JP6110780B2 - 付加情報表示システム - Google Patents
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Description
電子地図を対象としてメンテナンスを行うための先行技術として、特許文献1は、複数の航空写真のステレオマッチングにより、地物の高さを算出し、その結果を従前の地図データと比較することによって自動的に地物の変化を検出する技術を開示している。
現地調査によるメンテナンスの方法としては、建物を撮影した画像と、従前の建物または地図データとを、オペレータが見比べることによって、経年変化を見いだす方法がとられる。しかし、この方法において、一つの建物を撮影した画像が多数存在する場合には、いずれかの画像に基づいて経年変化を見いだしたとしても、その情報を他の画像で共有することができず、同じ経年変化を複数の画像で重複して指摘するという無駄が生じたり、画像の移り具合によっては、存在するはずの経年変化を見落としたりという不都合が生じていた。
かかる不都合は、地図のメンテナンスの場面だけでなく、ある実写画像において、建物の壁面に広告のように付加した情報を他の実写画像においても共有することができないという課題があった。
本発明は、かかる課題に鑑み、建物の実写画像に対して、付加情報を重畳して表示し、複数の実写画像間で情報の共有を可能とすることを目的とする。
建物に対して指示された付加情報を、該建物の実写画像中に表示する付加情報表示システムであって、
前記建物の実写画像を、該実写画像の撮影位置、撮影方向と関連づけて記憶する実写画像データベースと、
前記建物に対する付加情報の内容を、該付加情報を表示すべき前記建物表面上の3次元的な位置を関連づけて記憶する付加情報データベースと、
前記実写画像データベース記憶部に記憶されたいずれかの実写画像を表示する実写画像表示部と、
前記実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいた透視投影によって、前記付加情報データベースに記憶された前記付加情報を前記建物表面上の位置に表示するための付加情報画像を生成し、前記実写画像に重畳して表示する付加情報表示部とを備える付加情報表示システムと構成することができる。
また、一つの建物に対する付加情報と実写画像とは、それぞれ別のデータベースとして管理されているため、その建物の実写画像が複数存在するとき、一つの付加情報を、これらの間で共有することができる。
本発明において、付加情報としては、文字、記号、ピクチャなど、表示可能な種々の情報が含まれる。
建物表面上の3次元的な位置は、建物の位置を基準とする相対的な座標で記憶してもよいし、緯度、経度、高度などの絶対的な座標で記憶してもよい。
付加情報画像を表示する際、付加情報を平板等に貼り付けた状態で透視投影する方法をとってもよいし、建物の3次元モデルを別途用意し、この3次元モデル上に付加情報を貼付した状態で透視投影する方法をとってもよい。後者の例では、建物の3次元モデルについては透過した状態で重畳表示すればよい。
付加情報の表示の可否やサイズ等は、ユーザの指示等に応じて切換可能としてもよい。
前記建物の3次元形状を表す3次元モデルを記憶する3次元モデルデータベースと、
前記付加情報の内容と、該付加情報を表示すべき前記建物表面上の位置を指定するユーザからのコマンドを入力するコマンド入力部とを有し、
前記コマンド入力部は、
前記3次元モデルを前記実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいて透視投影した画像内において、前記ユーザが前記実写画像上で指定した位置座標に対応する点の位置座標を入力し、
前記位置座標が前記3次元モデルの建物表面上の点を表しているとの拘束条件に基づき、前記位置座標を前記建物表面上の3次元座標に変換し、
該変換された結果を、前記付加情報の内容と関連づけて前記付加情報データベースに格納するものとしてもよい。
かかる機能は、例えば、次の態様で利用することができる。
第1の態様は、実写画像中の建物の壁面に、ユーザが仮想的な広告・案内板などを付加する態様である。こうすることによって、建物を撮影した複数の実写画像に対して、あたかも壁面に広告・案内板が付されているかのように違和感のないリアルな状態で情報を表示することが可能となる。
第2の態様は、3次元モデルの整備等に利用する態様である。ユーザが、実写画像と3次元モデルによる画像とを比較し、3次元モデルに不備がある場合に、実写画像中にその不備のある部分、内容の修正指示を付加情報として追加するのである。こうすることによって、いずれか一つの実写画像で修正指示を追加しておけば、その建物のどの画像を参照しても、共通した修正指示が得られるため、指示の重複や漏れを回避することができる。
上記態様においては、さらに、3次元モデルを透視投影した画像を表示し、この画像内でユーザが指定した位置座標を3次元座標に変換して、付加情報を追加可能としてもよい。
前記建物を含む広範囲を撮影したパノラマ画像を入力し、該パノラマ画像から、前記実写画像データベースに格納する前記実写画像を生成する実写画像生成部を備え、
前記実写画像生成部は、
前記パノラマ画像の撮影地点と、前記建物の平面形状における重心位置とに基づいて、前記撮影方向を設定し、
前記撮影位置および撮影方向に基づいて、前記パノラマ画像から前記建物を含む所定範囲を切り出すことにより前記実写画像を生成するものとしてもよい。
パノラマ画像としては、全方位を撮影した画像としてもよいし、一部の角度範囲を撮影した画像としてもよい。全方位を撮影した画像とすれば、複数の建物を含む画像が得られるため、さらに現地調査時における負荷が軽減できる利点がある。
また、別の方法として、前記実写画像生成部は、
前記切り出された実写画像中で前記建物が占める面積が大きくなるよう前記撮影方向を修正し、
該修正後の撮影方向に基づいて前記切り出しを行うものとしてもよい。
こうすることによって、建物を大きく表示した実写画像を得ることができるため、付加情報の表示に好適である。また、本発明を、建物の経年変化の確認に利用する場合には、建物の画像を大きく表示することができるため、かかる変化の確認が容易になる利点もある。
撮影方向の修正は、例えば、撮影位置と建物の重心位置とを結ぶ方向を初期の撮影方向とし、所定の角度ずつ撮影方向をずらしながら、建物の占める面積(以下、占有面積と呼ぶ)を評価していけばよい。初期の撮影方向における占有面積よりも所定の割合、または所定の面積だけ大きくなった時点の撮影方向を採用してもよいし、占有面積が最大となる撮影方向を採用してもよい。
対象となる建物を従前に撮影した実写画像が存在する場合には、上述した種々の方法に代えて、その実写画像で用いられている撮影方向を利用するものとしてもよい。
前記実写画像データベースは、前記建物について、撮影時期が異なる新旧の実写画像を記憶しており、
前記実写画像表示部は、前記新旧の実写画像から、それぞれ撮影位置および撮影方向が近似するものを選択し、それぞれを対比できる態様で表示するものとしてもよい。
かかる態様によれば、撮影位置、撮影方向が近似する新旧の実写画像、即ち対比しやすい新旧の実写画像を表示可能であるため、対象となる建物の経年変化を容易に確認することができる。
新旧の撮影位置、撮影方向は一致している必要はないから、例えば、撮影時期が新しい実写画像の撮影位置、撮影方向に対して、複数存在する旧実写画像の中から撮影位置、撮影方向が最も近いものを選択すればよい。
前記建物の3次元形状を表す3次元モデルを記憶する3次元モデルデータベースと、
前記実写画像と対比できる態様で、該実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいて前記3次元モデルを透視投影して表示する透視投影部とを備えるものとしてもよい。
こうすることによって、実写画像と3次元モデルの状態とを比較的容易に比較することができ、本発明を3次元モデルの生成を支援するシステムとして利用しやすくなる利点がある。
上記態様においては、3次元モデル内にも、実写画像と同様に付加情報を提示するようにしてもよい。
また、3次元形状と併せて、建物の2次元的な平面形状を表示するようにしてもよい。
前記付加情報は、前記建物表面上に沿って表示するよう指定されており、
前記付加情報表示部は、前記指定に従い、前記建物表面上に前記付加情報を配置した上で前記透視投影を行うものとしてもよい。
こうすることにより、点ではなく、平面または領域として付加情報を表示することができる。例えば、本発明を広告等の用途で利用する場合には、建物の壁面上に矩形や円形など種々の形状の広告・案内板を付加情報として表示することができる。また、本発明を、3次元モデルの生成を支援するために利用する場合には、建物の壁面上の領域を指定した上で、その領域に対する修正指示を付加情報として追加・表示することができる。
また、本発明は、付加情報表示システムとしての態様の他、コンピュータを用いて付加情報を表示する付加情報表示方法として構成することもできるし、かかる機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム、さらに、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成することも可能である。
まず、3次元モデル生成支援システムの機能等を説明するため、同システムの出力例を示した後、それを実現するための構成および処理内容等について説明する。
図1〜図6は、3次元モデル生成支援システムの出力例を示す説明図である。それぞれ3次元モデル生成支援システムを構成するコンピュータのディスプレイ上に表示される画面である。
図1に示すように、3次元モデル生成支援システムの画面は、実写表示ウィンドウ、3Dモデル表示ウィンドウ、および2次元地図ウィンドウで構成される。それぞれのウィンドウは、独立したウィンドウとなっており、オペレータの操作に応じてサイズを変更し、閉じることも可能である。
実写表示ウィンドウには、処理対象となる建物(以下、「対象建物」と呼ぶ)を撮影した実写画像が表示される。
3Dモデル表示ウィンドウには、対象建物の3次元モデルを透視投影したグラフィックス画像が表示される。この透視投影は、実写画像の撮影位置を視点、撮影方向を視線方向として行われており、3Dモデル表示ウィンドウの画像は、実写表示ウィンドウにおける対象建物の表示を再現した画像となっている。精度のよい3次元モデルが未生成の場合には、対象建物の平面形状を高さ方向に平行移動しただけの簡易なモデルなどを用いてもよい。
2次元地図ウィンドウには、対象建物周囲の2次元地図が表示され、カメラのモデルによって、3Dモデル表示ウィンドウの視点位置および画角が示される。また、カメラの方向は、透視投影の視線方向を表している。この視点位置は、実写画像の撮影位置に対応しており、視線方向は,撮影方向に対応している。
ここで付された付加情報は、3Dモデルを修正する役割を担う別のオペレータに対する修正指示となる。付加情報自体を読み込んで自動的に3Dモデルに修正を施すという訳ではないため、付加情報を設定する領域等は、修正担当のオペレータが経年変化を認識し得る程度の精度で示されていれば足りる。入力された付加情報には、対象建物の壁面上の3次元座標が付されるため、右上の3Dモデル表示ウィンドウおよび右下の2次元地図ウィンドウにも、その位置が表示される。図7では、3Dモデル表示ウィンドウ等には、単に付加情報の位置を示すマーキングのみを表示した例を示しているが、ここに、実写画像表示ウィンドウと同様の領域や指示内容を表示するものとしてもよい。
図7では、旧実写画像内で付加情報を設定した例を示したが、図1に示した新実写画像内で設定することも可能である。
図10は、3次元モデル生成支援システムの構成を示す説明図である。3次元モデル生成支援システムは、調査車両で街中を走行しながら撮影した画像を取り込み、これに基づいて図1〜9に示した表示等を実現するよう構成されている。図の上方には、調査車両100の構成を示し、下方には3次元モデル生成支援システム200の構成を示した。
調査車両100の屋根には、全方位を写すカメラ120が設置されている。カメラ120としては、例えば、魚眼カメラを利用してもよいし、複数の通常のカメラを多方向に向けて設置するようにしてもよい。カメラ120は、動画用および静止画用のいずれでもよい。画像データは、ハードディスク114に記録される。画像データの記録には、ハードディスク114の他、フラッシュメモリ、SSDなど種々の記録媒体を利用可能である。
また、調査車両100には、撮影位置を記録するためのセンサ102、104が取り付けられている。センサ102は、GPS(Global Positioning System)であり、撮影時の車両の位置情報、即ち緯度経度を周期的に検出し、検出時刻とともに出力する。このデータは、画像データと併せてハードディスク114に記録される。
センサ104は、車両が一定距離移動する度に車速パルスと呼ばれる信号を出力する。車速パルスも、画像データと併せてハードディスク114に記録される。
制御部110は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータであり、カメラ120、センサ102、104およびハードディスク114の動作を制御する。特に、カメラ120からの画像に対して、各センサ102、104の出力を同期させて、ハードディスク114に記録する機能を奏する。
調査画像DB201は、調査車両100によって撮影された画像(以下、調査画像と呼ぶこともある)および撮影位置等のデータを蓄積するデータベースである。調査車両100からのデータの移植は、例えば、DVD114aを介して行うことができる。
インタフェース用画像DB203は、調査画像から切り出され、実写画像の表示に使用される画像データ(以下、「実写画像データ」と呼ぶこともある)を蓄積する。本実施例では、対象建物のそれぞれについて、図1〜9に示した実写画像データが蓄積されているのである。経年変化を確認することができるよう、実写画像データとしては、以前に撮影された旧データ、および調査車両100によって撮影された新データがそれぞれ格納されている。
視点情報DB202は、実写画像データのそれぞれについての視点情報、即ち、各実写画像データを撮影した撮影地点および撮影方向のデータを格納する。実写画像データの旧データ、新データに対応して、視点情報も、旧データ、新データがそれぞれ格納されている。
3次元モデルDB205は、対象建物の3次元形状を表す3次元モデルを格納している。3次元モデルは、いわゆる3次元地図を表示するために用いられるデータと共通しており、対象建物を表すポリゴンデータおよびそこに貼付されるテクスチャデータなどから構成される。3次元モデルDB205には、建物に関する3次元モデルのみを格納してもよいし、その他の種々の地物に関する3次元モデルを併せて格納しておいてもよい。
付加情報DB206は、3次元モデル生成支援システム200を用いてオペレータによって設定された付加情報を記憶する。具体的には、図7に示したように、付加情報の3次元座標、およびその指示内容などが記憶されることになる。
地物IDリスト204は、3次元モデル生成支援システム200における経年変化の確認や3Dモデルの修正対象となる対象建物を特定するための識別情報、即ち地物IDを記憶している。
視点情報生成部210は、地物IDリスト204で特定される各建物に対して、調査画像DB201から実写画像データおよび視点情報を生成する機能を奏する。本実施例では、調査画像は全方位を撮影した画像となっており、対象建物以外も写っているため、このままでは、3次元モデル生成支援システム200の画面表示には適さない。そこで、この全方位画像から、対象建物が写っている部分を切り出して、実写画像データを生成し、インタフェース用画像DB203に格納するのである。また、その切り出しに用いた視点情報を、視点情報DB202に格納するのである。
インタフェース用画像DB203には、このように切り出した実写画像データを記録する態様の他、全方位画像から実写画像データを切り出すための切り出し情報、例えば、切り出すべき全方位画像の名称、および当該画像内で切り出すべき領域を特定する情報などを保持する切り出し情報DBとして構成してもよい。この場合は、実写画像データを表示する際に、切り出し情報に基づいて全方位画像から切り出した実写画像データを用いて画面表示を行うようにすればよい。こうすることによって、インタフェース用画像DB203のデータ容量を抑制することができ、また切り出し情報を調整することで、表示に用いられる実写画像のサイズや位置を柔軟に変化させることができる利点がある。
透視投影部213は、3次元モデルDB205に格納された3次元モデルを透視投影することによって、3Dモデル表示ウィンドウの画像を生成する。
2次元地図表示部214は、3次元モデルDB205に格納された3次元モデルを平面投影することによって、2次元地図ウィンドウの画像を生成する。
付加情報表示部215は、付加情報DB206に格納された付加情報を、その3次元座標に従って、仮想空間に配置し、透視投影することで、実写表示ウィンドウ、3Dモデル表示ウィンドウ、および2次元地図ウィンドウのそれぞれに付加情報を表示する画像を生成する。
コマンド入力部212は、3次元モデル生成支援システム200の画像において、付加情報の設定などについてのオペレータのコマンドを入力する。
インタフェース表示部211は、透視投影部213、2次元地図表示部214、付加情報表示部215で生成された画像を統合して、図1〜9に示した画像、即ち、実写表示ウィンドウ、3Dモデル表示ウィンドウ、および2次元地図ウィンドウをそれぞれ表示する。また、オペレータによって入力されたコマンドに応じて付加情報を生成し、付加情報DB206に格納する機能も奏する。
上段には、調査画像DB201の構造を模式的に示した。調査画像DBには、調査車両100で撮影された全方位画像が、調査車両100の走行軌を表す軌跡データに沿って、撮影位置情報とともに記録されている。全方位画像は、数メートル間隔の撮影位置となるように、間引いて記録してもよい。
視点情報DB202およびインタフェース用画像DB203には、調査画像DB201の全方位画像を切り出して生成された実写画像データおよびその際に設定された視点情報を格納する。これらの情報は、対象建物ごとに生成されるため、対象建物を特定する地物IDに対応して格納される。
まず、切り出し処理の対象としての全方位画像を選択すると、その撮影位置情報が、矢印aに示すように、切り出し画像の視点位置として格納される。また、全方位画像から、対象建物が撮影されている範囲を切り出すと、その範囲に対応した視線方向および画角が定まる。切り出された実写画像データは、インタフェース用画像DB203に識別子としての画像IDを付されて格納される。視点情報DB202には、上述の視点位置、視線方向、画角および画像IDが、視点情報1として格納される。
対象建物については、複数の視点から実写画像データが用意されるから、上述の処理を繰り返すことによって、視点情報2以降のデータが生成され、格納されることになる。
本実施例における付加情報としては、下側の図に示す付加情報1のように点Pという一つの点を指定して付される情報、付加情報2のように点P1〜P4という領域を指定して付される情報がある。
付加情報1の場合、その付加情報が付されている対象建物の地物ID、および付加情報が付されているポリゴンを特定するポリゴンID、そして付加情報を付す点の3次元座標P、およびその指示内容が格納される。
付加情報2の場合、地物ID、ポリゴンID、指示内容は付加情報1と同じであるが、位置を表す情報としては、指定された領域を構成する頂点列P1〜P4のそれぞれの3次元座標が格納される。
本実施例では、付加情報は対象建物の壁面上に付されているものとして扱うため、付加情報DB206に、その壁面を表すポリゴンIDを記憶するものとしたが、これを省略することも可能である。
C1.全体処理:
図13は、視点情報生成処理のフローチャートである。この処理は、全方位画像から、実写画像データ等を切り出す処理である。また、視点情報生成部210が実行する処理であり、ハードウェア的には、3次元モデル生成支援システム200のCPUが実行する処理である。
CPUは、生成された視点情報を視点情報DB202に格納し(ステップS15)、対象となるべき全建物について処理が終了するまで(ステップZS16)、以上の処理を繰り返し実行する。
図14は、旧視点情報利用生成処理のフローチャートである。視点情報生成処理(図13)のステップS14に相当する処理である。この処理では、CPUは、旧視点情報に準じて、新視点情報を生成する。
処理を開始すると、CPUは、対象建物に対応した旧視点情報を1つ選択し(ステップS20)、視点位置および視線方向の情報を読み込む。また、旧視点情報に近い撮影位置を選択する(ステップS21)。
図中に撮影位置の選択方法を例示した。直線で示す調査車両100の軌跡データ上に、×で示す撮影位置で全方位画像が撮影されているものとする。一方、旧視点情報は、この軌跡データからややはずれた●で示した位置にあるものとする。このとき、軌跡データ上の撮影位置の中では、〇を付した位置が旧視点情報に近いため、CPUは、この点を選択するのである。
調整は、例えば、次の手順で行うことができる。まず、対象建物が切り出された画像の描画領域からはみ出さないように、視線方向、画角を調整する。そして、描画領域に対して、対象建物が占める描画部分の面積を算出し、その割合が最大となるように、さらに、視線方向および画角を調整するのである。最大という条件に代えて、対象建物の描画部分が占める割合が所定値以上となる条件で調整するようにしてもよい。
CPUは、以上の処理を、旧視点情報に含まれる全ての視点情報について終了するまで繰り返し(ステップS23)、この処理を終了する。
図15は、新規生成処理のフローチャートである。視点情報生成処理(図13)のステップS13に相当する処理である。この処理では、CPUは、旧視点情報が存在しないため、新規に新視点情報を生成する。
処理を開始すると、CPUは、仮視点情報群を生成する(ステップS30)。
図中に生成方法を示した。まず、CPUは、対象建物の平面形状に基づき、その重心位置CGを特定する。地図データとして、対象建物に対して、代表点が設定されている場合には、それを用いても良い。
そして、重心位置CGを中心として所定の半径の円Cを描画する。この円Cは、仮想視点を設定する領域の限界を画定するためのものである。円Cの半径は、任意に設定可能であるが、対象建物周囲の調査車両100の軌跡が円C内を貫通する程度の大きさにしておく必要がある。
CPUは、重心位置CGを中心として図に示すように8方向に半径を描く。本実施例では、東(E)、南東、南(S)、南西、西(W)、北西、北(N)、北東の8方位としたが、調査車両100の軌跡のいずれかを基準として8方向を設定してもよい。
こうして8方向の半径が決まると、CPUは、各半径と軌跡との交点を求め、これを仮視点とする。図中に示した5カ所の〇が仮視点となる。南(S)、南西、西(W)方向は、円C内に交点が見いだされないため、仮視点は設定されない。
西(W)方向の半径については、このまま延長すれば軌跡との交点を見いだすことができる状態にあるが、あまりに遠方の交点を視点に設定したとしても、そこから撮影された画像には、対象建物が十分な大きさで写っておらず、3次元モデル生成支援システムの実写画像データとしては適さないと考えられる。本実施例において、円Cによって仮視点の設定範囲を限定した意義は、このような点にある。
まず、重心CGから8方向に放射状に直線を伸ばし、対象建物の輪郭線との交点を求める。対象建物は閉図形であるから、この交点は8カ所求まるはずである。次に、重心CGから、各交点までの距離を算出し、その最大値を求める。そして、この最大値に所定の倍率を乗じるか、最大値に対して所定値を加えるなどして、得られる距離を、仮視点設定のための半径の上限値とするのである。
D1.全体処理:
図16は、インタフェース表示、付加情報入力処理のフローチャートである。図1〜9で示した各画面の出力や、付加情報の設定を行うための処理である。これは、図10に示したインタフェース表示部211を中心とする各機能ブロックの連携によって実現される処理であり、ハードウェア的には3次元モデル生成支援システム200のCPUによって実行される処理である。
CPUは、視点情報DB202およびインタフェース用画像DB203から、新旧視点情報および新旧実写画像データを読み込むと(ステップS41)、以下、オペレータの操作に応じて、次の各処理を実行する。
オペレータが視点情報を選択したときは(ステップS42)、CPUはインタフェース表示処理(ステップS43)を実行する。この処理は、選択された視点情報に基づき、図1〜9で示したインタフェース画像を表示する処理である。本実施例では、図1〜9で示した通り、新実写画像データを用いた画面、旧実写画像データを用いた画面を表示可能である。そこで、本実施例では、画像表示用のバッファを2つ設け、一方に新実写画像データを用いた画面、他方に旧実写画像データを用いた画面を描画するようにした。こうすることで、表示に用いるバッファを切り換えることにより、速やかに新旧の画像を切り換えて表示することが可能となる。インタフェース表示処理(ステップS43)の具体的な処理内容は後述する。
オペレータが切換指示を選択したときは(ステップS44)、CPUは、バッファ切換(ステップS45)を行って、新旧の画面を切り換える。
オペレータが、付加情報の入力操作を行った場合には(ステップS46)、CPUは、付加情報入力処理(ステップS47)を行う。処理の具体的内容は後述する。
CPUは、オペレータが、終了を指示するまで(ステップS48)、以上の処理を繰り返し実行する。
図17は、インタフェース表示処理のフローチャートである。インタフェース表示、付加情報入力処理(図16)のステップS43に相当する処理である。
処理を開始すると、CPUは、表示に必要なデータを読み込む(ステップS60)。読み込むべきデータとしては、新旧の視点情報、およびそれに対応した新旧実写画像データ、地物IDに対応した3Dモデル、付加情報が挙げられる。
CPUは、新旧実写画像データを用いて実写画像を表示する(ステップS61)。この画像は、図1に示した実写表示ウィンドウとなる。特に加工することなく、実写画像データをそのまま表示すればよい。本実施例では、新旧それぞれの画像表示用に2つのバッファを設けているため、一方に新実写画像データによる表示、他方に旧実写画像データによる表示を行っている。
図18は、付加情報入力処理のフローチャートである。インタフェース表示、付加情報入力処理(図16)のステップS47に相当する処理である。オペレータが、実写表示ウィンドウまたは3Dモデル表示ウィンドウで位置を指定して付加情報を入力するための処理である。
処理を開始すると、CPUは、オペレータがポインティングデバイスで指示した点の画面上の位置座標を入力する(ステップS70)。実写表示ウィンドウ内の点PPが指定されたときは、このウィンドウに設けられた2次元座標xi、yiでその位置座標を入力することになる。3Dモデル表示ウィンドウ内の点が指定されたときは、このウィンドウに設けられた2次元座標xc、ycでその位置座標を入力することになる。
例えば、次の方法で3次元座標を得ることができる。まず、対象建物の3次元モデルを視点情報に基づいて透視投影して得られるポリゴンを実写画像に重畳することによって、指定された点PPのポリゴン内での相対的な位置を求める。そして、3次元モデルのポリゴン内において、点PPに相当する位置を求めるのである。3次元座標への変換は、この他、種々の方法で行うことができる。
3Dモデル表示ウィンドウ内で点PPが指定された場合も同様である。また、付加情報を付す領域が指定された場合は(図12参照)、上述の変換をそれぞれの点に対して行えばよい。
格納された付加情報は、インタフェース表示処理(図17)によって、画面上に表示されることになる。
以上で説明した3次元モデル生成支援システムによれば、いずれかのインタフェース画面内で建物の任意の点または領域に対して設定した付加情報を、実写画像とは別の付加情報DB206によって管理することができる。付加情報には、それを表示すべき3次元座標が関連づけられているため、対象建物の全ての実写表示ウィンドウ、3次元モデル表示ウィンドウにおいて共有することができる。
また、本発明は、上述した3次元モデル生成支援システムとしての態様に限らず、対象建物に付された種々の付加情報を表示する付加情報表示システムとして構成することも可能である。例えば、対象建物の壁面の領域を指定し、広告画像などを付加情報として設定しておくことにより、図1〜9で示した実写画像を表示する画面内において、あたかも対象建物自体に広告が付されているかのような画像を提供することが可能となる。
また、付加情報として、対象建物の壁面に対する種々のテクスチャを用意しておき、付加情報を切り換えて実写画像を表示することにより、対象建物の外壁仕上げのシミュレーションを行うこともできる。
102、104…センサ
110…制御部
114…ハードディスク
114a…DVD
120…カメラ
200…3次元モデル生成支援システム
201…調査画像DB
202…視点情報DB
203…インタフェース用画像DB
204…地物IDリスト
205…3次元モデルDB
206…付加情報DB
210…視点情報生成部
211…インタフェース表示部
212…コマンド入力部
213…透視投影部
214…2次元地図表示部
215…付加情報表示部
Claims (8)
- 建物に対して指示された付加情報を、該建物の実写画像中に表示する付加情報表示システムであって、
前記建物の実写画像を、該実写画像の撮影位置、撮影方向と関連づけて記憶する実写画像データベースと、
前記建物に対する付加情報の内容を、該付加情報を表示すべき前記建物表面上の3次元的な位置を関連づけて記憶する付加情報データベースと、
前記実写画像データベース記憶部に記憶されたいずれかの実写画像を表示する実写画像表示部と、
前記実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいた透視投影によって、前記付加情報データベースに記憶された前記付加情報を前記建物表面上の位置に表示するための付加情報画像を生成し、前記実写画像に重畳して表示する付加情報表示部と、
前記建物を含む広範囲を撮影したパノラマ画像を入力し、該パノラマ画像から、前記実写画像データベースに格納する前記実写画像を生成する実写画像生成部を備え、
前記実写画像生成部は、
前記パノラマ画像の撮影地点と、前記建物の平面形状における重心位置とに基づいて、前記撮影方向を設定し、
前記撮影位置および撮影方向に基づいて、前記パノラマ画像から前記建物を含む所定範囲を切り出すことにより前記実写画像を生成する
付加情報表示システム。 - 請求項1記載の付加情報表示システムであって、
前記建物の3次元形状を表す3次元モデルを記憶する3次元モデルデータベースと、
前記付加情報の内容と、該付加情報を表示すべき前記建物表面上の位置を指定するユーザからのコマンドを入力するコマンド入力部とを有し、
前記コマンド入力部は、
前記3次元モデルを前記実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいて透視投影した画像内において、前記ユーザが前記実写画像上で指定した位置に対応する点の位置座標を入力し、
前記位置座標が前記3次元モデルの建物表面上の点を表しているとの拘束条件に基づき、前記位置座標を前記建物表面上の3次元座標に変換し、
該変換された結果を、前記付加情報の内容と関連づけて前記付加情報データベースに格納する
付加情報表示システム。 - 請求項1記載の付加情報表示システムであって、
前記実写画像生成部は、
前記切り出された実写画像中で前記建物が占める面積が大きくなるよう前記撮影方向を修正し、
該修正後の撮影方向に基づいて前記切り出しを行う
付加情報表示システム。 - 請求項1〜3いずれか記載の付加情報表示システムであって、
前記実写画像データベースは、前記建物について、撮影時期が異なる新旧の実写画像を記憶しており、
前記実写画像表示部は、前記新旧の実写画像から、それぞれ撮影位置および撮影方向が近似するものを選択し、それぞれを対比できる態様で表示する
付加情報表示システム。 - 請求項1〜4いずれか記載の付加情報表示システムであって、
前記建物の3次元形状を表す3次元モデルを記憶する3次元モデルデータベースと、
前記実写画像と対比できる態様で、該実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいて前記3次元モデルを透視投影して表示する透視投影部とを備える
付加情報表示システム。 - 請求項1〜5いずれか記載の付加情報表示システムであって、
前記付加情報は、前記建物表面上に沿って表示するよう指定されており、
前記付加情報表示部は、前記指定に従い、前記建物表面上に前記付加情報を配置した上で前記透視投影を行う
付加情報表示システム。 - 建物に対して指示された付加情報を、該建物の実写画像中に表示する付加情報表示方法であって、
コンピュータが実行するステップとして、
前記建物の実写画像を、該実写画像の撮影位置、撮影方向と関連づけて記憶する実写画像データベースにアクセスするステップと、
前記建物に対する付加情報の内容を、該付加情報を表示すべき前記建物表面上の3次元的な位置を関連づけて記憶する付加情報データベースにアクセスするステップと、
前記実写画像データベース記憶部に記憶されたいずれかの実写画像を表示するステップと、
前記実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいた透視投影によって、前記付加情報データベースに記憶された前記付加情報を前記建物表面上の位置に表示するための付加情報画像を生成し、前記実写画像に重畳して表示するステップと、
前記建物を含む広範囲を撮影したパノラマ画像を入力し、該パノラマ画像から、前記実写画像データベースに格納する前記実写画像を生成する実写画像生成ステップを備え、
前記実写画像生成ステップは、
前記パノラマ画像の撮影地点と、前記建物の平面形状における重心位置とに基づいて、前記撮影方向を設定し、
前記撮影位置および撮影方向に基づいて、前記パノラマ画像から前記建物を含む所定範囲を切り出すことにより前記実写画像を生成する
付加情報表示方法。 - 建物に対して指示された付加情報を、該建物の実写画像中に表示するためのコンピュータプログラムであって、
前記建物の実写画像を、該実写画像の撮影位置、撮影方向と関連づけて記憶する実写画像データベースにアクセスする機能と、
前記建物に対する付加情報の内容を、該付加情報を表示すべき前記建物表面上の3次元的な位置を関連づけて記憶する付加情報データベースにアクセスする機能と、
前記実写画像データベース記憶部に記憶されたいずれかの実写画像を表示する機能と、
前記実写画像の撮影位置、撮影方向に基づいた透視投影によって、前記付加情報データベースに記憶された前記付加情報を前記建物表面上の位置に表示するための付加情報画像を生成し、前記実写画像に重畳して表示する機能と、
前記建物を含む広範囲を撮影したパノラマ画像を入力し、該パノラマ画像から、前記実写画像データベースに格納する前記実写画像を生成する実写画像生成機能をコンピュータに実現させ、
前記実写画像生成機能は、
前記パノラマ画像の撮影地点と、前記建物の平面形状における重心位置とに基づいて、前記撮影方向を設定し、
前記撮影位置および撮影方向に基づいて、前記パノラマ画像から前記建物を含む所定範囲を切り出すことにより前記実写画像を生成する機能であるコンピュータプログラム。
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