JP4352484B2 - 三相パルスモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、産業用ロボットなどのように比較的大きな推力が要求されるFA(ファクトリーオートメーション)機器に用いて好適な三相パルスモータに係り、特に、推力波形の歪みの少ない三相パルスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、パルスモータはパルス信号に基づいて歩進動作を行わせるものである。例えば、図6に示すリニアパルスモータは、磁束発生部である1次側のスライダ3に供給されるパルス信号によって、スライダ3または2次側のスケール1をステップ状に歩進動作させる。
この図は、三相リニアパルスモータの概略構成図であり、長尺板状の磁性体によって構成された2次側のスケール1の上面には、1次側のスライダ3が、ローラ等からなる支持機構(図示せず)によってスケール1の長手方向へ移動自在に支持された状態で載置されている。
【0003】
この例では、スケール1は固定された状態になっており、その上面には、長手方向に沿ってピッチPの間隔で歯部1a、1a・・・が形成されている。一方、スライダ3はE字状に形成されており、U相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wにより構成され、スケール1の歯部1aとの間に一定の空隙をもって対向配置されている。
【0004】
また、U相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wのそれぞれの端面には、スケール1の長手方向に沿って、一定間隔P/2ピッチで極歯3aと凹溝が交互に形成されており、それぞれの凹溝には、隣り合うもの同志の極性が互いに逆極性となるように、永久磁石7が挿入配置されている。
また、U相磁極3Uに対してV相磁極3V及びW相磁極3Wは、それぞれ、相対位置関係がP/3ピッチずつ変位するように構成されている。このように構成されたU相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wには、それぞれ、この順にU相コイル5U、V相コイル及5V及びW相コイル5Wが卷回されている。
【0005】
このように構成されたリニアパルスモータにおいて、U相コイル5U、V相コイル5V及びW相コイル5Wに電気角2π/3ラジアンずつの位相角をずらして電圧を印加する。そして、U相コイル5Uに最大電圧が印加されたとき、U相磁極3Uの極歯3aとスケール1の歯部1aとの間に最大推力が働いて、その位置で安定して停止する。
さらに、V相コイル5Vに最大電圧が印加されると、V相磁極3Vの極歯3aとスケール1の歯部1aとの間に最大推力が働きその位置にステップして安定して停止する。このようにしてスライダ3はP/6ピッチずつ歩進する。
【0006】
ところが、このようにステップ歩進するリニアパルスモータは、一般にその推力波形に歪みをもっている。このような推力波形の歪みは、リニアパルスモータにおいてはゴギング推力となり、回転パルスモータにおいてはゴギングトルクとなり、マイクロステップ駆動やサーボ駆動を行う場合に、速度変動や回転変動の原因となる。
【0007】
このため推力波形を正弦波に近付けて歪みを減らす方法として、例えば、一次側の極歯3aを積層方向に斜めにずらしたり、二次側の歯部1aを積層方向に斜めにずらす、いわゆる斜めスキューや、一次側の極歯3aのピッチを2次側の歯部3aに対する正規のピッチからずらす、いわゆる等価ピッチスキューが用いられている。
【0008】
図7はスライダ3の極歯3aを斜めスキューした一次側スキューの構成図であり、(a)はスライダ3の上面図、(b)は側面図である。一次側スキューでは、U相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wのそれぞれのピッチの凹溝を積層方向にΔXだけ斜めに削って斜めの極歯3aを形成すると共に、凹溝に沿って斜めに永久磁石が挿入されている。このような磁極の構成によって推力波形の歪みを減らすことができる。
【0009】
また、図8はスケール1の歯部1aを斜めスキューした二次側スキューの構成図であり、(a)はスケール1の上面図、(b)は側面図である。二次側スキューでは、歯部1aが積層方向にΔXだけ斜めにずらして形成されている。このように2次側スケール1の歯部1aを形成しても推力波形の歪みを減らすことができる。
【0010】
さらに、図9はスライダ3を一次側等価ピッチスキューした場合の構成図であり、(a)は極歯3aのピッチを負方向にずらし負方向スキューした状態、(b)は極歯3aのピッチを正方向にずらし正方向スキューした状態を示す図である。
また、図10はスライダ3をスキューしない状態を示す図である。スキューしない状態では、図10に示すように、歯部1aのピッチτに対して極歯3a(または永久磁石7)はτ/2ピッチで配置されている。すなわち、歯部1aの1ピッチτと極歯3aの2ピッチが一致している。
【0011】
一方、図9(a)のように、負方向にピッチをずらして等価ピッチスキューを行った場合は、歯部1aの1ピッチτに対して、極歯3aの2ピッチ分をΔXだけ狭めてある。すなわち、歯部1aの1ピッチτに対して2つの極歯3a間のピッチを(τ−ΔX)とする。
そして、極歯3aのピッチ配列はU相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wにおいてこのピッチ間隔を一定に保っている。
また、図9(b)のように、正方向にピッチをずらして等価ピッチスキューを行った場合は、歯部1aの1ピッチτに対して、極歯3aの2ピッチ分をΔXだけ広くする。すなわち、歯部1aの1ピッチτに対して2つの極歯3a間のピッチを(τ+ΔX)とする。そして、極歯3aのピッチ配列はU相磁極3U、V相磁極3V及びW相磁極3Wにおいてこのピッチ間隔を一定に保っている。
【0012】
ここで、推力波形の歪みは、通常、第3高調波によるノイズ成分が基本波に重畳されて、その合成波形を歪ませることによって起こる。第3高調波は、半波長が電気角で60度であるので、60度位相をずらした別の第3高調波を重畳させれば、第3高調波が打ち消され推力波形の歪みを無くすことができる。
したがって、前述のピッチのずらし分ΔXは電気角60度相当分にすればよい。このようなスキューを行うことによって、歪波を取り除いて推力波形を正弦波に近付ける技術が従来より行われている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなスキューのうち斜めスキューの場合は、組立て時に一定角度を保って積層するため、特に、2次側スケール1のような長尺物の場合は、斜めに歯や溝の加工を施すことは極めて困難である。
また、1次側のスライダ3を斜めにスキューすると、コイルや永久磁石の形状も異形にしなければならない。特に、異形のボビンを用いてコイルの巻線作業を行うことは極めて難しい。
【0014】
また、一次側のスライダ3に永久磁石を備えた構造のものにおいては、一般に、極歯のピッチを正規のピッチからずらす等価ピッチスキューが行われるが、この場合は各相を順次励磁した場合、ステップ歩進の方向によって推力波形に位相ずれを生じる。
すなわち、正方向にU相、V相、W相と励磁してステップ歩進した場合と、逆方向にU’相、V’相、W’相と励磁してステップ歩進した場合とで位相ずれが生じてしまい、一定の周期で動作しないなどの不具合が起こる。
【0015】
すなわち、図9(b)のように正方向にピッチをずらして正方向スキューを行った場合は、スライダ3の極歯3aの1ピッチがΔX/2だけ広くなっているので、正方向にステップ歩進した場合はその分だけ位相が遅れるが、逆方向ステップ歩進した場合はその分だけ位相が進む。
すなわち、図11の正方向スキューしたときの各相推力波形の特性図で示すように、正方向にU相、V相、W相とステップ歩進した場合のU相の推力波形は、電気角180度で推力0を通過するが、逆方向にU’相、V’相、W’相とステップ歩進した場合のU’相の推力波形は、電気角は165度で推力0を通過している。すなわち、逆方向ステップ歩進したときは、正方向ステップ歩進したときより電気角15度位相が進んでいる。この位相ずれの関係は、V相とV’相、W相とW’相の位相ずれにおいても同様である。
【0016】
また、図9(a)のように負方向スキューを行った場合は、スライダ3の極歯3aのピッチがΔX/2だけ狭くなっているので、正方向ステップ歩進した場合はその分だけ位相が進むが、逆方向ステップ歩進した場合はその分だけ位相が遅れる。
すなわち、図12の負方向スキューの各相推力波形の特性図で示すように、正方向にU相、V相、W相とステップ歩進した場合のU相の推力波形は、電気角180度で推力0を通過しているが、逆方向にU’相、V’相、W’相とステップ歩進した場合のU’相の推力波形は、電気角は195度で推力0を通過している。
逆方向ステップ歩進したときは、正方向ステップ歩進したときより電気角15度位相が遅れている。この位相ずれの関係は、V相とV’相、W相と
W’相の位相ずれにおいても同様である。
【0017】
このように、正方向スキューと負方向スキューでは、正方向にU相、V相、W相とステップ歩進した場合と逆方向にU’相、V’相、W’相とステップ歩進した場合とにおいて、互いに逆方向に同じ値だけ位相ずれしてステップ歩進する。このため、FAのロボットの位置ずれやプリンタのキャリッジの位置ずれとなって表れ、精密な位置制御や印字精度などに不具合を生じるなどの問題がある。
【0018】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1次側スライダに等価ピッチスキュー構成しながら、何れの方向へステップしても位相ずれをおこさず、且つ推力波形に歪みのない三相パルスモータを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の三相パルスモータは、一次側磁極発生部の極歯のピッチ間隔を、正規のピッチ間隔より長くした正方向等価ピッチスキュースライダと、正規のピッチ間隔より短くした負方向等価ピッチスキュースライダとを組み合わせて、新たな一次側磁束発生部を構成したことを特徴とする。これによって、推力波形の歪みが除去されると共に、ステップ方向によって位相ずれが起こることもなくなる。
【0020】
すなわち、請求項1に係る三相パルスモータは、特定方向に沿って等ピッチ間隔Pで歯部が形成された磁性体材料からなる二次側スケールと、該二次側スケールの歯部が形成された方向へ移動自在に支持された一次側磁束発生部とからなり、前記一次側磁束発生部は、前記二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて対向するN個(Nは3の倍数)の突出磁極から構成される第1の磁極群と、前記二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて対向するN個(Nは3の倍数)の突出磁極から構成される第2の磁極群とを有し、 前記第1及び第2の磁極群の各々の前記突出磁極は、前記歯部が形成された方向に沿って配置された鉄心と、各々の前記鉄心に卷回されたコイルとを備え、前記コイルに電気角2π/3ラジアンずつ位相をずらして順次電圧を印加させることにより、前記各突出磁極と前記二次側スケールの各歯部との間に順次磁束を発生させ、前記一次側磁束発生部を前記二次側スケールに対して相対移動させる三相パルスモータにおいて、前記第1及び第2の磁極群の各々の前記突出磁極における、前記二次側スケールと対向する各端面には、前記歯部が形成された方向に沿って極歯と永久磁石とが交互に設けられ、前記永久磁石は、隣り合うもの同志の極性が互いに逆方向となるように配置され、前記第1の磁極群は、N個の突出磁極の各々の極歯のピッチ間隔を、一定間隔P/2より所定の変位寸法ΔXだけ長くした正方向等価ピッチスキュースライダであり、前記第2の磁極群は、N個の突出磁極の各々の極歯のピッチ間隔を、一定間隔P/2より所定の変位寸法ΔXだけ短くした負方向等価ピッチスキュースライダであることを特徴とする。
【0021】
請求項2に係る三相パルスモータは、請求項1記載の三相パルスモータにおいて、前記正方向等価ピッチスキュースライダと前記負方向等価ピッチスキュースライダは、前記二次側スケールの歯部が形成された方向に沿って連結されており、前記負方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極は、前記正方向等価ピッチスキュースライダの第Nの突出磁極からP/3ピッチずれた位置となることで前記正方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極と変位がゼロとなるように配置され、前記正方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極及び前記負方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極を基準としてそれぞれ同一順番目に配置された突出磁極同志には、同相の電圧がそれぞれのコイルに印加されることを特徴とする。
【0022】
請求項3に係る三相パルスモータは、請求項1記載の三相パルスモータにおいて、前記正方向等価ピッチスキュースライダと前記負方向等価ピッチスキュースライダは、それぞれ対応する突出磁極同志が、前記一次側磁束発生部が相対移動する方向と直交する方向に並列に連結されて構成され、連結された突出磁極には同一位相のコイルが共通に卷回されていることを特徴とする。また、請求項4に係る三相パルスモータは、請求項3記載の三相パルスモータにおいて、前記正方向等価ピッチスキュースライダまたは前記負方向等価ピッチスキュースライダの何れかは、前記一次側磁束発生部が相対移動する方向と直交する方向に2分割され、2分割されたスライダが、分割されないスライダの前記直交する方向の両側に並列に連結されていることを特徴とする。
【0023】
請求項5に係る三相パルスモータは、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の三相パルスモータにおいて、前記所定の変位寸法ΔXは、前記各極歯が前記各歯部に作用する推力波形の第3高調波を打ち消す変位寸法であることを特徴とする。また、請求項6に係る三相パルスモータは、請求項5記載の三相パルスモータにおいて、前記所定の変位寸法ΔXは推力波形を電気角度60度位相ずれさせる変位寸法であることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の三相パルスモータは、1次側スライダの各極歯のピッチを、正規のピッチに対して、長めにピッチをずらしたものと、短めにピッチをずらしたものとを組み合わせたことを特徴とする。すなわち、正方向等価ピッチスキューに構成したスライダと負方向等価ピッチスキューに構成したスライダとを組み合わせたことを特徴とする。これによって、スキューを設けたことによって第3次高調波を打ち消して推力波形を正弦波にすると共に、正方向スキューと負方向スキューによって位相ずれも打ち消すことができる。
【0025】
本発明の実施の形態の三相パルスモータの説明に当たっては、上述の、図9のスライダ3を一次側等価ピッチスキューした場合の構成図と、図11、図12のスキューした場合の推力波形図を用いながら、本発明の適用図面を用いて説明する。
【0026】
先ず、第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の三相リニアパルスモータにおけるスライダとスケールの構成図である。
また、図2はこの実施の形態のスライダを用いたときの推力波形特性図である。図1において、スケール11の上面にはピッチτの間隔で歯部11aが形成され、その上部には、空隙を有して、移動自在にスライダ13が載置されている。スライダ13は、正方向等価ピッチスキュー部13Pと負方向等価ピッチスキュー部13Nが直列に接続構成されている。
【0027】
正方向等価ピッチスキュー部13Pは、互いにτ/3ピッチずつ変位させて、U相磁極13U、V相磁極13V及びW相磁極13Wを備え、負方向等価ピッチスキュー部13Nも同様に、互いにτ/3ピッチずつ変位させて、U’相磁極13U’、V’相磁極13V’及びW’相磁極13W’を備えている。
また、それぞれの磁極には、多数の極歯13aと永久磁石17が交互に配置されている。尚、永久磁石17は隣り同志のものが反対の極性になるように配置されている。
【0028】
さらに、正方向等価ピッチスキュー部13Pは、図9(b)で説明したように、スケール11の上面に形成された歯部11aのピッチτに対して、極歯13aの2ピッチ分をΔXだけ広くしてある。
すなわち、歯部11aの1ピッチτに対して2つの極歯13a間のピッチを(τ+ΔX)にしてある。
そして、極歯13aのピッチ配列は、スライダ13に設けられたU相磁極13U、V相磁極13V及びW相磁極13Wにおいて、このピッチ間隔は一定に保たれている。
【0029】
また、負方向等価ピッチスキュー部13Nは、図9(a)で説明したように、スケール11の上面に形成された歯部11aのピッチτに対して、極歯13aの2ピッチ分をΔXだけ狭くしてある。
すなわち、歯部11aの1ピッチτに対して2つの極歯13a間のピッチを(τ−ΔX)としてある。そして、極歯13aのピッチ配列は、スライダ13に設けられたU’相磁極13U’、V’相磁極13
V’及びW’相磁極13W’において、このピッチ間隔を一定に保っている。
【0030】
さらに、U相磁極13Uに対してV相磁極13V及びW相磁極13Wはそれぞれτ/3ピッチずつ変位して配置されている。
また、U相磁極13Uの次に配置されるU’相磁極13U’は、τ/3ピッチずれた位置で変位がゼロになるように配置されている。そして、U’相磁極13U’に対して、V’相磁極13V’及びW’相磁極13W’はそれぞれτ/3ピッチずつ変位して配置されている。
【0031】
また、U相磁極13U、V相磁極13V及びW相磁極13Wにはそれぞれコイル(図示せず)が卷回され、それぞれのコイルは、電気角2π/3ずつ位相がずれて電圧が印加されるようになっている。
さらに、U’相磁極13U’、V’相磁極13V’及びW’相磁極13W’にもそれぞれコイル(図示せず)が卷回され、それぞれのコイルに、電気角2π/3ずつ位相がずれて電圧が印加されるようになっている。尚、U相磁極13UのコイルとU’相磁極13U’のコイルには同相の電圧が印加されるようになっている。
同様に、V相磁極13VとV’相磁極13V’のそれぞれのコイル、及びW相磁極13WとW’相磁極13W’のそれぞれのコイルも同相の電圧が印加されるようになっている。
【0032】
このように構成された第1の実施の形態のリニアパルスモータの動作について説明する。図2はこの実施の形態のリニアパルスモータの推力波形である。
すなわち、図1のスライダ13の図示しない各励磁コイルに所定の順序で電圧を印加すると、正方向等価ピッチスキュー部13Pによって、図11に示す正方向スキューの推力波形が各相に働き、負方向等価ピッチスキュー部13Nによって、図12に示す負方向スキューの推力波形が各相に働く。
前述のように、正方向スキューと負方向スキューでは、正方向ステップ歩進と逆方向ステップ歩進において、互いに位相のずれの方向が反対となり、且つ位相ずれの角度の絶対値は同じとなる。
【0033】
したがって、図1に示すスライダ13に働く推力は、図11の正方向スキューの推力と図12の負方向スキューの推力が合成され、図2に示すような合成推力波形となる。
すなわち、互いの位相ずれは相殺され合成推力は位相ずれがゼロとなる。図2の波形から明らかなように、例えば、U相が推力0を通過する電気角とU’相が推力0を通過する電気角は、何れも180度である。
【0034】
同様に、V相とV’相、W相とW’相においても位相ずれは生じていない。このようにして、正方向ステップ歩進と負方向ステップ歩進において、位相ずれの生じないリニアパルスモータを実現することができる。
尚、図2において、各推力最大値の大きさが2となっているのは、図11に示す正方向スキューの推力(最大値1)と図12に示す負方向スキューの推力(最大値1)とを加算したためである。
【0035】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態のスライダの構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
尚、この実施の形態で第1の実施の形態と重複する部分は説明を省略する。スライダ23は、正方向等価ピッチスキューを構成した正方向スキュースライダ23ー1と、負方向等価ピッチスキューを構成した負方向スキュースライダ33ー1とを幅方向に重ね合わせてある。
【0036】
すなわち、図3(a)のように、正方向に極歯23aのピッチをずらした(したがって、τ+ΔXピッチの)U相、V相及びW相が構成された正方向スキュースライダ23ー1と、負方向に極歯23aのピッチをずらした(したがって、τ−ΔXピッチの)U相、V相及びW相が構成されたスライダ23ー2を用意する。 そして、これらのスライダ23ー1とスライダ23ー2を、図3(b)に示すように、幅方向に重ね合わせて、それぞれ、重ね合わされたU相磁極、V相磁極及びW相磁極毎に該当する相のコイル25を巻く。
【0037】
これによって、U相、V相及びW相に電気角2π/3ずつ位相を隔てて励磁すると、正方向スキュースライダ23ー1によって、図11に示す正方向スキューの推力が働き、負方向スキュースライダ23ー2によって、図12に示す負方向スキューの推力が働く。この結果、図2に示すように、合成推力は正方向ステップと負方向ステップにおいて位相ずれを生じない。
【0038】
図4はこの実施の形態のスライダの斜視図である。同図に示すように、U相、V相、W相共に、例えば、(5P+1/3P)のピッチの磁極を構成したスライダと(5P−1/3P)のピッチの磁極を構成したスライダとを幅方向に重ね合わせる。これによって、正方向スキュースライダと負方向スキュースライダが構成される。このような一体構成のスライダによってステップ歩進させれば、位相ずれもなくなり、推力波形の歪みもなくなる。
【0039】
次に本発明の第3の実施の形態を説明する。図5は本発明の第3の実施の形態のスライダの構成図である。この実施の形態は、正方向スキュースライダ(または負方向スキュースライダ)を2分割したものである。
すなわち、スライダ33は、負方向スキュースライダ33ー2に対して、2分割した正方向スキュースライダ33−1aと33ー1bを幅方向に重ね合わせて、各相の磁極毎に所定のコイル35を巻く。この場合も、合成推力は図2のようになり正方向ステップと負方向ステップとで位相ずれは生じない。
【0040】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。
ここでは、正方向スキューしたスライダと負方向スキューしたスライダを長手方向または幅方向に重ね合わせて、推力の位相ずれを相殺したが、これ以外の如何なる組み合わせ方でも、推力の位相ずれが打ち消されるように、正方向スキュースライダと負方向スキュースライダを組み合わせることができれば本発明の範囲に入ることは云うまでもない。また、この実施の形態ではリニアパルスモータについて説明したが、ロータリパルスモータにおいても上述の構成が適用できることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の三相パルスモータによれば、推力波形に歪みがなく、且つステップ方向の違いによっても位相ずれが生じない。これによって三相パルスモータのマイクロステップ駆動や、サーボモータのサーボ駆動において、速度変動や回転変動がなくなり位置精度が改善される。したがって、例えば、産業用ロボットなどにおいて、極めて位置精度の高い制御を行うことができる。また、プリンタの印字制御においても、極めてきめ細かい印字を行うことができる。さらに、フィードバック制御のサーボリニアモータにおいても誘起電圧の位相ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態のリニアパルスモータにおけるスライダとスケールの構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態のスライダを用いたときの推力波形特性図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態のスライダの構成図である。
【図4】 図3のスライダの斜視図である。
【図5】 本発明の第3の実施の形態のスライダの構成図である。
【図6】 従来のリニアパルスモータにおけるスライダとスケールの構成図である。
【図7】 スライダ3の極歯3aを斜めスキューした一次側スキューの構成図である。
【図8】 スケール1の歯部1aを斜めスキューした二次側スキューの構成図である。
【図9】 スライダ3を一次側等価ピッチスキューした場合の構成図である。
【図10】 スライダ3を一次側等価ピッチスキューしない場合の構成図である。
【図11】 正方向スキューしたときの各相推力波形の特性図である。
【図12】 負方向スキューしたときの各相推力波形の特性図である。
【符号の説明】
1、11 スケール
1a、11a 歯部
3、13、23、33 スライダ
3a 、13a、23a 極歯
3U 13U U相磁極
3V、13V V相磁極
3W、13W W相磁極
5U U相コイル
5V V相コイル
5W W相コイル
7、17 永久磁石
13P 正方向等価ピッチスキュー
13N 負方向等価ピッチスキュー
23ー1、33−1a、33ー1b 正方向スキュースライダ
33ー1、33ー2 負方向スキュースライダ
25、35 コイル
Claims (6)
- 特定方向に沿って等ピッチ間隔Pで歯部が形成された磁性体材料からなる二次側スケールと、該二次側スケールの歯部が形成された方向へ移動自在に支持された一次側磁束発生部とからなり、
前記一次側磁束発生部は、前記二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて対向するN個(Nは3の倍数)の突出磁極から構成される第1の磁極群と、前記二次側スケールの歯部に対して一定の空隙を隔てて対向するN個(Nは3の倍数)の突出磁極から構成される第2の磁極群とを有し、
前記第1及び第2の磁極群の各々の前記突出磁極は、前記歯部が形成された方向に沿って配置された鉄心と、各々の前記鉄心に卷回されたコイルとを備え、
前記コイルに電気角2π/3ラジアンずつ位相をずらして順次電圧を印加させることにより、前記各突出磁極と前記二次側スケールの各歯部との間に順次磁束を発生させ、前記一次側磁束発生部を前記二次側スケールに対して相対移動させる三相パルスモータにおいて、
前記第1及び第2の磁極群の各々の前記突出磁極における、前記二次側スケールと対向する各端面には、前記歯部が形成された方向に沿って極歯と永久磁石とが交互に設けられ、
前記永久磁石は、隣り合うもの同志の極性が互いに逆方向となるように配置され、
前記第1の磁極群は、
N個の突出磁極の各々の極歯のピッチ間隔を、一定間隔P/2より所定の変位寸法ΔXだけ長くした正方向等価ピッチスキュースライダであり、
前記第2の磁極群は、
N個の突出磁極の各々の極歯のピッチ間隔を、一定間隔P/2より所定の変位寸法ΔXだけ短くした負方向等価ピッチスキュースライダであることを特徴とする三相パルスモータ。 - 前記正方向等価ピッチスキュースライダと前記負方向等価ピッチスキュースライダは、前記二次側スケールの歯部が形成された方向に沿って連結されており、
前記負方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極は、前記正方向等価ピッチスキュースライダの第Nの突出磁極からP/3ピッチずれた位置となることで前記正方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極と変位がゼロとなるように配置され、
前記正方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極及び前記負方向等価ピッチスキュースライダの第1の突出磁極を基準としてそれぞれ同一順番目に配置された突出磁極同志には、同相の電圧がそれぞれのコイルに印加されることを特徴とする請求項1記載の三相パルスモータ。 - 前記正方向等価ピッチスキュースライダと前記負方向等価ピッチスキュースライダは、それぞれ対応する突出磁極同志が、前記一次側磁束発生部が相対移動する方向と直交する方向に並列に連結されて構成され、
連結された突出磁極には同一位相のコイルが共通に卷回されていることを特徴とする請求項1記載の三相パルスモータ。 - 前記正方向等価ピッチスキュースライダまたは前記負方向等価ピッチスキュースライダの何れかは、前記一次側磁束発生部が相対移動する方向と直交する方向に2分割され、2分割されたスライダが、分割されないスライダの前記直交する方向の両側に並列に連結されていることを特徴とする請求項3記載の三相パルスモータ。
- 前記所定の変位寸法ΔXは、前記各極歯が前記各歯部に作用する推力波形の第3高調波を打ち消す変位寸法であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の三相パルスモータ。
- 前記所定の変位寸法ΔXは前記推力波形を電気角度60度位相ずれさせる変位寸法であることを特徴とする請求項5記載の三相パルスモータ。
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