JP4356530B2 - パルス音の到来時間差推定方法及びその装置 - Google Patents
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Y1(k)=X1(k)・X1(k) ・・・式(1)
次に、短時間積分器112は、瞬時パワー算出器111からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力されると、次の式(2)の指数積分によって、その短時間積分値ZS(k)を求め、その結果を比較器115に出力する。ここで、積分定数αは背景雑音の分散がある程度低減され、かつ、パルス音に対してはそのピークレベル低下があまり起こらない範囲内の値を採用する。
ZS(k)=α・Y1(k)+(1−α)・ZS(k−1) ・・・式(2)
続いて、長時間積分器113は、瞬時パワー算出器111からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力されると、前記短時間積分器112と同様に、次の式(3)の指数積分によって、その長時間積分値ZL(k)を求めることによって背景雑音レベルを推定し、その結果を閾値算出器114に出力する。ここで、長時間積分用の積分定数βはパルス音のピークレベルが十分小さくなり、かつ、背景雑音レベルの変動に十分追従することができる範囲内の値を採用する。
ZL(k)=β・Y1(k)+(1−β)・ZL(k−1) ・・・式(3)
そして、閾値算出器114は、長時間積分器113から背景雑音レベルの推定結果である長時間積分値ZL(k)が入力されると、次の式(4)によって、パルス音を検知するための閾値THL(k)を算出し、その結果を比較器115に出力する。ここで、定数γは検知確率・誤警報確率を考慮して設定する。
THL(k)=γ・ZL(k) ・・・式(4)
次に、比較器115は、前記短時間積分器112からの短時間積分値ZS(k)及び閾値算出器114からの閾値THL(k)が入力されると、短時間積分値ZS(k)と閾値THL(k)比較し、次の式(5)の条件を満足した場合、すなわち、閾値THL(k)を超える短時間積分値ZS(k)が一定期間NW続いた場合、前記受信信号内にパルス音が存在すると判定し、短時間積分値ZS(k)が最初に閾値THL(k)を上回るインデックスkの値をパルス音の開始時刻KSとし、開始時刻KS以降、短時間積分値ZS(k)が最初に閾値THL(k)を下回るインデックスkの値をパルス音の終了時刻KEとする。そして、パルス音の開始時刻KS及び終了時刻KEを接続端子(5)を通して第1の波形選択器103a及び第2の波形選択器103bに出力する。
ZS(k)>THL(k) ・・・式(5)
k=KS、KS+1、…、KE−1、KE
KE−KS>NW
続いて、第1の波形選択器103aは、検知器102内の比較器115からパルス音の開始時刻KS及び終了時刻KEが接続端子(5)を通して入力されると、次の式(6)によって波形切り出し開始時刻jSを算出し、次の式(7)によって波形切り出し終了時刻jEを算出する。そして、第1のバッファメモリ101aから該当する時間部分の切り出し波形W1(k)(k=jS、jS+1、…、jE−1、jE)を読み出し、その結果を相関器104に出力する。
jS=KS−M1 ・・・式(6)
jE=KE+M2 ・・・式(7)
ただし、M1及びM2は区間〔jS、jE〕で波形を切り出した場合、受信波形内のパルス音が区間〔jS、jE〕内に含有する形で切り出されるように、かつ、相関処理に必要なサイズを考慮して決定される。
そして、受信信号のSN比が無限大である場合、相関処理出力波形は図5に示されるようになる。また、受信信号のSN比が低下した場合、相関処理出力波形は図6に示されるようになる。これにより、受信信号のSN比が無限大である場合は、相関カーブのピーク位置を推定することによってパルス音の到来時間差の推定を行うことができる。
YA=KS1+Y
YB=KS2+Y
とし、また、サンプリング周波数をfsとすると、波形切り出し開始時刻jS1は次の式(10)によって算出され、波形切り出し終了時刻jE1は次の式(11)によって算出される。
jS1={MIN(KS1,KS2,YA,YB)−Y}/(1/fs)
・・・式(10)
jE1={MAX(KS1,KS2,YA,YB)+Y}/(1/fs)
・・・式(11)
このとき、MIN()は()内の数値の中の最小値を取り、MAX()は()内の数値の中の最大値を取る。
A=Y/(1/fs)
B=(KS2−KS1)/(1/fs)
とすると、第1の相関器34aは、「発明が解決しようとする課題」の項で説明した前記式(9)と同様に、次の式(12)を用いて相関係数を算出し、その結果を平均値算出器35に出力する。これを第1相関係数とする。
τ=−A、−A+1、…、−1、0、1、…、A、A+B
によって表すことができる。
AVE(τ)={C1S (τ)+C2S (τ)}/2 ・・・式(14)
ここで、相関係数平均カーブのピーク位置は、サンプリング間隔の単位で求めるか、必要に応じて、二次曲線フィッティング等を行うことによって、精密に測定する。そして、前記出力端子(8)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
MS1=KS1+MS
MS2=KS2+MS
として与えられる。
jS2=MIN(KS1,KS2,MS1,MS2)−MS ・・・式(16)
jE2=MAX(KS1,KS2,MS1,MS2)+MS ・・・式(17)
また、第2の部分選択器33bには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第2の部分選択器33bは、第2のバッファメモリ31bから第1の部分選択器33aと同一時刻に該当する時間分の切り出し波形S2(k)(k=jS2、jS2+1、…、jE2−1、jE2)を読み出し、その結果を第1の相関器34a及び第2の相関器34bに出力する。
C=MS/(1/fs)
D=(KS2−KS1)/(1/fs)
とすると、第1の相関器34aは、前記第1の実施の形態において説明した前記式(12)と同様に、次の式(18)を用いて相関係数を算出し、その結果が平均値算出器35に出力する。これを第1相関係数とする。
τ=−C、−C+1、…、−1、0、1、…、C+D−1、C+D
によって表すことができる。
ここで、相関係数平均カーブのピーク位置は、サンプリング間隔の単位で求めるか、必要に応じて、二次曲線フィッティング等を行うことによって、精密に測定する。そして、前記出力端子(8)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
MX1=KS1+Rmx
MX2=KS2+Rmx
として与えられる。
jS3=MIN(KS1,KS2,MX1,MX2)−Rmx ・・・式(20)
jE3=MAX(KS1,KS2,MX1,MX2)+Rmx ・・・式(21)
また、第2の部分選択器33bには、第1の検知器32aの比較器25aからのパルス音の開始時刻KS1及び第2の検知器32bの比較器25bからのパルス音の開始時刻KS2が接続端子(10)及び(12)を通して入力される。すると、第2の部分選択器33bは、第2のバッファメモリ31bから第1の部分選択器33aと同一時刻に該当する時間分の切り出し波形S2(k)(k=jS3、jS3+1、…、jE3−1、jE3)を読み出し、その結果を第1の2次元相関器51a及び第2の2次元相関器51bに出力する。
E(r)={MS/(1/fs)}+r
F=(KS2−KS1)/(1/fs)
G=(MS+Rt)/(1/fs)
r=1、2、…、Rt/(1/fs)−1、Rt/(1/fs)
Rt=Rmx−MS
とすると、第1の2次元相関器51aは、前記第1の実施の形態において説明した前記式(12)と同様に、次の式(22)によって相関係数を算出し、その結果が平均値算出器35に出力される。これを第3相関係数とする。
τ1=−G、−G+1、…、−1、0、1、…、2G−E(r)−1、2G−E(r)
によって表すことができる。
τ2=−(2G−F−E(r))、−(2G−F−E(r))+1、…、−1、0、1、…、2G−F−E(r)
によって表すことができる。
AVE(r,τ)={C1S (r,τ)+C2S (r,τ)}/2 ・・・式(24)
ただし、τの範囲は、
τ=−MS/(1/fs)、−MS/(1/fs)+1、…、−1、0、1、…、MS/(1/fs)−1、MS/(1/fs)
と指定される。
そして、前記出力端子(8)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
Rx2=KS2+(Rx1−KS1)
として表される。
jS4=MIN(KS1,KS2,Rx1,Rx2)−(Rx1−KS1)
・・・式(25)
jE4=MAX(KS1,KS2,Rx1,Rx2)+(Rx1−KS1)
・・・式(26)
として表される。
Rx=Rx1−KS1
L=Rx/(1/fs)
M=(Rx+MS)/(1/fs)
とすると、第1の時刻相関器71aは、次の式(27)によって相関係数カーブを算出し、第1の平均値算出器72aに出力する。
N=(KS2−KS1)/(1/fs)
とすると、第2の時刻相関器71bは、次の式(28)によって相関係数カーブを算出し、第1の平均値算出器72aに出力する。
AVE(τ)={Cgt1 (τ1)+Cgt2 (τ2)}/2 ・・・式(29)
ただし、τの範囲は、
τ=−MS/(1/fs)、−MS/(1/fs)+1、…、−1、0、1、…、MS/(1/fs)−1、MS/(1/fs)
と指定される。
MSX=MS+Hs
と表される。そして、該到来時間差推定値MSXは、出力端子(22)を通して詳細時間差推定器63に出力される。
Q=(Rx+MSX)/(1/fs)
とすると、第3の時刻相関器71cは、前記式(27)と同様に、次の式(31)によって相関係数カーブを算出し、第2の平均値算出器72bに出力する。
AVE(τ)={Cst1 (τ3)+Cst2 (τ4)}/2 ・・・式(33)
ここで、相関係数平均カーブのピーク位置は、サンプリング間隔の単位で求めるか、必要に応じて、二次曲線フィッティング等を行うことによって、精密に測定する。そして、前記出力端子(14)から出力された到来時間差は、方位を算出するのに利用され、また、もう一つの音響センサ装置を用いることにより、パルス音を放射した発信源までの距離と方位とを算出することによって音源位置を局限する等、各種信号処理に利用される。
32a 第1の検知器
32b 第2の検知器
33a 第1の部分選択器
33b 第2の部分選択器
34a 第1の相関器
34b 第2の相関器
35 平均値算出器
36 時間差推定器
51a 第1の2次元相関器
51b 第2の2次元相関器
Claims (5)
- 複数の音響センサ装置を用いて音源から放射された時間的に制限されたパルス音を受信し、前記複数の音響センサ装置が受信した複数のパルス音の相関を取ることによって、最短経路を伝搬した前記複数のパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差推定方法であって、
(a)前記複数のパルス音の立ち上がり時刻をそれぞれ検出し、
(b)該立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、
(c)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第1相関係数を算出し、
(d)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第2相関係数を算出し、
(e)同一ずらし時刻における第1相関係数と第2相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、
(f)該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出することを特徴とするパルス音の到来時間差推定方法。 - (a)前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、
(b)前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを、前記最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅とする請求項1に記載のパルス音の到来時間差推定方法。 - (a)前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、
(b)前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを切り出し幅に設定し、
(c)該切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、
(d)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第3相関係数を算出し、
(e)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第4相関係数を算出し、
(f)同一ずらし時刻における第3相関係数と第4相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、
(g)前記切り出し幅を変化させて、前記(c)〜(f)を繰り返すことによって、各切り出し幅に対応する前記相関係数平均カーブを算出し、
(h)すべての前記相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する請求項1に記載のパルス音の到来時間差推定方法。 - (a)前記音源と前記複数の音響センサ装置との想定される最大探知距離、音速及び深度情報から、最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来最小時刻を算出し、
(b)前記立ち上がり時刻から前記到来最小時刻までを推定切り出し幅に設定し、
(c)該推定切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出し、
(d)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第5相関係数を算出し、
(e)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第6相関係数を算出し、
(f)同一ずらし時刻における第5相関係数と第6相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出し、
(g)該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の概略到来時刻差を算出し、
(h)前記複数のパルス音の一方の立ち上がり時刻を、他方の立ち上がり時刻と前記概略時間差とから決定し、
(i)決定された前記複数のパルス音の一方及び他方の立ち上がり時刻に基づいて前記推定切り出し幅を変化させて第7相関係数を算出し、
(j)該第7相関係数のピーク位置から前記最短経路以外の経路を伝搬したパルス音の到来時刻を決定し、
(k)決定された前記複数のパルス音の一方及び他方の立ち上がり時刻から前記到来時刻までを切り出し幅に設定し、
(l)該切り出し幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出す請求項1に記載のパルス音の到来時間差推定方法。 - 複数の音響センサ装置を用いて音源から放射された時間的に制限されたパルス音を受信し、前記複数の音響センサ装置が受信した複数のパルス音の相関を取ることによって、最短経路を伝搬した前記複数のパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差推定装置であって、
(a)前記複数のパルス音の立ち上がり時刻をそれぞれ検出する手段と、
(b)前記立ち上がり時刻から最短経路以外の経路を伝搬したパルス音が重複しない時間幅に対応する部分を、一方のパルス音及び他方のパルス音から切り出す手段と、
(c)切り出した一方のパルス音に対して他方のパルス音を時系列正方向にずらして第1相関係数を算出する手段と、
(d)切り出した他方のパルス音に対して一方のパルス音を時系列負方向にずらして第2相関係数を算出する手段と、
(e)同一ずらし時刻における第1相関係数と第2相関係数との平均値を各ずらし時刻について算出することによって、相関係数平均カーブを算出する手段と、
(f)該相関係数平均カーブのピーク位置から前記複数のパルス音の到来時刻差を算出する手段とを有することを特徴とするパルス音の到来時間差推定装置。
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