JP3511090B2 - 航走体放射雑音からの航跡標定方法及び装置 - Google Patents

航走体放射雑音からの航跡標定方法及び装置

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JP3511090B2 JP2000260448A JP2000260448A JP3511090B2 JP 3511090 B2 JP3511090 B2 JP 3511090B2 JP 2000260448 A JP2000260448 A JP 2000260448A JP 2000260448 A JP2000260448 A JP 2000260448A JP 3511090 B2 JP3511090 B2 JP 3511090B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航走体の放射雑音
を用いて、航走体の航跡を標定する航走体放射雑音から
の航跡標定方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の音響航跡標定装置は、「海洋音響
(基礎と応用)」海洋音響学会P209〜P213(以
下、公知文献1)と、特許第2723866号公報「発
明の名称:信号検出装置」(以下、公知文献2)に開示
されているものがあり、両装置とも原理はLBL測位方
式(Long Base-Line System)と呼ばれるものである。
その原理等を図8、図9を用いて説明する。また、公知
文献2で開示された従来の技術の構成を図10に示す。
【0003】図8において、水中又は水上を航走する目
標航走体の位置P(x,y,z)と海底に設置した複数の受
波器位置S(x,y,z),S(x,y,
),S (x,y,z),…,S(x,y,z
)及びレンジR,R,R,…,Rの関係は次
式(1)によって表される。
【0004】
【数1】 ここで航走体に取り付けられたピンガー音発信器からの
ピンガー音の計測結果から各受波器までの到達時間差τ
が求められたとすると、水中の音波伝搬速度をWとして
到達時間差τとレンジRの関係は次式(2)が成り立つ。 R−R=τijW …(2) (但し、τijはレンジR,R間の到達時間差) 三次元方程式を解くために図8に示す3台の受波器につ
いて考えると次式(3)が得られる。
【0005】
【数2】 これを、i台の受波器について解くことによりレンジR
が算出される。
【0006】ピンガー音の各受波器までの到達時間差τ
は、ピンガー音が絶対時間に同期して送波される場合に
は、各受波器の受波信号から直接検出することが出来
る。ピンガー音が非同期方式の場合には、各受波器の受
波信号間の相互相関係数を算出し、その値が最大となる
到達時間差からレンジRを検出することができる。さら
に、航走体深度をダブルピングの間隔として送信するこ
とにより航走深度を求めることもできる。
【0007】図9にダブルピンガー送受波信号の概要を
示す。図中の記号を以下に説明する。ts,ts
,tm,tmはピンガー音の送信及び受信時刻
の同期絶対時間、tdはダブルピングの間隔、Lは送
信周期、δtは送波から受波までの時間である。従っ
て、レンジRの計算式は次式(4)による。 R=δt×W …(4) ここで、 δt=tm−ts …(5) 但し、tm−ts<L
【0008】公知文献2は、公知文献1で開示された原
理におけるピンガー音の代わりに航走体の放射雑音を含
む広帯域雑音を用いるもので、異なる2カ所に配置され
た受波器で受信した該広帯域雑音に生じる音源の移動に
伴うドップラー効果の影響を補正する信号検出装置に関
するものである。すなわち、2カ所で受信した信号の一
方の入力信号をあらかじめ定めた複数の比率でそれぞれ
時間圧縮又は時間延伸する複数のドップラー補正部と、
複数のドップラー補正部の出力と他方の信号の相互相関
をそれぞれ求める複数の相互相関部と、各相互相関部の
出力から最大値を選択する最大選択部を有しており、そ
の結果、該広帯域雑音に生じる音源の移動に伴うドップ
ラー効果の影響を補正することができるものとしてい
る。
【0009】図10において公知文献2で開示された装
置の各構成機器の作動状況を説明する。図中、1は水
中、2は水面、3は海底を示す。水中1又は水面2を航
走体4が航走している場合、航走体4からは航走雑音が
発生しており、受波器S,S ,…,Sで受信され
た信号は受信回路5−1,5−2,…,5−Nで一定レ
ベルまで振幅増幅された後、A/D変換器6−1,6−
2,…,6−Nに入力される。A/D変換器6−1,6
−2,…,6−Nでアナログ信号はそれぞれデジタル信
号に変換され、2台毎の受波器からの信号を対として考
えたときの一方のデジタル信号はドップラー補正部7を
介して相互相関演算部8に入力され、他方のデジタル信
号は直接相互相関演算部8に入力される。ドップラー補
正部7では2台の受波器で受信した一方の受波信号を予
め定めた複数の比率で時間圧縮又は延伸してドップラー
補正を行い相互相関演算部8に出力する。相互相関演算
部8では複数の比率でドップラー補正された一方の受波
信号と直接入力された他方の信号についてそれぞれ相互
相関係数を算出し、その最大値を検出することによって
到達時間差を決定し表示部9に出力する。表示部9は入
力された到達時間差から次式(6)より目標の方位及び位
置を測位し、その結果を表示する。 θ=cos−1(τW/d) …(6) 図11に目標音源の方位を測位する原理図が示され、式
(6)中のθは図11に示すように、複数の受波器A,B
の配列方向と音波の到来方向とのなす方位角であり、d
は隣り合う受波器の配列間隔であり、r=τWである。
また、図12に目標音源の方位及び位置を測位する原理
が示され、受波器A,Bの配列方向と音波の到来方向と
のなす方位角θ、受波器C,Dの配列方向と音波の到
来方向とのなす方位角θとから目標位置(音源の位
置)を求めることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、公知文献1で
開示された発明の問題点は、予め目標航走体にピンガー
音発信器を取り付ける必要があるので目標航走体が限定
されることである。
【0011】公知文献2で開示された発明の問題点は、
各受波器により計測される航走体放射雑音信号中には、
該放射雑音が放射された同期絶対時間のデータが無いの
で2台の受波器Sと受波器Sへの該航走体放射雑音
の到達時間差から各受波器間のレンジ差(R−R)は
求められるが、各受波器から音源までの距離であるレン
ジRは求められない。また公知文献2の発明によると目
標航走体の方位を検出するためには各2台の受波器間の
距離を目標航走体までの距離に依存して決定しなくては
ならない。さらに周波数範囲が非常に広く音圧レベルが
複雑に変化する航走体放射雑音からの目標方位検出によ
る航跡標定は極めて精度が低い欠点がある。
【0012】本発明は、上記の点に鑑み、各受波器によ
り計測される航走体放射雑音信号中に、該放射雑音が放
射された同期絶対時間のデータが無くとも各受波器への
該放射雑音の到達時間差からレンジを求めることを可能
とし、ひいては航走体の装備条件に依存することなく、
目標の航跡を正確に標定することが可能な航走体放射雑
音からの航跡標定方法及び装置を提供することを目的と
する。
【0013】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述
の実施の形態において明らかにする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願請求項1の発明は、航走体の放射雑音を3台以
上の受波器で受信し、受信された受波信号間の相互相関
をとることにより音源の位置を求める航走体放射雑音か
らの航跡標定方法において、各受波信号を航走体固有振
動特性に起因する航走雑音周波数帯域でバンドパスフィ
ルター処理した後ドップラー補正して、3台以上の受波
器の内の各2台の組み合わせに対し、それぞれドップラ
ー補正された受波信号について相互相関処理を行い周波
数分析間隔dt毎の相関係数を算出し放射雑音計測開始
時間tにおける到達時間差を0とした仮定到達時間差
曲線を算出し、各受波信号のn個のサンプル信号の内の
初期のi個を用いて航走体位置変動量と未知バイアス変
動量を求め、前記航走体位置変動量と未知バイアス変動
量から真の放射雑音到達時間差を検出し、全放射雑音計
測時間にわたって航走体の位置を算出して航跡を標定す
ることを特徴としている。
【0015】本願請求項2の発明は、請求項1記載の航
走体放射雑音からの航跡標定方法において、(a)前記3
台以上の受波器の内、各2台の組み合わせにおいて、航
走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数帯域でバン
ドパスフィルター処理された後ドップラー補正された全
放射雑音計測時間Tの受波信号X(t)とX(t)のF
FT処理信号を読み込んで、前記周波数分析間隔dt毎
にn回(T=n×dt)逆FFT処理したn個のサンプ
ル信号χin(t)とχjn(t)の相互相関係数Cijn
を算出し、該相互相関係数の実数部を当該相互相関係数
の実数部の最大値で割り相対相互相関係数△dijn
表示した時間−相対相関係数信号を算出するステップ
と、(b)前記相対相互相関係数△dijn信号を読み込
んで、放射雑音計測開始時間tでの受波器SとS
の航走体放射雑音到達時間差を0とし、サンプル信号χ
in(t)とχjn(t)について1番目の相対相互相関係
数△dij1と2番目の相対相関係数△dij2の相関
を計算し、そのズレ幅△wij1を求め、同様に、2番
目の相対相関係数△dij2と3番目の相対相関係数△
ij3の相関からズレ幅△wij2、さらに△d
ij2と△dij3の相関からズレ幅△w j3、これ
を順次、△dijiと△diji+1のズレ幅△w
ijiまで算出して、仮定到達時間差曲線τij’=w
ij(t)を求めるステップと、(c)前記3台以上の受波
器により計測された各受波信号のn個のサンプル信号χ
(t),χ(t),χ(t),…,χ(t)の内の初期
のi個について求めた仮定到達時間差τiji’と航走
体が微小時間(t−1)から(t+1)間は直線上を進
行するとした航走体位置P(k)にラプラシアンフィルタ
ーによる非線形最小二乗法を適用し航走体の位置変動量
と未知バイアス変動量を求めるステップと、(d)求めら
れた航走体位置変動量と未知バイアス変動量を基に、航
走体の任意設定初期位置Pについて順次、ラプラシア
ンフィルター残差が最小になる航走体の位置P(0)から
P(i)を決定し、その値から真の到達時間差を検出する
ステップと、(e)航走体放射雑音の各受波器までの真の
到達時間差と各受波器の位置S(x ,y,z)及
び任意に設定した航走体初期位置P(x,y,
)とから未知バイアス変動量△Bijを0として、
目標と受波器の距離であるレンジR ijに関する三次元
方程式を解くことにより、全放射雑音計測時間Tにわた
り航走体の位置P(t)を決定するステップとを具備する
ことを特徴としている。
【0016】本願請求項3の発明は、航走体の放射雑音
を3台以上の受波器で受信し、受信された受波信号間の
相互相関をとることにより、音源の位置を求める航走体
放射雑音からの航跡標定装置において、航走体の放射雑
音を受信する受波器S,S,…,S(但し、N:
3以上の整数)と、前記受波器からの受波信号をそれぞ
れ一定レベルまで振幅増幅する受信回路(5−1,5−
2,…,5−N)と、前記受信回路からのアナログ受波
信号をそれぞれデジタル受波信号に変換するA/D変換
器(6−1,6−2,…,6−N)と、前記A/D変換
器からのデジタル受波信号をそれぞれFFT処理し時間
−周波数信号に変換するFFT処理器(11−1,11
−2,…,11−N)と、前記FFT処理器でFFT処
理された時間−周波数信号をそれぞれ記憶する記憶装置
(12−1,12−2,…,12−N)と、航走体固有
振動特性に起因する航走雑音周波数帯域を検出する検出
器(14)と、航走体固有振動特性に起因する航走雑音
周波数帯域で前記記憶装置からの信号をバンドパスフィ
ルター処理をするバンドパスフィルター処理器(13−
1,13−2,…,13−N)と、受波信号のドップラ
ー周波数により航走体の速度を検出する航走体速度検出
器(15)と、前記航走体速度検出器で検出された航走
体の速度により受波信号をドップラー補正するドップラ
ー補正演算器(16)と、該ドップラー補正された受波
信号について3台以上の受波器の内の各2台の組み合わ
せに対して、該ドップラー補正された受波信号について
相互相関処理を行い放射雑音計測開始時間tにおける
到達時間差を0とした仮定到達時間差曲線を算出する相
互相関による仮定到達時間差検出器(17)と、前記仮
定到達時間差検出器で算出された仮定到達時間差から各
受波信号のn個のサンプル信号の内の初期のi個を用い
て航走体位置変動量と未知バイアス変動量を求める航走
体位置変動量と未知バイアス変動量演算器(18)と、
前記航走体位置変動量と未知バイアス変動量演算器で演
算された航走体位置変動量と未知バイアス変動量から真
の放射雑音到達時間差を検出する真の到達時間差検出器
(19)と、前記真の到達時間差検出器で検出された真
の到達時間差から全放射雑音計測時間にわたって航走体
の位置を求め航跡を標定する航走体の航跡標定器(2
0)を具備し、航走体が水中又は水上を航走した場合
に、3台以上の受波器で受信した受波信号から、航走体
放射雑音の各受波器までの到達時間差を検出し、航走体
の位置を標定することを特徴としている。
【0017】本願請求項4の発明は、請求項3記載の航
走体放射雑音からの航跡標定装置において、前記ドップ
ラー補正された受波信号の相互相関処理を行う相互相関
による仮定到達時間差検出器(17)は、(a)N台の受
波器の内、各2台の組み合わせに基づいて、前記航走体
固有振動特性に起因する周波数帯域でバンドパスフィル
ター処理された後ドップラー補正演算器(16)でドッ
プラー補正された全放射雑音計測時間Tの受波信号X
(t)とX(t)のFFT処理信号を読み込んで、該信号
を周波数分析間隔dt毎にn回(T=n×dt)逆FF
T処理して求めたn個のサンプル信号χin(t)とχ
jn(t)の相互相関係数Cijnを算出し、該相互相関
係数の実数部を当該相互相関係数の実数部の最大値で割
り相対相互相関係数△dijnで表示した時間−相対相
関係数信号を算出する手段と、(b)前記相対相互相関係
数△dijn信号を読み込んで、放射雑音計測開始時間
での受波器SとSの航走体放射雑音到達時間差
を0とし、サンプル信号χin(t)とχjn(t)につい
て1番目の相対相互相関係数△dij1と2番目の相対
相関係数△dij2の相関を計算し、そのズレ幅△w
ij1を求め、同様に、2番目の相対相関係数△d
ij2と3番目の相対相関係数△dij3の相関からズ
レ幅△wij2、さらに△dij3と△dij4の相関
からズレ幅△w j3、これを順次、△dijiと△d
iji+1のズレ幅△wijiまで算出して、仮定到達
時間差曲線τij’=wij(t)を求める手段とを具備
し、前記航走体位置変動量と未知バイアス変動量演算器
(18)は、前記3台以上の受波器により計測された各
受波信号X(t)のn個のサンプル信号χ(t),χ
(t),χ(t),…,χ(t)の内の初期のi個につ
いて求めた仮定到達時間差τiji’と航走体が微小時
間(t−1)から(t+1)間は直線上を進行すとした
航走体位置P(k)にラプラシアンフィルターによる非線
形最小二乗法を適用し航走体の位置変動量と未知バイア
ス変動量を求める手段を具備し、前記真の到達時間差検
出器(19)は、求められた該航走体位置変動量と未知
バイアス変動量を基に、航走体の任意設定初期位置P
について順次、ラプラシアンフィルター残差が最小にな
る航走体の位置P(0)からP(i)を決定し、その値から
真の到達時間差を検出する手段を具備し、前記航走体の
航跡標定器(20)は、前記航走体放射雑音の各受波器
までの真の到達時間差と各受波器の位置S(x,y
,z)及び任意に設定した航走体初期位置P(x
,y,z)とから未知バイアス変動量△Bijを0
として、目標と受波器の距離であるレンジRijに関す
る三次元方程式を解くことにより、全放射雑音計測時間
Tにわたり航走体の位置P(t)を決定する手段を具備す
ることを特徴としている。
【0018】以下、本発明に係る航走体放射雑音からの
航跡標定方法及び装置の原理説明を行う。
【0019】以下の原理説明の中で使用する記号の定義
は次のとおりである。 P(k) :航走体の位置 dP(k):航走体の位置変動量 S :受波器(音響センサー)の位置 R :航走体と受波器の距離 f(t) :航走体放射雑音信号 x(t) :受波器の航走体放射雑音受波信号 W :水中音波伝搬速度 c :水中音波減衰係数〔dB/m]{x(t)=
(R)f(t)} X(t) :ドップラー補正後の受波器の航走体放射雑音
受波信号 X(t)’:航走体放射雑音受波信号のFFT処理信号 χ(t) :受波信号X(t)のサンプル信号 △t :サンプリングレート N :受波器数m :受波器のペア数 n :受波信号のサンプル数 dt :受波信号の周波数分析間隔 T :全放射雑音計測時間 C :相互相関係数 △d :相対相互相関係数 △w :△dと△dn+1相関ズレ幅τ :到達時間差(τ=τ’+B ij /W) τ’ :仮定到達時間差 △τ’ :仮定到達時間差変動量 Bij :未知バイアス △Bij :未知バイアス変動量 b(k) :ラプラシアンフィルター残差 F(k) :到達時間残差
【0020】本発明においては、最初に全受波器の受波
信号X(t)のn個のサンプル信号χ(t),χ
(t),…,χ(t)の最初のi個(例:i=30)を用
いて、航走体の初期位置P(k)からP(k)まで
の航跡と未知バイアスBを計算する。
【0021】次に、求められた予期位置P(k)を含む
航跡から、全放射雑音計測時間における到達時間差τを
用い航走体の位置P(i+1)を求める。その原理を手順
に従って、以下に説明する。
【0022】(a)時刻tにおける航走体放射雑音の受波
器Sによる受波信号をx(t)、航走体の任意に設定した
初期位置P(x,y,z)、全受波器の位置S
(x,y ,z)を初期値として設定する。
【0023】時刻tでのレンジR(t)=|P(t)−S|
において、航走体が発した放射雑音f(t)は、時刻{t
+R(t)/W}で、音波の減衰係数をc(dB/m)とす
ると、受波器に届く波形は{R(t)}f(t)となる。こ
こで、t=t,t,…に対しては、
【0024】
【数3】 となる。この波形を改めてサンプリングレート△tで分
割しなおして、受波器の受信波としたものが受波信号x
(t),x(t),x(t),…,x(t)である。
【0025】(b)N台の受波器の内、各2台の組み合わ
せに対し、受波信号x(t),x(t)を読み込む。
【0026】(c)受波信号x(t),x(t)について
周波数分析間隔dt毎にFFT処理を行う。
【0027】(d)航走体固有振動特性に起因する航走雑
音周波数帯域の最小周波数成分fmi Hzと最大周波
数成分fmaxHzを検出する。この検出には、本発明
者が先に提案している特願平11−069924号に記
載の構成を利用できる。
【0028】(e)航走体固有振動特性に起因する航走雑
音周波数帯域最小周波数成分fminHzと最大周波数
成分fmaxHzの範囲で航走放射雑音受波信号をバン
ドパスフィルター処理をする。
【0029】(f)3台以上の受波器の内の各2台の組み
合わせにおいて、各バンドパスフィルター処理された時
間−周波数受波信号をドップラー補正する。このドップ
ラー補正には、公知文献2や本発明者が先に提案してい
る特願平11−069924号に記載の構成を利用でき
る。
【0030】(g)3台以上の受波器の内の各2台の組み
合わせにおいて、各ドップラー補正された2台の受波器
とSの時間−周波数受波信号X(t)’とX
(t)’を逆FFT処理し、X(t)とX(t)の相互
相関係数Cijを算出する。
【0031】
【数4】 さらに、Cij’を逆FFT処理して相互相関係数C
ijを算出する。
【0032】(h)相互相関係数を相対値で表現するため
に、△dijを求める。 △d=real(C)/real(Cmax) …(9) 但し、 real(Cmax)はC(t)の実数部の最大値 real(C)はC(t)の実数部
【0033】(i)本発明である航走体放射雑音からの航
跡標定方法及び装置は、トリガー機能が無いことを前提
としているので受波器の受波信号上の計測開始絶対時間
が未知であることから、航走体の初期位置Pは未
知数となる。従って、航走体の初期位置Pを任意に仮
定した未知の初期値とする。
【0034】(j)最初に仮定到達時間差τ’を算出す
る。その算出方法を次に示す。前記相対相互相関係数△
ijn信号を読み込んで、放射雑音計測開始時間t
での受波器SとSの航走体放射雑音到達時間差を0
とし、サンプル信号χ in(t)とχjn(t)について1
番目の相対相互相関係数△dij1と2番目の相対相関
係数△dij2の相関を計算し、そのズレ幅△wij1
を求め、同様に、2番目の相対相関係数△dij2と3
番目の相対相関係数△dij3の相関からズレ幅△w
ij2、さらに△dij3と△dij4の相関からズレ
幅△wij 、これを順次、△dijiと△d
iji+1のズレ幅△wijiまで算出して、仮定到達
時間差曲線τij’=wij(t)が求められる。
【0035】(k)仮定到達時間差τ’からレンジR
求める方法について以下に説明する。仮定到達時間差τ
ij’は、N(N−1)/2組のセンサーペアMijに対
して求まる。ここで、受波信号上の時間tにおける仮定
到達時間差τij’に未知バイアスBijを付加するこ
とによって、次式が成り立つ。
【0036】
【数5】 但し、Bijは、tには依存しない定数とする。これを
t=kdtとおき書き直す。 |P(k)−S|−|P(k)−S|=τij’(k)+Bij …(11)
【0037】本発明の放射雑音計測範囲において、航走
体の進路上の位置P(k)には、微小時間(t−1)から
(t+1)の間にラプラシアンフィルター残差をb(k)と
して次式が成り立つ。 α{P(k−1)−2P(k)+P(k+1)}=b(k) …(12) (11)式と(12)式のk=1,2,…,nについて連立方程
式を立てて解く。ここで、未知数P(k)とBijの数
は、3n+で、式の数は、・n+3(n−
2)となる。N=3のとき、未知数の数は3n+3で、
式の数は3n+3(n−2)である。よって、n≧3なら
ば式の数≧未知数の数となり、(11),(12)式から未知数
が明らかとなる。
【0038】また、N=4のときには、未知数の数は、
3n+6で、式の数は、6n+3(n−2)となる。nを
大きく取る場合、(10)式より次式が定義できる。 F(k)=|R(k)|−|R(k)|−τij’(k)−Bij …(13) ここで、F(k)は、到達時間残差である。
【0039】(l)航走体の位置変動量dP(k)と未知バ
イアス変動量△Bijを計算する。その方法を次に説明
する。(12)式を次式に書き直す。 X(k)=α{x(k−1)−2x(k)+x(k+1)} Y(k)=α{y(k−1)一2y(k)+y(k+1)} …(14) Z(k)=α{z(k−1)−2z(k)+z(k+1)} (14)式を全微分する。 dX(k)=αdx(k−1)−2αdx(k)+αdx(k+1) dY(k)=αdy(k−1)−2αdy(k)+αdy(k+1) …(15) dZ(k)=αdz(k−1)−2αdz(k)+αdz(k+1)(13)式を微分 すると仮定到達時間差τ’は消去されて次
式となる。
【0040】
【数6】 dF(k)={(x−x)/R−(x−x)/R}dx(k) +{(y−y)/R−(y−y)/R}dy(k) +{(z−z)/R−(z−z)/R}dz(k)−△Bij …(17) ここで(15)式と(17)式を連立させて、最小二乗法により
dx(k),dy(k),dz(k)及び△Bijを決める。
【0041】(m)航走体の位置P(i)を決定する。前記
項目(a)から(l)までの処理で求められたdx(k),d
y(k),dz(k)及び△Bijを基に、初期位置P
ついて順次、(18)式のごとく更新し求められる残差が最
小になる航走体の位置P(0)からP(i)を決定する。 x(k)=x(k)+dx(k) y(k)=y(k)+dy(k) …(18) z(k)=z(k)+dz(k)
【0042】(n)航走体の位置P(i+1)を決定する。
求められた航走体初期位置P(x,y,z)と真の
到達時間差τから△B ij=0として、時刻tにおける
航走体の位置P(t)を決定する。
【0043】以下に処理法を説明する。航走体の位置P
(x,y,z)に収束した初期値P(i+1)=2P(i)−P
(i−1)を与える。
【0044】次に(17),(18)式より次式を得る。 dF(k)=Aijdx+Bijdy+Cijdz …(19) ここで、 Aij=(x−x)/R−(x−x)/Rij=(y−y)/R−(y−y)/Rij=(z−z)/R−(z−z)/R (19)式をマトリックスで表示すると
【0045】
【数7】 これをF=M・dPとする。
【0046】
【数8】 (23)式からdPを求めるために、両辺に転置行列Mを
かける。 MF=MMdP より dP=(MM)−1(MF) …(24)
【0047】(o)二乗平均残差 (ΣdF(k)
ij)1/2 を計算する。
【0048】(p)残差が前回の残差と変わらなかったら
終了する。
【0049】(q)次式のマトリックスMを計算する。
【0050】
【数9】
【0051】 (r)dP=(MM)−1(MF) を計算する。
【0052】 (s)P(k)=P(k)+dP(k)とする。
【0053】(t)前記項目(n)へ戻る。
【0054】 (u)残差が前回の残差と変わらなかったら終了する。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る航走体放射雑
音からの航跡標定方法及び装置の実施の形態を図面に従
って説明する。
【0056】図1は本発明に係る航走体放射雑音からの
航跡標定方法及び装置の一実施の形態の構成を示してい
る。
【0057】この図において、1は水中、2は水面、3
は海底、4は航走体、S,S,…,Sは受波器
(音響センサー)、5−1,5−2,…,5−Nは受信
回路、6−1,6−2,…,6−NはA/D変換器、1
1−1,11−2,…,11−NはFFT処理器、12
−1,12−2,…,12−Nは記憶装置、13−1,
13−2,…,13−Nはバンドパスフィルター処理
器、14は航走体固有振動特性に起因する航走雑音周波
数帯域検出器、15はドップラー周波数による航走体速
度検出器、16はドップラー補正演算器、17は相互相
関による仮定到達時間差検出器、18は航走体位置変動
量と未知バイアス変動量演算器、19は真の到達時間差
検出器、20は航走体の航跡標定器である。なお、Nは
3以上の整数である。
【0058】受波器S,S,…,Sは水面又は水
中を航走する航走体4の放射雑音をそれぞれ検出するも
のであり、例えばハイドロホン等の音響センサーであ
る。
【0059】受信回路5−1,5−2,…,5−Nは受
波器S,S,…,Sから入力された受波信号を一
定レベルまでそれぞれ振幅増幅した後、A/D変換器6
−1,6−2,…,6−Nに信号をそれぞれ出力する。
【0060】A/D変換器6−1,6−2,…,6−N
は、受信回路5−1,5−2,…,5−Nから転送され
たアナログ受波信号をそれぞれデジタル受波信号に変換
し、該デジタル受波信号をFFT処理器11−1,11
−2,…,11−Nにそれぞれ転送する。
【0061】図2に受波器Sと受波器Sと受波器S
による受波信号の一例を示す。
【0062】FFT処理器11−1,11−2,…,1
1−Nは、デジタル受波信号をdt秒毎にFFT処理
し、時間−周波数信号に変換して記憶装置12−1,1
2−2,…,12−Nにそれぞれ転送する。
【0063】航走体固有振動特性(航走体固有振動数)
に起因する航走雑音周波数帯域検出器14は、記憶装置
12−1,12−2,…,12−Nから時間−周波数信
号に変換された受波信号を個々に検出器14内に取り込
んで、航走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数帯
域の上限値と下限値を検出しバンドパスフィルター処理
器13−1,13−2,…,13−Nに出力する。
【0064】ここでの処理は特願平11−069924
号の構成を用いることができる。つまり、航走体固有振
動特性に起因する航走雑音周波数帯域検出器14は、 第1の受波器(例えばS)による受波信号に基づい
て、前記記憶装置からFFT処理された時間−周波数受
波信号を読み込んで、所定サンプリング時間毎のローフ
ァーグラムを作成する手段と、 前記ローファーグラムにおいて周波数0〜FHz間の
スペクトルラインにおけるパワー値極大値列を抽出する
手段と、 前記及び手段の処理を前記ローファーグラムにお
いて周波数0〜FHzの範囲にある航走雑音のパワー値
の極大値列群の全部について実施する手段とを備え、 第2の受波器(例えばS)による受波信号に基づい
て、上記,及びの手段による処理を行い、前記第
1の受波器の受波信号に基づいて検出された航走雑音周
波数帯域の上限値と下限値が、前記第2の受波器の受波
信号に基づいて検出された航走雑音周波数帯域の上限値
と下限値とに一致した場合に、航走体振動特性に起因す
る航走雑音の周波数帯域と判定する手段とを具備する構
成とする。ここで、3個以上の各受波器について上記
,及びの手段による処理を行って、各受波器毎に
検出された航走雑音周波数帯域の上限値と下限値が互い
に一致するかどうかを判定するようにしてもよい。
【0065】バンドパスフィルター処理器13−1,1
3−2,…,13−Nは航走体固有振動特性に起因する
航走雑音周波数帯域検出器16から入力された周波数帯
域の上限値と下限値の範囲で、記憶装置12−1,12
−2,…,12−Nに記憶された受波信号についてバン
ドパスフィルター処理を行いドップラー補正演算器16
に転送する。
【0066】図3に航走体固有振動数に起因する航走雑
音周波数帯域の上限値と下限値の範囲でバンドパスフィ
ルター処理を実施した受波器Sと受波器Sそして受
波器Sによる受波信号を示す。
【0067】ドップラー補正演算器16は航跡標定にお
けるドップラー現象の影響を除去するために、受波信号
をドップラー補正し相互相関による仮定到達時間差検出
器17に出力する。このドップラー現象の影響を除去す
る処理は、公知文献2や本発明者提案の特願平11−6
9924号に記載された技術を用いることができる。つ
まり、受波信号からドップラー周波数により航走体の速
度を検出する航走体速度検出器15のドップラー周波数
による航走体速度の検出結果に基づいて、ドップラー補
正演算器16はドップラー現象による時間伸縮率を求め
て、受波信号のドップラー補正を行うようにしている。
なお、本実施の形態では、航走体速度検出器15は、航
走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数帯域検出器
14の出力を受けて航走体の速度を検出するようにして
いるが、バンドパスフィルター処理された受波信号から
ドップラー周波数により航走体の速度を検出するように
してもよい。
【0068】図4は受波器SとSによる放射雑音の
ドップラー補正受波信号X(t)とX(t)の説明図で
ある。
【0069】ドップラー補正された受波信号の相互相関
処理を行う相互相関による仮定到達時間差検出器17
は、(a)N台の受波器の内、各2台の組み合わせに基づ
いて、前記航走体固有振動特性に起因する周波数範囲で
バンドパスフィルター処理された後ドップラー補正され
た全放射雑音計測時間Tの受波信号X(t)とX(t)
のFFT処理信号を読み込んで、該信号を周波数分析間
隔dt毎にn回(T=n×dt)逆FFT処理して求めた
n個のサンプル信号χin(t)とχjn(t)の相互相関
係数Cijnを算出し、該相関係数の実数部を該相関係
数の実数部の最大値で割り相対相互相関係数△dijn
で表示した時間−相対相関係数信号を算出する手段と、
(b)前記相対相互相関係数△dijn信号を読み込ん
で、放射雑音計測開始時間tでの受波器SとS
航走体放射雑音到達時間差を0とし、サンプル信号χ
in(t)とχjn(t)について1番目の相対相互相関係
数△dij1と2番目の相対相関係数△dij2の相関
を計算し、そのズレ幅△wij1を求め、同様に、2番
目の相対相関係数△dij2と3番目の相対相関係数△
ij3の相関からズレ幅△wij2、さらに△d
ij3と△dij4の相関からズレ幅△wd ij3、こ
れを順次、△dijiと△diji+1のズレ幅△w
ijiまで算出して、仮定到達時間差曲線τij’=w
ij(t)を求める手段とを具備する。例えば、i=1,
j=2であれば、相互相関による仮定到達時間差検出器
17では、ドップラー補正演算器16において補正され
た受波信号X(t)とX(t)について相互相関係数の
最大値を算出し、その時の仮定到達時間差を求める。
【0070】図5に相互相関による仮定到達時間差検出
器17により受波器Sと受波器S により受信された
受波信号X(t)とX(t)について受波器間の仮定到
達時間差曲線を求めた結果を示す。
【0071】航走体位置変動量と未知バイアス変動量演
算器18は、仮定到達時間差検出器17で算出された仮
定到達時間差から各受波信号のn個のサンプル信号の内
の初期のi個を用いて航走体位置変動量と未知バイアス
変動量を求める。つまり、航走体位置変動量と未知バイ
アス変動量演算器18は、3台以上の受波器により計測
された各受波信号X(t)のn個のサンプル信号χ
(t),χ(t),χ(t),…,χ(t)の内の初期
のi個について求めた仮定到達時間差τiji’と航走
体が微小時間(t−1)から(t+1)間は直線上を進行す
るとした航走体位置P(k)にラプラシアンフィルターに
よる非線形最小二乗法を適用し航走体の位置変動量と未
知バイアス変動量を求める手段を具備する。
【0072】図6に受波器S、受波器S、受波器S
間の真の放射雑音到達時間差と受波器SとSの仮
定到達時間差及び未知バイアスの関係を示す。
【0073】真の到達時間差検出器19は、求められた
航走体位置変動量と未知バイアス変動量を基に、航走体
の任意設定初期値Pについて順次、ラプラシアンフィ
ルター残差が最小になる航走体の位置P(0)からP(i)
を決定し、その値から真の到達時間差を検出する手段を
具備する。
【0074】航走体航跡標定器20は、前記真の到達時
間差検出器19で検出された航走体放射雑音の各受波器
までの真の到達時間差と各受波器の位置S(x,
,z )及び任意に設定した航走体初期位置P(x
,y,z)とから未知バイアス変動量△Bijを0
として、目標と受波器の距離であるレンジRに関する三
次元方程式を解くことにより、全放射雑音計測時間Tに
わたり航走体の位置P(t)を決定する手段を具備してお
り、これにより全放射雑音計測時間にわたって航走体の
位置を求め航跡を標定する。
【0075】図7に航走体の任意設定初期位置P及び
予測標定航跡と最適予測標定軌跡を示す。
【0076】以上本発明の実施の形態について説明して
きたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記
載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当
業者には自明であろう。
【0077】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、航
走体の放射雑音を3台以上の受波器で受信し、該受波信
号間の相互相関をとることにより、目標航走体の航跡を
求める標定方法及び装置において、本発明により各受波
器により計測される航走体放射雑音信号中に、該放射雑
音が放射された同期絶対時間のデータが無くとも2台の
受波器Sと受波器Sへの該航走体放射雑音の到達時
間差からレンジRを求めることができるので、航走体
の装備条件に依存することなく、目標の航跡を正確に標
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る航走体放射雑音からの航跡標定方
法及び装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】受波器S、受波器S、受波器Sが検出す
る航走体放射雑音受波信号の一例を示す波形図である。
【図3】航走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数
帯域の上限値と下限値の範囲でバンドパスフィルター処
理を実施した受波器Sと受波器S及び受波器S
受波信号の一例を示す波形図である。
【図4】受波器SとSによる放射雑音のドップラー
補正受波信号の説明図である。
【図5】相互相関による仮定到達時間差曲線検出結果の
一例を示す説明図である。
【図6】3台の受波器の内の各2台について放射雑音到
達時間差と受波器SとSの仮定到達時間差及び未知
バイアスを求めた結果の一例を示す説明図である。
【図7】目標航走体の任意設定初期位置と予測標定航跡
と最適予測標定検出結果の一例を示す説明図である。
【図8】ピンガー音による航走体航跡標定法説明図であ
る。
【図9】ピンガー音の送波信号と受波信号関係説明図で
ある。
【図10】公知文献2で開示された従来の技術の構成を
示すブロック図である。
【図11】目標音源の方位検出原理説明図である。
【図12】複数受波器による目標音源の位置測位原理説
明図である。
【符号の説明】
1 水中 2 水面 3 海底 4 航走体 5−1,5−2,…,5−N 受信回路 6−1,6−2,…,6−N A/D変換器, 11−1,11−2,…,11−N FFT処理器 12−1,12−2,…,12−N 記憶装置 13−1,13−2,…,13−N バンドパスフィル
ター処理器 14 航走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数帯
域検出器 15 ドップラー周波数による航走体速度検出器 16 ドップラー補正演算器 17 相互相関による仮定到達時間差検出器 18 航走体位置変動量と未知バイアス変動量演算器 19 真の到達時間差検出器 20 航走体の航跡標定器 S,S,…,S 受波器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−266833(JP,A) 特開 平11−23700(JP,A) 特開 平3−195986(JP,A) 特開 昭63−284481(JP,A) 特開 平6−347530(JP,A) 特開 平9−21863(JP,A) 特許2723866(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 1/72 - 1/82 G01S 3/80 - 3/86 G01S 5/18 - 5/30 G01S 7/52 - 7/64 G01S 15/00 - 15/96

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航走体の放射雑音を3台以上の受波器で
    受信し、受信された受波信号間の相互相関をとることに
    より音源の位置を求める航走体放射雑音からの航跡標定
    方法において、 各受波信号を航走体固有振動特性に起因する航走雑音周
    波数帯域でバンドパスフィルター処理した後ドップラー
    補正して、3台以上の受波器の内の各2台の組み合わせ
    に対し、それぞれドップラー補正された受波信号につい
    て相互相関処理を行い周波数分析間隔dt毎の相関係数
    を算出し放射雑音計測開始時間tにおける到達時間差
    を0とした仮定到達時間差曲線を算出し、各受波信号の
    n個のサンプル信号の内の初期のi個を用いて航走体位
    置変動量と未知バイアス変動量を求め、前記航走体位置
    変動量と未知バイアス変動量から真の放射雑音到達時間
    差を検出し、全放射雑音計測時間にわたって航走体の位
    置を算出して航跡を標定することを特徴とする航走体放
    射雑音からの航跡標定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の航走体放射雑音からの航
    跡標定方法において、(a)前記3台以上の受波器の内、
    各2台の組み合わせにおいて、航走体固有振動特性に起
    因する航走雑音周波数帯域でバンドパスフィルター処理
    された後ドップラー補正された全放射雑音計測時間Tの
    受波信号X(t)とX(t)のFFT処理信号を読み込
    んで、前記周波数分析間隔dt毎にn回(T=n×d
    t)逆FFT処理したn個のサンプル信号χin(t)と
    χjn(t)の相互相関係数Cijnを算出し、該相互相
    関係数の実数部を当該相互相関係数の実数部の最大値で
    割り相対相互相関係数△dijnで表示した時間−相対
    相関係数信号を算出するステップと、(b)前記相対相互
    相関係数△dijn信号を読み込んで、放射雑音計測開
    始時間tでの受波器SとSの航走体放射雑音到達
    時間差を0とし、サンプル信号χin(t)とχjn(t)
    について1番目の相対相互相関係数△dij1と2番目
    の相対相関係数△dij2の相関を計算し、そのズレ幅
    △wij1を求め、同様に、2番目の相対相関係数△d
    ij2と3番目の相対相関係数△dij3の相関からズ
    レ幅△wij2、さらに△dij2と△dij3の相関
    からズレ幅△w j3、これを順次、△dijiと△d
    iji+1のズレ幅△wijiまで算出して、仮定到達
    時間差曲線τij’=wij(t)を求めるステップと、
    (c)前記3台以上の受波器により計測された各受波信号
    のn個のサンプル信号χ (t),χ(t),χ(t),
    …,χ(t)の内の初期のi個について求めた仮定到達
    時間差τiji’と航走体が微小時間(t−1)から
    (t+1)間は直線上を進行するとした航走体位置P
    (k)にラプラシアンフィルターによる非線形最小二乗法
    を適用し航走体の位置変動量と未知バイアス変動量を求
    めるステップと、(d)求められた航走体位置変動量と未
    知バイアス変動量を基に、航走体の任意設定初期位置P
    について順次、ラプラシアンフィルター残差が最小に
    なる航走体の位置P(0)からP(i)を決定し、その値か
    ら真の到達時間差を検出するステップと、(e)航走体放
    射雑音の各受波器までの真の到達時間差と各受波器の位
    置S(x ,y,z)及び任意に設定した航走体初
    期位置P(x,y,z)とから未知バイアス変動
    量△Bijを0として、目標と受波器の距離であるレン
    ジR ijに関する三次元方程式を解くことにより、全放
    射雑音計測時間Tにわたり航走体の位置P(t)を決定す
    るステップとを具備することを特徴とする航走体放射雑
    音からの航跡標定方法。
  3. 【請求項3】 航走体の放射雑音を3台以上の受波器で
    受信し、受信された受波信号間の相互相関をとることに
    より、音源の位置を求める航走体放射雑音からの航跡標
    定装置において、 航走体の放射雑音を受信する受波器S,S,…,S
    (但し、N:3以上の整数)と、 前記受波器からの受波信号をそれぞれ一定レベルまで振
    幅増幅する受信回路(5−1,5−2,…,5−N)
    と、 前記受信回路からのアナログ受波信号をそれぞれデジタ
    ル受波信号に変換するA/D変換器(6−1,6−2,
    …,6−N)と、 前記A/D変換器からのデジタル受波信号をそれぞれF
    FT処理し時間−周波数信号に変換するFFT処理器
    (11−1,11−2,…,11−N)と、 前記FFT処理器でFFT処理された時間−周波数信号
    をそれぞれ記憶する記憶装置(12−1,12−2,
    …,12−N)と、 航走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数帯域を検
    出する検出器(14)と、 航走体固有振動特性に起因する航走雑音周波数帯域で前
    記記憶装置からの信号をバンドパスフィルター処理をす
    るバンドパスフィルター処理器(13−1,13−2,
    …,13−N)と、 受波信号のドップラー周波数により航走体の速度を検出
    する航走体速度検出器(15)と、 前記航走体速度検出器で検出された航走体の速度により
    受波信号をドップラー補正するドップラー補正演算器
    (16)と、 該ドップラー補正された受波信号について3台以上の受
    波器の内の各2台の組み合わせに対して、該ドップラー
    補正された受波信号について相互相関処理を行い放射雑
    音計測開始時間tにおける到達時間差を0とした仮定
    到達時間差曲線を算出する相互相関による仮定到達時間
    差検出器(17)と、 前記仮定到達時間差検出器で算出された仮定到達時間差
    から各受波信号のn個のサンプル信号の内の初期のi個
    を用いて航走体位置変動量と未知バイアス変動量を求め
    る航走体位置変動量と未知バイアス変動量演算器(1
    8)と、 前記航走体位置変動量と未知バイアス変動量演算器で演
    算された航走体位置変動量と未知バイアス変動量から真
    の放射雑音到達時間差を検出する真の到達時間差検出器
    (19)と、 前記真の到達時間差検出器で検出された真の到達時間差
    から全放射雑音計測時間にわたって航走体の位置を求め
    航跡を標定する航走体の航跡標定器(20)とを具備
    し、 航走体が水中又は水上を航走した場合に、3台以上の受
    波器で受信した受波信号から、航走体放射雑音の各受波
    器までの到達時間差を検出し、航走体の位置を標定する
    ことを特徴とする航走体放射雑音からの航跡標定装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の航走体放射雑音からの航
    跡標定装置において、前記ドップラー補正された受波信
    号の相互相関処理を行う相互相関による仮定到達時間差
    検出器(17)は、(a)N台の受波器の内、各2台の組
    み合わせに基づいて、前記航走体固有振動特性に起因す
    る周波数帯域でバンドパスフィルター処理された後ドッ
    プラー補正演算器(16)でドップラー補正された全放
    射雑音計測時間Tの受波信号X(t)とX(t)のFF
    T処理信号を読み込んで、該信号を周波数分析間隔dt
    毎にn回(T=n×dt)逆FFT処理して求めたn個
    のサンプル信号χin(t)とχ jn(t)の相互相関係数
    ijnを算出し、該相互相関係数の実数部を当該相互
    相関係数の実数部の最大値で割り相対相互相関係数△d
    ijnで表示した時間−相対相関係数信号を算出する手
    段と、(b)前記相対相互相関係数△dijn信号を読み
    込んで、放射雑音計測開始時間tでの受波器SとS
    の航走体放射雑音到達時間差を0とし、サンプル信号
    χin(t)とχjn(t)について1番目の相対相互相関
    係数△dij1と2番目の相対相関係数△dij2の相
    関を計算し、そのズレ幅△wij1を求め、同様に、2
    番目の相対相関係数△dij2と3番目の相対相関係数
    △dij3の相関からズレ幅△wij2、さらに△d
    ij3と△dij4の相関からズレ幅△w j3、これ
    を順次、△dijiと△diji+1のズレ幅△w
    ijiまで算出して、仮定到達時間差曲線τij’=w
    ij(t)を求める手段とを具備し、 前記航走体位置変動量と未知バイアス変動量演算器(1
    8)は、前記3台以上の受波器により計測された各受波
    信号X(t)のn個のサンプル信号χ(t),χ (t),
    χ(t),…,χ(t)の内の初期のi個について求め
    た仮定到達時間差τiji’と航走体が微小時間(t−
    1)から(t+1)間は直線上を進行するとした航走体
    位置P(k)にラプラシアンフィルターによる非線形最小
    二乗法を適用し航走体の位置変動量と未知バイアス変動
    量を求める手段を具備し、 前記真の到達時間差検出器(19)は、求められた該航
    走体位置変動量と未知バイアス変動量を基に、航走体の
    任意設定初期位置Pについて順次、ラプラシアンフィ
    ルター残差が最小になる航走体の位置P(0)からP(i)
    を決定し、その値から真の到達時間差を検出する手段を
    具備し、 前記航走体の航跡標定器(20)は、前記航走体放射雑
    音の各受波器までの真の到達時間差と各受波器の位置S
    (x,y,z)及び任意に設定した航走体初期位
    置P(x,y,z)とから未知バイアス変動量△
    ijを0として、目標と受波器の距離であるレンジR
    ijに関する三次元方程式を解くことにより、全放射雑
    音計測時間Tにわたり航走体の位置P(t)を決定する手
    段を具備することを特徴とする航走体放射雑音からの航
    跡標定装置。
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