JP2011246673A - 眼内レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】 眼内レンズの屈折力への影響が少ないとともに、眼内でのグリスニングの発生を好適に抑制できる折り曲げ可能な眼内レンズを提供する。
【解決手段】 成分Aとして芳香族環含有(メタ)アクリレート、成分Bとしてアルキル(メタ)アクリレート(ただし、ヒドロキシル基を含まない)、成分Cとして架橋剤、成分Dとしてカルボキシル基またはリン酸基を持つアニオン性モノマー、を含有した重合成分を重合させて得られる重合体からなる眼内レンズ用材料は,重合成分は、成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、成分Dが10〜45重量部であることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】 成分Aとして芳香族環含有(メタ)アクリレート、成分Bとしてアルキル(メタ)アクリレート(ただし、ヒドロキシル基を含まない)、成分Cとして架橋剤、成分Dとしてカルボキシル基またはリン酸基を持つアニオン性モノマー、を含有した重合成分を重合させて得られる重合体からなる眼内レンズ用材料は,重合成分は、成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、成分Dが10〜45重量部であることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、水晶体の代わりに眼内に挿入される折り曲げ可能な眼内レンズに関する。
従来、白内障の手術方法の一つとして水晶体を摘出した後、水晶体の代わりとして眼内レンズを挿入する手法が一般的に用いられている。眼内レンズを挿入するには、はじめに眼球に眼内レンズを挿入するための切開創を設け、この切開創より内部の白濁した水晶体を超音波白内障手術装置等にて破砕して吸引しておき、次に水晶体があった場所に眼内レンズを切開創より挿入する。このような眼内レンズにおいては、インジェクターと呼ばれる眼内レンズ挿入器具を用いて患者眼に挿入するために疎水性の軟性アクリル材料を用いた折り曲げ可能な眼内レンズが知られている。
しかしながら、疎水性の軟性アクリル材料を用いた眼内レンズでは、眼内に設置後、光学部にグリスニングと呼ばれる複数の小さな輝点が発生することが報告されている。この輝点の発生は、最小分解能としてのいわゆる視力には影響がないが、コントラスト感度には影響を与える可能性があるという報告が数多くされている。
そこで、グリスニングの発生を抑制する目的で、疎水性のアクリルモノマーに親水性のアクリルモノマーを若干量添加して重合させた軟性アクリル材料を用いた眼内レンズが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、疎水性のアクリルモノマーに親水性のアクリルモノマーを添加し軟性のアクリル材料を得ようとする場合、用いる親水性のアクリルモノマーの添加量や特性によって眼内レンズの吸水率が高くなりやすい。吸水率が高くなるほど屈折率が低下してしまい眼内レンズの屈折力に変化を及ぼすことが懸念される。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、眼内レンズの屈折力への影響が少ないとともに、眼内でのグリスニングの発生を好適に抑制することができる折り曲げ可能な眼内レンズを提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 成分Aとして芳香族環含有(メタ)アクリレート、成分Bとしてアルキル(メタ)アクリレート(ただし、ヒドロキシル基を含まない)、成分Cとして架橋剤、成分Dとしてカルボキシル基またはリン酸基を持つアニオン性モノマー、を含有した重合成分を重合させて得られる重合体からなる眼内レンズ用材料であって,前記重合成分は、前記成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、前記成分Dが10〜45重量部であることを特徴とする。
(2) (1)の眼内レンズ用材料において、前記成分Bはアルキルメタクリレートとアルキルアクリレートの混合モノマーであることを特徴とする。
(3) (2)の眼内レンズ用材料において、前記成分Dのアニオン性モノマーはアクリル酸であることを特徴とする。
(4) (3)の眼内レンズ用材料は、さらに重合成分として紫外線吸収剤が含まれていることを特徴とする。
(2) (1)の眼内レンズ用材料において、前記成分Bはアルキルメタクリレートとアルキルアクリレートの混合モノマーであることを特徴とする。
(3) (2)の眼内レンズ用材料において、前記成分Dのアニオン性モノマーはアクリル酸であることを特徴とする。
(4) (3)の眼内レンズ用材料は、さらに重合成分として紫外線吸収剤が含まれていることを特徴とする。
本発明によれば、眼内でのグリスニングの発生が好適に抑制することができる折り曲げ可能な眼内レンズを提供できる。
本発明は、成分Aとして芳香族環含有(メタ)アクリレート、成分Bとしてアルキル(メタ)アクリレート(ただし、ヒドロキシル基を含まない)、成分Cとして架橋剤、成分Dとしてカルボキシル基またはリン酸基を持つアニオン性モノマー、を含有した重合成分を重合させて得られる重合体からなる眼内レンズ用材料であって,前記重合成分は、前記成分A及び成分Cの合計量100重量部に対して、前記成分Dが10〜45重量部であることを特徴とするものであり、このような重合体からなる眼内レンズ用材料によって形成された眼内レンズは、好適に折り曲げることができるとともに、グリスニングが抑制される。また、親水性のモノマーとして水酸基を有したアルキル(メタ)アクリレートを成分Dに換えて同量添加した場合に比べて、本発明の眼内レンズ用材料のほうがグリスニング抑制効果に優れていることが判った。
本発明に用いられる成分Aとされる芳香族環含有(メタ)アクリレートは、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールフェニルエーテル(メタ)アクリレート、等のモノマーを用いることができる。なお、表記中(メタ)アクリレートとあるのは、メタクリレート、及びアクリレートを示す。このような芳香族環含有(メタ)アクリレートは本発明の成分Aとして単独、または数種類配合して用いることができ、得られる眼内レンズ用材料の屈折率を向上させる役割を果たす。
本発明に用いられる成分Bとされるアルキル(メタ)アクリレートは、水酸基を持たない疎水性のアクリルモノマーを用いることができる。このような疎水性のアクリル系モノマーとしては、軟質材料となるアクリルモノマーを1種類又は数種類配合させることにより得ることができる。また、得られる軟性アクリル材料の硬度(軟度)を調整するために軟質材料となるアクリルモノマーを適宜配合することができる。
軟質材料となるモノマーの具体例としては、メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,ブチルアクリレート,等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、硬質材料となるモノマーの具体例としては、メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルが挙げられる。このような成分Bのアクリルモノマーは得られる眼内レンズ用材料の柔らかさ(形状の回復や折り曲げやすさ)を調節する役割を果たす。
また、本発明における成分Cとなる架橋剤は、具体的にはエチレングリコールジメタクリレート,ジエチレングリコールジメタクリレート,トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4‐ブタンジオールジアクリレート、等のジメタクリル酸エステルや、ジアクリル酸エステル、その他眼内レンズ用材料の形成に架橋剤として使用可能な材料が挙げられる。これらの架橋剤は眼内レンズ用材料となるモノマーの総重量に対し0.5〜10重量%の範囲で使用される。
本発明における成分Dとなるグリスニングの発生を抑制するためのアニオン性モノマーについても単独又は数種類添加されてよい。アニオン性モノマーとしては、アニオン基として、カルボキシル基(−COOH)、又はリン酸基(−PO3H)のいずれかの残基を有するモノマーが使用される。
具体的には、アクリル酸(Acrylic acid,AA)、ビスアクリルアミド酢酸、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3-ブタン-1,2,3-トリカルボン酸、2-カルボキシエチルアクリレート、イタコニック酸、メタクリル酸、4-ビニル安息香酸等のカルボキシル基含有モノマー。又は、リン酸水素=ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]、リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル等のリン酸基含有系モノマーが挙げられる。
以上のようなアニオン性モノマーは眼内でアニオン基(カルボキシル基、リン酸基)の一部が解離して電荷を持つ。そして、電荷同士の反発力により空間が均一に広がることで水分子が捕らえられて、分散される。これにより、水相分離による水分子の凝集によって生じるグリスニングが抑制されると考えられる。一方、従来技術においてグリスニングの抑制のために添加される親水性モノマー(例えば、HEMA)は、親水性モノマーが有するヒドロキシル基(−OH基)と水分子との水素結合により、水相分離によるグリスニングの発生を抑制していると考えられる。
なお、上述した成分Dのアニオン性モノマーは、上述した成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、前記成分Dが10〜45重量部の範囲で使用されれば良い。特に好ましくは15〜35重量部である。アニオン性モノマーの割合が成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、10重量部未満であると、アニオン性モノマーに捕らえられなかった余剰の水分が凝集するため、グリスニングの発生が好適に抑制されにくくなる可能性がある。一方、アニオン性モノマーの割合が、成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、45重量部よりも大きくなると、眼内レンズ材料の硬度が高くなり、インジェクター内での折り曲げが難しくなってしまう。
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル,アゾイソブチロバレロニトリル,ベンゾイン,メチルオルソベンゾイルベンゾエート等の眼内レンズ材料の形成に重合開始剤として使用可能な材料が挙げられる。また、この他にベンゾトリアゾール系を始めとする紫外線吸収剤を適宜加え、紫外線吸収効果を持たせた眼内レンズ用材料を得ることもできる。
<眼内レンズの製造>
次に、上記に挙げたモノマー等を用いて眼内レンズを製造する方法を説明する。まず、疎水性のアクリル系モノマー(成分A,及び成分B)、架橋剤、アニオン性モノマーを所定の割合にて容器に入れ混合する。一般に、これらの共重合物を構成するための疎水性のアクリル系モノマーとアニオン性モノマーとの配合比は、それぞれの物性に応じて適宜選択されるが、得られた眼内レンズが手術時に折り曲がる程度の硬度(軟度)を有するような配合比であれば良い。
次に、上記に挙げたモノマー等を用いて眼内レンズを製造する方法を説明する。まず、疎水性のアクリル系モノマー(成分A,及び成分B)、架橋剤、アニオン性モノマーを所定の割合にて容器に入れ混合する。一般に、これらの共重合物を構成するための疎水性のアクリル系モノマーとアニオン性モノマーとの配合比は、それぞれの物性に応じて適宜選択されるが、得られた眼内レンズが手術時に折り曲がる程度の硬度(軟度)を有するような配合比であれば良い。
疎水性のアクリル系モノマー、アニオン性モノマー及び架橋剤の混合が終了したら、次に重合開始剤を入れ混合する。次に型枠にこの混合液を流し込み、60℃水浴に24時間ずつ入れて重合させる。このように段階的に温度を上昇させるとより安定した重合を行うことができる。このような手順で重合開始から所定時間(計48時間)経った後、平板状の眼内レンズ材料を型枠から取り出し、さらにオーブンに入れ95℃、24時間置くことにより重合を完了させる。
以上のように、疎水性モノマーにアニオン性モノマーを添加して重合させることで、一度の重合によってグリスニングの発生が抑制された眼内レンズ用材料を得ることができるようになる。
重合作業により得られた眼内レンズ用材料は、既知の眼内レンズ切削加工により所定形状に切削加工され、眼内レンズを得る。例えば3ピース型の眼内レンズであれば、得られた眼内レンズ材料をレンズ形状に切り出し、研磨を行う。その後、支持部をレンズに溶着させて眼内レンズの完成となる。なお、切削加工ではなく、所定のレンズ形状を有した型枠に混合液を流し込み、眼内レンズを得るモールド成形によっても眼内レンズ(眼内レンズ用材料)を得ることができる。
次に、本発明の眼内レンズ用材料を実施例に基づき、具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
疎水性のアクリル系モノマーとして、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(成分A)54重量部、n−ブチルアクリレート(成分B)4重量部、n−ブチルメタクリレート(成分B)40重量部、架橋材として1,4‐ブタンジオールジアクリレート(成分C)2重量部と、アニオン性モノマーであるアクリル酸(成分D)10重量部と、紫外線吸収剤0.3重量部とを反応器内に入れて混合した後、重合開始材としてアゾイソブチロニトリル0.1重量部、を添加して重合反応を開始させた。
疎水性のアクリル系モノマーとして、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(成分A)54重量部、n−ブチルアクリレート(成分B)4重量部、n−ブチルメタクリレート(成分B)40重量部、架橋材として1,4‐ブタンジオールジアクリレート(成分C)2重量部と、アニオン性モノマーであるアクリル酸(成分D)10重量部と、紫外線吸収剤0.3重量部とを反応器内に入れて混合した後、重合開始材としてアゾイソブチロニトリル0.1重量部、を添加して重合反応を開始させた。
重合反応は、各材料を入れた反応器を60℃の恒温水槽で24時間、その後90℃のドライオーブン内で24時間加熱させて反応させて平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。
次に、得られた実施例の試料に対して以下の操作を行い、グリスニング(輝点)の発生度合いを検査した。まず、恒温水槽内に50℃に保たれた純水を入れておき、ここに得られた試料を2時間浸漬させた。その後、試料を恒温水ごと室温下に出し、顕微鏡下にて経時変化を観察した。経時変化の観察は、試料を恒温水槽から取り出した直後(0時間)、24時間、1週間後に行った。なお、観察は株式会社Nikon製デジタルカメラ付実体顕微鏡により倍率10倍にて行った。
次に、得られた実施例の試料に対して以下の操作を行い、グリスニング(輝点)の発生度合いを検査した。まず、恒温水槽内に50℃に保たれた純水を入れておき、ここに得られた試料を2時間浸漬させた。その後、試料を恒温水ごと室温下に出し、顕微鏡下にて経時変化を観察した。経時変化の観察は、試料を恒温水槽から取り出した直後(0時間)、24時間、1週間後に行った。なお、観察は株式会社Nikon製デジタルカメラ付実体顕微鏡により倍率10倍にて行った。
ここで、図1に24時間後の観察結果を示す。目視観察により、輝点の発生がほとんどなく十分に抑制効果が得られたとされる状態を<評価○>、輝点の発生はあるが、ある程度抑制効果が得られたとされる状態を<評価△>、輝点の発生が非常に多くグリスニング抑制効果があまり見られないとされる状態を<評価×>、とした。また、試料を鑷子で折り曲げた際に、容易に折り曲げることができるものを<評価○>、折り曲げるのに少し力を加える必要があるものを<評価△>、折り曲げるのにかなり力を必要とするものを<評価×>とした。各評価結果を表1に示す。
(実施例2)
アニオン性モノマーであるアクリル酸を15重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。観察の結果を図2に、評価結果を表1に示す。
アニオン性モノマーであるアクリル酸を15重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。観察の結果を図2に、評価結果を表1に示す。
(実施例3)
アニオン性モノマーであるアクリル酸を20重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。観察の結果を図3に、評価結果を表1に示す。
アニオン性モノマーであるアクリル酸を20重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。観察の結果を図3に、評価結果を表1に示す。
(実施例4)
アニオン性モノマーであるアクリル酸を45重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。グリスニングはまったく発生していなかった。また、評価結果を表1示す。
アニオン性モノマーであるアクリル酸を45重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。グリスニングはまったく発生していなかった。また、評価結果を表1示す。
(比較例1)
アニオン性モノマーであるアクリル酸を5重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。観察の結果を図4に、評価結果を表1に示す。
アニオン性モノマーであるアクリル酸を5重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。観察の結果を図4に、評価結果を表1に示す。
(比較例2)
アニオン性モノマーであるアクリル酸を50重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。グリスニングはまったく発生していなかった。また、評価結果を表1示す。
アニオン性モノマーであるアクリル酸を50重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件として重合を行い平板状の板材を得た。その後、平板状の板材の切削加工により試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察、評価を行った。グリスニングはまったく発生していなかった。また、評価結果を表1示す。
(比較例3)
実施例1において、成分Dに変えてアクリル酸をヒドロキシル基を持つ親水性のアクリレート(ヒドロキシエチルメタクリレート:HEMA)を20重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件で重合反応を行い試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察を行った。観察結果を図5に示す。図1及び図5の観察結果から分かるように、眼内レンズ用材料の原料として、同じ割合でアニオン性モノマー(アクリル酸)とヒドロキシルメタクリエート(HEMA)とを各々添加した場合に、アニオン性モノマーの方がグリスニングの発生が効果的に抑制されていることが確認された。
実施例1において、成分Dに変えてアクリル酸をヒドロキシル基を持つ親水性のアクリレート(ヒドロキシエチルメタクリレート:HEMA)を20重量部とした以外は、全て実施例1と同じ条件で重合反応を行い試料(直径φ6.0mm、厚さ1.0mm)を得た。得られた試料を実施例1と同様の観察を行った。観察結果を図5に示す。図1及び図5の観察結果から分かるように、眼内レンズ用材料の原料として、同じ割合でアニオン性モノマー(アクリル酸)とヒドロキシルメタクリエート(HEMA)とを各々添加した場合に、アニオン性モノマーの方がグリスニングの発生が効果的に抑制されていることが確認された。
<吸水率及び屈折度数の変化の検査>
次に、実施例3で得られた眼内レンズ用材料と、比較例3で得られた眼内レンズ用材料の吸水率及び屈折度数の変化を比較した。まず、実施例3及び比較例3で得られた眼内レンズ用材料の切削加工により、20mm×20mm(厚さ3.5mm)の板状の試料を3つ形成した。
次に、実施例3で得られた眼内レンズ用材料と、比較例3で得られた眼内レンズ用材料の吸水率及び屈折度数の変化を比較した。まず、実施例3及び比較例3で得られた眼内レンズ用材料の切削加工により、20mm×20mm(厚さ3.5mm)の板状の試料を3つ形成した。
吸水率の測定はJIS K 7209のプラスチックの吸水率及び沸騰水吸水率試験方法に記載のB法にて行い、試料の元の質量と吸水前後の質量増加分の比としての吸水率を求めた。なお、吸水率は以下の計算式で求めた。
なお、数1において、M1は試料を吸水試験前の乾燥後に測定した質量、M2は吸水したときの試料の質量、M3は水可溶物質を含む場合で試料を再乾燥した時の質量を示している。具体的には、試料を50±2度に保った恒温槽中で24±1時間乾燥し、デシケータ内で放冷後に測定した試料の質量をM1とした。また、室温(20度)の浸漬液(水)をビーカに入れ、各試料を表面が容器に接触しないように浸漬液の中に完全に浸漬させ、24±1時間浸漬後に試料を浸漬液から取り出し、ろ紙にて表面の水分をふき取った後、1分以内に測定した試料の質量をM2とした。また、以上のような吸水試験後の試料を50±2度の恒温槽中で24±1時間乾燥させたときの質量をM3とした。なお、測定は試料の種類毎に3個一組で行い、0.1mgの精度で測定した。そして、3個の試料の質量の平均値を求めて吸水率とした。
次に、上記で求められた吸水率を用いて、両面の曲率半径R=約20mm,軸方向の厚さd=約0.7mm、直径6.0mmの眼内レンズ形状を形成することを想定して、屈折度数の変化量を求めた。
なお、吸水前後での眼内レンズの屈折度数Dは以下の計算式で求められる。
なお、吸水前後での眼内レンズの屈折度数Dは以下の計算式で求められる。
ここで、nは眼内レンズの屈折率の測定値、n´は水の屈折率(n´=1.33)、Rは眼内レンズの曲率半径、dは眼内レンズの厚さ、fは焦点距離である。なお、眼内レンズの屈折率の測定値nは、吸水前後の眼内レンズの屈折率を周知の屈折率計(島津ミルトンロイアッベ屈折率計 3L型)にて測定することで得られる。なお、ここでも3個の試料の平均値を求めて屈折度数を得た。吸水率、屈折率値の変化、度数変化の結果を表2に示す。
(結果)
表2から、比較例3の眼内レンズ用材料に比べて、実施例3の眼内レンズ用材料の方が吸水前後の変化量が小さくなることが分かる。眼内レンズ承認基準(薬食発第0401036号、又は、ISO11979‐2(Optical properties and test methods 4,2 Dioptic power))では眼内レンズの度数が20〜30Dの場合にその設計公差が±0.35D以内とされる。表2の比較例3ではグリスニング抑制効果はあるものの、吸水前後の度数変化が許容公差と略一致してしまうため、眼内レンズの製造時の精度がより厳しくなることが分かる。本実施形態の実施例3の眼内レンズ用材料では、グリスニング抑制効果が非常に大きいとともに吸水前後における度数変化も小さく、より実用に適した材料であることが言える
表2から、比較例3の眼内レンズ用材料に比べて、実施例3の眼内レンズ用材料の方が吸水前後の変化量が小さくなることが分かる。眼内レンズ承認基準(薬食発第0401036号、又は、ISO11979‐2(Optical properties and test methods 4,2 Dioptic power))では眼内レンズの度数が20〜30Dの場合にその設計公差が±0.35D以内とされる。表2の比較例3ではグリスニング抑制効果はあるものの、吸水前後の度数変化が許容公差と略一致してしまうため、眼内レンズの製造時の精度がより厳しくなることが分かる。本実施形態の実施例3の眼内レンズ用材料では、グリスニング抑制効果が非常に大きいとともに吸水前後における度数変化も小さく、より実用に適した材料であることが言える
Claims (4)
- 成分Aとして芳香族環含有(メタ)アクリレート、成分Bとしてアルキル(メタ)アクリレート(ただし、ヒドロキシル基を含まない)、成分Cとして架橋剤、成分Dとしてカルボキシル基またはリン酸基を持つアニオン性モノマー、を含有した重合成分を重合させて得られる重合体からなる眼内レンズ用材料であって,前記重合成分は、前記成分A乃至成分Cの合計量100重量部に対して、前記成分Dが10〜45重量部であることを特徴とする眼内レンズ用材料。
- 請求項1の眼内レンズ用材料において、前記成分Bはアルキルメタクリレートとアルキルアクリレートの混合モノマーであることを特徴とする眼内レンズ用材料。
- 請求項2の眼内レンズ用材料において、前記成分Dのアニオン性モノマーはアクリル酸であることを特徴とする眼内レンズ用材料。
- 請求項3の眼内レンズ用材料は、さらに重合成分として紫外線吸収剤が含まれていることを特徴とする眼内レンズ用材料。
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