JP4354610B2 - 印刷ブランケット用成形金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば精密印刷用などに使用される印刷ブランケットを成形するための、新規な成形金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス等の基板上に微細なストライプパターンやマスクパターンを高密度、高精度で印刷して、例えば液晶表示素子用の液晶カラーフィルターを製造する際など、電子機器の分野において近時、オフセット印刷法による精密印刷が注目されている。
オフセット印刷法では、原版上に形成したインク像を、ゴム等の弾性材料で形成された印刷ブランケットの表面(インク担持面)に転写したのち、このインク担持面から、基板等の印刷対象の表面に転写することで印刷が行われる。
【0003】
したがって精密な印刷になるほど、印刷精度を向上するために、印刷ブランケットのインク担持面の、表面の仕上げ精度が高いことが求められる。
また印刷ブランケットの、原版および印刷対象への接触圧、すなわち印圧も、印刷精度に影響を及ぼす一つの要因であり、印刷精度を向上するためには、印圧ができるだけ均一であることが求められる。そしてそれを実現するためには、一つの同じ印刷ブランケット内での厚みのばらつきが小さく、かつ複数の異なる印刷ブランケット間での厚みのばらつきも小さいことが必要とされる。例えば前記液晶カラーフィルタ印刷用の印刷ブランケットの場合、一つの同じ印刷ブランケット内での厚み(面内厚み)のばらつきは、5/100mm(=50μm)以内であることが求められる。
【0004】
さらに、印刷ブランケットを形成する弾性材料の種類も、印刷精度を向上するためには重要であり、特に他の材料に比べて寸法精度や圧縮特性などの温度依存性が小さい、インクに含まれる溶剤に対する耐性に優れ、膨潤によって大きな寸法変化を生じない、といった種々の特性を有するシリコーンゴムが好適に使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記シリコーンゴムを用いて、精密印刷用の印刷ブランケットを製造する方法としては、下記の2法が考えられる。
・印刷ブランケットのインク担持面、およびこのインク担持面と背中合わせの裏面に対応する一対の金型を、印刷ブランケットの厚み分の間隔を設けて配置して、両金型間に形成された空隙に、室温硬化型もしくは加熱硬化型の液状シリコーンゴムを注入して硬化させる。
・印刷ブランケットのインク担持面、およびこのインク担持面と背中合わせの裏面に対応する一対の金型間に加熱硬化性のミラブル型シリコーンゴムを挟んで、印刷ブランケットの厚みまで圧縮しつつ、全体を加熱して硬化させる。
【0006】
特許第2589635号公報には、これらの方法によって精密印刷用の印刷ブランケットを製造するために、一対の金型のうち印刷ブランケットのインク担持面に対応する一方の金型の、他方の金型と対向する内面に、上記インク担持面を賦形する賦形面が形成された平板状の賦形部材を着脱自在に取り付けた成形金型が記載されている。
上記の成形金型によれば、賦形部材として、例えばガラス板や研磨仕上げされた金属板等の、賦形面が鏡面に仕上げられた板材を使用することで、インク担持面の仕上げ精度が高い印刷ブランケットを成形することができる。また賦形面に傷が入るなどした際には賦形部材を交換するだけで、再研磨などの手間をかけることなく、成形金型の再使用が可能となり、メンテナンスやコストの点でも有利である。
【0007】
しかしシリコーンゴム等の弾性材料は、一般に、硬化反応によって体積が膨張するので、この膨張の圧力によって金型が歪んだり、あるいは金型間の間隔が広がったりして、印刷ブランケットの厚みが、一つの同じ印刷ブランケット内で、もしくは複数の異なる印刷ブランケット間で大きくばらつくのを防止する必要がある。
発明者らが検討したところによると、シリコーンゴムの硬化時には、金型に、およそ1〜10kg/cm2程度という高い圧力が加わる。
【0008】
このため、成形金型を構成する一対の金型として、例えば厚み100mm(成形する印刷ブランケットの厚みが0.85mmとして、そのおよそ117〜118倍)で、かつ縦横およそ1m四方の、ステンレス鋼製のものを使用した場合には、その中央部が最大で数百μmも膨れるおそれがあり、その後、硬化反応の進行、並びに型出し後の温度低下に伴って徐々に膨れは収まるものの、できあがった印刷ブランケットは、中央部の厚みが周辺部よりおよそ100〜200μm程度大きいものとなってしまう。つまり面内厚みのばらつきが100〜200μm程度となる。
【0009】
それゆえ上記印刷ブランケットは、前述した面内厚みのばらつきの基準をクリアできないために、液晶カラーフィルターの印刷用としては使用することができない。
そこで従来は、成形金型を構成する一対の金型の厚みを、例えば成形する印刷ブランケットの厚みの250倍以上といった著しく大きいものとして、膨張の圧力に対抗させているが、このように厚みの大きな金型を製造するには大変な手間がかかり、またその製造にかかるコストの上昇も問題となる。
【0010】
特に印刷ブランケットのインク担持面に対応する、前記賦形部材を着脱自在に取り付けるための一方の金型の内面側、および上記インク担持面と背中合わせの裏面に対応する他方の金型の内面側を、切削加工や研磨加工等によって、それぞれ歪みのない平坦面とする加工は、金型の厚みが増加するほど困難になる(その主たる原因は、膨張収縮率のばらつきに伴う金型全体の歪みが大きくなことにあると考えられる)ため、金型の重量が増加して加工時の取り扱い性が悪くなることと相まって、厚みの大きな金型を製造するには大変な手間がかかる。
【0011】
また、上記のように加工に手間がかかることと、厚肉でかつ均質な金属材料は材料費が高くつくこととが相まって、金型の製造にかかるコストも上昇する。
しかも上記のように厚みの大きな金型は、重量の増加に伴う使用時の取り扱い性の悪さも問題となる。
本発明の目的は、一対の金型の厚みを、これまでのように著しく大きくする必要がないため、製造にかかる手間やコストを低減できるとともに、使用時の取り扱い性にも優れており、しかも印刷ブランケットの厚みが、一つの同じ印刷ブランケット内で、もしくは複数の異なる印刷ブランケット間で大きくばらつくのを確実に防止することができる、新規な印刷ブランケット用の成形金型を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、印刷ブランケットのインク担持面、およびこのインク担持面と背中合わせの裏面に対応する一対の平板状の金型を備え、両金型のうち一方の金型の、他方の金型と対向する内面が、印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面とされ、他方の金型の、一方の金型と対向する内面が、印刷ブランケットの裏面を賦形する賦形面とされた成形金型であって、上記両金型の厚みが、それぞれ成形する印刷ブランケットの厚みの100倍以下であるとともに、上記両金型のうちの少なくとも一方が、その内面と背中合わせの外面側で、補強部材によって補強されていることを特徴とする印刷ブランケット用成形金型である。
【0013】
請求項2記載の発明は、一対の金型が上下に配置され、このうち上側の金型が、その内面側を下方に向けた状態で、内面と背中合わせの外面側で、補強部材によって補強されているとともに、下側の金型が、その内面側を上方に向けた状態で、表面が平坦な台盤上に載置されていることを特徴とする請求項1記載の印刷ブランケット用成形金型である。
【0014】
請求項3記載の発明は、補強部材が構造用形鋼または構造用鋼管である請求項1または2に記載の印刷ブランケット用成形金型である。
請求項4記載の発明は、印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面が、一方の金型の内面に着脱自在に取り付けられた、平板状の賦形部材の表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷ブランケット用成形金型である。
【0015】
請求項5記載の発明は、一方の金型の内面側に、賦形部材を真空吸引して装着するための吸引孔、または吸引溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の印刷ブランケット用成形金型である。
請求項6記載の発明は、印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面が、鏡面仕上げされた平滑面であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷ブランケット用成形金型である。
【0016】
前記請求項1記載の発明の成形金型によれば、印刷ブランケットのインク担持面、およびこのインク担持面と背中合わせの裏面に対応する一対の平板状の金型のうちの少なくとも一方を、その内面と背中合わせの外面側で、補強部材によって補強することで、シリコーンゴム等の弾性材料の硬化時の膨張に対抗して、金型の歪みと、それに伴う面内厚み、あるいは複数の異なる印刷ブランケット間での厚みのばらつきとを確実に防止することができる。
【0017】
したがって金型自体の厚みを、それぞれ成形する印刷ブランケットの厚みの100倍以下とすることで重量をこれまでよりも小さくして、製造にかかる手間やコストを低減するとともに、使用時の取り扱い性を向上することが可能となる。
なお、成形金型を構成する一対の金型の両方に、補強部材による補強を施してもよいが、かかる成形金型を実際に使用する際には、上記一対の金型を上下に配置することが多く、その場合には、請求項2に記載したように上側の金型を、その内面側を下方に向けた状態で、内面と背中合わせの外面側で、補強部材によって補強するとともに、下側の金型を、その内面側を上方に向けた状態で、表面が平坦な台盤上に載置するのが好ましい。
【0018】
かかる構成では、下側の金型が、それ自体の自重、上側の金型と補強部材の重さ、あるいはクランプ等で型締めする時はその型締めの圧力によって、成形時に、台盤の表面に圧接されて平坦性が維持されるため、当該下側の金型の厚みを、補強部材によって補強された上側の金型の厚みと同程度に小さくして製造にかかる手間やコストを低減し、かつ使用時の取り扱い性を向上するとともに、補強部材を省略して構造を簡略化することが可能となる。
【0019】
補強部材としては、請求項3に記載したように、例えば機械構造用等として種々の寸法、形状のものが市販されている構造用形鋼または構造用鋼管を使用するのが、その入手のしやすさや、あるいはコストの上昇を抑える点で好ましい。
【0020】
一対の金型のうち、印刷ブランケットのインク担持面に対応する一方の金型の、インク担持面を賦形する賦形面は、請求項4に記載したように、上記一方の金型の内面に着脱自在に取り付けられた、平板状の賦形部材の表面に形成されているのが好ましい。
このように構成すると、前述したように賦形面に傷が入るなどした際に賦形部材を交換するだけで、再研磨などの手間をかけることなく、成形金型の再使用が可能となり、メンテナンスやコストの点でさらに有利である。
【0021】
上記賦形部材を使用する場合は、請求項5に記載したように、一方の金型の内面側に、賦形部材を真空吸引して装着するための吸引孔、または吸引溝を形成して、真空吸着によって、賦形部材を着脱するようにするのが、着脱の容易性の点で好ましい。
上記本発明の成形金型の構成は、前述したようにそのインク担持面の仕上げ精度が高い、精密印刷用の印刷ブランケットの成形用として好適であり、その場合には請求項6に記載したように、インク担持面を賦形する賦形面が、鏡面仕上げされた平滑面とされる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の成形金型を、その実施の形態の一例を示す図面を参照しつつ説明する。
図1に示すようにこの例の成形金型Mは、印刷ブランケットのインク担持面、およびこのインク担持面と背中合わせの裏面に対応する一対の平板状の金型1、2を上下に配置したものである。
【0023】
このうち上側の金型1は、上記インク担持面に対応する内面10側を下方に向けた状態で、内面10と背中合わせの外面11側(上側)で、補強部材としての複数本(図では3本)のH形鋼3a…によって補強されている。
金型1をH形鋼3a…で補強する方法としては、当該金型1の外面11側に、図示しないボルト等を用いて、あるいは溶接するなどして、H形鋼3a…を固定することが考えられる。また、図のように金型1の外面11側として、その上側にH形鋼3a…が配置される場合は、当該H形鋼3a…を単に金型1の外面11上に載置するだけでも、ある程度の補強効果が得られる。
【0024】
一方、下側の金型2は、その内面20側を上方に向けた状態で、図示していないが表面が平坦な台盤上に載置されて使用されるもので、その際に、前述したようにそれ自体の自重、上側の金型1とH形鋼3a…の重さ、型締めの圧力等によって台盤の表面に圧接されて平坦性が維持されるため、補強部材は設けられていない。
両金型1、2の厚みは、前記のように、それぞれ成形する印刷ブランケットの厚みの100倍以下である必要がある。この理由は前述したとおりである。なお金型1、2の厚みを小さくして、成形金型Mの製造にかかる手間やコストを低減するとともに、当該成形金型Mの使用時の取り扱い性をを向上するという本発明の効果をより一層、明りょうなものとするためには、両金型1、2の厚みは、上記の範囲内でも特に、成形する印刷ブランケットの厚みの60倍以下程度であるのが好ましい。
【0025】
但し、両金型1、2の厚みが小さすぎる時には、H形鋼3a…等の補強部材による補強をしているにも拘らず、シリコーンゴム等の弾性材料の、硬化時の膨張によって金型1、2が歪んだり、あるいは金型間の間隔が広がったりして、印刷ブランケットの厚みが、一つの同じ印刷ブランケット内で、もしくは複数の異なる印刷ブランケット間で、大きくばらつくおそれがある。
それゆえ両金型1、2の厚みは、成形する印刷ブランケットの厚みの30倍以上であるのが好ましく、50倍以上であるのがさらに好ましい。
【0026】
上側の金型1の内面10側には、平板状の賦形部材4が着脱自在に取り付けられており、この賦形部材4の、図では下側の、金型2の内面20と対向する表面40が、印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面とされている。
図の例の成形金型Mを、インク担持面の仕上げ精度が高い、精密印刷用の印刷ブランケットの成形用として使用する場合、上記賦形部材4としては、前述したようにガラス板や研磨仕上げされた金属板等の、賦形面が鏡面に仕上げられた板材が好適に使用される。
【0027】
賦形部材4を金型1の内面10側に着脱自在とする機構は特に限定されないが、例えば図2(a)に示すように金型1の内面10に多数の吸引孔12a…を形成し、各吸引孔12a…を、金型1の内部に形成した配管12b…、12cで繋いで、金型1の外部から、図示しない吸引装置(ポンプ等)を用いて、図中白矢印で示すように真空吸引することで、賦形部材4を金型1の内面10側に装着し、また真空吸引を停止することで、賦形部材4を金型1の内面10側から脱着するようにするのが好ましい。
【0028】
また図2(b)に示すように金型1の内面10に吸引溝13aを形成し、この吸引溝13aを、通孔13bを通して金型1の内部に形成した配管13cに繋いで、やはり金型1の外部から、図示しない吸引装置(ポンプ等)を用いて、図中白矢印で示すように真空吸引することで、賦形部材4を金型1の内面10側に装着し、また真空吸引を停止することで、賦形部材4を金型1の内面10側から脱着するようにしてもよい。
【0029】
補強部材としては、前記H形鋼3a…の他に、例えば図3に示す角形鋼管3b…等も使用可能である。
図1において符号5は、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面である賦形部材4の下面40と、印刷ブランケットの裏面に対応する賦形面である下側の金型2の内面20との間に介装されて、両賦形面間に、印刷ブランケットの厚みに対応する空隙を形成するためのスペーサである。
【0030】
上記各部を有する図1の成形金型Mを用いて、室温硬化型もしくは加熱硬化型の液状シリコーンゴムによって、印刷ブランケットを製造する工程は下記のとおりである。
まず上記各部を図1に示す順序で、すなわち図示しない台盤上に載置した下側の金型2の内面20上に、スペーサ5と、内面10側に賦形部材4を装着し、かつ外面11側をH形鋼で補強した金型1とを積層し、さらに必要に応じて、金型1、2の周囲に配置した図示しないクランプ等で型締めする。
【0031】
次にこの状態で、上記金型1と賦形部材4のそれぞれ四隅に形成した4つの通孔1a…、4a…のうちの1つから、液状シリコーンゴムを、他の3つの通孔1a…、4a…から少し溢れる程度まで注入することで、両賦形面間の空隙に充てんする。
次に、室温硬化型の場合はそのままの状態で、また加熱硬化型の場合は成形金型の全体をシリコーンゴムの硬化に必要とされる温度に加熱して、それぞれ一定時間放置してシリコーンゴムを硬化させたのち型から取り出し、さらに必要に応じて所定サイズへの切り出し、表面研磨などの所定の後処理をすることで、印刷ブランケットが製造される。
【0032】
なお図1の成形金型Mは、加熱硬化性のミラブル型シリコーンゴムを用いて印刷ブランケットを製造する方法にも使用可能であり、その際の製造工程は、当該ミラブル型シリコーンゴムを、金型1を積層する前の金型2の内面20上に載置したのち、金型1を積層すること以外は前記と同様である。
すなわち、まず下側の金型2を、図示しない台盤上に載置するとともに、この金型2の内面20上に、上記ミラブル型シリコーンゴムと、スペーサ5とを積層する。
【0033】
次いでその上に、内面10側に賦形部材4を装着し、かつ外面11側をH形鋼で補強した金型1を積層し、さらに必要に応じて、金型1、2の周囲に配置した図示しないクランプ等で型締めする。
そしてこの状態で、成形金型Mの全体を、シリコーンゴムの硬化に必要とされる温度に加熱して一定時間放置してシリコーンゴムを硬化させたのち型から取り出し、さらに必要に応じて所定サイズへの切り出し、表面研磨などの所定の後処理をすることで、印刷ブランケットが製造される。
【0034】
なお製造される印刷ブランケットは、樹脂のシートや繊維布などで補強されていてもよいし、面状ヒータ等の機能部品を内蔵していてもよい。
そのためには、あらかじめ型内の所定の位置に、上記シート、繊維布、機能部品等を装着した状態で、液状シリコーンゴムを注入するか、もしくはミラブル型シリコーンゴムを載置して、上記の手順で成形を行えばよい。
【0035】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
〈成形金型Mの構成〉
金型1、2:いずれも縦1100mm、横900mm、厚み50mmの、ステンレス鋼製の板材にて形成した。
【0036】
補強部材:呼称寸法(JIS G3192)200mm×200mm、長さ1100mmのH形鋼3aを3本使用した。
補強方法:上記3本のH形鋼3a…を、上側の金型1の上面である外面11側に、図1に示すようにその縦方向と平行に、それぞれ複数本のボルトによって固定して補強とした。
詳しくは、金型1の外面11、および各H形鋼3a…の、当該外面11と当接する下面を、それぞれのH形鋼3aの全長に亘って隙間が生じないように平坦に研磨し、H形鋼3aの複数箇所にボルト挿通のための通孔を形成するとともに、金型1の外面11に、上記通孔を挿通されたボルトが螺着されるネジ孔を形成した。そして、上記通孔を挿通してネジ孔に螺着したネジによって、3本のH形鋼3a…を、金型1の外面11側に固定して補強とした。
【0037】
賦形部材4:縦1100mm、横900mm、厚み5.0mmのガラス板を使用した。
スペーサ5:厚み0.85mmのステンレス板にて形成した。
〈液状シリコーンゴム〉
信越化学工業(株)製の室温硬化型液状シリコーンゴムKE1603〔主剤(KE1603AL)と硬化剤(KE1603BL)の2液タイプ〕を、主剤:硬化剤=1:1(重量比)の割合で配合したのち、真空脱泡したものを使用した。
【0038】
〈印刷ブランケットの製造〉
前記のように図示しない台盤上に、下側の金型2、スペーサ5、および内面10側に賦形部材4を装着し、かつ外面11側をH形鋼で補強した金型1をこの順に積層した。
次いで、金型1と賦形部材4のそれぞれ四隅に形成した4つの通孔1a…、4a…のうちの1つから、上記液状シリコーンゴムを、他の3つの通孔1a…、4a…から少し溢れる程度まで注入することで、両賦形面間の空隙に充てんした。
【0039】
そして室温で21時間、放置してシリコーンゴムを硬化させたのち型から取り出して、縦1100mm、横900mm、厚み0.85mmの印刷ブランケットを製造した。
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ10μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアしていることが確認された。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は20μmであった。
【0040】
また上記成形金型Mは、金型1、2の製造に手間がかからない上、両金型1、2が軽いために取り扱い性にも優れたものであった。
さらに上記成形金型Mは、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面に傷がついた際に、賦形部材を交換するだけで済み、メンテナンスの点でも優れたものであった。
実施例2
補強部材として、縦200mm、横200mm、厚み10mm、長さ1100mmの角形鋼管3bを3本、使用したこと以外は実施例1と同様にして成形金型Mを構成し、印刷ブランケットを製造した。角形鋼管の固定も、実施例1と同様にボルトによって行った。
【0041】
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ7μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアしていることが確認された。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は15μmであった。
また上記成形金型Mは、金型1、2の製造に手間がかからない上、両金型1、2が軽いために取り扱い性にも優れたものであった。
【0042】
さらに上記成形金型Mは、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面に傷がついた際に、賦形部材を交換するだけで済み、メンテナンスの点でも優れたものであった。
実施例3
賦形部材4として、金型2の内面20と対向する表面40が研磨仕上げされた、縦1100mm、横900mm、厚み3.0mmのステンレス板を使用したこと以外は実施例1と同様にして成形金型Mを構成し、印刷ブランケットを製造した。
【0043】
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ10μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアしていることが確認された。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は20μmであった。
また上記成形金型Mは、金型1、2の製造に手間がかからない上、両金型1、2が軽いために取り扱い性にも優れたものであった。
【0044】
さらに上記成形金型Mは、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面に傷がついた際に、賦形部材を交換するだけで済み、メンテナンスの点でも優れたものであった。
実施例4
実施例1で使用したのと同じ成形金型を使用するとともに、液状シリコーンゴムに代えて、信越化学工業(株)製の加熱硬化性ミラブル型シリコーンゴム(KE575U)100重量部と、同社製の加硫剤(C−1)1重量部とを混合したシートを用いて、印刷ブランケットを製造した。
【0045】
詳しくは、上記ミラブル型シリコーンゴムのシートを、金型2の内面20上に、スペーサ5とともに載置した上へ、内面10側に賦形部材4を装着し、かつ外面11側をH形鋼で補強した金型1を積層し、次いで成形金型Mの全体を180〜200℃に加熱して1時間、放置してシリコーンゴムを硬化させたのち、型から取り出して、縦1100mm、横900mm、厚み0.85mmの印刷ブランケットを製造した。
【0046】
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ20μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアしていることが確認された。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は50μmであった。
また上記成形金型Mは、金型1、2の製造に手間がかからない上、両金型1、2が軽いために取り扱い性にも優れたものであった。
【0047】
さらに上記成形金型Mは、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面に傷がついた際に、賦形部材を交換するだけで済み、メンテナンスの点でも優れたものであった。
比較例1
金型1を補強部材で補強しなかったこと以外は実施例1と同様にして成形金型Mを構成し、印刷ブランケットを製造した。
【0048】
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ350μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアできていないことが判明した。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は550μmであった。
比較例2
金型1を補強部材で補強せず、かつ金型1、2の厚みを共に250mmとするとともに、賦形部材4を省略し、金型1の内面10を研磨仕上げして賦形面としたこと以外は実施例1と同様にして成形金型を構成し、印刷ブランケットを製造した。
【0049】
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ25μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアしていることが確認された。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は40μmであった。
但し上記の成形金型は、特に金型1の製造に手間がかかる上、両金型1、2が大きくかつ重いために取り扱い性も悪いものであった。また金型1の内面10に直接に形成した、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面に傷がついた際には再研磨の手間がかかり、メンテナンスの点でも問題があった。
【0050】
比較例3
金型1を補強部材で補強せず、かつ金型1、2の厚みを共に250mmとしたこと以外は実施例1と同様にして成形金型を構成し、印刷ブランケットを製造した。
得られた印刷ブランケットの、面内厚みのばらつきを測定したところ20μmであり、前述した液晶カラーフィルター印刷用としての基準をクリアしていることが確認された。またシリコーンゴムの硬化中に測定された、上側の金型1の最大膨れ量は30μmであった。
【0051】
また上記の成形金型は、印刷ブランケットのインク担持面に対応する賦形面に傷がついた際に、賦形部材を交換するだけで済み、メンテナンスの点でも優れたものであった。
しかし上記の成形金型は、金型1、2の製造に手間がかかる上、両金型1、2が大きくかつ重いために取り扱い性も悪いものであった。
以上の結果を表1にまとめた。
【0052】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷ブランケット用成形金型の、実施の形態の一例を示す分解斜視図である。
【図2】同図(a)(b)はそれぞれ、上記印刷ブランケット用成形金型のうち上側の金型の内面に形成される、賦形部材を吸着するための構造を示す平面図である。
【図3】上記印刷ブランケット用成形金型に使用される、補強部材の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、2 金型
10、20 内面
11 外面
M 成形金型
3a H形鋼(補強部材)
3b 角形鋼管(補強部材)
40 賦形面
4 賦形部材
12a 吸引孔
13a 吸引溝ゅ
Claims (6)
- 印刷ブランケットのインク担持面、およびこのインク担持面と背中合わせの裏面に対応する一対の平板状の金型を備え、両金型のうち一方の金型の、他方の金型と対向する内面が、印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面とされ、他方の金型の、一方の金型と対向する内面が、印刷ブランケットの裏面を賦形する賦形面とされた成形金型であって、上記両金型の厚みが、それぞれ成形する印刷ブランケットの厚みの100倍以下であるとともに、上記両金型のうちの少なくとも一方が、その内面と背中合わせの外面側で、補強部材によって補強されていることを特徴とする印刷ブランケット用成形金型。
- 一対の金型が上下に配置され、このうち上側の金型が、その内面側を下方に向けた状態で、内面と背中合わせの外面側で、補強部材によって補強されているとともに、下側の金型が、その内面側を上方に向けた状態で、表面が平坦な台盤上に載置されていることを特徴とする請求項1記載の印刷ブランケット用成形金型。
- 補強部材が構造用形鋼または構造用鋼管である請求項1または2に記載の印刷ブランケット用成形金型。
- 印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面が、一方の金型の内面に着脱自在に取り付けられた、平板状の賦形部材の表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷ブランケット用成形金型。
- 一方の金型の内面側に、賦形部材を真空吸引して装着するための吸引孔、または吸引溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の印刷ブランケット用成形金型。
- 印刷ブランケットのインク担持面を賦形する賦形面が、鏡面仕上げされた平滑面であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷ブランケット用成形金型。
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