JP4352546B2 - フルオロエラストマー、その製造方法、架橋性組成物およびその硬化物 - Google Patents
フルオロエラストマー、その製造方法、架橋性組成物およびその硬化物 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、フルオロエラストマー、該フルオロエラストマーを含有する架橋性組成物および該架橋性組成物の硬化物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
自動車あるいは航空機などのオイルシールまたは燃料ホースなどの成形材料には、耐熱性、耐寒性、耐溶剤性(耐燃料油性、耐油性)などの性能が要求され、このような各種特性をバランス良く有する樹脂材料の出現が期待されている。
従来、たとえば、特公昭54−1585号公報には、3モル%以下の臭素含有オレフィンを共重合させた含フッ素重合体と、有機過酸化物とからなる含フッ素重合体組成物が記載されている。しかしながら、この組成物から得られる過酸化物架橋物は、ある程度の耐寒性は示してはいるものの、耐溶剤性には欠けているという問題点があった。
【0003】
また、特公昭58−4728号公報には、ヨウ素化合物を連鎖移動剤として用いて共重合反応させて得られた含フッ素系多元セグメント化ポリマーが記載されている。しかしながら、連鎖移動剤として用いたヨウ素化合物が低分子化合物であるため、耐寒性の改善を全く期待することができないという問題点があった。
そこで、本願発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、特定のフルオロエラストマーを含有する架橋性組成物を用いると、耐熱性、耐寒性および耐溶剤性に優れた硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、耐熱性、耐寒性および耐溶剤性に優れた硬化物を提供しうるフルオロエラストマー、その架橋性組成物およびその硬化物を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係るフルオロエラストマーは、
フッ化ビニリデンから導かれる構成単位(a)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)から導かれる構成単位(b)と、
テトラフルオロエチレンから導かれる構成単位(c)と、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から導かれる構成単位(d)とを含み、
前記構成単位(a)が65〜85モル%の量で、
前記構成単位(b)が6〜25モル%の量で、
前記構成単位(c)が4〜8モル%の量で、
前記構成単位(d)が5〜15モル%の量で含まれることを特徴としている。
【0006】
本発明に係るフルオロエラストマーは、前記フルオロエラストマーが、さらに、下記一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物もしくは含ヨウ素臭素化合物から導かれる構成単位(e)を含むことを特徴としている;
RBrn Im ・・・[I]
[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基、炭化水素基であり、いずれの基も官能基Xを有していてもよく、Xは、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO2、−SO3Hまたは−PO3Hであり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである]。
【0007】
前記構成単位(e)は、前記構成単位(a)、(b)、(c)および(d)の総量100重量部に対して、0.001〜5重量部の量で含まれることが好ましい。
本発明に係るフルオロエラストマーは、上記フルオロエラストマーが、
フッ化ビニリデン(a’)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、
テトラフルオロエチレン(c’)と、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)と
を共重合反応させてなるものであるか、あるいは、
下記一般式[I]で表される化合物(e’)の存在下に、
フッ化ビニリデン(a’)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、
テトラフルオロエチレン(c’)と、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)と、
を共重合反応させてなるものであることを特徴としている;
RBr n I m ・・・[I]
[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基、炭化水素基であり、いずれの基も官能基Xを有していてもよく、Xは、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO 2 、−SO 3 Hまたは−PO 3 Hであり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである]。
本発明に係るフルオロエラストマーは、上記フッ化ビニリデン(a’)は65〜85モル%の量で、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)は6〜25モル%の量で、
テトラフルオロエチレン(c’)は4〜8モル%の量で、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)は5〜15モル%の量で用いられ、また、必要により、
一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物は、
上記フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)と、テトラフルオロエチレンと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の総量100重量%に対して、0.001〜5重量%の量で用いられることを特徴としている。
本発明に係るフルオロエラストマーの製造方法は、下記一般式[I]で表される化合物(e’)の存在下に、
フッ化ビニリデン(a’)と、パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、
テトラフルオロエチレン(c’)と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)とを共重合反応させることを特徴としている;
RBrnIm・・・[I]
[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基、炭化水素基であり、いずれの基も官能基Xを有していてもよく、Xは、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO2、−SO3Hまたは−PO3Hであり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである]。
本発明に係るフルオロエラストマーの製造方法は、上記フッ化ビニリデン(a’)は65〜85モル%の量で、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)は6〜25モル%の量で、 テトラフルオロエチレン(c’)は4〜8モル%の量で、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)は5〜15モル%の量で、また、
一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物(e’)は、上記フッ化ビニリデン(a’)と、パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、テトラフルオロエチレン(c’)と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)の総量{(a’)+ (b’)+ (c’)+ (d’)}100重量%に対して、0.001〜5重量%の量で用いることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る架橋性組成物は、前記フルオロエラストマーと、パーオキサイド系架橋剤とを含有することを特徴としている。また、本発明に係る硬化物は、前記架橋性組成物を硬化してなることを特徴としている。
【0009】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るフルオロエラストマー、その製造方法、架橋性組成物およびその硬化物について具体的に説明する。
[フルオロエラストマー]
本発明に係るフルオロエラストマーは、フッ化ビニリデンから導かれる構成単位(a)と、パーフルオロメトキシプロピルビニルエーテルから導かれる構成単位(b)と、必要に応じ、テトラフルオロエチレンから導かれる構成単位(c)および/またはパーフルオロアルキルビニルエーテルから導かれる構成単位(d)とを含む共重合体である。
【0010】
構成単位(a)を誘導しうるフッ化ビニリデン、構成単位(b)を誘導しうるパーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)[CF2=CFOCF2CF2CF2OCF3]、構成単位(c)を誘導しうるテトラフルオロエチレンは、公知の方法で製造でき、また、市販のものを使用することもできる。
本発明に係る構成単位(d)を誘導しうるパーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、具体的には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、このうちパーフルオロ(メチルビニルエーテル)を用いることが好ましい。このようなパーフルオロアルキルビニルエーテルは、公知の方法により合成でき、また、市販のものを使用することもできる。
【0011】
また、前記フルオロエラストマーは、下記一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物から導かれる構成単位(e)を含有していてもよい。
RBrnIm ・・・[I]
式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである。
【0012】
このような化合物は、重合条件下で副反応を起こして、連鎖移動などの効果を消失しなければよく、たとえば、R基は一般に炭素原子数1〜10のフルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基から選ばれ、いずれの基も−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO2、−SO3H、−PO3Hなどの官能基が結合されていてもよい。
【0013】
このような一般式[I]で表される化合物としては、含臭素化合物、含ヨウ素化合物、含ヨウ素臭素化合物が挙げられる。
含臭素化合物としては、具体的には、臭化ビニル、1-ブロモ-2,2-ジフルオロエチレン、パーフルオロアリルブロマイド、4-ブロモ-1,1,2-トリフルオロブテン、4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブテン、4-ブロモ-1,1,3,3,4,4-ヘキサフルオロブテン、ブロモトリフルオロエチレン、4-ブロモ-3-クロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテン、6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキセン、4-ブロモパーフルオロブテン-1、3,3-ジフルオロアリルブロマイドなどの臭素化ビニル化合物または臭素化オレフィンが挙げられる。
【0014】
このような一般式[I]で表される含ヨウ素臭素化合物は、飽和または不飽和の脂肪族または芳香族の化合物であって、nおよびmがともに1の含ヨウ素臭素化合物が好ましく使用される。n、mの一方が2の場合は、生成するフルオロエラストマーが3次元構造となることから、加工性が損われない範囲内で使用することが望ましい。
【0015】
このうち、鎖状の含ヨウ素臭素化合物[I]としては、具体的には、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1-ブロモ-3-ヨードパーフルオロプロパン、1-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブタン、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオロブタン、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロ(2-メチルプロパン)、モノブロモモノヨードパーフルオロシクロブタン、モノブロモモノヨードパーフルオロペンタン、モノブロモモノヨードパーフルオロ-n-オクタン、モノブロモモノヨードパーフルオロシクロヘキサン、1-ブロモ-1-ヨード-2-クロロパーフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-クロロパーフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-2-クロロパーフルオロエタン、1,1-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1,2-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1,2-ジヨード-2-ブロモパーフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,2,2-トリフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1,2,2-トリフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1-ジフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1,1-ジフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1-フルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1-フルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-ヨード-2-ブロモ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨード-3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタン、1-ヨード-2-ブロモ-3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタン、1,4-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロブタン、2,4-ジブロモ-1-ヨードパーフルオロブタン、1,4-ジヨード-2-ブロモパーフルオロブタン、1,4-ジブロモ-2-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロブタン、1,4-ジヨード-2-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブタン、1,1-ジブロモ-2,4-ジヨードパーフルオロブタン、1-ブロモ-2-ヨード-1-クロロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1-クロロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-クロロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1-ジクロロエタン、1,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロパン、2,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロパン、1,3-ジヨード-2-ブロモパーフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨードエタン、1-ブロモ-2-ヨードプロパン、1-ヨード-2-ブロモプロパン、1-ブロモ-2-ヨードブタン、1-ヨード-2-ブロモブタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン、1-ヨード-2-ブロモ-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨード-2-フェニルパーフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-2-フェニルパーフルオロエタン、3-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、3-ヨード-4-ブロモパーフルオロブテン-1、1-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、1-ヨード-4-ブロモパーフルオロブテン-1、3-ブロモ-4-ヨード-3,4,4-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-3-ヨード-3,4,4-トリフルオロブテン-1、3-ブロモ-4-ヨード-1,1,2-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-5-ヨードパーフルオロペンテン-1、4-ヨード-5-ブロモパーフルオロペンテン-1、4-ブロモ-5-ヨード-1,1,2-トリフルオロペンテン-1、4-ヨード-5-ブロモ-1,1,2-トリフルオロペンテン-1、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロメチルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロメチルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロプロピルエーテル、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロアリルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルメチルエーテル、1-ヨード-2-ブロモパーフルオロエチルエチルエーテル、1-ヨード-2-ブロモエチルエチルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードエチル-2'-クロロエチルエーテルなどが挙げられる。これらの含ヨウ素臭素化合物は、適宜公知の方法により製造することができ、たとえば、含フッ素オレフィンに臭化ヨウ素を反応させて、モノブロモモノヨード含フッ素オレフィンを得ることができる。
【0016】
含ヨウ素臭素化合物のうち、芳香族の含ヨウ素臭素化合物としては、例えばベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-ブロモ、1-ヨード-4-ブロモ、3,5-ジブロモ-1-ヨード、3,5-ジヨード-1-ブロモ、1-(2-ヨードエチル)-4-(2-ブロモエチル)、1-(2-ヨードエチル)-3-(2-ブロモエチル)、1-(2-ヨードエチル)-4-(2-ブロモエチル)、3,5-ビス(2-ブロモエチル)-1-(2-ヨードエチル)、3,5-ビス(2-ヨードエチル)-1-(2-ブロモエチル)、1-(3-ヨードプロピル)-2-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-3-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-4-(3-ブロモプロピル)、3,5-ビス(3-ブロモプロピル)-1-(3-ヨードプロピル)、1-(4-ヨードブチル)-3-(4-ブロモブチル)、1-(4-ヨードブチル)-4-(4-ブロモブチル)、3,5-ビス(4-ヨードブチル)、-1-(4-ブロモブチル)、-1-(2-ヨードエチル)-3-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-3-(4-ブロモブチル)、3,5-ビス(3-ブロモプロピル)-1-(2-ヨードエチル)、1-ヨード-3-(2-ブロモエチル)、1-ヨード-3-(3-ブロモプロピル)、1,3-ジヨード-5-(2-ブロモエチル)、1,3-ジヨード-5-(3-ブロモプロピル)、1-ブロモ-3-(2-ヨードエチル)、1-ブロモ-3-(3-ヨードプロピル)、1,3-ジブロモ-5-(2-ヨードエチル)、1,3-ジブロモ-5-(3-ヨードプロピル)などの各置換体、パーフルオロベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-ブロモ、1-ヨード-4-ブロモ、3,5-ジブロモ-1-ヨード、3,5-ジヨード-1-ブロモなどの各置換体が挙げられる。
【0017】
また含ヨウ素化合物としては、具体的には、1,2-ジヨードテトラフルオロエタン、1,3-ジヨードヘキサフルオロプロパン、1,4-ジヨードオクタフルオロブタン、ヨードパーフルオロエチレン、ヨード-1,1-ジフルオロエチレン、ヨードエチレン、2-ヨードパーフルオロエチルビニルエーテル、1,7-ジヨードパーフルオロ-n-オクタン、1,12-ジヨードパーフルオロドデカン、1,16-ジヨードパーフルオロヘキサデカン、1,3-ジヨード-2-クロロパーフルオロ-n-プロパン、1,5-ジヨード-2,4-ジクロロパーフルオロ-n-ペンタンなどが挙げられる。
【0018】
また、前記一般式[I]において、Rが官能基を有する化合物も好ましく用いられる。
このような化合物としては、たとえば、前記一般式[I]においてn=1、m=0であり、RがR1−O−CF=CF2[R1は、パーフルオロアルキル基を示す。]である含臭素ビニルエーテルが挙げられる。このような含臭素ビニルエーテルとしては、具体的には、
CF2BrCF2OCF=CF2、
CF2Br(CF2)2OCF=CF2、
CF2Br(CF2)3OCF=CF2、
CF3CFBr(CF2)2OCF=CF2、
CF2Br(CF2)4OCF=CF2
などが挙げられる。このような、含臭素ビニルエーテルは、公知の方法、たとえば米国特許第4,745,165号公報に記載された方法により合成することができる。
【0019】
また、前記一般式[I]において、n=1、m=0であって、RがR2OCF=CFBrまたはR2OCBr=CF2[R2は低級アルキル基またはフルオロアルキル基を示す]で表される含臭素ビニルエーテルも用いることができる。このような含臭素ビニルエーテルは、公知の方法で、たとえば、米国特許第4,564,662号公報に記載された方法により、合成することができる。
【0020】
本発明に係る前記含臭素化合物、含ヨウ素臭素化合物または含ヨウ素化合物は、共重合体に架橋部位を形成する連鎖移動剤として作用して、共重合体の分子量を調節するので、架橋性組成物の加工性を改善することができる。
これらの化合物においては、たとえば含ヨウ素臭素化合物については、重合反応の際、有機過酸化物ラジカルの発生により、含ヨウ素臭素化合物のヨウ素あるいは臭素が容易にラジカル開裂され、そこに生じたラジカルの高い反応性によりモノマーが付加成長反応し、しかる後に含ヨウ素臭素化合物からヨウ素および臭素を引き抜くことによって反応を停止させ、分子末端にヨウ素および臭素が結合したフルオロエラストマーを与えるものと推定される。分子末端に結合したヨウ素原子および臭素原子は、過酸化物加硫の際架橋部位としての働きを有している。
【0021】
本発明に係るフルオロエラストマーにおいては、構成単位(a)を誘導しうる前記フッ化ビニリデンは、65〜85モル%の量で、好ましくは70モル%〜80モル%の量で用いられることが望ましい。共重合に係る該フッ化ビニリデンの割合が、65モル%より小さいと、フルオロエラストマーを含む架橋性組成物からなる硬化物の低温特性が悪化することがあり、85モル%を超えると、フルオロエラストマーを含む架橋性組成物の硬化物の耐溶剤性および耐薬品性が低下することがある。
【0022】
また、本発明に構成単位(b)を誘導しうるパーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)は、0.5〜30モル%の量で、好ましくは6〜25モル%の量で、さらに好ましくは8〜20モル%の量で用いられることが望ましい。共重合に係る該パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)の割合がこの範囲にあると、良好な低温特性のフルオロエラストマーを含む架橋性組成物からなる硬化物を得ることができるとともに、経済性の観点からも好ましい。
【0023】
本発明において、必要に応じて含まれる構成単位(c)を誘導しうるテトラフルオロエチレンは、0〜10モル%の量で、好ましくは4〜8モル%の量で用いられることが望ましい。共重合に係る該テトラフルオロエチレンの割合が、10モル%を超えると、フルオロエラストマーを含む架橋性組成物からなる硬化物の低温特性が悪化することがある。
【0024】
また、本発明において、必要に応じて含まれる構成単位(d)を誘導しうるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)は、0〜25モル%の量で、好ましくは5〜15モル%の量で用いられることが望ましい。
なお、これらの構成単位(a)、(b)、(c)および(d)を誘導しうる各モノマーの使用量の合計は100モル%である。
【0025】
前記一般式[I]であらわされる化合物を用いる場合は、フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(メトキシプロピレンビニルエーテル)と、必要に応じて用いられるテトラフルオロエチレンおよび/またはパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の総量に対して、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%の割合で用いることが望ましい。使用量がこのような範囲にあると、良好な耐圧縮永久歪特性の加硫物が得られるとともに、良好な伸び率を有する加硫物を得ることができる。
【0026】
<共重合反応>
本発明に係るフルオロエラストマーは、前記フッ化ビニリデンと、前記パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)と、必要に応じ、前記テトラフルオロエチレンおよび/または前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とを共重合して得られる。
【0027】
さらに、本発明に係る共重合反応においては、必要に応じ、含臭素単量体化合物、含ヨウ素臭素化合物または含ヨウ素化合物のいずれかの化合物の存在下に行うこともできる。
本発明に係る共重合反応は、一般には水性媒体中で、水溶性過酸化物触媒、好ましくはそのレドックス系触媒を用いた乳化重合法によって行うことができ、またフッ素系溶媒を用いたラジカル溶液重合法によっても行うことできる。
【0028】
以下に、前記乳化重合法による重合反応について説明する。
乳化重合に係る前記水溶性過酸化物触媒としては、たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩が好ましく用いられる。
また、乳化剤としては、たとえば、フッ素化脂肪族カルボン酸塩、フッ素化アルコールのリン酸エステルまたは硫酸エステルなどのフッ素化された乳化剤、あるいは高級脂肪族アルコールの硫酸エステル、芳香族スルホン酸塩などの通常の乳化剤を用いることができる。これらの水溶性乳化剤は、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0029】
乳化剤の使用量としては、水性媒体に対して約0.001〜10重量%、好ましくは約0.01〜5重量%の割合で用いることが望ましい。
これら水溶性過酸化物触媒および乳化剤を用いた乳化重合反応は、約0〜80℃、好ましくは約20〜60℃の範囲の温度で行われる。反応温度が80℃を超えると、生成する共重合体の分子量が低下することがあり、また重合触媒の分解速度が大きくなりすぎてかえって効率の低下を招くことがある。また、反応温度が0℃より小さいと重合速度が低下することがあり、実用的でない。重合圧力については、均一組成の共重合体が得られる限り高い方が望ましいが、一般には約100kg/cm2G以下の圧力が用いられる。
【0030】
本発明に係る、共重合体として得られるフルオロエラストマーの分子量は特に限定されないが、たとえば、数平均分子量(Mn、測定法:GPC、溶媒:THF)は、通常10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜300,000であることが望ましい。また、分子量の指標としての溶液粘度ηsp/C(35℃、メチルエチルケトン)は、0.1〜5dl/g、好ましくは0.5〜3.5dl/gであることが望ましい。
【0031】
また、本発明においては、必要に応じ、共重合体の重合時に、メタノール、エタノール、イソペンタン、マロン酸ジエチル、四塩化炭素などの連鎖移動剤を用いて、得られるフルオロエラストマーの分子量を調節することもできる。
このようにして得られるフルオロエラストマーは、
フッ化ビニリデンから導かれる構成単位(a)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)から導かれる構成単位(b)とからなり、必要に応じ、テトラフルオロエチレンから導かれる構成単位(c)および/またはパーフルオロアルキルビニルエーテルから導かれる構成単位(d)とを含む共重合体であり、
前記構成単位(a)が、65〜85モル%の量で、好ましくは70モル%〜80モル%の量で含まれ、
前記構成単位(b)が、0.5〜30モル%の量で、好ましくは6〜25モル%の量で、さらに好ましくは8〜20モル%の量で含まれ、
前記構成単位(c)が、0〜10モル%の量で、好ましくは4〜8モル%の量で含まれ、
前記構成単位(d)が、0〜25モル%の量で、好ましくは5〜15モル%の量((a)+(b)+(c)+(d)=100モル%)で含まれている。
【0032】
また、このフルオロエラストマーが、さらに、一般式 RBrnIm[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである]で表される化合物を含む場合には、前記構成単位(e)が、前記構成単位(a)、(b)、(c)および(d)の総量100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0033】
[架橋性組成物および硬化物]
本発明に係る架橋性組成物は、前記フルオロエラストマーと、パーオキサイド系架橋剤とを含有している。
本発明に係るフルオロエラストマーを含有する架橋性組成物は、従来公知の種々の加硫方法、例えば有機過酸化物を用いるパーオキサイド加硫法、ポリアミン化合物を用いるポリアミン加硫法、ポリヒドロキシ化合物を用いるポリオール加硫法あるいは放射線、電子線などの照射法などによって硬化させることができる。これらの中でパーオキサイド加硫法は、硬化した架橋性組成物が、機械的強度に優れかつ架橋点の構造が安定な炭素−炭素結合を形成し、耐薬品性、耐摩耗性、耐溶剤性などにすぐれた組成物となることから、特に好ましく用いられる。
【0034】
パーオキサイド加硫法に用いられる有機過酸化物としては、たとえば、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン-3、ベンゾイルパーオキシド、ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ第3ブチルパーオキシド、第3ブチルクミルパーオキシド、第3ブチルパーオキシベンゼン、1,1-ビス(第3ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキシド、α,α’-ビス(第3ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどが挙げられる。
【0035】
これらの有機過酸化物が用いられるパーオキサイド加硫法では、共架橋剤として多官能性不飽和化合物、たとえばトリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジン、亜リン酸トリアリル、1,2-ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートなどを併用することができる。これらの共架橋剤を併用することにより、より優れた加硫特性、機械的強度、圧縮永久歪特性など有する架橋性組成物を得ることができる。
【0036】
さらに、所望により、架橋助剤として2価金属の酸化物または水酸化物、たとえばカルシウム、マグネシウム、鉛、亜鉛などの酸化物または水酸化物を用いることもできる。これらの化合物は、受酸剤としても作用する。
パーオキサイド加硫系に配合される以上の各成分は、フルオロエラストマー100重量部当たり、有機過酸化物が0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の量で、必要に応じ、共架橋剤が0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合で、必要に応じ、架橋助剤が15重量部以下、好ましくは2〜10重量部の量で用いることが望ましい。
【0037】
本発明に係る架橋性組成物は、前記各成分を、そのままフルオロエラストマーに配合し、混練して調製することができるとともに、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、けいそう土、硫酸バリウムなどで希釈、あるいは、フルオロエラストマーとのマスターバッチ分散物として調製することもできる。配合物中には、上記各成分に加えて、従来公知の充填剤、補強剤、可塑剤、滑剤、加工助剤、顔料などを適宜配合することもできる。このうち、充填剤または補強剤としてカーボンブラックを用いる場合、カーボンブラックは、フルオロエラストマー100重量部当り10〜50重量部程度の量で好ましく用いられる。
【0038】
架橋性組成物の加硫は、前記各成分をロール混合、ニーダー混合バンバリー混合、溶液混合など一般に用いられている混合法によって混合した後、加熱することによって行うことができる。加熱は、一般には約100〜250℃で約1〜120分間程度行われるプレス加硫および約150〜300℃で0〜30時間程度行われるオーブン加硫(二次加硫)によって好ましく行われる。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係るフルオロエラストマーおよびその架橋性組成物によれば、耐熱性、耐寒性および耐溶剤性に優れた硬化物を得ることができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例により本発明は限定されるものではない。
【0041】
【実施例1】
容量500mlのオートクレーブ内に、
フッ化ビニリデン[VdF]44g(69.3mol%)、
テトラフルオロエチレン[TFE]6g(6.1mol%)、
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)[FMVE]24g(14.6mol%)、 パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)[MPVE]32g(10. 0mol%)、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム5g、
Na2HPO4・12H2O 0.54g、
NaHSO3 0.02g、
水 200ml、
CF2=CFOCF2 CF2 Br 1.0g
を仕込み、50℃に昇温させた後、過硫酸アンモニウム0.1gを加えて重合反応を開始させた。8時間反応させた後、30℃程度にまで冷却し、未反応ガスを放出して重合反応を停止させた。
【0042】
得られた生成物を2%塩化カルシウム水溶液で塩析させた後、乾燥させて白色のフルオロエラストマー100.6g(重合率94.0%)を得た。
このフルオロエラストマーの溶媒粘度ηsp/C(35℃、メチルエチルケトン)は、3.06dl/gであった。
19F−NMR分析の結果、このフルオロエラストマーが、VdF/TFE/FMVE/MPVE=73.4/7.1/10.1/9.4のモル比で構成されていることを確認した。その結果を表1に示す。また、19F−NMRスペクトルを図1に示す。
【0043】
【比較例1、2、5】
実施例1の各成分の仕込量に代えて、各成分の仕込量を表1に示すとおりにして、実施例1と同様の条件下で重合反応を行いフルオロエラストマーを得た。その結果を表1に示す。比較例5で得られたフルオロエラストマーの溶媒粘度ηsp/C(35℃、メチルエチル
ケトン)は1.96dl/g、比較例1で得られたフルオロエラストマーの溶媒粘度ηsp/C(35℃、メチルエチルケトン)は0.98dl/gであった。
【0044】
【実施例3、比較例3、4、6】
前記実施例1、比較例1、2、5で得られたフルオロエラストマー100重量部に、それぞれ、
MT カーボンブラック 30重量部
トリアリルイソシアヌレート(60%) 7重量部
有機過酸化物(日本油脂製品 パーヘキサ 2,5 B-40) 1.4重量部
酸化亜鉛(ZnO) 6重量部
を添加し、2本ロールで混練した混合物を180℃で10分間プレス加硫した後、230℃で22時間オーブン加硫(二次加硫)した。
【0045】
得られた加硫シートの常態物性(DIN53505、53504準拠)、耐熱性(耐熱老化試験230℃ 70時間)、耐寒性(TR10、TR70)および耐溶剤性(25℃のメタノール中に70時間浸漬した後の体積変化率)を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で得られたフルオロエラストマーの19F−NMRスペクトルのチャートである。
Claims (9)
- フッ化ビニリデンから導かれる構成単位(a)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)から導かれる構成単位(b)と、
テトラフルオロエチレンから導かれる構成単位(c)と、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から導かれる構成単位(d)とを含み、
前記構成単位(a)が65〜85モル%の量で、
前記構成単位(b)が6〜25モル%の量で、
前記構成単位(c)が4〜8モル%の量で、
前記構成単位(d)が5〜15モル%の量で含まれることを特徴とするフルオロエラストマー。 - 前記フルオロエラストマーが、さらに、
下記一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物
から導かれる構成単位(e)を含むことを特徴とする請求項1に記載のフルオロエラストマー;
RBrnIm・・・[I]
[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、いずれの基も官能基Xを有していてもよく、Xは、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO2、−SO3Hまたは−PO3Hであり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである]。 - 前記構成単位(e)が、前記構成単位(a)、(b)、(c)および(d)の総量100重量部に対して、0.001〜5重量部の量で含まれることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のフルオロエラストマー。
- 上記フルオロエラストマーは、
フッ化ビニリデン(a’)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、
テトラフルオロエチレン(c’)と、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)と
を共重合反応させてなるものであるか、あるいは、
下記一般式[I]で表される化合物(e’)の存在下に、
フッ化ビニリデン(a’)と、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、
テトラフルオロエチレン(c’)と、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)と、
を共重合反応させてなるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフルオロエラストマー;
RBr n I m ・・・[I]
[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基、炭化水素基であり、いずれの基も官能基Xを有していてもよく、Xは、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO 2 、−SO 3 Hまたは−PO 3 Hであり、nおよびmは、0,1または2のいずれかである]。 - 上記フッ化ビニリデン(a’)は65〜85モル%の量で、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)は6〜25モル%の量で、
テトラフルオロエチレン(c’)は4〜8モル%の量で、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)は5〜15モル%の量で用いられ、また、必要により、
一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物は、
上記フッ化ビニリデンと、パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)と、テトラフルオロエチレンと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の総量100重量%に対して、0.001〜5重量%の量で用いられる、請求項4に記載のフルオロエラストマー。 - 下記一般式[I]で表される化合物(e’)の存在下に、
フッ化ビニリデン(a’)と、パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、
テトラフルオロエチレン(c’)と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)とを共重合反応させることを特徴とするフルオロエラストマーの製造方法;
RBrnIm・・・[I]
[式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基、炭化水素基であり、いずれの基も官能基Xを有していてもよく、Xは、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO2、−SO3Hまたは−PO3Hであり、nおよびmは、0,1
または2のいずれかである]。 - 上記フッ化ビニリデン(a’)は65〜85モル%の量で、
パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)は6〜25モル%の量で、
テトラフルオロエチレン(c’)は4〜8モル%の量で、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)は5〜15モル%の量で、また、
一般式[I]で表される含臭素化合物、含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物(e’)は、上記フッ化ビニリデン(a’)と、パーフルオロ(メトキシプロピルビニルエーテル)(b’)と、テトラフルオロエチレン(c’)と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(d’)の総量{(a’)+ (b’)+ (c’)+ (d’)}100重量%に対して、0.001〜5重量%の量で用いる、請求項6に記載のフルオロエラストマーの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のフルオロエラストマーと、
パーオキサイド系架橋剤とを含有することを特徴とする架橋性組成物。 - 請求項8に記載の架橋性組成物を硬化してなる硬化物。
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