しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用フード装置による場合、コントローラを使って自動的に解除ユニット208を作動させる構成であるため、歩行者との接触によりコントローラ等の電気系統にトラブルが発生していた場合には、解除できないという不具合がある。
また、特許文献2に記載された跳ね上げ式フードによる場合、フードが完全にリフトアップする直前にシリンダの高圧ガス室の密封栓を取り外すものの、高圧ガス室の内圧以上の荷重がフードにかからなければ、フードは下降しない。このため、フードをリフトアップさせた後のフードの復帰機構としては確実性に欠ける。
本発明は上記事実を考慮し、フードをリフトアップさせた後に手動で確実にフードを概ね元の状態に復帰させることができるアクティブフード装置を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係るアクティブフード装置は、車体の所定位置に配置されると共に作動対象との接触時又は作動対象との接触予測時に作動するアクチュエータと、このアクチュエータと連結されると共に複数のリンクによって構成され、アクチュエータが作動することによりフードの周縁部をリフトアップさせるリンク機構と、を含んで構成されたアクティブフード装置であって、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことにより前記リンク機構のリフトアップ状態を解除し前記リンク機構によるリフトダウン動作を可能とする解除手段を備え、前記解除手段は、前記アクチュエータが作動することにより移動して前記リンク機構をリフトアップ状態にさせる移動部材に連結されると共に当該移動部材と一体に移動し、アクチュエータの非作動時にはアクチュエータを車体の所定位置に固定する固定具を覆って手動による当該固定具の取外し操作を不可能とし、前記アクチュエータの作動時には移動部材が移動することにより前記解除操作である手動による当該固定具の取外し操作を可能とするカバー体である、ことを特徴としている。
請求項2記載の本発明に係るアクティブフード装置は、車体の所定位置に配置されると共に作動対象との接触時又は作動対象との接触予測時に作動するアクチュエータと、このアクチュエータと連結されると共に複数のリンクによって構成され、アクチュエータが作動することによりフードの周縁部をリフトアップさせるリンク機構と、を含んで構成されたアクティブフード装置であって、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことにより前記リンク機構のリフトアップ状態を解除し前記リンク機構によるリフトダウン動作を可能とする解除手段を備えていると共に、前記リンク機構を構成する複数のリンクのうち前記アクチュエータとフードヒンジとを相対回転可能に連結するリンクが分割されており、さらに、前記解除手段は、リフトアップ時には分割されたリンク相互間の連結状態を維持し、リフトアップ後に前記解除操作である手動にてフードパネルをフード幅方向へ押圧する操作又は締結解除操作を行うことにより当該分割されたリンク相互間の連結状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする連結具である、ことを特徴としている。
請求項3記載の本発明に係るアクティブフード装置は、車体の所定位置に配置されると共に作動対象との接触時又は作動対象との接触予測時に作動するアクチュエータと、このアクチュエータと連結されると共に複数のリンクによって構成され、アクチュエータが作動することによりフードの周縁部をリフトアップさせるリンク機構と、を含んで構成されたアクティブフード装置であって、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことにより前記リンク機構のリフトアップ状態を解除し前記リンク機構によるリフトダウン動作を可能とする解除手段を備えていると共に、前記アクチュエータからは当該アクチュエータが作動することにより軸方向移動するロッドが突出した状態で配置されており、当該ロッドの先端部には前記リンク機構の入力リンクの端部をロッドの軸方向に押圧する連結部材が固定されており、更に当該ロッドは分割されており、前記解除手段は、リフトアップ時には分割されたロッド相互間の連結状態を維持し、リフトアップ後に手動にて前記解除操作である工具を使った除去操作又は締結解除操作を行うことにより当該分割されたロッドの連結状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする連結具である、ことを特徴としている。
請求項4記載の本発明に係るアクティブフード装置は、車体の所定位置に配置されると共に作動対象との接触時又は作動対象との接触予測時に作動するアクチュエータと、このアクチュエータと連結されると共に複数のリンクによって構成され、アクチュエータが作動することによりフードの周縁部をリフトアップさせるリンク機構と、を含んで構成されたアクティブフード装置であって、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことにより前記リンク機構のリフトアップ状態を解除し前記リンク機構によるリフトダウン動作を可能とする解除手段を備えていると共に、前記アクチュエータからは当該アクチュエータが作動することにより軸方向移動するロッドが突出した状態で配置されており、当該ロッドの先端部には前記リンク機構の入力リンクの端部をロッドの軸方向に押圧する連結部材が締結により固定されており、さらに、前記解除手段は、リフトアップ時にはロッドと連結部材との締結固定状態を維持し、リフトアップ後に手動にて前記解除操作である工具を使った締結解除操作を行うことにより当該ロッドと連結部材との締結による固定状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする連結具である、ことを特徴としている。
請求項5記載の本発明に係るアクティブフード装置は、請求項3又は請求項4記載の発明において、前記ロッドの移動方向の所定位置には当該ロッドを軸方向移動後の位置に保持しつつ当該ロッドの軸線回りの回転を許容するロック機構が配設されており、前記分割されたロッド相互間の連結或いは前記ロッドと前記連結部材との連結は、当該ロッドの軸線回りの回転動作を利用した螺合によって成されている、ことを特徴としている。
請求項6記載の本発明に係るアクティブフード装置は、車体の所定位置に配置されると共に作動対象との接触時又は作動対象との接触予測時に作動するアクチュエータと、このアクチュエータと連結されると共に複数のリンクによって構成され、アクチュエータが作動することによりフードの周縁部をリフトアップさせるリンク機構と、を含んで構成されたアクティブフード装置であって、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことにより前記リンク機構のリフトアップ状態を解除し前記リンク機構によるリフトダウン動作を可能とする解除手段を備えていると共に、前記解除手段は、前記リンク機構を構成する複数のリンクのうちの特定のリンクの所定位置に設定された脆弱部と、この脆弱部の設定部位に取外し可能に装着されると共に装着された状態では当該脆弱部を補強する補強部材と、によって構成されており、さらに、リフトアップ後に手動にて前記解除操作である補強部材の取外し操作並びに前記脆弱部への打撃操作を行うことにより、リンク機構によるリフトダウン動作を可能とする、ことを特徴としている。
請求項1記載の本発明によれば、作動対象と接触すると又は作動対象との接触が予測されると、アクティブフード装置のアクチュエータが作動される。アクチュエータが作動すると、リンク機構によってフードの周縁部がリフトアップされる。
ここで、本発明では、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことにより、解除手段によってリンク機構のリフトアップ状態が解除されてリンク機構によるリフトダウン動作が可能となる。従って、例えば、作動対象との接触時の影響で、電気系統にトラブルが発生してフードを元の状態に復帰させることができないといった事態は生じない。従って、フードのリフトアップ後のドライバの下方視界を確実に確保することができる。
より具体的には、本発明によれば、解除手段がアクチュエータを車体の所定位置に固定する固定具を覆うカバー体によって構成されている。このカバー体は、アクチュエータが作動することにより移動してリンク機構をリフトアップ状態にさせる移動部材に連結されており、当該移動部材と一体に移動するようになっている。このため、アクチュエータの非作動時には移動部材が移動しないため、アクチュエータ固定用の固定具はカバー体によって覆われ、手動による固定具の取外し操作が出来ない状態にある。従って、アクチュエータを固定している固定具が、不用意に取り外されることはない。一方、アクチュエータが作動すると、これに伴って移動部材が移動するため、カバー体も移動部材と一体に移動する。これにより、手動による当該固定具の取外し操作が可能となる。従って、固定具を取り外すことにより、アクチュエータをボディーから取り外すことができ、リンク機構をリフトダウン状態にさせることができる。
このように本発明によれば、アクチュエータの作動時に移動する移動部材の移動動作を利用する構成であるので、カバー体という部品が増えるものの、アクチュエータ、移動部材、リンク機構等の構成要素には細工をする必要が無い。従って、アクティブフード装置の機能部品の信頼性を検証する必要もなく、比較的容易に構成を成立させることができる。
請求項2記載の本発明によれば、リンク機構を構成する複数のリンクのうちアクチュエータとフードヒンジとを相対回転可能に連結するリンクが分割されている。分割されたリンク相互間の連結状態は連結具によって維持されているため、アクチュエータの作動時には、リンク機構によってフードがリフトアップされる。一方、フードをリフトダウンさせる際には、リフトアップ後に手動にてフードパネルをフード幅方向へ押圧する操作又は締結を解除する操作を行うことにより、連結具による分割されたリンク相互間の連結状態を解除すればよい。これにより、分割されたリンク相互間の連結状態は無くなるので、リンク機構にリフトダウン動作をさせることが可能となる。
このように本発明によれば、リンク機構を構成するリンクを予め分割しておき、アクチュエータの作動時には連結具による連結状態を維持し、アクチュエータの作動後に連結具の連結状態を解除する構成であるため、請求項1のカバー体を設置する構成等と比較して、構成がコンパクトになる。
請求項3記載の本発明によれば、アクチュエータからは、当該アクチュエータが作動することにより軸方向移動するロッドが突出した状態で配置されている。また、ロッドの先端部には、リンク機構の入力リンクの端部をロッドの軸方向に押圧する連結部材が固定されている。さらに、ロッドは分割されている。
ここで、本発明では、分割されたロッド相互間の連結状態は連結具によって維持されているため、アクチュエータの作動時には、ロッドが軸方向移動し、リンク機構によってフードがリフトアップされる。一方、フードをリフトダウンさせる際には、リフトアップ後に手動にて工具を使った除去操作又は締結解除操作を行うことにより、連結具による分割されたロッド相互間の連結状態を解除すればよい。これにより、分割されたロッド相互間の連結状態は無くなるので、リンク機構にリフトダウン動作をさせることが可能となる。
このように本発明によれば、アクチュエータから突出されたロッドを分割しておき、アクチュエータの作動時には連結具による連結状態を維持し、アクチュエータの作動後に連結具の連結状態を解除する構成であるため、請求項1のカバー体を設置する構成等と比較して、構成がコンパクトになる。
請求項4記載の本発明によれば、アクチュエータからは、当該アクチュエータが作動することにより軸方向移動するロッドが突出した状態で配置されている。また、ロッドの先端部には、リンク機構の入力リンクの端部をロッドの軸方向に押圧する連結部材が締結により固定されている。
ここで、本発明では、ロッドと連結部材との固定状態は解除手段によって維持されているため、アクチュエータの作動時には、ロッドが軸方向移動し、リンク機構によってフードがリフトアップされる。一方、フードをリフトダウンさせる際には、リフトアップ後に手動にて工具を使った締結解除操作を行うことにより、ロッドと連結部材との締結による固定状態を解除すればよい。これにより、ロッドと連結部材との固定状態は無くなるので、リンク機構にリフトダウン動作をさせることが可能となる。
このように本発明によれば、アクチュエータから突出されたロッドと連結部材との固定状態を解除手段によって解除することができるようにしたので、請求項1のカバー体を設置する構成等と比較して、構成がコンパクトになる。
請求項5記載の本発明によれば、ロッドの移動方向の所定位置には当該ロッドを軸方向移動後の位置に保持しつつ当該ロッドの軸線回りの回転を許容するロック機構が配設されている。
ここで、本発明では、請求項3に記載された分割されたロッド相互間の連結或いは請求項4に記載されたロッドと連結部材との連結が、ロッドの軸線回りの回転動作を利用した螺合によって成されているため、上記ロッドの構造上の特性(即ち、アクチュエータ作動後は、ロッドの軸方向移動は不可であるが、軸線回りの回転動作は許容されるという特性)を活かすことができる。
このように本発明によれば、ロッドを軸線回りに回転させる螺合動作によって連結状態を解除することができるので、ロッドの径方向寸法の範囲で構成を成立させることができる。従って、装置の更なる小型化に資する。
請求項6記載の本発明によれば、リンク機構を構成する複数のリンクのうちの特定のリンクの所定位置に脆弱部が設定されている。この脆弱部は通常は補強部材が装着されて補強されているため、装置の作動時に必要な剛性は確保される。一方、リフトアップ後にリフトダウンさせる際には、補強部材を取り外せばよい。補強部材を取り外すと、脆弱部が現れるため、備え付けのハンマー等で脆弱部を打撃すれば、そのリンクを簡単に変形させてフードをリフトダウンさせることができる。
このように本発明によれば、打撃という簡単な作業でフードをリフトダウンさせることができる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係るアクティブフード装置は、リフトアップ後に手動による解除操作を行うことによりリンク機構のリフトアップ状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする解除手段を備え、さらに、アクチュエータが作動することにより移動してリンク機構をリフトアップ状態にさせる移動部材に連結されると共に当該移動部材と一体に移動し、アクチュエータの非作動時にはアクチュエータを車体の所定位置に固定する固定具を覆って手動による当該固定具の取外し操作を不可能とし、アクチュエータの作動時には移動部材が移動することにより解除操作である手動による当該固定具の取外し操作を可能とするカバー体によって解除手段を構成したので、フードをリフトアップさせた後に手動で確実にフードを概ね元の状態に復帰させることができ、更に比較的容易に構成を成立させることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係るアクティブフード装置は、リンク機構を構成する複数のリンクのうちアクチュエータとフードヒンジとを相対回転可能に連結するリンクが分割されており、さらに、リフトアップ時には分割されたリンク相互間の連結状態を維持し、リフトアップ後に手動にてフードパネルをフード幅方向へ押圧する操作又は締結を解除する操作を行うことにより当該分割されたリンク相互間の連結状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする連結具によって解除手段を構成したので、フードをリフトアップさせた後に手動で確実にフードを概ね元の状態に復帰させることができ、更に比較的コンパクトに構成を成立させることができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係るアクティブフード装置は、アクチュエータからは当該アクチュエータが作動することにより軸方向移動するロッドが突出した状態で配置されており、当該ロッドの先端部にはリンク機構の入力リンクの端部をロッドの軸方向に押圧する連結部材が固定されており、更に当該ロッドは分割されており、リフトアップ時には分割されたロッド相互間の連結状態を維持し、リフトアップ後に手動にて前記解除操作である工具を使った除去操作又は締結解除操作を行うことにより当該分割されたロッドの連結状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする連結具によって解除手段を構成したので、フードをリフトアップさせた後に手動で確実にフードを概ね元の状態に復帰させることができ、更に比較的コンパクトに構成を成立させることができるという優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係るアクティブフード装置は、アクチュエータからは当該アクチュエータが作動することにより軸方向移動するロッドが突出した状態で配置されており、当該ロッドの先端部にはリンク機構の入力リンクの端部をロッドの軸方向に押圧する連結部材が締結により固定されており、さらに、リフトアップ時にはロッドと連結部材との締結固定状態を維持し、リフトアップ後に手動にて解除操作である工具を使った締結解除操作を行うことにより当該ロッドと連結部材との固定状態を解除しリンク機構によるリフトダウン動作を可能とする連結具によって解除手段を構成したので、フードをリフトアップさせた後に手動で確実にフードを概ね元の状態に復帰させることができ、更に比較的コンパクトに構成を成立させることができるという優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明に係るアクティブフード装置は、請求項3又は請求項4記載の発明において、ロッドの移動方向の所定位置に当該ロッドを軸方向移動後の位置に保持しかつ当該ロッドの軸線回りの回転を許容するロック機構を配設し、分割されたロッド相互間の連結或いはロッドと連結部材との連結を、当該ロッドの軸線回りの回転動作を利用した螺合によって成したので、装置の更なる小型化を図ることができるという優れた効果を有する。
請求項6記載の本発明に係るアクティブフード装置は、リンク機構を構成する複数のリンクのうちの特定のリンクの所定位置に設定された脆弱部と、この脆弱部の設定部位に取外し可能に装着されると共に装着された状態では当該脆弱部を補強する補強部材と、によって解除手段を構成し、さらにリフトアップ後に手動にて解除操作である補強部材の取外し操作並びに脆弱部への打撃操作を行うことにより、リンク機構によるリフトダウン動作を可能とするようにしたので、フードをリフトアップさせた後に手動で確実にフードを概ね元の状態に復帰させることができ、更に解除操作が簡単になるという優れた効果を有する。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図3を用いて、本発明に係るアクティブフード装置の第1実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係るアクティブフード装置10の車両搭載状態の側面図が一部切り欠いた状態で示されている。また、図2には、当該アクティブフード装置10が拡大斜視図にて示されている。さらに、図3には、当該アクティブフード装置10の要部が拡大して示されている。
これらの図に示されるように、アクティブフード装置10は、駆動装置として機能するインフレータ方式のアクチュエータ12と、このアクチュエータ12からの駆動力を受けてフードパネル14をリフトアップさせるリフトアップ機構16と、によって構成されており、フードパネル14の後端部14Aの両サイドにそれぞれ配設されている。
リフトアップ機構16は、取付ベースとして機能するヒンジブラケット18を備えている。ヒンジブラケット18は、略車両前後方向を長手方向として配置された狭幅板状のベース部18Aと、このベース部18Aの中間部の外縁から立ち上げられたガイド部18Bと、このガイド部18Bの後方でかつ更に外側へオフセットした位置から立ち上げられたヒンジ部18Cと、を含んで構成されている。上記構成のヒンジブラケット18は、図示しないボディー(エプロンアッパメンバ)の頂壁部に後述するボルト70、72によって固定されている。さらに、ヒンジブラケット18のガイド部18Bの高さ方向の所定位置には、略車両前後方向を長手方向として直線状かつ長孔状に形成されたガイド20が設けられている。
また、ヒンジブラケット18のヒンジ部18Cには、リンク機構22が軸支されている。リンク機構22は、側面視で略「へ」の字状に形成された第1リンク24と、側面視で直線状に形成された第2リンク26と、第1リンク24の内側に略平行に配置された長尺状のヒンジアーム28と、によって構成されている。
第1リンク24の後端部には、ピン30を中心としてヒンジアーム28の後端部が相対回転可能に連結されている。ヒンジアーム28は鉤状の断面形状を成しており、水平部分が図示しないボルトによってフードパネル14の後端部14Aに固定されている。また、第1リンク24の前端部には、ローラピン32が貫通状態で配置されている。ローラピン32は、第1リンク24の前端部の両側面に回転自在に配置される左右一対のローラ32Aと、これらのローラ32Aの軸芯部に位置し前述したガイド部18B側へ延出されてガイド20内へ挿入されるローラ軸32B(図3参照)と、を備えている。
さらに、第1リンク24の長手方向の略中間部には、第2リンク26の前端部がピン34を中心として相対回転可能に連結されている。第2リンク26の後端部は、ヒンジブラケット18のヒンジ部18Cにピン36を中心として相対回転可能に連結されている。車両への組付状態では、ローラピン32がガイド20の前端部付近に位置されており、第1リンク24の前部と第2リンク26とで高さが低い二等辺三角形の斜辺が形成されるように各リンクが配置されている。
一方、上述したヒンジブラケット18の前部には、細長い円柱形状のアクチュエータ12がアクチュエータ取付ブラケット38を介して固定されている。アクチュエータ12の後端部にはブロック状のロック機構40が配設されており、更にその軸芯部からはピストンロッド42(図1参照)が突出されている。アクチュエータ12の前端部にはリード線44が接続されており、図示しない衝突検出センサによって歩行者との接触状態が検出された場合又は歩行者と衝突することが予測された場合には通電されて火薬が発火し、ガスが発生することでピストンロッド42を車両後方側へ軸方向移動させる構成である。なお、アクチュエータ12が作動すると、ロック機構40が作動することによりピストンロッド42が伸長された状態(軸方向移動後の状態)に保持される。
上記ピストンロッド42の先端部の外周面には雄ねじが形成されており、当該雄ねじ部分には連結部材としてのピストンヘッド(接合部)46が螺合されている。図2に示されるように、ピストンヘッド46は、略円柱形状に形成されたヘッド本体48と、このヘッド本体48の両側部に配置される左右一対のヘッドプレート50と、これらのヘッドプレート50をヘッド本体48に固定するためのかしめピン52と、によって構成されている。なお、ヘッド本体48の中央部から突出されたプレート支持部48Aの厚さは、前述した第1リンク24の板厚よりも若干厚く設定されている。
さらに、左右一対のヘッドプレート50の先端部(後端部)には、比較的大きな切欠60が形成されている。切欠60は、底部から先端部へ向かうにつれて徐々に開口幅が大きくなるθ形状に切欠かれている。なお、底部の曲率半径は、前述したローラピン32のローラ32Aの外径に略一致するように設定されている。
ここで、図3に示されるように、上述したアクティブフード装置10には、解除手段及びカバー体としての解除カバー62が設けられている。解除カバー62は断面形状が略L字状とされており、頂壁部62A及び側壁部62B並びに取付部62Cを備えている。取付部62Cは、頂壁部62Aの端部(側壁部62Bが設けられた側と反対側の側部でかつ後端部)からピストンロッド42に対して平行に延出されており、先端部には取付孔64が形成されている。この取付孔64へは移動部材としてのローラピン32の軸部32Bの先端の雄ねじ部(図示省略)が挿入されており、この雄ねじ部にナット66が螺合されることにより、解除カバー62はローラピン32に固定されて一体化されている。従って、ローラピン32が移動すると、それに伴って解除カバー62が一体に移動する構成である。
また、上記解除カバー62の頂壁部62Aは、ヒンジブラケット18のベース部18Aに対して平行に配置されている。これにより、ヒンジブラケット18をボディーに固定している固定具としての前側のボルト70及び後側のボルト72が平面視で見えないようになっている。但し、頂壁部62Aの所定位置(前側のボルト70と平面視で重なる位置)には円形の透孔74が形成されているため、前側のボルト70については平面視で視認することが可能である。なお、解除カバー62の側壁部62Bの高さは、前側のボルト70及び後側のボルト72の各頭部をカバー側方から隠す程度でかつローラピン32の移動に伴って解除カバー62が移動する際に他の部品と干渉しない程度の高さに設定されている。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態に係るアクティブフード装置10では、通常の車両走行時にあっては、図1に実線で示される状態でリフトアップ機構16が保持される。すなわち、この状態では、衝突検出センサによって歩行者との接触状態が検出されることがないため、又は歩行者と接触することが予測される状況に至っていないため、図示しないコントローラからアクチュエータ12に通電されることはなく、このためピストンロッド42は縮小状態(軸方向移動していない状態)で保持される。従って、ローラピン32はガイド20の前端部に保持され、リンク機構22は平伏状態に保持される。
この状態から、衝突検出センサによって車両の前端部が歩行者と接触したことが検出されると又は歩行者と接触することが予測されると、図示しないコントローラによってアクチュエータ12が作動される。このため、アクチュエータ12の内圧が急激に高まり、ピストンロッド42が伸長(軸方向移動)される。これにより、ピストンヘッド46の左右一対のピストンプレート50の切欠60に「係合」により連結されたローラピン32のローラ32Aが車両後方側へ押圧される。なお、このときローラピン32は、ガイド20によって直線的に移動するようにガイドされる。また、ピストンロッド42が伸長されると、ロック機構40によってこの状態が保持される。
ローラピン32がガイド20の前端部から後端部へ移動すると、これに伴って第1リンク24の前端部が車両後方側へ押圧される。一方、第2リンク26の後端部はヒンジブラケット18のヒンジ部18Cにピン36でピン支承されているため、第2リンク26の後端部が車両後方側へ移動することはない。このため、第2リンク26はピン36を中心として立ち上がる方向へ揺動され、これに伴って第1リンク24が第2リンク26との連結点であるピン34を中心として立ち上がる方向へ揺動される。その結果、図1に二点鎖線で示されるように、フードパネル14は、図示しないロック機構によってロック状態が維持されている前端部14Bを支点とし、ヒンジアーム28を介して後端部14Aが車両上方側(図1の矢印A方向)へ持ち上げられた(リフトアップされた)状態となり、歩行者との接触荷重を吸収する。
ここで、上述したアクティブフード装置10が作動してフードパネル14の後端部14Aがリフトアップされた後、車両を走行させるためにフードパネル14の後端部14Aをリフトダウンさせる場合には、以下の要領で手動による解除操作が行われる。
まず、アクティブフード装置10が作動する前の状態では、ガイドピン32は移動しないので、解除カバー62も図3図示状態に保持される。このため、ドライバは前側のボルト70については解除カバー62の透孔74から視認できるものの、後側のボルト72については解除カバー62の頂壁部62Aによって隠蔽されているので、ドライバが外部から視認することはできない。従って、仮に前側のボルト70を透孔74から取り外すことができたとしても、後側のボルト72を取り外すことはできないので、全体としてはドライバがアクチュエータ12をボディーから取り外すことはできない。
これに対し、上記の如くしてアクティブフード装置10が作動しローラピン32がガイド20に沿って前端部から後端部へ移動すると、それに伴って解除カバー62が同一ストロークδ(図3参照)だけ車両後方側へ移動する。従って、解除カバー62の透孔74は、平面視で後側のボルト72の固定位置に重なる。また、解除カバー62が移動することにより、前側のボルト70は外部に露見される。よって、ドライバは、前側のボルト70及び後側のボルト72の双方を、工具を使って簡単に取り外すことができる(なお、ナット66を取り外せば、ローラピン32と解除カバー62との連結状態も解除される)。これにより、ヒンジブラケット18をボディーから取り外すことが可能となり、リンク機構22をリフトダウン状態にすることができる。
このように本実施形態に係るアクティブフード装置10では、アクチュエータ12の非作動時にはアクチュエータ12をボディー側に固定している前側のボルト70、後側のボルト72を覆い手動による取外し操作を阻止し、アクチュエータ12の作動後の必要時には当該前側のボルト70、後側のボルト72の取外し操作を可能とする解除カバー62を設けたので、必要に応じて機械的にリンク機構22にリフトダウン動作をさせることができる。従って、例えば、作動対象との接触時の影響で、電気系統にトラブルが発生してフードパネル14の後端部14Aを元の状態に復帰させることができないといった事態は生じない。その結果、本実施形態によれば、フードパネル14のリフトアップ後のドライバの下方視界を確実に確保することができる。
また、本実施形態に係るアクティブフード装置10では、ロックピン32の先端部に解除カバー62を固定し、ピストンロッド42の移動動作を利用する構成を採ったので、解除カバー62という部品が増えるものの、アクチュエータ12、ピストンロッド42、リンク機構22等の構成要素には細工をする必要が無い。従って、アクティブフード装置10の機能部品の信頼性を検証する必要もなく、比較的容易に構成を成立させることができる。
なお、本実施形態では、ピストンロッド42が軸方向移動することにより同一方向へ移動するローラピン32に解除カバー62を取り付ける構成を採ったが、これに限らず、アクチュエータ12が作動することによりリンク機構22をリフトアップ状態にさせる移動部材、例えばピストンロッド42にカバー体を設ける構成を採ってもよい。
〔第2実施形態〕
次に、図4及び図5を用いて、本発明に係るアクティブフード装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図4に示されるように、この実施形態では、第1リンク80が二本のリンクに分割されている。分割された一方のリンク82は、その上部が下部よりも狭幅に形成されている。この一方のリンク82は、その長手方向の中間部にて第2リンク26の前端部とピン34を中心として相対回転可能に連結されている。また、一方のリンク82の下端部にはローラピン32が挿通されており、上端部には連結具としての鉤状の係合部84が形成されている。
これに対し、分割された他方のリンク86は、一方のリンク82の下部と同様程度の幅方向寸法を有している。他方のリンク86の下端部は、分割された一方のリンク82の長手方向の中間部と第2リンク26の前端部との間に挟持された状態で、ピン34を中心として相対回転可能に連結されている。さらに、他方のリンク86の長手方向の中間部には連結具としての係合孔88が形成されており、当該係合孔88に一方のリンク82の係合部84が挿入係止されている。これにより、通常は、一方のリンク82と他方のリンク86とは相対回転不可能な状態で一体を成し、第1リンク80を構成している。なお、他方のリンク86の上端部は、ピン30を中心としてヒンジアーム28の後端部と相対回転可能に連結されている。
上記構成によれば、アクチュエータ12が作動してフードパネル14の後端部14Aがリフトアップされた後に、ドライバが手動でリフトダウンさせる場合、まず、図5に示されるように、フードパネル14全体を矢印B方向へ若干スライドさせる(手で押してずらす)。これにより、他方のリンク86側が矢印B方向へ若干変形し、一方のリンク82の係合部84が他方のリンク86の係合孔88から外れる。その結果、他方のリンク86の一方のリンク82に対する拘束が解除されるので、図4(B)の矢印C方向へ他方のリンク86がピン34を中心として回転し、フードパネル14の後端部14Aがリフトダウンされる。
従って、上記構成によっても、前述した第1実施形態と同様に、フードパネル14の後端部14Aをリフトアップさせた後に手動で確実にフードパネル14の後端部14Aを概ね元の状態に復帰させることができ、ひいてはドライバの下方視界を確実に確保することができる。
また、本実施形態によれば、リンク機構22を構成する第1リンク80を予め分割しておき、アクチュエータ12の作動時には係合部84の係合孔88への係合により一方のリンク82と他方のリンク86の連結状態を維持し、アクチュエータ12の作動後に当該連結状態を解除する構成であるため、前述した第1実施形態に比し、新設部品の設置スペースを確保する必要が無い。このため、コンパクトな構成にすることができる。
なお、本実施形態では、係合部84と係合孔88を用いて一方のリンク82と他方のリンク86との通常時の相対回転を拘束したが、これに限らず、他の構成によって通常時の一方のリンク82と他方のリンク86との相対回転を拘束することも可能である。
〔第3実施形態〕
次に、図6及び図7を用いて、本発明に係るアクティブフード装置の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図6に示されるように、この実施形態も、前述した第2実施形態と同様に、第1リンク90が二本のリンクに分割されている。分割された一方のリンク92は、その長手方向の中間部にて第2リンク26の前端部とピン34を中心として相対回転可能に連結されている。また、一方のリンク92の下端部にはローラピン32が挿通されており、上端部にはボルト挿通孔94が形成されている。
これに対し、分割された他方のリンク96の下端部は、分割された一方のリンク92の長手方向の中間部と第2リンク26の前端部と三枚重ねの状態で、ピン34を中心として相対回転可能に連結されている。さらに、他方のリンク96の長手方向の中間部には、一方のリンク92に形成されたボルト挿通孔94と同軸上にボルト挿通孔98が形成されている。そして、双方のボルト挿通孔94、98内へ連結具としてのボルト100が挿通されて連結具としてのナット102が螺合されることにより、一方のリンク92と他方のリンク96とが相互に連結されている。これにより、通常は、一方のリンク92と他方のリンク96とは相対回転不可能な状態で一体を成し、第1リンク90を構成している。なお、他方のリンク96の上端部は、ピン30を中心としてヒンジアーム28の後端部と相対回転可能に連結されている。
上記構成によれば、アクチュエータ12が作動してフードパネル14の後端部14Aがリフトアップされた後に、ドライバが手動でリフトダウンさせる場合、まず、一方のリンク92と他方のリンク96を連結しているボルト100とナット102とを取り外す。これにより、他方のリンク96の一方のリンク92に対する拘束が解除される。その結果、他方のリンク96はピン34を中心として図6(B)の矢印C方向へ回転して図7図示状態となり、フードパネル14の後端部14Aがリフトダウンされる。
従って、上記構成によっても、前述した第1実施形態と同様に、フードパネル14の後端部14Aをリフトアップさせた後に手動で確実にフードパネル14の後端部14Aを概ね元の状態に復帰させることができ、ひいてはドライバの下方視界を確実に確保することができる。
また、本実施形態によれば、リンク機構22を構成する第1リンク90を予め分割しておき、アクチュエータ12の作動時にはボルト100及びナット102の締結により一方のリンク92と他方のリンク96の連結状態を維持し、アクチュエータ12の作動後に当該連結状態を解除する構成であるため、前述した第1実施形態に比し、新設部品の設置スペースを確保する必要が無い。このため、コンパクトな構成にすることができる。
さらに、本実施形態によれば、ボルト100とナット102の締結状態を解除すればリンク機構22をリフトダウン状態にすることができるので、前述した第2実施形態に比し、フードパネル14を横方向へスライドさせるという力作業が不要になる。従って、女性や高齢者でも簡単に解除操作をすることができるというメリットがある。
なお、本実施形態では、ボルト100とナット102を用いて一方のリンク92と他方のリンク96との通常時の相対回転を拘束したが、これに限らず、他の構成によって通常時の一方のリンク92と他方のリンク96との相対回転を拘束することも可能である。
〔第4実施形態〕
次に、図8を用いて、本発明に係るアクティブフード装置の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図8に示されるように、この実施形態では、アクチュエータ12の作動時に軸方向移動して連結部材としてのピストンヘッド46をリンク機構12側へ押圧するピストンロッド110が、二本のロッドに分割されている。分割された一方のロッド112と他方のロッド114との接合部は互いに噛み合う段差形状を成しており、当該段差部112A、114Aには同軸上にピン挿通孔116、118が形成されている。そして、このピン挿通孔116、118内へ連結具としての圧入ピン120が圧入されることにより、一方のロッド112と他方のロッド114との連結状態が確保されている。なお、一方のロッド112と他方のロッド114とが圧入ピン120によって連結された状態では、一方のロッド112と他方のロッド114とが相対回転することはない。
付言すると、一方のロッド112の基端部は、楔型ねじ駒を利用したワンウェイロック機構122に接合されている。このワンウェイロック機構122については、次の第5実施形態の中で簡単に触れることにする。
上記構成によれば、アクチュエータ12が作動してフードパネル14の後端部14Aがリフトアップされた後に、ドライバが手動でリフトダウンさせる場合、まず、一方のロッド112と他方のロッド114とを連結している圧入ピン120が備え付けの工具を使って除去される。これにより、他方のロッド114が一方のロッド112側へ軸方向移動して退避することが可能となる。その結果、第1リンク24の後端部がピン34を中心として下方側へ回転し、フードパネル14の後端部14Aがリフトダウンされる。
従って、上記構成によっても、前述した第1実施形態と同様に、フードパネル14の後端部14Aをリフトアップさせた後に手動で確実にフードパネル14の後端部14Aを概ね元の状態に復帰させることができ、ひいてはドライバの下方視界を確実に確保することができる。
また、本実施形態によれば、ピストンヘッド46を介して入力リンクとしての第1リンク24を押圧するピストンロッド110を予め分割しておき、アクチュエータ12の作動時には圧入ピン120により一方のロッド112と他方のロッド114との連結状態を維持し、アクチュエータ12の作動後に当該連結状態を解除する構成であるため、前述した第1実施形態に比し、新設部品の設置スペースを確保する必要が無い。このため、コンパクトな構成にすることができる。
さらに、本実施形態によれば、圧入ピン120による連結状態を解除すればリンク機構22をリフトダウン状態にすることができるので、前述した第2実施形態に比し、フードパネル14を横方向へスライドさせるという力作業が不要になる。従って、女性や高齢者でも簡単に解除操作を行うことができるというメリットがある。
なお、本実施形態では、圧入ピン120を用いて一方のロッド112と他方のロッド114との通常時の相対回転を拘束したが、これに限らず、植込みボルトや通常のボルト及びナット等、他の構成によって通常時の一方のロッド112と他方のロッド114との相対回転を拘束することも可能である。
〔第5実施形態〕
次に、図9及び図10を用いて、本発明に係るアクティブフード装置の第5実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図9に示されるように、この実施形態でも、アクチュエータ12の作動時に軸方向移動して連結部材としてのピストンヘッド46をリンク機構12側へ押圧するピストンロッド130が、二本のロッドに分割されている。分割された一方のロッド132と他方のロッド134とは、締結により接合されている。すなわち、一方のロッド132の端部の軸芯部には、連結具としての雄ねじ部136が形成されている。これに対応して、他方のロッド134の端部の軸芯部には、連結具としての雌ねじ部138が形成されている。そして、雄ねじ部136を雌ねじ部138へ螺合させることにより、一方のロッド132と他方のロッド134とが相互に連結されている。なお、一方のロッド132の外周部には、スパナ等の工具を当てるための平面部140が形成されている。
また、一方のロッド132を軸線回りに回転させる必要があるため、一方のロッド132の基端部は、楔型ねじ駒を利用したワンウェイロック機構122に接続されている。この楔型ねじ駒を利用したワンウェイロック機構122というのは、アクチュエータ12の作動により一方のロッド132が軸方向へ所定ストロークだけ移動すると、当該一方のロッド132の復帰方向への軸方向移動を阻止するが、軸方向移動後の位置で当該一方のロッド132が軸線回りに回転することは可能というものである。
具体的には、ロック機構122はブロック状のケース220を備えており、このケース220の軸芯部にピストンロッド132が挿通されている。ピストンロッド132の外周面には雄ねじ222が形成されており、ケース220の内部には当該雄ねじ222と対向する位置にテーパ面224が形成されている。テーパ面224とピストンロッド132とで形成されるスペースには、断面形状が楔形状とされたねじ駒226が配設されている。ねじ駒226の内周面には、ピストンロッド132の雄ねじ222と噛み合う雌ねじ228が形成されている。さらに、ねじ駒226の端面は、スプリング230によって食い込み方向へ押圧付勢されている。従って、アクチュエータ12が作動してピストンロッド132が軸方向移動する際には、スプリング230の付勢力に抗してねじ駒226がテーパ面224上をスライドしながら径方向外側へ移動し、これによりピストンロッド132の雄ねじ222とねじ駒226の雌ねじ228との噛み合い状態が解除されてピストンロッド132の軸方向移動が可能となる。そして、移動後には、スプリング230の付勢力によってねじ駒226がテーパ面224上を前記と反対方向へスライドし、再びねじ駒226の雌ねじ228がピストンロッド132の雄ねじ222と噛み合い状態となる。これにより、ピストンロッド132は復帰方向への軸方向移動が阻止された状態に保持されるが、軸線回りの回転動作は許容された状態となる。
上記構成によれば、アクチュエータ12が作動してフードパネル14の後端部14Aがリフトアップされた後に、ドライバが手動でリフトダウンさせる場合、まず、一方のロッド132に形成された一対の平面部140を備え付けのスパナ等の工具で挟み込み、他方のロッド134を固定した状態で一方のロッド132をその軸線回りに回転させることにより、他方のロッド134の雌ねじ部138から一方のロッド132の雄ねじ部136を離脱させる。これにより、他方のロッド134が一方のロッド132側へ軸方向移動して退避することが可能となる。その結果、第1リンク24の後端部がピン34を中心として下方側へ回転し、フードパネル14の後端部14Aがリフトダウンされる。
従って、上記構成によっても、前述した第1実施形態と同様に、フードパネル14の後端部14Aをリフトアップさせた後に手動で確実にフードパネル14の後端部14Aを概ね元の状態に復帰させることができ、ひいてはドライバの下方視界を確実に確保することができる。
また、本実施形態によれば、ピストンヘッド46を介して入力リンクとしての第1リンク24を押圧するピストンロッド130を予め分割しておき、アクチュエータ12の作動時には雄ねじ部136の雌ねじ部138への締結により一方のロッド132と他方のロッド134との連結状態を維持し、アクチュエータ12の作動後に当該連結状態を解除する構成であるため、前述した第1実施形態に比し、新設部品の設置スペースを確保する必要が無い。このため、コンパクトな構成にすることができる。
さらに、本実施形態によれば、雄ねじ部136及び雌ねじ部138による連結状態を解除すればリンク機構22をリフトダウン状態にすることができるので、前述した第2実施形態に比し、フードパネル14を横方向へスライドさせるという力作業が不要になる。従って、女性や高齢者でも簡単に解除操作を行うことができるというメリットがある。
なお、本実施形態では、ピストンロッド130を二分割して雄ねじ部136と雌ねじ部138で両者を連結する構成を採ったが、これに限らず、図10に示されるように、ピストンロッド142とピストンヘッド144とを両者別部品で構成し、かつピストンロッド142の先端部に雄ねじ部136を形成し、ピストンヘッド144に雌ねじ部138を形成する構成を採ってもよい。
また、本実施形態では、一方のロッド132に雄ねじ部136を形成し、他方のロッド134の端部に雌ねじ部138を形成したが、一方のロッド132側に雌ねじ部138を形成し、他方のロッド134側に雄ねじ部136を形成してもよい。この点は図10に示される構成においても同様である。
〔第6実施形態〕
次に、図11〜図15を用いて、本発明に係るアクティブフード装置の第6実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図11(A)に示されるように、この実施形態では、第1リンク150が比較的薄肉の二枚のリンクプレート152、154によって構成されている。二枚のリンクプレート152、154の長手方向の中間部には前後一対の取付孔(図示省略)が形成されており、更に一対の取付孔の中間部には低剛性部としての座屈ビード156が共に形成されている。
一方、二枚のリンクプレート152、154は、補強部材としての補強ブラケット158によって一体化されている。図11(B)に示されるように、補強ブラケット158は、側面視で略「凹」字状に形成された左右一対の側部158Aと、これらの側部158Aの下縁同士を繋ぐ底部158Bと、によって構成されている。両側部158Aの前後一対の脚部160には、前記取付孔と同軸上に取付孔162が形成されている。さらに、両側部158Aの中間部には、座屈ビード156との干渉を避けるために切欠164が形成されている。
そして、二枚のリンクプレート152、154を重ね合わせた状態で、その長手方向の中間部に下方側から補強ブラケット158を装着させ、ボルト166及び図示しないナットによって共締めされることにより、第1リンク150が構成されている。
上記構成によれば、通常時には補強ブラケット158が二枚のリンクプレート152、154に装着されているため、第1リンク150の板厚としては十分な厚さを確保することができる。従って、第1リンク150に要求される剛性は確保される。
一方、アクチュエータ12が作動してフードパネル14の後端部14Aがリフトアップされた後に、ドライバが手動でリフトダウンさせる場合には、ボルト166とナットとの締結状態を解除し、補強ブラケット158が取り外される。これにより、第1リンク150を構成する二枚のリンクプレート152、154の一体性が失われると共に第1リンク150の長手方向の中間部の剛性が落ちるので、座屈ビード156が形成された部位を備え付けのハンマー等で打撃することにより、容易に変形させることができる。その結果、第1リンク150の後端部がピン34を中心として下方側へ回転し、フードパネル14の後端部14Aがリフトダウンされる。
従って、上記構成によっても、前述した第1実施形態と同様に、フードパネル14の後端部14Aをリフトアップさせた後に手動で確実にフードパネル14の後端部14Aを概ね元の状態に復帰させることができ、ひいてはドライバの下方視界を確実に確保することができる。
また、本実施形態によれば、予め座屈ビード156がされた二枚のリンクプレート152、154に補強ブラケット158を取外し可能に装着することにより、通常時の剛性を確保した上で、リフトアップ後の復帰時には当該補強ブラケット158を取外し、座屈ビード156が形成された部分をハンマー等で打撃するという簡単な作業でフードパネル14の後端部14Aをリフトダウンさせることができる。その結果、本実施形態によれば、解除操作がより一層容易になり、女性や高齢者でも簡単に解除操作を行うことができるというメリットがある。
なお、ボルト166に替えてリベット等を用いてもよい。
以下、幾つかのバリエーションについて説明する。
図12に示される実施形態では、第1リンク170の長手方向の中間部に、側面視でU字状の脆弱部としての切欠172が形成されている。これにより、第1リンク170の長手方向の中間部の剛性は意図的に低下されている。また、第1リンク170における切欠172の形成部位の両サイドには、一対の取付孔174が形成されている。
上記切欠172の形成部位には、正面視でL字状に形成された補強部材としての補強ブラケット176が装着されている。補強ブラケット176は、第1リンク170の側面に当接される側部176Aと、第1リンク170の底面に当接される底部176Bと、によって構成されている。側部176Aには前後一対の当接部178が形成されており、各当接部178には取付孔174と同軸上に取付孔180が形成されている。これらの取付孔174、180へボルト182が挿通され、図示しないナットが螺合されることにより、補強ブラケット176が第1リンク170に取り付けられている。さらに、補強ブラケット176の側部176Aの前後一対の当接部178間には、折り曲げ部184が形成されている。折り曲げ部184の幅方向寸法Wは、切欠172の切欠幅W’に略一致するように設定されている。
上記構成によれば、通常は第1リンク170に補強ブラケット176が装着されることにより所定の剛性が確保され、リフトダウンする際には補強ブラケット176が取り外され、切欠172の形成部位を打撃することによりリフトダウン操作が可能となる。従って、図11に示された実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、第1リンク170に形成する切欠172に形状的な工夫を施してもよい。例えば、図13(A)に示される切欠186では、対角線上にある一対の角部188が曲面状に面取りされている(C面付け)。また、図13(B)に示される切欠190では、対向する壁面が板厚方向でかつ互いに反対方向へずらされている(オフセット設計)。上記切欠172に替えて、これらの切欠186、190を採用すると、脆弱部の脆弱度合い(強度)を調整することができる。
また、図14〜図16に示される実施形態では、第1リンク192の長手方向の中間部に狭幅部194が形成されている。従って、第1リンク192の長手方向の中間部は意図的に低剛性化されている。なお、狭幅部194は、第1リンク192の長手方向の中間部を下縁側から抉るようにして形成されている。
上記狭幅部194には、補強部材としての補強ブラケット196がボルト197とナット(図示省略)並びに第2リンク26との連結点となるピン(リベット)34によって取り付けられている。この補強ブラケット196は、狭幅部194を形成するために抉られた範囲を側面視で覆うことが可能な細長い形状に形成されている。また、補強ブラケット196の長手方向の中間部には、第1リンク192の狭幅部194の上縁に係止される鉤状の係止部198が形成されている。さらに、補強ブラケット196の長手方向の中間部には、切り起こしによる爪部199が形成されている。図16に示されるように、この爪部199と係止部198との間に第1リンク192の狭幅部194が挟持された状態で、第1リンク192に補強ブラケット196が装着されるようになっている。
上記構成によれば、通常は第1リンク192に補強ブラケット196が装着されることにより所定の剛性が確保され、リフトダウンする際には補強ブラケット196が取り外され、狭幅部194の形成部位を打撃することによりリフトダウン操作が可能となる。従って、図11に示された実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、係止部198及び爪部199によって第1リンク192に対する補強ブラケット196の上下方向の組付位置が規制されるので、組付性が良いというメリットもある。
〔実施形態の補足説明〕
なお、上述した各実施形態では、フードパネル14の後端部14Aをリフトアップさせる構成を採ったが、これに限らず、フードパネルの前端部をリフトアップさせる構成やフードパネルを全体的にリフトアップさせる構成に対して本発明を適用してもよい。
また、上述した各実施形態では、第1リンク24、第2リンク26、ヒンジアーム28から成るリンク機構22を採用したが、これに限らず、パンタグラフ形式のリンク機構等、他のリンク機構を採用してもよい。
さらに、上述した各実施形態では、ヒンジブラケット18のヒンジ部18Cに長孔から成るガイド20を形成したが、これに限らず、ヒンジ部18Cにチャンネル状のレールを設ける等の構成を採ってもよい。
また、上述した本実施形態では、ピストンヘッド46を三部品に分割してかしめピン52で連結して固定する構成を採ったが、これに限らず、プレス加工で馬蹄形断面に形成し一部品で構成してもよいし、鋳造によって一部品で構成してもよい。