JP4349830B2 - 外套シース付内視鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、体内に挿入される可撓性挿入部が体内の汚液に直接接触しないように、可撓性挿入部に外套シースを着脱自在に被覆して、外套シースだけを使い捨てできるようにした外套シース付内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
外套シース付内視鏡において、流体や処置具等を通すためのチャンネルチューブは体内の汚液と接触するので外套シース側に設けられ、送気用、送水用及び吸引(兼処置具挿通)用の各チャンネルがバラバラにならないよう、それらを一本にまとめたマルチルーメンチャンネルチューブが用いられる。
【0003】
そのようなマルチルーメンチャンネルチューブの一端は外套シースの先端部分に開口し、他端側は、外套シースの基端部分に配置された分岐部を通過させてそこから長く引き出され、マルチルーメンチャンネルチューブの基端寄りの部分には、分岐部に形成された分岐孔(処置具差込孔)に通じる側孔が穿設してある(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−325138号公報、図3
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の外套シース付内視鏡においては、マルチルーメンチャンネルチューブの基端寄りの部分に形成されている側孔が常に分岐孔を臨む状態に位置するように、その部分でマルチルーメンチャンネルチューブが分岐部に接合されている。
【0006】
そのような構造は、特許文献1に記載された外套シース付内視鏡のように、分岐孔(処置具差込孔)が外套シースに設けられている場合には特に問題にはならない。
【0007】
しかし、そのような分岐孔(処置具差込孔)を外套シース側ではなく可撓性挿入部側(可撓性挿入部の基端又はそれに連結される操作部)に設ける構成を採る場合には、マルチルーメンチャンネルチューブを分岐部に対して着脱自在に構成する必要があるので、従来のように接合してしまうわけにいかない。
【0008】
そのため、内視鏡の可撓性挿入部や湾曲部が体内への挿入動作に伴って不特定の方向に屈曲されると、それによってマルチルーメンチャンネルチューブが分岐部内で軸線周りに回転し、側孔の位置が分岐孔(処置具差込孔)に対向しなくなって、分岐孔(処置具差込孔)からマルチルーメンチャンネルチューブの処置具挿通用孔路への処置具挿入に支障をきたす状態になってしまう。
【0009】
そこで本発明は、マルチルーメンチャンネルチューブの基端寄りの部分が挿脱可能な状態で通過する分岐部が可撓性挿入部の基端側の位置に配置された外套シース付内視鏡において、分岐部内の分岐孔からマルチルーメンチャンネルチューブの処置具挿通用孔路への処置具挿入を常に引っ掛かりなくスムーズに行うことができる外套シース付内視鏡を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の外套シース付内視鏡は、内視鏡の可撓性挿入部に着脱自在に被覆される外套シース内にマルチルーメンチャンネルチューブが挿通配置されてマルチルーメンチャンネルチューブの先端が外套シースの先端に取着され、外套シースが可撓性挿入部に被覆された状態においてマルチルーメンチャンネルチューブが通されるチャンネルガイドが可撓性挿入部に設けられると共に、マルチルーメンチャンネルチューブの基端寄りの部分が挿脱可能な状態で通過する分岐部が可撓性挿入部の基端側の位置に配置されて、分岐部内に位置するマルチルーメンチャンネルチューブの側壁面には、マルチルーメンチャンネルチューブの中の一つの孔路に連通する側孔が形成され、分岐部内には、マルチルーメンチャンネルチューブの側孔に対向する位置に分岐孔が形成された外套シース付内視鏡において、マルチルーメンチャンネルチューブが分岐部において軸線周りに回転するのを阻止する回転止め手段をマルチルーメンチャンネルチューブと分岐部に設けたものである。
【0011】
なお、回転止め手段が、マルチルーメンチャンネルチューブに軸線と垂直の方向に形成されたスリットと、そのスリットに係合するように分岐部に設けられたスリット係合部材とからなるものであってもよい。
【0012】
また、スリット係合部材が分岐部にスライド可能に配置されていて、スリット係合部材をスライドさせることによりスリットに対する係合状態を解除することができるようにしてもよい。
【0013】
また、スリットが、マルチルーメンチャンネルチューブの側孔と連通していない孔路に対して干渉しない位置に形成されていて、マルチルーメンチャンネルチューブの側孔と連通している孔路が、側孔とスリットとの間で塞がれていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2において、10は内視鏡、20は、内視鏡10の可撓性挿入部11,12,13に着脱自在に被覆される外套シース、30は、内視鏡10のチャンネルガイド17の基端側接続筒17bに着脱自在に取り付けられる吸引アダプタ(分岐部)、50は吸引チューブである。
【0015】
内視鏡10の可撓性挿入部11,12,13は、遠隔操作によって屈曲する湾曲部12が細長い可撓管部11の先端に連結され、観察窓14等が配置された先端部本体13が湾曲部12の先端に連結されて構成されている。
【0016】
可撓管部11の基端に連結された操作部15には、湾曲部12を遠隔的に屈曲操作する湾曲操作ノブ16等が配置されており、湾曲操作ノブ16を回転操作することによって湾曲部12が二点鎖線で示されるように屈曲する。
【0017】
可撓管部11と湾曲部12の内部には、中心軸線から偏位した位置に、例えばポリエチレン樹脂チューブ等のような可撓性チューブからなるチャンネルガイド17が全長にわたって挿通配置されており、その先端開口17aが先端部本体13に形成され、チャンネルガイド17の基端は、操作部15の下端部分から斜め方向に突出する基端側接続筒17bに連通している。
【0018】
外套シース20には、例えばシリコンゴムチューブ等のような伸縮性のある材料によって薄肉円筒状に形成された被覆チューブ21が、内視鏡10の可撓管部11と湾曲部12に着脱自在に被覆されるように設けられ、その先端には透明な部材により形成されて先端部本体13部分に被嵌される先端キャップ22が水密に取り付けられている。
【0019】
被覆チューブ21の基端に固着された連結環24は操作部15と可撓管部11との連結部19に対して係脱自在になっていて、手動固定ネジ25を締め付けることにより連結部19に任意に固定することができる。
【0020】
被覆チューブ21内には、例えば可撓性の四フッ化エチレン樹脂製のマルチルーメンチャンネルチューブ23が全長にわたって挿通配置されており、マルチルーメンチャンネルチューブ23の先端は先端キャップ22の先端面において外面に開口するように先端キャップ22に接続・固着され、マルチルーメンチャンネルチューブ23の基端部分は連結環24内を通って後方に延出している。
【0021】
このマルチルーメンチャンネルチューブ23は内視鏡10のチャンネルガイド17内に全長にわたって挿脱自在であり、マルチルーメンチャンネルチューブ23の基端部分をチャンネルガイド17に先端開口17a側から差し込んで基端側接続筒17bから引き出すことができる。
【0022】
基端側接続筒17bから引き出されるマルチルーメンチャンネルチューブ23の基端寄りの部分には、マルチルーメンチャンネルチューブ23の長手方向に沿う細長い側孔23aが穿設されており、吸引アダプタ30を基端側接続筒17bに取り付けてその中にマルチルーメンチャンネルチューブ23を通すと、側孔23aが吸引アダプタ30内に位置するようになっている。
【0023】
図3は、図2に示されるIII−III断面におけるマルチルーメンチャンネルチューブ23の断面図であり、この実施例のマルチルーメンチャンネルチューブ23には、吸引兼処置具通過用孔路23Sと送気用孔路23Aと送水用孔路23Wの三つの孔路が並んで形成されており、側孔23aは吸引兼処置具通過用孔路23Sに対して通じている。
【0024】
マルチルーメンチャンネルチューブ23の側孔23aよりやや基端(自由端)寄りの位置には、軸線に対して垂直の方向にスリット23bが形成されており、図2におけるIV−IV断面を図示する図4に示されるように、スリット23bは、送気用孔路23A及び送水用孔路23Wとは干渉しないように、吸引兼処置具通過用孔路23S部分に対して側方から切り込まれている。
【0025】
なお、吸引兼処置具通過用孔路23Sは、側孔23aと基端(自由端)との間では接着剤を充填して閉塞されている。ただし、少なくとも側孔23aと吸引兼処置具通過用孔路23Sとの間で閉塞されていればよい。
【0026】
図1は、内視鏡10の可撓性挿入部11,12,13に外套シース20が被せられ、チャンネルガイド17の基端側接続筒17bに吸引アダプタ30が取り付けられた使用状態を示しており、手動固定ネジ25が締め付けられて連結環24が連結部19に固定されている。
【0027】
その結果、外套シース20によって内視鏡10の可撓性挿入部11,12,13が外部環境から絶縁され、被覆チューブ21が軸線方向に弾力的に引き伸ばされて、先端キャップ22が先端部本体13の先端面に密着した状態になっている。
【0028】
そして、吸引チューブ50が吸引アダプタ30に接続され、吸引アダプタ30に通して引き出されたマルチルーメンチャンネルチューブ23の基端部が、操作部15に配置された接続装置50において送気送水分離チューブ51に接続されている。
【0029】
図5は、吸引アダプタ30の内部の状態を示しており、吸引アダプタ30には、操作部15に配置された基端側接続筒17bに差し込み接続される接続筒31内から真っ直ぐに貫通して、マルチルーメンチャンネルチューブ23が挿脱自在に通過するチャンネルチューブ通過孔32が形成されている。39は、基端側接続筒17bに手動で螺合する固定ナットである。
【0030】
チャンネルチューブ通過孔32の中間部分から斜め方向に分岐する方向に処置具差込孔33(分岐孔)が形成されていて、さらにその処置具差込孔33の途中から分岐して外方に突出する吸引口金36に吸引チューブ50が接続されている。処置具差込孔33の突端部は処置具挿入口34になっていて、そこにシール機能を有するゴム製の鉗子栓35が取り付けられている。
【0031】
そして、チャンネルチューブ通過孔32内を通過するマルチルーメンチャンネルチューブ23に形成されている側孔23aは、チャンネルチューブ通過孔32部分における処置具差込孔33の開口を正面に臨む状態に位置している。
【0032】
また、そのような側孔23aの前後位置においてチャンネルチューブ通過孔32とマルチルーメンチャンネルチューブ23との間の隙間をシールするためのゴム製の一対のOリング37が配置されていて、吸引アダプタ30の内部が吸引チューブ50内とマルチルーメンチャンネルチューブ23の吸引兼処置具通過用孔路23S以外の部分と通気しないようになっている。
【0033】
チャンネルチューブ通過孔32の出口側開口部には、マルチルーメンチャンネルチューブ23のスリット23bと係合する金属板製のスライド板40(スリット係合部材)が、二本の取付ピン41によって吸引アダプタ30に取り付けられている。
【0034】
そして、スライド板40がマルチルーメンチャンネルチューブ23のスリット23b内にほぼピッタリと嵌まり込む状態に係合することによって、マルチルーメンチャンネルチューブ23の軸線周り回転が阻止される。このように、マルチルーメンチャンネルチューブ23のスリット23bと吸引アダプタ30のスライド板40とによってマルチルーメンチャンネルチューブ23の回転阻止手段が構成されている。
【0035】
ただし、図5におけるVI−VI断面を図示する図6にも示されるように、スライド板40には二本の取付ピン41が係合する長孔40aがマルチルーメンチャンネルチューブ23のスリット23bと同方向に形成されていて、スライド板40がスリット23bに沿う方向にスライド自在であり、スライド板40には、スライド移動させたときにマルチルーメンチャンネルチューブ23を通過させることができる切り欠き孔40bが形成されている。
【0036】
したがって、外套シース20を可撓性挿入部11,12,13に対して着脱する際等には、図7に示されるように、マルチルーメンチャンネルチューブ23が切り欠き孔40b部分を通過するようにスライド板40をスライドさせておくことによって、マルチルーメンチャンネルチューブ23を吸引アダプタ30のチャンネルチューブ通過孔32に挿脱させることができる。
【0037】
このような構成により、内視鏡10の可撓管部11や湾曲部12が不規則な方向に屈曲されたときでも、マルチルーメンチャンネルチューブ23が吸引アダプタ30内で軸線周りに回転せず、側孔23aが常に処置具差込孔33を正面に臨む状態を維持する。
【0038】
したがって、処置具挿入口34から処置具100を差し込めば、その処置具100が処置具差込孔33からマルチルーメンチャンネルチューブ23の側孔23aを経由して吸引兼処置具通過用孔路23S内に挿入され、体内組織の採取その他の内視鏡的処置を行うことができる。
【0039】
また、吸引チューブ50から吸引をすれば、その吸引力が処置具差込孔33から側孔23aを介してマルチルーメンチャンネルチューブ23の吸引兼処置具通過用孔路23Sに作用し、吸引兼処置具通過用孔路23Sを通じて体内汚液等を吸引することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、マルチルーメンチャンネルチューブの基端寄りの部分が挿脱可能な状態で通過する分岐部が可撓性挿入部の基端側の位置に配置された外套シース付内視鏡において、マルチルーメンチャンネルチューブが分岐部において軸線周りに回転するのを阻止する回転止め手段を設けたことにより、分岐孔からマルチルーメンチャンネルチューブの処置具挿通用孔路への処置具挿入を、常に引っ掛かりなくスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の外套シース付内視鏡の側面図である。
【図2】本発明の実施例の外套シース付内視鏡の使用準備状態の側面一部断面図である。
【図3】本発明の実施例の図2におけるIII−III断面図である。
【図4】本発明の実施例の図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】本発明の実施例の外套シース付内視鏡の吸引アダプタ部分の側面断面図である。
【図6】本発明の実施例の図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】本発明の実施例の外套シース付内視鏡のスライド板がスライドした状態の図5のVI−VIの位置における断面図である。
【符号の説明】
10 内視鏡
11 可撓管部(可撓性挿入部)
12 湾曲部(可撓性挿入部)
13 先端部本体(可撓性挿入部)
17 チャンネルガイド
20 外套シース
21 被覆チューブ
23 マルチルーメンチャンネルチューブ
23a 側孔
23b スリット(回転止め手段)
23S 吸引兼処置具通過用孔路
30 吸引アダプタ(分岐部)
32 チャンネルチューブ通過孔
33 処置具差込孔(分岐孔)
40 スライド板(回転止め手段)
40a 長孔
40b 切り欠き孔
41 取付ピン

Claims (2)

  1. 内視鏡の可撓性挿入部に着脱自在に被覆される外套シース内にマルチルーメンチャンネルチューブが挿通配置されて上記マルチルーメンチャンネルチューブの先端が上記外套シースの先端に取着され、上記外套シースが上記可撓性挿入部に被覆された状態において上記マルチルーメンチャンネルチューブが通されるチャンネルガイドが上記可撓性挿入部に設けられると共に、上記マルチルーメンチャンネルチューブの基端寄りの部分が挿脱可能な状態で通過する分岐部が上記可撓性挿入部の基端側の位置において上記チャンネルガイドの基端側に着脱自在に取り付けられた吸引アダプタに配置されて、上記分岐部内に位置する上記マルチルーメンチャンネルチューブの側壁面には、上記マルチルーメンチャンネルチューブの中の一つの孔路に連通する側孔が形成され、上記分岐部内には、上記マルチルーメンチャンネルチューブの側孔に対向する位置に分岐孔が形成された外套シース付内視鏡において、
    上記吸引アダプタに設けられた上記分岐部において上記マルチルーメンチャンネルチューブが軸線周りに回転するのを阻止するための回転止め手段が、上記マルチルーメンチャンネルチューブと上記分岐部に設けられ、上記回転止め手段が、上記マルチルーメンチャンネルチューブに軸線と垂直の方向に形成されたスリットと、板面に沿う方向にスライドさせることにより上記スリットに係脱させることができるようにスライド自在に上記分岐部に設けられた板状のスリット係合部材とからなることを特徴とする外套シース付内視鏡。
  2. 上記スリットが、上記マルチルーメンチャンネルチューブの側孔と連通していない孔路に対して干渉しない位置に形成されていて、上記マルチルーメンチャンネルチューブの側孔と連通している孔路が、上記側孔と上記スリットとの間で塞がれている請求項1記載の外套シース付内視鏡。
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