JP5363752B2 - 路面標示地図生成方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、車輌の前後または側方に対してデジタルカメラ等により取得された画像から、路面の標示を含む静止画像を生成する技術を開示している。この技術では、目的の道路を車両で走行しながら、その車両に搭載されたデジタルカメラで路面の標示等を撮影する。そして、動画を構成する各フレーム画像を真上から見た状態の正射画像に変換し、撮影位置に応じて配列する。正射画像とは、道路の垂直上方の無限遠点に視点を置いた場合の道路画像を言う。複数のフレーム画像を配列することによって、1回の走行の軌跡(以下、パスと呼ぶこともある)に沿った道路面の合成画像を得ることができる。
例えば、道路内部の各地点の位置座標が詳細に得られている地図データが存在すれば、車両の現在位置に応じて、車両が道路のどの車線を走行しているかを判断して、車線変更の案内を行うことや、車両に横断歩道が接近していることを警告するなどの高機能な案内を実現することが可能となる。
しかし、従来の地図データは、これらの高精度、高機能な案内を実現するためには不十分な精度しか有していなかった。仮に車両の現在位置を精度良く把握したとしても、その位置情報を活かすだけの詳細な地図データが用意されていたとは言えなかったのである。
しかし、従来技術は、いずれも道路面の合成画像を得ることを主目的としており、路面の標示の位置座標を得ることを目的としてはいなかった。
例えば、特許文献2の技術は、道路が直線か曲線かに関わらず車両の進行方向をX軸とし、その移動距離をX座標として画像を表しているに過ぎず、このX軸に直交する方向にのみ画像をアフィン変換するに過ぎない。複数のパスで得られた画像について、このように定められたX座標が十分に一致しているという保証はないから、特許文献2の技術では路面の標示の位置座標を精度良く得ることはできない。
また、アフィン変換は、原画像の長方形領域を平行四辺形に歪ませる作用を持つ変換とも言えるから、特許文献2の技術では、アフィン変換によって画像の合成を行うことにより画質の劣化を招き、路面の標示の位置座標を一層低下させるという課題もある。
一方、特許文献1記載の技術は、1回のパスで得られる画像に対する処理を開示しているのみであり、道路全体を十分にカバーすることができない。
本発明では、まず、コンピュータは、道路面を撮影する際の移動軌跡である複数のパスに沿って移動しながら標示を含む路面を撮影した連続画像の画像データと、この画像データの撮影位置を表す位置座標データとを入力する。
上述の画像データは、例えば、車両などの移動体に搭載した撮影装置によって撮影することができる。撮影装置としては、例えば、ディジタル・ビデオ・カメラなどを用いることができる。また、撮影装置には、撮影時の位置座標データを取得する位置計測装置を搭載しておくことが好ましい。位置計測装置は、例えば、GPS(Global Positioning System)や、ジャイロなどの慣性航法装置などを単独または組み合わせて用いることができる。また、処理の便宜上、撮影した画像と位置座標データを入力し、両者を同期させて記録する記録装置を用意しておくことが好ましい。
そして、こうして得られた正射画像を位置座標データに基づいて、パス上に配置することにより、各パスの路面を表す連結画像を生成して表示する。この際、正射画像の一部が重なっても良い。正射画像は、例えば、その中心線がパスの進行方向に沿う状態で配置することが好ましい。
こうすることで連結画像がパスの本数分だけ得られる。それぞれ位置座標に誤差が含まれるため、複数本の連結画像は、誤差に応じて、ずれて表示される。
上述の処理によって特定された対応点同士のずれは、位置座標の誤差を表すことになる。
この補正は、移動ベクトルに基づいて、連結画像を構成する領域ごとに平行移動することによって行う。この領域は、一旦、生成された連結画像を元の正射画像に相当するサイズまたは別の任意に設定されたサイズに分割したものでもよい。また、連結画像を生成する際に、正射画像を合成せずに配置するだけに留めておく場合には、各正射画像ごとに位置を修正するようにしてもよい。
そして、複数のパスに存在する対応点が一致するように各パスの位置を修正することによって、各パス間の位置精度の誤差を解消することができる。
更に、各パスの合成に使用する対応点は、コンピュータが画像処理によって抽出した特徴点に基づき設定することができる。このため、オペレータが逐一、対応点を指定する必要がなく、軽い処理負荷で合成を行うことができる。もっとも、対応点の特定は、完全に自動化する必要はなく、コンピュータが特定した対応点に対し、オペレータが一部を修正、削除したり、他の対応点を追加したりできるようにしてもよい。
以上の作用によって、本発明の生成方法によれば、撮影時の位置精度を確保した状態で、路面の標示を含む合成画像を得ることができる。従って、この合成画像を用いることにより、路面の標示を含む路面標示地図を生成することが可能となる。ここで、路面標示地図は、この合成画像を用いた印刷物として生成してもよいし、合成画像に基づき路面標示の位置座標を取得して、電子化することにより、電子地図として生成してもよい。
この時、基準パスは、オペレータが指定するなど、種々の方法で設定することができる。
コンピュータは各パスについて、位置座標データの精度の評価データを併せて入力し、この評価データに基づいて基準パスを設定するようにしてもよい。例えば、複数のパスのうち、評価データに基づいて位置精度が最も高いと評価されるパスを基準パスと設定する方法が挙げられる。こうして設定された基準パスに他のパスを合わせるようにして合成画像を生成すれば、最も高い位置精度を確保することが可能となる。
評価データは、直接に位置精度を定量的に表すデータとしてもよいし、位置精度の算出に用いることができるデータとしてもよい。
第1の方法として、合成画像の生成においても、正射画像を一枚の画像として結合する処理を行わず、それぞれ配置するだけに留めるようにしてもよい。こうすることにより、各正射画像の代表点の位置をそのまま保持することができる。
第2の方法として、合成画像の生成時に、正射画像を一枚の画像として結合してしまう場合には、各正射画像の代表点の位置を、結合した画像内の相対的な座標系で表すことによって基準パスの位置を特定する情報を生成するようにしてもよい。
まず、この処理は、連結画像を複数に分割し、分割されたピースごとに画像処理を行うようにしてもよい。
こうすることによって、連結画像全体をまとめて処理するよりも処理負荷を軽減することができる。また、ピースに分割することによって、各ピースから抽出される特徴点の数を減らすことができるから、対応点を特定する際の誤りを抑制することができる。横断歩道、停止線、車線境界線などの道路面の標示は、連結画像内の複数箇所に撮影されていることが多いため、連結画像全体に対して対応点を特定させようとすると、全く異なる位置にある標示同士を対応づけるおそれがあり、誤認識の可能性が高くなる。本態様のように、連結画像を分割したピース単位で対応点を特定すれば、こうした誤認識の可能性を抑制することが可能となるのである。
かかる態様に対し、連結画像を位置座標データに基づいて絶対座標系に配置し、この絶対座標系において連結画像の位置とは無関係に設定された区画境界線に基づいて連結画像を分割する方法をとってもよい。絶対座標系とは、地面に固定された座標系を意味する。例えば、緯度経度や、地面の特定の点を原点として定義される2次元座標系などを用いることができる。絶対座標系は、撮影時に取得された位置座標データの座標系をそのまま利用することが好ましい。区画境界線は、この絶対座標系で任意の形状に規定可能であり、例えば、所定サイズの方眼状とすることができる。
このように絶対座標系を基準として連結画像を行う場合、複数パスの連結画像に対して区画境界線を共通のものとすることができ、各連結画像を分割したピース間の対応づけなど、データの管理が容易となる利点がある。
これらの可能性を抑制するための方法として、複数通りの分割態様で、連結画像を分割し、各分割態様に対して対応点を特定するようにしてもよい。
こうすることにより、連結画像の各部位について、複数通りのピースで特徴点の抽出を行うことができるため、いずれかのピースでは対応点を良好に認識できる可能性が高まる。従って、連結画像内で十分な特徴点が抽出できない部位を減らすことができ、また対応点の誤認識を抑制することが可能となる。
特徴点が過密となる領域では、複数パス間の特徴点同士の対応関係を特定しづらくなり、対応点の誤認識が生じやすくなる。かかる領域の画像を予め削除する前処理を施すことにより、特徴点の密度を抑制することができ、誤認識を避けることができる。
別の態様として、連結画像内の所定の標示部分を削除するようにしてもよい。特徴点が過密に抽出される可能性がある標示としては、例えば、横断歩道、分離帯その他を示す縞模様の標示などが挙げられる。これらの標示を構成する白線または黄線の角が全て特徴点として抽出される可能性があるからである。
例えば、抽出された特徴点のうち、パスからの距離が所定値以上であるものを削除してもよい。先に説明した通り、正射画像の両端付近は中央付近よりも位置精度が低い。従って、パスからの距離が所定値以上の特徴点を削除することにより、正射画像の両端付近の特徴点を削除することができ、位置精度が高い特徴点を残すことが可能となる。
この方法では、まず、複数のパスついて求められた複数組の対応点に基づき、対応点の位置が一致するように、一方のパスを他方のパスに合わせるための移動ベクトルを求める。この移動ベクトルは対応点の数だけ求められる。そして、この複数の移動ベクトルのうち、方向または大きさが統計的に異常と判断されるものを抽出し、かかる異常な移動ベクトルに対応する対応点を削除する。
異常か否かの判断は、例えば、方向または大きさの平均値との差異、標準偏差などが所定の基準値を超えるか否かに基づいて判断することができる。方向については、パスに直交する成分を用いて、その正負の符号に基づいて異常か否かを判断してもよい。
この場合に、先に説明した前処理およびフィルタリングを施しておけば、オペレータが対応点を視認しやすくなり、その適否を判断しやすくなるという利点もある。
本発明は、上述の生成方法に限らず、この生成方法によって道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成する生成装置として構成してもよい。
また、上述の生成方法をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよいし、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
A.システム構成:
A1.道路面撮影システム:
A2.路面標示地図生成装置:
B.処理概要:
B1.中間データ構成:
B2.処理例:
B3.位置合わせ加工概要:
C.路面標示地図生成方法:
C1.連結画像生成処理:
C2.位置合わせ加工:
C3.基準パス設定処理:
C4.連結画像移動処理:
C5.透明化ポリゴン設定処理:
D.自動位置合わせ処理:
D1.画像前処理:
D2.処理領域設定:
D3.対応点フィルタリング処理:
E.効果:
本実施例では、車両に搭載したビデオカメラで撮影した道路面の画像を用いて、路面の標示を含む地図(以下、「路面標示地図」と呼ぶ)を生成する方法を示す。
本実施例のシステムは、道路面撮影システムと路面標示地図生成装置から構成される。道路面撮影システムは、道路を走行しながら道路面の画像をビデオカメラで撮影するシステムである。本実施例では、対象となる道路を、異なる走行軌跡で複数回走行し、それぞれ画像を撮影する。
路面標示地図生成装置は、道路面撮影システムで撮影された道路面の画像に基づいて路面標示地図を生成する装置である。まず、上述の各走行軌跡上に、撮影された画像を正射画像に変換した上で配置することで、道路面の一部の車線についての画像を生成する。そして、複数の走行軌跡の画像を、位置座標が整合するように配置することで道路全体の画像を生成する。
以下、道路面撮影システムと路面標示地図生成装置のシステム構成について説明する。
図1は実施例としての道路面撮影システムの構成を示す説明図である。
道路面撮影システム100は、車両に搭載されたシステムである。図の下方のブロック図に基づき、システム構成を説明する。
ビデオカメラ120は、走行中の道路面の画像を撮影する。
位置計測部110は、撮影中の位置座標を計測する装置である。位置計測部110は、GPS(Global Positioning System)114、IMU(Inertial
Measurement Unit)116、DMI(Distance Measuring Instrument)118およびコントローラ112から構成されている。GPS114は、全地球測位システムである。IMU116は、内部に3軸のジャイロおよび加速度センサを備えた慣性計測装置である。DMI118は、車輪の回転を検出して移動距離を計測する装置である。
また、これらの信号の取得後、位置座標の計測精度の評価値である自己推定位置精度σを併せて出力する。一般にGPS114は、位置座標の検出に使用される人工衛星の配置、電波の受信状況、建造物などに反射した電波を受信することによるマルチパスの有無などによって検出精度が変動することが知られている。またディファレンシャル測位では、基準局の稼働状況によっても検出精度は影響を受ける。
自己推定位置精度σは、任意に定義可能である。例えば、GPS114の人工衛星の配置によって定まる精度低下率(DOP(Dilution of Precision))を用いて自己推定位置精度σを算出するようにしてもよい。
自己推定位置精度σは、取得されたデータを後述する路面標示地図生成装置で処理する際に、解析するようにしてもよい。
ビデオカメラ120は、前方画像を撮影できるよう、車両の前方に設置する。画角を広げるために広角レンズを装着してもよい。
GPS114のアンテナ114Aは、車両のルーフ上部に設置する。本実施例では、GPS用の人工衛星からの電波を確実に受信し、十分な位置精度を確保することができるよう、アンテナ114Aを車両の前後に主副の2台設置した。いずれか一台のみを用いるものとしてもよい。
IMU116、DMI118、コントローラ112は、それぞれ車両の後部に設置した。DMI118は、後輪の回転を検出可能に装着されている。
記録装置130およびハードディスク140は車室内の任意の場所に設置可能であるため、図示を省略した。
図2は実施例としての路面標示地図生成装置の構成を示す説明図である。道路面撮影システムで撮影された道路面の画像に基づいて路面標示地図を生成するための装置である。本実施例では、完全に自動で路面標示地図を生成するのではなく、適宜、オペレータからのコマンドによる指示を受けながら対話型または半自動で処理を進める方法を採用した。
表示制御部203は、コンピュータのディスプレイに、路面標示地図生成装置200での処理結果を表示したり、オペレータが種々のコマンドを指示するための画面を表示したりする。コマンド入力部202、表示制御部203の機能は、コンピュータのOS(Operating System)によって提供してもよい。
もっとも、基準局からのデータを用いることは必須ではない。計測データ146で得られた位置座標をそのまま用いるものとしてもよい。かかる場合には、軌跡データ算出部205は省略することも可能である。
1パス合成部207は、画像変換部206によって得られた各フレーム画像の正射画像を、その正射画像内の代表点が、撮影時の位置座標に基づいて定まる位置座標に来るように配置することによって、撮影時の走行軌跡(パス)に沿った道路面の画像を合成する。こうして合成された画像を、連結画像と呼ぶものとする。合成された連結画像は、処理データ記憶部210に保存される。
本実施例では、それぞれの道路に対して、異なる走行軌跡で、複数回走行して、撮影を行う。1パス画像合成部207は、それぞれのパスごとに合成画像を生成する。この結果、連結画像は、パスの本数に応じて、複数生成される。
位置合わせで得られた道路画像は、処理データ記憶部210に保存される。
B1.中間データ構成:
図3は路面標示地図の生成過程における中間データを示す説明図である。これらのデータは、順次、処理データ記憶部210(図2参照)に記憶される。
本実施例では、道路を走行しながらビデオカメラ120および位置計測部110で取得したデータが記録装置130としてのパーソナルコンピュータによってハードディスク140内に格納されている。格納されるデータとしては、画像データ142、計測データ146、および両者の同期をとるための同期データ144がある。
本実施例では、各道路を複数回走行して、道路面の画像を撮影する。従って、路面軌跡データ210bおよび路線軌跡データ210bは、各道路に対して複数パス分、生成されることになる。
連結画像210dは、路面テクスチャ210cを結合した一つの画像ファイルとして生成することもできる。本実施例では、後に続く処理の便宜上、合成画像として生成するのではなく、路面テクスチャ210cを配置して連結画像210dを生成するための情報(以下、「登録データ」と呼ぶこともある)を、路面テクスチャ210cの各画像と対応づけて格納するものとした。かかる情報には、路面テクスチャ210cを配置する位置座標、配置する際の姿勢(角度)、および隣接する路面テクスチャ210cを特定する情報、隣接する路面テクスチャ210cとの上下関係などを含めることができる。
道路画像210eについても、合成画像として生成してもよいし、路面テクスチャ210cを配置して道路画像210eを生成するための情報を、路面テクスチャ210cの各画像と対応づけて格納するようにしてもよい。本実施例では、後者の方法を採用した。それぞれの路面テクスチャ210cを配置する位置座標、配置する際の姿勢(角度)などの情報は、道路画像用登録データ210fとして保存されている。また、位置合わせの過程で、路線軌跡データ210bに対して、位置誤差を修正する処理が施されるため、この原データに対する修正過程を表す情報を、軌跡用登録データ210gとして保存する。
この他、連結画像210dのデータ(路面テクスチャ210c、路線軌跡データ210bを含む)も併せて保存する。原データである画像データ142、軌跡データ210aも保存しておくことが好ましい。仮に、合成画像化された形で連結画像210dを保存している場合には、道路画像210eは、連結画像210dを合成することになるため、合成の繰り返しで原データに比較して画質が劣化するおそれがある。これに対し、本実施例のように、路面テクスチャ210cも含めて、原データに近いデータを残しておくことにより、これらのデータを利用して道路画像210eを生成することが可能となる。従って、合成の繰り返しなど、画像データに重畳的に画像処理が施されることを抑制でき、道路画像210eの画質を向上させることが可能となる。
次に、本実施例における処理の概要理解を容易にするため、処理例を示す。
図4は実施例における道路画像の生成例を示す説明図である。図4(a)には、1本のパスに沿って得られた連結画像の生成例を示し、図4(b)には、複数パスの連結画像を配置して得られた道路画像の例を示している。
図4(a)中の直線L41〜L44は、それぞれ道路面撮影システム100で走行しながら道路画像を撮影した際の走行軌跡(パス)を表している。図4(a)のPIC41は、パスL43を走行して得られた画像データに基づいて生成された連結画像である。本実施例では、広角レンズを用いて撮影しているため、1回のパスでも複数車線を覆うだけの連結画像を得ることができている。連結画像の両端が、のこぎり刃状にギザギザになっているのは、画像データの各フレームを正射投影した際に生じる形状歪みの影響である。この連結画像PIC41は、ギザギザの山数に応じたフレーム数の正射画像(路面テクスチャ)を配置して生成されているのである。
このような連結画像は、図中のパスL41〜L44のそれぞれに対して得られる。
図5は位置合わせ加工の概要を示す説明図である。本実施例では、複数の連結画像に共通して撮影されている対応点の位置を合わせるように、連結画像を平行移動することによって位置合わせを行う。本実施例では、対応点を自動認識して位置合わせする方法と、オペレータが対応点を標示に基づいて指定して位置合わせを行う方法の双方を採ることができる。以下では、まずオペレータが対応点を指示した場合を例にとって処理内容を説明する。
図5(a)には対応点が1つだけ指定された場合の処理方法を示した。図中には、2本の連結画像PIC51、PIC52が描かれている。これらには、それぞれ菱形の標示、つまり横断歩道の予告標示が含まれている。ただし、図5(a)左側の状態では、連結画像PIC51、PIC52には相対的に位置誤差があるため、標示の位置がずれている。
オペレータは、この表示画面を見ながら、マウス等のポインティングデバイスを用いて対応点を指定する。図の例では、横断歩道の予告表示の頂点に当たるP51、P52を指定した状態を示した。これらの対応点P51、P52は、連結画像PIC51、PIC52に位置誤差がなければ、本来、同じ位置に重なるはずの点である。そこで、本実施例では、対応点P51、P52が一致するよう、図中に矢印で示すように連結画像PIC51、PIC52を平行移動させる。
この際、連結画像PIC51、PIC52の一方を基準とし、他方を平行移動する方法を採った。図の例では、連結画像PIC51を基準とし、連結画像PIC52を移動させた例を示している。このように移動することにより、予告標示のずれが解消した状態の道路画像PIC53を得ることができる。
この状態で、オペレータが、2組の対応点を指定したとする。対応点P54、P53の組と、対応点P56、P55の組である。連結画像PIC54では、連結画像PIC55に含まれる予告標示M52は全体が描かれており、連結画像PIC54に含まれる予告標示M51は一部が消えている。このような状態であっても、対応点P55、P56が対応することは明らかであるため、対応点として指定することは可能である。
このように複数組の対応点が指定されると、連結画像PIC54を基準として、それぞれの対応点が一致するように、連結画像PIC55を移動させる。ただし、対応点P53をP54に一致させるための第1の移動量と、対応点P55をP56に一致させるための第2の移動量とが同じであるとは限らない。そこで、対応点P53とP55との間の領域では、第1の移動量、第2の移動量を直線補間して、各点の移動量を設定する。こうすることにより、予告標示のずれが解消した状態の道路画像PIC56を得ることができる。
この例では、連結画像PIC54中の予告標示M51は半分が欠けている。この状態で位置合わせを行うと、この例では、連結画像PIC54をPIC55の上側に重ねるように表示しているから、連結画像PIC55の予告標示M52は、連結画像PIC54によって覆い隠されてしまう。この結果、連結画像PIC55では完全な状態で描かれている標示M52を道路画像PIC56で活かすことができない。
そこで、このような場合に、オペレータの指示によって予告標示M52を取り囲むように透明化ポリゴンTP50を設定する。透明化ポリゴンTP50が設定された箇所では、上側の連結画像が透明化され、切り取られたように表示される。この結果、透明化ポリゴンTP50の部分では、連結画像PIC54の下側に配置された連結画像PIC55に描かれている予告標示M52が表示される。
本実施例では、このように透明化ポリゴンを設定可能とすることによって、それぞれの連結画像で描かれている標示を、道路画像においても有効活用することができる。
図6の例では、縦の道路については、それぞれ単一のパスしか存在しないため、パスBP61、BP62が基準パスとなる。
横の道路については、区間D61ではパスBP63bとNP61bのうち位置精度が高い側を基準パスとし、区間D62についてはBP64bとNP61bのうち位置精度が高い側を基準パスとする。ここでは、それぞれパスBP63b、BP64bが基準パスとして設定されているものとする。更に、パスBP63b、BP64b間の位置精度を比較して、優劣を決める。パスBP63b、BP64bはそれぞれ区間D61、D62の基準パスではあるが、一本の道路に配置された連続するパスなので、これらのパス間でも位置合わせを行う必要があるからである。図6の例では、パスBP63bの方が、パスBP64bよりも位置精度が高いものとする。
この結果、横のパスについては、基準パスBP63b>基準パスBP64b>標準パスNP61bの順に位置合わせの優先度が定まる。
まず、基準パスBP63bの位置合わせを行う。オペレータの指示によって、基準パスBP63b上の対応点P63bが指定され、その本来の位置として、点P63aが指定されたとする。この結果、基準パスBP63bは、対応点P63bが、点P63aに一致するように移動され、実線で示した基準パスBP63aが得られる。
図示を省略したが、基準パスBP63bに対応した連結画像も基準パスBP63aに合わせて移動する。本実施例では、基準パスBP63bに沿って路面テクスチャを配置することによって連結画像を表示しており、これらの路面テクスチャを合成してはいない。従って、基準パスBP63aへの移動が行われた場合には、基準パスBP63aに沿うように、各路面テクスチャの位置を平行移動することによって、基準パスBP63aの連結画像を得ることができる。
対応点が指定されると、基準パスBP64bは、対応点P65b、P64bが、点P65a、P64aに一致するように移動され、実線で示した基準パスBP64aが得られる。これに合わせて、基準パスBP64bの連結画像を構成していた路面テクスチャも、それぞれ基準パスBP64a上に平行移動される。
対応点が指定されると、標準パスNP61bは、対応点P68b、P67bが、点P68a、P67aに一致するように移動されるとともに、対応点P67b、P66bが、点P67a、P66aに一致するように移動される。これらの3点は一直線上にはないから、結果として、標準パスNP61bは、折れ線状の標準パスN61aに移動される。これに合わせて、標準パスNP61bの連結画像を構成していた路面テクスチャも、それぞれ標準パスNP61a上に平行移動される。
例えば、図6の処理において、位置精度が低い順、つまり標準パスNP61b、基準パスBP64b、基準パスBP63bの順に位置合わせをしたとする。この場合には、基準パスBP64bの位置合わせは、標準パスNP61bの位置合わせの影響を受け、位置精度が低下する。基準パスBP63bの位置合わせは、標準パスNP61b、基準パスBP64bの位置合わせの影響を受け、位置精度が低下する。従って、位置精度が低い順に位置合わせを行うと、パス間の相互作用によって全体の位置精度が低下してしまう。
本実施例では、これとは逆に、位置精度が高い順に位置合わせを行う。従って、最も位置精度が高いパスの位置精度を劣化させることなく、全体の位置合わせを行うことが可能となるのである。
以下、図1〜6で説明した路面標示地図の生成方法について、詳細に説明する。
まず、連結画像生成処理、つまり図3中の路面テクスチャ210c、路面軌跡データ210bに基づいて各パスの連結画像210dを得る処理について説明する。
次に、位置合わせ加工、つまり複数パスに対する連結画像210dの位置合わせを行う処理、および位置合わせ加工の中で行われる基準パス設定処理、連結画像移動処理について説明する。ここでは、まずオペレータが対応点を指示する場合を例にとって説明する。
そして、透明化ポリゴンの設定処理について説明する。
最後に、位置合わせ加工を自動的に行うための処理、即ち自動位置合わせ処理について説明する。
図7は連結画像生成処理のフローチャートである。ハードウェア的には路面標示地図生成装置200のCPUが実行する処理である。これは、図2に示した画像変換部206、1パス合成部207の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは、まずフレームデータを読み込む(ステップS10)。フレームデータとは、道路面撮影システム100(図1)のビデオカメラ120で撮影された画像データ142を構成する各フレームの画像である。
領域A71は、上述の例に限らず、任意に設定可能である。ビデオカメラ120が一定のフレームレートで画像を撮影するため、フレームデータは、道路面を間欠的に撮影した画像群となる。従って、領域A71は、間欠的に撮影された画像群を並べた時に、道路が連続画像として再現できるように範囲を決定することが好ましい。例えば、領域A71の縦幅を狭くすれば、車両の速度が速い場合には、あるフレームデータから切り出された領域と、次のフレームデータから切り出された領域との間に隙間が生じやすくなる。一方、領域A71の縦幅を広くすれば、前方車両や空、建物など、道路画像とは異なる雑多な映像が含まれやすくなる。領域A71は、これらの影響を考慮した上で、設定すればよい。
先に説明した通り、このフレームデータの一部の領域A71を切り出して使用する。
下段には、領域A71の画像を正射投影変換した状態を例示した。道路を真上から見た画像に変換するため、左右の車線規制線L71、L72は図示する通り、平行な線分に変換される。標示M7も同様に真上から見た状態の形状に変換される。
まず、道路面撮影システム100を搭載した車両は水平面上を走行しており、被写体である道路も同一水平面上にあるものとする。
この時、道路画像、即ちフレームデータの画面上の2次元座標をm=[u,v]Tとする。また、地面に固定された世界座標系の3次元座標をM=[X,Y,Z]Tとする。これらの各座標に1の要素を直積で加えたベクトルを、次式(1)の通り定義する。
[Rt]は、外部パラメータ行列;
Rは回転行列;
tは平行移動行列;
Aは内部パラメータ行列である。
α、βはそれぞれu軸、v軸方向のスケール因子、γは2つの画像軸のスキューにより表されるパラメータ;
[u0,v0]Tは、画像の主点の座標(主点座標)である。
画像のピクセルサイズを(ku、kv)、u軸とv軸とのなす角をθ、焦点距離をfとすると、α、β、γは次式(4)で表される。
平行移動ベクトルtは、世界座標系において原点に対する実画像の画像主点の移動ベクトルである。
ビデオカメラ120の高さ(実画像の画像主点の高さ)をhとすると、平行移動ベクトルtは次式(5)で表される。
ヨー角φ、ピッチ角ω、ロール角κおよび画像主点の高さhは、次の手順で得られる。まず、初期状態、即ち車両が水平な地面に設置されている状態において、ヨー角φ0、ピッチ角ω0、ロール角κ0、および高さh0の基準値を計測しておく。次に、走行中には逐次、車両の姿勢角の変化および車高の変化をジャイロ、加速度センサ等で記録しておき、上述の基準値にこの変化を反映することで、各地点でのヨー角φ、ピッチ角ω、ロール角κおよび高さを得ることができる。
まず、被写体である道路面を水平面(Y=0)の画像であると仮定する。この時、式(2)より、次式(7)の関係が成立する。
まず、フレームデータを取得した各地点の位置座標データ(X0,Y0,Z0)と、被写体である道路面付近の複数点の位置座標(Xi,Yi,Zi)とから、被写体である道路面の勾配を計算する。本実施例では、勾配は一様であるものと仮定した。
具体的には、撮影地点の世界座標点(X,Y,Z)付近の位置座標データから、高さの変化Δhを求める。つまり、Δh=Y−Y0である。この時、一様な勾配を仮定すると、道路面上の世界座標系(X’,Y’,Z’)の点の奥行きZ’は次式(9)で求めることができる。
本実施例では、後に続く処理の便宜のため、正射画像(路面テクスチャ)を低解像度/高解像度の2通りで生成するものとした。高解像度の正射画像(路面テクスチャ)(以下、「高解像度画像」と呼ぶ)は、もとのフレームデータの切り出し領域A71をそのまま利用して生成された画像、即ち原画像と同じ解像度で生成された画像である。低解像度の正射画像(路面テクスチャ)(以下、「低解像度画像」と呼ぶ)は、解像度を原データよりも下げた画像である。低解像度画像の解像度は、路面標示地図生成装置200が軽い負荷で画像を表示することができる程度の値とすることが好ましく、原画像の解像度の半分など、任意に設定可能である。
各正射画像(路面テクスチャ)A72は、フレーム座標系(uv座標系)の原点に対応する点を、各フレームデータの撮影時の位置座標に基づいて配置すればよい。フレームデータは車両の位置よりも前方を写したものであるため、正射画像(路面テクスチャ)は、フレームデータ毎に車輌位置とフレーム座標系の位置関係を計算して配置する。また、正射画像(路面テクスチャ)は、時系列的に古い画像から新しい画像に順次、配置するものとした。
このように正射画像(路面テクスチャ)を配置することによって、道路面の車線境界線L71、L72および標示M7が再現される。
本実施例では、連結画像生成処理の段階では、正射画像(路面テクスチャ)を1枚の画像に結合することなく、配置して表示する状態に留めている。従って、1パス画像合成処理(ステップS14)で生成されるのは、合成画像ではなく、各正射画像(路面テクスチャ)の配置を決定する情報となる。もっとも、この処理において、正射画像(路面テクスチャ)を1枚の画像に結合する方法を採ることもできる。
図8は位置合わせ加工のフローチャートである。ハードウェア的には路面標示地図生成装置200のCPUが実行する処理である。これは、図2に示した位置合わせ処理部220の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは、まず処理の対象となる道路(以下、「対象道路」と言う)についてのオペレータからの指定を入力する(ステップS20)。そして、対象道路に対応する連結画像を入力する(ステップS22)。本実施例では、それぞれの道路について、走行位置を変えながら複数回走行して、路面画像を撮影している。従って、各走行に対応するパスに基づいて、それぞれ連結画像が生成されている。ステップS22では、これらの複数の連結画像を読み込む。
本実施例では、図中に示すように、基準パスおよび標準パスの連結画像をディスプレイに表示し、オペレータが、マウスなどのポインティングデバイスを操作して、この画面内で対応点を設定するという方法を採った。図の例では、標準パスの画像内で菱形をした横断歩道予告標示の頂点を対応点として指定し、次に、これに対応する頂点を基準パスの画像内で指定する例を示した。対応点は、1点に限らず、複数の点を指定可能である。
先に説明した通り、本実施例では、連結画像は一枚の合成画像として生成されている訳ではなく、正射画像(路面テクスチャ)を配置して表示している。従って、ステップS50の処理では、それぞれの正射画像(路面テクスチャ)を移動することで、連結画像の移動処理が行われる。移動処理と併せて、それぞれの正射画像を低解像度画像から高解像度画像に置換する処理が行われる。高解像度画像を用いて、正射画像を再配置する処理を行うものとしてもよい。
連結画像移動処理の内容は、後で詳述する。
図9は基準パス設定処理のフローチャートである。位置合わせ加工(図8)のステップS30に相当する処理であり、複数のパスの位置合わせをする際に、自己推定位置精度が最も高いものを基準パスとして設定するための処理である。
各パスの自己推定位置精度σが得られると、CPUはこの値が最小となるパスを基準パスとして設定する(ステップS33)。対象道路に対して単一のパスしか存在しない場合には、無条件にそのパスが基準パスとして設定されることになる。この基準パスの自己推定位置精度をσBとする。
これに対し、自己推定位置精度σBが、所定の閾値σTH以上の場合には、エラー表示を行って(ステップS35)、処理を終了する。この場合には、基準パスの位置精度が十分確保されていないことを意味するため、位置合わせ処理を行っても、位置精度が十分に保証されないからである。
所定の閾値σTHは、上述の通り、路面標示地図として確保すべき位置精度に基づいて任意に設定可能である。
もっとも、位置合わせ処理における修正は、いずれのパスに対してもできるだけ小さい方が、より好ましいと言える。従って、ステップS34において、全てのパスの自己推定位置精度を閾値σTHと比較し、いずれか一本でも、この閾値を下回る精度のパスが存在する場合にはエラー表示を行うようにしてもよい。
ただし、標準パスにも基準パスと同等の位置精度を要求すると、エラー表示が頻繁になされるおそれがある。かかる弊害を回避するため、標準パスでは基準パスよりも高い閾値σTHを用いるようにしてもよい。つまり、標準パスについては位置精度の要求を基準パスよりも緩めるのである。こうすることによって、標準パスについても最低限の位置精度を保証しつつ、エラー表示が頻繁になされるのを回避することができる。
(1)フローチャート:
図10は連結画像移動処理のフローチャートである。位置合わせ処理(図8)のステップS50の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは移動対象となる標準パスのデータおよび対応点のデータを入力する(ステップS51)。標準パスのデータとは、フレーム画像が撮影された時の位置座標を順次、記録した点列からなる軌跡データである。対応点のデータは、図8のステップS20において、基準パスおよび標準パスが表示された画面内でオペレータが指定した対応点の座標値である。
図中に移動ベクトルの算出例を示した。この例では、標準パスNP10について、対応点P101、P103が指定されているものとする。標準パス上には、図中に台形で示すように正射画像(路面テクスチャ)が配置されている。
また、対応点が一つしか指定されておらず、移動ベクトルが一つしか与えられない場合は、この移動ベクトルを用いる。
この処理と併せて、標準パスNP10上の点PP10の位置も移動ベクトルVP10によって修正される。従って、ステップS53の処理では、路面テクスチャの移動と共に、標準パスNP10の軌跡も修正されることになる。
図11は位置合わせ加工の処理例(1)を示す説明図である。図11(a)〜図11(c)のそれぞれには、標準パスNP11および基準パスBP11に対する連結画像を重ねて表示した表示した状態を示している。図11(a)は標準パスNP11の連結画像を、基準パスBP11の連結画像よりも上に配置した状態である。先に説明した通り、連結画像は多数の路面テクスチャを配置することで構成されているが、図中には、説明の便宜上、一つの路面テクスチャTX11に輪郭を付して示した。
オペレータは、この画面中で、標準パスNP11における対応点P111を指定する。対応点P111は、任意に設定可能である。本実施例では、分離帯標示M11の白線の斜め縞模様の端点の一つを対応点P111として選択している。
対応点P112が指定されると、標準パスNP11の対応点P111から基準パスBP11の対応点P112に向かうように移動ベクトルV11が求められる。この移動ベクトルV11に従って、路面テクスチャTX11を移動すれば、対応点P111は対応点P112に一致し、分離帯標示M11、M12の位置も一致させることができる。
図12は位置合わせ加工の処理例(2)を示す説明図である。標準パスNP12、基準パスBP12の連結画像を重ねた状態を示した。説明の便宜上、双方の路面標示を視認可能な状態で示している。位置合わせ前は、標準パスNP12、基準パスBP12の位置がずれているため、車線境界線などの標示の位置はずれている。
オペレータは、ここでは破線での車線境界線の端点の一つを対応点として選択している。標準パスNP12については車線境界線L122の端点を対応点P122として選択し、基準パスBP12については車線境界線L121の端点を対応点P121として選択する。この結果、標準パスNP12の対応点P122から基準パスBP12の対応点P121に向かう移動ベクトルV12が定まる。
上述の通り、標準パスNP12の連結画像を、移動ベクトルV12に従って移動することによって、車線境界線の位置を合わせることができる。位置合わせの結果が車線境界線L13である。
また、この位置合わせ加工によって、標準パスも基準パスの位置に合わせられる。本実施例は、本来、異なる位置を走行した複数のパスを位置合わせすることによって、道路面の画像を生成する。この際、図12、図13の比較から分かる通り、対応点に基づいて設定される移動ベクトルに従って、標準パスを平行移動することにより、複数のパス間で、路面標示の位置関係およびパスの位置関係を、非常によく一致させることができる。
図14は路面標示の絶対位置座標の取得方法を示す説明図である。図の例では、標準パスNP14上の路面テクスチャTX142、基準パスBP14上の路面テクスチャTX141を例示した。路面テクスチャTX141、TX142内には、それぞれ標示M141、M142が含まれている。
路面テクスチャTX141、TX142は、それぞれの代表点が、基準パスBP14上の点P141、および標準パスNP14上の点P143に一致するように配置される。
(1)処理概要:
図15は透明化ポリゴン設定処理の概要を示す説明図である。透明化ポリゴン設定処理は、重ねられた道路画像上に、オペレータの指示によって、透明化ポリゴンを設定することによって、隣接するパスに対応する正射画像同士が重なり合っている部分で、上側の正射画像の一部を透明化して、下側の正射画像を透視可能とする処理である。
図の中央に、正射画像P152の上に正射画像P151が重ねられている様子を斜視図的に示した。下側の正射画像P152には、横断歩道A154が分断された状態で含まれており、停止線A153が完全な状態で含まれている。上側の正射画像P151には、横断歩道A152が完全な形で含まれており、停止線A151が分断された状態で含まれている。それぞれ分断された部分を、破線で囲んで示した。
この状態で正射画像P151、P152を重ねると、左側に示したように表示される。つまり、両者が重なった部分では、上側の正射画像P151の画像のみが表示されるため、横断歩道A152は完全な状態で表示されるが、停止線A151は分断された状態で示されてしまうのである。
仮に、正射画像P151、P152の上下関係を変えたとすれば、今度は、停止線A153は完全な状態で表示することができるが、横断歩道A154が分断された状態で表示されることになる。このように、正射画像P151、P152の上下関係だけでは、横断歩道、停止線の双方を完全な状態で表示させることはできない。
図16は透明化ポリゴン設定処理のフローチャートである。ハードウェア的には路面標示地図生成装置200のCPUが実行する処理である。これは、図2に示した透明化ポリゴン設定部221の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは、オペレータからの対象道路の指定を入力し(ステップS100)、対象道路に対応する連結画像を入力する(ステップS102)。対象道路に対して複数のパスが対応している場合には、これらのパスに対応する複数の連結画像が入力される。
本実施例では、優先パスは、オペレータが各パスの連結画像を比較しながら、任意に設定することができる。仮に、路面画像が最も粗いパスを優先パスに指定しても構わない。このような場合には、後述する透明化ポリゴンの設定数が増えるだけのことである。
図中に透明化ポリゴンの設定例を示した。この例では、優先パスに沿った路面テクスチャTX161と、その他のパスに沿った路面テクスチャTX162を示した。
撮影時には矩形の画像が、正射画像変換により、台形になるため、路面テクスチャTX161、TX162を配置すると、図示するようにのこぎり刃状になる。のこぎり刃状の部分からは、路面画像の見栄えを落とすと共に、分断された路面画像しか得られないため、完全な路面画像を得るという目的からは不要な部分となる。そこで、図の例では、路面テクスチャTX161、TX162が重なり合った部分では、のこぎり刃状になった路面テクスチャTX161の左端の部分に透明化ポリゴンPOL161を設定し、のこぎり刃状の部分が表示されないようにしている。
かかる設定は、単に路面テクスチャが重なっていない部分を避けて、オペレータが透明化ポリゴンを設定するという運用によって実現してもよいが、透明化ポリゴンの設定処理(ステップS106)において、透明化ポリゴンの設定位置を制限するようにしてもよい。つまり、路面テクスチャが重なり合っている部分についてのみ、オペレータによる透明化ポリゴンの設定操作を受け付けるようにしても良い。
図17は透明化ポリゴンを設定する前の道路画像例を示す説明図である。この例では、パスP171、P172の2本に沿って得られた連結画像の位置合わせを行って生成された道路画像を示した。パスP172の連結画像と、パスP171の連結画像とで、のこぎり刃状の両端の形状が逆向きになっているのは、これらのパスP171,P172を道路面撮影システム100の車両が走行する方向が逆だからである。
また、パスP172の路面画像が端の方で不鮮明なため、例えば、領域A171では横断歩道の縞模様が歪んでいる。領域A172では、停止線が分断された状態となっている。領域A173では、路線バス等優先通行帯(いわゆるバスレーン)であることを示す「バス専用」の文字が読めない程に崩れている。領域A174では、破線状の車線境界線が途中で分断された状態となっている。
このように透明化ポリゴンPOL17を設定すると、パスP172側の路面テクスチャは、透明化ポリゴンPOL17の内部では透視状態となり、下側に配置されたパスP171側の路面テクスチャが視認されるようになる。
領域A183では、バス専用の文字が、はっきりと判読可能な状態となる。領域A184では、車線境界線が完全な状態で表示される。
このように、本実施例では、透明化ポリゴンを設定することにより、道路画像の画質を向上させることができるとともに、道路面の標示の画質も向上させることができる。
以上の処理では、オペレータが対応点を指示することによって位置合わせ加工を行う例を示した(図8のステップS40参照)。
連結画像の画像処理によって、対応点を自動で指定することができれば、位置合わせ加工を自動で行うことが可能である。以下では、位置合わせを自動で行うための処理について説明する。位置合わせを自動で行うか、手動で行うかは、実行時のメニュー等でオペレータが選択するようにしてもよいし、自動での位置合わせを行った後、この処理がうまくいかなかった連結画像を対象として、手動での位置合わせを行うようにしてもよい。
また、本実施例における自動位置合わせ処理は、オペレータが一切介入しない全自動の処理として構成してもよいし、必要に応じてオペレータが介入する半自動の処理として構成してもよい。
CPUは、読み込んだ連結画像に対して、画像前処理を行う(ステップS210)。画像前処理とは、対応点を自動的に認識する際に、誤認識の可能性を抑制するための処理である。画像前処理の内容は後述するが、本実施例では、連結画像の両端に生じる、のこぎり刃状のギザギザ部分を削除する処理、横断歩道、分離帯その他を示す縞模様の標示を削除する処理などを行う。
特に、道路上には白線または黄線で種々の標示が描かれているため、この標示の輪郭をエッジとして抽出することにより、上述の特徴点を抽出することができる。白線または黄色線で描かれた白線は、道路面とは異なる色を有しているから、連結画像の各画素の階調値の差異に基づいて、標示部分を抽出することが可能である。
抽出は、RGBなど種々の色系で行うことが可能である。本実施例では、連結画像を、H(色相)、S(彩度)、V(明度)の色空間に変換した上で、V(明度)画像を用いて標示領域を抽出した。V画像は、無彩色で明度だけを成分として有する画像となるため、いわゆるグレースケールの画像である。種々の色空間で抽出を試みた結果、V画像を用いた場合に標示を最も精度良く抽出できることが見いだされた。
こうして特徴点の抽出が完了すると、CPUは、対応点探索処理を行う(ステップS250)。これは、連結画像間で、特徴点同士を比較し、対応するもの同士を対応点として関連づける処理である。例えば、抽出された特徴点の座標、連結画像内での複数の特徴点の配置などに基づいて、連結画像間の対応をとることができる。特徴点同士を関連づける処理自体は、周知の画像処理技術であるため、詳細な説明は省略する。
対応点のフィルタリング処理の詳細は後述する。本実施例では、上述の観点から、対応点のうち、誤認識の可能性が高いと思われるもの、および対応点の位置精度が低いと考えられるものを削除するものとした。フィルタリング処理は、完全に自動で行う態様の他、オペレータの介入を許す半自動の形で行う方法を採っても良い。
このように、対応点を減らすことは、抽出された対応点を表示した場合に、オペレータが比較的容易に、誤認識の有無を判断できる利点もある。仮に、多数の対応点が表示されていると、オペレータが、これらの中から、対応点の誤認識を見いだすことは非常に困難となるが、対応点の数が少ない場合には、対応点の位置をそれぞれの連結画像内で比較的容易に認識することができ、背景の画像との関係も考慮しながら、対応関係の正誤を比較的容易に判断することができるようになるからである。
図20は画像前処理のフローチャートである。自動位置合わせ処理(図19)のステップS210に相当する処理であり、対応点を自動的に認識する際に、誤認識の可能性を抑制するための処理である。
処理を開始すると、CPUは、まずギザギザ除去処理を行う(ステップS211)。図中に処理概要を模式的に示した。本実施例では、路面テクスチャTX20をパスにそって配置して連結画像を生成する。路面テクスチャTX20は、ビデオカメラで撮影した画像を正射変換して得られる画像であり、この変換の過程で、もともとは矩形の画像が台形状に変形される。この結果、路面テクスチャTX20を配置した連結画像には両端に、ギザギザののこぎり刃状の領域A20が生じる。ギザギザ除去処理では、領域A20を削除する処理を行う。
領域A20内の、のこぎり刃状の頂点は、それぞれエッジが折れ曲がっている屈折点となるから、特徴点として抽出され易い点である。従って、ギザギザ除去を行わずに、特徴点の抽出を行うと、非常に高い密度で特徴点が多数抽出されることになる。このように高密度で多数の特徴点が抽出されると、特徴点同士の対応関係に誤認識を生じやすい。また、誤認識が生じた時に、オペレータが目視で誤認識を発見しづらくなる。ギザギザ除去処理を行うことにより、こうした弊害を回避することが可能となる。
また、領域A20は、路面テクスチャの両端の部分である。正射変換して路面テクスチャを生成する際には、画像の左右中央付近に比して、両端では変換時の歪みが大きくなる。路面テクスチャの両端付近の各画素は、これらの歪みの影響で、中央付近よりも、位置精度が低くなる。それぞれの連結画像の位置精度を十分に確保した状態で位置合わせを行うためには、位置精度の高い対応点を用いることが好ましい。ギザギザ除去処理では、領域A20を削除することにより、予め位置精度が低い特徴点を排除しておくことができるから、位置合わせ時の位置精度の低下を回避することができるのである。
図21(b)は、ギザギザ除去処理後の連結画像の様子を示した。特徴点の抽出は行っていない。連結画像の両端のギザギザ領域を除去することにより、両端がほぼ直線状となっているため、特徴点の抽出を行ったとしても、両端の領域から、図21(a)ほどの多くの特徴点が高密度で抽出されることを回避することが可能となる。
ギザギザ除去処理が完了すると、CPUは、次に、横断歩道やゼブラを除去する処理を行う。ゼブラとは、説明の便宜上付した名称であり、道路標示のうち横断歩道を除く縞模様を言う。例えば、中央分離帯や、交差点付近に設けられた右左折用の車線への移行領域などに付されている縞模様が挙げられる。
この除去処理を行うため、CPUは、まずV(明度)画像を用いてエッジを抽出する(ステップS212)。エッジの抽出は、RGB色系などで行うこともできるが、H(色相)、S(彩度)、V(明度)の色空間で行った方が、道路標示に使われる白色および黄色の線を精度良く抽出できることが分かったからである。エッジ抽出は、周知の画像処理技術であるため、詳細な説明を省略する。エッジ抽出に当たっては、Sobelフィルタその他のフィルタによって、エッジを強調する処理を施しても良い。
図22はエッジ太らせ処理の処理例を示す説明図である。図22(a)は、道路面の標示例を示している。道路には、複数の車線境界線で区画された複数の車線が中央付近に縦方向に横断歩道がある。中央分離帯部分はゼブラとなっている。
図22(a)の上方に、横断歩道の一部を拡大して示した。横断歩道のような縞模様では、拡大図中の×印に示すように、縞模様の角が特徴点として抽出され易い。拡大図中では、1個だけが抽出されている例を示したが、縞模様のそれぞれの角が抽出されるため、多数の特徴点が高密度で抽出されることになる。ゼブラも同様である。このように高密度で抽出された特徴点は、連結画像の両端のギザギザ領域と同じく対応点の誤認識につながる。横断歩道やゼブラの除去処理には、特徴点が高密度で多数抽出される領域を予め排除しておくことにより、対応点の誤認識を低減させるという目的がある。
図22(d)は、太らせ処理を更に施した例である。このように、太らせ処理を繰り返し施すと、横断歩道の縞模様同士が結合されるようになり、いずれ横断歩道全体が一つの面として認識されるようになる。ここでは、横断歩道を例示したが、ゼブラも同様である。
太らせ処理においては、横断歩道やゼブラが面領域として抽出されるよう、連結画像の解像度に応じて、エッジの太らせ量を予め設定しておけばよい。横断歩道およびゼブラの縞模様の間隔および線の幅は、同等であるため、双方を面領域として抽出するのに適した太らせ量は、比較的容易に設定可能である。
CPUは、エッジの太らせ処理を行った後(ステップS213)、面積が閾値Sth以下となる領域を、解除する(ステップS214)。解除とは、抽出した領域から外すことを意味する。その後、CPUは解除されずに残った領域を連結画像から除去する(ステップS215)。例えば、横断歩道に対応する面領域の面積が、閾値Sthを超える場合には、この面領域は抽出された状態のまま解除されずに残っているから、ステップS215の処理で除去されることになる。
道路標示のサイズは一定ではなく道路幅等によっても変動する。閾値Sthは、道路標示のサイズの変化も考慮して設定することが好ましい。閾値Sthは固定値である必要はなく、道路幅などに応じて、変化させてもよい。
また、閾値Sthを半自動で設定するようにしてもよい。例えば、太らせ処理を終えた連結画像内で、オペレータが指定した領域の面積を基準として、その面積に所定の係数を乗じて閾値Sthを設定するようにしてもよい。こうすることによって、道路標示の状態に応じて柔軟に閾値Sthを設定可能となる利点がある。
図23(b)は、図22のステップS214の処理を施した状態、つまり閾値Sth以下の領域を解除した状態を示している。この例では、横断歩道に対応する領域A23は解除されずに残っている。矢印に対応する領域M23は面積が小さいため、解除されている。領域M23以外の矢印や車線境界線の一部も、同様に解除されている。停止線や車線境界線の中には、抽出されたままのものも存在するが、先に説明した通り、この状態で処理を継続しても構わない。
図23(c)は、図22のステップS215の処理を施した状態、つまり抽出されている画像を除去した状態を示している。この処理によって、横断歩道の領域A23が除去されることが分かる。同様に、車線境界線や停止線の一部に対応する部分も除去されている。しかし、車線境界線の一部や矢印などの道路標示は除去されずに残っているため、これらのエッジに基づいて特徴点の抽出が可能な状態となっている。
図24は処理領域設定の様子を模式的に示す説明図である。
本実施例では、先に説明した通り、メッシュに分けて特徴点の自動抽出を行う。図24の太線で示した外枠ME24が、メッシュを表している。メッシュ内に、処理対象となる連結画像R24を模式的に示した。
特徴点の自動抽出は、メッシュ内に設定された処理領域PA24(図中のハッチングを付した領域)を単位として行う。この例では、図示する通り、メッシュME24を、7×7のマスに分割し、3×3の配列で処理領域PA24を設定した。
本実施例では、処理領域PA24の位置を順次、移動させながら処理を行う。図24(a)〜図24(f)には処理領域PA24の移動例を示した。図24(a)〜図24(c)に示すように、メッシュME24内の最下段から3段のマスを用いつつ、1マスずつ右側に処理領域PA24を移動させる。図24(c)の後も、メッシュME24の右端に処理領域PA24が到達するまで、同様に移動させる。
次に、図24(d)〜図24(f)に示すように、メッシュME24内の下から2〜4段目のマスを用いつつ、1マスずつ右側に処理領域PA24を移動させる。図24(f)の後も、メッシュME24の右端に処理領域PA24が到達するまで、同様に移動させる。
処理領域の設定は、位置合わせ用の対応点を設定するために行う処理である。つまり、図24(a)〜図24(f)に示す処理領域PA24は、特徴点の抽出、対応点の設定に用いられるだけであり、処理領域PA24を単位として連結画像R24の移動処理が行われる訳ではない。従って、図24(a)に示すように、処理領域PA24内に連結画像R24が十分に存在せず、特徴点を十分に抽出できない位置関係となる場合が生じたとしても、他の位置関係(例えば、図24(c))で、十分に特徴点の抽出、対応点の設定ができれば、位置合わせ処理は支障なく行うことができる。
連結画像R24は、道路の形状およびメッシュME24との相対的な位置関係に応じて、処理領域PA24との位置関係が変化する。従って、処理領域PA24を予め固定したサイズ、位置で用いると、処理対象となる道路に応じて、対応点の抽出に適した位置関係となったり、不適切な位置関係となったりする。これに対し、処理領域PA24を移動させる場合には、いずれかの位置関係では特徴点の抽出を適切に行うことが可能となる。従って、道路とメッシュME24との位置関係に依らず、安定的に特徴点を抽出することができる利点がある。
図25(a)では、処理領域T251、T252には、連結画像がごくわずかしか含まれておらず、対応点を精度良く設定することができない状態となっている。これに対し、処理領域が図25(b)よりも右側にずれた図25(b)の状態では、図25(a)で処理領域T251、T252に分属していた画像が、一つの処理領域T253に含まれる。従って、処理領域T253からは、対応点を良好に設定することが可能となる。
このように、処理領域を連結画像に対して相対的に移動させることによって、道路とメッシュとの位置関係に依らず、安定的に特徴点の抽出、対応点の設定を行うことが可能となる。
図26は対応点フィルタリング処理を示す説明図である。
図26(a)には、基準パスBP26および標準パスNP26にそれぞれ沿った連結画像を示した。図中の□印は、それぞれのパスの連結画像に対して設定された対応点を表している。矢印は、それぞれの対応点に基づいて定まる移動ベクトルである。つまり、対応点について、標準パスNP261の連結画像の位置を基準パスBP26に合わせるための移動量を表している。
移動ベクトルは、標準パスNP261の対応点を始点とし、基準パスBP26の対応点を終点とするベクトルである。図の例では、このようにして移動ベクトルを設定した結果、矢印A26のみが左向きとなり、他の移動ベクトルは右向きとなっていることがわかる。図中には他の対応点も存在するが、図の煩雑化を回避するため、4つの対応点についてのみ移動ベクトルを示した。
このような現象は、矢印A26で示した移動ベクトルを用いて位置合わせを行ったことが原因である。従って、かかる現象を回避するためには、予め矢印A26に対応する対応点を排除しておくことが好ましい。このように、適切な位置合わせを実現するために、用いるべき対応点を取捨選択する処理を、対応点フィルタリング処理と呼ぶ。
処理を開始するとCPUは、対応点探索結果を入力する(ステップS261)。対応点は、各連結画像から抽出された特徴点同士を比較し、対応づけた点を言う。
路面テクスチャTX27が配置された連結画像から、P271〜P274の対応点が設定されたとする。この処理では、パスを含む幅W27の領域A27を規定し、この領域から外れる対応点を両端領域の対応点として除去するものとした。領域A27を規定する幅W27は任意に設定可能である。幅W27を大きくとれば、両端領域の対応点を十分に排除することができないし、幅W27を小さくとれば、ほとんどの対応点が除去されてしまい、位置合わせに使用する対応点を十分に残すことができなくなる。幅W27は、これらの両面を考慮して、任意の値を設定すればよい。
また、幅W27は固定値とする必要はなく、例えば、道路幅に応じて変化させてもよい。また、道路幅の○%というように、道路幅を基準とする値としてもよい。
図中に処理例を示した。パスNP27に沿って、各対応点ごとに移動ベクトルQ271〜Q275が得られているとする。下側に、各移動ベクトルの大きさおよび向きをグラフにして示した。パスNP27の上向きを正、下向きを負として向きを表すとともに、大きさをグラフの高さで表した。
図示する通り、移動ベクトルQ272は負の向きとなり、他の移動ベクトルQ271、Q273〜Q275は正の向きとなる。また、移動ベクトルQ271,Q273,Q274はほぼ同じ大きさであり、移動ベクトルQ275は他の移動ベクトルよりも大きい。CPUは、これらの結果に基づき、向きが異なる移動ベクトルQ272および大きさが異なる移動ベクトルQ275を除去する。
向きについては、図中の例のように正負で評価する他、パスNP27の進行方向を基準とする角度で評価してもよい。
図中には選択例を示した。対応点R271,R272は標示とは無関係の点である。対応点R273、R274は、それぞれ標示の角である。本実施例では、これらの対応点R271〜R274は自動位置合わせ処理(図19)のステップS250で設定されている。
オペレータは、設定された対応点PR271〜R274が表示された画面内で、マウス等のポインティングデバイスによって使用する対応点を選択する。例えば、対応点R271、R272は、標示と無関係の点であるため、オペレータは連結画像間で、適切に対応関係が設定されているか否かを判断しづらい。そこで、オペレータは、このような点については位置合わせに使用する対応点の候補から排除する。一方、対応点R273、R274は、道路標示の角であるため、連結画像間で適切に対応関係が設定されていることを比較的容易に確認することができる。そこで、オペレータは、対応点R273、R274について、対応関係の適否を判断し、適切に対応関係が設定されていると判断した場合には、位置合わせで使用する候補として選択する。
本実施例では、CPUによって自動的に設定された対応点の中から、位置合わせに使用するものを選択する例を示した。この画面内で、オペレータがポインティングデバイスを操作することで、新たな対応点を指定可能としてもよい。
以上で説明した実施例の道路面撮影システム100および路面標示地図生成装置200によれば、道路を走行しながら取得したフレーム画像を正射変換して得られた路面テクスチャを配置することにより、走行軌跡(パス)に沿って位置精度のよい連結画像を得ることができる。更に、複数のパスに沿って得られた連結画像同士を、位置合わせして合成することにより、道路全体の路面画像を得ることができる。この際、画像を撮影した際の各パスの位置精度が最も高いものを基準パスとして、他のパスをこの基準パスに合わせる方法を採ることにより、全体の位置精度を確保しつつ路面画像を生成することができる。
本実施例では、各パスの連結画像は、路面テクスチャを配置するまでに留め、これらを一枚の画像として合成していない。従って、路面テクスチャ単位で配置を平行移動することによって、複数パスの連結画像を容易に合成可能である。
例えば、連結画像は、路面テクスチャを合成した一枚の画像として生成してもよい。この場合、複数パスの合成を行う際には、連結画像を路面テクスチャに相当する複数の領域に分割した上で、領域ごとに平行移動すればよい。
本実施例では、車両に搭載したビデオカメラで撮影した画像を利用する例を示したが、車両に限らず自転車その他の種々の移動体を利用可能であり、歩行しながら撮影する方法を採っても良い。
110…位置計測部
110…計測データ
112…コントローラ
114…GPS
114A…アンテナ
116…IMU
118…DMI
120…ビデオカメラ
130…記録装置
140…ハードディスク
142…画像データ
144…同期データ
146…計測データ
150…基準局データ
200…路面標示地図生成装置
201…主制御部
202…コマンド入力部
203…表示制御部
204…データ入力部
205…軌跡データ算出部
206…画像変換部
207…1パス画像合成部
210a…軌跡データ
210b…路面軌跡データ
210c…路面テクスチャ
210d…連結画像
210e…道路画像
210f…道路画像用登録データ
210g…軌跡用登録データ
210c…データ(路面テクスチャ
210…処理データ記憶部
220…位置合わせ処理部
221…透明化ポリゴン設定部
222…自動位置合わせ処理部
Claims (11)
- コンピュータによって道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成する生成方法であって、
(a) 前記コンピュータが、前記道路面を撮影する際の移動軌跡であるパスに沿って移動しながら前記標示を含む路面を撮影した連続した複数のフレーム画像、各フレーム画像ごとの撮影位置を表す位置座標データ及び前記位置座標データの精度の評価データを取得する工程と、
(b) 前記コンピュータが、前記取得された各フレーム画像を変換して、前記路面を真上から見た状態の正射画像を得る工程と、
(c) 前記コンピュータが、前記正射画像を前記位置座標データに基づいて、前記パス上に配置することにより、前記パスの路面を表す連結画像を生成する工程と、
(d) 前記コンピュータが、1の道路を構成する複数の車線のうち少なくとも2本以上の前記パスの連結画像に共通して撮影されている領域内で対応する対応点を、各連結画像の所定の特徴点を抽出する画像処理に基づいて特定する工程と、
(e) 前記コンピュータが、前記対応する対応点の位置が一致するように設定された移動ベクトルに基づいて、前記複数のパスのうち前記評価データに基づいて位置精度が最も高いと評価される基準パスの連結画像に、他のパスの連結画像を合わせることにより、前記複数のパスにまたがる前記道路面の合成画像を生成する工程とを有する生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、前記コンピュータが、前記連結画像を複数に分割し、該分割されたピースごとに前記画像処理を行って、前記対応点を特定する生成方法。 - 請求項2記載の生成方法であって、
前記連結画像は、前記位置座標データに基づいて絶対座標系に配置されており、
前記工程(d)は、絶対座標系において前記連結画像の位置とは無関係に設定された区画境界線に基づいて前記連結画像を分割する生成方法。 - 請求項2または3記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、前記コンピュータが、複数通りの分割態様で、前記連結画像を分割し、各分割態様に対して前記対応点を特定する生成方法。 - 請求項1〜4いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、前記コンピュータが、前記対応点を特定する画像処理においてのみ該画像処理に先立って、前記連結画像内で前記特徴点の候補が所定以上の密度で存在する領域の画像を予め削除する工程を有する生成方法。 - 請求項1〜4いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、前記コンピュータが、前記対応点を特定するための該画像処理に先立って、前記連結画像の幅方向の両端の所定幅の領域の画像を予め削除する工程を有する生成方法。 - 請求項1〜6いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、前記コンピュータが、前記抽出された特徴点のうち、前記パスからの距離が所定値以上であるものを削除して前記対応点を特定する生成方法。 - 請求項1〜7いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、更に、前記コンピュータが、
(d1) 前記複数のパスついて求められた複数組の対応点に基づき、該対応点の位置が一致するように、一方のパスを他方のパスに合わせるための移動ベクトルを求める工程と、
(d2) 前記工程(d1)で得られた複数の移動ベクトルのうち、方向または大きさが統計的に異常と判断されるものに対応する対応点を削除する工程とを有する生成方法。 - 請求項1〜8いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(d)は、更に、前記対応点を表示し、オペレータの操作に基づいて該対応点の一部を選択する選択指示を受け付け、該選択指示に従って前記工程(e)で使用する対応点を特定する生成方法。 - コンピュータによって道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成する生成装置であって、
前記道路面を撮影する際の移動軌跡であるパスに沿って移動しながら前記標示を含む路面を撮影した連続した複数のフレーム画像、各フレーム画像ごとの撮影位置を表す位置座標データ及び前記位置座標データの精度の評価データを取得する取得部と、
前記取得された各フレーム画像を変換して、前記路面を真上から見た状態の正射画像を得る画像変換部と、
前記正射画像を前記位置座標データに基づいて、前記パス上に配置することにより、前記パスの路面を表す連結画像を生成する連結画像生成部と、
前記コンピュータが、1の道路を構成する複数の車線のうち少なくとも2本以上の前記パスの連結画像に共通して撮影されている領域内で対応する対応点を、各連結画像の所定の特徴点を抽出する画像処理に基づいて特定する対応点特定部と、
前記対応する対応点の位置が一致するように設定された移動ベクトルに基づいて、前記複数のパスのうち前記評価データに基づいて位置精度が最も高いと評価されるパスの連結画像に、他のパスの連結画像を合わせることにより、前記複数のパスにまたがる前記道路面の合成画像を生成する合成画像生成部とを有する生成装置。
- 道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成するためのコンピュータプログラムであって、
前記道路面を撮影する際の移動軌跡であるパスに沿って移動しながら前記標示を含む路面を撮影した連続した複数のフレーム画像、各フレーム画像ごとの撮影位置を表す位置座標データ及び前記位置座標データの精度の評価データを取得する手順と、
前記取得された各フレーム画像を変換して、前記路面を真上から見た状態の正射画像を得る手順と、
前記正射画像を前記位置座標データに基づいて、前記パス上に配置することにより、前記パスの路面を表す連結画像を生成する手順と、
前記コンピュータが、1の道路を構成する複数の車線のうち少なくとも2本以上の前記パスのうち2本以上のパスの連結画像に共通して撮影されている領域内で対応する対応点を、各連結画像の所定の特徴点を抽出する画像処理に基づいて特定する手順と、
前記対応する対応点の位置が一致するように設定された移動ベクトルに基づいて、前記複数のパスのうち前記評価データに基づいて位置精度が最も高いと評価されるパスの連結画像に、他のパスの連結画像を合わせることにより、前記複数のパスにまたがる前記道路面の合成画像を生成する手順とをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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