JP4355830B2 - 新規dna複製因子 - Google Patents
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Description
例えば、遺伝子増幅法としては、市販の耐熱性PolAとPolBを用いる従来型PCR法や、Displacement活性の強いf29 DNAポリメラーゼを用いる常温PCR法が開発されているが、既存のPolAとPolB酵素は複製できる領域は短く、数10kbが上限である。また、合成速度も30b/secと遅い。一方、f29 DNAポリメラーゼは常温で遺伝子増幅ができるため、増幅反応に高価な装置は必要なく、簡便に行うことができるが、ランダムプライマーを用いるため、複製される領域は比較的短く、長鎖のDNA合成産物は得難い。さらに、上記の既存酵素を用いて、血液、体液等から直接的にDNAを増幅することは困難である。この原因は、いずれの既存酵素も高塩濃度でDNA合成活性が低下するためであり、反応液中の塩濃度を下げるための、脱塩操作が必須である。
(1) デオキシヌクレオチド三リン酸を酵素基質として、DNAポリメラーゼによりプライマーDNAを伸長させて、鋳型DNAと相補のDNAを合成する方法であって、酵素反応系が、パイロコッカス・ホリコシ由来のDNAポリメラーゼを有し、かつ以下のa)及びb)のタンパク質複合体を含むことを特徴とする、DNAの合成方法。
a)3分子のサブユニットからなり、かつ、クランプ機能を有するタンパク質複合体であって、該サブユニットが配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体
b)大サブユニット1分子と小サブユニット4分子からなり、かつ、クランプローダー機能を有するタンパク質複合体であって、大サブユニットが配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であり、小サブユニットが配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体。
(2) 上記酵素反応系がATPを含有しないことを特徴とする、上記(1)に記載の合
成方法。
(3) 上記酵素反応系が、0〜200mM/L濃度の食塩を含有することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の合成方法。
(4) パイロコッカス・ホリコシ由来のDNAポリメラーゼを有し、かつ以下のa)及びb)のタンパク質複合体を含むことを特徴とする、DNA合成試薬キット。
a)3分子のサブユニットからなり、かつ、クランプ機能を有するタンパク質複合体であって、該サブユニットが配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体
b)大サブユニット1分子と小サブユニット4分子からなり、かつ、クランプローダー機能を有するタンパク質複合体であって、大サブユニットが配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であり、小サブユニットが配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体。
(5) PCRに使用するものであることを特徴とする、上記(4)に記載のDNA合成試薬キット。
(6) 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であって、上記(1)、b)に記載の大サブユニットとタンパク質複合体を形成したとき、クランプローダー機能を有するタンパク質。
(7) 上記(6)に記載のタンパク質をコードするDNA。
(8) 上記(7)に記載のDNAを含有することを特徴とする組み換えベクター。
(9) 上記(8)に記載の組み換えベクターが導入されていることを特徴とする、形質転換体。
上記DNAポリメラーゼは、小サブユニットとインテイン配列を含有しない大サブユニットとからなる耐熱性ヘテロテトラマー酵素であって、DNAポリメラーゼ活性に加えて3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。また、この酵素は、プライマー長依存性の伸長活性を有し、プライマー長が30merを越えると、伸長活性がより高まるという特性を有する。この小サブユニットとインテイン配列を削除した大サブユニットからなるDNAポリメラーゼは、本発明者等の先の出願(特願2000−116257(特開2001−299348号公報)に記載され、このインテイン配列が除去された酵素自体は公知である。
クランプ(PCNA)は、クランプ(PCNA)の遺伝子をPCR反応で増幅し抽出した後、蛋白質発現プラスミド等のベクターに挿入、そのプラスミドを大腸菌等の宿主微生物に組み込み、該宿主微生物を培養し、クランプ(PCNA)を産生させ、産生されたクランプ(PCNA)を加熱処理およびカラムクロマトグラムで単離精製することにより得られる。精製されたPCNAは、分子量28kDaのサブユニットからなるホモトライマーであることが明らかとなった。該サブユニットのアミノ酸配列及びその遺伝子の塩基配列は、それぞれ配列番号8及び7に示される。
さらに、本発明のRFC(クランプローダー)は、クランプをDNAにロードする際にエネルギー源としてアデノシン−三リン酸(ATP)を要求せず、本発明の上記ヘテロテトラマーDNAポリメラーゼにPCNA及びRFCを共存させた酵素反応系は、DNAの合成において、クランプをDNAにロードする際にエネルギー源としてアデノシン−三リン酸(ATP)を添加する必要がなく、また、そればかりかATPは、高塩濃度下において、これらDNA転写因子のDNAポリメラーゼ賦活化作用を阻害する点でも、特徴的である。
(1)菌の培養
JCM9974は次の方法で培養した。
13.5gの食塩、4gのNa2SO4, 0.7 gのKCl, 0.2g のNaHCO3 、0.1gのKBr、30 mg のH3BO3、10gのMgCl2・6H2O、1.5g のCaCl2 、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリン溶液(0.2g/L),1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプトンを1Lに溶かし、この溶液のpHを6.8に調整し加圧殺菌した。ついで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%となるように加え、この培地をアルゴンで飽和して嫌気性とした後、JCM9974を植菌した。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色しないことにより確認した。この培養液を95℃で2〜4日培養し、その後遠心分離し集菌した。
JCM9974の染色体DNAは以下の方法により調製した。培養終了後5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌する。菌体を10mM Tris (pH 7.5) 1mM EDTA 溶液で2回洗浄後InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入する。このブロックを1%N-lauroylsarcosine, 1mg/mlプロテアーゼK溶液中で処理することにより、染色体DNAはAgaroseブロック中に分離調製される。
上記(2)で得られた染色体DNAを制限酵素HindIIIにより部分分解後アガロースゲル電気泳動により約40kb長の断片を調製した。このDNA断片と制限酵素HindIIによって完全分解したBacベクターpBAC108L及びpFOS1とをT4リガーゼを用いて結合させた。前者のベクターを用いた場合には結合終了後のDNAをただちに大腸菌内へ電気孔窄法により導入した。後者のベクターpFOS1を用いた場合には結合終了後のDNAをGIGA Pack Gold (ストラタジーン社製)により試験管内でλファージ粒子内に詰め込み、この粒子を大腸菌に感染させることによりDNAを大腸菌内に導入した。これらの方法により得られた抗生物質クロラムフェニコール耐性の大腸菌集団をBAC及びFosmidライブラリーとした。ライブラリーからJCM9974の染色体をカバーするのに適したクローンを選択して、クローンの整列化を行った。
整列化されたBAC或いはFosmidクローンについて順次以下の方法で塩基配列を決定していった。大腸菌より回収した各BAC或いはFosmidクローンのDNAを超音波処理することにより断片化し、アガロースゲル電気泳動により1kb及び2kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラスミドベクターpUC118のHincII制限酵素部位に挿入したショットガンクローンを各BAC或いはFosmidクローン当たり500クローン作製した。各ショットガンクローンの塩基配列をパーキンエルマー、ABI社製自動塩基配列読み取り装置373または377を用いて決定していった。各ショットガンクローンから得られた塩基配列を塩基配列自動連結ソフトSequencherを用いて連結編集し、各BAC或いはFosmidクローンの全塩基配列を決定していった。
上記で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配列の大型計算機による解析を行い、DNAポリメラーゼの大サブユニットをコードする遺伝子(図1中下線部はインテイン配列、配列番号1)、小サブユニットをコードする遺伝子(配列番号5)、クランプ(PCNA) をコードする遺伝子(配列番号7)、クランプローダー(RFC)を構成する大サブユニットをコードする遺伝子(配列番号9)、クランプローダー(RFC)を構成する小サブユニットをコードする遺伝子(図3中下線部はインテイン配列、配列番号11)が同定された。
(1)DNAポリメラーゼD小サブユニット発現プラスミドの構築
小サブユニット構造遺伝子(配列番号5)領域の前後に制限酵素(NdeIとBamHI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。
上部プライマー: PolS1; 5'-TTTTGTCGACGTACATATGGATGAATTCGTAAAG-3' (下線部はNdeIサイトを示す。)(配列番号15)
下部プライマー: PolS2; 5'-TTTTGAGCTCTTTGGATCCTTAGAAGCTCCATCAGCACCACCT-3' (下線部はBamHIサイトを示す。)(配列番号16)
PCR反応後、制限酵素(NdeIとBamHI)で完全分解(37℃で2時間)した後、その構造遺伝子を精製した。さらに、pET11a或いはpET15b(Novagen社製)を制限酵素NdeIとBamHIで切断・精製した後、上記の構造遺伝子とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した。連結したDNAの一部を大腸菌E. coli XL1-BlueMRF’ のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーから発現プラスミドをアルカリ法で精製した。得られた発現プラスミドは各々pET11a/PolS或いはpET15b/PolSと略記された。構造遺伝子上にランダム変異が無い事はDNAシーケンスイングにより確認された。
大サブユニット遺伝子は2段階でpGEMEX-1ベクター(プロメガ社製)にクローニングされた。前半部のDNA断片は以下の二つのプライマーを用い、PCR法で得た。
上部プライマー: PolL1; 5'-CTCGACTTTAGCATATGGCTCTGATGGAGC-3' (下線部はNdeIサイトを示す。)(配列番号17)
下部プライマー: PolL2; 5'-GCTTGTCGACGCCATAAACTTTGACATTATCCATTGCGCGCTTAAGCAAC-3'(下線部はSalIサイトを示す。)(配列番号18)
このPCR産物はNdeIとSalIで完全消化された後、pGEMEX-1ベクターにクローニングされ、pGEM/PolL1-2と略記された。
後半部のDNA断片は以下の二つのプライマーを用い、PCR法で得た。
上部プライマー: PolL3; 5'-TTTATGGCGTCGACAAGCTGAAGG-3'(下線部はSalIサイトを示す。)(配列番号19)
下部プライマー: PolL4; 5'-TATAACTTATGCATTGTGGTTATTTCGCTGAGAAG-3'(下線部はNsiIサイトを示す。)(配列番号20)
このPCR産物はSalIとNsiIで完全消化された後、先に調製したpGEM/PolL1-2にクローニングされ、完全長の大サブユニット遺伝子を含むpGEM/PolLを得た。
図1に示すようにP. horikoshiiのDNAポリメラーゼDの大サブユニット遺伝子の中にはインテイン(蛋白質性のイントロンをコードする)が一つ含まれるので、プライマーPolL3とPolL6を用いたPCR法でインテインの上流のDNA断片を増幅し、プライマーPolL5とPolL4を用いたPCR法でインテインの下流のDNA断片を増幅した。この2断片とプライマーPolL3とPolL4を用い、インテインの除かれたDNA断片をオーバーラップPCRで増幅した。次にこの産物を制限酵素SalIとNsiIで完全消化された後、先に調製したpGEM/PolL1-2にクローニングされ、インテインの除かれた大サブユニット遺伝子(配列番号3)を含むpGEM/PolL(-Intein)を得た。
PolL5: 5'-CACGCTGCAAAGAGGAGAAATTGCGATGGTGATGAAGATGCT-3'(配列番号21)
PolL6: 5'-AGCATCTTCATCACCATCGCAATTTCTCCTCTTTGCAGCGTG-3'(配列番号22)
当該ヘテロテトラマーDNAポリメラーゼDの安定した生産を図る為に両サブユニットを共発現するプラスミドの構築を行った。まず、pET15b/PolSのBamHIサイトの直上流域に新しいマルチクローニングサイトを導入する為にプライマーPolS1とPolS3を用いPCR反応を行った。なお、下記のようにPolS3には5'-末端より順番にBamHI、NsiI、SalI、SacIIサイトがコードされている。PCR産物をNdeIとBamHI処理し、pET15bに挿入することにより、小サブユニットの終止コドンとBamHIサイトの間にマルチクローニングサイトを含むpET15b/PolS(M)を造成した。
PolS3: 5'-CGGGATCC ATGCATGGTCGACACCGCGGTCAGCACCACCTACTAAAGTCGAG-3'(下線部は5'-末端より順番にBamHI、NsiI、SalI、SacIIサイトを示す。)(配列番号23)
PolL7: 5'-GGTGTCCGCGGCTCACTATAGGGAGACCAC-3'(下線部はSacIIサイトを、太字はpGEMEX-1ベクターのリボソーム結合サイトを示す。)(配列番号24)
クランプ(PCNA) 発現プラスミドの構築
PCNA構造遺伝子(配列番号7)領域の前後に制限酵素(NdeIとXhoI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。
上部プライマー: PCNA1; 5'-GGGGGCATATGCCATTCGAAATAGTCTTTGAGGG-3' (下線部はNdeIサイトを示す。)(配列番号25)
下部プライマー: PCNA2; 5'-GGGGGCTCGAGTCACTCCTCAACCCTTGG-3' (下線部はXhoIサイトを示す。)(配列番号26)
(1)クランプローダー(RFC)を構成する小サブユニット発現プラスミドの構築
図3に示すようにP. horikoshiiのクランプローダーを構成する一方のサブユニット遺伝子(RFCS)の中にはインテイン(蛋白質性のイントロンをコードする;図3中下線部)が一つ含まれるので、プライマーRFCS1とRFCS3を用いたPCR法でインテインの上流のDNA断片を増幅し、プライマーRFCS4とRFCS2を用いたPCR法でインテインの下流のDNA断片を増幅した。この2断片とプライマーRFCS1とRFCS2を用い、インテインの除かれたDNA断片をオーバーラップPCRで増幅した。次にこの産物を制限酵素NdeIとBamHIで完全消化された後、その構造遺伝子(配列番号13)を精製した。さらに、pET11a(Novagen社製)を制限酵素NdeIとBamHIで切断・精製した後、上記の構造遺伝子とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した。連結したDNAの一部を大腸菌E. coli XL1-BlueMRF’のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーから発現プラスミドをアルカリ法で精製した。得られた発現プラスミドはpET11a/RFCSと略記された。
RFCS2: 5'-GGGGGATCCTCACTTCTTCTTTCCAACTAAGGTAAA-3' (下線部はBamHIサイトを示す。)(配列番号28)
RFCS3: 5'-GCAGGTCCTCCTGGTGTTGGAAAGACTACAGCAGCTTTAGCCCTCTCA-3'(配列番号29)
RFCS4: 5'-TGAGAGGGCTAAAGCTGCTGTAGTCTTTCCAACACCAGGAGGACCTGC-3'(配列番号30)
大サブユニット構造遺伝子(配列番号・・)領域の前後に制限酵素(NdeIとBamHI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。
上部プライマー: RFCL1; 5'-GGGGGGCATATGCCGGATGTTCCATGGATTGAG-3' (下線部はNdeIサイトを示す。)(配列番号31)
下部プライマー: RFCL2; 5'-GGGGGATCCGGGGATGCATGGGGGTCGACCTAATTCTTCTTAATAAAGTCAAAGAGTGTG-3' (下線部はBamHIサイトを示す。)(配列番号32)
次に、共感染によるRFC大小サブユニットの共発現系構築を目的に、大サブユニット遺伝子(RFCL)を、pET系ベクターとcompatibleな(異なった起源のOri配列を有する)pACYCDuet-1(Novagen社製)のマルチクローニングサイト2のNcoIサイトとBamHIサイト間に挿入した。詳しい方法は以下に示す。
RFCL3: 5'-GCAAGGAATGGTGCATGCAAGGAGATGGCG-3' (配列番号33)
RFCL4: 5'-AGCAGCCAACTCAGCTTCCTTTCGGGCTTTGTT-3' (配列番号34)
RFCL5: 5'-CCTGTACTTCTCAATCCAGGGAACATCGGGCAT-3'(配列番号35)
RFCL6: 5'-ATGCCCGATGTTCCCTGGATTGAGAAGTACAGG-3'(配列番号36)
組換え遺伝子の発現
(1) DNAポリメラーゼD
大腸菌(E. coli BL21-CodonPlus(DE3)-RIL, Stratagene社製)のコンピテントセルを融解して、ファルコンチューブに0.1 ml移す。その中に発現プラスミド溶液0.005mlを加え氷中に30分間放置した後42度でヒートショックを30秒間行い、SOC medium 0.9 mlを加え、37度で1時間振とう培養する。その後アンピシリンを含む2YT寒天プレートに適量まき、37度で一晩培養し、形質転換体を得た。
当形質転換体をアンピシリンを含む2YT培地(2リットル)で600nmの吸収が1に達するまで培養した後、IPTG(Isopropyl-b-D-thiogalactopyranoside)を加え30℃でさらに8時間培養した。培養後遠心分離(6,000 rpm,20min)で集菌した。
大腸菌(E. coli BL21-CodonPlus(DE3)-RIL, Stratagene社製)のコンピテントセルを融解して、ファルコンチューブに0.1 ml移す。その中に発現プラスミド溶液0.005mlを加え氷中に30分間放置した後42度でヒートショックを30秒間行い、SOC medium 0.9 mlを加え、37度で1時間振とう培養する。その後アンピシリンを含む2YT寒天プレートに適量まき、37度で一晩培養し、形質転換体を得た。この形質転換体をE. coli BL21-CodonPlus(DE3)-RIL/pET11a’/PCNAと命名して独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市東1丁目13)に平成18年5月12日に寄託し、寄託番号FERM P-20911を与えられた。
当形質転換体をアンピシリンを含む2YT培地(2リットル)で600nmの吸収が0.5に達するまで培養した後、IPTG(終濃度0.5 mM)を加え37℃でさらに4時間培養した。培養後遠心分離(6,000 rpm,20min)で集菌した。
2種の発現ベクターの共感染によるRFC大小サブユニットの共発現を行った。まず、大腸菌(E. coli BL21 (DE3), Stratagene社製)のコンピテントセルを融解して、ファルコンチューブに0.1 ml移す。その中に発現プラスミドpET11a/RFCS溶液0.005mlを加え氷中に30分間放置した後42度でヒートショックを30秒間行い、SOC medium 0.9 mlを加え、37度で1時間振とう培養する。その後アンピシリンを含む2YT寒天プレートに適量まき、37度で一晩培養し、形質転換体E. coli BL21 (DE3)/pET11a/RFCSを得る。さらに、この形質転換体をCaCl2処理し、コンピテントセルを調整する。その中に発現プラスミドpACYC/RFCL溶液0.005mlを加え氷中に30分間放置した後42度でヒートショックを30秒間行い、SOC medium 0.9 mlを加え、37度で1時間振とう培養する。その後、2種の抗生物質、アンピシリンとクロラムフェニコール(終濃度が各々100 ・g/mlと50 ・g/ml)を含む2YT寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体E. coli BL21 (DE3)/pET11a/RFCS/pACYC/RFCLを得た。この形質転換体を独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市東1丁目13)に平成18年5月12日に寄託し、寄託番号FERM P-20912を与えられた。
組換えタンパク質の精製
(1)耐熱性DNAポリメラーゼD
集菌した菌体を-20℃で凍結し、融解後に2倍量の10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)と1 mgのDNaseを加え懸濁液を得た。得られた懸濁液を37℃で30分保温した後、10分間超音波照射した。さらに85℃で30分加熱後、遠心分離(11,000 rpm、20分)し上澄液を得た。これを粗酵素液とした。次にこの粗酵素液をNi-カラム(Novagen, His・Bind metal chelation resin & His・Bind buffer kitを使用)に添加し、親和性クロマトグラムを行った。ここで得られた60mMイミダゾール流出画分をセントリプレップ30(アミコン社)で100mMリン酸緩衝液(pH6.0)に置換した。さらに、これをHiTrap SP(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、NaCl濃度勾配による溶出を行った。次に、各画分のSDS-電気泳動を行い、含まれるタンパク質の分子量を測定した。遺伝子配列より当該DNAポリメラーゼのサブユニットの分子量は144,000 Daと70,000 Daと予測されたので、この分子量のタンパク質を含む画分を集め、セントリプレップ30を用い50 mMトリス塩酸緩衝液(pH7.0)へ置換した。これをさらに次の親和性クロマトグラム、HiTrap ヘパリン(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、NaCl濃度勾配による溶出を行い精製酵素を得た。
集菌した菌体を-20℃で凍結し、融解後に2倍量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0), 0.1M NaCl, 2mM 2-メルカプトエタノール, 0.1mM EDTA, 10% グリセロールを加え懸濁液を得た。これを超音波照射し、遠心分離(30000g、20分)により上澄液を得た。さらに75℃で15分加熱後、遠心分離(30000g、20分)し、上澄液を得た。これを80℃で10分加熱後、遠心分離で上澄液を得た。次に、Poly(ethylenimine)(シグマ社製)とNaClを各々終濃度0.15%と0.58Mまで加え、4℃で30分撹拌した。これを遠心分離(30000g、20分)し、その上澄液に(NH4)2SO4を80%飽和まで加えた。氷上で2時間撹拌後、遠心分離(30000g、20分)で沈澱を回収し、これを50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0), 0.1M NaCl, 2mM 2-メルカプトエタノール, 0.1mM EDTA, 10% グリセロールで溶解した。同緩衝液で透析後、サンプルを50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化された陰イオン交換カラム、HiTrapQ (アマシャムファルマシア社製、5ml)に添加し、同緩衝液中、0 - 1M NaCl濃度勾配で溶出した。さらに、これを50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0), 0.2M NaClで平衡化したSuperdex 200カラム (10/300、アマシャムファルマシア社製)に添加し、同緩衝液で溶出し、精製PCNAを得た。
集菌した菌体を-20℃で凍結し、融解後に2倍量のプロテアーゼ阻害剤(Complete, EDTA-free, ロッシュ社製)を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)を加え懸濁液を得た。これをフレンチプレスで細胞破砕し、75℃で15分加熱後、遠心分離(30000g、20分)し、上澄液を得た。これを50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化したHiTrap heparinカラム (アマシャムファルマシア社製、5ml)に添加し、同緩衝液中、0 - 1M NaCl濃度勾配で溶出した。この溶出分画をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で分析し、大小サブユニットから構成されるRFC複合体の溶出ピークを同定した。さらにこの溶出ピークフラクションを集め、Ni-カラム(Novagen, His・Bind metal chelation resin & His・Bind buffer kitを使用)に添加し、親和性クロマトグラムを行った。ここで得られた200mMイミダゾール流出画分をセントリプレップ30(アミコン社)で濃縮した。これを50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0), 0.2M NaClで平衡化したSuperdex 200カラム (10/300、アマシャムファルマシア社製)に添加し、同緩衝液で溶出し、精製RFC複合体を得た。
DNAポリメラーゼ反応系の検定
(1)試験条件
(a)PCR反応
当該DNAポリメラーゼDの活性検出を目的に、前記の2種のDNAオリゴマー(Upper primerとLower primer)と当該DNAポリメラーゼの小サブユニットをコードする発現ベクターpET15b/PolSを鋳型DNAとしてPCR反応を行った。反応温度条件は1サイクルが3ステップ(94℃:1分、61℃:2分、70℃:3分)からなり、35サイクルを繰り返した。反応液組成(100μl)は20 mMトリス塩酸緩衝液(pH8.8),10 mM KCl, 4 mM MgSO4, 0.1% Triton X-100, 0.375 mM dNTP mix, 100 pmol Upper primer, 100 pmol Lower primer, 0.1 μg DNAポリメラーゼであった。
DNA合成反応はKornbergらの方法(1、2)に従った。反応液組成(200 ml)は20 mMトリス塩酸緩衝液(pH8.8),10 mM KCl, 10 mM (NH4)2SO4, 2 mM MgSO4, 0.1% Triton X-100, 0.25 mM dNTP mix, 0.37 Mbq の(a-32P) dATP, 20 mg の加熱急冷処理サケ精巣DNA, 0.1 mg の DNAポリメラーゼであった。反応は75℃で30分間行い、反応後これに0.5 mgの氷冷サケ精巣DNAを加え、500 mlの氷冷1N過塩素酸と500mlの氷冷水を添加し、酸不溶性画分を遠心分離(9000xg 5分間)で得た。この沈殿を300mlの0.2N NaOHに溶解し、再度300μl の氷冷1 N過塩素酸と300 mlの氷冷水を加え、遠心分離で酸不溶性画分を得た。この沈殿を1 mlの1 N酢酸で洗浄し、遠心分離後沈殿を0.4 mlの2 Nアンモニア水に溶解し、この放射活性をCherenkov効果で液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。また、75℃の30分間の合成反応に於て10 nmolのdNTPを取り込む酵素量を1単位( Unit)と規定する。
至適pHは、上記測定条件における反応温度を75℃に固定し、酵素反応液のpHを酸性域はリン酸緩衝液を、アルカリ域はトリス塩酸緩衝液を用いpH5.8から9.5まで変化させ、酸不溶性画分への放射活性の取り込みにより決定された。
至適Mg2+濃度は上記DNA合成反応で反応温度を75℃に固定し、Mg SO4濃度を0 mMから20 mMまで変化させ、酸不溶性画分への放射活性の取り込みにより決定された。
加熱処理用の酵素液(100μl )は20 mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0 at 25 ℃), 500mM NaCl, 10 mM MgSO4と0.1 mg/ml濃度の当該酵素を含む。これをGeneAmp PCR System 2400
(Perkin Elmer) で60℃から95℃まで1時間加熱処理し、残存活性を上記DNA合成反応を用い、酸不溶性画分への放射活性の取り込みで測定した。
プライマー伸長活性は以下のように測定された。M13ファージ一本鎖DNA(0.2 mg)と32Pで5'-ラベル化された0.5 pmol のプライマー(15mer, 34mer, 50mer)を各々20 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.5)中でアニールさせ、10mM MgCl2存在下、0.05 UnitのDNAポリメラーゼを加え、75℃で反応させた。反応は2分後、10分後に、Stop液を加える事で停止させた。反応産物は8M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分析された。
32Pで5'-ラベル化された50merのプライマー(0.5 pmol )を用いて3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を測定した。反応液は20μl 反応液中に20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)、12mM MgCl2、4ngのラベル化DNAを含み、これに0.05 UnitのDNAポリメラーゼを加え、75℃で反応させた。反応は30分後に、Stop液を加える事で停止させた。反応産物は8M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分析された。
RFC複合体とPCNAとの結合活性を以下のように調べた。PCNA 400pmolと RFC複合体400pmol を100mlの反応液中(10mM MgCl2, 0.5M NaCl, 所定濃度のATPを含む)で混和し、室温で20分保持する。これに40mlの Ni2+-chilating resinを加え、室温で10分振とう撹拌する。その後、5000gで30秒遠心し、樹脂を沈澱として回収する。これを200mlの0.5M NaCl、10mM MgCl2、5mM imidazole を含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で4回洗浄し、40mlの0.5M NaCl、10mM MgCl2、500mM imidazole を含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で目的タンパク質複合体を溶出した。溶出サンプルのタンパク質組成はSDS-PAGEで分析した。
DNAポリメラーゼDの基質となるprimed substrateの調整法を以下に述べる。まずPrimerとなる51mer オリゴヌクレオチド(5'-GTAACGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAAGGACGGCCAGTGCC-3’(配列番号37))の5’端を32Pでラベル化した。20mlの反応液中には1xキナーゼ緩衝液(Toyobo社製)、20pmol 上述51merオリゴヌクレオチド、6ml g-32P ATP (3000Ci/mmol)、2ml T4 Kinaseが含まれる。これを37℃で3時間反応させ、その後、95℃で3分加熱処理し、32P-ラベル化オリゴヌクレオチドをQIAquick Nucleotide Removal Kit (QIAGEN社製)で精製した。次に、100mlの1 x M buffer(Toyobo社製)中で2 nmolのM13 ssDNAと4 pmolの32Pラベル化51merオリゴヌクレオチドを混ぜて、5分煮沸し、室温まで自然放熱することによりアニーリングさせた。
20 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.8)
10 mM KCl
10 mM (NH4)2SO4
0.1% Triton X-100
6 mM MgSO4
0.25 mM dNTPs
400 ng DNAポリメラーゼ
2 mg PCNA
2 mg RFC複合体
0.04 pmol 32Pラベル化primedM13 ssDNA
50-200 mM NaCl
10 mM ATP
(a)DNAポリメラーゼDの諸性質
1)タンパク質化学的性質
当該酵素の大サブユニットはインテイン除去前と除去後では各々1434アミノ酸残基と1268アミノ酸残基より構成され、その分子量は各々163,000 Daと144,000 Daである。小サブユニットは623アミノ酸残基より構成され、その分子量は70,000 Daである。
各サブユニットを単独発現させると極めて不安定で、安定的高発現は不可能である。そこで共発現系を構築する事にした。これにより活性型酵素の高発現が可能になり、物理化学的性質の解析と熱安定化機構の解明を行う事ができた。
大腸菌組み換え体からの粗酵素液を用いて、DNA合成活性を調べた。表1に示す様に、サブユニット単独では活性は検出されない。また、小サブユニットとインテインが含まれた大サブユニットとの組み合わせでも非活性であった。以上の結果より、小サブユニットとインテインが除去された大サブユニットからなるヘテロダイマー構造が活性発現に必須であることが明かとなった。さらに、小サブユニットとインテインを除去した大サブユニットからなるヘテロダイマー酵素pET15b/PolSL(-Intein)を精製し、精製酵素(0.1μg)と10 mM MgSO4を用い、DNA合成活性を調べた。酵素添加系では非添加系に較べ175倍以上の放射活性の上昇を検出した。次に当該精製酵素を用い、PCR反応を行った結果、目的DNAフラグメントと同じ長さ(1.9 kb)の増幅反応産物をアガロースゲル電気泳動で確認した。また、当該酵素を含まない反応系では PCR反応産物は検出されなかった。さらに、以上の事実より、小サブユニットとインテインが除去された大サブユニットからなる当該ヘテロダイマーDNAポリメラーゼDは十分活性であることが明らかになった。
大腸菌組み換え体からの粗酵素液(2ml)を用いたDNA合成活性の検出
酵素源 活性(CPM)
負コントロール(蒸留水のみ) 2,567
pET15b/PolS 1,181
pGEM/PolL 4,777
pGEM/PolL(-Intein) 3,827
pET15b/PolSL 3,237
pET15b/PolSL (-Intein) 12,323
陽コントロール(Deep Vent polymerase, 1unit) 86,189
75℃で至適pHは8.5であった(図5)。
5)至適Mg2+濃度
本酵素の至適Mg2+濃度は12 mMであった(図6)。
6)熱安定性
図7に示すように、当該酵素は85℃、1時間の加熱処理でも50%の活性を保持していた。さらに、90℃、1時間の加熱処理でも20%の活性を有した。
図8に示すように本酵素は15merプライマーでは伸長活性が検出されなかったが、プライマー長が34mer、50merと伸びるに従い、強いプライマー伸長活性が認められた。この様なプライマー伸長活性のプライマー長依存性は他のDNAポリメラーゼでは報告されていない。
図9に示すように本酵素は50merのオリゴヌクレオチドに対し強い3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を示した。以上の事から当該酵素は、分子量144kDaと70kDaの二つのサブユニットからなるヘテロダイマータンパク質で、DNAを鋳型とし、相補鎖を合成し、3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性を保持するDNA依存性DNAポリメラーゼであることがわかった。
PCNAは大腸菌組換え体で大量発現され、大部分の大腸菌タンパク質の加熱処理除去、ポリエチレンイミンでの除核酸、硫安沈澱での濃縮、陰イオン交換クロマトグラム、ゲルろ過カラムクロマトで完全に精製された。図10に示すように、SDS-PAGEで見積もられたPCNAサブユニットの見かけの分子量は遺伝子から予測される分子量28kDaと一致した。また、精製標品のゲルろ過カラムクロマトの溶出位置からNative体の分子量は110kDaと予測され、ホモトライマーであることが明らかになった。
1)RFC複合体のSDS-PAGE。
RFC複合体は大腸菌組換え体で大量発現され、大部分の大腸菌タンパク質の加熱処理除去、ヘパリンを用いた親和性カラムクロマト、大サブユニットのアミノ末端に存在するヒスチジンタグに対するニッケルレジン親和性カラムクロマト、ゲルろ過カラムクロマトで完全に精製された。図11に示すように、SDS-PAGEで見積もられたRFC複合体の大(L)小(S)サブユニットの見かけの分子量は60kDaと36kDaであり、遺伝子から予測される分子量54kDaと38kDaとほぼ一致した。また、大小サブユニットのタンパク質バンドの色素結合強度から、大小サブユニットのモル比が1:4と計算され、Native体はヘテロペンタマーであることが分かった。
図12にRFC複合体のヒスチジンタグとニッケルレジンを用いて、RFC複合体に結合したPCNAをpull downし、SDS-PAGEで分析した結果を示した。その結果、RFC複合体とPCNAは各々活性体として精製され、相互を認識し結合活性を有することが明かとなった。また、この結合はATPに依存しないことが明らかになった。
図13に示すように、DNAポリメラーゼDは単独では200mM NaCl存在下ではDNAポリメラーゼ活性を発現することはできないが、PCNAが加わると0.75 kbまでDNA合成を行なうことが明らかになった。一方、200mM NaCl存在下で、DNAポリメラーゼDにRFC複合体とPCNAが加わると、M13ssDNAの相補鎖全長(7.2 kb)を60℃で5分間で合成できることが明らかになった。この際、ATPの添加は不必要で、逆に10 mM ATPが存在すると、RFC複合体とPCNAによる高塩濃度下でのDNAポリメラーゼの腑活化効果が著しく阻害されることが明らかになった。
以上の結果から、ヘテロテトラマーDNAポリメラーゼにPCNAとRFCを共存させると、非共存時と比較し、高食塩濃度下で顕著に本DNAポリメラーゼのプライマー伸長活性を増強できることが明らかになった。
Claims (9)
- デオキシヌクレオチド三リン酸を酵素基質として、DNAポリメラーゼによりプライマーDNAを伸長させて、鋳型DNAと相補のDNAを合成する方法であって、酵素反応系が、パイロコッカス・ホリコシ由来のDNAポリメラーゼを有し、かつ以下のa)及びb)のタンパク質複合体を含むことを特徴とする、DNAの合成方法。
a)3分子のサブユニットからなり、かつ、クランプ機能を有するタンパク質複合体であって、該サブユニットが配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体
b)大サブユニット1分子と小サブユニット4分子からなり、かつ、クランプローダー機能を有するタンパク質複合体であって、大サブユニットが配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であり、小サブユニットが配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体。
- 上記酵素反応系がATPを含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
- 上記酵素反応系が、0〜200mM/L濃度の食塩を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の合成方法。
- パイロコッカス・ホリコシ由来のDNAポリメラーゼを有し、かつ以下のa)及びb)のタンパク質複合体を含むことを特徴とする、DNA合成試薬キット。
a)3分子のサブユニットからなり、かつ、クランプ機能を有するタンパク質複合体であって、該サブユニットが配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体
b)大サブユニット1分子と小サブユニット4分子からなり、かつ、クランプローダー機能を有するタンパク質複合体であって、大サブユニットが配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であり、小サブユニットが配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質からなる、上記タンパク質複合体。
- PCRに使用するものであることを特徴とする、請求項4に記載のDNA合成試薬キット。
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であって、請求項1、b)に記載の大サブユニットとタンパク質複合体を形成したとき、クランプローダー機能を有するタンパク質。
- 請求項6に記載のタンパク質をコードするDNA。
- 請求項7に記載のDNAを含有することを特徴とする組み換えベクター。
- 請求項8に記載の組み換えベクターが導入されていることを特徴とする、形質転換体。
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