所望の組成となるように、適宜調整すればよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバインダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じてテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、水溶系塗料とは、水に水溶性バインダ、分散剤等を溶解させたものであり、水溶系バインダは、特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョン等から適宜選択すればよい。
内部電極層用ペーストは、上述した各種導電材あるいは焼成後に上述した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。
各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されても良い。
印刷法を用いる場合、電圧非直線性抵抗体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、電圧非直線性抵抗体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
次に、このグリーンチップを脱バインダ処理および焼成して、焼結体(素子本体8)を作製する。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよい。たとえば、空気雰囲気において、昇温速度を5〜300℃/時間程度、保持温度を180〜400℃程度、温度保持時間を0.5〜24時間程度とする。
グリーンチップの焼成は、通常の条件で行えばよい。たとえば、空気雰囲気において、昇温速度を50〜500℃/時間程度、保持温度を1000〜1400℃程度、温度保持時間を0.5〜8時間程度、冷却速度を50〜500℃/時間程度とする。保持温度が低すぎると緻密化が不充分となり、保持温度が高すぎると内部電極の異常焼結による電極の途切れを生じる傾向がある。
次いで、得られた焼結体(素子本体8)に、たとえば、バレル研磨やサンドブラストにより端面研磨を施し、次いで、外部端子電極形成用の導電体ペーストを焼結体(素子本体8)の端部に、印刷、転写などの方法により塗布し、導電体ペースト膜を形成する。
外部端子電極形成用の導電体ペーストは、AgやAg−Pd合金からなる導電粉と、上述の難溶解ガラスフリットと、上述の易溶解ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を混練して調製される。
導電体ペースト中における、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの合計の含有量は、導電粉100重量部に対して、5〜20重量部であり、好ましくは7〜20重量部、より好ましくは7〜15重量部である。また、難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとの含有比率は、重量比で、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)=0.1〜2.0の範囲であり、好ましくは0.3〜1.5の範囲、より好ましくは0.4〜1.4の範囲である。
なお、AgやAg−Pd合金からなる導電粉の代わりに、焼成後にAgやAg−pd合金となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等を使用しても良い。また、有機ビヒクルとしては、上述した電圧非直線性抵抗体層用ペーストに用いられるものと同様のものが使用できる。有機ビヒクルの含有量は、ペースト全体を100重量%として、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
次いで、焼結体の端部に形成した導電体ペースト膜を、乾燥し、その後、焼付けすることにより、外部端子電極10を形成する。焼付けの条件は、たとえば、空気雰囲気中、好ましくは500〜900℃、より好ましくは600〜800℃、10分〜1時間程度とすることが好ましい。焼付けの温度が低すぎると、導電粉の焼結が不十分になり、さらには、ガラス成分の溶解も不十分となっていしまい、ガラスの膜が形成されなくなってしまう。また、焼付けの温度が高すぎると、ガラス成分が外部端子電極表面に移動してしまい、電気めっきによるめっき膜の形成が困難となる。
次いで、焼付け後の外部端子電極10に、Niを主成分として含有する第1のめっき膜と、さらに、この第1のめっき膜の表面にSnを主成分として含有する第2のめっき膜と、を形成して積層型チップバリスタ2を得る。第1のめっき膜および第2のめっき膜の形成は、めっき液を使用した電気めっきにより行う。このように、Ni、Snからなる第1および第2のめっき膜を形成することにより、積層型チップバリスタ2のハンダでの実装が可能となる。本実施形態においては、焼付け後の外部端子電極10中に、所定量の難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとを含有しているため、上述の第1および第2のめっき膜を均一に、より具体的には、外部端子電極10表面における第1のめっき膜の被覆率を、95%以上となるように形成することができる。
なお、積層型チップバリスタは、積層型コンデンサ等と異なり、素子本体が半導体となっている。そのため、従来においては、外部端子電極10の表面に、電気めっきによりNiを主成分として含有する第1のめっき膜を形成する際に、大電流によりめっき膜を形成してしまうと、外部端子電極10だけでなく、素子本体8にもめっき膜が形成されてしまうため、大電流によりめっき膜を形成することができなかった。そして、大電流によりめっき膜を形成することができないため、第1のめっき膜を均一に形成すること、すなわち、第1のめっき膜の被覆率を高くすることが困難であった。そのため、積層型チップバリスタを、ハンダにより基板上に実装する際に、ハンダのぬれ性が悪化し、結果として、ハンダ付け性が劣化してしまうという問題があった。
これに対して、本実施形態によると、上述の問題を有効に解決することができるものである。
このようにして製造された本実施形態の積層型チップバリスタ2は、たとえば静電気などの外来サージ(異常電圧)やノイズなどを、吸収または除去するために使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
また、上述した実施形態では、図1に示す2個の外部端子電極10,10を有する構成としたが、図3に示すように、4個の外部端子電極10’,10’,10a’,10a’を有するような構成としてもよい。図3に示すような構成とした場合には、一対の外部端子電極10’,10’と、一対の外部端子電極10a’,10a’とが、それぞれ対をなし、それぞれがバリスタ回路を形成することとなる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、表1に示す各組成を有するガラスフリットを準備し、準備したガラスフリットを、アルミナ板上に、それぞれ焼き付けた。次いで、ガラスフリットを焼付けたアルミナ板を、上述の第1のめっき膜を成膜するためのNiめっき液に浸漬させ、その後、24時間経過後に、めっき液から引き上げた。そして、めっき液に浸漬させる前後のガラスフリットの重量から、下記式(1)により、ガラスフリットのめっき液への溶解度を測定した。結果を表1に示す。なお、本実施例においては、Niめっき膜を電気めっきにより形成する際に、一般的に用いられるNiめっき液を使用した。
めっき液への溶解度(重量%)={(めっき液浸漬前のガラスフリットの重量−めっき液に24時間浸漬後のガラスフリットの重量)/めっき液浸漬前のガラスフリットの重量}×100 …(1)
Figure 0004359267
表1より、ガラスフリット(a)、(b)、(c)は、それぞれ、めっき液への溶解度が1重量%未満となり、めっき液に比較的に溶解し難い難溶解ガラスフリットに相当し、また、ガラスフリット(e)(g)、(h)、(i)は、それぞれ、めっき液への溶解度が1重量%以上となり、めっき液に比較的に溶解し易い易溶解ガラスフリットに相当することが確認できる。なお、ガラスフリット(d)および(f)は、参考例としてのガラスフリットである。
実施例2
まず、上述の方法に従い、図3に示すバリスタ素子本体8’を製造した。本実施例では、図3に示すバリスタ素子本体を構成する層間電圧非直線性抵抗体層および外側保護層をZnOを主成分とするバリスタ材料で形成し、内部電極層をPdで形成した。
次いで、外部端子電極を形成するための導電体ペーストを準備した。
導電体ペーストは、Ag粉末と、難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとを、バインダとしてのエチルセルロースと、溶媒としてのターピネオールとをボールミルで混合してペースト化することにより調製した。
本実施例では、難溶解ガラスフリットとして、表1に示すガラスフリット(a)を使用し、易溶解ガラスフリットとして、表1に示すガラスフリット(g)および(i)を使用した。また、導電体ペースト中における、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの合計の含有量は、Ag粉末100重量部に対して、表2に示す各量(4〜22重量部)とし、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの割合を、表2に示す各比率(0.05〜2.2(重量比))とした。なお、易溶解ガラスフリットとしてのガラスフリット(g)および(i)は、重量比で1:1とした。
また、導電体ペースト中における、エチルセルロースおよびターピネオールの含有量は、ペースト全体100重量%に対して、エチルセルロース:7重量%、ターピネオール:13重量%とした。
次いで、図3に示す素子本体8’の端部に、上記にて調製した導電体ペースト(外部端子電極形成用のペースト)を塗布、乾燥し、次いで、大気中、700℃、10分の条件で焼付けすることにより、図3に示す外部端子電極10’,10a’を形成した。次いで、外部端子電極10’,10a’の表面に、電解めっきにより、Niめっき膜(第1のめっき膜)およびSnめっき膜(第2のめっき膜)を形成し、図3に示す積層型チップバリスタの試料1〜9を製造した。なお、本実施例においては、Niめっき膜は、Niめっき膜を電気めっきにより形成する際に、一般的に用いられるNiめっき液を使用した。
なお、図1に示す積層型チップバリスタ2においては、2個の外部端子電極10,10は、素子本体8の5つの側面に渡って形成されており、一方、図3に示す積層型チップバリスタ2’においては、4個の外部端子電極10’,10’,10a’,10a’は、素子本体8’の3つの側面に渡って形成されている。すなわち、図3に示す積層型チップバリスタ2’は、図1に示す積層型チップバリスタ2と比較して、その構成上、外部端子電極と素子本体との接合面積が少ないため、接合強度等が低い場合には、特に顕著な差となって現れる傾向にある。そのため、本実施例においては、図3に示す積層型チップバリスタ2’を製造し、測定、評価を行った。
Niめっき膜の被覆率
Niめっき膜の被覆率は、Snめっき膜を形成する前のバリスタ試料10個を用いて、Niめっき膜が形成された外部端子電極部分を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、Niめっき膜で覆われている領域を、面積測定機で測定することにより行った。面積測定機による測定の結果、測定視野内における、Niめっき膜で覆われている領域の割合を算出することにより、Niめっき膜の被覆率を求めた。なお、本実施例では、測定視野は50×50μmとした。Niめっき膜による外部端子電極(下地電極)の被覆が不十分であると、ハンダ付けした際に、SnあるいはSn−Pbと外部端子電極10’,10a’に含有されている銀(Ag)とが反応すると言う、銀食われが発生してしまい、その結果、外部端子電極中の金属銀がなくなってしまい、外部端子電極としての機能である接合が不十分となってしまう。そのため、Niめっき膜の被覆率は高い方が好ましい。結果を表2に示す。
ハンダ付け性試験
ハンダ付け性試験は、Niめっき膜およびSnめっき膜を形成したバリスタ試料を、温度235℃のハンダ槽に2秒間浸漬し、その後、バリスタ試料をハンダ槽から引き上げ、ハンダのぬれ面積を測定することにより評価した。具体的には、20個のバリスタ試料についてハンダのぬれ面積を測定し、各試料の2面の電極のうち(20個×2面の合計40面)、いずれの面も、ハンダのぬれ面積が95%以上であった場合を「良好」とし、1面でもハンダのぬれ面積が95%未満となっていた場合には「不良」と評価した。結果を表2に示す。なお、表2中、「良好」で合った試料を「○」、「不良」であった試料を「×」で示した。また、本実施例では、ハンダとして、JIS Z 3282に基づくものを使用した。
めっき膜形成後におけるバリスタ電圧の変化率
めっき膜形成後におけるバリスタ電圧の変化率は、めっき膜(Niめっき膜およびSnめっき膜)形成前後におけるバリスタ電圧の変化率を求めることにより評価した。具体的には、それぞれ20個のめっき膜形成前のバリスタ試料およびめっき膜形成後のバリスタ試料を準備し、めっき膜形成前のバリスタ電圧の平均値と、めっき膜形成後のバリスタ電圧の平均値と、を求め、下記式(2)により、バリスタ電圧の変化率を算出した。なお、本実施例では、バリスタ試料に流れる電流が1mAの時に、バリスタ試料の電極間に作用する電圧を電圧計により読みとった値を、バリスタ電圧(V1mA )とした。バリスタ電圧の変化率は低い方が好ましく、本実施例では、バリスタ電圧の変化率が10%未満である試料を良好とした。結果を表2に示す。
めっき膜形成後におけるバリスタ電圧の変化率(%)={(めっき膜形成後のバリスタ電圧−めっき膜形成前のバリスタ電圧)/めっき膜成形前のバリスタ電圧}×100 …(2)
リフロー後の特性劣化率
リフロー後の特性劣化率は、ハンダリフロー前後におけるバリスタ電圧の変化率を求めることにより評価した。具体的には、それぞれ20個のリフロー前のバリスタ試料およびリフロー後のバリスタ試料を準備し、リフロー前のバリスタ電圧の平均値と、リフロー後のバリスタ電圧の平均値と、を求め、下記式(3)により、リフロー後におけるバリスタ電圧の変化率を算出した。そして、バリスタ電圧の変化率が10%以上である試料を「不良」とし、20個の測定試料中における、「不良」となった試料の個数を求めることにより、評価した。結果を表2に示す。なお、本実施例では、リフローは、ガラスエポキシ樹脂で作製した基板に、ハンダペーストを印刷し、バリスタ試料をマウントした後、ピーク温度が230℃であるリフロー炉を通すことにより行った。
リフロー後におけるバリスタ電圧の変化率={(リフロー後のバリスタ電圧−リフロー前のバリスタ電圧)/リフロー前のバリスタ電圧}×100 …(3)
固着強度
固着強度は、まず、ガラスエポキシ樹脂で作製した基板に、ハンダペーストを印刷し、バリスタ試料をマウントした後、ピーク温度が230℃であるリフロー炉を通すことにより、バリスタ試料を基板上に固定した。そして、固定されたバリスタ試料の側面を超硬合金製の試験端で押し、バリスタ試料が、基板から外れるまでの強度を測定することにより測定した。固着強度は、高いほうが好ましく、本実施例では、10N以上を良好とした。結果を表2に示す。
Figure 0004359267
ただし、表2中、ガラスフリットの合計とは、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの合計の重量を意味する(表3も同様)。
表2より、外部端子電極(下地電極)を形成するための導電体ペースト中に、めっき液に溶解し難い難溶解ガラスフリットと、めっき液に溶解し易い易溶解ガラスフリットと、を本発明所定の範囲で含有させた試料番号2〜7は、いずれも、Niめっき膜の被覆率が高く、ハンダ付け性が良好であり、めっき処理およびハンダリフローによる特性の劣化が低く、しかも、基板上への固着強度が高くなる結果となった。
一方、難溶解ガラスフリットの含有量を少なくした(すなわち、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)を低くした)試料番号1では、めっき処理およびハンダリフローによる特性の劣化が発生し、しかも、基板上への固着強度が低くなる結果となった。
また、難溶解ガラスフリットの含有量を多くした(すなわち、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)を高くした)試料番号8では、Niめっき膜の被覆率が低くなってしまい、ハンダ付け性が悪化する結果となった。さらに、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの合計の含有量を多くした試料番号9では、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの比率を本発明に範囲内としたにも拘わらず、Niめっき膜の被覆率が低くなってしまい、ハンダ付け性が悪化する結果となった。
実施例3
難溶解ガラスフリットおよび易溶解ガラスフリットとして、それぞれ、表3に示すガラスフリットを使用し、さらに、難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの合計の含有量、および難溶解ガラスフリットと易溶解ガラスフリットとの割合を、表3に示すように変化させた以外は、実施例2と同様にして、バリスタ試料を作製し、同様に評価を行った。結果を表3に示す。なお、表3中、試料番号26,27は、それぞれ、難溶解ガラスフリット、易溶解ガラスフリットを使用しなかった試料である。
Figure 0004359267
表3中、試料番号10〜14においては、難溶解ガラスフリットとしてのガラスフリット(a)および(c)は、重量比で1:1とした。同様に、試料番号15〜19において、難溶解ガラスフリットとしてのガラスフリット(b)および(c)は、重量比で1:1とし、易溶解ガラスフリットとしてのガラスフリット(e)および(f)は、重量比で1:1とした。なお、試料番号15〜24は、参考例の試料である。
表3の試料番号10〜24より、難溶解ガラスフリットおよび易溶解ガラスフリットの種類を変更した場合においても、実施例2と同様の結果が得られることが確認できる。特に、難溶解ガラスフリットとして、2種類のガラスフリットを使用した場合(試料番号10〜14)、難溶解および易溶解ガラスフリットとして、共に、2種類のガラスフリットを使用した場合(試料番号15〜19)、および難溶解および易溶解ガラスフリットとして、共に、1種類のガラスフリットを使用した場合(試料番号20〜24)においても、同様の結果が得られることが確認できる。なお、試料番号15〜24は、参考例の試料である。
一方、難溶解ガラスフリットの含有量を多くした(すなわち、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)を高くした)試料番号25では、Niめっき膜の被覆率が低くなってしまい、ハンダ付け性が悪化する結果となった。
また、難溶解ガラスフリットを含有させなかった試料番号26では、めっき処理およびハンダリフローによる特性の劣化が発生し、しかも、基板上への固着強度が低くなる結果となった。さらに、易溶解ガラスフリットを含有させなかった試料番号27では、Niめっき膜の被覆率が低くなってしまい、ハンダ付け性が悪化する結果となった。
図1は本発明の一実施形態に係る積層型チップバリスタの斜視図である。 図2は図1のII−II線に沿う積層型チップバリスタの概略断面図である。 図3は本発明の他の実施形態に係る積層型チップバリスタの斜視図である。
符号の説明
2… 積層型チップバリスタ
4… 層間電圧非直線性抵抗体層
4a… 外側保護層
6… 内部電極層
8… 素子本体
10… 外部端子電極

Claims (3)

  1. 主成分としてZnOを含む層間電圧非直線性抵抗体層と、内部電極層とが交互に積層され、積層方向の両外側端部に外側保護層が配置された素子本体および前記素子本体の両端部に形成された外部端子電極を有する積層型チップバリスタにおいて、めっき液を使用した電気めっきにより、めっき膜が成膜されることとなる前記外部端子電極を形成するための導電体ペーストであって、
    導電粉と、
    有機ビヒクルと、
    下記式(1)で示される、前記めっき膜を成膜するためのめっき液への溶解度が1重量%未満である難溶解ガラスフリットと、
    下記式(1)で示される、前記めっき膜を成膜するためのめっき液への溶解度が1重量%以上である易溶解ガラスフリットと、を含有し、
    前記導電粉100重量部に対する、前記難溶解ガラスフリットと前記易溶解ガラスフリットとの合計の含有量が、5〜20重量部であり、かつ、
    前記難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとの割合が、重量比で、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)=0.1〜2.0であり、
    前記易溶解ガラスフリットは、B−ZnO−SiO系ガラス、ZnO−B−SiO−Al系ガラス、B−ZnO−Al−SrO系ガラス、B−ZnO−SiO−SnO系ガラスから選ばれる少なくとも1つである導電体ペースト。
    めっき液への溶解度(重量%)={(めっき液浸漬前のガラスフリットの重量−めっき液に24時間浸漬後のガラスフリットの重量)/めっき液浸漬前のガラスフリットの重量}×100 …(1)
  2. 主成分としてZnOを含む層間電圧非直線性抵抗体層と、内部電極層とが交互に積層され、積層方向の両外側端部に外側保護層が配置された素子本体および前記素子本体の両端部に形成された外部端子電極を有する積層型チップバリスタを製造する方法であって、
    素子本体表面に、請求項1に記載の導電体ペーストを塗布して、導電体ペースト膜を形成する工程と、
    前記導電体ペースト膜を乾燥し、その後、焼き付けして、外部端子電極を形成する工程と、
    前記外部端子電極の表面に、めっき液を使用した電気めっきにより、めっき膜を成膜する工程と、を有する積層型チップバリスタの製造方法。
  3. 主成分としてZnOを含む層間電圧非直線性抵抗体層と、内部電極層とが交互に積層され、積層方向の両外側端部に外側保護層が配置された素子本体および前記素子本体の両端部に形成された外部端子電極を有する積層型チップバリスタであって、
    前記外部端子電極の表面には、めっき液を使用した電気めっきにより成膜されためっき膜を有しており、
    前記外部端子電極は、
    導電材と、
    下記式(1)で示される、前記めっき膜を成膜するためのめっき液への溶解度が1重量%未満である難溶解ガラスフリットと、
    下記式(1)で示される、前記めっき膜を成膜するためのめっき液への溶解度が1重量%以上である易溶解ガラスフリットと、を含有し、
    前記導電材100重量部に対する、前記難溶解ガラスフリットと前記易溶解ガラスフリットとの合計の含有量が、5〜20重量部であり、かつ、
    前記難溶解ガラスフリットと、易溶解ガラスフリットとの割合が、重量比で、(難溶解ガラスフリット/易溶解ガラスフリット)=0.1〜2.0であり、
    前記易溶解ガラスフリットは、B−ZnO−SiO系ガラス、ZnO−B−SiO−Al系ガラス、B−ZnO−Al−SrO系ガラス、B−ZnO−SiO−SnO系ガラスから選ばれる少なくとも1つである積層型チップバリスタ
    めっき液への溶解度(重量%)={(めっき液浸漬前のガラスフリットの重量−めっき液に24時間浸漬後のガラスフリットの重量)/めっき液浸漬前のガラスフリットの重量}×100 …(1)
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