JP4350734B2 - 画像形成装置及び画像形成方法、並びに、コンピュータプログラムおよび記憶媒体 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置およびその方法、並びに、コンピュータプログラムおよび記録媒体に関し、例えば、モノクロ画像の色調を調整する画像処理に関するものである。
カラー画像を出力可能な記録装置として、複数色のインクを搭載したインクジェット記録装置が挙げられる。インクジェット記録装置のように、減法混色で画像を形成する場合、シアン(以下C)、マゼンタ(以下M)およびイエロー(以下Y)の3色を、基本色として用いるのが一般である。このような色構成においては、C、MおよびYの色相表現が可能なばかりでなく、例えばMとYを重ね合わせることによって、レッド(以下R)を表現することが出来るのである。更に、重ね合わせる際の各インクの割合などを段階的に調整することで、ほぼ全ての色空間を表現することが可能となっている。この原理に基いたインクジェット記録技術の近年の発達は目覚しく、銀塩写真に匹敵するカラー画質を得られることは当たり前になってきている。
さらに近年のインクジェット記録装置においては、カラー画質だけではなく、モノクロ写真分野への技術展開も盛んになってきた。
モノクロ写真はカラー写真よりもさらに写真の芸術性を追求するプロやハイアマチュアのユーザーに特に求められ、インクジェットプリンタ記録装置でもモノクロ写真に対応した製品が発売され始めている。
モノクロ写真に求められる1つの特性はその色調である。モノクロ写真として好ましい色調がユーザーに求められており、それに関する発明がすでになされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、記録媒体に形成されるモノクロ画像の色が、CIE−L*a*b*空間のa*b*平面において、(a*,b*)=(0,−3)、(a*,b*)=(1,0)および(a*,b*)=(3,0)の3点で形成される三角形の辺または内部に位置するように色変換処理を施すことが記載されている。これにより、好ましいグレイの色調を表現することができる。
一方モノクロ写真に限らず、写真の芸術性を求めるユーザーからはさまざまな記録媒体に出力したいという要求も強い。記録媒体としては、写真出力として一般的な光沢紙の他に、光沢がやや抑えられた絹目調の「セミグロス」とか「半光沢紙」と呼ばれるものやマット紙と呼ばれる光沢の無いものがある。さらに、近年、ファインアート紙という、特に芸術写真やグラフィックアートに適した独特の風合いの記録媒体も広く使われ始めています。このファインアート紙にはパール仕上げ等の風合い上の表面処理、エンボス等の表面パターンや厚さ等さまざまなバリエーションがある。このように光沢性や風合いのバリエーションを好みで選択するのがユーザーの楽しみになっているが、「紙白」と呼ばれる未印刷の状態での記録媒体の色調もこのバリエーションの一つになっている。
この紙白の色調が異なる記録媒体に対して、画像の色調をどう調整するかは従来より課題になっており、この技術に関する発明もすでになされている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。特許文献2では、紙白が異なるものに色合わせする場合に、紙白周辺の色の変位量を、紙白からの距離に応じて低減する記載がある。特許文献3では、紙白が基準白色と異なる場合に、基準白色のXYZ値を紙白のXYZ値で除算した調整係数を用いてカラープロファイルを作成する記載がある。
特開2005−217985号公報 特開2000−13620号広報 特開2005−64841号広報
このように一方でモノクロ写真の記録をモノクロ写真として好ましい色調で出力したいという要望と、他方で紙白の色調が異なるさまざまな記録媒体にモノクロ写真を出力したいという要望を両立させたい場合に次のような課題が生じる。
すなわち、モノクロ写真を異なる記録媒体に出力したとき、中間調の色調を測色上合わせても、各記録媒体の紙白の色調の影響を受けるために、見た目に同じ色に見えず違和感がある。一方、紙白に合わせて色調を変えてしまうと、紙白の色調が異なる記録媒体間で色調が同じに見えないという課題である。
特許文献1は、特定の記録媒体上において、好ましいモノクロ画像の色調になるように色調を調整する発明であり、複数の紙白の色調が異なる記録媒体間でモノクロ画像の色調を調整するものではない。また、特許文献2,3には、モノクロモードに関する記載がなく、モノクロ画像を好ましい色調に調整するものではない。さらに、特許文献2,3には、紙白の色調が異なる記録媒体間で好ましいモノクロの色調に調整する記載もない。
本発明はこれら問題点を解決するためになされたものであり、モノクロ画像を記録する記録媒体の紙白がどのような色調であっても、記録媒体の紙白の影響を軽減して好ましいモノクロ画像を得ることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、各記録媒体に固有な色調を有する複数の記録媒体の中から画像を形成する記録媒体を選択する記録媒体選択手段と、前記画像をモノクロモードで出力するか否かを設定するモード設定手段と、前記モード設定手段でモノクロモードが設定された場合に、前記画像に対応したRGB信号を色材に対応する濃度信号に変換する信号変換手段と、前記色材に対応する濃度信号に従って、前記記録媒体選択手段で選択された記録媒体に画像を形成する形成手段とを有し、前記記録媒体に形成される画像の中間濃度における色調が、CIE−L*a*b*空間のa*b*平面においてa*=0.5になり、前記中間濃度におけるb*の値が、前記記録媒体の紙白のb*の値と、基準となる光沢系の記録媒体の紙白のb*の値とに基づき決定されるように、前記信号変換手段で用いる3次元の色変換処理ルックアップテーブルを制御することを特徴とする。
本発明によれば、モノクロモードで画像を形成する記録媒体がどのような固有な色調を有しても、記録媒体の固有な色調の影響を軽減して好ましいモノクロ画像を得ることができる。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に適用可能なインクジェット記録装置の内部構成図である。記録媒体1は紙或いはプラスチックシートよりなる記録媒体である。記録前、記録媒体1は、不図示のカセット等に複数枚積層されており、記録が開始されると不図示の給紙ローラによって、記録装置本体内に1枚ずつ供給される。第1搬送ローラ対3、第2搬送ローラ対4は、所定の間隔を隔てて図の様に配置されている。第1搬送ローラ対3および第2搬送ローラ対4は、夫々個々のステッピングモータ(図示せず)によって駆動され、これらローラ対に挟持された記録媒体1を矢印A方向に所定量ずつ搬送する。
インクタンク5a〜5eは、インクジェット記録ヘッド11(不図示)にインクを供給するためのインクタンクであり、5aは黒(以下K)、5bはグレイ(以下Gr)、5cはC、5dはM、及び5eはYのインクをそれぞれ収容している。記録ヘッド11よりインクを吐出する吐出口面は、第1搬送ローラ対3および第2搬送ローラ対4により挟持されて、ある程度の張力を持った記録媒体1に対向して配置されている。全5色のインクを吐出する記録ヘッド11は、各色で独立に構成されていても良いし、一体的に構成されていても良い。
記録ヘッド11およびインクタンク5は、キャリッジ6に着脱可能に搭載可能となっている。10はキャリッジモータであり、2つのプーリ8a、8bおよびベルト7を介することにより、キャリッジ6を矢印B方向に往復移動させることが可能である。この際、キャリッジ6は、ガイドシャフト9によってその走査方向が案内指示されている。
回復装置2は、記録ヘッド11のメンテナンス処理を行うための回復装置である。記録ヘッド11は必要に応じて回復装置2が配備されたホームポジションに移動し、回復装置2は記録ヘッド11の吐出口に生じたインク詰まりを除去するなどの回復処理を行う。
記録を行う際、キャリッジ6は矢印B方向へ所定の速度で移動し、記録ヘッド11からは画像信号に応じて適切なタイミングでインク滴が吐出される。記録ヘッド11による1回の記録走査が終了すると、搬送ローラ対3および4は記録媒体1を所定量だけ搬送する。このような記録走査と記録媒体の搬送とを交互に行うことにより、記録媒体1には順次画像が形成されていく。
図2は、記録ヘッド11の吐出口の配列状態を説明するための模式図である。各色の吐出口列はキャリッジの走査方向である矢印Bに対し、インクタンク5と同様の順番で図の様に配列されている。各色の吐出口は、記録媒体搬送方向である矢印Aに対し、約40μmのピッチで512個ずつ配列されている。よって、記録ヘッド11が1回の記録走査を行うことにより、記録媒体には600dpi(ドット/インチ;参考値)の解像度を有する画像が形成される。
図3は、本実施形態で適用する画像処理システムを説明するためのブロック図である。ホストコンピュータ101には、CPU102、メモリ103、外部記憶部104、入カ部105、CRT108、およびインターフェイス106などが備えられている。
CPU102は、外部記憶部104に格納されたプログラムを実行することにより、後述する様々な画像データの変換処理や、記録に係る処理全般を行う。メモリ103は、変換処理を行う際のワークエリアとして、また、画像データの一時的な記憶領域として用いられる。なお、画像データの変換処理などを実行するためのプログラムは、不図示の外部装置などからホストコンピュータ101に供給される形態であっても良い。ユーザーはCRT108を確認しながら、入力部105を用いて各種コマンドを入力する。
ホストコンピュータ101は、インターフェイス106を介してインクジェット記録装置107と接続されており、CPU102は、変換処理を施した画像データをインクジェット記録装置107に送信して記録を実行させる。
図4は、本実施形態のCPU102が行う、画像データの変換処理の工程を説明するためのブロック図である。本実施形態では、レッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)の輝度信号で表される8ビット(256階調)の画像データを、最終的にはインクジェット記録装置107で記録可能な、C、M、Y、K、およびGrの1ビットデータにまで変換する。
各色8ビットで構成される輝度信号RGBは、まず色変換処理部201に入力され、C、M、Y、K、及びGrの濃度信号に変換される。ここでは、3次元の色変換処理ルックアップテーブル(LUT)が利用されている。すなわち、CPU102は、ルックアップテーブルを参照することにより、入力されたRGB信号値の組み合わせに対応した、C、M、Y、K及びGrで表現される濃度信号値を求める。但し、ルックアップテーブルには、特定且つ離散的なRGBデータに対する濃度データしか保持されておらず、各色256段階で表現されるRGBの全ての組み合わせに、そのまま対応可能なわけではない。本実施形態において、保持されていない領域の入力データに対しては、保持している複数のデータを用いて、補間処理で求めることとする。ここで行われる補間処理方法は公知の技術であるので、詳細な説明は省略する。色変換処理部201で出力される濃度信号値は、入力値と同様に8bitで表現され、256段階の階調値を有する濃度データである。
次に、色変換処理部201において色変換処理された画像データは、出力γ補正部202において変換処理が行われる。出力γ補正部202では、最終的に記録媒体で表現される光学濃度が、入力される濃度信号に対し線形性を保つように、インク色ごとに補正をかける。ここでは各色独立に用意された1次元のルックアップテーブルが参照され、出力γ補正部202からの出力信号は、入力値と同様に8bitの濃度データとなっている。
出力γ補正部202から出力された8bitの濃度データは、量子化処理部203において量子化処理が施される。本実施形態で適用するインクジェット記録装置において、記録ヘッドから吐出されるインク滴は3ngである。よって、記録媒体の各記録画素では、使用されるインク種に応じて、それぞれのインク滴を記録するか否かの2段階で濃度が表現される。複数の記録画素が集まったある程度の広さを持つ領域では、インク滴が記録された記録画素の数によってマクロ的に濃度が表現される。このような濃度表現方法を一般に面積階調法と呼ぶが、面積階調法を適用する記録装置においては、本実施形態の様に、多値データを2値データに変換するための量子化処理が必要になってくる。量子化処理の方法にはいくつかあるが、公知の誤差拡散法やディザ法などを適用することができる。量子化処理部203で量子化された各色1bitの画像データは、インクジェット記録装置に転送される。
以上説明した色変換処理部201、出力γ補正部202および量子化処理部203における最適な変換方法は、記録媒体の種類や記録する画像の種類等によって異なる。特に、色変換処理部201と出力γ補正部202で用いられるルックアップテーブルは、記録媒体の種類ごとに用意されているのが一般となっている。
図5は、記録モードを設定する際に、CRT108に表示される画面の例を示したものである。一般的なインクジェット記録装置では、複数種類の記録媒体に記録が可能であり、それぞれの記録媒体に応じて適切な記録方法が用意されている。記録方法の切り替えは、記録モードを設定することで行われるが、この記録モードの設定は、ユーザーが図5に示すような画面を確認しながら、いくつかの条件を入力して行われることが多い。本実施形態において、ユーザーは、オートパレット81で、どのような種類の画像を記録するのか(文書か、写真か等)を設定する。また、用紙の種類82で、どの種類の記録媒体に記録を行うかを設定する。更に、グレースケール印刷83のチェックボックスをチェックすることにより、所望の画像をグレースケールで記録する、すなわちモノクロモードの設定を行なう。
ここでモノクロモードに設定された場合は、色変換処理部201において入力信号値としてRGBで表現されるカラー情報を放棄する。すなわち、RGBの画像信号をグレートーン(R=G=B)の輝度信号に変換する。変換方法としては、求める無彩色の輝度信号値をLとすると、例えば、
L=0.3R+0.6G+0.1B (式1)
という変換式を用い、RGBを全てLに置き換えることによって行うことが出来る。
またここでモノクロモードを設定した場合は色変換処理部201のルックアップテーブルが、カラーモードとは別のものが設定され、モノクロ写真として好ましい色調のグレイ画像が出力される。
図6は、モノクロモードにおける色変換処理部201のルックアップテーブルの例である。図6では、横軸を白から黒すなわち8ビットの入力輝度信号値として、縦軸を8ビットの出力インク信号値とする。これで分かるように全階調にわたって無彩色であるGrとKのインクが主体的に使われており、同時に少量のC、M、Yインクのうち主に2色のインク(ここではCとM)が使われている。モノクロ写真においては、色調のわずかな変化、いわゆる「色転び」が非常に嫌われる。よって、色転びを低減させるために、上記のインク使用方法を適用し、色調を変化させる要因になるC、M、Yなどの色インクの使用を最小限に抑えている。これらの色インクの使用量(比率)を変えることにより、モノクロ出力画像の色調を制御することができる。
ここでモノクロ出力画像の色調を好ましく保つにはどのような色調にすべきかを述べる。図7はモノクロ銀塩写真の各種印画紙の中間濃度(CIE−L*a*b*空間のL*=50付近)における色調をCIE−L*a*b*空間のa*b*平面上でプロットしたものである。図7から、モノクロ銀塩写真の各種印画紙の中間濃度における色調は一部の例外はあるものの、ほとんどがa*=0とa*=1の間にある。ここで、L*=50付近の中間濃度の色調をプロットしたのは、白から黒へのモノクロの全階調の中でL*=50付近が視覚への印象が強い濃度のためである。L*=50付近とは、具体的には、L*が40以上かつ60以下の範囲である。発明者等はこのデータを踏まえモノクロ写真の作品が多いプロカメラマンへのパネルテストを行い、このモノクロ銀塩印画紙の色調に一致する色調がモノクロ写真として好まれることを見出した。従ってモノクロ写真の色調としてa*=0とa*=1の中心、すなわちa*=0.5に制御すると、好ましいモノクロ写真画像が得られるということが言える。また、紙白の色調の異なる記録媒体にモノクロ写真画像を印刷する場合、印刷したモノクロ写真画像の測定値がa*=0.5になるように色変換処理部201のルックアップテーブルを制御すると、好ましいモノクロ写真画像が得られるということを確認した。
またb*に関しては、上記のプロカメラマンへのパネルテストの結果では、前述のモノクロ銀塩印画紙の色調がばらついているのと同様、各プロカメラマンの好みに応じてばらついた。すなわちb*の値としてプラス方向の暖色系、いわゆる温黒調を好む人、逆にb*の値としてマイナス方向の寒色系、いわゆる冷黒調を好む人、その中間でニュートラルないわゆる純黒調を好む人とさまざまであった。ここで、暖色とは、赤、黄色、オレンジなどの暖かい印象を受ける色で、寒色とは、青などの寒い印象を受ける色である。ただこの純黒調の色調としては光沢系の記録メディアに対してはb*=−1.5付近の支持が高かった。
ここで基準となる光沢系の記録媒体M0で上記のようにb*=−1.5等の所定の値に制御したときに他の紙白の色調を持つ記録媒体に対してどのようにb*の値を設定すべきかを述べる。基準となる記録媒体M0の紙白の色調のb*の値をbM0とし、上記のプロカメラマンの好みに従ってM0のグレイ色調のb*の値をb0に設定したとする。記録媒体M0は、プロフォトペーパーであり、紙白は(a*,b*)=(0.0,−4.5)であり、プロフォトペーパーに記録する中間濃度は、(a*,b*)=(0.5,−1.5)が好まれている。
ここで紙白の色調のb*がbMnである別の記録媒体Mnのグレイ色調のb*の値bnは
bn=b0+B(bMn−bM0) (式2)
と設定する。この式の意味としてはB=0であれば常にbn=b0、すなわち紙白に関わらずb*の値が変わらないことになる。またB=1であれば常に紙白の変動分と同じだけグレイ色調が変動するということになる。従ってBは0と1の間の値を取るべきということになるが、その間でどこが最適かについて発明者等はさらに実際に印刷した画像で検討を行った。その結果、Bの値が0.1乃至0.5、望ましくはBの値が略0.3であれば異なる紙白の色調を持つ記録媒体間の色調の違和感が最小になることを見出した。
図8はこれまで説明した方法を使って、印刷後のグレイ色調の測定値がa*=0.5となるように、色変換処理部201のルックアップテーブルを制御して再現された色調の図である。式2の処理は、色変換処理部201のルックアップテーブルに組み込まれている。この図はCIE−L*a*b*空間のa*b*平面を示しており、異なる5種の記録媒体M0、M1、M2、M3、M4において、各々紙白の色調と、モノクロ画像として形成された画像のグレイ色調中心をプロットしたものである。各記録媒体の色度点の座標値を図9に示す。ここでいう「グレイ色調中心」とは、特に視覚への印象が強い中間調領域の色調(CIE−L*a*b*空間のL*=50付近)を意味する。
これら図8と図9から分かるように、さまざまな色調の紙白の各記録媒体に対し、CIE−L*a*b*空間上のa*b*平面において、グレイの色調中心はa*=0.5の一定値になるように、色変換処理部201のルックアップテーブルが制御されている。
なお、各記録媒体に中間濃度を記録し、中間濃度を測色したa*b*値が図9に示すグレイ色調中心のa*b*値になるように、記録媒体毎に予めメモリにルックアップテーブルを格納しておいてもよい。その場合、図5のUIで選択された用紙の種類に応じて、グレイ色調の表現に最適なルックアップテーブルが色変換処理部201において選択される。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、紙白の色調が異なるいかなる記録媒体にモノクロ画像を形成しても、記録媒体間でモノクロ色調の違和感をなくすことができ、好ましいモノクロの色調を得ることができる。その結果、モノクロ写真の記録をモノクロ写真として好ましい色調で出力したいという要望と、他方で紙白の色調が異なるさまざまな記録媒体にモノクロ写真を出力したいという要望を両立させることができる。
(変形例1)
また、本実施形態では有彩色材としてC,M,Yを例示したが、実施にあたってはこの限りではなく、例えばライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)といった有彩色材や、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)といった特色系有彩色材を用いても良い。いずれにしても、有彩色材であり、且つ無彩色材に対して調色が可能であれば本実施形態に包含されるものとする。
(変形例2)
また、本実施形態では、第1および第2のモノクロモードそれぞれで使用される無彩色インクとして、K及びGrの組み合わせを適用する場合について説明した。しかし、無彩色インクの種類及び組み合わせはこの実施例に限定されるものではなく、Kのみ1色であっても良いし、異なる濃度のGrインクを2種類以上用いても良い。
(変形例3)
本実施形態では、調色用の有彩色材が全濃度領域にわたって記録される場合について例示したが、実施にあたってはこの限りではない。即ち、調色用の有彩色材が記録されるのは、例えば低濃度領域に限られ、高濃度領域では記録されないといった場合も考えられる。さらに低濃度領域ではドットの小さな有彩色材やLC、LMといったような明るい色材を調色に用い、高濃度領域では同系色の大ドットや濃インクを使用するというように、濃度に応じて使用するインクを使い分けても構わない。
(変形例4)
以上の実施形態においては図1で示した構成のインクジェット記録システムを用いて説明を加えてきたが本発明はこのような構成に限定されるものではない。電子写真記録システム、昇華型記録システム等の各種カラー記録システムであれば適用可能である。
(変形例5)
図3に示される各構成は、ホストコンピュータとインクジェット記録装置のどちらに備わっていても良いし、全てが一体的に構成された画像形成システムであってもよい。
また、上記では、図4で説明した変換処理の全てをホストコンピュータ107のCPU102が行う方法で説明を加えてきたが、例えば処理の一部または全部がインクジェット記録装置107にて行われる構成であっても構わない。また、図5で説明した記録モードの入力や設定が、インクジェット記録装置にて行われる構成であってもよい。
更に、図5で説明した記録モード設定のための画面も、記載した内容に限定されるわけではない。図では、グレースケール印刷を選択するためのチェックボックス83が用意されていたが、例えば、ユーザー自身が画面上で出力画像の色相および彩度を設定できる構成とし、所定の色相および彩度が設定された場合に、グレースケールモードが設定されたと判断するものであってもよい。
[他の実施形態]
本発明の目的は、上記実施形態の機能を実現するソフトウェアを記録した記憶媒体(記録媒体)をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が前記ソフトウェアを実行することでも達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施形態の機能を実現することになり、そのソフトウェアを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。
また、前記ソフトウェアの実行により上記機能が実現されるだけでなく、そのソフトウェアの指示により、コンピュータ上で稼働するオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
また、前記ソフトウェアがコンピュータに接続された機能拡張カードやユニットのメモリに書き込まれ、そのソフトウェアの指示により、前記カードやユニットのCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するソフトウェアが格納される。
本実施形態におけるインクジェット記録装置の内部構成図である。 インクジェット記録装置の記録ヘッドの吐出口の配列状態を説明するための模式図である。 本実施形態における画像処理システムを説明するためのブロック図である。 画像データの変換処理の工程を説明するためのブロック図である。 記録モードを設定する際に、CRTに表示される画面の例である。 本実施形態における色変換処理のルックアップテーブルの例のグラフの例である。 モノクロ銀塩写真の各種印画紙の中間濃度における色調を示す図である。 本実施形態における各種記録媒体の紙白の色調と、グレイ色調として設定すべき色調を示す図である。 各記録媒体のa*b*平面における色度点の座標値
符号の説明
1 記録媒体
2 回復装置
3 第1搬送ローラ対
4 第2搬送ローラ対
5 インクタンク
6 キャリッジ
7 ベルト
8 プーリ
9 ガイドシャフト
10 キャリッジモータ
81 オートパレット
82 用紙の種類
83 グレースケール印刷チェックボックス
101 ホストコンピュータ
102 CPU
103 メモリ
104 外部記憶部
105 入力部
106 インターフェイス
107 インクジェット記録装置

Claims (16)

  1. 各記録媒体に固有な色調を有する複数の記録媒体の中から画像を形成する記録媒体を選択する記録媒体選択手段と、
    前記画像をモノクロモードで出力するか否かを設定するモード設定手段と、
    前記モード設定手段でモノクロモードが設定された場合に、前記画像に対応したRGB信号を色材に対応する濃度信号に変換する信号変換手段と、
    前記色材に対応する濃度信号に従って、前記記録媒体選択手段で選択された記録媒体に画像を形成する形成手段とを有し、
    前記記録媒体に形成される画像の中間濃度における色調が、CIE−L*a*b*空間のa*b*平面においてa*=0.5になり、前記中間濃度におけるb*の値が、前記記録媒体の紙白のb*の値と、基準となる光沢系の記憶媒体の紙白のb*の値とに基づき決定されるように、前記信号変換手段で用いる3次元の色変換処理ルックアップテーブルを制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記信号変換手段は、前記3次元の色変換処理ルックアップテーブルを用いて、前記画像に対応したRGB信号を色材に対応する濃度信号に変換することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記記録媒体に形成される画像の中間濃度が、CIE−L*a*b*空間のa*b*平面においてb*=b0+B(bMn−bM0) (B,b0は定数、bM0は基準となる光沢系の記録媒体の紙白のb*の値、bMnは選択した記録媒体の紙白のb*の値)にあるように、前記信号変換手段で用いる3次元の色変換処理ルックアップテーブルを制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記定数Bは、0.1乃至0.5であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記定数Bは、0.3であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  6. 前記定数b0は、−1.5であることを特徴とする請求項3乃至5記載の画像形成装置。
  7. 前記中間濃度は、前記CIE−L*a*b*空間のL*が40以上かつ60以下であることを特徴とする請求項1乃至6記載の画像形成装置。
  8. 各記録媒体に固有な色調を有する複数の記録媒体の中から画像を形成する記録媒体を選択する記録媒体選択ステップと、
    前記画像をモノクロモードで出力するか否かを設定するモード設定ステップと、
    前記モード設定ステップでモノクロモードが設定された場合に、前記画像に対応したRGB信号を色材に対応する濃度信号に変換する信号変換ステップと、
    前記色材に対応する濃度信号に従って、前記記録媒体選択ステップで選択された記録媒体に画像を形成する形成ステップとを有し、
    前記記録媒体に形成される画像の中間濃度における色調が、CIE−L*a*b*空間のa*b*平面においてa*=0.5になり、前記中間濃度におけるb*の値が、前記記録媒体の紙白のb*の値と、基準となる光沢系の記録媒体の紙白のb*の値とに基づき決定されるように、前記信号変換ステップで用いる3次元の色変換処理ルックアップテーブルを制御することを特徴とする画像形成方法。
  9. 前記信号変換ステップは、前記3次元の色変換処理ルックアップテーブルを用いて、前記画像に対応したRGB信号を色材に対応する濃度信号に変換することを特徴とする請求項8記載の画像形成方法。
  10. 前記記録媒体に形成される画像の中間濃度が、CIE−L*a*b*空間のa*b*平面においてb*=b0+B(bMn−bM0) (B,b0は定数、bM0は基準となる光沢系の記録媒体の紙白のb*の値、bMnは選択した記録媒体の紙白のb*の値)にあるように、前記信号変換ステップで用いる3次元の色変換処理ルックアップテーブルを制御することを特徴とする請求項8記載の画像形成方法。
  11. 前記定数Bは、0.1乃至0.5であることを特徴とする請求項10記載の画像形成方法。
  12. 前記定数Bは、0.3であることを特徴とする請求項10記載の画像形成方法。
  13. 前記定数b0は、−1.5であることを特徴とする請求項10乃至12記載の画像形成方法。
  14. 前記中間濃度は、前記CIE−L*a*b*空間のL*が40以上かつ60以下であることを特徴とする請求項8乃至13記載の画像形成方法。
  15. 請求項11乃至14に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  16. 請求項15に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
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