JP4353819B2 - 転炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、同一容器で溶銑の脱りん精錬と脱炭精錬とを行うダブルスラグ法を用いた転炉の操業方法に関するものである。
従来から用いられている溶銑の精錬方法の1つとして、特許文献1に開示されたようなダブルスラグ法が採用されている。ダブルスラグ法は、溶銑を転炉に装入し(装入工程)、副原料添加と酸素吹込みを行って脱りん精錬を施し(脱りん工程)、所定のりん濃度まで低減させ、前記転炉を傾動して脱りん工程で生成したスラグを排出し(排出工程)、その後、同一転炉にて副原料添加と酸素吹錬により、所定の炭素濃度まで脱炭を行う(脱炭工程)ものである。前記装入工程では、スクラップすなわち、故銑や鉄屑、製鋼工程で生じる地金を併せて装入するようにしている。ダブルスラグ法における脱りん工程は約4〜5分程度の短時間で行われるため、転炉内に装入されたスクラップは多くの場合、脱りん工程後も溶け残っていた。
一方、特許文献2には、転炉の操業において、転炉中の未溶解のスクラップ量を考慮しつつダイナミックコントロールを行う技術が開示されている。
特許第2896839号公報 特開平5−9538号公報
前記脱りん工程において、スクラップの溶解量(又は溶け残り量)を正確に把握し、スクラップの溶融に伴う熱の出入りを反映させた熱収支計算を行うことは重要なことであり、当該熱収支計算に基づくことで、脱りん工程における的確な操業条件を算出できるようになる。
しかしながら、脱りん工程において、スクラップの溶融に伴う熱の出入りを反映させた熱収支計算を行うスタティックコントロール技術は従来から提案がなされていなかった。また、特許文献2はダイナミックコントロールにおける昇温モデルに、スクラップ未溶解量を考慮するものであり、脱りん工程時の熱収支計算、すなわちスタティックコントロールにかかる技術を適用することは困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、脱りん工程で溶解するスクラップを考慮した熱収支計算を行うことで、最適な操業条件を算出すると共に、この操業条件に基づいて転炉の操業を行う転炉の操業方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、転炉内にスクラップと共に装入された溶銑の脱りん精錬を行う脱りん工程と、脱りん工程後の溶銑の脱炭精錬を同一転炉にて行う脱炭工程とを有するダブルスラグ法を用いた転炉の操業方法において、下記に示すステップ(1)〜ステップ(9)により、脱りん処理における操業条件を求めると共に、脱炭処理における操業条件を求めた上で、脱りん処理及び脱炭処理を行うことを特徴とする。
(1)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標炭素濃度[C]を設定する。
(2)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標温度を設定する。
(3)前記最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]を設定する。
(4)最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標温度を設定する。
(5)中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]と、中間目標値である脱りん工程後の目標温度とを基に、脱りん工程において投入する副原料の投入量を求める。
(6)溶銑温度を中間目標値にするべく、脱りん工程での熱収支計算を行い、固酸と気酸との比率を決定する。
(7)脱りん工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、スラグの塩基度を求める。
(8)前記中間目標値、前記脱りん工程における副原料の投入量及び気酸と固酸との比率を基に、脱炭工程での副原料の投入量を算出すると共に、溶銑温度を最終目標値にするべく、脱炭工程での固酸と気酸との比率を決定する。
(9)脱炭工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、脱炭工程におけるスラグの塩基度を求める。
ただし、前記脱りん工程での熱収支計算は、脱りん工程において転炉内に入る熱を式(1)に示す入熱Q Total_in とし、転炉から外部に出る熱を式(2)に示す出熱Q Total_out とし、前記入熱Q Total_in と前記出熱Q Total_out とが等しいとして行う。
Total_in
in 〔0〕+Q in 〔1〕+Q in 〔2〕+Q in 〔3〕+Q in 〔4〕
+Q in 〔5〕+Q in 〔6〕+Q in 〔7〕 ・・・ (1)
ここで、
in 〔0〕:溶銑の有する熱量
in 〔1〕:装入成分〔Si〕量による熱量
in 〔2〕:装入成分〔Ti〕量による熱量
in 〔3〕:装入成分〔AL〕量による熱量
in 〔4〕:装入成分〔Mn〕量による熱量
in 〔5〕:装入成分〔P〕量による熱量
in 〔6〕:鉄の酸化反応による熱量
in 〔7〕:装入成分〔C〕量による熱量
Total_out
out 〔0〕+Q out 〔1〕+Q out 〔2〕+Q out 〔3〕
+Q out 〔4〕+Q out 〔5〕 ・・・ (2)
ここで、
out 〔0〕:発生ガスによる熱量
out 〔1〕:スケール投入による熱量
out 〔2〕:冷却材(鉄鉱石Fe x y )投入による熱量
out 〔3〕:Mn鉱石投入による熱量
out 〔4〕:生ドロ投入による熱量
out 〔5〕:スクラップ吸熱量
この技術的手段によれば、脱りん工程で溶解するスクラップを考慮した熱収支計算により、正確な脱りん工程の操業条件を算出でき、この操業条件に基づいて最適な転炉操業が可能となる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、スクラップと共に溶銑を転炉に装入する装入工程と、転炉内の溶銑の脱りん精錬を行う脱りん工程と、前記脱りん工程で生成されたスラグを転炉から排出する排出工程と、前記排出工程後に同一転炉にて溶銑の脱炭精錬を行う脱炭工程とを備える転炉の操業方法において、最終目標値である脱炭工程終了後の溶鋼の目標温度、目標炭素濃度を入力として脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程終了後の溶銑の目標温度、目標炭素濃度を算出し、脱りん工程で溶解するスクラップを考慮した熱収支計算を行うことで、前記中間目標値を満たすように、脱りん工程での副原料、酸素の投入量を決定し、決定された脱りん工程の副原料、酸素の投入量に基づいて、脱炭工程での副原料、酸素の投入量を決定し、それぞれの投入量に基づいて転炉の操業を行うことを特徴とする。
この技術的手段によれば、最終目標値を入力として脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値を算出でき、脱りん工程で溶解するスクラップを考慮した熱収支計算を行うことで、前記中間目標値から脱りん工程での副原料、酸素の投入量が決定できる。さらに、前記副原料、酸素の投入量に基づいて、脱炭工程での副原料、酸素の投入量が決定でき、これら各投入量に基づいて最適な転炉操業が行えるようになる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記脱りん工程での熱収支計算は、転炉に対する入熱量と出熱量とが等しいとして行い、前記出熱量は、スクラップ溶解時に溶銑より奪われる熱量であるスクラップ吸熱量を含んでいることを特徴とする。
この技術的手段によれば、スクラップ溶解時に溶銑より奪われる熱量であるスクラップ吸熱量が含まれている出熱量と、入熱量とが等しいとすることで、より精度の高い熱収支計算を行うことができる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記スクラップを重量によりクラス分けし且つ各クラスに応じた溶解熱を積算することで、前記スクラップ吸熱量を求めることを特徴とする。
この技術的手段によれば、スクラップをその重量でクラス分けすると共に、それぞれのクラスに属するスクラップとその溶解熱を対応づけておき、実際に使用するスクラップの溶解熱を前記対応関係から求め且つ積算することにより、スクラップ吸熱量を正確に求めることができるようになる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記スクラップ吸熱量を、スクラップの重量と溶解熱との回帰近似により求めることを特徴とする。
この技術的手段によれば、スクラップ吸熱量を統計的手法を用いて求めた近似式により正確に算出することができるようになる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記転炉にて使用されるスラグ及び地金付着スラグを前記脱りん工程での熱収支計算に加味して行うことを特徴とする。
この技術的手段によれば、転炉内に投入されるスラグの溶解及び昇温に必要とされる熱量を考慮することで、より精度の高い脱りん工程での熱収支計算を行うことが可能となる。
本発明によれば、ダブルスラグ法の脱りん工程で溶解するスクラップを考慮した熱収支計算を行うことで最適な操業条件を算出でき、この操業条件に基づいて最適な転炉の操業が可能となる。
以下、本発明にかかる転炉の操業方法を、図を基に説明する。
図1は、転炉1を用いた精錬方法の1つであるダブルスラグ法の手順(操業手順)を示したものである。
まず、装入工程として、転炉1の底部に故銑や鉄屑、製鋼工程で生じる地金等のスクラップ2を入れ、転炉1を傾動し、炉内に溶銑3を流し入れるようにする。
その後、溶銑3中のりんPを主に取り除く脱りん工程として、転炉1の炉口1aからランス4を挿入し、溶銑3上面に近づけ、酸素ガスを吹き付けると同時に、炉底から吹き込みガスで溶銑3を撹拌しつつ精錬(吹錬)を開始する。同時に、石灰CaO等の造滓材や酸化鉄Fexy等の冷却材、すなわち副原料を投入することで、りんPは投入された酸素と反応してスラグ相に移行し、溶銑3の上方に浮いた状態で積層するようになる。このスラグ5の中には未反応のCaOが多く含まれるため、脱りん能力を有するものとなっている。
脱りん工程でのりん処理能力は、様々な条件により変化し、溶銑3の温度Tが低い(1300〜1400℃)ほど高いものとなっている。スラグ5中の珪素濃度[Si]が低いほど、スラグ5の脱りん能力は高く、スラグ5中のCaO/SiO2、すなわち塩基度C/Sを考えた場合、塩基度C/Sが高いほど脱りん能力が高い。
なお、以下、りんPと反応する酸素の内、ランス4からの吹き込まれた酸素O2を気酸と呼び、酸化鉄Fexyを起源とする酸素Oを固酸と呼ぶ。また、溶銑(溶鋼)中の成分Aの濃度を[A]と表記し、スラグ中の成分Aの濃度を(A)と表記する。
次に、脱りん工程により生成されたスラグ5を、転炉1を傾けることで、外部に排出するようにしている。排出されたスラグ5は、転炉1下方に配置された移送手段6により運び出されるようになっている(排出工程)。しかしながら、溶銑3を排出することなくスラグ5を完全に排出することは困難であり、スラグ5は30%程度残る。
排出工程を経た転炉1は、再び元の姿勢に戻され、酸素吹き込みや副原料の投入をなされることで、主に溶銑3中の炭素Cを取り除き[C]を調整する脱炭工程へと進む。脱炭工程後は、転炉1を傾動させ、転炉1の上部側方に設けられた出鋼口7より溶鋼を外へ流し出すようにしている。その際、脱炭工程で生成されたスラグ5を残すようにし、次に精錬する溶銑3を装入するようにする(次チャージの装入工程)。
脱炭工程では溶銑3の温度Tが1600℃〜1700℃程度に設定され、脱りん工程での溶銑3の温度Tより高温であるため、スラグ5に新たに副原料を追加投入して生成させた脱炭スラグ5Aの脱りん能力は低いものとなっている。その結果、脱炭スラグ5Aは脱炭工程で脱りんをほとんど行わず、スラグ5A自体のりん濃度(P)が高くなることはない。ゆえに、りん濃度(P)の低い、すなわち脱りん能力が十分にあるスラグ5Aを前チャージスラグ8としてリサイクルさせて有効利用し、廃棄スラグ量を減少することができる。
なお、脱りん工程であっても、脱炭や脱珪は行われており、脱炭工程であっても、投入された副原料によりわずかながら脱りんが行われ、逐次スラグ5,5Aが生成される。
なお、前記装入工程で転炉1内に装入されるスクラップ2の内、地金と呼ばれるものには、図1に示すように、
(1)溶銑地金:別工程で発生した脱珪用スラグに混在して残留しているメタル、或いはトーピードカーに設けられた装入口などに付着したメタル
(2)炉口地金:転炉1の炉口1aに固着するメタル
(3)炉下地金:溶銑3がスロッピング等により転炉1外に噴出し転炉3下に堆積したメタル
(4)平パン地金:転炉1または取鍋から移送手段6に移し替えられた転炉スラグ或いは連鋳造塊スラグの下層部に溜まるメタル、ポット地金、受け容器地金と表記される場合もある。
(5)溶銑鍋地金:溶銑鍋10内、特にスラグライン部に固着するメタル
がある。
また、脱りん工程や脱炭工程の際に、前チャージのスラグを転炉1内に残留させたり、地金付着スラグ、転炉炉下スラグ、溶銑鍋残留スラグ、転炉スラグ、連鋳スラグ、造塊スラグ、合金鉄スラグ等を転炉1に投入して、溶銑や溶鋼の処理過程や製鉄所で発生する各種のスラグの有効利用を図っている。
転炉1において使用される主なスラグは、
(1)前チャージ残留スラグ:前回の転炉精錬で生成、残留したスラグ
(2)地金付着スラグ:転炉へ主原料(鉄源)として装入した地金に付着しているスラグ
(3)溶銑鍋残留スラグ:転炉に溶銑を注入する際に溶鉄とともに装入されるスラグ(装入前の除滓時に残留したスラグ)
(4)炉下スラグ:スロッピングや排滓などにより転炉の下に落下したスラグ
(5)転炉スラグ:転炉精錬後に排滓したスラグ
(6)連鋳スラグ:連鋳鋳造後の取鍋に残留したスラグ
(7)合金鉄スラグ:FeMnやSiMnなどの合金鉄の製造時に発生したスラグ
(8)その他の精錬スラグ:溶銑脱珪スラグ(高炉スラグ)、溶銑脱硫スラグなど
である。
多くの場合、地金には精錬スラグが付着して一体となって存在している。
上記転炉1の制御には、各工程での物質収支や熱収支計算、反応速度計算にもとづいて組み立てられた精錬モデルを用いており、この精錬モデルをプロセスコンピュータ等で計算することで導出される酸素や副原料の投入量をガイダンス値(指針値)として参照し、それに基づき転炉1を操業するようにしている(スタティックコントロール)。
さらに、このスタティックコントロールに加えて、精錬が終了直前に[C]および溶銑温度Tの測定を行い、その結果に応じて吹き込み酸素量を微調節し、目標値になった時点で精錬を終了させるダイナミックコントロールを行うようにしている。
前記ガイダンス値に基づいて、精錬終点の[C]と温度Tを一度の精錬で最終目標値に合致させつつ低コストで転炉1の操業を行うようにしている。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、転炉1内にスクラップ2と共に装入された溶銑3の脱りん精錬を行う脱りん工程と、脱りん工程後の溶銑3の脱炭精錬を同一転炉にて行う脱炭工程とを備える転炉の操業方法において、脱りん工程で溶解するスクラップ2を考慮した熱収支計算を行うことで、脱りん工程における操業条件を算出し、この操業条件に基づいて転炉の操業を行うものである。
換言すれば、前記ダブルスラグ法を行う転炉の操業方法において、最終目標値である脱炭工程終了後の溶鋼の目標温度、目標炭素濃度を入力として脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程終了後の溶銑の目標温度、目標炭素濃度を算出し、脱りん工程で溶解するスクラップ2を考慮した熱収支計算を行うことで、前記中間目標値を満たすように、脱りん工程での副原料、酸素の投入量を決定し、決定された脱りん工程の副原料、酸素の投入量に基づいて、脱炭工程での副原料、酸素の投入量を決定し、それぞれの投入量に基づいて転炉の操業を行うようにしている。
図2、図3は、第1実施形態の転炉の操業方法におけるガイダンス値を算出する方法、すなわち精錬モデルのフローを示したものである。
まず、最終目標値として脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標温度Tや目標炭素濃度[C]を設定する(S201、S202)。
次に、この最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の溶銑の目標温度Tと目標[C]を決定するようにする(S203,S204)。
前記中間目標値の決定方法の詳細は、まず、脱炭工程での鉄収支計算より、溶鋼の出鋼量と生成されるスラグ量とを求めるようにする。次に、前記計算結果と最終目標値(出鋼時の目標温度Tと目標[C])を入力値として、脱炭工程での熱収支計算、つまり、脱炭工程において転炉1内に入る熱を入熱として考えると共に、転炉1から外部に出る熱を出熱とし、「入熱=出熱」の方程式を立て、それを解くようにする。
なお、「入熱=出熱」の方程式には、熱量Qの変数として中間目標値である脱りん工程後の目標温度Tが含まれると共に目標[C]も含まれており、両者は未知数であるが、方程式は1つであるため、このままでは解が一義的に決定しない。そこで、脱りん工程後の目標[C]は、脱りん時の総酸素量を溶銑1トンあたり標準状態で11m3(11Nm3/t)の固定値とし、この酸素と結合する炭素量を化学式等から逆算する。決定された目標[C]を用いて「入熱=出熱」の方程式を解くと、脱りん工程後の溶銑3の目標温度Tが計算できる。
以上、求まった脱りん工程後の目標温度Tと目標[C]、すなわち中間目標値を基に、脱りん工程において投入する副原料の量を求めるようにする(S205)。
本実施形態の場合、脱りん工程で投入される副原料、例えば、生石灰CaO等の造滓材は、溶銑3中のりんPを取り去るのに必要十分な量を投入するようにすればよい。
ところが、前記副原料の投入により溶銑温度Tが必要以上に低下する場合がある。そこで、溶銑温度Tを中間目標値に合致させるべく、脱りん工程での熱収支計算を行い、固酸と気酸との比率を決定し、吹き込み酸素量などを決めるようにしている(S206)。
前記脱りん工程での熱収支計算は、転炉1に対する入熱量と出熱量とが等しいとして行い、出熱量は、スクラップ溶解時に溶銑3より奪われる熱量であるスクラップ吸熱量を含むものとなっている。
図3にはS206の詳しいステップが示されており、まず、脱りん工程時に、装入主原料、脱りん後溶銑量、スラグ量を求めるようにする(S301)。転炉内に装入される全主原料量は、高炉から搬入される溶銑3の量とスクラップ2の量とを略合わせたものである。
次に、脱りん工程において転炉1内に入る熱を入熱QTotal_inとして考えると共に、転炉1から外部に出る熱を出熱QTotal_outとし、「QTotal_in=QTotal_out」の方程式を立て、それを解くようにする。(S302)
入熱としては、式(1)に示すように、高炉から搬入される溶銑3の持つ熱量や溶銑成分の酸化に伴う発熱を考える。

Total_in
in〔0〕+Qin〔1〕+Qin〔2〕+Qin〔3〕+Qin〔4〕
+Qin〔5〕+Qin〔6〕+Qin〔7〕 ・・・ (1)

ここで、
in〔0〕:溶銑の有する熱量
in〔1〕:装入成分〔Si〕量による熱量
in〔2〕:装入成分〔Ti〕量による熱量
in〔3〕:装入成分〔AL〕量による熱量
in〔4〕:装入成分〔Mn〕量による熱量
in〔5〕:装入成分〔P〕量による熱量
in〔6〕:鉄の酸化反応による熱量
in〔7〕:装入成分〔C〕量による熱量

出熱としては、式(2)に示すように、脱りん工程終了時の溶銑3の有する熱量や投入冷却材(Fexy)による吸熱、スクラップ2の溶解に必要な熱量(スクラップ吸熱量)を考える。

Total_out
out〔0〕+Qout〔1〕+Qout〔2〕+Qout〔3〕
+Qout〔4〕+Qout〔5〕 ・・・ (2)

ここで、
out〔0〕:発生ガスによる熱量
out〔1〕:スケール投入による熱量
out〔2〕:冷却材(鉄鉱石Fexy)投入による熱量
out〔3〕:Mn鉱石投入による熱量
out〔4〕:生ドロ投入による熱量
out〔5〕:スクラップ吸熱量

前記スクラップ吸熱量Qout〔5〕は、装入工程で転炉内に装入されたスクラップ、すなわち冷銑や鉄屑、製鋼工程で生じる地金等が溶解する際に必要とされる熱量である。
ダブルスラグ法の脱りん工程は約4〜5分程度の短時間で行われるため、装入されたスクラップ2は多くの場合、溶け残るようになる。この溶け残り量を正確に把握し、スクラップ2の溶融に伴う熱の出入りを反映させた熱収支計算を行うことにより、脱りん工程における的確な操業条件を算出できるようになる。
本実施形態の場合は、前記スクラップ吸熱量Qout〔5〕を以下の2つの手法にて、推定するようにしている。
1つの手法は、スクラップ2を重量によりクラス分けし且つ各クラスに応じた溶解熱を積算することで、前記スクラップ吸熱量Qout〔5〕を求めるようにしている。
図4に示す如く、まず、投入されるスクラップ2をその出所や成分毎に大まかに分ける。すなわち、装入スクラップ2を、(i)故銑や普通銑が該当する冷銑、(ii)平パン地金や炉下地金が該当する地金、(iii)分解屑や圧延屑が該当する鉄屑に分類し、さらに、各装入スクラップ2毎に、その大きさを大、中、小と分けるようにする。その上で、各クラス毎に必要な溶解熱Qm1〜Qm15を操業実績等から求めておく。
その後、装入工程で実際に装入されるスクラップ2について、図4に照らし合わせながら溶解熱を求め、それらを加えあわせることで、スクラップ吸熱量Qout〔5〕を求めるようにする。
スクラップ吸熱量Qout〔5〕を求めるもう一つの手法は、スクラップ吸熱量Qout〔5〕を、スクラップ2の重量と溶解熱との回帰近似により求めるようにしている。
すなわち、本願出願人は、装入したスクラップ2の重量を重いもの(重量)と、比較的軽いもの(中量)と、非常に軽量であって脱りん工程で容易に溶解するもの(軽量)とに分類しておき、そのうちの2変数(重量スクラップの重さ、中量スクラップの重さ)とスクラップ吸熱量Qout〔5〕との関係が、式(3)に示す重回帰近似式で表されることを試験結果より明らかにしている。この重回帰近似式を用いることで、スクラップ吸熱量Qout〔5〕を容易に且つ正確に求めることができる。

スクラップ吸熱量Qout〔5〕=4.89×脱C量+0.118×発生スラグ量
+0.030×重量スクラップ合計量
−0.212×中量スクラップ合計量
−13094 ・・・(3)

以上の手順で求められた気酸と固酸との比率は、非常に重要な操業条件ガイダンス値であり、気酸すなわちランス4から吹き込まれる酸素O2及び固酸の分解により供給される酸素Oは、溶銑3中の炭素Cと反応して発熱するが、その内、固酸すなわち冷却材である酸化鉄Fexyは、溶銑3中で酸素Oと鉄Feとに分解する際に大きく吸熱する。したがって、気酸と固酸との比率を調整することで溶銑3の温度Tを上昇又は下降させて中間目標値とすることができる。
次に、求められた副原料の投入量、及び気酸と固酸との比率をもとに、副原料の酸化過程を示す化学式等からスラグ5の各成分(CaO,SiO2,Al23,MgO,T.Fe等)の生成量を算出すると共に、スラグ予測成分値を算出する。求められたCaOとSiO2の生成量から塩基度C/Sを導出する(S207)。
これらの値が適切でない場合は、投入された副原料により形成されたスラグ5の脱りん能力が著しく低下するため、再度、S205,S206に戻り、再計算を行った上で、適切な塩基度C/Sとなるように、副原料の投入量および、気酸と固酸との比率を算出するとよい。
以上述べたように、S205→S206→S207により求められた副原料の投入量および、気酸と固酸との比率は、脱りん工程における転炉操業のガイダンス値であり、それに基づいて、脱りん工程での転炉1の操業を行うようにしている。
続いて、図2に示す如く、脱りん工程におけるガイダンス値を入力値、最終目標値を出力値として、脱炭工程でのガイダンス値を算出するようにしている。
まず、中間目標値や脱りん工程でのガイダンス値を基に、脱炭工程での副原料(生石灰CaO等)の投入量を算出するようにする(S208)。S208においては、脱りん工程で生成されたスラグ5の一定量(30%)が繰り越される、換言すれば排出工程において一定量のスラグ5が残留するものとして計算を進めている。
次に、溶銑温度Tを最終目標値にするべく、固酸と気酸との比率を決定する(S209)。気酸が多ければ溶銑3の温度Tは上昇し、固酸が多ければ溶銑3の温度Tは下降する傾向にあるため、気酸と固酸との比率を調整することで溶銑3の温度Tを最終目標値とすることができるようになる。
S209においても、吹止溶鋼温度Tを最終目標値に合致させるべく、脱炭工程での熱収支計算を行い、固酸と気酸との比率を決定し、吹き込み酸素量などを決めるようにしている。脱炭工程での熱収支計算は、転炉に対する入熱量と出熱量とが等しい(QTotal_in=QTotal_out)として行い、出熱量は、脱りん工程で溶けきらず残っているスクラップの溶解熱を考慮するものとなっている。すなわち、熱収支計算の具体的なやり方は脱りん工程と略同様である。
さらに、前記S207と同様に化学反応過程などを考慮することで、脱炭工程での塩基度C/Sやスラグ予測成分値を、副原料の投入量および、気酸と固酸との比率から算出している(S210)。S210で求められた塩基度C/Sの値が適切でない場合は、S208,S209に戻り、塩基度C/Sを適切にするように計算を再度行うようにしている。
S208→S209→S210により、求められた副原料の投入量および、気酸と固酸との比率は、脱炭工程における転炉操業のガイダンス値であり、それに基づいて、転炉1の操業を行うようにするとよい。
なお、本実施形態の場合、出鋼時の目標りん濃度[P]や脱りん工程後の目標りん濃度[P]は、脱炭工程での熱収支計算に基づいた計算値を採用せず、適宜最適な値を設定するようにしている。
以上のようにして求められたガイダンス値を用いて転炉1の操業を行うことで、ダブルスラグ法での各工程が最適パスを取るようにすることができるようになる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、転炉1内にて使用されるスラグ(前チャージスラグを含む)及び地金付着スラグの溶解及び昇温に必要とされる熱量を考慮した上で、前記脱りん工程での熱収支計算を行うものである。
すなわち、脱りん工程において転炉1内に入る熱を入熱QTotal_inとして考えると共に、転炉1から外部に出る熱を出熱QTotal_outとし、「QTotal_in=QTotal_out」の方程式を立て、それを解くようにする。
入熱には、式(4)に示すように、高炉から搬入される溶銑3の持つ熱量や溶銑成分の酸化、前チャージ残留スラグ量による熱量や溶銑3と共に装入される溶銑スラグ量による熱量がある。

Total_in
in〔0〕+Qin〔1〕+Qin〔2〕+Qin〔3〕+Qin〔4〕+Qin〔5〕
+Qin〔6〕+Qin〔7〕+Qin〔8〕
+Qin〔slag・bef〕+Qin〔slag・hm〕 ・・・ (4)

ここで、
in〔0〕:溶銑払出量による熱量
in〔1〕:装入成分〔Si〕量による熱量
in〔2〕:装入成分〔Ti〕量による熱量
in〔3〕:装入成分〔AL〕量による熱量
in〔4〕:装入成分〔Mn〕量による熱量
in〔5〕:装入成分〔P〕量による熱量
in〔6〕:鉄の酸化による熱量
in〔7〕:装入成分〔C〕量による熱量
in〔8〕:装入スラグ〔SiO2〕量による熱量
in〔slag・bef〕:前チャージ残留スラグ量による熱量
in〔slag・hm〕:溶銑鍋残留スラグ量による熱量

出熱としては、式(5)に示すように、脱りん工程終了時の溶銑3の有する熱量や投入冷却材による吸熱、スクラップ2の溶解に必要な熱量(スクラップ吸熱量)、地金付着スラグの溶解に必要な熱量(溶融熱)、溶けた地金付着スラグの昇温に必要な熱量(昇温熱)がある。

Total_out
out〔0〕+Qout〔1〕+Qout〔2〕+Qout〔3〕+Qout〔4〕
+Qout〔5〕+Qout〔st(昇温)〕+Qout〔slag(昇温)〕
+Qout〔slag(溶融)〕+Qout〔sc(溶融)〕
・・・ (5)

ここで、Qout〔0〕:発生ガスによる熱量
out〔1〕:スケール投入による熱量
out〔2〕:冷却材(鉄鉱石Fexy)投入による熱量
out〔3〕:Mn鉱石投入による熱量
out〔4〕:生ドロ投入による熱量
out〔5〕:スクラップ吸熱量
out〔st(昇温)〕:吹止時の溶鋼の有する熱量
out〔slag(昇温)〕:吹止時のスラグの有する熱量
out〔slag(溶融)〕:スラグの溶融熱量
out〔sc(溶融)〕:スクラップの溶融熱量

上記熱収支計算において、前チャージ残留スラグは温度1600〜1700℃程度の熱間スラグであり、溶銑鍋残留スラグは温度1250〜1350℃程度の熱間スラグであるから、それらの有する熱量は、入熱量として加算している。
また、地金付着スラグ、転炉炉下スラグ、溶銑鍋残留スラグ、転炉スラグ、連鋳スラグ、造塊スラグ、合金鉄スラグ等の冷間スラグは当初は固体状態であるため、その溶融や昇温により転炉1内の熱を奪うものであり、出熱量として加算するようにしている。
各種の精錬スラグの昇温熱量(比熱)は、スラグ発生の場所毎に異なるため、発生場所毎のスラグについて、比熱を実際に求めた上でスラグ全体の平均値を求め、この比熱の平均値からスラグの昇温熱量Qout〔slag(昇温)〕を算出するようにしている。
このように脱りん工程での熱収支計算に、地金に付着したスラグに関する熱量を加味することにより、精度の高い熱計算を行うことができ、精錬後の目標温度Tに対する的中率を高めることが可能となる。
なお、以上述べた点以外においては、本実施形態と第1実施形態とは略同一であるため、説明は省略する。
以上述べた、第1実施形態及び第2実施形態を500kg溶解炉(試験転炉)に適用し、精錬を行った結果を図5〜図8に示している。
実施例1では、前チャージ精錬終了後、スラグを残留させた転炉にスクラップを入れ置きした後、溶銑2を装入した。その後、精錬モデルによるスタティック計算で得られたガイダンス値に基づき、副原料(生石灰、鉄鉱石)を溶銑へ投入しつつ、ランスより酸素を吹き付けて脱りん処理を行った。
脱りん処理後、脱りん処理により発生したスラグを排滓し、その後、さらに副原料や酸素を投入することで脱炭処理を行った。スタティックコントロールの精度を確認するためにダイナミックコントロールは行わないようにした。
なお、図中の本発明例1は、第1実施形態を適用して試験転炉1で精錬を行ったものであり、本発明例2は第2実施形態を適用したものである。換言すれば、本発明例1は、装入スクラップの溶解熱を考慮した上で、脱りん・脱炭工程での熱収支計算を行ったものであり、第2実施形態は、装入スクラップの溶解、並びに使用されるスラグ(前チャージスラグを含む)及び地金付着スラグの溶解及び昇温に必要とされる熱量を考慮した上で、脱りん・脱炭工程での熱収支計算を行ったものである。比較例1は、その熱収支計算に装入スクラップ又は装入スラグ等を考慮していないもので、他の条件は、本発明例1,2と同様である。
図5には、試験転炉1に装入した溶銑3の成分を示したものである。比較例1、本発明例1、本発明例2において、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]は略同一であり、溶銑温度Tも比較例1が1358℃、本発明例1が1345℃、本発明例2が1346℃で略同じである。
図6には、第1実施形態及び2実施形態に開示した精錬モデルから得られたガイダンス値を基に、前記溶銑3の脱りん工程を行った結果を示している。
具体的には、比較例1、本発明例1、本発明例2の全てで、溶銑の量は930kg/tであり、スクラップとして、重量屑(厚み150mm以上)を18.0kg/t、中量屑(厚み150〜50mm)を10.0kg/t、軽量屑(厚み50mm以下)を40.0kg/t装入した。その内、スラグが付着した地金は、軽量地金がトータルで22.0kg/t、重量地金がトータルで45.0kg/t装入した。
図7には、精錬モデルから得られたガイダンス値を基に、溶銑3の脱炭工程を行った結果を示しており、それらから得られたスタティック計算的中率が、図8に示されている。ここで、スタテック計算的中率とは、目標温度(目標吹き止め温度)に対して実際の吹止溶鋼温度が±20°Cに入る確率をいう。図8のグラフから、比較例1より本発明例1のスタティック計算的中率が大幅に向上(34%→66%)しており、本発明例1より本発明例2の方が15%も高くなっていることがわかる。
図9(b)は、脱りん工程での熱収支計算に、溶解するスクラップを考慮した第1実施形態(本発明例1)を50チャージを実施し、得られたスタテック計算誤差をグラフに表したものである。
図9(c)は、脱りん工程での熱収支計算に、溶解するスクラップ及びスラグを考慮した第2実施形態(本発明例2)を50チャージを実施し、得られたスタテック計算誤差をグラフに表したものである。
なお、図9(a)は比較例1であり、本発明を適用しないダブルスラグ法にて、50チャージの精錬を行った結果である。
比較例1のスタティック計算誤差は、その分散σが45.3℃であるのに対して、本発明例1は21.2℃で約半分となり、本発明例2の分散σは15.2℃である。また、本発明例1、本発明例2とも、スタティック計算誤差ほぼ0℃の発生頻度が最も高く、非常に精度のよい転炉操業が行われていることがわかる。
以上述べた、本発明にかかる転炉1の操業方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、最終目標値や中間目標値として、溶鉄(溶鋼又は溶銑)温度Tと[C]とを採用したが、そのいずれか一方であってもよく、[P]や[Mn]や[Si]を最終目標値又は中間目標値として採用してもよい。
また、転炉は上吹き転炉、底吹き転炉、又は上底吹き転炉のいずれであってもよい。
また、精錬モデルに、脱りん工程での脱りんに必要とされる最低限のスラグ量であるミニマムスラグ量の考えを導入し、より最適な操業を行うためのガイダンス値を得られるようにすることは非常に好ましい。
また、脱炭工程において、溶解するスクラップを考慮した熱収支計算を行うようにしても何ら問題はない。
ダブルスラグ法の操業手順を示した図である。 第1実施形態にかかる精錬モデルのフローチャートである。 脱りん工程での熱収支計算のフローチャートである。 装入スクラップの分類を示した図である。 実施例1において転炉に装入した溶銑の成分を示した図である。 実施例1の脱りん工程後の結果を示した図である。 実施例1の脱炭工程後の結果を示した図である。 実施例1の結果を示した図である。 実施例2の結果を示した図である。
符号の説明
1 転炉
2 スクラップ
3 溶銑
4 ランス
5 スラグ
8 チャージスラグ
10 溶銑鍋

Claims (1)

  1. 転炉内にスクラップと共に装入された溶銑の脱りん精錬を行う脱りん工程と、脱りん工程後の溶銑の脱炭精錬を同一転炉にて行う脱炭工程とを有するダブルスラグ法を用いた転炉の操業方法において、
    下記に示すステップ(1)〜ステップ(9)により、脱りん処理における操業条件を求めると共に、脱炭処理における操業条件を求めた上で、脱りん処理及び脱炭処理を行うことを特徴とする転炉の操業方法。
    (1)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標炭素濃度[C]を設定する。
    (2)最終目標値である脱炭工程が終了して出鋼する際の溶鋼の目標温度を設定する。
    (3)前記最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]を設定する。
    (4)最終目標値を基に脱炭工程での熱収支計算を行うことで、中間目標値である脱りん工程後の目標温度を設定する。
    (5)中間目標値である脱りん工程後の目標炭素濃度[C]と、中間目標値である脱りん工程後の目標温度とを基に、脱りん工程において投入する副原料の投入量を求める。
    (6)溶銑温度を中間目標値にするべく、脱りん工程での熱収支計算を行い、固酸と気酸との比率を決定する。
    (7)脱りん工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、スラグの塩基度を求める。
    (8)前記中間目標値、前記脱りん工程における副原料の投入量及び気酸と固酸との比率を基に、脱炭工程での副原料の投入量を算出すると共に、溶銑温度を最終目標値にするべく、脱炭工程での固酸と気酸との比率を決定する。
    (9)脱炭工程における前記副原料の投入量及び気酸と固酸との比率をもとに、スラグのCaO及びSiO 2 を算出して、脱炭工程におけるスラグの塩基度を求める。
    ただし、前記脱りん工程での熱収支計算は、脱りん工程において転炉内に入る熱を式(1)に示す入熱Q Total_in とし、転炉から外部に出る熱を式(2)に示す出熱Q Total_out とし、前記入熱Q Total_in と前記出熱Q Total_out とが等しいとして行う。
    Total_in
    in 〔0〕+Q in 〔1〕+Q in 〔2〕+Q in 〔3〕+Q in 〔4〕
    +Q in 〔5〕+Q in 〔6〕+Q in 〔7〕 ・・・ (1)
    ここで、
    in 〔0〕:溶銑の有する熱量
    in 〔1〕:装入成分〔Si〕量による熱量
    in 〔2〕:装入成分〔Ti〕量による熱量
    in 〔3〕:装入成分〔AL〕量による熱量
    in 〔4〕:装入成分〔Mn〕量による熱量
    in 〔5〕:装入成分〔P〕量による熱量
    in 〔6〕:鉄の酸化反応による熱量
    in 〔7〕:装入成分〔C〕量による熱量
    Total_out
    out 〔0〕+Q out 〔1〕+Q out 〔2〕+Q out 〔3〕
    +Q out 〔4〕+Q out 〔5〕 ・・・ (2)
    ここで、
    out 〔0〕:発生ガスによる熱量
    out 〔1〕:スケール投入による熱量
    out 〔2〕:冷却材(鉄鉱石Fe x y )投入による熱量
    out 〔3〕:Mn鉱石投入による熱量
    out 〔4〕:生ドロ投入による熱量
    out 〔5〕:スクラップ吸熱量
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