JP4356198B2 - 燃料改質装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質装置に関し、詳しくは、炭化水素系の燃料を水素リッチな燃料ガスに改質する燃料改質装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の燃料改質装置としては、水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに水蒸気を混合し、改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気を用いて水素と二酸化炭素とにシフトして水素リッチな燃料ガスを得るものが提案されている(特開昭63−303801号公報など)。この装置は、水を気化する蒸発器を備え、この蒸発器により蒸気化した水蒸気を改質ガスに混合している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした燃料改質装置では、蒸発器が必要なために装置が複雑化すると共に大型化する。また、水の気化に熱源が必要となる一方、シフト部における温度調節の必要から、装置全体の熱効率が低くなる場合が多い。
【0004】
本発明の燃料改質装置は、限られたスペースへの設置を容易にすることを目的の一つとする。また、本発明の燃料改質装置は、装置全体の熱効率の向上を目的の一つとする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の燃料改質装置は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の燃料改質装置は、炭化水素系の燃料を水素リッチな燃料ガスに改質する燃料改質装置であって、前記炭化水素系の燃料を水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに改質する改質部と、一酸化炭素を水蒸気を用いて水素と二酸化炭素とにシフトするシフト部と、前記改質部とシフト部とを屈曲して連絡する連絡部を有し、該連絡部で前記改質ガスに対して水を噴霧すると共に該噴霧した水を気化して該改質ガスと混合する水供給混合手段とを備え、前記水供給混合手段は、水の噴霧に対向する前記改質ガスの気流を促進する気流促進手段を有することを要旨とする。
【0007】
本発明の燃料改質装置では、改質部とシフト部とを屈曲した連絡部で連絡するので、限られたスペースへの装置の設置が容易になる。しかも、この連絡部で改質ガスに対して水を噴霧すると共にこの噴霧した水を気化して改質ガスと混合するので、水の気化のための特別な熱源が不要になると共に改質ガスを冷却することができ、装置全体の熱効率を向上させることができる。さらに、連絡部が改質ガスの一部の流れる方向を側面に沿う方向へ変更する方向変更手段を有することで、連絡部の側面に付着した水の気化を促進することができる。
【0008】
こうした本発明の燃料改質装置において、前記連絡部は、前記改質部の上方に前記シフト部が配置されるよう鉛直方向に180度屈曲してなるものとすることもできる。連絡部を鉛直方向に180度屈曲してなるものにすることで、限られたスペースへの装置の設置が容易になる。
【0009】
こうした本発明の燃料改質装置において、前記連絡部は、前記改質部の横に前記シフト部が配置されるよう水平方向に180度屈曲してなるものとすることもできる。連絡部を水平方向に180度屈曲してなるものにすることで、高さに制限があるスペースへの装置の設置が容易になる。
【0010】
また、本発明の燃料改質装置において、前記水供給混合手段は、前記改質ガスの流れに対向するよう水を噴霧する噴霧手段を備えるものとすることもできる。改質ガスの流れに対向するように水を噴霧するので、改質ガス中での水の気化と混合とを促進することができる。また、改質ガスの上流側と比較して下流側の混合ガスの温度が低くなるので、改質ガスを適正温度でシフト部へ供給することができる。この態様の本発明の燃料改質装置において、前記噴霧手段は、所定の角度をもって鉛直上方から下方に向けて水を噴霧する手段であるものとすることもできる。こうすれば、鉛直下方の改質ガスの温度が鉛直上方の改質ガスの温度より高くなり、鉛直下方での水の気化を促進することができる。
【0011】
さらに、本発明の燃料改質装置において、前記連絡部は、底面に水を溜める水溜部を備えるものとすることもできる。水溜部を備えることで、改質部への水の流れ込みを防ぐことができる。この態様の本発明の燃料改質装置において、前記水溜部の水の溜まり程度に基づいて該水溜部の水を排水する排水機構を備えるものとすることもできる。こうすれば、水溜部からの水の溢れ出しを防ぐことができる。水溜部の水を排水する排水機構を備える態様の燃料改質装置において、前記排水機構は、前記水溜部の液封を保持する手段であるものとすることもできる。水溜部に液封を保持することで、排水時に改質ガスが装置外に流出することを防ぐことができる。
【0012】
あるいは、本発明の燃料改質装置において、前記水供給混合手段は、水の噴霧に対向する前記改質ガスの気流を促進する気流促進手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、噴霧した水が連絡部内に滞留する時間を長くすることができ、水の気化を促進することができる。この態様の本発明の燃料改質装置において、前記気流促進手段は、プロペラ機構を有する手段であるものとすることもできる。こうすれば、容易に改質ガスの気流を促進することができる。
【0013】
こうした本発明の燃料改質装置において、前記水供給混合手段は、水が噴霧される部位を加熱可能な加熱手段を備えるものとすることもできる。この加熱手段により水の気化を促進することができる。水供給混合手段がプロペラ機構を有する気流促進手段と水が噴霧される部位を加熱可能な加熱手段とを備える態様の本発明の燃料改質装置において、前記加熱手段は、前記気流促進手段に取り付けられてなる手段であるものとすることもできる。こうすれば、加熱手段で水の気化を促進するとともに気流促進手段で気化した水と改質ガスとの混合を促進することができる。この態様の本発明の燃料改質装置において、前記加熱手段は、前記プロペラ表面に担持された酸化活性の高い触媒であるものとすることもできる。こうすれば、プロペラ近傍での水の気化を促進することができる。
【0014】
また、本発明の燃料改質装置において、前記水供給混合手段は、水の噴霧の広角を検出する噴霧広角検出手段と、該検出された広角に基づいて水の噴霧の広角を調節する広角調節手段とを備えるものとすることもできる。水の噴霧の広角を調節することで、より適切に水の気化を促進することができる。この態様の本発明の燃料改質装置においては、前記噴霧広角検出手段は、前記連絡部の側面の所定位置の温度に基づいて所定の広角以内であるかを検出する手段であるものとすることもできる。側面へ水が付着すると側面の温度が変化するので、側面の所定位置の温度に基づいて水の噴霧の広角が所定の広角以内であるかを検出することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である燃料改質装置100の構成の概略を示す構成図である。実施例の燃料改質装置100は、水と炭化水素系の燃料(例えば、プロパンやブタンなど)と空気とを混合した改質原料を水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに改質する改質反応部10と、改質反応部10の上方に配置され水蒸気を用いて一酸化炭素をシフト反応により水素と二酸化炭素とにシフトするシフト反応部15と、鉛直上方に180度屈曲して改質反応部10とシフト反応部15とを連絡し鉛直下方から流れる改質ガスに対して水を噴霧して水蒸気と改質ガスとを混合する水供給混合部20とを備える。水供給混合部20では、600℃〜1000℃程度で運転される改質反応部10からの改質ガスに水蒸気を混合すると共に200℃〜600℃程度で運転されるシフト反応部15に混合ガスを供給するために混合ガスを200℃〜600℃程度まで冷却する。
【0017】
水供給混合部20は、改質ガスへ水を噴霧する水噴射ノズル22と、水噴射ノズル22から噴射する水の広角を調節する広角調節機構40と、底面に設けられ気化されない水を排水する排水機構23と、水供給混合部20内に上昇気流を発生させる気流発生機構33とを備える。
【0018】
水噴射ノズル22は、改質ガスの流れに対向するよう鉛直上方から下方に向けて水を噴霧する。噴霧された水は、改質ガスと熱交換することで気化して水蒸気となり、改質ガスと混合する。このとき、改質ガスは水が気化する際の気化熱などにより冷却される。水を改質ガスに対向して噴霧することで、改質ガス中での水の気化と混合とを促進することができる。
【0019】
広角調節機構40は、水供給混合部20の側面に設置された温度センサ38と、アクチュエータ41より駆動され水の噴霧の広角を調節する可変バッフル42とを備える。アクチュエータ41は、温度センサ38が水供給混合部20の側面の温度が低下したこと、即ち、水の噴霧の広角が広く側面に水が付着したことを検出したときに、水の噴霧の広角が狭くなるように可変バッフル42を駆動する。このように水の噴霧の広角を調節することにより効率的な水の気化と混合とを図っている。
【0020】
排水機構23は、水混合供給部20の底面に設けられた水溜部24と、水溜部24での水位を検出する2つのレベルセンサ26,28と、アクチュエータ30により開閉される開閉弁32とを備える。アクチュエータ30は、レベルセンサ26の水位の検出に伴って出力されるオン信号により開閉弁32を開いて水溜部24に溜めた水を排水し、レベルセンサ28の水位の検出に伴って出力されるオフ信号により開閉弁32を閉じて排水を中断する。レベルセンサ28は、図示するように、開閉弁32より上方に取り付けられているので、開閉弁32が閉じた時には若干の水が残り、常に液封が保持されるようになっている。この液封により、排水時に改質ガスが開閉弁32から流出することを防ぐ。
【0021】
気流発生機構33は、モータ34で回転駆動するプロペラ36により構成されており、水混合供給部20内に上昇気流を発生させて噴霧された水の重力による落下を抑制し、水が水供給混合部20内に滞留する時間を長くしている。この結果、水の気化を促進することができる。また、プロペラ36の表面には酸化活性の高い触媒(例えば、Pd)が担持されており、改質ガス中の水素または一酸化炭素を酸化する際の熱を用いてプロペラ36の上方近傍における水の気化を促進している。
【0022】
さらに水供給混合手段20は、その側面近傍に鉛直上方から下方に所定の角度を持って配置された複数のフィン44を備えている。図2は、図1に示した燃料改質装置100においてフィン44が設けられた箇所の拡大図である。複数のフィン44は、水供給混合部20の側面に間隙をもって取り付けられている。このため、改質ガスの一部は、フィン44に導かれて、図中の矢印で示すように、側面に平行に流れる。この結果、液滴化し側面に付着した水滴46の気化を促進することができる。
【0023】
以上説明した実施例の燃料改質装置100によれば、水供給混合部20を鉛直上方に180度屈曲して設けたので、車輌や船舶などに搭載する場合のような限られたスペースへの設置を容易なものとすることができる。また、水供給混合部20で改質ガスに対して水を噴霧すると共にこの噴霧した水を気化して改質ガスと混合するので、蒸発器など水の気化のための特別な熱源を不要とすることができると共に改質ガスを冷却することができる。この結果、装置全体の熱効率を向上させることができる。
【0024】
実施例の燃料改質装置100では、水供給混合部20を鉛直上方に180度屈曲して形成したが、水平方向に屈曲させて形成してもよい。図3は、第二実施例の燃料改質装置200の平面概略図であり、図4は燃料改質装置200のAA線での断面と構成の概略を示す構成図である。第二実施例の燃料装置200では、シフト反応部15は改質反応部10の横に配置され、水供給混合部20は水平に180度屈曲して改質反応部10とシフト反応部15とを連絡する。燃料改質装置200では、水噴射ノズル22は、改質ガスの流れに対向する方向であって、所定の角度をもって鉛直上方から下方に向けて水を噴霧するように設けられている。所定の角度をもって鉛直上方から下方に向けて水を噴霧することで、鉛直下方の改質ガスの温度を鉛直上方の改質ガスの温度より高くし、液滴化し水供給混合部20の底面に集められた水の気化を促進することができる。
【0025】
このように第二実施例の燃料改質装置200では、水供給混合部20が水平方向に180度屈曲して設けられているので、高さに制限があるスペースにも装置を容易に設置することができる。
【0026】
各実施例の燃料改質装置100,200では、水供給混合部20を180度に屈曲するものとしたが、角度は180度に限定されるものではなく燃料改質装置の設置場所などに応じて適宜決めるものとすることもできる。
【0027】
また、各実施例の燃料改質装置100,200では、プロペラ36の表面に酸化活性の高い触媒を担持したが、プロペラ36に電気ヒータなどの加熱手段を設けるものとすることもできる。また、このような加熱手段の設置個所はプロペラ36に限定したものではなく、噴霧した水の気化を促進する部位、例えば気液が混合する部位に設置することもできる。
【0028】
また、各実施例の燃料改質装置100,200では、プロペラ36は一段構成のものとしたが、多段構成のものとすることもできる。プロペラ36を多段構成にすることで、より強い上昇気流を起こし水の気化と改質ガスとの混合を促進することができる。
【0029】
また、各実施例の燃料改質装置100,200の排水機構23は、二つのレベルセンサ26,28を備えるものとしたが、一つのレベルセンサを備えるものとすることもできる。例えば、一つのレベルセンサ26を備える排水機構23では、レベルセンサ26の水位の検出に伴い開閉弁32を開いて水溜部24に溜めた水を排水し、所定の時間が経過した後に開閉弁32を閉じ排水を中断することで、水溜部24の液封を常に保持することができる。なお、液封の保持方法は、サイホン現象を利用する方法などを適宜用いることもできる。また、液封は必ずしも保持する必要はなく、設計仕様に応じて液封を保持しないものとすることもできる。
【0030】
また、各実施例の燃料改質装置100,200の熱供給混合部20は、広角調節機構40と、排水機構23と、気流発生機構33と、フィン44とを備えるものとしたが、燃料改質装置に必要な性能に応じてこれらの構成は適宜無いものすることもできる。例えば、気流発生機構33を備えていない燃料改質装置では、水を気化する性能は若干落ちるものの装置自体の簡易化を図ることができるため、設計仕様に応じて適宜変えることができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である燃料改質装置100の構成の概略を示す構成図である。
【図2】 燃料改質装置100のフィン44が設けられた箇所の拡大図である。
【図3】 第二実施例の燃料改質装置200の平面概略図である。
【図4】 燃料改質装置200のAA線での断面と構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
10 改質反応部、15 シフト反応部、20 水供給混合部、22 水噴射ノズル、23 排水機構、24 水溜部、26,28 レベルセンサ、32 開閉弁、33 気流発生機構、36 プロペラ、38 温度センサ、40 広角調節機構、42 可変バッフル、44 フィン、100,200 燃料改質装置。

Claims (15)

  1. 炭化水素系の燃料を水素リッチな燃料ガスに改質する燃料改質装置であって、
    前記炭化水素系の燃料を水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに改質する改質部と、
    一酸化炭素を水蒸気を用いて水素と二酸化炭素とにシフトするシフト部と、
    前記改質部とシフト部とを屈曲して連絡する連絡部を有し、該連絡部で前記改質ガスに対して水を噴霧すると共に該噴霧した水を気化して該改質ガスと混合する水供給混合手段と、を備え、
    前記水供給混合手段は、水の噴霧に対向する前記改質ガスの気流を促進する気流促進手段を有する、燃料改質装置。
  2. 前記連絡部は、前記改質部の上方に前記シフト部が配置されるよう鉛直方向に180度屈曲してなる請求項1記載の燃料改質装置。
  3. 前記連絡部は、前記改質部の横に前記シフト部が配置されるよう水平方向に180度屈曲してなる請求項1記載の燃料改質装置。
  4. 前記水供給混合手段は、前記改質ガスの流れに対向するよう水を噴霧する噴霧手段を備える請求項1ないし3いずれか記載の燃料改質装置。
  5. 前記噴霧手段は、所定の角度をもって鉛直上方から下方に向けて水を噴霧する手段である請求項4記載の燃料改質装置。
  6. 前記連絡部は、底面に水を溜める水溜部を備える請求項1ないし5いずれか記載の燃料改質装置。
  7. 前記水溜部の水の溜まり程度に基づいて該水溜部の水を排水する排水手段を備える請求項6記載の燃料改質装置。
  8. 前記排水手段は、前記水溜部の液封を保持する手段である請求項7記載の燃料改質装置。
  9. 前記気流促進手段は、プロペラ機構を有する手段である請求項1ないし8いずれか記載の燃料改質装置。
  10. 前記水供給混合手段は、水が噴霧される部位を加熱可能な加熱手段を備える請求項1ないし9いずれか記載の燃料改質装置。
  11. 前記加熱手段は、前記気流促進手段に取り付けられてなる手段である請求項10記載の燃料改質装置。
  12. 前記加熱手段は、前記プロペラ表面に担持された酸化活性の高い触媒である請求項11記載の燃料改質装置。
  13. 前記水供給混合手段は、水の噴霧の広角を検出する噴霧広角検出手段と、該検出された広角に基づいて水の噴霧の広角を調節する広角調節手段とを備える請求項1ないし12いずれか記載の燃料改質装置。
  14. 前記噴霧広角検出手段は、前記連絡部の側面の所定位置の温度に基づいて所定の広角以内であるかを検出する手段である請求項13記載の燃料改質装置。
  15. 前記連絡部は、前記改質ガスの一部の流れ方向を側面に沿う方向へ変更する方向変更手段を備え、該方向変更手段は、所定の角度をもって鉛直上方から下方へ向けて前記側面と所定の間隙を持ち平行に取り付けられた複数の板材である請求項1ないし14いずれか記載の燃料改質装置。
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