JP4356177B2 - ガスセンサの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃焼機器や内燃機関から排出される排ガスあるいは室内に含まれる可燃性ガス、特に一酸化炭素を検出するガスセンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のガスセンサは、特開平10−31003号公報や特開平10−288596号公報などに記載されているようなものが一般的であった。
【0003】
この種のガスセンサの製造方法は図5に示すようにイットリア安定化ジルコニアなどから成る酸素イオン伝導性を有する固体電解質基板1の一方の面に白金などから成る面積の等しい一対の電極膜2aおよび2bを印刷などの方法により形成する工程と、このうち一方の電極膜2aの上に酸化触媒膜3を印刷などの方法により形成する工程と、固体電解質基板1の電極膜2aおよび2bの形成されていない面にアルミナなどから成る電気絶縁膜4を印刷などの方法により形成する工程と、その上にヒーター膜5を印刷などの方法により形成する工程から成っていた。そして、ヒーター膜5に通電することにより固体電解質基板1を酸素イオン伝導性の得られる動作温度まで加熱保持し、電極膜2a−2b間で得られる電位差から雰囲気中に含まれる一酸化炭素などの可燃性ガスの濃度を求めていた。
【0004】
また、特開平10−288596号公報には固体電解質を基板でなく薄膜で構成したガスセンサが開示されている。この種のガスセンサの製造方法は図6に示すように平板状の絶縁基板6の上に印刷などの方法により、ヒーター膜5、電気絶縁膜4、酸化触媒膜3、電極膜2a、固体電解質膜1および電極膜2aと面積の等しい電極膜2bを順に積層して形成する工程から成っていた。
【0005】
上記製造方法で形成したガスセンサを一酸化炭素などの可燃性ガスが含まれない雰囲気に配置し、固体電解質1を所定の動作温度に加熱すると、電極膜2aおよび2bの面積は等しいので、それぞれに到達する酸素の量は等しく、電極膜2a−2b間に電位差は発生しない。このとき電極膜2aおよび2b上では式(1)で示した電極反応が生じ、平衡を保っている。
【0006】
ad+2e-←→O2-・・・(1)
ここでOadは電極膜2aまたは2bの表面に吸着した酸素原子を示す。
【0007】
次に、このガスセンサを可燃性ガスである一酸化炭素が含まれる雰囲気に配置すると、酸化触媒膜3の形成されていない電極膜2b上では式(1)で示した電極反応に加え、式(2)で示した電極反応が生じる。
【0008】
CO+Oad→CO2・・・(2)
一方、酸化触媒膜3の形成された電極膜2a上では、一酸化炭素が酸化触媒膜3の表面で二酸化炭素に酸化され、電極膜2aの表面まで到達しないので、式(1)で示した電極反応のみが生じる。したがって電極膜2aおよび2bの間で吸着した酸素濃度に差が生じ、酸素イオンが電極膜2aから2bへと固体電解質1中を伝導し、電極膜2a−2b間に電位差が発生する。
【0009】
この電位差と一酸化炭素の濃度の関係はNernstの式に従い、電極膜2a−2b間の電位差から雰囲気中に含まれる一酸化炭素の濃度を求めていた。
【0010】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながらこの種のガスセンサは、ヒーター膜5や固体電解質膜1を平板状の基板上に形成するので、ガスセンサ全体の熱容量が大きくなり、固体電解質1を動作温度に加熱保持するために大きな消費電力を必要とし、経済的でないという課題があった。
【0011】
また、消費電力が大きいので、電源はコンセントから供給する必要があり、コンセントの少ない屋外、浴室および台所といった場所での使用が困難であった。
【0012】
また、固体電解質膜1を形成する際には酸素イオン伝導性を確保するためには通常800〜1,400℃といった高温での熱処理が必要であり、固体電解質膜1を形成する前に形成するヒーター膜5や電気絶縁膜4は固体電解質膜1を熱処理する温度に耐える材料でなければならなかった。
【0013】
したがってヒーター膜5や電気絶縁膜4に含まれる材料や製造方法が限定され、ヒーターの小型化やガスセンサ全体の低コスト化が課題となっていた。例えばコストが安く良好な絶縁体であるが融点の低いガラスや、良好な抵抗体であるが分解温度の低い酸化ルテニウムなどの材料は固体電解質膜1を熱処理する800〜1,400℃で変質するので使用することができなかった。
【0014】
また、排ガス中には天然ガスの産地にもよるが、微量の不純物が含まれ、例えば、ガス燃焼機器の排ガス中には2ppm以下の二酸化硫黄が含まれる。
【0015】
しかしながら、従来のガスセンサの構成において雰囲気中に二酸化硫黄などの汚染物質が含まれる場合、二酸化硫黄が検出に必要な一酸化炭素や酸素よりも電極膜2aおよび2bに含まれる白金などの貴金属と強く吸着し、電極膜2aおよび2bを被毒劣化させるため、検出に必要な一酸化炭素や酸素が電極膜2aおよび2bに吸着し難くなり、正確な一酸化炭素の濃度を検出できないという課題があった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、絶縁基板に固体電解質膜を形成、熱処理し、その上に電気絶縁膜を形成し、その上にヒーター膜を形成した後、絶縁基板の前記固体電解質膜の形成されていない面をエッチングにより前記固体電解質膜の前記電気絶縁膜の形成されていない面に達する孔をあけ、孔をあけた面に一対の電極膜を形成し、さらに一方の電極膜の上に酸化触媒膜を形成するガスセンサの製造方法を提供するものである。
【0017】
上記発明によれば、ガスセンサの熱容量を極めて小さくすることができ、消費電力を大幅に抑えることができる。
【0018】
また、絶縁基板に固体電解質膜を形成し、酸素イオン伝導性を確保するために固体電解質膜を800〜1,400℃といった高温下で熱処理し、その後で電気絶縁膜やヒーター膜を固体電解質膜の熱処理する温度に依存することなく形成することができるので、電気絶縁膜やヒーター膜の材料にガラスや酸化ルテニウムといった材料も使用することができ、ヒーターの小型化やガスセンサ全体の低コスト化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のガスセンサの製造方法は、請求項1記載のように平板状の絶縁基板の一方の面に酸素イオン伝導性を有する固体電解質膜を形成する工程と、前記固体電解質膜を熱処理する工程と、前記固体電解質膜の上に電気絶縁膜を形成する工程と、前記電気絶縁膜の上にヒーター膜を形成する工程と、前記絶縁基板の前記固体電解質膜の形成されていない面をエッチングにより前記固体電解質膜の前記電気絶縁膜の形成されていない面に達する孔をあける工程と、前記固体電解質膜の前記電気絶縁膜の形成されていない面に一対の電極膜を形成する工程と、前記一対の電極膜のうち一方の電極膜の上に酸化触媒膜を形成する工程から成る。
【0020】
そして、ガスセンサの熱容量を極めて小さくすることができ、消費電力を大幅に抑えることができ、経済的である。
【0021】
そして、消費電力が極めて小さいので、電池で電源を供給することができ、コンセントの少ない屋外、浴室および台所といった場所での使用が可能となる。
【0022】
そして、絶縁基板に固体電解質膜を形成し、酸素イオン伝導性を確保するために固体電解質膜を800〜1,400℃といった高温下で熱処理し、その後で電気絶縁膜やヒーター膜を固体電解質膜の熱処理する温度に依存することなく形成することができるので、電気絶縁膜やヒーター膜の材料にガラスや酸化ルテニウムといった材料も使用することができ、ヒーターの小型化やガスセンサ全体の低コスト化を図ることができる。
【0023】
また、請求項2記載のように固体電解質膜を酸素が5〜50%含まれる雰囲気でスパッタリング法により形成するものである。
【0024】
そして、酸素を導入しながら固体電解質膜をスパッタするので、酸素イオン伝導性の良好な膜を得ることができ、またターゲットが還元されにくくなるので、ターゲットの変色や割れがなくなり、良好な固体電解質膜を再現性よく形成することができる。さらにターゲットの寿命が延びるので、低コスト化を図ることができる。
【0025】
また、請求項3記載のようにヒーター膜の電気絶縁膜の形成されていない面に第二電気絶縁膜を形成する工程を含むものである。
【0026】
そして、第二電気絶縁膜によりヒーター膜を保護するので、結露や煤などによる短絡などを確実に防止し、電気絶縁性を確保することができる。
【0027】
また、請求項4記載のように平板状の絶縁基板の固体電解質膜の形成されていない面にあけた孔を覆うようにセラミック多孔体を配置する工程を含むものである。
【0028】
そして、被検出ガスはKnudsen拡散によりセラミック多孔体を通過し、検出に必要な一酸化炭素や酸素はセラミック多孔体を通ることができるが、一酸化炭素や酸素に比べ分子サイズが大きく吸着性を有する二酸化硫黄などの汚染物質はセラミック多孔体を透過できないので、電極膜が被毒し難くなり、汚染物質に対して耐久性の高いガスセンサを得ることができる。
【0029】
また、請求項5記載のようにセラミック多孔体の細孔径が10〜1,000Åとなるようにゾル−ゲル法を用いて細孔の内面に薄膜を形成する工程を含むものである。
【0030】
そして、セラミック多孔体をゾル液に浸漬し、一定速度で引き揚げ、乾燥、熱処理し、細孔の内面に均一な薄膜を形成するので、薄膜を何層か積層することにより細孔径が10〜1,000Åとなるように制御することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお従来例と同一符号のものは同一構造を有し、一部説明を省略する。
【0032】
図1は本発明のガスセンサの製造方法を示す工程フローチャートである。
【0033】
まず、工程(a)において表面に絶縁性のシリカから成る酸化皮膜が形成されたシリコンの平板状の絶縁基板6の一方の面に高温下で酸素イオン伝導性を有する8mol%イットリア安定化ジルコニアから成る固体電解質膜1をスパッタリングにより形成した。スパッタリングはターゲットに8mol%イットリア安定化ジルコニアを用い、高周波スパッタ装置により行った。スパッタ雰囲気は酸素20%、アルゴン80%で、基板温度を300℃とした。酸素が0%の場合、ターゲットが還元し、黒化し、割れてしまった。スパッタ雰囲気に酸素を5〜50%混合することにより、ターゲットの変質は抑えられ、再現性よく成膜することができた。マグネシア基板7上に約0.5μm/hrの成膜速度で約4μmの固体電解質膜1を形成した。膜組成をX線微小分析装置で測定した結果、ターゲットの組成とほぼ同じであった。このようにして形成した固体電解質膜1を1,000℃大気中で1時間熱処理した。この時の膜の結晶構造はX線回折装置で測定した結果、8mol%イットリア安定化ジルコニアのピークと良く一致し、立方晶構造であった。熱処理を行わないと、回折線はブロードであり、酸素イオン伝導性が得られなかった。
【0034】
次に、工程(b)においてアルミナから成る電気絶縁膜4aをスパッタにより形成した。電気絶縁膜4aはスパッタ以外の印刷などの方法でも同様に形成することができる。印刷の場合、アルミナペーストを印刷し、乾燥した後、固体電解質膜1を熱処理した1,000℃よりも低い温度で焼成することができる。
【0035】
次に、工程(c)においてガラスを混合して抵抗を調整した白金ペーストを用いヒーター膜5を印刷、乾燥、焼成した。ヒーター膜5の焼成は固体電解質膜1を焼成した1,000℃よりも低い温度で良いので、ガラスなどの融点の低い材料や白金以外にも酸化ルテニウムなどの抵抗体を用いることができる。
【0036】
次に、工程(d)において工程(b)と同様にしてアルミナから成る第二電気絶縁膜4bをスパッタにより形成した。第二電気絶縁膜4bもスパッタ以外の印刷などの方法でも同様に形成することができる。第二電気絶縁膜4bによりヒーター膜5が保護され、結露や煤などによる短絡などが確実に防止され、電気絶縁性を確保することができる。
【0037】
次に、工程(e)において絶縁基板6をイオンビームエッチング装置を用いてエッチングし、固体電解質膜1の電気絶縁膜4aの形成されていない面に達する孔をあけた。これにより、ガスセンサの熱容量を極めて小さくすることができ、消費電力を大幅に抑えることができる。
【0038】
次に、工程(f)においてエッチングで孔をあけた固体電解質膜1の上に白金から成る面積の等しい一対の電極膜2aおよび2bを形成した。
【0039】
次に、工程(g)において一方の電極膜2aの上に白金とパラジウムを主成分とする触媒ペーストを用いて酸化触媒膜3を塗布、乾燥、焼成した。
【0040】
最後に、工程(h)において細孔径を10〜1,000Åに制御したセラミック多孔体7を絶縁基板6の固体電解質膜1の形成されていない面にあけた孔を覆うように配置し、無機系接着剤8により接着した。セラミック多孔体7は平均細孔径が0.1μmである3mol%イットリア安定化ジルコニア多孔質基板をジルコニア系のゾル液に浸漬し、一定速度で引き上げた後、乾燥、焼成し、細孔の内側に均一な薄膜を形成し、この薄膜を何層か積層することにより細孔径が10〜1,000Åとなるように細孔制御を行った。被検出ガスはKnudsen拡散によりセラミック多孔体7を通過し、検出に必要な一酸化炭素や酸素はセラミック多孔体7を通ることができるが、一酸化炭素や酸素に比べ分子サイズが大きく吸着性を有する二酸化硫黄などの汚染物質はセラミック多孔体7を透過できない。したがって、電極膜2aおよび2bが被毒し難くなり、汚染物質に対して耐久性の高いガスセンサを得ることができる。
【0041】
上記構成によれば、ガスセンサの熱容量を極めて小さくすることができ、消費電力を大幅に抑えることができ、経済的である。
【0042】
そして、消費電力が極めて小さいので、電池で電源を供給することができ、コンセントの少ない屋外、浴室および台所といった場所での使用が可能となる。
【0043】
そして、基板7に固体電解質膜1を形成し、酸素イオン伝導性を確保するために固体電解質膜1を800〜1,400℃といった高温下で熱処理し、その後で電気絶縁膜4aやヒーター膜5を固体電解質膜1の熱処理する温度に依存することなく形成することができるので、電気絶縁膜4aやヒーター膜1の材料にガラスや酸化ルテニウムといった材料も使用することができ、ヒーターの小型化やガスセンサ全体の低コスト化を図ることができる。
【0044】
上記のようにして作成したガスセンサをエージングするため、酸素が20%および二酸化硫黄が20ppm含まれる雰囲気に暴露し、雰囲気の温度を500℃に保持し、ヒーター膜5に使用時に流す電流よりも大きい電流を流し、約24時間放置した。各種ガスの濃度は実際の燃焼排ガスよりもかなり過酷な条件であり、あらかじめ高濃度の酸素および二酸化硫黄が含まれる雰囲気に暴露し、熱処理することにより、初期安定性に優れ、耐久性の高いガスセンサを得ることができる。また、同時に固体電解質膜1を動作温度に加熱するヒーター膜5にあらかじめ使用時より大きい電流を流して通電処理するので、初期安定性に優れ、耐久性の高いガスセンサを得ることができる。
【0045】
以上のようにして得られたガスセンサの基本特性を調べるため、ガスセンサを被検出ガス中に配置し、ヒーター膜5に電圧を供給し、ガスセンサを約450℃に加熱保持した。このガスセンサの動作温度は、固体電解質膜1の酸素イオン伝導性が得られ、かつ酸化触媒膜3の一酸化炭素を酸化するのに十分な触媒活性が得られる温度である。このときの被検出ガスの流量は約185cm/minであった。そして、電極膜2aおよび2b間に電圧計を接続し、発生する電位差を測定した。
【0046】
図2に酸素濃度を20%一定に保ち、一酸化炭素の濃度を0→1,000→0ppmと変化させたときの電極膜2a−2b間に発生する電位差の変化を示す。図2より一酸化炭素の濃度が1,000ppmのとき電位差は約8mVであり、90%応答時間は約90秒であった。
【0047】
次に、一酸化炭素の濃度特性を図3に示す。図3より電位差は一酸化炭素の濃度の対数に比例しており、Nernstの式に従っていることが判った。
【0048】
したがって、本実施例のガスセンサの構成により、応答性のよいガスセンサを得ることができることが判った。
【0049】
また、このガスセンサを燃焼機器あるいは内燃機関などに搭載し、排気ガス中の一酸化炭素の濃度を監視すれば、一酸化炭素の発生量が許容値を越えたとき強制的に燃焼を停止させたり、一酸化炭素の許容濃度範囲内で燃焼効率が最大となるように制御することができ、燃焼機器あるいは内燃機関などの安全性を向上させるだけでなく、省エネをも図ることができる。
【0050】
次に、このガスセンサの二酸化硫黄に対する耐久性を調べた。排ガス中には分子サイズの大きい二酸化硫黄などの汚染物質が多く含まれる。セラミック多孔体7を用いれば、汚染物質のうち粒径が1,000Å以上より大きな分子はセラミック多孔体7を透過することができない。また細孔径が(10〜1,000)Åのセラミック多孔体7においてガスは基本的にKnudsen拡散により細孔内部表面を吸着しながら拡散する。このときガスの透過係数比は分子量と絶対温度の積の平方根に反比例するので、二酸化硫黄など分子量が大きく、吸着性のあるガスは酸素や一酸化炭素などのガスに比べて細孔内を透過し難くなる。したがって、電極膜2aおよび2bに到達する汚染物質が減少し、電極膜2aおよび2bが被毒し難くなる。1,000ppmの一酸化炭素と空気の混合ガス中に100ppmの二酸化硫黄を添加したときの電極膜2aおよび2b間に生じる電位差の変化を図4に示した。図4より二酸化硫黄の添加の有無に関わらず、電位差はほぼ一定であり、二酸化硫黄による影響が見られなかった。実際の排ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度は2ppm以下であり、これに対して約50倍の濃度の二酸化硫黄による加速耐久試験において安定した電位差が得られていることから本実施例のガスセンサは汚染物質に対する耐久性が極めて優れていることが判った。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明のガスセンサの製造方法によれば、以下の効果が得られる。
【0052】
(1)ガスセンサの熱容量を極めて小さくすることができ、消費電力を大幅に抑えることができ、経済的である。
【0053】
(2)消費電力が極めて小さいので、電池で電源を供給することができ、コンセントの少ない屋外、浴室および台所といった場所での使用が可能となる。
【0054】
(3)基板に固体電解質膜を形成し、酸素イオン伝導性を確保するために固体電解質膜を800〜1,400℃といった高温下で熱処理し、その後で電気絶縁膜やヒーター膜を固体電解質膜の熱処理する温度に依存することなく形成することができるので、電気絶縁膜やヒーター膜の材料にガラスや酸化ルテニウムといった材料も使用することができ、ヒーターの小型化やガスセンサ全体の低コスト化を図ることができる。
【0055】
(4)酸素を導入しながら固体電解質膜をスパッタする場合は、酸素イオン伝導性の良好な膜を得ることができ、ターゲットが還元されにくくなるので、ターゲットの変色や割れがなくなり、良好な固体電解質膜を再現性よく形成することができる。さらにターゲットの寿命が延びるので、低コスト化を図ることができる。
【0056】
(5)第二電気絶縁膜によりヒーター膜5を保護する場合は、結露や煤などによる短絡などを確実に防止し、電気絶縁性を確保することができる。
【0057】
(6)セラミック多孔体を配置するようにした場合、被検出ガスはKnudsen拡散によりセラミック多孔体を通過し、検出に必要な一酸化炭素や酸素はセラミック多孔体を通ることができるが、一酸化炭素や酸素に比べ分子サイズが大きく吸着性を有する二酸化硫黄などの汚染物質はセラミック多孔体を透過できないので、電極膜が被毒し難くなり、汚染物質に対して耐久性の高いガスセンサを得ることができる。
【0058】
(7)セラミック多孔体をゾル液に浸漬し、一定速度で引き揚げ、乾燥、熱処理し、細孔の内面に均一な薄膜を形成する場合は、薄膜を何層か積層することにより細孔径が10〜1,000Åとなるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサの製造方法を示す工程フローチャート
【図2】同ガスセンサの応答性を示す図
【図3】同ガスセンサの一酸化炭素濃度特性を示す図
【図4】同ガスセンサの二酸化硫黄耐久性を示す図
【図5】従来のガスセンサの組立構成図
【図6】従来の別のガスセンサの組立構成図
【符号の説明】
1 固体電解質膜
2a、2b 電極膜
3 酸化触媒膜
4a、4b 電気絶縁膜
5 ヒーター膜
6 絶縁基板
7 セラミック多孔体

Claims (5)

  1. 平板状の絶縁基板の一方の面に酸素イオン伝導性を有する固体電解質膜を形成する工程と、前記固体電解質膜を熱処理する工程と、前記固体電解質膜の上に電気絶縁膜を形成する工程と、前記電気絶縁膜の上にヒーター膜を形成する工程と、前記絶縁基板の前記固体電解質膜の形成されていない面をエッチングにより前記固体電解質膜の前記電気絶縁膜の形成されていない面に達する孔をあける工程と、前記固体電解質膜の前記電気絶縁膜の形成されていない面に一対の電極膜を形成する工程と、前記一対の電極膜のうち一方の電極膜の上に酸化触媒膜を形成する工程から成るガスセンサの製造方法。
  2. 固体電解質膜を酸素が5〜50%含まれる雰囲気でスパッタリング法により形成する請求項1記載のガスセンサの製造方法。
  3. ヒーター膜の電気絶縁膜の形成されていない面に第二電気絶縁膜を形成する工程を含む請求項1記載のガスセンサの製造方法。
  4. 絶縁基板の固体電解質膜の形成されていない面にあけた孔を覆うようにセラミック多孔体を配置する工程を含む請求項1記載のガスセンサの製造方法。
  5. セラミック多孔体の細孔径が10〜1,000Åとなるようにゾル−ゲル法を用いて細孔の内面に薄膜を形成する工程を含む請求項4記載のガスセンサの製造方法。
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