JP4119529B2 - 仮想環境生成方法および装置、並びに仮想環境生成プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

仮想環境生成方法および装置、並びに仮想環境生成プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、三次元仮想空間を体験するための仮想環境を生成する方法および装置、並びに仮想環境を生成するプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータグラフィックを用いて三次元の仮想空間を作成する方法は、従来種々提案されている。例えば、特開平9−187038号公報には、被写体の一部が重複して撮像されるように、撮像手段により異なる複数の撮像位置で被写体を撮像して複数の画像を得ると共に、各撮像位置および撮像手段のレンズ位置とに基づいてパラメータを算出して、これら複数の画像と算出したパラメータとを用いて被写体の距離分布を抽出し、その順次求められる距離分布と撮像した画像とを上記のパラメータを用いて逐次統合して被写体の三次元モデルを再構成するようにしたものが開示されている。
【0003】
また、特開平9−244522号公報には、建築物の平面図や別の三次元モデリングソフトを用いて建築物の三次元幾何データを作成すると共に、この三次元幾何データを周りの景観を表す円筒形の空間内に設置して、建築物内部の写真やベランダ等で撮影した景観のパノラマ写真の画像に映っている特徴点と対応する三次元幾何データ中の頂点のマッピングを指定して画像マッピングデータを作成し、これら三次元幾何データおよび画像マッピングデータを仮想空間データとして保存して、仮想空間体験時には、三次元幾何データの画像への投影に加えて、画像マッピングデータに指定された画像を三次元幾何データにテクスチャマッピングして表示するようにしたものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の仮想空間作成方法にあっては、被写体の距離分布を抽出するために、撮像手段で撮像して得た複数の画像の各々に対して、その撮像位置と撮像手段のレンズ位置とを検出する必要があるため、操作が煩雑で、処理に時間がかかるという問題がある。また、この場合、三次元座標データを、レンジファインダ等の測距装置を用いて直接コンピュータに取り込むこともできるが、このようにするとシステム全体が高価になるという問題が生じることになる。
【0005】
また、後者の仮想空間作成方法にあっては、建築物の平面図や別の三次元モデリングソフトを用いて建築物の三次元幾何データを作成する必要があるため、モデリング作業が煩雑となり、使用者に多大な労力と時間を強いることになるという問題がある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その第1の目的は、仮想環境を簡単に作成できる仮想環境作成方法を提供しようとするものである。
【0007】
さらに、この発明の第2の目的は、上記の仮想環境作成方法を簡単かつ安価な構成で実施できる仮想環境作成装置を提供しようとするものである。
【0008】
さらに、この発明の第3の目的は、上記の仮想環境作成方法を実行するための仮想環境生成プログラムを記録した記録媒体を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、この発明に係る仮想環境生成方法は、
一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像を、このパノラマ画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒にして配置する工程と、
前記仮想空間上における前記室内の天井面と床面とを、それぞれ前記円筒の上面と下面とに接するように配置する工程と、
前記パノラマ画像の長さである前記円筒の周面長(L)から、該円筒の半径(r)を求める工程と、
前記パノラマ画像の高さ(H)を得る工程と、
前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点(A,B)に対応するマーカー(A’,B’)を前記パノラマ画像中に設定する工程と、
前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さ(a,b)を求める工程と、
前記円筒の半径(r)、前記パノラマ画像の高さ(H)、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さ(a,b)に基づいて、前記仮想空間上での視点(O)から前記柱(A−B線)までの距離(Z)および前記視点(O)の高さ(w)を求める工程とを有し、
前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成することを特徴とするものである。
【0010】
この発明の一実施形態では、パノラマ画像作成時における視点の高さの変動を補正するため、視点の高さを求めるのに使用しなかった視線方向に関する視点の高さを、水平面内の回転方向において少なくともその前後に位置する既に求めた視点の高さに基づいて補間により求める。
【0011】
さらに、この発明の一実施形態では、パノラマ画像作成時における視点の水平位置の変動を補正するため、前記パノラマ画像に基づいて構築した前記仮想環境モデルにおける梁の位置を視線方向とする視点位置を、該視点が存在する前記仮想空間上の水平面内で移動させて、前記梁を直線に修正する。
【0012】
さらに、この発明の一実施形態では、テクスチャ情報を別データとして準備することなく、パノラマ画像情報中のデータをテクスチャ情報として利用するため、前記パノラマ画像に基づいて構築した前記仮想環境モデルの表面情報として、前記パノラマ画像中の対応する位置の画像情報をテクスチャとして貼り付ける。
【0013】
さらに、この発明に係る仮想環境生成方法は、
一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像を、このパノラマ画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒にして配置する工程と、
前記仮想空間上における前記室内の天井面および床面の少なくとも一方を、前記円筒の上面および下面のうち少なくとも一方に接するように配置する工程と、
前記円筒の周面長(L)、半径(r)、高さ(H)、および前記パノラマ画像の撮影時の画角(θ)を求める工程と、
前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点(A,B)に対応するマーカーを前記パノラマ画像中に設定する工程と、
前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さ(a,b)を求める工程と、
前記パノラマ画像での視点位置(H/2)を設定して、その設定された視点位置(H/2)、前記円筒の半径(r)、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さ(a,b)に基づいて、前記仮想空間上での視点(O)から前記柱(A−B線)までの距離(Zp )および前記仮想空間上における前記室内の高さ(h)を求める工程とを有し、
前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成することを特徴とするものである。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記仮想環境モデルの壁面が四辺形であることを拘束条件として、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離を補正する。
【0015】
さらに、この発明の一実施形態では、パノラマ画像情報中のデータをテクスチャ情報として利用するため、前記円筒を前記画角に基づく曲面に補正し、この補正した曲面の前記パノラマ画像中の画像情報をテクスチャとして、前記パノラマ画像に基づいて構築した前記仮想環境モデルの対応する位置の表面情報として貼り付ける。
【0016】
さらに、上記第2の目的を達成するため、この発明に係る仮想環境生成装置では、パノラマ画像を表示する画像表示手段と、この画像表示手段に表示されたパノラマ画像上で、仮想空間上の任意の柱が天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応するマーカーを設定する手段と、前記パノラマ画像および前記マーカーの前記パノラマ画像上での位置情報に基づいて、前記パノラマ画像に対応する仮想環境モデルを生成する手段とを設けて、請求項1〜7のいずれか一項に記載の仮想環境生成方法を実施するようにする。
【0017】
さらに、上記第3の目的を達成するため、この発明は、一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像をもとに、コンピュータにより仮想環境を生成するためのプログラムを記録した記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記パノラマ画像を、その画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒として、該円筒の上面および下面を前記仮想空間上における前記室内の天井面および床面にそれぞれ接するように配置する機能と、
前記円筒の周面長、半径および高さを求める機能と、
前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応して前記パノラマ画像中に設定されるマーカーに基づいて、各マーカーの前記パノラマ画像中での高さを求める機能と、
前記円筒の半径、高さ、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さに基づいて、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離および前記視点の高さを求めて、前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成する機能と、
を実現させるためのプログラムを記録する。
【0018】
さらに、この発明は、一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像をもとに、コンピュータにより仮想環境を生成するためのプログラムを記録した記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記パノラマ画像を、その画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒として、該円筒の上面および下面のうち少なくとも一方が前記仮想空間上における前記室内の天井面および床面のうち少なくとも一方に接するように配置する機能と、
前記円筒の周面長、半径、高さ、および前記パノラマ画像の撮影時の画角を求める機能と、
前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応して前記パノラマ画像中に設定されるマーカーに基づいて、各マーカーの前記パノラマ画像中での高さを求める機能と、
前記パノラマ画像の設定された視点位置、前記円筒の半径、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さに基づいて、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離および前記仮想空間上における前記室内の高さを求めて、前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成する機能と、
を実現させるためのプログラムを記録する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1実施形態を説明するための図で、パノラマ画像と再構成される3Dモデルとの位置関係を示すものである。パノラマ画像は、全周囲方向360°を撮影したもので、視点から有限距離の円筒の側面上に、被写体を投影した平面状のものである。このパノラマ画像の高さをH、幅をLとすると、パノラマ画像は高さH、半径rの円筒の内側面に、円筒の外側の被写体をテクスチャとした三次元オブジェクトと考えることができる。ここで、パノラマ画像の高さHおよび幅Lは、パノラマ画像の垂直方向の画素数および水平方向の画素数に基づいてそれぞれ求めることができ、また、半径rは、r=L/2πの演算により求めることができる。
【0020】
この実施形態では、一つの視点から撮影された部屋等の構造物の内部(室内)のパノラマ画像を、そのパノラマ画像が有する画角情報を反映するように再構成する室内の3Dモデル2上で円筒形に配置し、そのパノラマ画像の円筒1を、その上面と下面とが3Dモデル2の天井と床とにそれぞれ接するように配置して、仮想的視点を移動させてパノラマ画像から3Dモデル2を再構成する。したがって、この場合、3Dモデル2の高さはHとなる。このように、パノラマ画像の円筒画像をスケールの基準とした3D再構成空間を、仮想空間R3 と定義する。
【0021】
図2は、第1実施形態による3Dモデル2の再構成を説明するための図である。図2において、仮想空間R3 の被写体の天井に接している角の頂点をA、この頂点Aと同じ水平位置で床に接している頂点をBとし、これら頂点A,Bと対応するパノラマ画像の円筒1上の点をそれぞれA’,B’とする。これら点A’,B’は、それぞれ頂点A,Bに対応するマーカーで、ユーザにおいてパノラマ画像上で室内の天井および床に接する角の柱から、それぞれの柱について指定し、その指定された柱の点A’,B’のパノラマ画像上でのそれぞれの垂直位置a,bを、垂直方向の画素数に基づいて求める。
【0022】
ここで、仮想空間R3 における垂直位置のゼロ点をパノラマ画像の上端とすると、マーカーによって指定された各柱に対応する仮想空間R3 でのパノラマ画像の視点Oの座標は、各柱についての被写体の頂点A,Bと円筒1上の点A’,B’とをそれぞれ結んだ直線と円筒1の中心線Mとの交点で、中心線M上に存在するが、その高さwは与えられていない。また、頂点A,Bの各座標についても、中心線Mから頂点A,Bまでの距離Zが未知数である。これら視点の高さwおよび距離Zは、視点Oからパノラマ画像までの距離が円筒の半径L/2πに等しいことと、三角形の相似を用いて、
【数1】
Figure 0004119529
により求めることができるので、これにより3Dモデル2の各頂点に対応する視点の座標と、各頂点の座標とを求める。
【0023】
このように、マーカーによって指定された各柱について被写体の頂点A,Bが仮想空間R3 でのモデルの天井、床に接する頂点に対応させるようにすれば、その頂点を結ぶことにより3Dモデル2を構成することができる。
【0024】
以上のようにして3Dモデル2を構成したら、3Dモデルのテクスチャマッピングを行う。すなわち、図3に示すように、パノラマ画像の円筒1上の点Qと視点Oとを結ぶ直線が3Dモデル2と交差する点をPとすると、この点Pに点Qの画素情報を写像する。この画素の対応づけを行う実際のアルゴリズムの一例について、以下に説明する。
【0025】
図4は、パノラマ画像の円筒1を真上から見たもので、3Dモデル2の壁面の位置(p,q)とパノラマ画像の画素位置(ip ,jq )との関係を示している。ただし、(p,q)は壁面の画素の配列とし、左上すみを始点(0,0)としている。ここで、視点Oから角1,2の柱までの距離をZ1 ,Z2 、視点Oから角1,2で囲まれた壁面1までの距離をZc、角1,2に対応するマーカーの水平座標(パノラマ画像の左端を0とする)をi1 ,i2 、Z1 ,Z2 方向の成す角度をθ、Z1 ,Zc方向の成す角度をθ1 とすると、Zcは、
【数2】
Figure 0004119529
【0026】
図5は、テクスチャマッピングを視点Oと注目点(p,q)を結ぶ直線とを含む床に垂直な面上でみたものである。図2で説明したと同様に、パノラマ画像の垂直方向のインデックスjq は、三角形の相似を用いて、
【数3】
Figure 0004119529
で得られる。
【0027】
図6は、3Dモデル2の天井部分と床の部分とのテクスチャマッピングの様子を示すものである。パノラマ画像の円筒1は、パノラマ画像の左端が(x,y)=(−L/2π,0)となるように、中心Rを(x,y)=(0,0)に配置する。このような座標系で、上記(1)式で求めた3Dモデル2のすべての頂点を含むような最小の直方体を考える。この場合、直方体の天井の座標は(d2 ,e1 ,H)、(d1 ,e1 ,H)、(d2 ,e2 ,H)、(d1 ,e2 ,H)となり、床の座標は(d2 ,e1 ,0)、(d1 ,e1 ,0)、(d2 ,e2 ,0)、(d1 ,e2 ,0)となる(ただし、d1 >0,d2 <0,e1 >0,e2 <0)。
【0028】
このように、直方体の天井と床とを長方形の画素の配列[m,n]とすると、[m,n]は、[0,0]から[d1 −d2 ,e1 −e2 ]までの配列となる。ここで、中心線からそれぞれの頂点までの距離をZk (k=1,‥‥,N)とすると、d1 ,d2 ,e1 ,e2 は、
【数4】
Figure 0004119529
となる。
【0029】
図7は、上記第1実施形態に係る仮想環境生成方法を実施するこの発明に係る仮想環境生成装置の一例の構成を示すブロック図である。この仮想環境生成装置は、補助記憶装置51、データ入出力装置52、ユーザーインターフェースデバイスとしてのマウス53およびキーボード54、CPU55、ディスプレイ56およびメモリー57を有する。補助記憶装置51は、パノラマ画像のデータや、計算した3Dモデルのデータを格納する。データ入出力装置52は、例えばデジタルカメラ等からのパノラマ画像のデータを入力したり、計算した3Dモデルのデータを外部に出力する。なお、データ入出力装置52から入力されるパノラマ画像のデータは、補助記憶装置51を介さずに直接メモリー57にロードすることもできる。マウス53は、パノラマ画像上の特徴点の指定、および画像の加工を行い、キーボード54は、入出力画像のファイル名の指定や、画像の加工時のパラメータの指定などを行う。CPU55は、データの入出力の管理、グラフィックユーザインターフェースの管理、およびパノラマ画像から3Dモデルヘの変換の計算を行う。ディスプレイ56は、グラフィックユーザインターフェースの表示を行い、ユーザがマウス53を用いてパノラマ画像の特徴点を抽出、指定できるようにする。なお、マウス53の代わりに、ペンタブレット、ジョイスティック、トラックパッド等のポインティングデバイスを用いることもできる。メモリー57は、パノラマ画像のデータや計算した3Dモデルのデータを格納したり、CPU55においてパノラマ画像から3Dモデルヘの変換の計算を行うのに必要なデータ等を格納する。
【0030】
以下、図7に示す仮想環境生成装置の動作を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。先ず、ステップS101で、グラフィックユーザインターフェースの提示を行って、対象とするパノラマ画像の入力を促したり、パノラマ画像のデータを自動的に入力するようなパラメータを用意し、次のステップS102でパノラマ画像のデータをロードしてディスプレイ56に表示する。その後、ステップS103で、マウス53等のポインティングデバイスを用いて、ディスプレイ56に表示されているパノラマ画像の天井および床に接している特徴点(頂点)をマーカーとして指定する。
【0031】
その後、ステップS104で、CPU55において指定されたマーカーの位置に矛盾がないかを計算して、矛盾がある場合には自動的に補正したり、ユーザーにおいてマーカーの位置を変更する。なお、マーカー位置の自動補正では、この実施形態ではパノラマ画像の横方向の歪みを考慮していないので、天井と床の対をなすマーカーのパノラマ画像上での水平方向の位置が同じとなるように行う。次に、ステップS105で、すべての必要な位置にマーカーが配置されたか否かを判断し、この判断の基準を満たしていない場合はステップS103から繰り返す。
【0032】
ステップS105で、判断の基準を満たしたら、次にステップS106で、マーカーの位置をもとに上記(1)式に従って視点Oの座標を計算すると共に、ステップS107で、仮想空間R3 上での頂点の座標の計算を行って3Dモデルの再構成を行う。なお、これらステップS106およびS107での処理は、並行に行ってもよい。その後、ステップS108で、上記(4)〜(6)式に従って、テクスチャマッピングの計算を行い、これにより得られた3Dモデルのデータを、ステップS109において、VRML (Virtua1 Rea1ity Modeling Language )、DXF (Data Exp1oer Fi1e )等の形式でメモリー57や補助記憶装置51に格納したり、データ入出力装置52を経て外部に出力する。
【0033】
このように、この実施形態によれば、通常のカメラやデジタルカメラ等の画像入力装置の映像から構成したパノラマ画像のみを用い、その特徴点を指定するだけで、仮想空間上の視点位置、視点と柱、天井および床とのそれぞれの相対的な位置関係を求めて、パノラマ画像情報中のデータをテクスチャ情報として利用して室内モデル(仮想環境)を作成することができる。したがって、レンジファインダ等の高価な測距装置や、室内の平面図あるいは3DCADデータ等の3Dの座標情報のデータを用いる必要がなく、また、テクスチャ情報を別データとして準備する必要もないので、簡単な操作で仮想環境を作成できると共に、装置全体も簡単かつ安価にできる。
【0034】
ところで、パノラマ画像は、専用の撮影機で撮影したものの他に、通常の35mmカメラ、デジタルカメラなどで撮影した画像をもとに、画像の繋ぎあわせのアプリケーションを用いてパノラマ画像に加工したものもある。しかし、いずれの場合でも、カメラのレンズ系の収差によって、上述した第1実施形態におけるように、円筒の側面上に理想的に被写体を投影したものとは誤差がある場合がある。このように、パノラマ画像が理想的な幾何学変換からのずれを有する場合、上記(1)式に従って視点を計算すると、図9に示すように、例えば角1から計算したwの値と、角2から計算したwの値1が異なることになる。
【0035】
そこで、この発明の第2実施形態では、このようなパノラマ画像の理想的な幾何学変換からのずれに基づく誤差を修正して仮想環境を生成する。このため、この実施形態では、3Dモデルのそれぞれの頂点に対応するマーカーを置いて計算した視点の高さをO1 ,O2 ,O3 ,O4 ,・・・とし、これらを図10に示すように連結して、すなわち、視点の高さを求める際に使用しなかった視線方向に関する視点の高さを、水平方向(回転方向)において少なくともその前後に位置する既に求めた視点の高さに基づいて補間して、視点の高さを水平方向の画素位置の関数O[i]として与え、この関数O[i]から視点の高さを求める際に使用しなかった視線方向に関する視点の高さを求める。
【0036】
ここで、視点の高さが必要な計算は、パノラマ画像の画素情報を3Dモデルの位置Pとパノラマ画像の位置Qとの関係から「逆引き」するときに、垂直画素位置jq を計算するときで、このときip は独立に計算できるので、視点から3Dモデルまでの距離をZとすると、jq [O[ip ],Z]は一意的に決まる。これにより、パノラマ画像の理想的な幾何学変換からのずれに基づく誤差を解消することができる。
【0037】
図11は、第2実施形態による仮想環境作成方法を図7に示した仮想環境作成装置で実行する場合の動作を示すフローチャートである。図11において、ステップS201からステップS205までの処理は、図8に示したステップS101からステップS105までの処理と同じである。この実施形態では、ステップS205で、判断の基準を満たしたら、次にステップS206で、マーカーの位置をもとに上記(1)式に従って視点Oの座標を計算すると共に、その計算によって求めた視点間の視点の座標を、線形補間やスプライン補間により補間して、視点の座標をパノラマ画像の横方向の画素位置の関数O[i]とする。次に、ステップS207で、図8のステップS107と同様に、仮想空間R3 上での頂点の座標の計算を行って3Dモデルの再構成を行う。なお、ステップS206およびS207での処理は、並行に行ってもよい。その後、ステップS208で、視点の座標を関数O[i]から求め、上記(4)〜(6)式に従って、テクスチャマッピングの計算を行い、これにより得られた3Dモデルのデータを、ステップS209において、図8のステップS109と同様にして、メモリー57や補助記憶装置51に格納したり、データ入出力装置52を経て外部に出力する。
【0038】
この実施形態によれば、柱等がないために視点の高さが求められない視線方向における視点の高さも、関数O[i]から求めることができるので、第1実施形態における効果に加えて、仮想環境をより正確に生成することができる。
【0039】
この発明の第3実施形態では、第2実施形態において、パノラマ画像が歪曲収差を有する場合に、その歪曲収差を実際に構成した3Dモデルをもとに軽減してテクスチャマッピングを行う。すなわち、パノラマ画像を構成する場合、あるいは撮影した場合には、垂直方向の歪曲収差が残ることがある。この歪曲収差は、パノラマ画像を構成する際に、アルゴリズム上で除去することも可能であるが、パノラマ画像のデータのみがある場合には、そのデータに歪曲収差が含まれているか否かは知ることができない。
【0040】
このため、この実施形態では、図12に示すように、角1,角2から計算した視点は第2実施形態と同様にO1 ,O2 とする。また、パノラマ画像上で3Dモデル2の角に対応するマーカーを結んだ曲線は壁面1に対応し、壁面1は四角形であるという拘束条件を有するから、壁面1の高さはパノラマ画像の高さHとなる。そこで、角1,角2の中間で、壁面1の天井および床と接する点S,Tをパノラマ画像上のマーカーS’,T’により選択して、その視点の位置Osを、水平方向の角度は正しいものとして計算して求める。したがって、この場合の視点位置Osは、パノラマ画像が歪曲収差を有すると、パノラマ画像を円筒1としたときの中心Rの軸上から外れることになる。
【0041】
このようにして、それぞれの角から計算した視点については、軸上に固定して第2実施形態と同様にして高さの変化で誤差を補正し、角と角との中間にある3Dモデル2の直線上の点に対応する視点は、3Dモデルの形状の拘束条件から求めるようにする。したがって、この場合の視点の位置は、水平方向の画素位置iを媒介変数とした三次元曲線で、パノラマ画像がモデルの各角に対応する位置のときだけ、円筒1の中心R上に現れる三次元の関数となる。このようにすれば、パノラマ画像に歪曲収差の補正(例えば、画像の伸縮等)を行わなくても、歪曲による矛盾の少ない3Dモデルのテクスチャマッピングを行うことができる。
【0042】
図13は、第3実施形態による仮想環境作成方法を図7に示した仮想環境作成装置で実行する場合の動作を示すフローチャートである。図13において、ステップS301からステップS305までの処理は、図8に示したステップS101からステップS105までの処理と同じである。この実施形態では、ステップS305で、判断の基準を満たしたら、次にステップS306で、ステップS303からステップS305で指定した頂点に対応するマーカーの中間位置にマーカーを指定する。その後、ステップS307でステップS304と同様にして、指定した中間のマーカー位置の自動補正やユーザによる補正を行って、ステップS308ですべての必要な中間位置にマーカーを配置したか否かを判断し、この判断の基準を満たしていない場合はステップS306から繰り返す。
【0043】
ステップS308で、判断の基準を満たしたら、次にステップS309で、3Dモデルのそれぞれの頂点に対応する視点の座標をそのマーカーの位置をもとに上記(1)式に従って計算すると共に、ステップS306からステップS308で指定した中間位置のマーカーに対応する3Dモデルの中間位置の視点の座標を、マーカーのパノラマ画像上での画素位置と、3Dモデルの中間位置とが頂点を結ぶ直線上にあるという拘束条件をもとに計算し、これら計算によって求めた視点間の視点の座標を、線形補間やスプライン補間により補間して、視点の座標をパノラマ画像の横方向の画素位置の三次元の関数とする。次に、ステップS310で、図8のステップS107と同様に、仮想空間R3 上での頂点の座標の計算を行って3Dモデルの再構成を行う。なお、ステップS309およびS310での処理は、並行に行ってもよい。
【0044】
その後、ステップS311で、視点の座標を上記の三次元関数から求め、上記(4)〜(6)式に従って、テクスチャマッピングの計算を行い、これにより得られた3Dモデルのデータを、ステップS312において、図8のステップS109と同様にして、メモリー57や補助記憶装置51に格納したり、データ入出力装置52を経て外部に出力する。
【0045】
この実施形態によれば、パノラマ画像の作成時に視点の水平位置が変動しても、湾曲した梁を本来有すべき姿の直線に修正するように視点の位置を、視点が存在する仮想空間上の水平面上で移動させるようにしたので、視点をより適正な位置に設定することができる。したがって、第2実施形態における効果に加えて、仮想環境をより正確に生成することができる。
【0046】
上述した第1実施形態〜第3実施形態では、パノラマ画像の円筒1を、その上面と下面とが3Dモデル2の天井と床とにそれぞれ接するように配置し、仮想的視点を移動させてパノラマ画像から3Dモデル2を再構成したが、この発明の第4実施形態では、仮想的視点はパノラマ画像の円筒1の中央にあるものとし、二つのマーカーから3Dモデル2の高さを求めてパノラマ画像から3Dモデル2を再構成する。したがって、この実施形態では、パノラマ画像の円筒1の高さと、3Dモデル2の高さとが異なることになる。
【0047】
ここで、パノラマ画像の高さをH、360°全周囲方向の画像の幅をLとすると、撮影時のレンズが魚眼レンズの場合に撮影時に撮影装置の上下方向の煽りがなければ、図14(a)に示すように、高さHは、撮影時の画角をα、パノラマ画像の円筒1の半径をrとして、
【数5】
Figure 0004119529
で表される。また、パノラマ画像は、360°全周囲方向の画像で、L=2πrであるから、Lが既知の場合には、その値から画角αを計算することができる。この実施形態では、画像の中央を視点Oとするので、パノラマ画像での視点位置はH/2となる。
【0048】
図14(a)において、3Dモデル2の室内の角の天井Aおよび床Bに対応するマーカーのパノラマ画像での垂直画素位置をa,bとすると、視点Oからa,bをみたときの上下方向の角度β,γは、
【数6】
Figure 0004119529
となる。ここで、
【数7】
Figure 0004119529
とすると、
【数8】
Figure 0004119529
となり、視点Oから3Dモデル2の壁面までの距離Zが求められる。また、他方のマーカーに対応する点も、円筒1の中心線Mから同一の距離にあることから、3Dモデル2の高さをhとすると、
【数9】
Figure 0004119529
となり、これにより3Dモデル2の高さhを求める。なお、図14(a)では、u=b−H/2,v=H/2−aとしている。
【0049】
また、撮影時のレンズに歪曲収差の無い場合のパノラマ画像(円筒画像)と再構成される3Dモデルとの関係を図14(b)に示す。この場合、パノラマ画像の高さをH、画角をαとすると、
【数10】
Figure 0004119529
となる。ここで、上記(9)式と同様に、マーカーa,bと視点Oとの位置関係から得られるu,vを用いると、視点Oから直線ABまでの距離Zは、
【数11】
Figure 0004119529
となる。図14(b)でのu,vの与え方の例は、図14(a)の場合と同じである。ここで、モデルの高さhを求めるために、上記(11)式と同様に、
【数12】
Figure 0004119529
を用いる。以下、後述のテクスチャマッピングでは、魚眼レンズの場合と歪曲収差の無い場合とで、それぞれのモデルの高さhと距離Zとを用いれば良い。
【0050】
3Dモデル2のテクスチャマッピングでは、図15に示すように、パノラマ画像の円筒1上の点Qと視点Oとを結ぶ直線が3Dモデル2と交差する点をPとすると、この点Pに点Qの画素情報を写像する。この画素の対応づけを行う実際のアルゴリズムの一例について、以下に説明する。
【0051】
この実施形態において、壁面の画像の配列(p,q)に対応するパノラマ画像の画素位置(ip ,jq )と水平方向の画素位置との関係は、図4と同様であるので、(p,q)に対応するパノラマ画像の画素位置は、
【数13】
Figure 0004119529
【0052】
また、3Dモデル2の高さhの壁面の画像の配列を基準にすると、視点Oが天井に近い場合には、図16に示すように、視点Oから見た天井の高さは、h−H/2となり、視点Oが床に近い場合には、図17に示すように、視点Oから見た天井の高さは、H/2となる。したがって、前者の場合には、
【数14】
Figure 0004119529
となる。このように、画素情報をパノラマ画像の配列(ip ,jp )から(p,q)に写像して、壁面のテクスチャマッピングを行う。
【0053】
また、天井および床のテクスチャマッピングについては、第1実施形態と同様に、3Dモデルの角1,2,3,4に対応するパノラマ画像のマーカーの水平位置のインデクスをi1 ,i2 ,i3 ,i4 、パノラマ画像の左端を0としたときの水平角度をφ1 ,φ2 ,φ3 ,φ4 、天井および床の画像の配列を[m,n]、視点Oを座標の原点としたときのx,y座標を(d,e)として、[m,n]に対応するパノラマ画像の水平方向の画素位置を計算する。ただし、ここでは、視点の高さをH/2、3Dモデルの室内の高さをhとする。
【0054】
図18は、天井および床のテクスチャマッピングの様子を示すものである。以下、天井の点[m,n]に対してテクスチャマッピングをする手順を定式化して説明する。配列[m,n]の示す座標が、視点Oを基準(0,0)とした座標系での、原点からの距離lは、
【数15】
Figure 0004119529
となる。
【0055】
これに対して、[m,n]に対応するパノラマ画像の垂直方向の画素位置jn は、視点Oの垂直位置が3Dモデル2の天井に近いか、床に近いかで場合分けする。図19および図20は、視点Oが天井に近い場合を示すものである。この場合、図19に示すように、天井の点[m,n]から円筒1の中心線Mまでの距離はlで、視点Oと天井との距離はh−H/2であるから、視点Oと点[m,n]との距離l’は、
【数16】
Figure 0004119529
となる。したがって、点[m,n]と視点Oとを結ぶ直線と、視点Oを中心とする半径rの球面との交点のパノラマ画像上端からの距離をjn とすると、
【数17】
Figure 0004119529
となる。
【0056】
また、床へのテクスチャマッピングでは、図20に示すように、床の点[m,n]から視点Oまでの距離l’、および点[m,n]に対応するパノラマ画像の垂直方向の画素位置jn は、それぞれ、
【数18】
Figure 0004119529
となる。
【0057】
同様に、視点Oが床に近い場合は、天井へのテクスチャマッピングの際に、天井の点[m,n]に対応するパノラマ画像の垂直方向の画素位置jn は、
【数19】
Figure 0004119529
となり、床へのテクスチャマッピングの際に、床の点[m,n]に対応するパノラマ画像の垂直方向の画素位置jn
【数20】
Figure 0004119529
となる。
【0058】
このようにして、この実施形態では、ユーザインターフェースにより、表示されたパノラマ画像にマーカーを指定したら、仮想的視点をパノラマ画像の円筒1の中央にして、上記(7)〜(11) 式に基づいて二つのマーカーから3Dモデル2の高さhを求め、それに基づいて頂点の座標を計算する処理と、上記(12)〜(16)式に基づく3Dモデル2のテクスチャマッピングの計算処理とを行って、パノラマ画像から3Dモデル2を再構成する。その他の処理動作については、第1実施形態と同様である。
【0059】
この実施形態によれば、パノラマ画像の画角を考慮して、テクスチャマッピングを行うようにしているので、広角のパノラマ画像でも歪みの少ない仮想環境を生成することができる。
【0060】
この発明の第5実施形態では、上記の第4実施形態において、3Dモデルを再構成する際に、モデルの部屋の高さが一定であることと、角を結ぶ梁が直線であることとを拘束条件として、視点Oに関する距離の誤差を補正する。このため、図21に示すように、3Dモデル2の角の頂点A1 ,A2 ,B1 ,B2 に囲まれた壁面1内に、中間の点C1 ,C2 をユーザインターフェースを用いて指定し、点A1 ,C1 ,B1 および点A2 ,C2 ,B2 が直線上にあり、直線A1 −A2 ,B1 −B2 およびC1 −C2 の距離が、3Dモデル2の部屋の高さhに等しいことを用いて、3Dモデルの再構成時に視点Oに関する距離の誤差を補正する。
【0061】
まず、頂点A1 ,A2 に対応するパノラマ画像上のマーカーa1 ,a2 の位置から、第4実施形態と同様にして視点Oから直線A1 −A2 までの距離Za、および部屋の高さhを求める。次に、マーカーb1 ,b2 からモデルまでの実距離を求める。この時点では、部屋の高さhが決定しているので、図22に示すように、円筒1の中心線Mから頂点B1 までの距離Zbを、マーカーb1 と視点Oとの位置を用いて、
【数21】
Figure 0004119529
により計算する。なお、図22は、視点Oが天井に近い場合を示している。
【0062】
同様に、円筒1の中心線Mから頂点B2 までの距離Zb’を、マーカーb2 と視点Oとの位置を用いて、
【数22】
Figure 0004119529
により計算する。ここで、Zb≠Zb’のときは、3Dモデル2ではZbの値が正しいものとして、Zb’からZbへの補正を行って、3Dモデル2の形状とテクスチャマッピングとに矛盾がないようにする。
【0063】
このため、画角θをあらわす円弧と床とが接する位置から、円筒1の中心線Mまでの距離zは、どの方向でも、
【数23】
Figure 0004119529
となるようにする。このようにして、拡大率fを、
【数24】
Figure 0004119529
となるように定義して、パノラマ画像の実際のテクスチャが視点OからZbの距離になるように修正する。このような修正を、視点Oの高さH/2を境界として行う。
【0064】
図23は、3Dモデル2の頂点A1 ,A2 を基準にしてマーカーb2 から計算したモデルまでの距離に誤差がある状態を示している。3Dモデル2の壁面1は同一平面上にあるので、図23のようなずれを補正するには、水平面よりも下の部分の壁面へのテクスチャマッピングでは、上記の拡大率fをパノラマ画像の水平方向の画素位置の関数として与える。すなわち、マーカーa1 ,a2 の水平方向画素位置をia 、マーカーb1 ,b2 の水平方向の画素位置をib として、
【数25】
Figure 0004119529
とする。なお、図23では、水平画素位置を線形補間するように補正係数fを設定しているが、壁面1の画像の画素配列(p,q)の関数f(p)として設定することもできる。
【0065】
一方、マーカーa1 ,b1 を用いて計算した3Dモデル2の壁面1までの距離は、第4実施形態と同様に、上記(12)式を用いて、壁面1の画素(p,q)からpの関数であるZpとして与える。このようにして、(p,q)に対応するパノラマ画像の水平画素位置ip には変更がないものとして、垂直画素位置jq を、上記(13)式および(14)式に上記(26)式を代入して、
【数26】
Figure 0004119529
により求める。このようにして得られたパノラマ画像の画素位置(ip ,jq )の画素情報を壁面上の画素位置(p,q)へとテクスチャマッピングすることにより、図23に示すような誤差を補正して、3Dモデル2の壁面を構成する。
【0066】
また、図23において、視点Oより上の領域ではテクスチャマッピングに誤差が生じない場合には、床面のテクスチャマッピングの補正だけを考えればよい。この場合、床面の配列[m,n]の示す点と円筒の中心線Mとの距離をlとすると、補正値l2 は、
【数27】
Figure 0004119529
とする。すなわち、図24に示すように、床面の画像の配列[m,n]に対応するパノラマ画像の画素を探すときは、距離lをl2 に補正してjn を計算し、これにより配列[m,n]に[im ,jn ]の画素情報を与えるようにする。
【0067】
次に、図21に示したように、対象とする部屋の形状から3Dモデル2の壁面では、角の頂点A,Bを結ぶ梁の上の点Cも直線上にあるという拘束条件をもとにテクスチャマッピングの補正を行う。すなわち、図25に示すように、円筒1の中心Rから直線A−B上への垂線の交点をDとすると、∠ARDの角度θは、図4で説明した場合と同様にして、
【数28】
Figure 0004119529
となる。すなわち、点Cに対応するマーカーのパノラマ画像上での水平画素位置ic が決まれば、壁面1が平面である場合の距離が定まる。
【0068】
これに対し、実際のマーカーc1 ,c2 のパノラマ画像上での画素位置(ic ,jc )から計算した距離は、視点Oが天井に近い場合には、天井部分では、
【数29】
Figure 0004119529
となり、床部分では、
【数30】
Figure 0004119529
となって、それぞれ誤差によりZcと一致しない場合がある。
【0069】
図26は、3Dモデル2の壁面が単一平面で構成されている場合について、マーカーから計算した壁面までの距離の誤差の他の例を示すものである。ここで、上記(26)式と同様にして、視点Oより上の領域および下の領域の補正係数fc1,fc2を導入すると、
【数31】
Figure 0004119529
となる。
【0070】
したがって、図26に示す例の場合には、視点Oより上の領域での補正係数fc1は、点A1 ,C1 ,B1 に沿って、1→fc1→1と変化し、視点Oより下の領域では、1→fc2→fbと変化することになる。これを上記(27)式に従って、パノラマ画像の水平方向の画素位置iの関数として補間したり、あるいは壁面の画像水平方向の画素位置pの関数とする。なお、図26では線形に補間しているが、図27に示すように、曲線に補間するようにしてもよい。このようにして、3Dモデル2の形状とパノラマ画像のマーカーから計算される形状との間の誤差を修正する。
【0071】
なお、この第5実施形態による仮想環境作成方法を図7に示した仮想環境作成装置で実行する場合の動作は、図13に示すフローチャートとほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0072】
この実施形態によれば、3Dモデルを再構成する際に、モデルの部屋の高さが一定であることと、角を結ぶ梁が直線であることとを拘束条件として、視点に関する距離の誤差を補正し、これにより3Dモデルの形状とテクスチャマッピングに矛盾がないようにしたので、第4実施形態の効果に加えて、仮想環境をより正確に生成することができる。
【0073】
以上、この発明に係る仮想環境作成方法および装置の実施形態について説明したが、この発明の他の実施形態では、第1〜5実施形態で説明した仮想環境作成方法を実行するための仮想環境生成プログラムを記録媒体に記録し、この記録媒体をコンピュータで読み取って仮想環境を作成するようにする。
【0074】
【発明の効果】
この発明によれば、レンジファインダ等の特別高価な装置や、3DCADデータ等の3Dの座標情報のデータを用いることなく、通常のカメラ、デジタルカメラ等の画像入力装置の映像から構成したパノラマ画像のみを用いて、仮想環境を生成するようにしたので、所望の仮想環境を簡単な操作で生成することができると共に、装置全体も簡単かつ安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態でのパノラマ画像と再構成される3Dモデルとの位置関係を示す図である。
【図2】第1実施形態による3Dモデルの再構成を説明するための図である。
【図3】第1実施形態での3Dモデルのテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図4】同じく、テクスチャマッピングを説明するための図で、パノラマ画像の円筒を真上から見た状態での3Dモデルの壁面の位置とパノラマ画像の画素位置との関係を示す図である。
【図5】同じく、テクスチャマッピングを説明するための図で、3Dモデルの視点と注目点とを含む床に垂直な面上での3Dモデルの壁面の位置とパノラマ画像の画素位置との関係を示す図である。
【図6】同じく、3Dモデルの天井部分と床の部分とのテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図7】第1実施形態に係る仮想環境生成方法を実施するこの発明に係る仮想環境生成装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図8】その動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の第2実施形態を説明するためのパノラマ画像と再構成される3Dモデルとの位置関係を示す図である。
【図10】第2実施形態による視点の高さの変化を示す図である。
【図11】第2実施形態による仮想環境作成方法を図7に示した仮想環境作成装置で実行する場合の動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の第3実施形態を説明するためのパノラマ画像と再構成される3Dモデルとの位置関係を示す図である。
【図13】第3実施形態による仮想環境作成方法を図7に示した仮想環境作成装置で実行する場合の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の第4実施形態を説明するための図である。
【図15】第4実施形態での3Dモデルのテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図16】第4実施形態で、視点が天井に近い場合の壁面のテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図17】同じく、視点が床に近い場合の壁面のテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図18】同じく、視点が天井に近い場合の天井および床のテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図19】同じく、視点が天井に近い場合の天井のテクスチャマッピングをさらに詳細に説明するための図である。
【図20】同じく、視点が天井に近い場合の床のテクスチャマッピングをさらに詳細に説明するための図である。
【図21】この発明の第5実施形態を説明するための図である。
【図22】第5実施形態でのパノラマ画像の円筒と、その中心線から3Dモデルの頂点B1 ,B2 までの距離との関係を示す図である。
【図23】第5実施形態において、3Dモデルの視点から頂点までの距離の誤差の一例を説明するための図である。
【図24】第5実施形態での床面のテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図25】同じく、壁面のテクスチャマッピングを説明するための図である。
【図26】第5実施形態において、3Dモデルの視点から頂点までの距離の誤差の他の例を説明するための図である。
【図27】第5実施形態での距離の他の補間例を示す図である。
【符号の説明】
1 パノラマ画像の円筒
2 3Dモデル
51 補助記憶装置
52 データ入出力装置
53 マウス
54 キーボード
55 CPU
56 ディスプレイ
57 メモリー

Claims (10)

  1. 一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像を、このパノラマ画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒にして配置する工程と、
    前記仮想空間上における前記室内の天井面と床面とを、それぞれ前記円筒の上面と下面とに接するように配置する工程と、
    前記パノラマ画像の長さである前記円筒の周面長から、該円筒の半径を求める工程と、
    前記パノラマ画像の高さを得る工程と、
    前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応するマーカーを前記パノラマ画像中に設定する工程と、
    前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さを求める工程と、
    前記円筒の半径、前記パノラマ画像の高さ、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さに基づいて、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離および前記視点の高さを求める工程とを有し、
    前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成することを特徴とする仮想環境生成方法。
  2. 請求項1記載の仮想環境作成方法において、
    視点の高さを求めるのに使用しなかった視線方向に関する視点の高さを、水平面内の回転方向において少なくともその前後に位置する既に求めた視点の高さに基づいて補間により求めることを特徴とする仮想環境生成方法。
  3. 請求項1記載の仮想環境生成方法において、
    前記パノラマ画像に基づいて構築した前記仮想環境モデルにおける梁の位置を視線方向とする視点位置を、該視点が存在する前記仮想空間上の水平面内で移動させて、前記梁を直線に修正することを特徴とする仮想環境生成方法。
  4. 請求項1記載の仮想環境生成方法において、
    前記パノラマ画像に基づいて構築した前記仮想環境モデルの表面情報として、前記パノラマ画像中の対応する位置の画像情報をテクスチャとして貼り付けることを特徴とする仮想環境生成方法。
  5. 一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像を、このパノラマ画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒にして配置する工程と、
    前記仮想空間上における前記室内の天井面および床面の少なくとも一方を、前記円筒の上面および下面のうち少なくとも一方に接するように配置する工程と、
    前記円筒の周面長、半径、高さ、および前記パノラマ画像の撮影時の画角を求める工程と、
    前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応するマーカーを前記パノラマ画像中に設定する工程と、
    前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さを求める工程と、
    前記パノラマ画像での視点位置を設定して、その設定された視点位置、前記円筒の半径、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さに基づいて、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離および前記仮想空間上における前記室内の高さを求める工程とを有し、
    前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成することを特徴とする仮想環境生成方法。
  6. 請求項5記載の仮想環境生成方法において、
    前記仮想環境モデルの壁面が四辺形であることを拘束条件として、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離を補正することを特徴とする仮想環境生成方法。
  7. 請求項5または6記載の仮想環境生成方法において、
    前記円筒を前記画角に基づく曲面に補正し、この補正した曲面の前記パノラマ画像中の画像情報をテクスチャとして、前記パノラマ画像に基づいて構築した前記仮想環境モデルの対応する位置の表面情報として貼り付けることを特徴とする仮想環境生成方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の仮想環境生成方法を実施する装置であって、
    パノラマ画像を表示する画像表示手段と、
    この画像表示手段に表示されたパノラマ画像上で、仮想空間上の任意の柱が天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応するマーカーを設定する手段と、
    前記パノラマ画像および前記マーカーの前記パノラマ画像上での位置情報に基づいて、前記パノラマ画像に対応する仮想環境モデルを生成する手段と、
    を有することを特徴とする仮想環境生成装置。
  9. 一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像をもとに、コンピュータにより仮想環境を生成するためのプログラムを記録した記録媒体であって、
    前記コンピュータに、
    前記パノラマ画像を、その画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒として、該円筒の上面および下面を前記仮想空間上における前記室内の天井面および床面にそれぞれ接するように配置する機能と、
    前記円筒の周面長、半径および高さを求める機能と、
    前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応して前記パノラマ画像中に設定されるマーカーに基づいて、各マーカーの前記パノラマ画像中での高さを求める機能と、
    前記円筒の半径、高さ、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さに基づいて、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離および前記視点の高さを求めて、前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成する機能と、
    を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
  10. 一つの視点から撮影された室内のパノラマ画像をもとに、コンピュータにより仮想環境を生成するためのプログラムを記録した記録媒体であって、
    前記コンピュータに、
    前記パノラマ画像を、その画像が有する画角情報を反映するように仮想空間上で円筒として、該円筒の上面および下面のうち少なくとも一方が前記仮想空間上における前記室内の天井面および床面のうち少なくとも一方に接するように配置する機能と、
    前記円筒の周面長、半径、高さ、および前記パノラマ画像の撮影時の画角を求める機能と、
    前記仮想空間上の任意の柱が前記天井面および床面に接するそれぞれの頂点に対応して前記パノラマ画像中に設定されるマーカーに基づいて、各マーカーの前記パノラマ画像中での高さを求める機能と、
    前記パノラマ画像の設定された視点位置、前記円筒の半径、および前記各マーカーの前記パノラマ画像中での高さに基づいて、前記仮想空間上での視点から前記柱までの距離および前記仮想空間上における前記室内の高さを求めて、前記パノラマ画像に基づいて前記室内の仮想環境モデルを生成する機能と、
    を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
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