JP4350422B2 - 免震構造における原点復帰装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、免震装置を設置した免震構造において、地震作用等により被支持体側と支持体側との位置関係が免震装置を挟んで変動してしまった場合に、元の位置関係に復帰させるための免震構造における原点復帰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
免震装置を設置した免震建造物が地震作用を受けると、免震装置を挟んで被支持体側である躯体側と支持体側である地盤側との位置関係が変動することはいうまでもない。この躯体側と地盤側との位置関係の変動が地震の終息後にも残存する場合には、種々の支障があるため、元の位置関係に復帰させる必要がある。この躯体側と地盤側との位置関係を元の位置関係に復帰させるための原点復帰装置として、躯体側又は地盤側のいずれか一方に円錐状凹部を備えた受け部材を設置するとともに、他方の躯体側又は地盤側に前記円錐状凹部に係合可能な尖り部を備えたコーン状部材を設置し、それらの円錐状凹部と尖り部との係合によって原点復帰を実施するものが開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この従来技術の場合には、地震の終息後にジャッキを用いてコーン状部材又は受け部材を上昇させて円錐状凹部と尖り部の傾斜面を係合させることによって、躯体側に対する原点復帰力を発生させるという手法を採用しているため、原点復帰に必要な水平方向の変位を得るためには大きな円錐面が必要となり、装置が大型化しやすいとともに、ジャッキアップにより躯体側に不要な押上げ力が作用するという技術的問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−38764号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決するために発明したもので、被支持体側と支持体側との位置関係を原点復帰させる際に、従来技術のように被支持体側に対する不要な押上げ力を伴うことなく、復帰力を原点へ向けてより効果的に付加し得るように改良した原点復帰装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1の発明では、被支持体側又は支持体側のいずれか一方に少なくとも水平方向に対して固定された係合軸を設けるとともに、他方の被支持体側又は支持体側に前記係合軸に係合可能な誘導面を備えた誘導部材を回転可能に設け、前記誘導面は前記誘導部材の回転中心から前記係合軸の略半径分離間した適宜の位置から徐々に前記回転中心からの距離を拡大するように形成するという技術手段を採用した。因みに、前記誘導面としては曲面が望ましいが、係合軸との間の誘導機能に支障がなければ、折れ線状の多角面によって形成されたものでもよい。本発明では、前記誘導部材に形成した誘導面を前記係合軸に係合させた上、更に前記誘導部材を手動又は適宜の駆動手段により回転すれば、係合軸が前記誘導面に沿って誘導部材の回転中心側へ徐々に移動して、被支持体側と支持体側との相対的な位置関係を原点の位置関係に復帰する。なお、前記誘導面は、誘導部材上に付設した凸状部材の内側面や、誘導部材の上面より低く形成した凹状部の内側面により形成するようにしてもよいし、湾曲状部材を用いてその内側面により誘導面を形成するようにしてもよい(請求項2)。また、前記誘導面は、上方からみて一周に満たないものでもよいし、一周以上の渦巻状に形成したものでもよい(請求項3)。後者の場合には、前記湾曲状部材を用いて渦巻状に形成してもよいし、誘導部材に形成する誘導面の位置を高さ方向に徐々にずらすことにより渦巻状に形成してもよい(請求項4)。そして、前記誘導面を一周以上の渦巻状に形成すれば、前記係合軸が当該誘導面と接触して誘導部材の回転中心部まで誘導されて原点に復帰するまでの経路を長く設定できるので、より小さな力により被支持体側と支持体側とを相対的に移動することが可能になる。
【0006】
また、請求項5の発明では、被支持体側又は支持体側のいずれか一方に少なくとも水平方向に対して固定された円筒部材を設けるとともに、他方の被支持体側又は支持体側に前記円筒部材の内周面に係合可能な誘導面を備えた誘導部材を回転可能に設け、前記誘導面は適宜の位置から徐々に前記誘導部材の回転中心からの距離を拡大し、その回転中心から最も離れた部分の距離が前記円筒部材の内周面の半径と略等しくなるように形成するという技術手段を採用した。本発明の場合には、前記誘導部材を前記筒状部材の内周円内に位置させて誘導部材に形成された誘導面を筒状部材の内周面に係合させた上、更に前記誘導部材を手動又は適宜の駆動手段により回転すれば、円筒部材の中心が誘導部材の回転中心に一致する側へ徐々に移動して、被支持体側と支持体側との相対的な位置関係を原点の位置関係に復帰する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る原点復帰装置は、戸建て住宅用の免震構造に好適であるが、これに限らず各種の建物の免震構造に対して広く適用することが可能である。また、本発明に係る原点復帰装置は、支持体側である地盤側に免震装置を挟んで被支持体としての躯体側を構築した免震建造物自体だけでなく、例えばコンピュータ室のように既存あるいは新設の建造物の一室の床部を免震装置を挟んで支持することにより室内のハードウェア機器等を保護する免震構造の場合や、室内の美術品等の展示物を保護するため、既存あるいは新設の建造物の内部に設置する展示物支持用の構造物を免震装置を挟んで設置することにより免震構造とした場合などにも広く適用することが可能である。すなわち、要は、被支持体側が免震装置を挟んで支持体側に支持された免震構造のものであれば、当該被支持体側の具体的構造や支持体側の具体的構造に関わらず、その原点復帰装置として広く適用することが可能である。
【0008】
前記被支持体側又は支持体側のいずれか一方に設ける係合軸は、少なくとも水平方向に対して固定された状態に設置すればよい。係合軸を以下の実施例のように昇降可能に設置して、通常時は係合軸を引込めた退避状態に保持し、原点復帰作業時に突出させて前記誘導部材に係合させるように構成してもよいし、誘導部材側を上下可能に構成して、係合軸側は垂直方向に対しても固定した状態に設置するようにしてもよい。また、前記誘導部材の回転駆動に関しては、以下の実施例のように手動にて回転駆動するように構成してもよいし、電動モータ等の適宜の駆動手段を用いて回転駆動するように構成してもよい。誘導部材に形成する誘導面の具体的形状に関しては、要は前記係合軸を誘導部材の回転によってその回転中心に誘導し得るものであれば、以下の実施例で例示したように滑らかな曲面からなるものだけでなく、折れ線状の多角面からなるものでもよく、また円弧状や渦巻状など適宜の形状の採用が可能である。前記誘導面に関する具体的な形成方法に関しては、前述のように誘導部材上に付設した凸状部材の内側面や、誘導部材の上面より低く形成した凹状部の内側面により形成するようにしてもよいし、湾曲状部材を用いてその内側面により形成するようにしてもよい。また、その誘導面は、誘導部材の回転中心の回りを一周以上形成されたものでも、一周に満たないものでもよい。さらに、前記係合軸と誘導部材との組合わせに替えて、被支持体側又は支持体側のいずれか一方に設置した少なくとも水平方向に対して固定された円筒部材と、他方の被支持体側又は支持体側に回転可能に設置され、前記円筒部材の内周面に係合可能な誘導面を備えた誘導部材との組合わせから原点復帰装置を構成することも可能である。
【0009】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例に関して説明する。図1〜図5は本発明に係る第1実施例を示したもので、それぞれ図1は地震前の通常状態を示した構成説明図、図2は地震後の状態を示した状態説明図、図3は原点復帰作業の開始直後の状態を示した状態説明図、図4は原点復帰作業の途中の状態を示した状態説明図、図5は原点復帰作業の終了状態を示した状態説明図を示したものである。なお、各図では、中央部に本実施例に係る原点復帰装置の要部を縦に断面して示し、その上部に係合軸と誘導部材との相対的な位置関係を示した。図中、1は建物の躯体側等からなる被支持体側、2は基礎コンクリートなどの地盤側等からなる支持体側を示す。これらの被支持体側1と支持体側2との間には、図示しない積層ゴム支承型などの適宜の免震装置が設置されている。図示のように、被支持体側1には係合軸3を軸受4を介して昇降可能に設置した。係合軸3の途中には位置決め用の係止手段5を設置し、係合軸3を上方の退避位置あるいは下方の誘導部材との係合位置を選択し得るように構成した。なお、図1に示したように、地震前の通常状態においては、係合軸3は上方の退避位置にセットされる。
【0010】
前記支持体側2には、回転支持機構6を介して前記係合軸3に係合する誘導面として曲面7を備えた誘導部材8を回転可能に設置した。すなわち、本実施例における誘導面としては、図示のように始端部を誘導部材8の回転中心から係合軸3の略半径分離間した位置に設定するとともに、そこから徐々に前記回転中心からの距離を拡大するように形成した略円弧状の曲面7を採用した。回転支持機構6は、本実施例では、支持体側2を構成する基礎コンクリート上に下部円板状部材9を固定し、その下部円板状部材9の上部にスラスト型ベアリング等の適宜の回転支承手段10を介して上部円板状部材11を回転可能に設置することにより構成した。上部円板状部材11は、その中心部に形成した挿通孔に軸ボルト12を回転可能な状態に挿通し、下部円板状部材9に形成した雌ねじに螺合して締付け固定することにより、軸ボルト12を中心に回転可能に構成した。また、上部円板状部材11の下面の周縁部には歯形13を形成し、その歯形13に歯合するギヤ14をハンドル15により手動にて回転することにより、上部円板状部材11を軸ボルト12を中心に回転駆動して、その上部に設置した誘導部材8を回転し得るように構成した。なお、図中16は下部円板状部材9の支持体側2に対する固定用ボルトで、誘導部材8の回転中心となる軸ボルト12が原点Aに一致するように位置決めしながら下部円板状部材9を固定することになる。
【0011】
次に、地震等により被支持体側1と支持体側2との間に相対的な位置ずれが生じた場合の原点復帰作業に関して説明する。例えば、地震作用により、被支持体側1と支持体側2との間の相対的な位置関係が、図1に示した地震前の通常状態から図2に示した地震後の状態に変動した場合には、本実施例では、地震の終息後に次の手順で原点復帰作業を実施することになる。先ず、図3に示したように、位置決め用の係止手段5を取外し、あるいは係止手段5の突出部をスプリング等の付勢力に抗して内部へ圧入して軸受4の端部との係合を解除した上、係合軸3を該係合軸3自体の自重あるいはスプリング等の付勢力により降下させて、その下端部を上部円板状部材11の上面に当接させる。しかる後、前記ハンドル15を操作して上部円板状部材11を回転駆動すると、誘導部材8が軸ボルト12を中心に回転して、やがて図4に示したように、誘導部材8の曲面7が係合軸3に係合する。そして、更に前記ハンドル15を操作して上部円板状部材11を回転駆動し、誘導部材8を軸ボルト12を中心に回転すると、やがて図5の状態に移行する。この移行過程において、係合軸3は、誘導部材8の回転により曲面7に沿って徐々に原点Aに近づき、やがて図5に示した原点Aに復帰することになる。したがって、この係合軸3の原点Aへの復帰に伴って、被支持体側1と支持体側2との間の相対的な位置関係も元の地震前の状態に復帰する。しかる後、係合軸3を上昇させて係止手段5により軸受4の端部に係止させれば、係合軸3が上方の退避位置に保持されることから、誘導部材8の曲面7との係合が回避される状態に設定され、次の地震等に対応可能な通常状態に復帰することになる。なお、以上の実施例では、係合軸3を被支持体側1に設け、誘導部材8を支持体側2に設けた場合を示したが、係合軸3を支持体側2に設け、誘導部材8を被支持体側1に設けることも可能である。
【0012】
図6は本発明に係る第2実施例の要部を示した構成説明図である。本実施例では、前記第1実施例における上部円板状部材11の上面に、係合軸3と係合して原点に復帰させる誘導部材として、湾曲状部材17を一体的に突出形成し、その内側面により誘導面としての曲面18を形成した点で特徴を有している。その余の構成は前記第1実施例と同様であり、前記係合軸3と曲面18との係合によって同様の原点復帰機能を奏することから、第1実施例と同様の構成部分には同じ符号を付して前述の説明を援用する。本実施例に係る湾曲状部材17は、その厚さ方向の幅を必要強度を確保し得る幅に設定することにより、誘導部材を形成するための材料コストの削減が可能であるという利点を有する。なお、本実施例では、湾曲状部材17を上部円板状部材11の上面に一体的に突出形成した場合を示したが、別部材により湾曲形成した湾曲状部材を使用して上部円板状部材11の上面に溶接を含む適宜の固着手段により付設するようにしてもよい。この場合には、前記曲面18の形成が容易であるという利点を有する。
【0013】
図7は本発明に係る第3実施例の要部を示した構成説明図である。本実施例では、前記第1実施例における上部円板状部材11自体を誘導部材として使用し、その上面に一週以上の渦巻状凹部19を形成して、その深さを徐々に変えることにより、前記渦巻状凹部19の内側面により高さ方向に徐々にずれた曲面20を形成して誘導面とした点で特徴を有している。その余の構成は前記第1実施例と同様であり、前記係合軸3と曲面20との係合によって同様の原点復帰機能を奏することから、第1実施例と同様の構成部分には同じ符号を付して前述の説明を援用する。本実施例に係る渦巻状凹部19の場合には、誘導部材としての上部円板状部材11を鋳造や鍛造により形成するようにすれば、材料コストの削減が可能であるとともに、曲面20を前記ボルト軸12を中心に一周以上形成することも可能になるという利点を有する。なお、一周に満たない曲面の場合にも対応することが可能である。
【0014】
図8〜図12は本発明に係る第4実施例を示したもので、それぞれ図8は地震前の通常状態を示した構成説明図、図9は地震後の状態を示した状態説明図、図10は原点復帰作業の開始直後の状態を示した状態説明図、図11は原点復帰作業の途中の状態を示した状態説明図、図12は原点復帰作業の終了状態を示した状態説明図を示したものである。図示のように、本実施例では、支持体側2に円筒部材21を設けるとともに、被支持体側1に前記円筒部材21の内周面に係合可能な誘導面としての曲面22を備えた誘導部材23を回転可能に設けた。その曲面22は、適宜の位置から徐々に誘導部材23の回転中心からの距離を拡大し、その回転中心から最も離れた部分の距離が円筒部材21の内周面24の半径と略等しくなるように形成した。なお、被支持体側1と支持体側2との間には、前記実施例と同様に図示しない積層ゴム支承型などの適宜の免震装置が設置されている。
【0015】
前記誘導部材23は被支持体側1に設置された支軸25に回転可能に支持した。すなわち、誘導部材23は支軸25を中心として回転することにより、原点復帰動作を実行することになる。支軸25は被支持体側1に対して軸受26を介して昇降可能に構成するとともに、その支軸25の上方に形成した雄ねじに螺合するナット27の螺合位置により、誘導部材23を上方の退避位置あるいは下方の円筒部材21との係合位置を選択し得るように構成した。なお、図示のように、誘導部材23の曲面22の上方の円形部28の外周面には歯形を形成し、その歯形部分に被支持体側1に設置したギヤ29に歯合した歯付ベルト30を噛合わせ、ギヤ29に固定されたハンドル31の回転操作によって誘導部材23を回転し得るように構成している。図中、32は前記軸受26の被支持体側1への取付部材であり、33は前記ギヤ29の支軸、34は該支軸33の軸受である。
【0016】
次に、地震等により被支持体側1と支持体側2との間に相対的な位置ずれが生じた場合の原点復帰作業に関して説明する。例えば、地震作用により、被支持体側1と支持体側2との間の相対的な位置関係が、図8に示した地震前の通常状態から図9に示した地震後の状態に変動した場合には、本実施例では、地震の終息後に次の手順で原点復帰作業を実施することになる。先ず、図10に示したように、ハンドル31を操作して誘導部材23の曲面22が形成された部分が円筒部材21の内方へ挿入し得る位置に回動するとともに、ナット27を回動して支軸25を降下させて、誘導部材23の曲面22が形成された部分を円筒部材21の内方へ挿入する。次に、前記ハンドル31を更に操作して誘導部材23を回転駆動すると、やがて図11に示したように、誘導部材23の曲面22が円筒部材21の内周面24に係合する。しかる後、更に前記ハンドル31を操作して誘導部材23を支軸25を中心に回転すると、その誘導部材23の曲面22の円筒部材21に対する当接位置が変化することに伴って、誘導部材23が円筒部材21に押されて徐々に原点Aに近づき、そして当接位置が曲面22の回転中心から最も離れた位置に至ったときに、図12に示したように原点Aに復帰することになる。この誘導部材23の原点Aへの復帰に伴って、被支持体側1と支持体側2との間の相対的な位置関係も元の地震前の状態に復帰する。しかる後、ナット27を回動して支軸25を上昇し、誘導部材23を退避位置に保持すれば、円筒部材21との係合が回避される状態に設定され、次の地震等に対応可能な通常状態に復帰することになる。なお、以上の実施例では円筒部材21を支持体側2に設け、誘導部材23を被支持体側1に設けた場合を示したが、円筒部材21を被支持体側1に設け、誘導部材23を支持体側2に設けることも可能である。
【0017】
図13は本発明の第5実施例の要部を示した縦断面図である。本実施例では、支持体側2に設置する基板35上に雌ねじ部材36を設置し、その雌ねじ部材36に雄ねじ部材37を螺合して、該雄ねじ部材37上に、駆動モータの出力軸に連結されたウォームギヤ38に歯合したウォームホイール部39を有する回転駆動部材40と誘導部材41とをそれぞれ連結ピンを介して一体的に配設した。これにより、前記駆動モータによりウォームギヤ38を回転し、ウォームホイール部39を介して回転駆動部材40を回転すると、該回転駆動部材40と一体的に結合された雄ねじ部材37及び誘導部材41が回転するとともに、雄ねじ部材37と雌ねじ部材36との螺合関係により誘導部材41が徐々に昇降する。すなわち、駆動モータによりウォームギヤ38を回転することにより、誘導部材41を回転しながら徐々に昇降し得るように構成した。さらに、回転駆動部材40は、図示のようにスラストベアリング等の回転支持手段42を介して、スライド支持手段43により昇降可能に構成された中間支持部材44によって傾倒しないように支持した。なお、ウォームギヤ38を回転する前記駆動モータは、中間支持部材44上に配設している。
【0018】
一方、被支持体側1には、支持部材45を介して係合軸46が自重あるいはスプリング47により下方へ付勢された状態で昇降可能に支持されている。そして、前記誘導部材41の上面には、図14に示したように、その係合軸46が挿入し得る渦巻状凹部47が形成してあり、係合軸46が誘導面としての曲面48に沿って中央部に誘導されることにより、原点復帰が行われるように構成している。なお、本実施例では、図13に示したように、渦巻状凹部47の中央部に深穴部49が形成してあり、係合軸46が中部に誘導されて原点復帰が完了した位置で、係合軸46が深穴部49に嵌入して、以後の移動を阻止するように構成した。因みに、誘導部材41の上面の渦巻状凹部47以外の部分は平坦面50に形成されている。
【0019】
しかして、本実施例における原点復帰作業においては、駆動モータを始動するだけで原点復帰が可能である。すなわち、駆動モータによりウォームギヤ38及びウォームホイール部39を介して回転駆動部材40が回転されると、誘導部材41が回転しながら上昇して係合軸46に接近する。やがて、係合軸46の下端部が誘導部材41の上面のどこか、例えば平坦面50のどこかに当接すると、その平坦面50上を摺動しながら、係合軸46は支持部材45内を徐々に上昇することになる。そして、係合軸46の下端部の位置が誘導部材41の上面に形成された渦巻状凹部47に合致すると、その渦巻状凹部47内に嵌入し、以後は曲面48に沿って中央部に誘導され、原点復帰が実行されることになる。因みに、係合軸46が中央部に移動した際には、その先端部が深穴部49に嵌入して、以後の移動が阻止され、被支持体側1が固定される。なお、渦巻状凹部47の代りに渦巻状の凸部を採用した場合にも、同様の原点復帰動作が得られる。
【0020】
なお、前記駆動モータの原点復帰後の停止に関しては、手動にて停止するように構成してもよいし、前記係合軸46の深穴部49への嵌入などにより原点復帰を検知して停止制御するように構成してもよいし、駆動モータの回転数あるいは動作時間から原点復帰に要する最大所要回転数ないし最大所要時間を割出して、その経過により停止制御するように構成してもよい。さらに、原点復帰後、適当な時期に前記駆動モータを逆転したり、あるいは途中に配設した正逆転ギヤ機構等により前記ウォームギヤ38を逆転して誘導部材41を降下させれば、係合軸46と渦巻状凹部47との係合が解除される。因みに、以上のいずれの実施例においても、誘導部材側の原点復帰位置に深穴部を形成して、通常時には係合軸が深穴部に嵌入した状態においておき、地震を検知して係合軸を引上げて誘導部材側との係合を解除するように構成すれば、通常時の強風等による被支持体側の移動を確実に阻止することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、それぞれ次の効果を得ることができる。
(1)請求項1及び請求項5の発明によれば、被支持体側と支持体側との位置関係を原点復帰させる際に、従来技術のように被支持体側に対する不要な押上げ力を伴うことなく、復帰力を原点へ向けてより効果的に付加し得るので、的確な原点復帰作業を容易に実施することが可能である。
(2)請求項2の発明によれば、湾曲状部材により誘導面を形成したので、湾曲状部材の厚さ方向の幅を必要強度を確保し得る幅に設定することにより、誘導部材を形成するための材料コストの削減が可能である。また、別部材により湾曲形成した湾曲状部材を使用する場合には誘導面の形成が容易である。
(3)請求項3及び請求項4の発明によれば、前記誘導面を一周以上の渦巻状に形成したので、前記係合軸を原点に復帰させるまでの経路を長く設定できるので、より小さな力により被支持体側と支持体側とを相対的に移動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例における地震前の通常状態を示した構成説明図である。
【図2】 同実施例における地震後の状態を示した状態説明図である。
【図3】 同実施例における原点復帰作業の開始直後の状態を示した状態説明図である。
【図4】 同実施例における原点復帰作業の途中の状態を示した状態説明図である。
【図5】 同実施例における原点復帰作業の終了状態を示した状態説明図である。
【図6】 本発明の第2実施例の要部を示した構成説明図である。
【図7】 本発明の第3実施例の要部を示した構成説明図である。
【図8】 本発明の第4実施例における地震前の通常状態を示した構成説明図である。
【図9】 同実施例における地震後の状態を示した状態説明図である。
【図10】 同実施例における原点復帰作業の開始直後の状態を示した状態説明図である。
【図11】 同実施例における原点復帰作業の途中の状態を示した状態説明図である。
【図12】 同実施例における原点復帰作業の終了状態を示した状態説明図である。
【図13】 本発明の第5実施例の要部を示した縦断面図である。
【図14】 同実施例における誘導部材の上面を示した平面図である。
【符号の説明】
1…被支持体側、2…支持体側、3…係合軸、4…軸受、5…係止手段、6…回転支持機構、7…曲面、8…誘導部材、9…下部円板状部材、10…回転支承手段、11…上部円板状部材、12…軸ボルト、13…歯形、14…ギヤ、15…ハンドル、16…固定用ボルト、17…湾曲状部材、18…曲面、19…渦巻状凹部、20…曲面、21…円筒部材、22…曲面、23…誘導部材、24…内周面、25…支軸、26…軸受、27…ナット、28…円形部、29…ギヤ、30…歯付ベルト、31…ハンドル、32…取付部材、33…支軸、34…軸受、35…基板、36…雌ねじ部材、37…雄ねじ部材、38…ウォームギヤ、39…ウォームホイール部、40…回転駆動部材、41…誘導部材、42…回転支持手段、43…スライド支持手段、44…中間支持部材、45…支持部材、46…係合軸、47…スプリング、48…曲面、49…深穴部、50…平坦面
Claims (5)
- 被支持体側又は支持体側のいずれか一方に少なくとも水平方向に対して固定された係合軸を設けるとともに、他方の被支持体側又は支持体側に前記係合軸に係合可能な誘導面を備えた誘導部材を回転可能に設け、前記誘導面は前記誘導部材の回転中心から前記係合軸の略半径分離間した適宜の位置から徐々に前記回転中心からの距離を拡大するように形成したことを特徴とする免震構造における原点復帰装置。
- 前記誘導面を湾曲状部材の内側面により形成した請求項1に記載の免震構造における原点復帰装置。
- 前記誘導面を上方からみて一周以上の渦巻状に形成した請求項1又は2に記載の免震構造における原点復帰装置。
- 前記誘導面の位置を高さ方向に徐々にずらしながら渦巻状に形成した請求項3に記載の免震構造における原点復帰装置。
- 被支持体側又は支持体側のいずれか一方に少なくとも水平方向に対して固定された円筒部材を設けるとともに、他方の被支持体側又は支持体側に前記円筒部材の内周面に係合可能な誘導面を備えた誘導部材を回転可能に設け、前記誘導面は適宜の位置から徐々に前記誘導部材の回転中心からの距離を拡大し、その回転中心から最も離れた部分の距離が前記円筒部材の内周面の半径と略等しくなるように形成したことを特徴とする免震構造における原点復帰装置。
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JP2003155621A JP4350422B2 (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 免震構造における原点復帰装置 |
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