JP4353358B2 - データ生成装置、データ生成方法、および、コンピュータプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地物の外観を表示するための画像データである外観表示データの生成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地物の外観を表示するようモデル化されたポリゴンを3D表示する技術が利用されている。例えばカーナビゲーションシステムは、道路や建造物等の3D表示を現在位置等を視点として行うことで道案内を行う。これらの3Dモデルでは、地物の外観を表示するための画像データ(以下、「外観表示データ」と呼ぶ)は、いわゆるコンピュータグラフィックスによって逐一作成されていた。ビル等の外観を細部に至るまでリアルに再現可能な外観表示データをコンピュータグラフィックスで作成することは、非常に困難であるとともに、多大な労力を要していた。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−16472号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
外観表示データのリアリティを向上する手段の一つとして、地物を撮影した画像をポリゴン表面に貼り付ける方法が挙げられる。しかし、この方法では、モデル化される建造物が多数になると、外観表示データのデータ量が膨大となるという弊害を招くおそれがある。また、この方法では、モデルに違和感なく貼付け得る画像を撮影するためには、ほぼ水平にカメラを構えた状態で撮影する必要があり、それぞれの地物について、かかる条件を満たす撮影位置を見いだす必要があるため、実用性が不十分である。
【0005】
かかる課題は、ポリゴン表面に貼り付けるか否かに関わらず、地物の外観を表示するための外観表示データを作成する場合に共通の課題である。本発明は、地物の外観表示データについての実用的な作成方法を提供すること、および外観表示データのデータ量抑制を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では、地物の外観を表示するための外観表示データを生成するデータ生成装置において、次の構成を適用した。第1の態様としてのデータ生成装置は、入力部、変換部、伸縮部を備える。入力部は、地物を撮影した画像を入力する。地物には、ビルや家屋を含む建物、高架などを含む道路などの人工的な建造物が含まれる。画像は、地物を上下方向または左右方向からあおり撮影した画像で構わない。外観表示データは、例えば、地物を表すポリゴンに貼り付けるための貼付画像の他、ポリゴンの表面への貼り付けとは無関係に地物の外観を表示するための画像データ一般を含む。
【0007】
変換部は、画像をアフィン変換し、地物の形状に適合させる。地物の形状は、オペレータが形状を入力したり、予め登録された形状から選択したりしてもよいし、ビルならば長方形というように建造物の種類などによって推定しても構わない。アフィン変換は、周知の通り、線形変換と平行移動の組み合わせからなる変換である。アフィン変換によれば、撮影した画像について、平行移動、および回転、拡大縮小、反転、シアーなどの変形を施すことができる。但し、アフィン変換では、変換前後で線分の比が保存されるという特徴があるため、撮影した画像に含まれる歪みを修正することができない場合がある。例えば、ビルを下側からあおり撮影した場合、上層階ほど高さ方向に圧縮された画像となるが、このような圧縮はアフィン変換では修正することができない。
【0008】
伸縮部は、アフィン変換では修正できない歪み、即ち、撮影した地点から地物の各部位までの距離の差によって生じる歪みを補償するように、アフィン変換後の画像を各部位ごとに異なる比率で伸縮する。例えば、上述の例では、上層階に行くほど大きな倍率で高さ方向に拡大することにより、各階の高さを統一した画像を得る。伸縮の比率は、この例のように、画像内のいずれかの方向に沿って一次元的に変化させてもよいし、二次元的に変化させてもよい。このように、アフィン変換と伸縮が施された画像データは、外観表示データとして用いることができる。
【0009】
第1の態様によれば、アフィン変換と伸縮の組み合わせにより、あおり撮影された画像に基づいて、外観表示データを作成することができる。この結果、地物を撮影する際の制約を大幅に緩めることができ、撮影した画像を用いて外観表示データを作成することに関し、その実用性を向上することができる。
【0010】
第2の態様としてのデータ生成装置は、入力部、要素パターン生成部、適用部位特定部、生成部を備える。入力部は、第1の態様と同様、地物を撮影した画像の他、コンピュータグラフィックスで作成された画像も含め、地物を表す画像を入力する。以下、説明の便宜上、この入力された画像を原画像を称することもある。
【0011】
要素パターン生成部は、画像内で、複数の部位に表れている類似の画像領域の少なくとも一つを要素パターンとして抽出する。例えば、ビルでは、各階の外観は類似しているため、これらの少なくとも一つの画像領域を要素パターンとすることができる。元の画像は、このように決定された要素パターンを、上述の複数の部位に適用することで再現できる。例えば、ビルの画像において、2階の画像を要素パターンとして選択した場合、3階以上の階について、要素パターン、即ち2階の画像を適用しても、原画像に対して遜色のない画像を再現することができる。
【0012】
適用部位特定部は、このように、地物の外観を表示する際に、要素パターンを用いる複数の適用部位を特定する適用部位データを生成する。適用部位データは、例えば、オペレータの指定に基づいて生成するようにしてもよいし、要素パターンと原画像のマッチングなどに基づいて自動的に設定するようにしてもよい。
【0013】
生成部は、こうして設定された要素パターンと適用部位データとを関連づけることで、外観表示データを生成する。関連付けは種々の態様を採ることができる。例えば、外観表示データ内に、要素パターンおよび適用部位データの双方を含めても良い。要素パターンは別ファイルとし、外観表示データ内には、要素パターンの所在を示す情報と、適用部位データを含めるようにしてもよい。このように、関連付けとは、要素パターンおよび適用部位データの少なくとも一部を、外観表示データとは別に保存する態様も含んでいる。
【0014】
第2の態様によれば、要素パターンを複数の箇所に適用可能とすることにより、外観表示データのデータ容量を低減することができる。一つの地物について複数種類の要素パターンを用いることも可能である。
【0015】
本発明は、データ生成装置としての態様の他、外観表示データのデータ構造として構成してもよい。例えば、
外観の表示時に複数の部位に用いられる要素パターン、および要素パターンの所在を示す所在データの少なくとも一方を格納する第1のデータ格納領域と、
外観の表示時に要素パターンを適用する複数の適用部位を特定する適用部位データを、要素パターンと対応づけて格納する第2のデータ格納領域とを備えるデータ構造とすることができる。このデータ構造によれば、要素パターンを複数の適用部位に用いて地物の外観表示を行うことができるため、データ容量を抑制することができる。上述の所在データとしては、例えば、コンピュータ上で要素パターンの所在を示すパス名、インターネット上の所在を示すURLなどを用いることができる。
【0016】
上記データ構造において、適用部位データは、要素パターンを用いる少なくとも1つの適用部位を、他のいずれかの適用部位に対する相対的な位置関係により特定してもよい。相対的な位置関係は、例えば、基準となる適用部位からの距離および方向を個別に特定してもよいし、距離または方向のいずれか一方のみを固定してもよい。こうすることにより、比較的簡易な形式で適用部位を特定することができる。
【0017】
上記データ構造においては、要素パターンは1種類のみに限られない。第1の格納領域には、適用部位が異なる複数種類の要素パターンに関するデータを格納してもよい。複数種類の要素パターンを用いることにより、多彩な外観表示データを構成することができる。
【0018】
要素パターンは一枚の画像データとしてもよいし、複数の画像を組み合わせて生成してもよい。この組み合わせに用いるデータを部品パターンと称するものとする。かかるデータ構造では、第1の格納領域に、
要素パターンの一部を構成する1つ以上の部品パターン、および部品パターンの所在を示す部品所在データの少なくとも一方のデータと、
要素パターン上で、部品データを用いる1つ以上の適用部位を特定する部品適用部位データとを記憶する形式を採ることができる。部品所在データは、パス名、URLなどを用いることができる。この形式によれば、例えば、窓やベランダなどの画像を部品データとして用いることにより、これらを組み合わせてビルの各階の画像を表す要素パターンを作成することが可能となる。このように部品パターンを活用することにより、要素パターンのデータ容量を抑制することができる。部品パターンは、単一の要素パターンにのみ用いられるものとしてもよいし、複数の要素パターンで兼用しても構わない。本発明のデータ構造は、要素パターン、部品パターンという2階層のみならず、更に多階層を設け、例えば、部品パターンをその下位層のパターンデータの組み合わせで構成するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明は、地物を表示するための地物データのデータ構造として構成することもできる。
即ち、地物データは、地物の外観形状を表示するようモデル化されたポリゴンデータを格納するポリゴンデータ格納領域と、
地物の外観を表示するために該ポリゴンデータに貼付けられる貼付画像として、外観表示データを格納する貼付画像格納領域と、
貼付画像と前記ポリゴンデータとを対応付ける対応データを格納する対応データ格納領域とを備えるデータ構造とすることができる。貼付画像としては、先に説明した外観表示データを用いることができる。本発明は、更に、これらの地物データを含む地図データのデータ構造として構成してもよい。
【0020】
本発明は、外観表示データを用いて地物の外観を表示する画像表示装置、外観表示データの生成方法、画像表示方法など種々の態様で構成することが可能である。また、上述のデータ生成をコンピュータによって実現するコンピュータプログラム、またはこれと同視し得る信号として構成してもよい。更に、これらのコンピュータプログラムを記録した記録媒体として構成してもよい。ここで記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第一実施例;貼付データ生成装置:
A1.システム/機能ブロック構成:
A2.貼付データ生成処理:
A3.ポリゴン表示処理:
A4.変形例1:
A5.変形例2:
B.第二実施例;当てはめ部位の間隔:
C.第三実施例;複数の要素データ:
D.第四実施例;部品データ:
E.第五実施例;三次元の地図表示:
【0022】
A.第一実施例;貼付データ生成装置:
A1.システム/機能ブロック構成:
図1は、貼付データ処理装置の構成を示す説明図である。貼付データ処理装置は、貼付データ処理プログラムをインストールしたパーソナルコンピュータ100によって構成される。図1に図示する機能ブロックは、貼付データ処理プログラムがソフトウェア的に実現する。もっとも、各機能ブロックは、ハードウェア的に構成しても構わない。
【0023】
デジタルスチルカメラSCはビル10gを撮影した撮影画像の撮影データをパーソナルコンピュータ100に入力する。デジタルスチルカメラSCは、視点位置10vよりビル10gを撮影する。撮影は、ビル10gの最上部のあおり角度が10uとなるような下方からのあおり撮影である。このため、撮影データが表す撮影画像10Rは台形歪みを有する画像となる。
【0024】
貼付データ処理装置であるパーソナルコンピュータ100は、撮影データに基づいて貼付データを生成する。貼付データは、ビル10gの外観を表すようモデル化されたポリゴンに貼り付ける画像を表すデータである。また、パーソナルコンピュータ100は、当該貼付データに基づいて貼付画像を貼り付けつつ、ビル10gの3D表示を行う。以下、図1に示す機能ブロック構成について説明する。
【0025】
入力部110は、デジタルスチルカメラSCから撮影データを貼付データ生成モジュール111に入力する。また、入力部110は、地物の外観を表示するようモデル化されたポリゴンを表すポリゴンデータを記憶部114に入力する。入力部110は、これらのデータ入力を、フレキシブルディスクその他の記録媒体を介して行ってもよいし、インターネット等のネットワークを介して行ってもよい。なお、パーソナルコンピュータ100はポリゴンデータを自ら生成する機能を備えてもよい。
【0026】
貼付データ生成モジュール111は、入力部110が入力する撮影データに基づいて貼付データを作成して記憶部114に記憶する。
【0027】
ポリゴン表示モジュール112は、記憶部114が記憶するポリゴンデータに基づいて、ポリゴンが表す地物の3D表示を行う。このとき、記憶部114が記憶する貼付データを利用することでポリゴン表面上へ貼付画像を貼り付けて表示を行う。以下、貼付データ生成モジュール111とポリゴン表示モジュール112とについて詳説する。
【0028】
まず貼付データ生成モジュール111について説明する。
抽出部121は撮影画像中でビル10gに対応する領域を抽出して抽出画像を生成する。抽出は、ユーザ入力等に基づいて行ってもよいし、所定のルールに基づいて自動的に行ってもよい。所定のルールを利用する場合としては、例えば、ビル10gの輪郭を外周とする領域を抽出するルールを利用してもよい。
【0029】
補正部120は台形歪みを取り除く補正処理を行う。補正部120は変換部122と伸縮部123とを有する。変換部122は抽出画像のアフィン変換を行う。伸縮部123は、アフィン変換された変換画像の伸縮を行う。この伸縮に適用される伸縮率は、後述する通り、画像の部位ごとに異なる値とすることができる。
【0030】
特定部130は、補正部120が補正を行った後の撮影画像について、繰り返し連続する要素画像をそれぞれ特定する。本実施例では、ビル10gのフロアごとに、1階〜5階の要素画像をそれぞれ特定する。
【0031】
生成部140は、特定部130が特定した要素画像に基づいて貼付データを生成し、記憶部114に格納する。生成部140が生成した貼付データは、ポリゴン表示モジュール112によって貼付画像の貼り付けに利用される。
【0032】
次に、ポリゴン表示モジュール112について説明する。
当てはめ部150は、要素画像をポリゴンに当てはめる処理を行う。当てはめ部150は、貼付データを参照することで、ポリゴン表面上の所定の部位への所定の画像の当てはめを行う。表示部160は、要素画像の当てはめられたポリゴンの3D表示を行う。
【0033】
A2.貼付データ生成処理:
図2は、貼付データ生成処理を示すフローチャートである。本処理は貼付データ生成モジュール111に含む各機能ブロックが実現する処理である。
【0034】
ステップSa1では、入力部110が撮影データの入力を行う。撮影データが表す撮影画像10Rは前述のように台形歪みを有する。
【0035】
ステップSa2では、抽出部121が撮影画像中でビル10gに対応する領域を抽出して抽出画像を生成する。
【0036】
ステップSa3では、補正部120が補正処理を行う。補正処理により撮影画像が有する台形歪みを除く。なお、補正処理については後で詳述する。
【0037】
ステップSa4では、特定部130が、補正後の画像中の1〜5階の各要素画像を特定する。本実施例では、特定部130は、1〜5階の各画像が類似することに基づいて要素画像の特定を行うものとするが、かかる場合に限定されない。例えば、ユーザが各要素画像の範囲を特定するものとしてもよい。
【0038】
ステップSa5では、生成部140が、貼付データを生成する。貼付データでは、1〜5階の各要素画像を1階の画像で代表させることで、データ量の削減が図られる。生成部140は、1〜5階の各要素画像のうちで最も画像品質が高い1階の要素画像を代表要素画像として選択し、1〜5階の要素画像を代表させる。1階の画質が高いのは、元々の撮影画像10Rで占める面積が最も広いためである。貼付データのデータ構造の詳細については後で詳述する。なお、代表要素画像として利用する画像の選択方法については種々の方法を利用することができる。
【0039】
図3は、補正処理を示すフローチャートである。図3は、図2のステップSa3における処理の詳細を示したものである。
【0040】
ステップSb1では、抽出部121が抽出した抽出画像にアフィン変換を施す。アフィン変換は、変換後の変換画像がビルのポリゴンの形状に応じて長方形となるように行う。ここで、変換画像において各フロアは、変換画像のスケールbs1が示すように、上下方向に歪んでいる。すなわち、各フロアの上下方向の長さは均等でない。
【0041】
ステップSb2では、変換画像の上下方向の歪みを、画像を上下方向に各階ごとに異なる伸縮率で伸縮することで修正する。この修正により、撮影画像中の台形歪みが除去された補正画像の生成が完了する。補正画像では、修正されたスケールbs2に示すように、各フロアの上下方向の長さは均等である。なお、ステップSb1において、アフィン変換における各係数を調整することで、各フロアの上下方向の長さを均等にするものとしてもよい。
【0042】
なお、補正部120が補正画像を生成する処理は上述の場合に限られないが、ビル10gの表面上の座標系に基づいた補正画像が得られることが好ましい。
【0043】
以上により、台形歪みを取り除いた補正画像が生成された。特定部130はこの補正画像に基づいて要素画像の特定を行う。なお、特定部130は、補正部120が補正処理を行う以前の抽出画像に基づいて特定を行ってもよい。このとき、変換部122及び伸縮部123は、特定部130が特定した要素画像ごとに台形歪みの除去を行うものとしてもよい。
【0044】
図4は、貼付データのデータ構造を示す説明図である。生成部140は、図4に示すデータ構造に基づいて構成された貼付データを生成する。本実施例で、貼付データは要素データにより構成される。要素データは、特定部130が特定した要素画像に基づいて生成部140が生成するものである。
【0045】
図4には、入力部110が入力するポリゴンデータ1,2,3を例示している。ポリゴンデータ1,2,3は、ビル10gの右側面、正面、上面を表示するようにそれぞれモデル化されたポリゴンを表すデータである。
【0046】
図4に示す要素データは、ポリゴンデータ2が特定する要素データを示したものである。ポリゴンデータ2は図4に示す要素データへのリンクを有する。要素データは、部位データと画像データとを有する。画像データは、ポリゴンに当てはめるべき要素画像を記憶している。部位データは、当該要素画像をあてはめるべきポリゴン表面上の部位を記憶している。なお、図4では、ポリゴンデータが要素データを特定する場合を示したが、係る場合に限定されない。要素データがポリゴンデータを特定する形式としてもよいし、相互リンクとなっている形式としてもよい。
【0047】
図4の画像データは、ビル10gの1階に対応する要素画像として図2のステップSa4で特定部130が特定した画像「1階.JPG」である。
【0048】
図4の部位データは、「1階.JPG」を貼り付けるべきポリゴン上の部位を、5箇所記憶している。図4で記憶される5箇所は、各々、ビル10gの1〜5階の要素画像の箇所に対応するものである。部位データでは、ポリゴン上の部位と、その部位に貼り付ける要素画像の大きさとが対応付けて記憶されている。部位データが記憶する部位(0,0.0)、(0,0.2)、(0,0.4)等は、要素画像の左下隅が位置する部位である。なお、図4では、5箇所全てについて、大きさ「1.0倍」で表示する場合を例示したが、係る場合に限定されない。種々の拡大縮小の指示を記憶することができる。図4の場合には、各要素画像が所定の方向に平行配置されるものとしたが、部位データは、貼り付け部位ごとに要素画像の傾きを記憶していてもよい。また、部位データは、要素画像に施すべき、先鋭化やぼかし、色変換等の画像処理を特定する情報を部位ごとに記憶していてもよい。
【0049】
本実施例の部位データでは、画像を貼り付ける位置を、ポリゴンの各辺の長さを0〜1の範囲で正規化した座標系x−yにより記憶する。もっと、かかる場合に限定されることはない。ポリゴンを定義する絶対座標系で部位を特定してもよい。
【0050】
なお、要素データは、複数のポリゴンデータに兼用されるものであってもよい。
【0051】
A3.ポリゴン表示処理:
図5は、ポリゴン表示処理を示すフローチャートである。本処理は、貼付データ生成モジュール111が生成した貼付データや、入力部110が入力した貼付データに基づいて、ポリゴン表示モジュール112がポリゴンの3D表示を行う処理である。
【0052】
ステップSc1では、記憶部114から当てはめ部150にポリゴンデータが入力される。
【0053】
ステップSc2では、ステップSc1で入力したポリゴンデータが特定する貼付データが、記憶部114から当てはめ部150に入力される。なお、本実施例で貼付データは要素データにより構成される。
【0054】
ステップSc3では、当てはめ部150が、要素データに含む画像データが表す要素画像をポリゴン表面上に当てはめる処理を行う。当てはめは、部位データが示す部位に、部位データが示す大きさで行う。図4に示した貼付データの場合、「1階.jpg」が大きさ「1.0倍」で5箇所に当てはめられる。
【0055】
ステップSc4では、要素画像が貼り付けられたポリゴンの3D表示処理を行う。
【0056】
以上説明した貼付データ処理装置によれば、撮影条件に起因する歪みを補正する機能があるために、地物の撮影において、撮影位置の選択に係る煩雑さや、撮影位置を正確に設定する手間を低減することができる。また、代表要素画像を利用した貼付データが用いられることで、貼付データのデータ量を削減したりデータ処理の柔軟性を増したりすることができる。データ量の削減により、緻密な模様等をポリゴンに貼り付けて、表現度の高い3D表示を実現することができる。
【0057】
A4.変形例1:
図6は、代表要素画像を選択するインタフェースを示す説明図である。第一実施例の貼付データ生成処理(図2のステップSa5)では、最も画質が良好な1階の要素画像が自動的に代表要素画像として選択された。以下では、ユーザの指示に基づいて代表要素画像が選択される場合について説明する。
【0058】
図6のインタフェース上に示される補正画像200では、図2のステップSa4で把握された1〜5階の要素画像が各々区別可能な態様で表示されている。しかし、補正画像200では1〜2階の要素画像は、街路樹の画像201によって一部遮られているため、他の階に適用する画像には適さない。ユーザは、街路樹の画像201を避けて、ポインタ202を3階の要素画像内でクリックすることで、3階の要素画像を代表要素画像に選択することができる。
【0059】
図7は、3階の要素画像を代表要素画像に利用した場合の貼付データのデータ構造を示す説明図である。街路樹の画像201に一部を遮られた1〜2階の要素画像を避けて、良好な撮影がなされた3階の要素画像が代表要素画像として利用される。
【0060】
なお、生成部140は、1〜2階の要素画像が街路樹の画像201に一部を遮られることと、3階の要素画像は街路樹の画像201に遮られないことを画像処理によって調べるものとしてもよい。これにより、街路樹の画像201に遮られない3階の要素画像が自動的に代表要素画像に選択されるものとすることができる。なお、障害物に遮られる可能性が低い最上階の画像を代表要素画像として選択するようにしてもよい。
【0061】
A5.変形例2:
図8は、左右あおり撮影を示す説明図である。道路211上の視点位置212は、ビル10gの表面の法線方向と角度θだけ左右にずれた方向からビル10gを撮影する位置である。図8では、かかる左下方向からのあおり撮影を行った場合における撮影画像210を併せて示した。撮影画像210には歪みが生じる。撮影画像210に基づいて貼付データを生成する場合も、第一実施例の場合と同様にして補正処理を行うことができる。補正部120は、実施例に示した補正処理を応用して画像の歪み補正を行う。
【0062】
B.第二実施例;当てはめ部位の間隔:
図9は、当てはめ間隔を指定する要素データのデータ構造を示す説明図である。本実施例の要素データでは、要素画像を貼り付ける起点の位置と、貼り付けを行う間隔及び方向を特定する間隔ベクトルと、貼り付けの繰り返し回数とを記憶している。図9では、図4の場合と同じ貼り付け態様を記憶する場合を示した。当てはめ部150は、貼り付けを行う起点の位置に当てはめを行うとともに、当該起点位置から間隔ベクトル分ずつ移動した部位にそれぞれ要素画像の当てはめを行う。要素画像の貼り付けは、要素データに記憶された繰り返し回数だけ行う。
【0063】
C.第三実施例;複数の要素データ:
図10は、複数の要素データを含む貼付データのデータ構造を示す説明図である。図10では、要素データ1,2より構成される貼付データを示した。要素データ1は、ビル10gの1階の要素画像を1階の部位にのみ貼り付ける要素データである。要素データ2は、ビル10gの2階の要素画像を2〜5階の部位に貼り付ける要素データである。この貼付データは、2つの要素データ1,2へのリンクを含んでいる。
【0064】
以上説明した貼付データによれば、構成の複雑な画像であっても、複数の要素画像の組合せにより簡潔に記憶してデータ量を抑制することができる。
【0065】
D.第四実施例;部品データ:
図11は、部品データを含む貼付データを示す説明図である。本実施例では、要素画像に部品画像を貼り付ける。貼り付けは、従前の実施例でポリゴン表面上に要素画像を貼り付けた場合と同様に行う。
【0066】
第一実施例においてポリゴンデータが要素データを特定していたことと同様に、本実施例で要素データは部品データを特定する。部品データは、部品位置データと部品画像データとを有する。部品位置データは要素データにおける部位データに相当し、部品画像データは要素データにおける画像データに相当する。部品位置データ及び部位データと、部品画像データ及び画像データとは同様のデータ構造を有する。部品画像データは要素画像上に貼り付ける部品画像を特定し、部品位置データは要素画像上で部品画像を貼り付ける位置を特定する。
【0067】
なお、部品画像を貼り付ける位置の指定は、要素画像を貼り付ける部位の場合と同様に、要素画像の各辺の長さを0〜1の範囲に正規化した座標系を用いるものとしてもよい、要素画像を定義する絶対座標系で位置を指定してもよい。
【0068】
図11において、最上段に示した貼付画像と、中段に示した要素画像とは、同じ座標系X−Yを用いて記憶するものとして説明を行った。Y方向の長さが1である貼付画像は、1つの部品画像をY方向に3つ並べて構成されているため、部品画像のY方向の長さは1/3となっている。ただし、部品画像は、要素画像と異なる座標系を用いて記憶していてもよい。例えば、各辺の長さを0〜1の範囲で正規化した座標系x−yを用いてもよいし、ポリゴンを定義する絶対座標系を用いてもよい。
【0069】
本実施例のポリゴン表示処理(図5)では、ステップSc3の当てはめ処理において第一実施例の場合と相違する。本実施例では、ポリゴン表面上に要素画像を貼り付けることに先立って、当該要素画像を準備する処理を行う。具体的には、部品画像の貼り付けにより当該要素画像を準備する。
【0070】
なお、部品データは、複数の要素データに兼用されるものであってもよい。このとき、1つの部品データを特定する複数の要素データは、各々異なるポリゴンデータに利用される要素データであってもよい。
【0071】
ここで、本実施例では要素データと部品データとが入れ子状に構成される場合を示したが、かかる入れ子状のデータ構成は、さらに多数の階層を有するようにすることも可能である。
【0072】
以上説明した貼付データによれば、構成の複雑な画像であっても、入れ子状に画像の貼り付けを行うことで簡潔に記憶することができる。
【0073】
E.第五実施例;三次元の地図表示:
図12は、三次元の地図表示1000を示す説明図である。記憶部114は、地図を表示するための地図データを記憶する。記憶部114は、ビル表示10h1〜10h3のポリゴンデータ及び要素データを各々記憶している。これらは、第一実施例で説明した通りであり、ポリゴンデータ及び要素データは対応付けて地物ごとに記憶されている。また、記憶部114は、図示する以外にも、道路や橋など、地図を表示するためのデータを種々記憶している。
【0074】
以上、実施例に基づき本発明にかかるデータ生成装置、外観表示データや地物データのデータ構造を説明してきたが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 貼付データ処理装置の構成を示す説明図である。
【図2】 貼付データ生成処理を示すフローチャートである。
【図3】 補正処理を示すフローチャートである。
【図4】 貼付データのデータ構造を示す説明図である。
【図5】 ポリゴン表示処理を示すフローチャートである。
【図6】 代表要素画像を選択するインタフェースを示す説明図である。
【図7】 3階の要素画像を代表要素画像に利用した場合の貼付データのデータ構造を示す説明図である。
【図8】 左右あおり撮影を示す説明図である。
【図9】 当てはめ間隔を指定する要素データのデータ構造を示す説明図である。
【図10】 複数の要素データを含む貼付データのデータ構造を示す説明図である。
【図11】 部品データを含む貼付データを示す説明図である。
【図12】 三次元の地図表示を示す説明図である。
【符号の説明】
10g…ビル
10u…あおり角度
10v…視点位置
10R…撮影画像
100…パーソナルコンピュータ
110…入力部
111…貼付データ生成モジュール
112…ポリゴン表示モジュール
114…記憶部
120…補正部
121…抽出部
122…変換部
123…伸縮部
130…特定部
140…生成部
150…当てはめ部
160…表示部
200…補正画像
201…街路樹の画像
202…ポインタ
210…撮影画像
211…道路
212…視点位置
SC…デジタルスチルカメラ
bs1…変換画像のスケール
bs2…修正されたスケール
1000…三次元の地図表示
10h1〜10h3…ビル表示
Claims (3)
- ビルの外観を表示するためのデータを生成するデータ生成装置であって、
前記ビルを撮影した画像を入力する入力部と、
前記ビルの外観形状を表示する1つのポリゴンに対応する前記画像中の領域を抽出した抽出画像を、前記ポリゴンの形状に応じた形状にアフィン変換し、前記ビルの形状に適合させるとともに、前記撮影した地点から前記ビルの各部位までの距離の差によって生じる歪みを補償するように、前記アフィン変換後の画像を各部位ごとに異なる比率で伸縮する、補正部と、
前記補正部が補正を行った抽出画像を複数の要素画像に分割する特定部と、
前記複数の要素画像の一部の要素画像である複数の貼付画像を前記1つのポリゴンに貼り付ける際に利用する貼付データを生成する生成部と、を備え、
前記貼付データは、前記1つのポリゴンに貼り付けるべき前記複数の貼付画像を記憶している画像データと、前記複数の貼付画像の前記1つのポリゴンへの各適用部位を記憶している適用部位データとを有し、
前記生成部は、
前記分割によって生成された複数の要素画像の中から類似する複数の要素画像を抽出し、前記類似する複数の要素画像の1つの要素画像を前記複数の貼付画像の1つとして特定する要素パターン生成部と、
前記要素パターン生成部によって特定された貼付画像を含む前記複数の貼付画像の各適用部位を特定する適用部位データを生成する適用部位特定部と、を有する、データ生成装置。 - ビルの外観を表示するためのデータを生成するデータ生成方法であって、
(a)前記ビルを撮影した画像を入力する工程と、
(b)前記ビルの外観形状を表示する1つのポリゴンに対応する前記画像中の領域を抽出した抽出画像を、前記ポリゴンの形状に応じた形状にアフィン変換し、前記ビルの形状に適合させるとともに、前記撮影した地点から前記ビルの各部位までの距離の差によって生じる歪みを補償するように、前記アフィン変換後の画像を各部位ごとに異なる比率で伸縮する、工程と、
(c)前記工程(b)により補正を行った抽出画像を複数の要素画像に分割する工程と、
(d)前記複数の要素画像の一部の要素画像である複数の貼付画像を前記1つのポリゴンに貼り付ける際に利用する貼付データを生成する工程と、を備え、
前記貼付データは、前記1つのポリゴンに貼り付けるべき前記複数の貼付画像を記憶している画像データと、前記複数の貼付画像の前記1つのポリゴンへの各適用部位を記憶している適用部位データとを有し、
前記工程(d)は、
(d1)前記分割によって生成された複数の要素画像の中から類似する複数の要素画像を抽出し、前記類似する複数の要素画像の1つの要素画像を前記複数の貼付画像の1つとして特定する工程と、
(d2)前記工程(d1)によって特定された貼付画像を含む前記複数の貼付画像の各適用部位を特定する適用部位データを生成する工程と、を有する、データ生成方法。 - ビルの外観を表示するためのデータを生成するためのプログラムであって、
(a)前記ビルを撮影した画像を入力する機能と、
(b)前記ビルの外観形状を表示する1つのポリゴンに対応する前記画像中の領域を抽出した抽出画像を、前記ポリゴンの形状に応じた形状にアフィン変換し、前記ビルの形状に適合させるとともに、前記撮影した地点から前記ビルの各部位までの距離の差によって生じる歪みを補償するように、前記アフィン変換後の画像を各部位ごとに異なる比率で伸縮する、機能と、
(c)前記機能(b)により補正を行った抽出画像を複数の要素画像に分割する機能と、
(d)前記複数の要素画像の一部の要素画像である複数の貼付画像を前記1つのポリゴンに貼り付ける際に利用する貼付データを生成する機能と、を備え、
前記貼付データは、前記1つのポリゴンに貼り付けるべき前記複数の貼付画像を記憶している画像データと、前記複数の貼付画像の前記1つのポリゴンへの各適用部位を記憶している適用部位データとを有し、
前記機能(d)は、
(d1)前記分割によって生成された複数の要素画像の中から類似する複数の要素画像を抽出し、前記類似する複数の要素画像の1つの要素画像を前記複数の貼付画像の1つとして特定する機能と、
(d2)前記機能(d1)によって特定された貼付画像を含む前記複数の貼付画像の各適用部位を特定する適用部位データを生成する機能と、を有し、
前記機能(a)〜(d)をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
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