JP4352485B2 - 三相パルスモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、産業用ロボットなどのように比較的大きな推力が要求されるFA(ファクトリーオートメーション)機器に用いて好適な三相パルスモータに係り、特に、ステップ位置による推力ばらつきのない三相パルスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、パルスモータはパルス信号に基づいて歩進動作を行わせるものである。例えば、図5(a)、(b)に示すリニアパルスモータは、磁束発生部である1次側のスライダ3に供給されるパルス信号によって、スライダ3または2次側のスケール1をステップ状に歩進動作させる。
この図は、三相リニアパルスモータの概略構成図であり、長尺板状の磁性体によって構成された2次側のスケール1の上面には、1次側のスライダ3が、ローラ等からなる支持機構(図示せず)によってスケール1の長手方向へ移動自在に支持された状態で載置されている。
【0003】
この例では、スケール1は固定された状態になっており、その上面には、長手方向に沿ってピッチPの間隔で歯部1a、1a・・・が形成されている。一方、スライダ3はE字状に形成されており、U相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wにより構成され、スケール1の歯部1aとの間に一定の空隙をもって対向配置されている。
【0004】
また、U相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wのそれぞれの端面には、スケール1の長手方向に沿って、一定間隔P/2ピッチで極歯3aと溝部が交互に形成されており、それぞれの溝部には、隣り合うもの同志の極性が互いに逆極性となるように、永久磁石7が挿入配置されている。
また、U相磁極3Uに対してV相磁極3V及びW相磁極3Wは、それぞれ、相対位置関係がP/3ピッチずつ変位するように構成されている。このように構成されたU相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wには、それぞれ、この順にU相コイル5U、V相コイル5V及びW相コイル5Wが卷回されている。
【0005】
このように構成されたリニアパルスモータにおいて、U相コイル5U、V相コイル5V及びW相コイル5Wに電気角2π/3ラジアン(120度)ずつ位相角をずらして三相交流電圧を印加する。そして、U相コイル5Uに最大電圧が印加されたとき、U相磁極3Uの極歯3aとスケール1の歯部1aとの間に最大推力が働いて、その位置で安定して停止する。
さらに、V相コイル5Vに最大電圧が印加されるとV相磁極3Vの極歯3aとスケール1の歯部1aとの間に最大推力が働いてその位置にステップし、安定して停止する。このようにしてスライダ3は
P/6ピッチずつ歩進する。
【0006】
ここで、各歩進位置における歯部1aと極歯3aの磁束の状態を説明する。図5(a)は、X=τ/2(mm)の位置に歩進したときの歯部1aと極歯3aの磁束状態を示す図である。このX=τ/2(mm)の位置は、電気角π/2ラジアン(90度)でU相コイル5Uに正の最大電圧が印加されたときのステップ位置である。
【0007】
したがって、図の位置は電気角(ラジアン)を距離(mm)に置き換えて表している。この位置においては、U相コイル5Uに正の最大電圧が印加されているので、U相コイル5Uは図の×印から紙表より紙裏に向かって電流が流れ、紙裏から・印へ戻るので、電流と磁束の右ネジの法則にしたがって、U相磁極3Uに発生した磁束は、極歯3aから永久磁石7のS極側よりN極側へ流入して、N極側の極歯3aからスケール1の歯部1aへ流れ出す。
このような磁束の流れによって、極歯3aは歯部1aに対する安定位置にステップし、その位置(X=τ/2)で極歯3aから歯部1aへ最大磁束が流れ、磁極3aと歯部1aとの間に最大推力が働く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この位置(X=τ/2)で安定停止したとき、図5(a)においてU相磁極3Uの左端の極歯3aは歯部1aから一部分がはみ出している。このため、左端の永久磁石7のN極から流れ出す磁束は左端の極歯3aを経て、安定位置から離れた最も近い位置の歯部1aへ漏洩磁束φとして流れ出す。この漏洩磁束φは安定位置の推力に寄与しない磁束であり、この分だけ最大推力が低下してしまう。
【0009】
すなわち、図6の各電気角における推力特性図に示すように、U相コイル5Uに正の最大電圧が印加されたときの電気角π/2ラジアン(90度)において、U相の最大推力は減少している。また、V相磁極3V、W相磁極3Wにおいても、同様の磁束モードにより、漏洩磁束によって最大推力は減少している。
【0010】
一方、図5(b)は、X=3τ/2(mm)の位置に歩進したときの歯部1aと極歯3aの磁束状態を示す図である。この位置X=3τ/2(mm)は、電気角3π/2ラジアン(270度)でU相コイル5Uに負の最大電圧が印加されたときのスッテプ位置であり、電気角(ラジアン)を距離(mm)に置き換えて表わしている。
この位置(X=3τ/2)は、図5(a)の位置(X=τ/2)よりP/2ピッチだけ図の右方に歩進して停止した位置である。この位置X=3τ/2(mm)では、U相コイル5Uに負の最大電圧が印加されるので、U相コイル5Uの電流極性の向きが前述とは逆になり、磁束は歯部1aから極歯3aに流れ、永久磁石のS極側よりN極側へ流入して、N極側の極歯3aからU相磁極3Uを通り他の相の磁極へ流れて歯部1aに戻る。
このような閉磁路によって、歯部1aとU相磁極3Uの極歯3aとの安定位置が定まり、該当する歯部1aと極歯3aとの間に最大推力が働く。
【0011】
ここで、電気角3π/2ラジアン(270度)でU相コイル5Uに負の最大電圧が印加されたときは、左端の永久磁石7のN極に隣接する極歯3a(最も左端の極歯)は安定位置の歯部1aの範囲を越えない位置にある。
よって、最も左端の極歯3aは安定位置から離れた歯部1aからの漏洩磁束を受けることはない。V相磁極3V、W相磁極3Wにおける安定位置での左端の極歯3aと歯部1aとの対応関係も前述と全く同じであり、漏洩磁束の流れるルートは生じない。したがってこの位相角(すなわち、X=3τ/2(mm)の位置)においては漏洩磁束は流れない。
【0012】
すなわち、図6の推力特性図に示すように、U相コイル5Uに負の最大電圧が印加されたときの電気角3π/2ラジアン(270度)においては、U相の最大推力は1であり、漏洩磁束による推力の減少は見られない。V相、W相においても全く同じである。このように、各相コイルに正の最大電圧が印加されたときと、負の最大電圧が印加されたときとでは、安定位置における最大推力にアンバランスが生じる。
【0013】
これを解決するために、歯部1aや極歯3aの歯数を増やして、漏洩磁束の影響を小さくする方法が採られているが、このような方法では小型小推力のパルスモータを製作する場合には、歯数が多くなり幅の小さいパルスモータになってしまったり、漏洩磁束の影響がなくなるまで歯数を増やすことができない等の問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、永久磁石の配列を工夫することにより、磁極に正、負何れの電圧を印加しても、歩進位置において、漏洩磁束による最大推力のばらつきが生じないようにすることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の実施の形態の三相パルスモータは、各相の磁極に、極歯と隣り合うもの同志の極性が互いに反対の永久磁石とを交互に配置した三相パルスモータにおいて、各相の磁極の両端にそれぞれ永久磁石を配置したことを特徴とする。これによって、各磁極の端部からの漏洩磁束を防ぐことが出来る。
【0016】
また、本発明の第2の実施の形態の三相パルスモータは、各相の磁極に、極歯と隣り合うもの同志の極性が互いに反対の永久磁石とを交互に配置した三相パルスモータにおいて、永久磁石の配列極性を逆にした2組の磁束発生部を、対応する磁極同志の厚さ方向で重ねて、それぞれの磁極の相毎に共通のコイルを卷回するとともに、各磁極が対向配置される二次側スケールに2組の磁束発生部のそれぞれと対応して歯部を形成し、一方の磁束発生部と対応する歯部に対して、他方の磁束発生部と対応する歯部がP/2ピッチ歩進した位置関係となるように設定していることを特徴とする。これによって、何れのステップにおいても、一方の磁束発生部で漏洩磁束が流れているときは、他方の磁束発生部では漏洩磁束が流れない。よって、どのステップにおいても常に合成推力は同じ値となる。
【0017】
すなわち請求項1に係るパルスモータは、特定方向に沿って等間隔Pで歯部が形成された磁性体材料からなる二次側スケールと、二次側スケールの歯部が形成された方向へ移動自在に支持された一次側磁束発生部とからなり、一次側磁束発生部は、二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて各々対向するN個(Nは3の倍数)の磁極を有し、各々の磁極は、歯部が形成された方向に沿って、所定寸法P/3ずつ変位させて配置された鉄心と、各々の鉄心に卷回されたコイルとを備え、コイルに電気角2π/3ラジアンずつ位相をずらして順次電圧を印加させることにより、各磁極と二次側スケールの各歯部との間に順次磁束を発生させ、一次側磁束発生部を二次側スケールに対して相対移動させる三相パルスモータにおいて、一次側磁束発生部のN個の磁極の各々は、二次側スケールと対向する各端面に、歯部が形成された方向に沿って、各々の磁極の両端に凹部が形成されると共に、一定間隔P/2で極歯と凹部が交互に形成され、各凹部には、隣り合うもの同志の極性が互いに逆方向になるように永久磁石がそれぞれ挿入配置されたことを特徴とする。すなわち、各磁極の両端に漏洩磁束防止用の永久磁石が配置された構成になる。
【0018】
請求項2に係るパルスモータは、請求項1の前提条件と同じ前提条件のパルスモータにおいて、一次側磁束発生部のN個の磁極の各々は、二次側スケールと対向する各端面に、歯部が形成された方向に沿って、一定間隔P/2で極歯と溝部が交互に形成され、一次側磁束発生部は、各溝部に、隣り合うもの同志の極性が互いに逆方向になるように永久磁石がそれぞれ挿入配置された第1のスライダと、第1のスライダに挿入配置された永久磁石とは逆極性の永久磁石が挿入配置された第2のスライダとを備え、第1のスライダと第2のスライダは、それぞれ対応する磁極同志を、前記歯部が形成された方向と前記端面に沿って直交する厚さ方向に、互いの極性が逆となる前記永久磁石同志が前記歯部が形成された方向に一致した位置関係となるように重ねて構成され、重ね合わされた前記磁極同志には同一位相のコイルが共通に巻かれているとともに、前記二次側スケールは、前記第1のスライダ及び前記第2のスライダのそれぞれと対応して歯部が形成され、前記第1のスライダに対応する歯部に対して、前記第二のスライダと対応する歯部がP/2ピッチ歩進した位置関係となるように設定されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の三相リニアパルスモータのスライダとスケールの構成図であり、(a)はX=τ/2(mm)の位置に歩進したときの歯部11aと極歯13aの磁束の状態、(b)はX=3τ/2(mm)の位置に歩進したときの歯部11aと極歯13aの磁束の状態を示す。尚、ステップ位置Xは、電気角(ラジアン)を距離(mm)で表していることは前述と同様である。
【0020】
先ず、第1の実施の形態の三相リニアパルスモータの構成を図1(a)、(b)を用いて説明する。長尺板状の磁性体から成る2次側のスケール11の上面には、1次側のスライダ13が、図示しない支持機構によって、スケール11の長手方向へ移動自在に支持されている。
また、スケール11は固定され、その上面の長手方向に沿って形成されたピッチPの間隔で歯部11aが配置されている。
一方、スライダ13はE字状に形成されており、U相磁極13U、V相磁極13V及びW相磁極13Wが形成されている。尚、これらの磁極13U、13V、13Wは、スケール11の歯部11aとの間に一定の空隙をもって対向配置されている。
【0021】
また、U相磁極13U、V相磁極13V及びW相磁極13Wのそれぞれの端面には、スケール11の長手方向に沿って、一定間隔P/2ピッチで極歯13aと溝部が交互に形成されており、それぞれの溝部には、隣り合うもの同志の極性が互いに逆極性となるように、永久磁石17が挿入配置されている。
さらに、U相磁極13U、V相磁極13V及びW相磁極13Wのそれぞれの両端部には、それぞれ凹部が形成され、これらの凹部には永久磁石17’が隣の永久磁石17と逆極性にして配置されている。
【0022】
また、U相磁極13UとV相磁極13VとW相磁極13Wは、それぞれ、相対位置関係がP/3ピッチずつ変位するように配置されている。
さらに、U相磁極13U、V相磁極13V、W相磁極13Wには、それぞれ、この順にU相コイル15U、V相コイル15V、W相コイル15Wが卷回されている。また、U相コイル15U、V相コイル15V、W相コイル15Wは、それぞれ電気角2π/3ラジアンずつ位相をずらして電圧が印加されるようになっている。
【0023】
このように構成された本発明のリニアパルスモータの動作について説明する。図1(a)のX=τ/2(mm)の位置は、電気角π/2rad(90度)でU相コイルに正の最大電圧が印加されたタイミングである。
したがって、U相コイル15Uに図の×印から・印への電流が流れ、発生磁束はU相磁極の各永久磁石17のS極側からN極側に抜け、N極側の極歯13aから各歯部11aに流れ、その位置で極歯13aと歯部11aと間の推力が最大となり、安定位置となって停止する。
【0024】
このとき、U相磁極13Uの左端に設けられた永久磁石17’は、安定位置にある歯部11aからはみ出しているが、この永久磁石17’のはみ出し端面がS極になっているので、磁束の流出はない。したがって、安定位置から離れた最も近い位置の歯部1aには漏洩磁束は流れない。
同様に、V相磁極13V、W相磁極13Wが最大励磁されたステップ位置においても、上述と同様な位置関係になり、漏洩磁束は流れない。よって、磁束は全て有効に推力として作用し、最大推力は低下しない。
【0025】
次に、図1(b)のように、X=3τ/2(mm)の位置、すなわち、電気角3π/2rad(270度)でU相コイル15Uに負の最大電圧が印加されたタイミングについて説明する。
この場合は、U相コイル15Uの電流の向きは、前述のX=τ/2(mm)の位置のときとは逆になるので、磁束は各歯部11aからU相磁極の各永久磁石17のS極側からN極側に抜け、N極側の極歯13aから他の磁極(V相磁極13V、W相磁極13W)を経て歯部11aに流れる閉磁路が形成される。
これによって、極歯13aと歯部11aが所定の位置で安定し、これらの極歯13aと歯部11aの間に最大推力が働く。
【0026】
この位置にステップしたとき、U相磁極13Uの全ての極歯13aは歯部11a上の安定位置にある。すなわち、安定位置にない歯部11a側へはみ出した極歯13aは存在しない。
したがって、安定位置にない最も近い歯部11aから極歯13aへの磁束の経路は形成されないので漏洩磁束は流れない。このため、磁束は全て有効に推力として作用し、最大推力は低下しない。
したがって、負の最大電圧が印加されてX=3τ/2(mm)の位置にあるときの最大推力は、正の最大電圧が印加されてX=τ/2(mm)の位置にあるときの最大推力と同じ値である。
【0027】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。この実施の形態は、各磁極に正規の極性で永久磁石が配列されたスライダと、正規の極性とは逆の極性で永久磁石が配列されたスライダとを、それぞれ並列に組み合わせた合成スライダを用いたことを特徴とする。
このような構成にすれば、正の最大電圧が印加されたときのステップ位置においても、負の最大電圧が印加されたときのステップ位置においても、常に何れか1個のスライダ側の磁極に漏洩磁束が流れるので、何れのステップにおいても最大推力の大きさは同じ値になる。
【0028】
図2及び図3は本発明の第2の実施の形態のスライダの構成図であり、図2(a)は第1のスライダ、図2(b)は第2のスライダを表し、(a)と(b)が1組の合成スライダを構成して、X=τ/2(mm)の位置のときの歯部と極歯の磁束状態を示している。
また、図3(a)の第1のスライダと図3(b)の第2のスライダが1組の合成スライダを構成して、X=3τ/2(mm)の位置にあるときの歯部と極歯の磁束状態を示している。
【0029】
すなわち、図2(a)において、第1のスライダ23は図5で示した従来の構成のものと同じものを用いる。したがって、電気角120度ずつ位相のずれた磁極U1、V1、W1のそれぞれには、P/2ピッチ間隔で、隣り合うもの同志が逆極性の永久磁石27と極歯23aが配列されている。
一方、図2(b)に示す第2のスライダ33は、第1のスライダ23の各磁極に配列された永久磁石27とは、それぞれ極性を逆にした永久磁石37が、第1のスライダ23と同じピッチで配列されている。したがって、この場合も隣り合わさる永久磁石37同志の極性は互いに逆方向である。
【0030】
そして、第1のスライダ23のU1相と第2のスライダ33のU2相を、共に、電気角π/2rad(90度)で正の最大電圧を印加して、X=τ/2(mm)の位置にステップさせると、第1のスライダ23は、図2(a)に示すように、磁極U1の左端の極歯23aから安定位置にない歯部21aに漏洩磁束が流れる。一方、第2のスライダ33は、永久磁石37の極性が第1のスライダ23とは逆になっているので、第1のスライダ23よりP/2ピッチ歩進した位置関係になる。すなわち、電気角3π/2rad(270度)で負の最大電圧を印加して、X=3τ/2(mm)の位置にステップさせた場合と等価な位置となる。
【0031】
したがって、図2(b)に示すステップ位置においては、従来技術の図5(b)でも説明したように、磁極U2の両端の極歯33aは安定位置にある歯部31aからはみ出していないので、極歯33aより安定位置から離れた歯部31aへは漏洩磁束は流れない。
よって、第1のスライダ23と第2のスライダ33を厚さ方向に並列構成して歩進させた場合は、X=τ/2(mm)の位置にステップしたときは、第1のスライダ23の漏洩磁束によって最大推力が減少するが、第2のスライダ33によっては推力減少はない。
【0032】
次に、図3(a)、(b)のように、並列構成した第1のスライダ23と第2のスライダ33を、電気角3π/2rad(270度)で負の最大電圧を印加して、X=3τ/2(mm)の位置にステップさせた場合について説明する。この場合第1のスライダ23は、図5(b)の従来技術でも説明したように、図3(a)の如く磁極U1の両端の極歯23aは何れも安定位置の歯部21aからはみ出していないため漏洩磁束は流れない。
【0033】
一方、第2のスライダ33はX=3τ/2(mm)の位置にステップさせると、図3(b)の如く磁極U2の左端の極歯33aが安定位置の歯部31aからはみ出すため、安定位置から離れた最も近い歯部31aより左端の極歯33aへ漏洩磁束が流れる。したがって、第1のスライダ23と第2のスライダ33を厚さ方向に並列構成して、X=3τ/2(mm)の位置に歩進させた場合は、第1のスライダ23によっては推力は減少しないが、第2のスライダ33の漏洩磁束によって最大推力が減少する。
【0034】
このようにして、U相磁極を、電気角π/2rad(90度)で正の最大電圧を印加して、X=τ/2(mm)歩進させたときも、電気角3π/2rad(270度)で負の最大電圧を印加して、X=3τ/2(mm)歩進させたときも、共に、同量の漏洩磁束が流れ、何れのステップの場合も最大推力は同じ値となる。このような動作モードはV相磁極、W相磁極においても同じであるので、何れのステップにおいても最大推力の値は同じとなる。
【0035】
図4は第2の実施の形態のスライダ及びスケールの構成図であり、(a)は長手方向正面図、(b)は側面図である。図4(b)に示すように、第1のスライダ23と第2のスライダ33をそれぞれの相の磁極を合わせて厚さ方向に重ね合わせ、各相毎に一括してコイル25を卷回する。
【0036】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。例えば、リニアパルスモータに限らずロータリパルスモータにおいても上述の構成が適用できることは云うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の三相パルスモータによれば、何れのステップ位置にあっても漏洩磁束を無くすことも出来るし、各ステップ位置での漏洩磁束の量を同一の値にすることも出来るので、ステップ位置における推力のアンバランスを無くすことが出来る。これによって、オープンループの三相パルスモータにおいて、歩進位置毎の推力のアンバランスがなくなり、その結果、位置精度が改善される。したがって、例えば産業用ロボットなどにおいて、極めて位置精度の高い制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態のリニアパルスモータの構成図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態のスライダの構成図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態のスライダの構成図である。
【図4】 第2の実施の形態のスライダ及びスケールの構成図である。
【図5】 従来のリニアパルスモータの構成図である。
【図6】 図5のリニアパルスモータの各電気角における推力特性図である。
【符号の説明】
1、11 スケール
1a、11a、21a、31a 歯部
3、13、 スライダ
3a、13a、23a、33a 極歯
3U 13U U相磁極
3V、13V V相磁極
3W、13W W相磁極
5U、15U U相コイル
5V、15V V相コイル
5W、15W W相コイル
7、17、17’、27、37 永久磁石
23 第1のスライダ
33 第2のスライダ
25 コイル
Claims (2)
- 特定方向に沿って等間隔Pで歯部が形成された磁性体材料からなる二次側スケールと、該二次側スケールの歯部が形成された方向へ移動自在に支持された一次側磁束発生部とからなり、
前記一次側磁束発生部は、前記二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて各々対向するN個(Nは3の倍数)の磁極を有し、各々の前記磁極は、前記歯部が形成された方向に沿って、所定寸法P/3ずつ変位させて配置された鉄心と、各々の前記鉄心に卷回されたコイルとを備え、
前記コイルに電気角2π/3ラジアンずつ位相をずらして順次電圧を印加させることにより、前記各磁極と前記二次側スケールの各歯部との間に順次磁束を発生させ、前記一次側磁束発生部を前記二次側スケールに対して相対移動させる三相パルスモータにおいて、
前記一次側磁束発生部のN個の磁極の各々は、前記二次側スケールと対向する各端面に、前記歯部が形成された方向に沿って、各々の前記磁極の両端に凹部が形成されると共に、一定間隔P/2で極歯と凹部が交互に形成され、
前記各凹部には、隣り合うもの同志の極性が互いに逆方向になるように永久磁石がそれぞれ挿入配置されていることを特徴とする三相パルスモータ。 - 特定方向に沿って等間隔Pで歯部が形成された磁性体材料からなる二次側スケールと、該二次側スケールの歯部が形成された方向へ移動自在に支持された一次側磁束発生部とからなり、
前記一次側磁束発生部は、前記二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて各々対向するN個(Nは3の倍数)の磁極を有し、各々の前記磁極は、前記歯部が形成された方向に沿って、所定寸法P/3ずつ変位させて配置された鉄心と、各々の前記鉄心に卷回されたコイルとを備え、
前記コイルに電気角2π/3ラジアンずつ位相をずらして順次電圧を印加させることにより、前記各磁極と前記二次側スケールの各歯部との間に順次磁束を発生させ、前記一次側磁束発生部を前記二次側スケールに対して相対移動させる三相パルスモータにおいて、
前記一次側磁束発生部のN個の磁極の各々は、前記二次側スケールと対向する各端面に、前記歯部が形成された方向に沿って、一定間隔P/2で極歯と溝部が交互に形成され、
前記一次側磁束発生部は、
前記各溝部に、隣り合うもの同志の極性が互いに逆方向になるように永久磁石がそれぞれ挿入配置された第1のスライダと、
前記第1のスライダに挿入配置された永久磁石とは逆極性の永久磁石が挿入配置された第2のスライダとを備え、
前記第1のスライダと前記第2のスライダは、それぞれ対応する磁極同志を、前記歯部が形成された方向と前記端面に沿って直交する厚さ方向に、互いの極性が逆となる前記永久磁石同志が前記歯部が形成された方向に一致した位置関係となるように重ねて構成され、重ね合わされた前記磁極同志には同一位相のコイルが共通に巻かれているとともに、
前記二次側スケールは、前記第1のスライダ及び前記第2のスライダのそれぞれと対応して歯部が形成され、前記第1のスライダに対応する歯部に対して、前記第2のスライダと対応する歯部がP/2ピッチ歩進した位置関係となるように設定されていることを特徴とする三相パルスモータ。
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