JP2005151753A - リニアモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一定のスロット間隔で配列された複数の鉄心要素1を有する固定子10と、該鉄心要素の配列方向に移動可能な磁石3を有する可動子20とを備えた可動磁石型リニアモータにおいて、各スロット5間に単数または複数の擬似スロット6を形成し、概ね該擬似スロットを含めた見かけのスロット間隔だけ前記鉄心要素と前記磁石とを相対的にスキューさせたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明において、「見かけのスロット間隔」とは、スロット間隔を(擬似スロットの数+1)で除算した値である。「概ね見かけのスロット間隔」とは、擬似スロットを複数設けた場合には、見かけのスロット間隔および擬似スロット同士間の寸法ならびにこれらの間の寸法を意味する。なお、本発明においても、間隔、寸法、平行、直交方向等の用語が、通常の製作誤差の範囲内のもの等、通常の知識で均等の範囲にあると判断されるものを含むことは勿論である。
または、鉄心要素端面の進行方向に溝を複数筋有し、この鉄心要素の端面にある溝の位置は、見かけのスロットピッチの間隔よりわずかにずれた位置にあるものである。鉄心要素端面に溝を2筋有する場合、この2筋の溝の間隔は見かけのスロットピッチより長く、進行方向におけるスロット長さより溝長さが短いことが好ましい。
[第1の実施例]
図1は本発明の第1の実施例に係る可動磁石型リニアモータの構成を示す。
図1のリニアモータは、不図示のベース上に一定間隔で鉄心要素1が並列し、その鉄心要素1にコイル2を巻回して電機子鉄心を形成して、これらが一体に連結されてリニアモータの固定子10を形成している。その固定子10の上面と空隙を介して対面するように駆動軸方向に並べられた複数の磁石3からなる磁石列および磁石列の磁束を循環させるバックヨーク4が設けられ磁石列とバックヨークでリニアモータ可動子20を構成している。リニアモータ可動子は不図示のガイドでガイドされた不図示のステージに固定され、このステージを駆動軸方向に駆動するようになっている。コイルを有鉄心とすることで大推力を図っている。
一方、可動磁石は14極で構成されている。主に推力に寄与するのはこのうちの11極であり、後の3極はコイル切り替え時の受け渡しのために存在している。
固定子に一定間隔で並列する鉄心要素1には、可動子の磁石列に対面する端面に進行方向に対して直交するように溝6を入れる。このような構成にすることで、コギングの周期を小さくすることが本実施例の特徴のひとつである。本実施例では、一本の鉄心要素1の端面の中央に一筋の溝6が入っている。
また、比較として図4に鉄心要素端面に溝がない可動磁石型リニアモータの構成図(b)とコギング波形(a)を示す。溝がない場合コギング波形はスロットピッチを周期とする周期関数であり、溝がある場合コギング波形は概ね見かけのスロットピッチを周期とする周期関数となる。
図7の上面図はバックヨークを除去した状態を示している。可動子の磁石列を構成する各々の磁石が平行四辺形形状になっており、両端で見かけのスロットピッチ分だけずれるように構成されている。いわゆる磁石にスキューをつけているのであるが、このスキューが磁石の両端で見かけのスロットピッチ分だけずれるようになっている。これが本実施例の特徴のひとつである。ずれ量はこれより大きくても小さくてもコギングは増加する。可動磁石型リニアモータにおける磁石両端でのずれ量が見かけのスロットピッチと略一致しているときだけコギングは略ゼロになる。また磁石の幅は鉄心の幅と同じかそれよりもやや小さくなっている。これも本実施例の特徴である。
図1の可動子20の磁石3は図8のような短冊状の磁石の集まりで磁石ユニットを構成したものにおいて短冊の幅が十分小さいもので近似することができる。すると、各短冊状磁石系のコギング波形は磁石列にスキューがない場合のコギング波形と同じで位相だけがずれたものとなる。よって、可動子全体のコギング波形は磁石列にスキューがない場合のコギング波形を位相(見かけのスロットピッチを周期とする電気角における位相)を少しずつずらして合成したものとなる。図8では図1の磁石3を20個の短冊状磁石に分割して近似した場合を示している。
本実施例において、磁石列を両端で見かけのスロットピッチ分のスキューをつけた場合の鎖交磁束はどうなるか。やはり図8で想定した短冊状磁石系の合成で考えられる。1つの短冊状磁石による1つのコイルに対する鎖交磁束は図10の波形を1/20倍して位相をずらしたものである。本構成における1つのコイルに対する鎖交磁束は全ての短冊状磁石によるそのコイルに対する鎖交磁束の合成である。この考え方はコギングを考える場合と同じである。しかしコギング波形は見かけのスロットピッチを周期とする略周期関数であったのに対して、鎖交磁束波形は磁石周期を周期とする周期関数である。従って見かけのスロットピッチだけのずれ量は見かけのスロットピッチを基準とする電気角においては360度になるが、磁石周期を基準とする電気角では360度にはならない。この辺の事情が図11に示されている。図11はサイン波をずらして合成しているが、合成されるサイン波の位相差が周期の半分以下であることを示している。この事情により合成されたコギングはゼロになる。しかし、合成された鎖交磁束ひいては推力は減少するがゼロにならず大きな値にとどまることが出来る。
また、本実施例は11極12スロット見かけのスロット数24個の構成で示したが、本発明はいかなる極スロットの構成にも適用可能である。コギングをゼロにしたとき大きな推力を得るには見かけのスロットピッチと磁石周期の寸法差が大きいことが望ましい。
図13に第2の実施例に係るリニアモータの構成を示す。
第1の実施例との違いは、鉄心要素の形状と磁石列の形状配置だけでその他の構成や基本設計は同じである。
まず、固定子の鉄心要素の構成について説明する。
固定子10に一定間隔で並列する鉄心要素1には、可動子20の磁石列に対面する端面に進行方向に対して直交するように溝6を入れる。このような構成にすることで、コギングの周期を小さくすることが本実施例の特徴のひとつである。
本実施例では、一本の鉄心要素1の端面の中央に2筋の溝6が入っている。実際、端面に入れる溝の本数は何本でも良いが、溝の入れる位置は『隣り合うスロットと溝の間隔』と『隣り合う溝と溝の間隔』を概ね等しくなる位置にする。このとき、概ね等しい間隔で並ぶ複数のスロットと複数の溝のピッチを『見かけのスロットピッチ』と呼ぶことにする。鉄心要素端面に溝が入るスペースを設けるために、鉄心要素の進行方向の寸法はコイルが巻回される部分より溝が入る端面の部分のほうが長くなっている。
鉄心要素の端面に溝を入れることは、コギング波形の高調波成分を増やすことが目的ではない。コギング波形の周期を小さくすることが目的であり、コギング波形を周期の小さい略周期関数にすることで、本発明の効果を達成することができる。このことは、以下に述べる可動子の磁石列のスキューに関連する。
図16の上面図はバックヨークを除去した状態を示している。可動子の磁石列を構成する各々の磁石が平行四辺形形状になっており、両端で見かけのスロットピッチ分だけずれるように構成されている。いわゆる磁石にスキューをつけているのであるが、このスキューが磁石の両端で見かけのスロットピッチ分だけずれるようになっている。これが本実施例の特徴のひとつである。ずれ量はこれより大きくても小さくてもコギングは増加する。可動磁石型リニアモータにおける磁石両端でのずれ量が見かけのスロットピッチと略一致しているときだけコギングは略ゼロになる。また磁石の幅は鉄心の幅と同じかそれよりもやや小さくなっている。これも本実施例の特徴である。
本実施例において、磁石列を両端で見かけのスロットピッチ分のスキューをつけた場合の鎖交磁束はどうなるか。やはり図17で想定した短冊状磁石系の合成で考えられる。1すじの短冊状磁石による1つのコイルに対する鎖交磁束は図10の波形を1/20倍して位相をずらしたものである。本構成における1つのコイルに対する鎖交磁束は全ての短冊状磁石によるそのコイルに対する鎖交磁束の合成である。この考え方はコギングを考える場合と同じである。しかしコギング波形は概ね見かけのスロットピッチを周期とする周期関数であったのに対して、鎖交磁束波形は磁石周期を周期とする周期関数である。従って見かけのスロットピッチだけのずれ量は見かけのスロットピッチを基準とする電気角においては360度になるが、磁石周期を基準とする電気角では360度にはならない。この辺の事情が図18に示されている。図18はサイン波をずらして合成しているが合成されるサイン波の位相差が周期の半分以下であることを示している。この事情により合成されたコギングはゼロになるが合成された鎖交磁束ひいては推力は減少するがゼロにならず大きな値にとどまることが出来る。
また、第2実施例は11極12スロット見かけのスロット数36個の構成で示したが、本発明はいかなる極スロットの構成にも適用可能である。コギングをゼロにしたとき大きな推力を得るには見かけのスロットピッチと磁石周期の寸法差が大きいことが望ましい。
上述においては、擬似スロットとして溝を設けた例を示したが、擬似スロットは、スロット間で磁気抵抗が変化するような構造または材質のものであれば、溝以外のものでも良い。例えば、溝を設けた後に、アルミニウム等の反磁性体または非磁性体を埋め込んだ形状でも良い。
また、上述においては、見かけのスロット間隔だけスキューさせた例を示したが、スキュー量は適宜増減することができる。例えば、コギング低減効果と鎖交磁束の低下率との兼ね合いを図って実験的に決定すればよい。
上述においては、鉄心要素、すなわちスロットを可動子進行方向と直角方向に配置し、磁石をスキューさせた例を示したが、鉄心要素と磁石の双方または鉄心要素のみを前記直角方向に対してスキューさせてもよい。
2 コイル
3 可動子磁石
4 バックヨーク
5 スロット
6 溝
10 固定子
20 可動子
Claims (9)
- 一定のスロット間隔で配列された複数の鉄心要素を有する固定子と、該鉄心要素の配列方向に移動可能な磁石を有する可動子とを備えた可動磁石型リニアモータにおいて、
各スロット間に単数または複数の擬似スロットを設け、概ね該擬似スロットを含めた見かけのスロット間隔だけ前記鉄心要素と前記磁石とを相対的にスキューさせたことを特徴とする可動磁石型リニアモータ。 - 前記擬似スロットは、前記鉄心要素の前記磁石に対面する端面に持たせた前記配列方向の磁気抵抗の変化により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記擬似スロットは、前記鉄心要素の前記磁石に対面する端面に前記スロットと平行に設けられた溝であることを特徴とする請求項1に記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記移動方向において前記溝の前記移動方向における長さが前記スロットの前記移動方向における長さより短いことを特徴とする請求項3に記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記溝が複数形成されており、該溝の間隔は前記見かけのスロット間隔と異なることを特徴とする請求項3または4に記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記溝の間隔は前記見かけのスロット間隔より大きいことを特徴とする請求項5に記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記スロットおよび擬似スロットは、前記配列方向と直交方向に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記鉄心要素との対向面における前記磁石の極性反転の間隔と前記スロットの間隔との比が奇数対偶数の関係にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の可動磁石型リニアモータ。
- 前記磁石の極性反転の間隔が前記スロットの間隔より長いことを特徴とする請求項8に記載の可動磁石型リニアモータ。
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