JP4353818B2 - 転炉の操業方法 - Google Patents
転炉の操業方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4353818B2 JP4353818B2 JP2004016228A JP2004016228A JP4353818B2 JP 4353818 B2 JP4353818 B2 JP 4353818B2 JP 2004016228 A JP2004016228 A JP 2004016228A JP 2004016228 A JP2004016228 A JP 2004016228A JP 4353818 B2 JP4353818 B2 JP 4353818B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amount
- slag
- dephosphorization
- decarburization
- target value
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
しかしながら、いずれの方法も脱りん工程から脱炭工程に移行する際、溶銑の移し替えを必要とし、溶銑の温度低下やエネルギーロスの発生を余儀なくしていた。
この問題点を解決するために、特許文献1に開示されたようなダブルスラグ法といわれる方法が採用されてきている。ダブルスラグ法は、溶銑を転炉に装入し(装入工程)、副原料添加と酸素吹込みを行って脱りん精錬を施し(脱りん工程)、所定のりん濃度まで低減させ、前記転炉を傾動して脱りん工程で生成したスラグを排出し(排出工程)、その後、同一転炉にて副原料添加と酸素吹錬により、所定の炭素濃度まで脱炭を行う(脱炭工程)ものである。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ダブルスラグ法での各工程が最適パスを取るように転炉の操業を行う転炉の操業方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、転炉内に装入された溶銑の脱りん精錬を行う脱りん工程と、脱りん工程後の溶銑の脱炭精錬を同一転炉にて行う脱炭工程とを有するダブルスラグ法を用いた転炉の操業方法において、下記に示すステップ(1)〜ステップ(10)により、脱りん処理における操業条件を求めると共に、脱炭処理における操業条件を求めた上で、脱りん処理及び脱炭処理を行うことを特徴とする。
(1)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標炭素濃度[C]を設定する。
(2)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標温度を設定する。
(3)前記最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]を設定する。
(4)脱りん工程での脱りんに必要とされるスラグ量を、ミニマムスラグ量として算出する。
(5)最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標温度を設定する。
(6)中間目標値である脱りん工程後の目標温度と、中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]とを基にして、式(8)の関係を満たすように、脱りん工程において投入する副原料の量を求める。
(7)溶銑温度を中間目標値にするべく、脱りん工程における固酸と気酸との投入比率を決定する。
(8)脱りん工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、スラグの塩基度を求める。
(9)前記中間目標値、前記脱りん工程における副原料の投入量及び気酸と固酸との比率を基に、脱炭工程での副原料の投入量を算出すると共に、溶銑温度を最終目標値にするべく、脱炭工程での固酸と気酸との比率を決定する。
(10)脱炭工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、脱炭工程におけるスラグの塩基度を求める。
ただし、ミニマムスラグ量は、式(7)にて示される値である。
ミニマムスラグ量 =(インプットP量−脱りん工程後[P]×溶銑量)
×2.29/脱P後目標(P 2 O 5 ) ・・・(7)
ミニマムスラグ量 ≦ 前チャージスラグ量 + 脱りん工程での生成スラグ量
・・・(8)
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、前記中間目標値を算出することを特徴とする。
この技術的手段によれば、脱炭工程での熱収支計算を基に、中間目標値を理論的に求めることができるようになる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記脱りん工程終了後に、前記中間目標値の実績を脱りん工程の副原料、酸素の実績投入量を基に算出し、前記中間目標実績値に基づき、脱炭工程での副原料、酸素の投入量を修正することを特徴とする。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記脱りん工程での脱りんに必要なスラグ量を中間スラグ量として算出し、前チャージで生成され且つリサイクルされた前チャージスラグと、脱りん工程で生成されるスラグとの総量が中間スラグ量以上となるように、脱りん工程での副原料の投入量を決定し、前記投入量に基づいて転炉の操業を行うことを特徴とする。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記脱りん工程での塩基度が所定の範囲内になるように、脱りん工程での副原料の投入量を決定することを特徴とする。
この技術的手段によれば、脱りん工程での塩基度が所定の範囲内になるように副原料の投入量を決めることで、脱りん工程での塩基度を最適なものとし、確実な脱りんを行うことが可能となる。
この技術的手段によれば、一定の値を有する排滓率を用いることで、脱りん工程から脱炭工程へ繰り越されるスラグ量を簡単に算出することができ、脱炭工程での副原料、酸素の投入量を容易に算出することが可能となる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記排滓率の実績値に基づいて、脱炭工程の副原料、酸素の投入量を修正することを特徴とする。
図1は、転炉1を用いた精錬方法の1つであるダブルスラグ法の手順(操業手順)を示したものである。
まず、装入工程として、転炉1を傾動し、炉内にスクラップ2等を装入した上で溶銑3を流し入れるようにする。
その後、溶銑3中のりんPを主に取り除く脱りん工程として、転炉1の炉口1aからランス4を挿入し、溶銑3上面に近づけ、酸素ガスを吹き付けると同時に、炉底から吹き込みガスで溶銑3を撹拌しつつ精錬(吹錬)を開始する。同時に、石灰CaO等の造滓材や酸化鉄FexOy等の冷却材、すなわち副原料を投入することで、りんPは投入された酸素と反応してスラグ相に移行し、溶銑3の上方に浮いた状態で積層するようになる。このスラグ5の中には未反応のCaOが多く含まれるため、脱りん能力を有するものとなっている。
なお、以下、りんPと反応する酸素の内、ランス4から吹き込まれたものを気酸と呼び、酸化鉄FexOyを起源とする酸素を固酸と呼ぶ。また、溶銑(溶鋼)中の成分Aの濃度を[A]と表記し、スラグ中の成分Aの濃度を(A)と表記する。
次に、脱りん工程により生成されたスラグ5を、転炉1を炉前側へ傾けることで、外部に排出するようにしている。排出されたスラグ5は、転炉1下方に配置された移送手段6により運び出されるようになっている(排出工程)。しかしながら、溶銑3を排出することなくスラグ5を完全に排出することは困難であり、スラグは30%程度残る。
脱炭工程では溶鋼3の出鋼温度Tが1600℃〜1700℃程度に設定され、脱りん工程での溶銑3の温度Tより高温であるため、排出工程後に転炉1内に残留したスラグ5に新たに副原料を追加投入して生成させた脱炭スラグ5Aの脱りん能力は低いものとなっている。その結果、脱炭スラグ5Aによる脱炭工程での脱りん能力はスラグ5に劣り、スラグ5A自体のりん濃度(P)はスラグ5より高くなることはない。ゆえに、りん濃度(P)の低い、すなわち脱りん能力が十分にあるスラグ5Aを前チャージスラグ8としてリサイクルさせて有効利用し、廃棄スラグ量を減少することができる。
上記転炉1の制御には、各工程での物質収支や熱収支計算、反応速度計算にもとづいて組み立てられた精錬モデルを用いており、この精錬モデルをプロセスコンピュータ等で計算することで導出される酸素や副原料の投入量をガイダンス値(指針値)として参照し、それに基づき転炉1を操業するようにしている(スタティックコントロール)。
さらに、このスタティックコントロールに加えて、精錬が終了直前に[C]および溶湯温度Tの測定を行い、その結果に応じて吹き込み酸素量を微調節したり冷却材を投入したりして、目標値になった時点で精錬を終了させるダイナミックコントロールを行うようにしている。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、図2に示すように、最終目標値である脱炭工程(脱C工程)終了後の溶鋼の目標温度T、目標炭素濃度[C]を基に、中間目標値である脱りん工程(脱P工程)終了後の溶銑の目標温度T、目標炭素濃度[C]を算出して、これらガイダンス値である中間目標値及び最終目標値に基づいて転炉1の操業を行うものであり、前記最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、前記中間目標値を算出するようにしている。
まず、最終目標値として脱炭工程が終了して出鋼する際の目標温度Tや目標炭素濃度[C]を設定する(S301、S302)。
次に、この最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標温度Tと目標[C]を決定するようにする(S303,S304)。
前記中間目標値の決定方法の詳細は、図4に示すようなものであり、まず、脱炭工程での鉄収支計算より、溶鋼の出鋼量と生成されるスラグ量とを求めるようにする(S401)。すなわち、式(1)の如く、脱りん後の溶銑量と脱炭工程において溶解するスクラップ2等の量とを加えたものから、取り除かれる炭素Cや珪素Si等の量を引くことにより、溶鋼の出鋼量を算出し、前記取り除かれる炭素量や珪素量に予め求めた係数をかけることで生成されるスラグ量を算出する。
出鋼量=脱りん後の溶銑量+スクラップ量−脱C量−脱Si量 ・・・(1)
次に、S401の計算結果と最終目標値(出鋼時の目標温度Tと目標[C])を入力値として、脱炭工程での熱収支計算を行うようにする。つまり、脱炭工程において転炉1内に入る熱を入熱QTotal_inとして考えると共に、転炉1から外部に出る熱を出熱QTotal_outとし、「入熱=出熱」の方程式を立て、それを解くようにする(S402)。
すなわち、
QTotal_in=
Qin〔0〕+Qin〔1〕+Qin〔2〕+Qin〔3〕+Qin〔4〕+Qin〔5〕
+Qin〔6〕+Qin〔7〕+Qin〔8〕+Qin〔slag・P〕
・・・ (2)
ここで、
Qin〔0〕:溶銑払出量による熱量
Qin〔1〕:装入成分〔Si〕量による熱量
Qin〔2〕:装入成分〔Ti〕量による熱量
Qin〔3〕:装入成分〔AL〕量による熱量
Qin〔4〕:装入成分〔Mn〕量による熱量
Qin〔5〕:装入成分〔P〕量による熱量
Qin〔6〕:鉄の酸化による熱量
Qin〔7〕:装入成分〔C〕量による熱量
Qin〔8〕:装入スラグ〔SiO2〕量による熱量
Qin〔slag・P〕:脱Pスラグの炉内残留スラグ量による熱量
出熱としては、式(3)を考える。
QTotal_out=
Qout〔0〕+Qout〔1〕+Qout〔2〕+Qout〔3〕+Qout〔4〕
+Qout〔5〕+Qout〔st〕+Qout〔slag〕
+Qout〔slag(溶融)〕+Qout〔sc(溶融)〕
・・・ (3)
ここで、Qout〔0〕:発生ガスによる熱量
Qout〔1〕:スケール投入による熱量
Qout〔2〕:冷却材(鉄鉱石FexOy)投入による熱量
Qout〔3〕:Mn鉱石投入による熱量
Qout〔4〕:生ドロ投入による熱量
Qout〔5〕:スクラップ吸熱量
Qout〔st〕:吹止溶鋼の熱量
Qout〔slag〕:吹止時スラグの熱量
Qout〔slag(溶融)〕:スラグの溶融熱量
Qout〔sc(溶融)〕:スクラップの溶融熱量
なお、「入熱=出熱」の方程式には、熱量Qの変数として中間目標値である脱りん工程後の目標温度Tが含まれると共に目標[C]も含まれており、両者は未知数であるが、方程式は1つであるため、このままでは解が一義的に決定しない。そこで、脱りん工程後の目標[C]は、脱りん時の総酸素量を溶銑1トンあたり標準状態で11m3(11Nm3/t)の固定値とし、この酸素と結合する炭素量を式(4)に基づき決定するようにしている。
脱C量(kg/チャージ)=0.9561×総酸素使用予定量−1415.4
総酸素使用予定量(Nm3/チャージ)
=11×(溶銑量+スクラップ量)/1000 ・・・(4)
決定された目標[C]を用いて「入熱=出熱」の方程式を解くと、脱りん工程後の溶銑3の目標温度Tが計算できる(S404)。
ところが、前記副原料の投入により溶銑温度Tが必要以上に低下する場合がある。そこで、溶銑温度Tを中間目標値に合致させるべく固酸と気酸との比率を決定し、吹き込み酸素量などを決めるようにしている(S306)。気酸すなわちランス4から吹き込まれる酸素及び固酸の分解により供給される酸素は、溶銑3中の炭素Cと反応して発熱するが、その内、固酸すなわち冷却材である酸化鉄FexOyは、溶銑3中で酸素Oと鉄Feとに分解する際に大きく吸熱する。したがって、気酸と固酸との比率を調整することで溶銑3の温度Tを上昇又は下降させて中間目標値とすることができる。
スラグ成分(CaO) = 生成CaO量/計算スラグ量
スラグ成分(SiO2) = 生成SiO2量/計算スラグ量
スラグ成分(Al2O3) = 生成Al2O3量/計算スラグ量
スラグ成分(MgO) = 生成MgO量/計算スラグ量 ・・・(5)
塩基度C/S = 生成スラグ(CaO)/生成スラグ(SiO2) ・・・(6)
これらの値が適切でない場合は、投入された副原料により形成されたスラグ5の脱りん能力が著しく低下するため、再度、S305,S306に戻り、再計算を行った上で、適切な塩基度C/Sとなるように、副原料の投入量および、気酸と固酸との比率を算出するとよい。
続いて、図3のように、脱りん工程におけるガイダンス値を入力値、最終目標値を出力値として、脱炭工程でのガイダンス値を算出するようにしている。
まず、中間目標値や脱りん工程でのガイダンス値を基に、脱炭工程での副原料(生石灰CaO等)の投入量を算出するようにする(S308)。S308においては、脱りん工程で生成されたスラグ5の一定量(30%)が繰り越される、換言すれば排出工程において一定量のスラグ5が残留するものとして計算を進めている。
さらに、前記S307と同様に化学反応過程などを考慮することで、脱炭工程での塩基度C/Sやスラグ予測成分値を、副原料の投入量および、気酸と固酸との比率から算出している(S310)。S310で求められた塩基度C/Sの値が適切でない場合は、S308,S309に戻り、塩基度C/Sを適切にするように計算を再度行うようにしている。
なお、本実施形態の場合、出鋼時の目標りん濃度[P]や脱りん工程後の目標りん濃度[P]は、適宜最適な値を設定するようにしている。
以上のように求められるガイダンス値を用いることで、ダブルスラグ法での各工程が最適パスを取るように転炉の操業を行うことができる。
本実施形態は、脱りん工程での脱りんに必要なスラグ量を中間スラグ量(ミニマムスラグ量)として算出し、脱炭工程で生成され且つリサイクルされた前チャージスラグ8と、脱りん工程で生成されるスラグ5との総量がミニマムスラグ量以上となるように、脱りん工程での副原料の投入量を決定し、決定された投入量に基づいて転炉1の操業を行うことが、第1実施形態とは大きく異なる点である。
本実施形態の場合も、脱りん工程後の目標[C]は、脱りん時の総酸素量(脱珪に消費される酸素量は除く)を11Nm3/tの固定値とし、この酸素と結合する炭素量を化学式等から算出して決定するようにしている。
その後、当該脱りん工程での脱りんに必要とされるスラグ量を、ミニマムスラグ量(中間スラグ量)として算出する(S504)。
ミニマムスラグ量 =(インプットP量ー脱りん工程後[P]×溶銑量)
×2.29/脱P後目標(P2O5) ・・・(7)
さらに、中間目標値である脱りん工程後の目標温度Tを第1実施形態と同様に図4に示したフローに従い求めるようにする(S505)。
ミニマムスラグ量 ≦ 前チャージスラグ量 + 脱りん工程での生成スラグ量
・・・(8)
具体的には、投入される副原料がすべてゼロであると仮定して、溶銑3の脱りん工程での熱収支計算を行い、発生するスラグ量、すなわち地金付着スラグや溶銑3及びスクラップ中の成分の酸化により発生するCaO、SiO2、P2O5、T.Fe量等を計算する。これらのスラグ量の合計と前チャージスラグ8との総量が、ミニマムスラグ量より少ない場合は、生成スラグを増加させるべく、副原料(生石灰、珪石等)の投入を行うようにする。
S506→S507→S508により求められた副原料の投入量および、気酸と固酸との比率は、脱りん工程における操業のガイダンス値であり、それに基づいて、脱りん工程での転炉1の操業を行うようにしている。
続いて、第1実施形態と同様に、前記脱りん工程のガイダンス値を入力値、最終目標値を出力値として、脱炭工程でのガイダンス値を算出し(S509,S510,S511)、それに基づいて、転炉1の操業を行うようにするとよい。
図6は、本発明にかかる第3実施形態における精錬モデルのフローを示したものである。
本実施形態は、脱りん工程での脱りんに必要なスラグ量を中間スラグ量(ミニマムスラグ量)として算出し、脱炭工程で生成され且つリサイクルされた前チャージスラグ8と、脱りん工程で生成されるスラグ5との総量がミニマムスラグ量以上となるように、脱りん工程での副原料の投入量を決定し、決定された投入量に基づいて転炉1の操業を行い、さらに、前記脱りん工程での塩基度C/Sが所定の範囲内になるように、脱りん工程での副原料の投入量を決定する点が、第2実施形態とは大きく異なる点である。
図6に示すように、脱りん工程での副原料投入量の計算(S602)は、まず、投入される副原料がすべてゼロであると仮定して、溶銑3での熱収支計算を行い、発生するスラグ量、すなわち発生するCaO、SiO2、P2O5、T.Fe量等を計算する。これらのスラグ量の合計を計算スラグ量とする(S603)。
この計算スラグ量が、S601において計算されたミニマムスラグ量より少ない場合は、生成スラグを増加させるべく、塩基度C/Sが適正範囲(1.0〜3.0)となるように副原料(生石灰、珪石等)の投入を行うことを決定し、その投入量を算出するようにする(S604)。
もし、上記範囲以外であったら、塩基度C/Sを適正とするために投入するべき副原料の種類や投入量を計算により求めるようにする(S605)。塩基度C/Sが前記範囲内であった場合は、副原料=0のまま計算を進める。
以上の計算により求められた副原料の投入に伴う昇熱を緩和するために、冷却材(鉄鉱石)の投入量を熱収支計算を行いながら決定する(S606,S607)。
なお、転炉操業のためのガイダンス値を算出する他の処理手順は、第2実施形態と略同じであり、その説明は省略する。
図7は、本発明にかかる第4実施形態における精錬モデルのフローを示したものである。
そこで、本実施形態は、前記脱りん工程終了後に、中間目標値の実績を脱りん工程の副原料、酸素の実績投入量を基に算出し、かかる中間目標値の実績値に基づき、脱炭工程での副原料、酸素の投入量を修正するようにしており、この点が第2実施形態とは大きく異なる点である。
具体的には、気酸はランス4から吹き込まれた酸素量の実績値を採用し、固酸は投入されたスケールや鉄鉱石量の実績値に係数をかけることで算出する。求められた気酸・固酸量を基にして、酸化により取り去られる炭素量や珪素量を求めるようにする。さらに、転炉に装入された溶銑及び鉄屑の量や副原料量の実績値を基に、熱収支計算(入熱=出熱)を行うことで、脱りん後の目標温度Tを求める。
以上のようにして求まった中間目標値の実績値を、脱炭工程の熱収支計算を基に計算した中間目標値と置き換えることにより、脱炭工程での副原料配合量の再計算(S703)、気酸と固酸との比率の再計算(S704)、脱炭工程での塩基度C/Sの計算(S705)を行い、脱炭工程でのガイダンス値を再算出するようにする。このガイダンス値に基づいて、脱炭工程での転炉1の操業を行う。
なお、適宜、溶銑3のサンプル採取を行い、そのデータに基づいて、副原料、酸素の実績投入量を基に算出された中間目標実績値の補正を行うことは非常に好ましい。
転炉操業のためのガイダンス値を算出する他の処理手順は、第2実施形態と略同じであるため、説明を省略する。
本実施形態は、排出工程で排出されるスラグ量と全スラグ量との比率である排滓率を一定(70%)とせず、排滓率の実績値に基づいて、脱炭工程の副原料、酸素の投入量を修正する点が他の実施形態と大きく異なっており、他の点では第2実施形態と略同一である。
排出工程で排出されず転炉1内に残留するスラグ量の測定は、排出したスラグ重量を測定して脱Pスラグ量より差し引いて行った。その他の方法として、目視や画像処理手法を用いて測定する(S801)。
この考えのもと、前記繰り越しスラグ量の実績値を入力値として、脱炭工程での副原料配合量の再計算(S703)、気酸と固酸との比率の再計算(S704)、脱炭工程での塩基度計算(S705)を行うようにする。
第1実施形態を適用した精錬にかかる各データは、図中では本発明例1と記載されており、他も同様である。
図9には、転炉1に装入した溶銑3の成分を示したものである。本発明例1〜本発明例5の全てにおいて、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]は同一であり、溶銑温度Tも1350℃前後で略同一である。
各発明例において、投入される副原料(造滓材)の量は異なると共に使用される総酸素量も11Nm3/t前後となっているが、比較例1に比べ、どちらも使用量は少なくなっていて、効率のいい精錬が行われていることがわかる。
各発明例において、投入される副原料の量は異なるものの、高価な昇熱材(黒鉛)の使用量は全てにおいてゼロであり、精錬コストの低い転炉の運用が可能となっていることがわかる。また、脱炭後の溶鋼温度T(ダイナミックコントロール後の溶鋼温度T)は1680℃前後でばらつきが少なく、目標温度(1680℃)と略一致するものとなっている。
図12(a)は、溶銑精錬後に排出されスラグ量を示したものであり、比較例と比べて、各発明例の排出スラグ量は少ないものとなっている。特に、ミニマムスラグ量を導入した本発明例2〜本発明例5に関しては、スラグ排出量が著しく少ないものとなっている。 図12(b)は[P]の規格上限はずれ率、図12(c)は出鋼時の溶鋼温度Tの上下限規格はずれ率を示したものであり、本発明例1では5%、本発明例2〜本発明例5では0%であり、比較例1と比べて大きく向上していることがわかる。
本実施例の本発明例1〜本発明例5のいずれにおいても、最適パスで転炉の操業が行われているため、熱ロスが非常に少なく高価な昇熱材を必要としないものとなっている。
なお、本発明の転炉1の操業方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、最終目標値や中間目標値として、溶鉄(溶鋼又は溶銑)温度Tと[C]とを採用したが、そのいずれか一方であってもよく、[P]や[Mn]や[Si]を最終目標値又は中間目標値として採用してもよい。
2 スクラップ
3 溶銑
4 ランス
5 スラグ
8 前チャージスラグ
Claims (1)
- 転炉内に装入された溶銑の脱りん精錬を行う脱りん工程と、脱りん工程後の溶銑の脱炭精錬を同一転炉にて行う脱炭工程とを有するダブルスラグ法を用いた転炉の操業方法において、
下記に示すステップ(1)〜ステップ(10)により、脱りん処理における操業条件を求めると共に、脱炭処理における操業条件を求めた上で、脱りん処理及び脱炭処理を行うことを特徴とする転炉の操業方法。
(1)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標炭素濃度[C]を設定する。
(2)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標温度を設定する。
(3)前記最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]を設定する。
(4)脱りん工程での脱りんに必要とされるスラグ量を、ミニマムスラグ量として算出する。
(5)最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標温度を設定する。
(6)中間目標値である脱りん工程後の目標温度と、中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]とを基にして、式(8)の関係を満たすように、脱りん工程において投入する副原料の量を求める。
(7)溶銑温度を中間目標値にするべく、脱りん工程における固酸と気酸との投入比率を決定する。
(8)脱りん工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、スラグの塩基度を求める。
(9)前記中間目標値、前記脱りん工程における副原料の投入量及び気酸と固酸との比率を基に、脱炭工程での副原料の投入量を算出すると共に、溶銑温度を最終目標値にするべく、脱炭工程での固酸と気酸との比率を決定する。
(10)脱炭工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、脱炭工程におけるスラグの塩基度を求める。
ただし、ミニマムスラグ量は、式(7)にて示される値である。
ミニマムスラグ量 =(インプットP量−脱りん工程後[P]×溶銑量)
×2.29/脱P後目標(P 2 O 5 ) ・・・(7)
ミニマムスラグ量 ≦ 前チャージスラグ量 + 脱りん工程での生成スラグ量
・・・(8)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004016228A JP4353818B2 (ja) | 2004-01-23 | 2004-01-23 | 転炉の操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004016228A JP4353818B2 (ja) | 2004-01-23 | 2004-01-23 | 転炉の操業方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005206900A JP2005206900A (ja) | 2005-08-04 |
JP4353818B2 true JP4353818B2 (ja) | 2009-10-28 |
Family
ID=34901451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004016228A Expired - Fee Related JP4353818B2 (ja) | 2004-01-23 | 2004-01-23 | 転炉の操業方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4353818B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100354433C (zh) * | 2006-02-21 | 2007-12-12 | 攀钢集团成都钢铁有限责任公司 | 转炉冶炼方法 |
JP4937828B2 (ja) * | 2007-05-09 | 2012-05-23 | 新日本製鐵株式会社 | 溶鋼の吹錬方法 |
JP5396834B2 (ja) * | 2008-11-28 | 2014-01-22 | 新日鐵住金株式会社 | 転炉の精錬方法 |
JP5493911B2 (ja) * | 2010-01-25 | 2014-05-14 | 新日鐵住金株式会社 | 溶銑の脱燐処理方法 |
JP5821656B2 (ja) * | 2011-01-28 | 2015-11-24 | Jfeスチール株式会社 | 生石灰濃度予測装置及び吹錬制御方法 |
CN103540707B (zh) * | 2013-11-11 | 2015-11-11 | 莱芜钢铁集团有限公司 | 全留渣-单渣法转炉冶炼方法 |
KR102201444B1 (ko) * | 2019-02-26 | 2021-01-12 | 현대제철 주식회사 | 전로 정련 방법 |
CN109913613B (zh) * | 2019-04-01 | 2021-08-17 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 快速成渣的半钢少渣脱磷冶炼方法 |
CN112011666A (zh) * | 2020-09-11 | 2020-12-01 | 山东钢铁集团日照有限公司 | 一种冶炼超低磷钢的控制方法 |
JP7524861B2 (ja) | 2021-07-28 | 2024-07-30 | Jfeスチール株式会社 | スタティック吹錬制御方法、温度補正項・酸素補正項推定装置、及び、転炉制御装置 |
-
2004
- 2004-01-23 JP JP2004016228A patent/JP4353818B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005206900A (ja) | 2005-08-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5396834B2 (ja) | 転炉の精錬方法 | |
CN109321704B (zh) | 一种采用溅渣护炉降低冶炼终渣磷含量的冶炼方法 | |
JP4353818B2 (ja) | 転炉の操業方法 | |
JP6164151B2 (ja) | 転炉型精錬炉による溶鉄の精錬方法 | |
JP6314484B2 (ja) | 溶銑脱りん方法 | |
JP2021511436A (ja) | 極低燐鋼の生産過程における排滓の方法及び極低燐鋼の生産方法 関連出願の交互引用本出願は、2018年12月3日に中国専利局に提出された出願番号が2018114635554であり、名称が「極低燐鋼の生産過程における排滓の方法及び極低燐鋼の生産方法」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。 | |
JP4790489B2 (ja) | 転炉製鋼法 | |
JP4937828B2 (ja) | 溶鋼の吹錬方法 | |
JP2020180322A (ja) | 転炉を用いた溶鋼の製造方法 | |
JP2008063610A (ja) | 溶鋼の製造方法 | |
JP3575304B2 (ja) | 転炉製鋼方法 | |
JP4497942B2 (ja) | 転炉の操業方法 | |
JP4353819B2 (ja) | 転炉の操業方法 | |
JP4353817B2 (ja) | 転炉の操業方法 | |
JP4807895B2 (ja) | 転炉の主原料配合方法 | |
JPH07310110A (ja) | ステンレス鋼の製造方法 | |
JP2014037605A (ja) | 溶銑脱りん方法、溶銑脱りんシステム、低りん溶銑の製造方法および低りん溶銑の製造装置 | |
WO2022154023A1 (ja) | 転炉精錬方法 | |
JP2002105526A (ja) | 未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法 | |
JP7477797B2 (ja) | 転炉精錬方法 | |
JP5673485B2 (ja) | 溶銑の脱炭吹錬方法 | |
KR20190076314A (ko) | 저탄소강의 정련방법 | |
JPH06108137A (ja) | 低硫鋼の溶製方法 | |
JP5283309B2 (ja) | 転炉設備の操業方法 | |
KR20060035274A (ko) | 아연도금 강판용 용강의 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060925 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090317 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090515 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090728 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090728 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4353818 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120807 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130807 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |