JP4356530B2 - パルス音の到来時間差推定方法及びその装置 - Google Patents

パルス音の到来時間差推定方法及びその装置 Download PDF

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本発明は、パルス音の到来時間差推定方法及びその装置に関するものである。
従来、艦船等から発信されたPCW(Pulse Continuous Wave)、LFM(Linear FM)等の探信音としてのパルス音を、複数の音響センサ装置で受信し、各音響センサ装置間のパルス音の到来時間差から発信源の方位や距離を算出する音源方位測定装置又は音源位置局限装置において用いられるパルス音の到来時間差を推定する方法の一つとして、二つの信号による相関カーブから時間差を求める方法が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
図2は従来のパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図、図3は従来のパルス音の到来時間差推定装置における検知器の構成を示すブロック図である。
図2において、(1)及び(2)は音響センサ装置からの入力端子、101aは第1のバッファメモリ、101bは第2のバッファメモリ、102は検知器、103aは第1の波形選択器、103bは第2の波形選択器、104は相関器、105は時間差推定器、(3)は出力端子である。そして、前記検知器102は、図3に示されるように、瞬時パワー算出器111、短時間積分器112、長時間積分器113、閾(しきい)値算出器114及び比較器115を有する。なお、(4)は前記入力端子(1)との接続端子であり、(5)は前記第1の波形選択器103a及び第2の波形選択器103bとの接続端子である。
次に、前記従来のパルス音の到来時間差推定装置の動作について説明する。
まず、音響センサ装置で受信した受信信号は、ディジタル信号の時系列データとして入力端子(1)及び(2)を通して第1のバッファメモリ101a及び第2のバッファメモリ101bにそれぞれ入力される。また、入力端子(1)を通る時系列データは検知器102にも入力される。
ここで、前記第1のバッファメモリ101aは、FIFO(First−In First−Out)方式のメモリであり、入力端子(1)から入力された前記受信信号のディジタル形式の時系列データを現在の時刻から一定時間遡(さかのぼ)った時刻まで記憶しておく。なお、前記第1のバッファメモリ101aの記憶サイズは、相関器104の相関処理に必要なデータ量や検知器102の応答性を考慮して決定される。また、前記第2のバッファメモリ101bについては、同様の処理となるので、説明を省略する。
次に、前記検知器102においては、入力端子(1)から入力された前記受信信号のディジタル形式の時系列データが、接続端子(4)を通して瞬時パワー算出器111に入力される。続いて、該瞬時パワー算出器111は接続端子(4)を通して入力された前記受信信号の時系列データX1(k)に対して、次の式(1)で示される処理を行うことによって、瞬時パワーY1(k)を算出し、その結果を短時間積分器112及び長時間積分器113に出力する。ただし、kは時刻を表すインデックスである。
Y1(k)=X1(k)・X1(k) ・・・式(1)
次に、短時間積分器112は、瞬時パワー算出器111からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力されると、次の式(2)の指数積分によって、その短時間積分値ZS(k)を求め、その結果を比較器115に出力する。ここで、積分定数αは背景雑音の分散がある程度低減され、かつ、パルス音に対してはそのピークレベル低下があまり起こらない範囲内の値を採用する。
ZS(k)=α・Y1(k)+(1−α)・ZS(k−1) ・・・式(2)
続いて、長時間積分器113は、瞬時パワー算出器111からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力されると、前記短時間積分器112と同様に、次の式(3)の指数積分によって、その長時間積分値ZL(k)を求めることによって背景雑音レベルを推定し、その結果を閾値算出器114に出力する。ここで、長時間積分用の積分定数βはパルス音のピークレベルが十分小さくなり、かつ、背景雑音レベルの変動に十分追従することができる範囲内の値を採用する。
ZL(k)=β・Y1(k)+(1−β)・ZL(k−1) ・・・式(3)
そして、閾値算出器114は、長時間積分器113から背景雑音レベルの推定結果である長時間積分値ZL(k)が入力されると、次の式(4)によって、パルス音を検知するための閾値THL(k)を算出し、その結果を比較器115に出力する。ここで、定数γは検知確率・誤警報確率を考慮して設定する。
THL(k)=γ・ZL(k) ・・・式(4)
次に、比較器115は、前記短時間積分器112からの短時間積分値ZS(k)及び閾値算出器114からの閾値THL(k)が入力されると、短時間積分値ZS(k)と閾値THL(k)比較し、次の式(5)の条件を満足した場合、すなわち、閾値THL(k)を超える短時間積分値ZS(k)が一定期間NW続いた場合、前記受信信号内にパルス音が存在すると判定し、短時間積分値ZS(k)が最初に閾値THL(k)を上回るインデックスkの値をパルス音の開始時刻KSとし、開始時刻KS以降、短時間積分値ZS(k)が最初に閾値THL(k)を下回るインデックスkの値をパルス音の終了時刻KEとする。そして、パルス音の開始時刻KS及び終了時刻KEを接続端子(5)を通して第1の波形選択器103a及び第2の波形選択器103bに出力する。
ZS(k)>THL(k) ・・・式(5)
k=KS、KS+1、…、KE−1、KE
KE−KSNW
続いて、第1の波形選択器103aは、検知器102内の比較器115からパルス音の開始時刻KS及び終了時刻KEが接続端子(5)を通して入力されると、次の式(6)によって波形切り出し開始時刻jSを算出し、次の式(7)によって波形切り出し終了時刻jEを算出する。そして、第1のバッファメモリ101aから該当する時間部分の切り出し波形W1(k)(k=jS、jS+1、…、jE−1、jE)を読み出し、その結果を相関器104に出力する。
jS=KS−M1 ・・・式(6)
jE=KE+M2 ・・・式(7)
ただし、M1及びM2は区間〔jS、jE〕で波形を切り出した場合、受信波形内のパルス音が区間〔jS、jE〕内に含有する形で切り出されるように、かつ、相関処理に必要なサイズを考慮して決定される。
また、第2の波形選択器103bも、同様に、検知器102内の比較器115からパルス音の開始時刻KS及び終了時刻KEが接続端子(5)を通して入力されると、前記式(6)によって波形切り出し開始時刻jSを算出し、前記式(7)によって波形切り出し終了時刻jEを算出する。そして、第2のバッファメモリ101bから該当する時間部分の切り出し波形W2(k)(k=jS、jS+1、…、jE−1、jE)を読み出し、その結果を相関器104に出力する。ここで、波形切り出し開始時刻jS及び波形切り出し終了時刻jEは基本的に第1の波形選択器103aと同一時刻での切り出しとする。
次に、相関器104は、第1の波形選択器103aから出力された切り出し波形W1(k)(k=jS、jS+1、…、jE−1、jE)、及び、第2の波形選択器103bから出力された切り出し波形W2(k)(k=jS、jS+1、…、jE−1、jE)が入力されると、例えば、次の式(8)の時間領域での相関処理の手法を用いて相関カーブを算出し、その結果を時間差推定器105に出力する。
Figure 0004356530

なお、ラグタイムτは、
τ=−(N0 −2)、−(N0 −1)、…、−1、0、1、…、N0 −2、N0 −1
によって表すことができる。
次に、時間差推定器105は、相関器104からの相関カーブが入力されると、相関カーブがピークとなる位置と相関処理における基準時刻との差を到来時間差として検出し、その結果を出力端子(3)に出力する。
このように、前記相関カーブのピーク位置を検出し、相関カーブの基準時刻との差を算出することによって、到来時間差を求めることができる。また、前記相関カーブのピーク位置はサンプリングの単位で求めるか、必要に応じて二次曲線フィッティング等を行うことによって、そのピーク位置を精測する。
そして、前記出力端子(3)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用したり、もう一組の音響センサ装置で受信した受信波形から算出した到来時間差と組み合わせて、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限したりして、各種信号処理に利用される。
特開平11−326481号公報
しかしながら、前記従来のパルス音の到来時間差推定方法においては、実際に音響センサ装置が受信する受信信号に、発信源から直接到来する信号だけでなく、反射体からの反射信号等の異なる経路、すなわち、マルチパスの信号が重複して受信されてしまうので、パルス音の到来時間差を高精度で推定することができなかった。
図4は従来の受信信号の例を示す図、図5は従来の受信信号内のパルス音の開始時刻からマルチパスが重なる前の時刻までの部分を切り出した部分を使ったSN比が無限大である場合の相関処理波形を示す図、図6は従来の受信信号内のパルス音の開始時刻からマルチパスが重なる前の時刻までの部分を切り出した部分を使ったSN比が低下した場合の相関処理波形を示す図である。なお、図4において、横軸に時間を、縦軸に振幅を採ってあり、図5及び6において、横軸にラグタイムτを、縦軸に相関係数を採ってある。
ここで、図4(a)はマルチパスが重なった受信信号の例を示し、図4(b)は図4(a)に示される受信信号内においてマルチパスの影響を受けない部分の拡大図を示している。このように、前記従来のパルス音の到来時間差推定方法において、図4(a)に示されるようなマルチパスが重複した受信信号を使って相関処理を行うと、マルチパスの影響によって相関カーブのピーク位置が真の時間差からずれてしまう。
そこで、図4(b)に示されるように、受信信号内のパルス音の開始時刻からマルチパスが重なる前の時刻までの部分を切り出し、前述された時間差推定方法を行うことが考えられる。
例えば、SN比が無限大である場合、二つの音響センサ装置において、図4(a)に示されるようなマルチパスを含んだ受信信号を受信したとする。ここで、マルチパスを含まない図4(b)に示される部分について、前述された相関処理による時間差推定を行う。ただし、相関処理は式(9)を用いて行う。なお、C2(τ)は相関係数である。
Figure 0004356530

そして、受信信号のSN比が無限大である場合、相関処理出力波形は図5に示されるようになる。また、受信信号のSN比が低下した場合、相関処理出力波形は図6に示されるようになる。これにより、受信信号のSN比が無限大である場合は、相関カーブのピーク位置を推定することによってパルス音の到来時間差の推定を行うことができる。
ところが、図6から分かるように、パルス音の立ち上がりにテーパが掛かっている場合には、SN比の低下に伴って、一方の音響センサ装置の受信信号を基準にした場合、他方の音響センサ装置の受信信号との相関カーブのピーク位置がバイアス的に正方向にシフトしてしまう。そのため、パルス音の到来時間差の推定を高い精度で行うことができなくなってしまう。
本発明は、前記従来のパルス音の到来時間差推定方法の問題点を解決して、一方のパルス音を、他方のパルス音に対し、時系列正方向にずらして相関係数を算出し、他方のパルス音を、一方のパルス音に対し、時系列負方向にずらして相関係数を算出し、該二つの相関係数の平均値から算出した相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出することによって、パルス音の到来時間差の推定を高い精度で行うことができるパルス音の到来時間差推定方法及びその装置を提供することを目的とする。
そのために、本発明のパルス音の到来時間差推定方法においては、複数の音響センサ装置を用いて音源から放射された時間的に制限されたパルス音を受信し、前記複数の音響センサ装置が受信した複数のパルス音の相関を取ることによって、最短経路を伝搬した前記複数のパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差推定方法であって、前記複数のパルス音の立ち上がり時刻をそれぞれ検出し、該立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第1相関係数を算出し、切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第2相関係数を算出し、同一ずらし時刻における第1相関係数と第2相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する。
本発明の他のパルス音の到来時間差推定方法においては、さらに、前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを、前記最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅とする。
本発明の更に他のパルス音の到来時間差推定方法においては、さらに、前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを切り出し幅に設定し、該切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第3相関係数を算出し、切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第4相関係数を算出し、同一ずらし時刻における第3相関係数と第4相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、前記切り出し幅を変化させて、前記切り出し幅に対応する部分を切り出してから相関係数平均カーブを算出までの動作を繰り返すことによって、各切り出し幅に対応する前記相関係数平均カーブを算出し、すべての前記相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する。
本発明の更に他のパルス音の到来時間差推定方法においては、さらに、前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを推定切り出し幅に設定し、該推定切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第5相関係数を算出し、切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第6相関係数を算出し、同一ずらし時刻における第5相関係数と第6相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の概略到来時刻差を算出し、前記複数のパルス音の一方の立ち上がり時刻を、他方の立ち上がり時刻と前記概略時間差とから決定し、決定された一方の立ち上がり時刻及び前記他方の立ち上がり時刻に基づいて前記推定切り出し幅を変化させて第7相関係数を算出し、該第7相関係数のピーク位置から前記最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来時刻を決定し、決定された前記複数のパルス音の一方及び他方の立ち上がり時刻から前記到来時刻までを切り出し幅に設定し、該切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出す。
本発明のパルス音の到来時間差推定装置においては、複数の音響センサ装置を用いて音源から放射された時間的に制限されたパルス音を受信し、前記複数の音響センサ装置が受信した複数のパルス音の相関を取ることによって、最短経路を伝搬した前記複数のパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差推定装置であって、前記複数のパルス音の立ち上がり時刻をそれぞれ検出する手段と、前記立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出す手段と、切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第1相関係数を算出する手段と、切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第2相関係数を算出する手段と、同一ずらし時刻における第1相関係数と第2相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出する手段と、該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する手段とを有する。
本発明によれば、パルス音の到来時間差推定方法は、切り出した一方のパルス音を、切り出した他方のパルス音に対し、時系列正方向にずらして相関係数を算出し、切り出した他方のパルス音を、切り出した一方のパルス音に対し、時系列負方向にずらして相関係数を算出し、該二つの相関係数の平均値から算出した相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出するようになっている。
そのため、パルス音の到来時間差の推定を高い精度で行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の第1の検知器の構成を示すブロック図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の第2の検知器の構成を示すブロック図である。
図1において、10は本実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置である。該パルス音の到来時間差推定装置10は、艦船等から発信されたPCW、LFM等の探信音としてのパルス音を、三つ以上の音響センサ装置で受信し、各音響センサ装置間のパルス音の到来時間差から発信源の方位や距離を算出する音源方位測定装置、音源位置局限装置等に使用される。
そして、前記パルス音の到来時間差推定装置10は、第1のバッファメモリ31a、第2のバッファメモリ31b、パルス音の立ち上がり時刻を検出する手段としての第1の検知器32a及び第2の検知器32b、立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分をパルス音から切り出す手段としての第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33b、相関係数を算出する手段としての第1の相関器34a及び第2の相関器34b、相関係数平均カーブを算出する手段としての平均値算出器35、並びに、複数のパルス音の到来時刻差を算出する手段としての時間差推定器36を有する。なお、(6)は音響センサ装置からの第1の入力端子、(7)は音響センサ装置からの第2の入力端子、(8)は出力端子である。
また、前記第1の検知器32aは、図7に示されるように、瞬時パワー算出器21a、短時間積分器22a、長時間積分器23a、閾値算出器24a及び比較器25aを有する。なお、(9)は前記第1の入力端子(6)との接続端子であり、(10)は前記第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bへの接続端子である。
さらに、前記第2の検知器32bは、図8に示されるように、瞬時パワー算出器21b、短時間積分器22b、長時間積分器23b、閾値算出器24b及び比較器25bを有する。なお、(11)は前記第2の入力端子(7)との接続端子であり、(12)は前記第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bへの接続端子である。
次に、前記構成のパルス音の到来時間差推定装置10の動作について説明する。
まず、図示されない音響センサ装置で受信した受信信号は、ディジタル信号の時系列データとして第1の入力端子(6)及び第2の入力端子(7)を通して第1のバッファメモリ31a及び第2のバッファメモリ31bに入力されるとともに、第1の検知器32a及び第2の検知器32bにも入力される。
ここで、前記第1のバッファメモリ31aはFIFO方式のメモリであり、入力端子(6)から入力した前記受信信号のディジタル形式の時系列データを現在の時刻から一定時間遡った時刻まで記憶しておく。なお、その記憶サイズは、第1の相関器34a及び第2の相関器34bの相関処理に必要なデータ量や第1の検知器32aの応答性を考慮して決定される。また、前記第2のバッファメモリ31bについては、前記第1のバッファメモリ31aと同様であるので、説明を省略する。
次に、第1の検知器32aにおいては、第1の入力端子(6)から入力された前記受信信号のディジタル形式の時系列データが、接続端子(9)を通して瞬時パワー算出器21aに入力される。続いて、該瞬時パワー算出器21aは、接続端子(9)を通じて入力される前記受信信号の時系列データX1(k)に対して、「背景技術」の項において説明した前記式(1)で示される自乗処理を行うことによって、瞬時パワーY1(k)を算出し、その結果を短時間積分器22a及び長時間積分器23aに出力する。
続いて、短時間積分器22aは、瞬時パワー算出器21aからの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力されると、「背景技術」の項において説明した前記式(2)で示される指数積分によって、その短時間積分値ZS(k)を求め、その結果を比較器25aに出力する。ここで、積分定数αは背景雑音の分散がある程度低減され、かつ、パルス音に対してはそのピークレベル低下があまり起こらない範囲内の値を採用する。
続いて、長時間積分器23aは、瞬時パワー算出器21aからの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力されると、「背景技術」の項において説明した前記式(3)で示される指数積分によってその長時間積分値ZL(k)を求め、これにより、背景雑音レベルを推定し、その結果を閾値算出器24aに出力する。ここで、長時間積分用の積分定数βはパルス音のピークレベルが十分小さくなり、かつ、背景雑音レベルの変動に十分追従することができる範囲内の値を採用する。
そして、閾値算出器24aは、長時間積分器23aから背景雑音レベルの推定結果である長時間積分値ZL(k)が入力される、「背景技術」の項において説明した前記式(4)によってパルス音を検知するための閾値THL(k)を算出し、その結果を比較器25aに出力する。ここで、定数γは検知確率及び誤警報確率を考慮して設定する。
続いて、比較器25aは、前記短時間積分器22aからの短時間積分値ZS(k)及び閾値算出器24aからの閾値THL(k)が入力されると、短時間積分値ZS(k)と閾値THL(k)とを比較し、「背景技術」の項において説明した前記式(5)の条件を満足した場合、すなわち、閾値THL(k)を超える短時間積分値ZS(k)が一定期間NW続いた場合、前記受信信号内にパルス音が存在すると判定する。そして、短時間積分値ZS(k)が最初に閾値THL(k)を上回る時刻をパルス音の開始時刻KS1とし、開始時刻KS1を接続端子(10)を通じて第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。
一方、第2の検知器32bは、第2の入力端子(7)から入力された前記受信信号のディジタル形式の時系列データが接続端子(11)を通じて入力されると、前記第1の検出器32aと同様の動作を行い、第2の入力端子(7)が受信するパルス音の開始時刻KS2とし、開始時刻KS2を接続端子(12)を通じて第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。なお、第2の検知器32bにおける瞬時パワー算出器21b、短時間積分器22b、長時間積分器23b、閾値算出器24b及び比較器25bの動作は、前記第1の検出器32aにおける瞬時パワー算出器21a、短時間積分器22a、長時間積分器23a、閾値算出器24a及び比較器25aと同様であるので、説明を省略する。
続いて、第1の部分選択器33aには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第1の部分選択器33aは、次の式(10)によって波形切り出し開始時刻jS1を算出し、次の式(11)によって波形切り出し終了時刻jE1を算出する。そして、第1のバッファメモリ31aから該当する時間分の切り出し波形S1(k)(k=jS1、jS1+1、…、jE1−1、jE1)を読み出し、その結果を第1の相関器34a及び第2の相関器34bに出力する。
ここで、波形切り出し開始時刻jS1及び波形切り出し終了時刻jE1について、前記第1の部分選択器33aはあらかじめ決定された切り出し時間幅Yを有しているので、
YA=KS1+Y
YB=KS2+Y
とし、また、サンプリング周波数をfsとすると、波形切り出し開始時刻jS1は次の式(10)によって算出され、波形切り出し終了時刻jE1は次の式(11)によって算出される。
jS1={MIN(KS1,KS2,YA,YB)−Y}/(1/fs)
・・・式(10)
jE1={MAX(KS1,KS2,YA,YB)+Y}/(1/fs)
・・・式(11)
このとき、MIN()は()内の数値の中の最小値を取り、MAX()は()内の数値の中の最大値を取る。
また、第2の部分選択器33bは、第2のバッファメモリ31bから、前記第1の部分選択器33aと同一時刻に該当する時間分の切り出し波形S2(k)(k=jS1、jS1+1、…、jE1−1、jE1)を読み出し、その結果を第1の相関器34a及び第2の相関器34bに出力する。
次に、第1の相関器34aには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS1、jS1+1、…、jE1−1、jE1)及び第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS1、jS1+1、…、jE1−1、jE1)が入力される。ここで、
A=Y/(1/fs)
B=(KS2−KS1)/(1/fs)
とすると、第1の相関器34aは、「発明が解決しようとする課題」の項で説明した前記式(9)と同様に、次の式(12)を用いて相関係数を算出し、その結果を平均値算出器35に出力する。これを第1相関係数とする。
Figure 0004356530

なお、nは、
n=A+1、A+2、…、2A−1、2A
とする。
また、ラグタイムτは、
τ=−A、−A+1、…、−1、0、1、…、A、A+B
によって表すことができる。
次に、第2の相関器34bには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS1、jS1+1、…、jE1−1、jE1)及び第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS1、jS1+1、…、jE1−1、jE1)が入力される。そして、第2の相関器34bは、次の式(13)を用いて、第1の相関器34aと比較すると時系列逆方向に相関係数を算出し、その結果を平均値算出器35に出力する。これを第2相関係数とする。
Figure 0004356530

なお、mは、
m=A+B+1、A+B+2、…、2A+B−1、2A+B
とする。
次に、平均値算出器35は、第1の相関器34aにおいて算出された第1相関係数及び第2の相関器34bにおいて算出された第2相関係数が入力されると、次の式(14)によって相関係数平均カーブを算出する。
AVE(τ)={C1S (τ)+C2S (τ)}/2 ・・・式(14)
Figure 0004356530

ここで、相関係数平均カーブのピーク位置は、サンプリング間隔の単位で求めるか、必要に応じて、二次曲線フィッティング等を行うことによって、精密に測定する。そして、前記出力端子(8)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
このように、本実施の形態においては、二つの受信信号の一部分をパルス音の立ち上がり時刻から固定時間幅を切り出し、一方の音響センサ装置の受信信号を基準にして、他方の音響センサ装置の受信信号を時系列正方向にずらしながら相関係数を求めた結果である第1相関係数、及び、他方の音響センサ装置の受信信号を基準にして、一方の音響センサ装置の受信信号を時系列負方向にずらしながら相関係数を求めた結果である第2相関係数の相関係数平均カーブを算出することによって、SN比の低下に伴う相関係数のピーク位置が時間差正方向にバイアス的にシフトしてしまうのを防止し、かつ、精度のよい到来時間差を推定することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図9は本発明の第2の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態において、パルス音の到来時間差推定装置10は、図9に示されるように、前記第1の実施の形態に加えて、外部情報入力端子(13)及びマルチパス到来最小時刻算出器41を有する。なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置10と同様であるので、説明を省略する。また、第1の検知器32a及び第2の検知器32bの構成についても、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置10の動作について説明する。
まず、音響センサ装置で受信した受信信号は、ディジタル信号の時系列データとして第1の入力端子(6)及び第2の入力端子(7)を通して第1のバッファメモリ31a及び第2のバッファメモリ31bに入力されるとともに、第1の検知器32a及び第2の検知器32bにも入力される。
ここで、前記第1のバッファメモリ31aは、前記第1の実施の形態と同様に、入力端子(6)から入力された前記受信信号のディジタルデータを現在の時刻から一定時間遡った時刻まで記憶しておく。また、前記第2のバッファメモリ31bについては、前記第1のバッファメモリ31aと同様であるので、説明を省略する。
次に、第1の検知器32aは、前記第1の実施の形態と同様に、立ち上がり時刻KS1を第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。また、第2の検知器32bも、前記第1の実施の形態と同様に、立ち上がり時刻KS2を第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。
次に、マルチパス到来最小時刻算出器41は、外部から与えられる最大探知距離、音速及び深度情報から、音響センサ装置が探知することができる最大距離L、音速c及び深度Hの情報が入力されると、直接波とマルチパス波との到来時間差最小値MSを算出し、その結果を第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。ここで、直接波は最短経路を伝搬したパルス音であり、マルチパス波は最短経路以外の経路を伝搬したパルス音である。
続いて、第1の部分選択器33aには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第1の部分選択器33aは、次の式(16)によって波形切り出し開始時刻jS2を算出し、次の式(17)によって波形切り出し終了時刻jE2を算出する。そして、第1のバッファメモリ31aから該当する時間分の切り出し波形S1(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)を読み出し、その結果を第1の相関器34a及び第2の相関器34bに出力する。
ここで、波形切り出し開始時刻jS2及び波形切り出し終了時刻jE2については、マルチパス到来最小時刻算出器41によって算出された直接波とマルチパス波との到来時間差最小値MSから、マルチパス波の重複開始時刻MS1及びMS2が、それぞれ、
MS1=KS1+MS
MS2=KS2+MS
として与えられる。
また、波形切り出し開始時刻jS2は次の式(16)によって算出され、波形切り出し終了時刻jE2は次の式(17)によって算出される。
jS2=MIN(KS1,KS2,MS1,MS2)−MS ・・・式(16)
jE2=MAX(KS1,KS2,MS1,MS2)+MS ・・・式(17)
また、第2の部分選択器33bには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第2の部分選択器33bは、第2のバッファメモリ31bから第1の部分選択器33aと同一時刻に該当する時間分の切り出し波形S2(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)を読み出し、その結果を第1の相関器34a及び第2の相関器34bに出力する。
次に、第1の相関器34aには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)及び第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)が入力される。ここで、
C=MS/(1/fs)
D=(KS2−KS1)/(1/fs)
とすると、第1の相関器34aは、前記第1の実施の形態において説明した前記式(12)と同様に、次の式(18)を用いて相関係数を算出し、その結果が平均値算出器35に出力する。これを第1相関係数とする。
Figure 0004356530

なお、nは、
n=C+1、C+2、…、2C−1、2C
とする。
また、ラグタイムτは、
τ=−C、−C+1、…、−1、0、1、…、C+D−1、C+D
によって表すことができる。
次に、第2の相関器34bには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)及び第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)が入力される。そして、第2の相関器34bは、次の式(19)を用いて、第1の相関器34aと比較すると時系列逆方向に相関係数が算出し、その結果を平均値算出器35に出力する。これを第2相関係数とする。
Figure 0004356530

なお、mは、
m=C+D+1、C+D+2、…、2D+D−1、2C+D
とする。
次に、平均値算出器35は、第1の相関器34aにおいて算出された第1相関係数及び第2の相関器34bにおいて算出された第2相関係数が入力されると、前記第1の実施の形態において説明した前記式(14)によって相関係数平均カーブを算出する。
Figure 0004356530

ここで、相関係数平均カーブのピーク位置は、サンプリング間隔の単位で求めるか、必要に応じて、二次曲線フィッティング等を行うことによって、精密に測定する。そして、前記出力端子(8)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
このように、本実施の形態においては、最大探知距離、音速、深度等の外部からの情報からマルチパス波が重複する最小時間を算出し、受信信号内のパルス音を立ち上がり時刻からマルチパス波が重複する最小時間までを切り出すことによって、切り出し波形にマルチパスを含まない、更に切り出し幅が短過ぎない部分を用いることができる。これにより、切り出し波形の中にマルチパス波が含まれてしまう可能性があり、マルチパス波は含まれないが切り出し時間幅が短過ぎてしまうという前記第1の実施の形態における問題を解決することができる。そのため、より精度のよい到来時間差推定を行うことができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図10は本発明の第3の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態において、パルス音の到来時間差推定装置10は、図10に示されるように、前記第2の実施の形態における第1の相関器34a及び第2の相関器34bに代えて、第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bを有する。この場合、第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bは、相関係数を算出する手段として機能する。そして、マルチパス到来最小時刻算出器41の出力が、第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bでなく、第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bに入力されるようになっている。なお、その他の点の構成については、前記第2の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置10と同様であるので、説明を省略する。また、第1の検知器32a及び第2の検知器32bの構成についても、前記第1及び第2の実施の形態の構成と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置10の動作について説明する。
まず、音響センサ装置で受信した受信信号は、ディジタル信号の時系列データとして第1の入力端子(6)及び第2の入力端子(7)を通して第1のバッファメモリ31a及び第2のバッファメモリ31bに入力されるとともに、第1の検知器32a及び第2の検知器32bにも入力される。
ここで、前記第1のバッファメモリ31aは、前記第1の実施の形態と同様に、入力端子(6)から入力された前記受信信号のディジタルデータを現在の時刻から一定時間遡った時刻まで記憶しておく。また、前記第2のバッファメモリ31bについては、前記第1のバッファメモリ31aと同様であるので、説明を省略する。
次に、第1の検知器32aは、前記第1の実施の形態と同様に、立ち上がり時刻KS1を第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。また、第2の検知器32bも、前記第1の実施の形態と同様に、立ち上がり時刻KS2を第1の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bに出力する。
次に、マルチパス到来最小時刻算出器41は、外部から与えられる最大探知距離、音速及び深度情報から、音響センサ装置が探知することができる最大距離L、音速c及び深度Hの情報が入力されると、直接波とマルチパス波との到来時間差最小値MSを算出し、その結果を第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bに出力する。
続いて、第1の部分選択器33aには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第1の部分選択器33aは、次の式(20)によって波形切り出し開始時刻jS3を算出し、次の式(21)によって波形切り出し終了時刻jE3を算出する。そして、第1のバッファメモリ31aから該当する時間分の切り出し波形S1(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)を読み出し、その結果を第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bに出力する。
ここで、波形切り出し開始時刻jS3及び波形切り出し終了時刻jE3について、マルチパス重複開始時刻MX1及びMX2が、それぞれ、
MX1=KS1+Rmx
MX2=KS2+Rmx
として与えられる。
この場合、Rmxは、ユーザが受信信号の時間波形を観測することによって判断する直接波とマルチパスの到来時間差であり、マニュアル形式で入力する値とする。また、波形切り出し開始時刻jS3は次の式(20)によって算出され、波形切り出し終了時刻jE3は次の式(21)によって算出される。
jS3=MIN(KS1,KS2,MX1,MX2)−Rmx ・・・式(20)
jE3=MAX(KS1,KS2,MX1,MX2)+Rmx ・・・式(21)
また、第2の部分選択器33bには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第2の部分選択器33bは、第2のバッファメモリ31bから第1の部分選択器33aと同一時刻に該当する時間分の切り出し波形S2(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)を読み出し、その結果を第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bに出力する。
次に、第1の2次元相関器51aには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)及び第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)が入力され、さらに、マルチパス到来最小時刻算出器41から出力された直接波とマルチパスとの到来時間差最小値MSが入力される。ここで、
E(r)={MS/(1/fs)}+r
F=(KS2−KS1)/(1/fs)
G=(MS+Rt)/(1/fs)
r=1、2、…、Rt/(1/fs)−1、Rt/(1/fs)
Rt=Rmx−MS
とすると、第1の2次元相関器51aは、前記第1の実施の形態において説明した前記式(12)と同様に、次の式(22)によって相関係数を算出し、その結果が平均値算出器35に出力される。これを第3相関係数とする。
Figure 0004356530

なお、nは、
n=G+1、G+2、…、G+E(r)−1、G+E(r)
とする。
また、ラグタイムτ1は、
τ1=−G、−G+1、…、−1、0、1、…、2G−E(r)−1、2G−E(r)
によって表すことができる。
次に、第2の2次元相関器51bには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)及び第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)が入力され、さらに、マルチパス到来最小時刻算出器41から出力された直接波とマルチパスとの到来時間差最小値MSが入力される。そして、第2の2次元相関器51bは、次の式(23)を用いて、第1の2次元相関器51aと比較すると時系列逆方向に相関係数を算出し、その結果を平均値算出器35に出力する。これを第4相関係数とする。
Figure 0004356530

なお、mは、
m=G+F+1、G+F+2、…、G+F+E(r)−1、G+F+E(r)
とする。
また、ラグタイムτ2は、
τ2=−(2G−F−E(r))、−(2G−F−E(r))+1、…、−1、0、1、…、2G−F−E(r)
によって表すことができる。
次に、平均値算出器35は、第1の2次元相関器51aにおいて算出された第3相関係数及び第2の2次元相関器51bにおいて算出された第4相関係数が入力されると、次の式(24)によって第3相関係数と第4相関係数との平均値として相関係数平均値を算出する。
AVE(r,τ)={C1S (r,τ)+C2S (r,τ)}/2 ・・・式(24)
ただし、τの範囲は、
τ=−MS/(1/fs)、−MS/(1/fs)+1、…、−1、0、1、…、MS/(1/fs)−1、MS/(1/fs)
と指定される。
Figure 0004356530

そして、前記出力端子(8)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
このように、本実施の形態においては、音響センサ装置の最大探知距離、音速、深度等の外部からの情報からマルチパスが到来する最小時刻を算出し、受信信号内のパルス音を立ち上がり時刻からマルチパスの到来最小時刻の幅を初期値として、各ラグタイムτに対して相関係数を計算する幅を拡大していき、ラグタイムτ及び相関係数を計算する幅に対して最大となる相関係数を算出するようになっている。そのため、二つの音響センサ装置の受信パルス音をそれぞれの立ち上がり時刻からマルチパス波が重複しない最大時刻まで用いることができるので、前記第2の実施の形態と比較して、更に精度の高い時間差推定を行うことができる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図11は本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図、図12は本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の概略時間差推定器の構成を示すブロック図、図13は本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置のマルチパス到来時刻推定器の構成を示すブロック図、図14は本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の詳細時間差推定器の構成を示すブロック図である。
本実施の形態において、パルス音の到来時間差推定装置10は、図11に示されるように、前記第3の実施の形態における、平均値算出器35、時間差推定器36、第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bに代えて、概略時間差推定器61、マルチパス到来時刻推定器62及び詳細時間差推定器63を有する。また、(14)は出力端子である。
そして、前記概略時間差推定器61は、図12に示されるように、第1の時刻相関器71a、第2の時刻相関器71b、第1の平均値算出器72a及び概略時間差算出器73を有する。なお、(15)は第1の部分選択器33aからの出力データの入力端子、(17)は第2の部分選択器33bからの出力データの入力端子、(16)はマルチパス到来最小時刻算出器41からの出力データの入力端子、(18)はマルチパス到来時刻推定器62への出力端子である。
また、該マルチパス到来時刻推定器62は、図13に示されるように、区間相関器81及びマルチパス到来時刻算出器82を有する。なお、(19)は第1の部分選択器33aからの出力データの入力端子、(20)は第2の部分選択器33bからの出力データの入力端子、(21)は概略時間差推定器61の出力端子(18)との接続端子、(22)は詳細時間差推定器63への出力端子である。
さらに、前記詳細時間差推定器63は、図14に示されるように、第3の時刻相関器71c、第4の時刻相関器71d、第2の平均値算出器72b及び詳細時間差算出器91を有する。なお、(23)は第1の部分選択器33aからの出力データの入力端子、(24)は第2の部分選択器33bからの出力データの入力端子、(25)はマルチパス到来時刻推定器62からの出力データの入力端子、(26)は出力端子(14)との接続端子である。また、その他の点の構成については、前記第3の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置10と同様であるので、説明を省略する。さらに、第1の検知器32a及び第2の検知器32bの構成についても、前記第1及び第2の実施の形態と構成と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置10の動作について説明する。なお、本実施の形態において、第1のバッファメモリ31a、第2のバッファメモリ31b、第1の検知器32a、第2の検知器32b及びマルチパス到来最小時刻算出器41の動作は、前記第3の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
この場合、第1の部分選択器33aには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第1の部分選択器33aは、次の式(25)によって波形切り出し開始時刻jS4を算出し、次の式(26)によって波形切り出し終了時刻jE4を算出する。そして、第1のバッファメモリ31aから該当する時間分の切り出し波形S1(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)を読み出し、その結果を概略時間差推定器61、マルチパス到来時刻推定器62及び詳細時間差推定器63に出力する。
ここで、ユーザが図示されない一方の音響センサ装置の受信信号の時間波形を観測することによって、概略マルチパス到来時刻Rx1を判断し、マニュアル形式で入力すると、図示されない他方の音響センサ装置の受信信号における概略マルチパス到来時刻Rx2は、
Rx2=KS2+(Rx1−KS1)
として表される。
また、波形切り出し開始時刻jS4及び波形切り出し終了時刻jE4は、
jS4=MIN(KS1,KS2,Rx1,Rx2)−(Rx1−KS1)
・・・式(25)
jE4=MAX(KS1,KS2,Rx1,Rx2)+(Rx1−KS1)
・・・式(26)
として表される。
一方、第2の部分選択器33bには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第2の部分選択器33bは、第2のバッファメモリ31bから第1の部分選択器33aと同一時刻に該当する時間分の切り出し波形S2(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)を読み出し、その結果を概略時間差推定器61、マルチパス到来時刻推定器62及び詳細時間差推定器63に出力する。
次に、概略時間差推定器61の第1の時刻相関器71aには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)が入力端子(15)から入力され、第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)が入力端子(17)から入力され、さらに、マルチパス到来最小時刻算出器41から出力された直接波とマルチパスとの到来時間差最小値MSが入力端子(16)から入力される。ここで、
Rx=Rx1−KS1
L=Rx/(1/fs)
M=(Rx+MS)/(1/fs)
とすると、第1の時刻相関器71aは、次の式(27)によって相関係数カーブを算出し、第1の平均値算出器72aに出力する。
Figure 0004356530

ただし、ラグタイムτ1は、
τ1=−L、−L+1、…、−1、0、1、…、3L−M−1、3L−M
とする。
また、概略時間差推定器61の第2の時刻相関器71bにも、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)、第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)、及び、マルチパス到来最小時刻算出器41から出力された直接波とマルチパスとの到来時間差最小値MSが入力される。ここで、
N=(KS2−KS1)/(1/fs)
とすると、第2の時刻相関器71bは、次の式(28)によって相関係数カーブを算出し、第1の平均値算出器72aに出力する。
Figure 0004356530

ただし、ラグタイムτ2は、
τ2=−(L+N)、−(L+N)+1、…、−1、0、1、…、{3L−(M+N)}−1、{3L−(M+N)}
とする。
次に、第1の平均値算出器72aは、第1の時刻相関器71aから算出された第5相関係数Cgt1 (τ1)及び第2の時刻相関器71bから算出された第6相関係数Cgt2 (τ2)が入力されると、次の式(29)によって平均値を計算し、この結果を概略時間差算出器73に出力する。
AVE(τ)={Cgt1 (τ1)+Cgt2 (τ2)}/2 ・・・式(29)
ただし、τの範囲は、
τ=−MS/(1/fs)、−MS/(1/fs)+1、…、−1、0、1、…、MS/(1/fs)−1、MS/(1/fs)
と指定される。
続いて、概略時間差算出器73は、第5相関係数Cgt1 (τ1)と第6相関係数Cgt2 (τ2)との平均値AVE(τ)が入力されると、そのピーク位置をサンプリングの単位で検出する。ここで、平均値AVE(τ)がピーク値となるときのラグタイムτを概略時間差τsとすると、該概略時間差τsが出力端子(18)を通してマルチパス到来時刻推定器62に出力される。
次に、該マルチパス到来時刻推定器62の区間相関器81には、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)が入力端子(19)から入力され、第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)が接続端子(21)から入力され、さらに、概略時間差推定器61から出力された概略時間差τsが入力端子(20)から入力される。すると、区間相関器81は、次の式(30)によって相関区間に対する相関係数カーブを算出し、この結果をマルチパス到来時刻推定器82に出力する。
Figure 0004356530

この場合、
H=0、1、2、…、(Rx−MS)/(1/fs)−1、(Rx−MS)/(1/fs)
とする。
続いて、マルチパス到来時刻算出器82は、区間相関器81から相関区間に対する相関係数カーブ(CK (H))が入力されると、そのピーク位置をサンプリングの単位で検出する。ここで、相関係数カーブ(CK (H))がピーク値となるときのHをHsとすると、直接波とマルチパスとの到来時間差推定値MSXは、
MSX=MS+Hs
と表される。そして、該到来時間差推定値MSXは、出力端子(22)を通して詳細時間差推定器63に出力される。
次に、該詳細時間差推定器63の第3の時刻相関器71cには、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)が入力端子(23)から入力され、第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)が入力端子(25)から入力され、さらに、マルチパス到来時刻推定器62から出力された直接波とマルチパスとの到来時間差MSXが入力端子(24)から入力される。ここで、
Q=(Rx+MSX)/(1/fs)
とすると、第3の時刻相関器71cは、前記式(27)と同様に、次の式(31)によって相関係数カーブを算出し、第2の平均値算出器72bに出力する。
Figure 0004356530

ただし、ラグタイムτ3は、
τ3=−L、−L+1、…、−1、0、1、…、3L−Q−1、3L−Q
とする。
続いて、詳細時間差推定器63の第4の時刻相関器71dにも、第1の部分選択器33aから出力された切り出し波形S1(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)、第2の部分選択器33bから出力された切り出し波形S2(k)(k=jS4、jS4+1、…、jE4−1、jE4)、及び、マルチパス到来時刻推定器62から出力された直接波とマルチパスとの到来時間差MSXが入力される。すると、第4の時刻相関器71dは、前記式(28)と同様に、次の式(32)によって相関係数カーブを算出し、第2の平均値算出器72bに出力する。
Figure 0004356530

ただし、ラグタイムτ4は、
τ4=−(L+N)、−(L+N)+1、…、−1、0、1、…、{3L−(Q+N)}−1、{3L−(Q+N)}
とする。
次に、第2の平均値算出器72bは、第3の時刻相関器71cから算出された相関係数Cst1 (τ3)及び第4の時刻相関器71dから算出された相関係数Cst2 (τ4)が入力されると、次の式(33)によってこれらの平均値を算出し、詳細時間差算出器91に出力する。
AVE(τ)={Cst1 (τ3)+Cst2 (τ4)}/2 ・・・式(33)
Figure 0004356530

ここで、相関係数平均カーブのピーク位置は、サンプリング間隔の単位で求めるか、必要に応じて、二次曲線フィッティング等を行うことによって、精密に測定する。そして、前記出力端子(14)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
このように、本実施の形態においては、相関係数計算幅として直接波とマルチパスとの到来時間差最小値を用いて概略時間差推定を行い、該概略時間差推定を用いて直接波とマルチパスとの到来時間差を推定する。さらに、前記直接波とマルチパスとの到来時間差推定値を用いて詳細時間差推定を行う。このように、各ラグタイムτに対して相関係数計算幅を変化させながら第7相関係数を算出するようになっているので、前記第3の実施の形態と比較して処理量を少なくすることができる。
なお、前記第1〜第4の実施の形態において、第1の検知器32a及び第2の検知器32bは、長時間積分器23a及び長時間積分器23bを用い、設定した閾値と短時間積分器22との比較処理によってパルス音開始時刻KSを算出しているが、パルス音の一部又は全部が包含されるような検出方法であればどのような検知方法を用いてもよい。
また、前記第1及び第2の実施の形態における第1の相関器34a及び第2の相関器34b、前記第3の実施の形態における第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51b、並びに、前記第4の実施の形態における第1の時刻相関器71a、第2の時刻相関器71b、第3の時刻相関器71c、第4の時刻相関器71d及び区間相関器81の動作の説明においては、時間領域の相関処理によって相関カーブを算出する方法について説明したが、前記第2の部分選択器33a及び第2の部分選択器33bの出力をそれぞれフーリエ変換することによって周波数領域に変換し、両者のクロススペクトラムを求めた後に、逆フーリエ変換によって相関カーブを算出する方法を用いてもよい。
さらに、前記第3の実施の形態においては、マルチパス到来最小時刻算出器41で算出する直接波とマルチパスとの到来時刻最小値MSを初期値として相関係数計算幅を変化させているが、この初期値は0に指定してもよい。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。 従来のパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。 従来のパルス音の到来時間差推定装置における検知器の構成を示すブロック図である。 従来の受信信号の例を示す図である。 従来の受信信号内のパルス音の開始時刻からマルチパスが重なる前の時刻までの部分を切り出した部分を使ったSN比が無限大である場合の相関処理波形を示す図である。 従来の受信信号内のパルス音の開始時刻からマルチパスが重なる前の時刻までの部分を切り出した部分を使ったSN比が低下した場合の相関処理波形を示す図である。 本発明の第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の第1の検知器の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の第2の検知器の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の概略時間差推定器の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置のマルチパス到来時刻推定器の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態におけるパルス音の到来時間差推定装置の詳細時間差推定器の構成を示すブロック図である。
符号の説明
10 パルス音の到来時間差推定装置
32a 第1の検知器
32b 第2の検知器
33a 第1の部分選択器
33b 第2の部分選択器
34a 第1の相関器
34b 第2の相関器
35 平均値算出器
36 時間差推定器
51a 第1の2次元相関器
51b 第2の2次元相関器

Claims (5)

  1. 複数の音響センサ装置を用いて音源から放射された時間的に制限されたパルス音を受信し、前記複数の音響センサ装置が受信した複数のパルス音の相関を取ることによって、最短経路を伝搬した前記複数のパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差推定方法であって、
    (a)前記複数のパルス音の立ち上がり時刻をそれぞれ検出し、
    (b)該立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、
    (c)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第1相関係数を算出し、
    (d)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第2相関係数を算出し、
    (e)同一ずらし時刻における第1相関係数と第2相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、
    (f)該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出することを特徴とするパルス音の到来時間差推定方法。
  2. (a)前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、
    (b)前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを、前記最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅とする請求項1に記載のパルス音の到来時間差推定方法。
  3. (a)前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、
    (b)前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを切り出し幅に設定し、
    (c)該切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、
    (d)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第3相関係数を算出し、
    (e)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第4相関係数を算出し、
    (f)同一ずらし時刻における第3相関係数と第4相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、
    (g)前記切り出し幅を変化させて、前記(c)〜(f)を繰り返すことによって、各切り出し幅に対応する前記相関係数平均カーブを算出し、
    (h)すべての前記相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する請求項1に記載のパルス音の到来時間差推定方法。
  4. (a)前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、
    (b)前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを推定切り出し幅に設定し、
    (c)該推定切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、
    (d)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第5相関係数を算出し、
    (e)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第6相関係数を算出し、
    (f)同一ずらし時刻における第5相関係数と第6相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、
    (g)該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の概略到来時刻差を算出し、
    (h)前記複数のパルス音の一方の立ち上がり時刻を、他方の立ち上がり時刻と前記概略時間差とから決定し、
    (i)決定された前記複数のパルス音の一方及び他方の立ち上がり時刻に基づいて前記推定切り出し幅を変化させて第7相関係数を算出し、
    (j)該第7相関係数のピーク位置から前記最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来時刻を決定し、
    (k)決定された前記複数のパルス音の一方及び他方の立ち上がり時刻から前記到来時刻までを切り出し幅に設定し、
    (l)該切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出す請求項1に記載のパルス音の到来時間差推定方法。
  5. 複数の音響センサ装置を用いて音源から放射された時間的に制限されたパルス音を受信し、前記複数の音響センサ装置が受信した複数のパルス音の相関を取ることによって、最短経路を伝搬した前記複数のパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差推定装置であって、
    (a)前記複数のパルス音の立ち上がり時刻をそれぞれ検出する手段と、
    (b)前記立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出す手段と、
    (c)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第1相関係数を算出する手段と、
    (d)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第2相関係数を算出する手段と、
    (e)同一ずらし時刻における第1相関係数と第2相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出する手段と、
    (f)該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する手段とを有することを特徴とするパルス音の到来時間差推定装置。
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