JP4349776B2 - 眼内レンズの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材内の空隙の発生が抑制された眼内レンズを製造する方法及び該方法にて得られる眼内レンズに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、白内障の手術方法の一つとして水晶体を摘出した後、水晶体の代わりとして眼内レンズを挿入する手法が一般的に用いられている。眼内レンズを挿入するには、はじめに眼球に眼内レンズを挿入するための切開創を設け、この切開創より内部の白濁した水晶体を超音波白内障手術装置等にて破砕して吸引しておき、次に水晶体があった場所に眼内レンズを切開創より挿入する。
このような眼内レンズは、PMMAを初めとするハードタイプの眼内レンズや、小さな切開創で済むシリコン基材やアクリル基材からなる折畳み可能なソフトタイプの眼内レンズが用いられている。これらの眼内レンズは、所定の型枠内にモノマー原料を注入し、重合、硬化させる方法や(cast molding法)や、モノマー原料を重合、硬化して得られたシートを眼内レンズ形状に切削加工する方法(lathe cutting法)により製作することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような方法で得られた眼内レンズにおいて、その重合、硬化後のレンズ基材内に生じた空隙により種々の問題が発生することが報告されている。
例えば、疎水性(非含水性)の軟性アクリル基材を用いたソフトタイプの眼内レンズでは、眼内に設置後、光学部にグリスニングと呼ばれる複数の小さな輝点が発生することが報告されている。この輝点の発生は、最小分解能としてのいわゆる視力には影響がないが、コントラスト感度には影響を与える可能性があるという報告が数多くされている。このような輝点は、基材内部に生じた小さな空隙に房水が入り込むためではないかとされている。
また、親水性(含水性)の軟性アクリル基材を用いたソフトタイプの眼内レンズでは、眼内に設置後、基材の空隙に蛋白質等が入り込み、透明度が低下しやすいという問題がある。
【0004】
上記従来技術の問題点に鑑み、レンズ基材に生じる空隙の発生を抑制することのできる眼内レンズの製造方法及び該方法にて得られる眼内レンズを提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 眼内レンズ基材の原料となるアクリル酸エステルのモノマー,またはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの混合モノマーを重合させ、眼内レンズ基材を得る第1ステップと、該第1ステップによって得られた前記基材に対し該基材の形成に用いられた前記モノマーを含浸させる第2ステップと、該第2ステップによって前記基材に含浸された前記モノマーを重合させる第3ステップと、を有することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本実施の形態では、非含水性の軟性眼内レンズ基材の原料となるモノマー溶液を重合硬化させた後、重合により得られた基材をモノマー溶液中に入れ、基材にモノマーを含浸させる。その後、基材中にモノマーが染み込んだ状態で再重合させることにより、基材内部に生じている空隙を無くし、輝点等の発生を抑制しようとするものである。
【0007】
このような非含水性の軟性眼内レンズ基材は、軟質材料となるモノマーを1種類又は数種類配合させることにより得ることができる。また、得られる基材の硬度(軟度)を調整するために硬質材料となるモノマーを適宜配合することによって得ることもできる。
【0008】
このような軟質材料となるモノマー(以下、軟質モノマーと記す)の具体例としては、メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,ブチルアクリレート,等のアクリル酸エステルが挙げられる。
【0009】
また、硬質材料となるモノマー(以下、硬質モノマーと記す)の具体例としては、メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0010】
これらの軟質モノマー、あるいは軟質モノマーと硬質モノマーとの混合物を用いて軟性眼内レンズ基材を得る場合には、必要に応じて架橋剤、重合開始剤が用いられる。架橋剤は具体的にはエチレングリコールジメタクリレート,ジエチレングリコールジメタクリレート,トリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリル酸エステルや、その他眼内レンズ基材の形成に架橋剤として使用可能な材料が挙げられる。これらの架橋剤は基材となるモノマーの総重量に対し0.5〜10重量%の範囲で使用される。
【0011】
また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル,アゾイソブチロバレロニトリル,ベンゾイン,メチルオルソベンゾイルベンゾエート等の眼内レンズ基材の形成に重合開始剤として使用可能な材料が挙げられる。また、この他にベンゾトリアゾール系を始めとする紫外線吸収材を適宜加え、紫外線吸収効果を持たせた眼内レンズ用基材を得ることもできる。
【0012】
また、本実施形態では、上述したモノマー、架橋剤及び重合開始剤を用いて得られた基材を再びモノマー混合液に浸し、基材内にモノマーを含浸させるものとしている。この基材内に含浸させるモノマーは基材内に生じた空隙を埋めるために用いるものである。従って、生体適合性がよく、重合可能なモノマー材料であれば、特に限定されるものではないが、得られる眼内レンズ基材の物理的特性をできるだけ変化させない様にするためには、基材の合成に使用したモノマー(数種類のモノマーを混合していれば、そのモノマー混合物)を用いることが好ましい。このときのモノマー混合液には、上述した架橋剤や重合開始剤も所定量入れられている。
【0013】
<眼内レンズの製造>
次に、上記に挙げたモノマー等を用いて眼内レンズを製造する方法を図1に示すフローチャートに示し説明する。ここでは軟質モノマー、硬質モノマー及び架橋剤を所定の割合にて容器に入れ混合する。一般に、これらの共重合物を構成するための軟質モノマーと硬質モノマーとの配合比は、それぞれの物性に応じて適宜選択されるが、得られた眼内レンズが手術時に折り曲がる程度の硬度(軟度)を有するような配合比であれば良い。
【0014】
軟質モノマー、硬質モノマー及び架橋剤の混合が終了したら、次に重合開始剤を入れ混合する。次に型枠にこの混合液を流し込み、60℃及び90℃の水浴に順次24時間ずつ入れて重合させる。このように段階的に温度を上昇させるとより安定した重合を行うことができる。このような手順で重合開始から所定時間(計48時間)経った後、平板状の基材を型枠から取り出し、さらに真空オーブンに入れ95℃、24時間置くことにより重合を完了させる。
【0015】
次にこのようにして得られた平板状の基材を、先程と同様の組成を持ったモノマー混合液内に完全に浸漬するように置き、所定時間静置させて、基材にモノマーを含浸させる。含浸させる時間は、基材の形状や周辺の環境(温度、気圧等)によるが、基材内に生じた空隙にモノマーが充分入り込むだけの時間であればよい。
【0016】
含浸させる時間は、好ましくは24時間以上120時間以内であり、更に好ましくは48時間以上96時間以内である。含浸させる時間が24時間に満たない場合、基材内に生じた空隙にモノマーが充分入り込ませることが難しい。また、含浸させる時間が120時間以上であっても構わないが、含浸させる時間が長ければ長いほど生産効率が悪くなってしまう。
【0017】
モノマー混合液内に所定時間含浸させた後、基材を取り出してその表面についているモノマーを拭き取る。その後基材をドライオーブン内で所定時間加熱し、2回目の重合を行う。さらにその後、真空オーブンにて所定時間加熱させることによって重合を完全に終了させる。
【0018】
このように、一旦重合されて得られた基材にモノマーを含浸させ、再重合させることにより、最初の重合によって基材内に生じた空隙が塞がるため、基材内への透明度の低下や輝点の発生を抑制することができる。
【0019】
2段階の重合作業により得られた眼内レンズ基材は、既知の眼内レンズ切削加工により所定形状に切削加工され、眼内レンズを得る。例えば3ピース型の眼内レンズであれば、得られた眼内レンズ基材をレンズ形状に切り出し、研磨を行う。その後、支持部をレンズに溶着させて眼内レンズの完成となる。
【0020】
また、基材にモノマーを含浸させる方法は、上記の方法に限るものではない。例えば、図2のフローチャートに示すように、含浸させるモノマー中に溶け込んでいる気体を凍結融解により脱気させながら、基材にモノマーを含浸させることにより、さらに基材の空隙をさらに少なくさせることができる。
【0021】
具体的には、初めの重合が完了した基材と含浸させるモノマー溶液とを、真空状態にすることができる密封容器に入れる。次に基材とモノマーとが入った密封容器を液体窒素等の冷凍用媒体に浸し、モノマーを凍結させる。その後、密封容器を冷凍用媒体から取り出し、真空ポンプ等を用いながら密封容器内を減圧状態にし、モノマーが融解する(液体になる)まで脱気作業を行う。この凍結−融解作業を数回行ったあと、最後に減圧のまま所定時間密封容器を静置し、基材にモノマーを充分に含浸させる。この静置時間は24時間以上120時間以内程度で良い。その後、密封容器から基材を取り出し、基材表面のモノマーを軽く拭き取った後、ドライオーブン及び真空オーブンを用いて上述した作業を行い、重合を完全に終了させる。その後、得られた基材を切削加工によって所定形状に切り出し、眼内レンズを完成させる。
【0022】
また、本実施の形態では、2回の重合を行った基材を切削加工することによって眼内レンズを得るものとしているが、これに限るものではない。例えばcast molding法によって得られる眼内レンズにおいても本発明を適用することができる。この場合、型枠内に入れられたモノマー溶液を重合させた後、レンズ形状に形成された基材をモノマー溶液中に浸漬し、その後基材内に含浸させたモノマーを重合させればよい。基材内に含浸させたモノマーを重合させるため、膨潤による形状の変化や基材の屈折率が変化してしまう可能性があるが、事前にそれらの変化度合いを考慮した上で、所望する屈折力が得られるような型枠を用意しておけば良い。
【0023】
また、本実施の形態では非含水性の軟性眼内レンズ基材を例に挙げ、その製造方法について説明したが、これに限るものではない。基材の物理的特性によらず、重合性モノマーが基材内に生じた空隙を埋めるための手段として用いることができる。例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレートやビニルピロリドン等、含水性の軟性基材を用いた眼内レンズにも適用することができる。
【0024】
<グリスニング検査>
次に、本実施の形態で得られた基材(2回の重合済のもの)や他の方法により得られた基材において、グリスニング(輝点)がどの程度発生するかを検査することにより、基材内に生じた空隙の発生度合い(空隙の発生状態)を検査(評価)する方法を図3のフローチャートに示し、以下に説明する。
【0025】
上述した眼内レンズの製造方法において得られた基材を用いて輝点の発生度合いを検査する。2回の重合により得られた基材を略眼内レンズ形状(本実施の形態ではφ10mm,厚さ1mmのプレート)に切削加工する。このプレートを一定の温度に保たれた恒温水槽内に浸漬、所定時間静置する。
【0026】
この恒温水槽内に入れる水溶液は、眼内の環境と近似させるために体液に近い生理食塩水、リンゲル液等を用いることが好ましいが、本検査は基材内の空隙の状態を観察できれば良いため、純水や水道水等の水であってもよい。
【0027】
また、恒温水槽内の水温は、好ましくは40℃〜70℃、更に好ましくは45℃〜60℃である。水温が40℃を下回ってしまうと、輝点を故意に発生させ難くなる。また、水温が70℃を上回ってしまうと、急激に輝点が発生してしまい、基材毎における輝点の発生度合いの比較が難しくなる。
【0028】
また、恒温水槽内に基材を浸漬させる時間は、好ましくは20分〜120分、更に好ましくは30分〜60分である。浸漬させる時間が20分に満たないと、基材内に水分が充分含浸しない。また、浸漬させる時間が120分を超えてもよいが、それ以上浸漬させる時間を長くすれば検査に要する時間が長くなってしまい効率が悪い。
【0029】
恒温水槽内に所定時間だけ浸漬された基材(プレート)を恒温水ごと室温下に出し、直ちに顕微鏡下にてプレートの経時変化を観察する。恒温水から基材だけ出して顕微鏡で観察すると輝点が非常に早く発生してしまい、基材毎の評価が行い難い。このため、適度な速度で輝点が発生するように、基材を恒温水ごと出して顕微鏡で経時変化を観察した方が都合よく評価が行える。また、基材を恒温水に浸漬する時間、温度によっても経時的な輝点の発生度合いが変化する。
【0030】
このような検査方法を用いることにより、基材毎の輝点の発生度合いを経時的に観察することができる。その結果、基材内に発生する輝点の数やその発生速度によって、基材内に生じている空隙の量を大略で把握することができ、眼内レンズ用の基材として適当なものか否かを評価することができる。
また、本実施の形態では眼内レンズ完成前の基材を検査するものとしているが、これに限らず、眼内レンズの完成後においても同検査方法を用いてグリスニングの検査、基材内の空隙の発生状況を検査することができる。
【0031】
以下の表1に温度及び浸漬時間に対する輝点の発生度合いを示す。この表は基材に故意に輝点を発生させるための好ましい条件を検討した結果を表している。使用した基材の原料は、軟質モノマーとしてエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート162.0重量部、n−ブチルアクリレート12.0重量部、硬質モノマーとしてn−ブチルメタクリレート119.1重量部、架橋剤として1,4ブタンジオールジアクリレート6.0重量部、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル0.3重量部を用い、重合を行う。得られた平板状の基材から切削加工にてφ10mm、厚さ1mmの円盤状のプレートを得る。得られたプレートを上述した検査方法で輝点の発生を顕微鏡((株)ニコン製 SMZ1500)にて目視検査した。恒温水槽の水は純水を用い、水温は40℃,45℃,50℃,60℃,70℃のそれぞれで行った。また、浸漬時間は各水温に対して10分,20分,30分,40分,50分,60分,120分とした。また、検査時間は恒温水槽から出してから1時間経過するまでとした。
【0032】
【表1】
Figure 0004349776
【0033】
表1記載中、(縁×)は検査開始後1時間経過してもプレートの周縁部分にも輝点が生じていない場合を示し、(全×)は恒温水槽から取り出し後、すぐにプレート全域に輝点が発生する場合を示しており、いずれも評価が行えない条件としている。また、(縁△)は検査開始後1時間経過した状態で周縁部分のみに輝点が生じているが、輝点の発生に時間がかかる場合を示し、(全△)は(全×)程ではないが、プレート全域にすぐに輝点が発生する場合を示しており、いずれも評価が行い難い条件としている。また、(○)は輝点の発生度合いが穏やかであり、各種の基材に生じる輝点の発生度合いを検査するのに好ましい条件であることを示している。
【0034】
表1に示すように、水温が40℃の場合には、浸漬時間を変化させても輝点を発生させることが難しいが、浸漬時間を120分程度にすることで僅かに輝点を発生させることができる。水温45℃の場合には、浸漬時間を50分〜120分程度とすることで、プレートに穏やかに輝点を発生させることができ、基材毎の輝点の発生度合いを評価することができる。また、水温50℃の場合は浸漬時間40分〜60分、水温60℃の場合は30分程度がグリスニング検査を行い易い条件となった。また、水温70℃では浸漬時間10分でプレートの周縁で輝点が急激に発生し、浸漬時間を20分以上にしてしまうと、プレート全域に急激に輝点が発生してしまい、適度な輝点の発生を行うための条件設定が難しい。
また、本実施の形態で示す検査方法によれば、眼内レンズを完成させなくとも基材の状態で数時間程度にて、その基材の使用合否を判定することができる。
【0035】
(実施例1)
実施例1では上述した本実施の形態の製造方法によって得られた眼内レンズ用基材の輝点発生度合いを評価した。輝点発生度合いの評価は上述したグリスニング検査によって行った。このグリスニング検査は、表1で好ましい条件とされる水温45℃、浸漬時間60分にて行った。
【0036】
基材の原料はグリスニング検査にて用いたものと同一の原料(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート162.0重量部、n−ブチルアクリレート12.0重量部、n−ブチルメタクリレート119.1重量部、1,4ブタンジオールジアクリレート6.0重量部、アゾイソブチロニトリル0.3重量部)とし、含浸させるモノマー溶液も基材の原料と同一のものを使用した。
【0037】
上述した眼内レンズの製造方法により、モノマー溶液を重合させ、平板状の基材を得る。その後、この板状の基材を基材と同一の原料からなるモノマー溶液中に96時間浸漬させ、基材内に生じた空隙にモノマーを含浸させる。基材内に充分モノマーが含浸した状態で、基材をモノマー溶液中から取り出し、基材表面のモノマーを軽く拭き取った後、90℃のドライオーブン内に基材を入れ、24時間重合を行う。さらに95℃の真空オーブンにて24時間静置して、2回目の重合を完了させる。
【0038】
2回の重合により得られた基材を切削加工によりφ10mm、厚さ1mmのプレート状に形成し、その後上述したグリスニング検査により、輝点の発生度合いを検査した。恒温水槽内には45℃に保たれた純水を入れておき、そこにプレートを1時間浸漬させた。その後、プレートを恒温水ごと室温下に出し、すぐに顕微鏡下にて経時変化を観察した。経時変化の観察は、プレートを恒温水槽から取り出してから10分後と60分後の基材の状態を観察した。その結果を表2に示す。
【0039】
(実施例2)
実施例2では、凍結融解により基材内にモノマーを含浸させる方法で得られた眼内レンズ用基材の輝点発生度合いを評価した。基材の原料及び含浸させるモノマー溶液は実施例1と同じ材料を使用した。
【0040】
1回目の重合が完了した平板状の基材を、モノマー溶液とともにコックのついた密封容器内に入れた。密封容器ごと液体窒素に浸して完全にモノマー溶液を凍結させた後、密封容器を液体窒素から取り出す。その後コックに繋いだ真空ポンプによって密封容器を略真空状態にして脱気作業を行った。この脱気作業は凍結したモノマー溶液が溶けるまで(融解するまで)行う。この凍結−融解を3回繰返し、さらに減圧下の状態で、密封容器内の基材をモノマー溶液とともに96時間静置した。その後、基材を密封容器から取り出し、基材表面のモノマーを軽く拭き取った。次に基材を90℃のドライオーブン内で24時間重合させ、さらに95℃の真空オーブンにて24時間静置して重合を完了させた。
2回の重合により得られた基材を実施例1と同様のプレートに形成し、グリスニング検査を行った。グリスニング検査は、実施例1と同じ条件で行った。その結果を表2に示す。
【0041】
(比較例1)
比較例1では、従来の重合(実施例1の基材から2回目の重合作業を除いたもの)によって得られた眼内レンズ用基材の輝点発生度合いを評価した。基材の原料は実施例1と同じ材料を使用した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0004349776
【0043】
(結果)
比較例1の基材に比べ、実施例1,実施例2の基材とも輝点の発生が非常に少なく、本発明の眼内レンズ製造方法が基材内部の空隙を埋めるのに有効であることが確認された。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば基材に空隙が生じていても、その空隙を埋めることができるため、グリスニング等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の重合方法の流れを示すフローチャートである。
【図2】本実施の形態において凍結融解によりモノマーを基材内に含浸させて重合を行う重合方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】基材の空隙の発生状況を検査する方法の流れを示すフローチャートである。

Claims (1)

  1. 眼内レンズ基材の原料となるアクリル酸エステルのモノマー,またはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの混合モノマーを重合させ、眼内レンズ基材を得る第1ステップと、該第1ステップによって得られた前記基材に対し該基材の形成に用いられた前記モノマーを含浸させる第2ステップと、該第2ステップによって前記基材に含浸された前記モノマーを重合させる第3ステップと、を有することを特徴とする眼内レンズの製造方法。
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