JP4357066B2 - 電界電子放出装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放出型表示装置(Field Emission Display:FED)、陰極線管(Cathode Ray Tube:CRT)、平面型ランプ、電子銃等の電子線源に用いられる電界電子放出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電界放出によって電子源(エミッタ)から陽極に向かって真空中に電子を放出させる電界電子放出装置は、その電子で蛍光体を励起する表示装置や発光装置、或いは電界顕微鏡の電子銃等に好適に用いられている。ここで、「電界放出(電界電子放出)」とは、強電場の作用により、量子力学的なトンネル現象を利用して電子を固体表面から真空準位へ引き出すことである。真空準位と金属または半導体表面とのエネルギー差は仕事関数(work function) φで表されるが、例えば通常の金属材料では仕事関数φが数(eV)と大きいため、室温において金属中の電子が真空中に飛び出すことはない。しかしながら、外部から強電場を作用させることによりポテンシャル障壁を薄くすると、トンネル効果によって電子が確率論的に真空中に飛び出す。これが電界放出であり、仕事関数φが小さいほど弱い電場で電子を放出させることが可能となる。
【0003】
上記のような電界電子放出装置において、エミッタを多数本のカーボン・ナノチューブ(以下、単にナノチューブという)で構成することが提案されている。例えば、特開平10−149760号公報に記載された電界放出型冷陰極装置や特開平10−012124号公報に記載された電子放出素子等がそれである。ナノチューブとは、円筒状を成す炭素原子(C) の結合体であって、径の異なる複数個のグラファイト・シート(グラフェン・シートすなわち主として炭素の六員環から成るグラファイト層)が入れ子になり、全体の直径が 1〜50(nm)程度、長さが100(μm)程度以下の寸法を有する微細な構造体をいう。このようなナノチューブは、微小径にされたその先端から効率よく電子放出が起き且つエミッション特性に優れると共に、炭素原子だけで構成されることから真空中で耐酸化性が高く化学的安定性に優れ且つ耐イオン衝撃性も高い特徴を有している。そのため、先端部を尖鋭にしたSpindt型と称されるモリブデン・コーン等で構成した数密度が数万 (個/cm2)程度以下にしかならないエミッタに比較して、極めて高い数密度で配設されて高い電子放出効率を有し且つ気密空間内の残留ガスによる酸化や損傷延いては経時変化(劣化)等が生じ難いエミッタを簡単な製造工程で得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のナノチューブの製造方法として、例えば特開平10−265208号公報に記載されているように、真空下で炭化珪素(SiC) 焼結体から成る基板を加熱処理して焼結体中の珪素原子を除去する方法がある。このような製造方法によれば、従来から行われていた不活性ガス雰囲気下で蒸発させたカーボンを凝縮(再結合)させるようなアーク放電法やレーザ・アブレーション法等に比較して、他の炭素同素体の生成を伴うことなく、ナノチューブの向き、高さや配設密度を揃えることができる。そのため、微小な電子発生源としてだけではなく、広い面積に亘って一様な輝度が要求されるFED等の表示装置や照明装置等にも好適に用い得るナノチューブが得られる。上記公報に記載された製造方法では、炭素が比較的高温まで安定な真空下で加熱された基板の表面から珪素(Si)が選択的に除去されることにより、その珪素除去層内に残留する炭素原子で珪素の移動方向すなわち基板内部から表面に向かう一方向に沿って配向するナノチューブが元の炭素原子密度に基づく高い数密度で生成されるものと考えられる。このようなナノチューブ生成作用は、炭化珪素焼結体に限られず他の共有結合性炭化物基板を熱処理する場合にも同様に得ることができる。ここで「共有結合性炭化物」とは、炭素と非金属元素(炭素との間でイオン性炭化物を作るものよりは陽性が弱く、侵入型炭化物を作るものよりは原子半径が小さい珪素等の元素)との化合物であって、共有性炭化物ともいう。
【0005】
しかしながら、上述した基板の熱処理でナノチューブを生成したエミッタでは、一様にナノチューブが生成されているにも拘わらず、その内周部における電子放出効率が周縁部に比較して低いという問題があった。ナノチューブは導電性の低い炭化物から成る基板表面に生成されていることから、基板周縁部から内周部に位置するナノチューブに至る通電経路は専らナノチューブ相互の僅かな接触によって形成される。そのため、通電経路の抵抗率が比較的高くなることから、内周部に向かうに従って通電経路の全抵抗値が高くなってナノチューブに流れる電流値が小さくなり、電子放出効率が低くなるものと考えられる。したがって、内周部における電子放出効率の低下はエミッタの面積が大きくなるほど顕著となり、例えば 3(mm)×5(mm) 程度以上の大きさでは無視できない程度に拡大する。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、高密度に配向させられたナノチューブにより構成されて電子放出効率の一様なエミッタを備えた電界電子放出装置およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
斯かる目的を達成するための第1発明の電界電子放出装置の要旨とするところは、気密空間内において互いに対向して配置されたエミッタおよび陽極間に電圧を印加することにより、そのエミッタから電子を放出させる形式の電界電子放出装置であって、そのエミッタが、(a) 共有結合性炭化物から成る基板を真空下で加熱してその表層部から非金属元素を除去することによりその基板の一面から前記陽極に向かって伸びるように生成された複数本のナノチューブと、(b) 前記共有結合性炭化物から成る炭化物部と前記複数本のナノチューブとの界面にそのナノチューブと原子レベルで連続するように前記基板から生成されて炭素原子が相互に結合させられることにより前記一面に沿った方向において導電性を有する炭素層とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】
このようにすれば、電界電子放出装置のエミッタは、基板の一面に炭素層を介してその一面から陽極に向かうように伸びる複数本のナノチューブを備えて構成される。そのため、基板周縁部からナノチューブに至る通電経路がその一面に沿った方向において導電性を有し且つナノチューブに原子レベルで連続する炭素層によって形成されることから、その通電経路の抵抗率が十分に低くなる。したがって、内周部においてもナノチューブに流れる電流値が十分に大きくなるため、その内周部において電子放出効率が低下することが抑制され、エミッタの電子放出効率が全面で略一様となる。なお、「導電性の炭素層」とは、アモルファス・カーボン(無定形炭素)、グラファイトやフラーレン等の導電性を有する炭素の同素体から成る層をいい、ナノチューブが含まれていても差し支えない。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記の目的を達成するための第2発明の電界電子放出装置の製造方法の要旨とするところは、気密空間内において互いに対向して配置されたエミッタおよび陽極間に電圧を印加することにより、そのエミッタから電子を放出させる形式の電界電子放出装置の製造方法であって、共有結合性炭化物から成る基板を、10(Pa)以下の圧力範囲の真空下において、1550乃至 1800(℃) の温度範囲で 1時間以上加熱する真空熱処理工程を含むことにある。
【0010】
【第2発明の効果】
このようにすれば、真空下すなわち大気中よりも酸素分圧の低い雰囲気中において加熱された基板は、その表面から次第に共有結合性炭化物を構成する非金属元素が選択的に除去されるため、その表層部に炭素だけで構成される非金属元素除去層が形成されると共にその非金属元素除去層内に基板表面から前記陽極に向かって伸びる複数本のナノチューブが高密度に生成される。このとき、基板は10(Pa)以下の圧力下において1550〜 1800(℃) の温度で 1時間以上の長時間に亘って加熱されることから、その表層部の非金属元素除去層は次第に厚くなる。この厚くなった非金属元素除去層は、上層部が陽極に向かって伸びるナノチューブ構造に保たれる一方、下層部は表面に沿った方向にグラファイトや無定形炭素等が連なると共にそのナノチューブに原子レベルで連続する炭素層となる。そのため、陽極に向かって伸びる複数本のナノチューブがそれに原子レベルで連続する導電性を有する炭素層を介して基板表面に生成されることから、基板の周縁部からナノチューブに至る通電経路の抵抗率が十分に低くなる。したがって、内周部においてもナノチューブに流れる電流値が十分に大きくなるため、その内周部において電子放出効率が低下することが抑制され、エミッタの電子放出効率が全面で略一様となる。
【0011】
なお、共有結合性炭化物からナノチューブが生成される反応は、例えば炭化珪素の場合には、
2SiC + O2 → 2SiO↑+ 2C
であると考えられている。すなわち、炭化珪素中のSiが雰囲気中に微量含まれる酸素(O2)に酸化されることによりガス化してその表面から消失させられ、残留するC によってナノチューブが形成される。上記酸化反応は、他の共有結合性炭化物でも略同様である。そのため、非金属元素除去層が厚くなるほど、すなわちナノチューブが長くなるほどその下層部と表面との間のガス流通(O2の侵入或いはSiO の脱出)が困難になることから、上記反応により生成されたC がそのガスの流れに沿って成長されるナノチューブにはならず、構造の乱れた炭素層になるものと考えられる。このとき、炭素層が形成されるためには上記のようにナノチューブが十分に成長する必要があることから、加熱時間は 1時間以上の長時間としなければならない。また、酸素分圧が高いと上記反応により生成されたC が
C + O2 → CO2↑
との酸化反応で表面からガス化して消失するため、長時間加熱の前提下では圧力が10(Pa)以下の真空下で加熱処理を施す必要がある。また、温度が高くなるほどナノチューブの成長速度すなわちSiC の分解速度は高くなるため、 1550(℃) よりも低温ではガスの流通速度がその分解速度に対して十分に高く保たれることになって炭素層は生成されずナノチューブだけが成長する。反対に 1800(℃) よりも高温ではガスの流通速度が上記分解速度に対して低くなり過ぎるため、非金属元素除去層の上層部までナノチューブが乱れて略全体が炭素層になる。したがって、加熱温度は1550〜 1800(℃) の温度範囲にする必要がある。また、過度の酸化反応を抑制するためには、酸素分圧を 5(Pa)以下とすることが望ましい。なお、上記の酸素分圧は、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素等が雰囲気中に含まれる場合には、これらに含まれる酸素をO2に換算した場合の分圧である。
【0012】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、上記の製造方法において、前記圧力範囲は10-4乃至10(Pa)である。このようにすれば、共有結合性炭化物が適度な速度で分解される範囲に真空度が設定されていることから、炭化物部の表面に炭素層を介してナノチューブが生成された構造を比較的短時間で得ることができる。なお、10-4(Pa)よりも低い圧力(すなわち高い真空度)では、雰囲気中のO2量が過少になって酸化反応の進行が極めて遅くなるため、ナノチューブの成長速度が極めて遅くなると共に非金属元素除去層の下層部においてもその構造が乱れ難くなり、炭素層を介した構造を得るまでに極めて長時間を要することになる。
【0013】
また、好適には、前記の基板は炭化珪素から成るものである。このようにすれば、基板表面に一層緻密且つ一様に配向させられたナノチューブを生成できる。これは、珪素と炭素との酸化傾向が微妙に異なり、珪素のみが酸化される条件があるためと推定される。なお、炭化珪素は一般にα型(α-SiC)およびβ型(β-SiC)に分類されるが、何れから成る基板にもナノチューブが好適に生成される。上記のα型およびβ型は、多数存在する炭化珪素の多形を二分類したものであり、立方晶の3Cをβ型といい、それ以外の非等軸晶(六方晶の2H、4H、6Hおよび菱面体の15R等)をα型という。ここで、2H等はRamsdellの表記法に従ったものである。
【0014】
また、好適には、前記基板は、その結晶面に平行な表面を備えた単結晶である。このようにすれば、ナノチューブは結晶面に垂直な方向に配向する傾向があることから、表面に生成されるナノチューブ相互の独立性が高められて実質的な電子放出位置(エミッション・サイト)が多くなるため、電子放出効率が一層高められる。一層好適には、上記表面は、炭素だけが存在する第1の層と非金属元素だけが存在する第2の層とが交互に積み重ねられる方向における積層面である。このようにすれば、ナノチューブの配向性延いては独立性を更に高めることができる。これは、最表面に位置する非金属元素が除去される際、余った炭素原子がチューブ形状を形成し易いためと考えられる。上記の積層面は、例えば、2Hのα-SiC単結晶等のような六方晶の化合物においては(0001)面であり、β-SiC単結晶等のような立方晶の化合物においては(111)面である。
【0015】
また、好適には、前記複数本のナノチューブは、前記陽極側に位置する先端が開放させられたものである。このようにすれば、先端が開放させられたナノチューブは、円筒状のグラファイト層の端面でその先端が構成されることとなるため、その先端における曲率半径は実質的にそこに位置する炭素原子の半径に略一致する。しかも、ナノチューブは円筒状を成す複数個のグラファイト層が入れ子になって構成されたものであるため、ドーム状に閉じている先端が開放されることにより内周側に備えられているグラファイト層の端面が露出させられる。そのため、そのナノチューブの先端は、それぞれ炭素原子の原子半径に略等しい曲率半径を有した複数のグラファイト層の端面で構成され、その開放された先端に位置する個々の炭素原子から電子が放出される。したがって、先端の曲率半径が極めて小さく、且つ実質的な電子放出位置が多くなることから、電子放出効率が飛躍的に高められる。
【0016】
上記のような先端が開放されたナノチューブは、例えば、前記の真空熱処理工程の後に、酸素の存在下において450 〜750(℃) 程度の温度で加熱する酸化熱処理工程を施すことによって得ることができる。ナノチューブの先端が閉じるように導入されている五員環或いは七員環は、グラファイトの基本構成要素である六員環よりも結合力が小さいことから、熱を加えることにより優先的に分解されるため、ドーム状の先端部(通常、「キャップ」と称される)がそれら五員環或いは七員環の存在する位置から分離されるのである。酸化熱処理時間は、好適には、10秒乃至 3分程度であり、処理温度に応じて適宜設定される。なお、450(℃) よりも低温或いは10秒よりも短時間では五員環および七員環が分解されないため先端を開放できない。一方、750(℃) よりも高温或いは 3分よりも長時間では六員環も分解されてナノチューブが失われることとなる。
【0017】
また、ナノチューブの先端の開放は、その先端側からプラズマ・エッチングすることによっても行うことができる。このようにすれば、先端の開放処理時に酸素によってナノチューブが劣化し、或いは酸素の吸着によってエミッション特性が低下させられることが好適に抑制される。なお、エッチングに利用するガスは、水素、アルゴン、ヘリウム、窒素、或いはそれらの混合ガスが好適に用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の電界電子放出装置の一適用例であるFED10の構成の要部を模式的に示す断面図である。図において、FED10は、透光性を有する略平坦な前面板12と、それに平行に配置された背面板14とが枠状のスペーサ16を介して接合されることにより、内部が10-4(Pa)程度以下、好ましくは10-5(Pa)程度以下の真空度の気密容器に構成されている。前面板12および背面板14は、それぞれ1 〜2(mm) 程度の厚さのソーダライム・ガラス製の平板等から成るものである。但し、背面板14は透光性を要求されないため、セラミックス或いは琺瑯等の電気絶縁性を有する他の材料で構成してもよい。また、上記のスペーサ16は、例えば前面板12および背面板14の構成材料と同様な熱膨張係数を有する材料、例えばそれらと同様なソーダライム・ガラスや表面に絶縁層を設けた426合金等から成るものであって、例えば0.3(mm) 程度の一様な厚さを備えている。
【0020】
上記の前面板12の内面18には、透明なITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等から成る複数本の陽極(アノード)20が、一方向に沿ってストライプ状に配列形成されている。この陽極20は、例えばスパッタや蒸着等の薄膜プロセスによって1(μm)程度の膜厚に設けられたものであり、シート抵抗値で 10(Ω/□) 程度の高い導電性を有する。これら複数本の陽極20の各々の下面には、例えば赤、緑、青にそれぞれ発光させられる蛍光体層22が、それら3色が繰り返し並ぶように設けられている。蛍光体層22は、例えば、低速電子線で励起されることにより可視光を発生させる(Zn,Cd)S:Ag,Cl(赤)、ZnGa2O4:Mn(緑)やZnS:Cl(青)等の蛍光体材料から構成されるものであり、例えば10〜 20(μm)程度の色毎に定められた厚さを以て厚膜スクリーン印刷法等で形成されている。
【0021】
一方、背面板14の内面24には、例えばストライプ状の複数本の陰極26が上記の陽極20と直交する他方向に沿って配列形成されている。陰極26は、例えば、Ni、Cr、Au、Ag、Mo、W 、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属、合金、或いは金属酸化物とガラスとから構成される厚膜印刷導体である。これら複数本の陰極26の各々の上には、後述するように電子の発生源となるエミッタ28が、例えば導電性接着剤等によって陰極26と導通させられた状態で固着されている。エミッタ28と陽極20との距離は、例えば数十 (μm)〜数十(mm)程度、例えば20(mm)程度である。なお、図においてはエミッタ28が図の左右方向において陰極26と略同じ長さ寸法に描かれているが、エミッタ28は、実際には例えば陰極26上においてFED10の画素(独立して制御される発光単位)毎に分割して設けられており、個々のエミッタ28の大きさは、例えば 3×5(mm) 程度である。そして、エミッタ28の上方には、陰極26と直交する方向、すなわち陽極20と同様な一方向に沿って配列されたストライプ状の複数本のゲート電極30が、絶縁膜32によってエミッタ28と電気的に絶縁させられた状態で備えられている。ゲート電極30は、例えばクロム(Cr)等から構成されて、陰極26との交点の各々に直径1 〜2(μm)程度の複数個の電子通過孔34を備え、エミッタ28との距離は数(mm)程度以下、例えば0.5(mm) 程度である。また、絶縁膜32は、二酸化珪素(SiO2)等の絶縁材料で構成されている。これらゲート電極30および絶縁膜32は、何れも真空蒸着法、印刷法、或いはスパッタ法等によって形成されている。
【0022】
そのため、陰極26およびゲート電極30にそれぞれ信号電圧および走査電圧が印加されると、それらの間の大きな電圧勾配に基づいて生じる電界放出(Field Emission)によってその陰極26上に固着されているエミッタ28から電子が放出される。この電子は、前面板12上に設けられている陽極20に所定の正電圧が印加されることにより、ゲート電極30に設けられている電子通過孔34を通ってその陽極20に向かって飛ぶ。これにより、その陽極20上に設けられている蛍光体層22に電子が衝突させられ、蛍光体層22が電子線励起により発光させられる。したがって、ゲート電極30の走査のタイミングに同期して所望の陽極20に正電圧を印加することにより、所望の位置にある蛍光体層22が発光させられるため、その光が前面板12を通して外部に射出されることにより、所望の画像が表示される。なお、駆動方法の詳細については、本発明の理解に必要ではないので説明を省略する。
【0023】
図2(a) 、(b) は、上記のエミッタ28の断面構成を詳しく示す図である。図2(a) において、エミッタ28は、例えば炭化珪素から成る炭化物部36と、その炭化物部36の表面全体を覆う珪素除去層38とを備えている。この珪素除去層38は、製造方法を後述するように炭化珪素を構成する珪素が除去されることにより炭素だけから構成された厚さ寸法hが数 (μm)程度、例えば1.4(μm)程度の厚みの層である。図2(a) において一点鎖線bで囲んだ範囲を図2(b) に拡大して模式的に示すように、珪素除去層38は、エミッタ28の略平坦な表面48側においては、炭化物部36の表面40上に形成された珪素除去層38の下層部を構成する炭素層42と、その炭素層42の表面44上から伸びて珪素除去層38の上層部を構成する多数本のナノチューブ46とから成る。また、エミッタ28の他の面、すなわち図2(a) における側面および底面にはナノチューブ46は殆ど存在せず、実質的に炭素層42だけで珪素除去層38が構成されている。炭素層42の厚さhgは数百(nm)〜数 (μm)程度、例えば1.0(μm)程度であり、ナノチューブ46の長さ寸法hnは数十〜数百(nm)程度、例えば0.4(μm)程度である。
【0024】
上記の炭素層42は、主として炭素原子の平坦な網目構造から成るグラファイトや無定形炭素等から成るものである。炭素層42内では、炭素原子の結合構造が図における左右方向に連なることにより、その表面44延いては炭化物部36の外周面に沿った方向において高い導電性を有している。このため、陰極26上にエミッタ28の下面を導電性接着剤等で固着するだけで、その表層部に形成された炭素層42によってその陰極26とナノチューブ46との間に導電性の高い通電経路が形成される。なお、図2(b) においては、炭化物部36の表面40および炭素層42の表面44が平坦に描かれているが、実際には、これら表面40、44は略平坦な例えば高低差が1(μm)程度以下の凹凸面である。この炭素層42は、後述する製造方法や図6等から明らかなように炭化物部36の表面40から原子レベルで連続しており、何ら接合処理等を施すことなく、その炭化物部36上に一体的に設けられている。
【0025】
また、上記のナノチューブ46は、炭素層42の表面44に例えば 1011(本/cm2) 程度以上[例えば、10000 〜40000(本/μm2) 程度]の数密度で緻密に立設されたものである。各々のナノチューブ46の直径dは例えば5 〜10(nm)程度であって、表面44に対して略垂直を成す方向に配向しており、陽極20に向かうその先端は高低差が数(nm)〜数十(nm)程度の略一様な高さに位置する。このナノチューブ46も炭素層42の表面44から原子レベルで連続しており、実質的に炭化物部36上に一体的に設けられている。前述した駆動過程におけるエミッタ28からの電子の放出は、これらのナノチューブ46の先端から為されるものであり、したがって、本実施例においては、エミッタ28の表面48に備えられた多数本のナノチューブ46の各々が実質的にエミッタとして機能する。
【0026】
図3に先端部を拡大した分子構造モデルを示すように、上記のナノチューブ46は、その周壁が炭素原子50の六員環が網状に連結されて成る複数本(例えば2 〜10本程度)の順次径の異なる円筒状グラファイト層52a、52b、〜52k(以下、特に区別しないときは単にグラファイト層52という)が入れ子になって、2 〜10層程度の多層構造から成る円筒状のグラファイト層52で構成されたものである。個々のナノチューブ46の先端には多重構造を成すグラファイト層52の端面が露出している。すなわち、ナノチューブ46は陽極20に向かう先端が開放した形状を備えており、そのグラファイト層52の端面を構成する複数の炭素原子50の各々から電子が放出されることとなる。したがって、エミッタ28の先端の実質的な曲率半径は、炭素原子50の半径に一致する。なお、最外周に位置するグラファイト層52aの直径すなわちナノチューブ46の直径odは例えば5 〜10(nm)程度であり、最内周に位置するグラファイト層52kの直径idは例えば3(nm) 程度である。すなわち、本実施例においては、実質的に、直径od=10(nm)程度以下の極めて微細な領域内に極めて多数のエミッション・サイト(電子の放出位置)が存在する。また、各グラファイト層52の相互間隔gは、平坦なグラファイトの層間隔に略等しい3.4(Å) 程度であり、グラファイト層52は相互に略独立している。
【0027】
そのため、複数本のナノチューブ46は、相互に独立し或いは僅かに接触する程度の位置関係にあり、ナノチューブ46相互間の電気抵抗は比較的大きい。しかしながら、ナノチューブ46はそれ自身が導電性の高いグラファイト層52で構成されると共に、表面48に沿った方向において高い導電性を有した炭素層42上に原子レベルで連続するように立設されているため、何れのナノチューブ46に対しても、その炭素層42を介した極めて抵抗率の低い通電経路が形成される。また、炭化物部36を構成する炭化珪素の導電性は極めて低いが、その表面全体が導電性の高い炭素層42で覆われているため、エミッタ28にはその表層部の珪素除去層38を通る導電性の高い通電経路が形成される。
【0028】
したがって、その炭素層42の表面44に備えられたナノチューブ46は、炭素層42および導電性接着剤を介して陰極26に導通させられることから、前述のように陰極26およびゲート電極30間に電圧を印加することによりナノチューブ46に通電させられ、その先端から電子が放出されることとなる。このとき、陰極26からエミッタ表面48の内周側に至る通電経路は、専ら炭素層42だけで構成されることから、ナノチューブ46に流れる電流値は、その表面48の外周部および内周部の何れに位置するものも同様な大きさとなる。すなわち、エミッタ28は、珪素が除去されることにより一面48から陽極20に向かう一方向に沿って伸びるように生成された複数本のナノチューブ46と、炭化珪素のままの炭化物部36とナノチューブ46との界面に生成された炭素層42とを有していることから、周縁部からナノチューブ46に至る通電経路がその一面48に沿った方向において導電性を有する炭素層42によって形成されるため、その通電経路の抵抗率が十分に低くなる。そのため、内周部においてもナノチューブに流れる電流値が十分に大きくなることから、その内周部において電子放出効率が低下することが抑制され、エミッタの電子放出効率が全面で一様となる。上記により、個々のエミッタ28からはその表面48全面で一様に電子が放出され、延いては複数本の陰極26の上にそれぞれ設けられているエミッタ28の略全面から略一様に電子が放出され、略一様な電界が形成されることとなる。このように、一方向に配向して緻密に配設され且つそれぞれが炭素層42を介して陰極26に接続された複数本のナノチューブ46からエミッタが構成されることから、高電流密度で特性の一様なエミッタ28を備えたFED10が得られる。
【0029】
なお、上記のエミッタ28の電気的性能を評価するために、同様な構造を有して表面48が 5×5(mm) 程度の大きさに形成されたエミッタを用いて、ナノチューブ46とゲート電極30との距離を0.5(mm) 程度、ゲート電極30と陽極20との距離を20(mm)程度とした三極管構造の電界電子放出装置を作製した。この装置において、ゲート電圧 3(kV)、アノード(陽極)電圧 7(kV)とすると、放出電流すなわち陽極20と陰極26との間に流れる電流値は200(μA)以上と十分に大きく、また、蛍光体層22の発光を観察することにより、エミッタの周縁部および中央部から略一様に電子が放出されることが確かめられた。このような高い電子放出能力が得られるのは、前述したようにナノチューブ46の先端が開放させられて内周側に位置するグラファイト層52の端面が露出させられていることから、各々の端面の先端に位置する多数の炭素原子50の各々が実質的なエミッション・サイトとして機能するためエミッション・サイトが極めて多く、且つ先端の曲率半径が極めて小さいことの寄与も大きいと考えられる。
【0030】
ところで、上記のエミッタ28は、例えば、以下のようにして製造される。以下、工程の要部段階を示す図4(a) 〜(c) を参照してその製造方法を説明する。まず、例えば(0001)面が表面54に現れたα型、或いは(111)面が表面54に現れたβ型の炭化珪素単結晶から成る基板56を用意し、真空炉58内にその表面54が上向きとなるように配置する。図4(a) はこの状態を示している。
【0031】
次いで、この真空炉58内において基板56を1550〜 1800(℃) 程度の範囲内の温度、例えば 1700(℃) 程度の温度で、 1時間以上の長時間、例えば10時間程度だけ加熱する真空熱処理を施す。この加熱処理中においては、真空炉58内が、10-4〜10(Pa)の範囲内の圧力、例えば10-2(Pa)程度の減圧下すなわち真空下に保たれ、炉内雰囲気が酸素(O2)の希薄な状態すなわち酸素分圧の低い状態とされる。これにより、炭化珪素を構成する珪素(すなわち共有結合性炭化物を構成する非金属元素)が基板56の表面54を含む外周面全体から酸化され且つガス化して次第に除去され、その平坦な表面54近傍に炭素原子50だけから成る前記の珪素除去層38が形成される。すなわち、炭化物部36の表面40に炭素層42を介してナノチューブ46が形成される。図4(b) はこの状態を示しており、図5にこの段階における基板表面近傍の前記の図2(b) に対応する要部断面を示す。生成されたナノチューブ46は主に炭素の六員環で構成されているが、その端部には五員環或いは七員環が導入されて曲率半径10(nm)程度の小さなドーム状に閉じている。また、生成されたナノチューブ46は、α型においては[0001]方向に、β型においては[111]方向に高配向している。
【0032】
図6は、上記の真空熱処理によるナノチューブ46の形成過程を説明するモデル図である。(0001)面および(111)面は、炭素50だけの層と珪素60だけの層が交互に積層された結晶面であるが、このような面から珪素60が除去される際には、炭素50がチューブ形状を形成し易い。すなわち、炭化珪素から珪素原子60が選択的に抜け出ると、基板56には表面54(仮想線で示す)側から順に炭素44だけの分子構造が形成されていく。このように形成される分子は、前述のように炭素原子50が網状につながった六員環構造を成すグラファイトであるが、上記の結晶面から珪素原子60が除去されると、その六員環構造は珪素原子60の移動方向に沿ってエピタキシャル的に成長し、基板表面54の結晶面に応じてその成長方向が決定されるものと考えられる。そのため、熱処理の進行に伴って珪素除去層38が深くなると、上記のような結晶方位では円筒状のグラファイト・シートが基板56の厚み方向すなわち珪素除去層38の進行方向に伸びるように形成され、炭化珪素の結晶構造をある程度受け継いで図に示されるように炭化物部36と原子レベルで連続させられた形で、緻密に並び且つ基板表面54すなわちエミッタ表面48に略垂直な方向に配向したナノチューブ46が得られるものと推定される。
【0033】
このように珪素除去層38延いてはナノチューブ46が形成される過程において、本実施例では 1700(℃) 程度と十分に高い加熱温度および10-2(Pa)程度と圧力延いては酸素分圧の十分に低い条件下において加熱時間が10時間程度と長時間に設定されているため、珪素除去層38の深さhは例えば1.4(μm)程度にもなる。前記のような珪素原子60の脱出は、真空炉58内の酸素で酸化反応が生じることにより促進されるものであり、また、ナノチューブ46はその珪素原子60が表面54に略垂直な方向に速やかに脱出することで高配向に形成されるものであるが、珪素除去層38が深くなるほど、表面54と内部すなわち炭化物部36の表面40との間のガス流通が妨げられるため、ガス流通が阻害された条件下ではナノチューブ46が成長し難くなる。したがって、珪素除去層38の一定以上の深さ位置、上記の条件下では0.4(μm)以上の深さ位置においてはガス流通を必須とするナノチューブ46は殆ど生成されず、表面54に沿った方向に連なるグラファイト或いは無定形炭素等により構成された前記の炭素層42がそのナノチューブ46および炭化物部36の何れとも原子レベルで連続した状態で生成されることとなるものと考えられる。
【0034】
すなわち、上記の条件下においては、表面54側から炭化珪素の酸化反応は生じるがそれにより生成された炭素の酸化反応は生じ難いため、当初はナノチューブ46が好適に生成される。しかしながら、酸化反応の進行により珪素除去層38が深くなると、ガス流通が阻害されることにより、炭化珪素の酸化反応は生じてもそのガスの流通方向に沿って伸びるナノチューブ46の成長が困難になる。そのため、本実施例のように比較的深く形成される珪素除去層38では、その下層部が構造の乱れた炭素層42になるのである。陽極20に向かう一方向に沿って伸びる複数本のナノチューブ46は、このようにして導電性を有する炭素層42を介して基板表面54に生成される。
【0035】
なお、図6においてはナノチューブ46の先端に中央部を除いて円筒状グラファイト層52の端面が描かれているが、実際には、その中央部および前記の図5に示すように、その先端部は五員環或いは七員環が導入されることでドーム状に閉じている。
【0036】
図4に戻って、(c) に示される酸化熱処理工程においては、上記のようにして基板表面54上にナノチューブ46を形成した後、その基板56を加熱炉62中で熱処理する。熱処理条件は、例えば、大気雰囲気(酸化雰囲気)中で、温度500(℃) 、処理時間 1分程度である。酸化熱処理が施された基板56は、ナノチューブ46の先端部のうち六員環に比較して結合力が小さい五員環等で構成される部分が破壊され、その部分から先が分離される。これにより、前記の図2(b) や図3等に示されるようにナノチューブ46の先端が開放されるため、高く且つ一様な電子放出効率を有するエミッタ28が得られるのである。
【0037】
また、本実施例においては、結晶面に平行且つ平坦な表面54を備えた炭化珪素単結晶から成る基板56が用いられることから、ナノチューブ46の結晶面に垂直な方向に配向する傾向に基づき、表面54に生成されるナノチューブ46相互の独立性が高められて実質的なエミッション・サイトが一層多くなるため、電子放出効率が一層高められる。しかも、本実施例においては、特に、α-SiCの(0001)面或いはβ-SiCの(111)面のような炭素原子50だけが存在する層と珪素原子60だけが存在する層とが交互に積み重ねられる方向における積層面が表面54に現れた基板56が用いられるため、ナノチューブ46の配向性延いては独立性が一層高められる。
【0038】
ここで、前記のエミッタ28の製造工程における真空熱処理条件を種々変更した実験結果について説明する。エミッタ28の出発材料には全て(0001)面が表面54に現れたα−炭化珪素から成る4 〜5(mm) ×1(mm) ×厚さ0.3(mm) 程度の大きさの基板56を用い、前記の真空炉58内に配置して加熱温度を1500〜 2000(℃) の範囲で、圧力を 2×10-4〜6(Pa) の範囲で、および加熱時間を 0.5〜10.0時間の範囲でそれぞれ適宜設定して加熱処理を施した。真空熱処理により表面48にナノチューブ46が生成された試料について、その表面48における表面抵抗(シート抵抗)を測定してナノチューブ46に至る通電経路の導電性を評価した。結果を下記の表1に示す。なお、表面抵抗は、試料の長手方向の両端部に電極を軽く押し当てて電極間の抵抗値を測定して求めた。表1において表面抵抗の単位は「Ω/□」である。なお、 1800(℃) を越える温度で加熱した試料では、珪素除去層38が全てグラファイトおよび無定形炭素から成る炭素層42で構成されてナノチューブ46が生成されなかったため、表面抵抗を測定していない。したがって、加熱温度は 1800(℃) 以下に設定する必要がある。
【0039】
【0040】
図7、図8は、上記の結果を加熱時間或いは圧力を横軸に、表面抵抗を縦軸にとってそれぞれ表したものである。加熱時間と表面抵抗との関係を表した図7においては、加熱時間が長くなるほど表面抵抗が低下することが判る。従来においてナノチューブ46を生成するために行っていた 0.5時間程度の加熱処理時間では、珪素除去層38の深さが炭素層42が生成される程度には深くないことから、1500〜 1600(Ω/□) 程度の高い表面抵抗であるが、 1時間以上、好適には 2時間以上の加熱処理を施すことにより珪素除去層38が深くなるに伴って炭素層42が生成されるため表面抵抗が低下する。例えば、 1800(℃) 、6 ×10-2(Pa)の条件下では 2時間程度の加熱で200(Ω/□) 程度の表面抵抗になる。珪素除去層38は加熱時間が長くなるほど深くなるため、その深さが十分な厚さに炭素層42が形成される程度になると、表面54に沿った方向におけるその導電性に基づいて表面抵抗が低下するのである。そのため、本実施例によれば、電子源として使用するために好ましい300(Ω/□) 程度以下の高い導電性を有するエミッタ28を、図7から明らかなように、加熱温度、圧力、加熱時間の各条件の適宜の組み合わせにより得ることができる。
【0041】
因みに、ナノチューブ46を電子の放出源とするエミッタ28を備えたFED10において、一画素の大きさが前述したように 3(mm)×5(mm) 程度と大きくされる場合には、エミッタ表面48における導電性を十分に高くすることがその内周部における電子放出効率を周縁部におけるそれと同様にするために極めて重要になる。そして、エミッタ28をこの程度の大きさにする場合に表面48全面で電子放出効率を略一様にするためには、前記のように導電性が300(Ω/□) 程度以下であることが好ましいのである。但し、必要な導電性はエミッタ28の大きさに応じて相違し、 0.8(mm)×4(mm) 程度の大きさでは可及的に高い導電性を有することが好ましいもののエミッタ28の表面抵抗は殆ど問題にならず、これらの中間の大きさのエミッタ28においては、300(Ω/□) 程度以上の適宜の導電性がその大きさに応じて要求される。すなわち、上述した電子源として好ましい「300(Ω/□) 程度以下」との値は、上記のような大きさのエミッタ28を前提とした値である。
【0042】
また、下記の表2に特定の温度および圧力の条件下における加熱時間とナノチューブ長さとの関係を示すように、例えば 1700(℃) 、10-2〜 6×10-2(Pa)の条件下では、 6時間程度加熱することによりナノチューブ46の長さすなわち珪素除去層38の深さが1(μm)程度にも達する。そのため、その下層部では例えば0.6(μm)以上の厚い炭素層42が生成されることから、エミッタ28の表層部における導電性が高められて、図7に示されるように表面抵抗が低くなるのである。なお、図7から明らかなように、 1500(℃) 程度の加熱温度では加熱時間を長くしても表面抵抗が全く改善しない。このような低温では珪素除去層38の生成速度すなわちナノチューブ46の成長速度が下記の表2に示されるように極めて遅いため、その成長に必要なガス流通の阻害が殆ど生じないためと考えられる。
【0043】
【0044】
なお、上記の図7において、実験範囲では全く変化の見られない 1500(℃) での加熱を除いた何れの条件においても、珪素除去層38の上層部に次第に減耗して短くなるものの数百(nm)程度以上の長さのナノチューブ46を有したまま、加熱時間が長くなるほど表面抵抗が低下する傾向がある。したがって、加熱時間は、珪素除去層38が深くなることに起因する基板56の強度低下が問題とならず、且つ、炭素層42の生成開始以降は専ら減耗するナノチューブ46が十分な長さ寸法を保つ範囲で、表面抵抗を低くするためには可及的に長くすることが好ましい。但し、前記の表2に示されるように10時間程度加熱しても珪素除去層38の深さは1(μm)程度に過ぎないため、基板56の厚さが取り扱い上数百 (μm)程度以上であることを鑑みれば、基板56の強度上の加熱時間の制限は実質的にないものといってよい。なお、工業的な意味では加熱時間は短いことが望まれ、実施例で示した10時間程度以下が好ましい。
【0045】
一方、圧力と表面抵抗との関係を表した図8では、表面抵抗を低くするためには一定の範囲の圧力で加熱する必要があることが判る。すなわち、従来では10-8〜10(Pa)程度の範囲内の何れの圧力でもナノチューブ46が生成されることから、その範囲内の圧力が任意に選定されていたが、珪素除去層38内に炭素層42を生成して表面抵抗を低下させるためには、例えば10-4〜10(Pa)程度の圧力で加熱処理を施す必要がある。図8から明らかなように、特に、高い導電性を得るためには、10-2〜10-1(Pa)程度の圧力範囲が好ましく、それよりも低圧であっても高圧であってもその圧力範囲よりも表面抵抗が高くなる傾向にある。図に示された範囲では、10-2〜6 ×10-2(Pa)程度の圧力下において、 1700(℃) 程度の温度では 6時間以上、 1800(℃) 程度の温度では 2時間以上加熱することが望ましく、この条件下で200(Ω/□) 程度以下の極めて高い導電性が実現される。
【0046】
また、図9は、更に、前述したような電子源として好ましい300(Ω/□) 程度以下の導電性を得るために必要となる最短加熱時間を加熱温度毎に測定した結果を、真空度を横軸にとって表したものである。なお、この実験は、真空度が10-4〜6(Pa) 、測定時間が13時間以下の範囲で実施した。図に示されるように、 1550(℃) の加熱温度においては、 3×10-2(Pa)程度以上の圧力範囲において、11時間程度以上の加熱時間を設定することにより十分な導電性が得られる。また、上記の圧力範囲において、低圧となるほど、すなわち真空度が高くなるほど長時間の加熱を必要とする傾向があり、 3×10-2(Pa)程度の圧力では13時間の加熱を必要とする。また、 1600(℃) においては、 3×10-4(Pa)程度以上の圧力範囲において、 6時間程度以上の加熱時間を設定することにより十分な導電性が得られる。また、この温度および圧力範囲においても、低圧になるほど長時間の加熱を必要とする傾向があり、 3×10-4(Pa)程度の圧力では13時間程度の加熱を必要とする。
【0047】
一方、1700〜 1850(℃) においては、実験した圧力範囲の略全域に亘って十分な導電性が得られ、10-2〜10-1(Pa)程度の圧力下で加熱した場合に必要時間が最も短くなり、それよりも低圧になるほど、また、それよりも高圧になるほど長時間の加熱が必要となる傾向がある。 1700(℃) においては、その圧力範囲において 4時間程度の加熱で十分な導電性が得られ、10-4(Pa)程度および 2(Pa)程度の圧力では13時間程度の加熱が必要となる。 1800(℃) においては、上記の圧力範囲において 1.5時間程度の加熱で十分な導電性が得られ、10-4(Pa)程度の圧力では 7時間程度、 3(Pa)程度の圧力では13時間程度の加熱が必要となる。なお、 1850(℃) の加熱でも必要な加熱時間の傾向は 1800(℃) の場合と同様であるが、この温度では高い導電性が得られるものの比較的短時間の加熱でナノチューブ46が著しく減耗して殆ど残存しなくなるため、エミッタ28の製造条件として採用することはできない。
【0048】
上記の傾向は、真空度が悪い(低真空すなわち圧力が高い)場合においては、高温になるほど生成したナノチューブ46が分解し易いことから、その長さが炭素層42が生成する程度まで深くなり難く或いは深くなるために長時間を必要とすることに基づくものと考えられる。また、真空度が良い(高真空すなわち圧力が低い)場合においては、低温になるほど炭化珪素の酸化すなわち分解が遅いことから、その長さが炭素層42が生成する程度まで深くなり難く或いは深くなるために長時間を必要とすることに基づくものと考えられる。要するに、真空度や加熱温度に応じて、エミッタの製造において所望の導電性が得られるまでの加熱時間が変化する。そのため、必要な加熱時間は、加熱温度および真空度に応じて、上記の傾向に基づき、必要な導電性が得られるように定められるべきものである。
【0049】
また、図10乃至12は、それぞれ1600、1700、 1800(℃) における加熱時間に応じたナノチューブ46および炭素層42の生成状態を圧力毎に表した模式図である。各図において、横軸は加熱時間を、縦軸は各圧力条件における基板表面54からの深さ寸法をそれぞれ表す。何れの加熱条件においても、図に一点鎖線で示す表面54から基板56が次第に酸化すなわち炭化珪素が分解されてその表層部に珪素除去層38が形成され、当初の構造を保った炭化物部36との境界すなわちその表面40の深さ位置が次第に深くなる。すなわち、加熱時間が長くなるに従ってナノチューブ46が深い位置まで形成される。このとき、炭化珪素の分解により生成された炭素も表面54から次第に酸化されるため、生成されたナノチューブ46はその先端部から炭素原子を失って次第に減耗する。そのため、ナノチューブ46の先端位置すなわち加熱処理された後の基板表面の位置は、当初の位置54から図に実線48で示す位置まで掘り下げられることとなる。
【0050】
前述したように、炭素層42が生成されるためには、ナノチューブ46が表面48と炭化物部36表面との間のガス流通を阻害する程度の長さまで成長する必要があるが、そのナノチューブ46の長さ寸法は、掘り下げられた表面48と炭化物部表面40との深さの差で定められる。そのため、炭化珪素の分解速度に対して珪素除去層38の分解速度(すなわちナノチューブ46先端の分解速度)が遅いほどナノチューブ46の実質的な成長速度が高くなって容易に炭素層42が生成されることになる。全体的傾向としては、真空度が低いほど(すなわち、圧力が高いほど)炭化珪素の分解速度も珪素除去層38の分解速度も高くなるが、それらの相対的な関係は温度に依存する。
【0051】
まず、加熱温度が比較的低い 1600(℃) では炭化珪素および珪素除去層38の分解速度が何れも低いが、10(Pa)程度以下の圧力下ではそれらの速度の真空度依存性は前者の方が高いため、低真空になるほど炭化珪素の分解速度が珪素除去層38の分解速度に対して高くなる。そのため、炭素層42が生成される程度の長さ寸法までナノチューブ46が十分に成長するためには、低真空度(悪い真空度)で長時間加熱することが必要である。すなわち、図に示されるように、10-4〜6(Pa) 程度の圧力範囲では、最も低真空の6(Pa) において最も短時間で炭素層42が生成して十分な導電性が生ずる。
【0052】
また、 1700(℃) 程度の加熱温度では、図に示される圧力範囲において 1600(℃) 程度の温度の場合に比較して珪素除去層38の分解速度の真空度依存性が高くなるため、 6(Pa)程度の低真空ではナノチューブ46の減耗量が大きく、長時間加熱してもその長さが十分に長くならず炭素層42が生成され難い。一方、10-4(Pa)程度以上の高真空では、炭化珪素の分解速度が低いためナノチューブ46が十分に長くなるまでに長時間を要する。したがって、10-2(Pa)程度の圧力において最も短時間で炭素層42が生成して十分な導電性が生ずることになる。
【0053】
1800(℃) 程度の加熱温度においても 1700(℃) の場合と同様な傾向が見られる。すなわち、 6(Pa)程度の低真空ではナノチューブ46の減耗が著しく長時間加熱しても炭素層42が生成され難いが、10-2(Pa)程度の圧力では比較的短時間でナノチューブ46が十分な長さ寸法に成長してその下側に炭素層42が生成され、十分な導電性が発現する。一方、10-4(Pa)程度以上の高真空では、炭化珪素の分解速度が低いため、10-2(Pa)程度の圧力の場合に比較して炭素層42が生成するまでに長時間を要する。但し、圧力が10-2(Pa)の場合の図から明らかなように、炭素層42が生成した後はナノチューブ46は先端側から減耗するだけであるので、加熱時間をナノチューブ46が十分な長さ寸法で残存する程度に留める必要がある。すなわち、基板56を加熱処理してエミッタ28を製造する際の加熱時間は、導電性だけでなく表面48に存在するナノチューブ46の状態をも考慮することが望まれる。
【0054】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施できる。
【0055】
例えば、実施例においては、本発明がFED10に適用された場合について説明したが、本発明は、エミッション・サイトの密度や電子放出効率の一様性を高めることが望まれるものであれば、平面型ランプ、陰極線管や電子銃等の種々の電界電子放出装置に同様に適用し得る。これらの用途において、必要な導電性延いては熱処理条件は、用いられるエミッタの大きさに応じて適宜選択される。
【0056】
また、実施例においては、炭化珪素から成る基板56を真空中で熱処理することにより、ナノチューブ46が高い配向性を以て緻密に配設されたエミッタ28を製造する場合について説明したが、真空中の加熱によって非金属元素が除去される共有結合性炭化物であれば、炭化ホウ素等の他の材料が用いられてもよい。
【0057】
また、実施例においては、エミッタ28を構成する炭素層42の厚さ寸法が数百(nm)〜数 (μm)程度、ナノチューブ46の長さ寸法が数十〜数百(nm)程度である場合について説明したが、これらの厚さ寸法および長さ寸法は、用途や工程管理上の都合等に応じて適宜変更できる。
【0058】
また、実施例においては、ナノチューブ46を生成した後に更に酸素の存在下で酸化熱処理を施すことによりその先端を開放させていたが、先端の開放処理は必ずしも行われなくともよい。但し、前述のように先端を開放させることによってエミッタ28の実質的な曲率半径が飛躍的に小さくなると共に、エミッション・サイトも飛躍的に増大して、エミッタ28の効率が一層高められるため、先端を開放する方が望ましい。なお、熱処理条件は、実施例に示したものに限られず、温度は450 〜750(℃) 程度の範囲で適宜設定され、処理時間も例えば10秒乃至 3分程度の範囲で処理温度に応じて適宜変更される。
【0059】
また、実施例においては、エミッタ28が陰極26に導電性接着剤で固着されるように説明したが、陰極26が前述のような厚膜印刷導体で構成される場合には、その焼結過程で同時にエミッタ28を固着するようにしてもよい。
【0060】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のFEDの構成を説明する断面図である。
【図2】 (a) は、図1のFEDに備えられるエミッタの断面構造を説明する図であり、(b) は、(a) に一点鎖線bで示される部分を拡大した図である。
【図3】図2のエミッタに備えられるナノチューブの先端部の構成を説明する分子モデル図である。
【図4】 (a) 〜(c) は、図2のエミッタの製造工程の要部段階を説明する図である。
【図5】図4の製造工程において真空熱処理後の図2(b) に対応する基板の要部断面を説明する図である。
【図6】図4の製造工程におけるナノチューブの生成作用を説明する分子モデル図である。
【図7】真空熱処理工程の加熱時間と表面抵抗との関係を説明する図である。
【図8】真空熱処理工程の圧力と表面抵抗との関係を説明する図である。
【図9】所定の導電性を得るために必要な加熱時間、真空度、および温度との関係を測定した結果を示す図である。
【図10】 1600(℃) における加熱時間に応じたナノチューブ生成の模式図を圧力毎に説明する図である。
【図11】 1700(℃) における加熱時間に応じたナノチューブ生成の模式図を圧力毎に説明する図である。
【図12】 1800(℃) における加熱時間に応じたナノチューブ生成の模式図を圧力毎に説明する図である。
【符号の説明】
10:FED(電界電子放出装置)
20:陽極
26:陰極
28:エミッタ
36:炭化物部
38:珪素除去層(非金属元素除去層)
42:炭素層
46:ナノチューブ
48:表面
Claims (3)
- 気密空間内において互いに対向して配置されたエミッタおよび陽極間に電圧を印加することにより、そのエミッタから電子を放出させる形式の電界電子放出装置であって、そのエミッタが、
共有結合性炭化物から成る基板を真空下で加熱してその表層部から非金属元素を除去することによりその基板の一面から前記陽極に向かって伸びるように生成された複数本のカーボン・ナノチューブと、
前記共有結合性炭化物から成る炭化物部と前記複数本のカーボン・ナノチューブとの界面にそのカーボン・ナノチューブと原子レベルで連続するように前記基板から生成されて炭素原子が相互に結合させられることにより前記一面に沿った方向において導電性を有する炭素層と
を、含むことを特徴とする電界電子放出装置。 - 気密空間内において互いに対向して配置されたエミッタおよび陽極間に電圧を印加することにより、そのエミッタから電子を放出させる形式の電界電子放出装置の製造方法であって、
共有結合性炭化物から成る基板を、10(Pa)以下の圧力範囲の真空下において、1550乃至 1800(℃) の温度範囲で 1時間以上加熱する真空熱処理工程を含むことを特徴とする電界電子放出装置の製造方法。 - 前記圧力範囲は、10-4乃至10(Pa)である請求項2の電界電子放出装置の製造方法。
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