JP7253139B2 - 軟質眼内レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、軟質眼内レンズに関する。
従来より、白内障の治療や、近視や乱視を矯正する目的で、眼球に軟質のレンズ(眼内レンズ、Intraocular Lens:IOL)を挿入する治療法が広く採用されている。この軟質眼内レンズは、典型的には、屈折力を発現する光学部と、光学部の位置を眼球内で固定するための支持部とを備えている。眼内レンズの挿入に際しては、例えば、光学部と支持部とが一体成形された1ピース型の眼内レンズを用意し、インジェクタと呼ばれる挿入器具を使用して、眼内レンズを折り畳んだ状態で嚢内に挿入する。挿入された眼内レンズは、嚢内で再び元の形状に復元し、支持部を嚢に押し当てることで嚢内での位置を安定させる。このような軟質眼内レンズに関する従来技術の一例として、特許文献1が挙げられる。
特開2002-017845号公報
ところで、軟質眼内レンズは、角膜に形成した切開創から眼球の嚢内に挿入される。この切開創の寸法は、近年では2mm程度にまで縮小されており、眼内レンズには、従来にも増して小さく折り畳める高い柔軟性と形状回復性とが求められている。しかしながら、従来の軟質眼内レンズには、このような柔軟性および形状回復性と、インジェクタでの押圧に耐える強度とのバランスに改善の余地があった。
本出願は、上記従来技術の事情に鑑み、インジェクタによる挿入に適した強度と柔軟性および形状回復性とをバランスよく備える軟質眼内レンズを提供することを目的とする。
ここに開示される技術によって提供される軟質眼内レンズは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを主成分とする重合性のモノマー成分の共重合体からなる。そして上記モノマー成分は、フェノキシエチルアクリレートを42質量%以上62質量%以下、n-ブチルメタクリレートを35質量%以上55質量%以下、および、メチルメタクリレートを3質量%以上10質量%以下、の割合で含む。
例えば特許文献1に記載の軟質眼内レンズは、インジェクタ内での折り畳みが容易で、また、嚢内への挿入後は短時間で形状回復する柔軟性に優れたものであった。しかしながら、より小さな切開創から眼内にレンズを挿入するために、軟質眼内レンズは、インジェクタ内ではより小さく折りたたまれた状態を維持し、かつ、眼内に挿入後は速やかに開放する特性を備えることが有用である。さらに、より小さく折りたたまれた状態においても、インジェクタのプランジャとの接触によりレンズが破損しない強度が必要とされる。上記の構成の眼内レンズによると、折り畳みのための柔軟性はそのままで、強度(例えば破断強度)やゴム弾性といった耐性が向上されている。これにより、インジェクタによる嚢内への挿入に適した適度な強度と形状回復性とがバランスよく実現された軟質眼内レンズが実現される。
ここに開示される軟質眼内レンズの好ましい一態様において、上記モノマー成分は、さらに、次式:CH=CH-COO-R;で表されるモノマー成分を1質量%以上10質量%以下の割合で含む。ただし、式中のRは炭素数が2~8の直鎖、分岐鎖または環状の官能基である。このような構成によって、モノマー成分の配合に柔軟性を持たせて、上記の特性を備える軟質眼内レンズを作製することができる。
ここに開示される軟質眼内レンズの好ましい一態様において、国際ゴム硬さが、30以上40以下である。上記組成の軟質眼内レンズがこのようなゴム硬さを備えることにより、柔軟ながらも適度なゴム硬度を備える軟質眼内レンズを実現することができる。その結果、例えば、インジェクタからの射出途中には展開が抑制されて、射出後に速やかに回復する軟質眼内レンズが実現される。
ここに開示される軟質眼内レンズの好ましい一態様において、直径が6mmで度数が30Dとなるように成形したとき、当該直径方向に直径方向の距離が3mmとなるように湾曲させるのに要する荷重が2N以下である。メチルメタクリレート(MMA)を含むレンズは、一様に硬質となりやすい。しかしながら、上記の組成のモノマー成分を共重合させることにより、脆くなりすぎることなく破断強度を高めることができ、小さな荷重でクラックを発生させることなく容易に湾曲させることができる。
一実施形態に係る1ピース型の軟質眼内レンズの構成を模式的に説明する(a)平面図と(b)側面図である。 一実施形態に係る軟質眼内レンズのインジェクタによる射出時の挙動(a)~(c)を説明する模式図である。 各例の軟質眼内レンズ材料に係るMMA成分の含有量と、ガラス転移点(Tg)との関係を示すグラフである。 各例の軟質眼内レンズ材料に係る荷重と伸びとの関係を示すグラフである。 (a)(b)は、軟質眼内レンズの折曲試験の方法を説明する模式図である。 折曲試験による各例の軟質眼内レンズの折曲荷重を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(軟質眼内レンズのモノマー組成や物性等)以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄(軟質眼内レンズの形状や製法等の一般的事項)は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と、出願時の技術常識とに基づいて、当業者は理解することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、数値範囲を示す「A~B」との表記は、特にことわりのない限り、「A以上B以下」を意味するものとする。
図1は、一実施形態に係る1ピース型の軟質眼内レンズ1の構成を説明する図である。図1の(a)は軟質眼内レンズ1の平面図であり、(b)はその側面図である。軟質眼内レンズ1は、所定の屈折力を有する光学部10と、光学部10を眼球内で支持するための一対の支持部20とを備えている。本例の光学部10と支持部20とは、同一の原料樹脂組成物から一体的に成形されている。
光学部10は、例えば平面視で、概ね直径Dが5.5mm~7mm程度、典型的には6mm程度の円形を有している。光学部10の直径D方向に直交する方向を、厚み方向という。また、光学部10は、側面視で、例えば両面に(厚み方向の両側に)向けて突出した両凸レンズ形状を有している。光学部10の厚みや表面形状は、光学部10を構成する材料の屈折率と、光学部10に求められる所望の屈折力(光学的作用)等に基づいて決定することができる。光学部10の厚みは、円形の光学部10の中心Oにおいて、例えば、300μm以上、一例として400μm以上であって、例えば800μm以下、一例として700μm以下、典型的には600μm程度(±10%程度)である。しかしながら、光学部10の形状はこれに限定されない。光学部10の形状は、例えば、平面視で楕円形や類楕円形であってよい。また、光学部10の形状は、例えば側面視で、一方の面のみが突出し、他方の面は平坦な平凸レンズ形状であってよく、あるいは、一方の面が突出し、他方の面は凹んだ凸メニスカスレンズ形状等であってもよい。
支持部20は、光学部10の周縁から外方に向けて突出するように形成されている。一対の支持部20は、光学部10の中心Oを対称軸として、点対称となるように光学部10に対して形成されている。支持部20は、一端が自由端のループ形状を有している。支持部20は、光学部10との接続部の近傍において、レンズ部の平面内で大きく屈曲した屈曲部20aをそれぞれ備えている。支持部20は、屈曲部20aにおいて、自由端部を中心Oに近づける方向にさらに屈曲可能に構成されている。一対の支持部20の自由端の間の距離(最大寸法)Lは、例えば11.5mm~13.5mm程度であり、典型的には12mm~13mm程度である。しかしながら、支持部20の形状はこれに限定されない。光学部10および支持部20は、同一の材料によって構成されていてもよいし、異なる材料によって構成されていてもよい。ここに開示される軟質眼内レンズ1は、例えば、光学部10および支持部20がともに、同一の軟質眼内レンズ材料によって構成されていてもよい。
このような軟質眼内レンズ1は、例えば図2に示すように、インジェクタ50と呼ばれる眼内レンズ挿入器を用いて、眼内に挿入される。ここで、一般に、軟質眼内レンズ1は、カートリッジ60に装填された状態で、インジェクタ50に装着される。インジェクタ50は、注射器に似た構成であって、例えば筒状のインジェクタ本体52と、インジェクタ本体52の先端に備えられたカートリッジ装着部54と、インジェクタ本体52に挿入可能であってカートリッジ60に装填された軟質眼内レンズ1を押し出すためのプランジャ56とを備えている。また、カートリッジ60は、プランジャ56により円筒軸方向に押された軟質眼内レンズ1を湾曲させて折り畳み、折り畳んだ形状でカートリッジ60から射出するための、略ホーン状の射出口(ノズル)62を備えている。
軟質眼内レンズ1を眼内に挿入するときは、まず、軟質眼内レンズ1を装填したカートリッジ60をインジェクタ50のカートリッジ装着部54に装着する。そして、必要に応じて、カートリッジ60内での軟質眼内レンズ1の移動を円滑にする潤滑剤をカートリッジ60の内部に供給したのち、インジェクタ本体52を持って射出口62を切開創から嚢内に挿入する。次いで、プランジャ56をインジェクタ本体52にゆっくりと挿入し(または、ネジ回転させて)、プランジャ56で軟質眼内レンズ1を射出口62の内部に押し進めて、射出口62内で軟質眼内レンズ1を折り畳む。引き続き、プランジャ56をゆっくりと挿入することで、射出口62から折り畳まれた軟質眼内レンズ1を嚢内に射出することができる。軟質眼内レンズ1が完全に押し出されたら、インジェクタ本体52を持って射出口62を嚢から引き抜く。嚢内に挿入された軟質眼内レンズ1は、折り畳まれた状態からゆっくりと元の円盤状に回復する。軟質眼内レンズ1の支持部20が十分に伸びて嚢の周縁に押し当てられることで、光学部10の位置が嚢内で適切に調製される。これにより、眼球に軟質眼内レンズ1を適切に挿入することができる。
ここで、軟質眼内レンズは、重合性を有するモノマー成分を共重合させた共重合体により構成されている。軟質眼内レンズを構成するためのモノマー成分は、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを主成分としている。ここで、主成分とは、軟質眼内レンズを構成するためのモノマー成分の全量を100質量%としたとき、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを合計で、85質量%以上含むことを意味する。アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの合計量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上であってよい。
そして本技術に係る軟質眼内レンズは、上記のモノマー成分として、(A)フェノキシエチルアクリレート(Ethylene Glycol Monophenyl Ether Acrylate:EGPEA)を42質量%以上62質量%以下、(B)n-ブチルメタクリレート(Butyl methacrylate:BMA)を35質量%以上55質量%以下、および、(C)メチルメタクリレート(Methyl methacrylate:MMA)を3質量%以上10質量%以下、の割合で含有している。
フェノキシエチルアクリレートは、分子構造内に芳香族環を有することから、眼内レンズに求められる高い屈折率を実現できる。また、フェノキシエチルアクリレートは、共重合体のTgを低下させる作用を有するとともに、例えば室温領域において軟質眼内レンズに柔軟性を付与することができる。そして、特にフェノキシエチルアクリレートは、後述するBMAとともにMMAと組み合わせて共重合体を形成したときであっても、その柔軟性を失うことなく発現することができる。かかる観点において、ここに開示される軟質眼内レンズは、主体となるモノマー成分の一つとしてフェノキシエチルアクリレートを用いるようにしている。
全モノマー成分に占めるフェノキシエチルアクリレートの割合は、軟質眼内レンズに高い屈折率を付与し、かつ、十分にTgを低下させるとの観点から、40質量%以上とするとよい。フェノキシエチルアクリレートは、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは47質量%以上であり、例えば50質量%以上であってよい。しかしながら、フェノキシエチルアクリレートの割合が62質量%を超えると、得られる眼内レンズのガラス転移点は下がるものの、曲げに対する反発力が強くなりすぎるために好ましくない。フェノキシエチルアクリレートの割合は、好ましくは57質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、例えば54質量%以下や、53質量%以下であってよい。
n-ブチルメタクリレートは、フェノキシエチルアクリレートを多く含む共重合体に対し、適度な硬さを付与することができる。かかる観点において、ここに開示される軟質眼内レンズは、主体となるモノマー成分の一つとしてn-ブチルメタクリレートを用いるようにしている。全モノマー成分に占めるn-ブチルメタクリレートの割合は、35質量%以上とするとよく、好ましくは36質量%以上であり、より好ましくは37質量%以上である。しかしながら、n-ブチルメタクリレートの割合が55質量%を超えると、眼内レンズが脆くなって光学部の周縁部等にクラックが生じやすくなるために好ましくない。n-ブチルメタクリレートの割合は、例えば後述のメチルメタクリレートの割合にもよるが、典型的には50質量%以下であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下、例えば39質量%以下であってよい。
メチルメタクリレートは、一般にハードレンズの原料として知られ、分子量が小さいことからTgを効果的に高め、重合体における粘着性の低下や、硬度や強度の顕著な上昇、延性の低下といった作用を有する。しかしながら、詳細は明らかではないが、ここに開示される軟質眼内レンズにおいて、MMAは、例えばフェノキシエチルアクリレートを多く含む共重合体に対して特定の割合で添加されることで、その柔軟性を維持したまま、延性や引張強度、ゴム弾性といった、これまでに知られていない機械的特性を効果的に発現し得ることが明らかとなった。換言すれば、眼内レンズは、脆さを発現することなく、その靱性や展延性を高めることができる。メチルメタクリレートは、少量でも含まれることで上記の効果を発現し得る。したがって、全モノマー成分に占めるメチルメタクリレートの割合は、0質量%を超過していればよいものの、例えばインジェクタによる射出に適した特性を備える軟質眼内レンズを実現するとの観点からは、3質量%以上とするとよい。メチルメタクリレートの割合は、好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、例えば6質量%以上であってよい。しかしながら、メチルメタクリレートは少量の含有で共重合体の性状に大きな影響を与え、得られる眼内レンズの硬度を高めすぎるために好ましくない。メチルメタクリレートの割合は、例えば10質量%以下とするのが適当であり、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下とすることができる。
ここに開示される軟質眼内レンズ1は、以上のようなバランスで(A)フェノキシエチルアクリレートと(B)n-ブチルメタクリレートと(C)メチルメタクリレートとを含むことで、強度と柔軟性および形状回復性とをバランスよく備えることができる。その結果、この軟質眼内レンズ1は、インジェクタ50によってスムーズに折り曲げることができ、また、インジェクタ50からの射出時には折り畳み形状を維持しながら、眼内に完全に射出されると速やかに解放される。このような挙動によって、眼球の切開創を損傷させることなく、スムーズに軟質眼内レンズ1を挿入することができる。また、挿入後に軟質眼内レンズ1の形状回復までの時間が短縮されて、ストレスを低減して軟質眼内レンズ1を眼球に挿入することができる。
なお、モノマー成分は、上記(A)~(C)の他に、さらに、(A)~(C)とは異なる他のアクリル系モノマー成分を含むことができる。このような他のアクリル系モノマーとしては、例えば、次式:CH=CH-COO-R;で表され、Rは炭素数が2~8の直鎖、分岐鎖または環状の官能基であるモノマーが挙げられる。このような他のアクリレートとしては、例えば、具体的には、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、tert-ペンチルアクリレ-ト、ヘキシルアクリレート、2-メチルブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート等の直鎖状、分岐鎖状のアルキルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等の環状のアルキルアクリレート、フェニルアクリレート、2-フェニルエチルアクリレート等の芳香族環含有アクリレート等が挙げられる。これらのアクリル系モノマー成分は、いずれか1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
その他のアクリル系モノマーは、少しでも含むことで、上記(A)~(C)のモノマー成分の配合を柔軟に変化させることができる。例えば、他のアクリル系モノマー成分としてn-ブチルアクリレートを含むことで、(C)メチルメタクリレートの作用を好適に緩和させることができ、例えば(C)メチルメタクリレートによる硬度上昇を抑制して柔軟性を維持することができる。また例えば、他のアクリル系モノマー成分としてフェニルアクリレートを含むことで、(A)フェノキシエチルアクリレートの割合を相対的に低減させることができる。このような他のアクリレートの割合は、上記の(A)~(C)のモノマー成分のバランスにもよるため一概にはいえないが、0質量%を超えて含むことができ、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、例えば3質量%以上であってよい。なお、他のアクリル系モノマー成分の過剰な含有は、ここに開示される眼内レンズ1の特徴を損ねうるために好ましくない。他のアクリル系モノマー成分の割合は、例えば、10質量%以下とするのが適当であり、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。例えば、この軟質眼内レンズは、後述する添加剤成分の他に、(A)~(C)のモノマー成分と、上記の他のアクリル系モノマー成分以外の重合性モノマー成分を含まない構成であってよい。例えば、一例として、(A)EGPEA、(B)BMA、(C)MMA、およびBAのみからなるモノマー成分と、後述の添加剤成分との共重合体であってもよい。また、ここに開示される軟質眼内レンズは、親水性モノマー成分は含まない構成であってよい。
軟質眼内レンズは、上述の重合性のモノマー成分の他に、この種の軟質眼内レンズの構成原料として知られている成分(添加剤成分)を含むことができる。そのような添加剤成分は、架橋剤や、重合開始剤、紫外線吸収剤、着色剤等である。
架橋剤は、上述の重合性のモノマー成分を連結して硬化させる。架橋剤としては、架橋性を有する重合性のモノマー成分を好ましく用いることができる、例えば、架橋性(メタ)アクリレートを特に制限なく使用することができる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとを包含する用語である。架橋性(メタ)アクリレートとしては、2官能(メタ)アクリレートや、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートであってよく、例えば、具体的には、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレーが挙げられる。なかでも、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのいずれかを用いることが好ましい。なお、これに限定されるものではないが、架橋性(メタ)アクリレートの割合は、モノマー成分の総量を100質量%としたとき、1質量%以上程度であって10質量%以下程度を目安とするとよい。
また、重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル類やアミン類からなるラジカル重合開始剤を好ましく用いることができる。一例として、具体的には、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート等に代表される重合開始剤を用いることができる。これらは、上記の重合性のモノマー成分との関係から適宜配合量を決定することができる。例えば、重合性のモノマー成分100質量部に対して、約0.01~1質量部程度の範囲で含むことができる。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収能を有するモノマー成分を含むことができる。水晶体は紫外線を透過させ難い性質を有するのに対し、軟質眼内レンズは紫外線を透過し得るため、網膜を損傷する危険性がある。そこで、紫外線吸収能を有する紫外線吸収性モノマー成分を含むことで、軟質眼内レンズを構成する共重合体に対し、紫外線吸収能を付与することができる。これにより、網膜の損傷を抑制したり、また、黄斑変性症等といった紫外線に由来する眼病が発生するリスクを低減することができる。なお、「紫外線吸収能を有するモノマー」とは、紫外線吸収能を有する官能基を有するモノマー全般を意味する。また、紫外線吸収能を有する官能基としては、紫外線領域に吸収スペクトルを有する一群の機能原子団を意味する。このような紫外線吸収能を有する官能基は、広く紫外線吸収剤として用いられる紫外線吸収性化合物のアルキル残基やカルボン酸残基、アルコール残基、アミノ残基、アシル基などの総称であり得る。一例では、紫外線吸収性官能基としては、広く紫外線吸収性化合物中のカルボキシル基や水酸基、アミノ基などから水素原子を除いた原子団や紫外線吸収性化合物中のアシル基等を包含する。より具体的には、紫外線吸収性モノマー成分としては、ベンゾトリアゾール系モノマー成分、ベンゾフェノン系モノマー成分、サリチル酸系モノマー成分、シアノアクリレート系モノマー成分を好ましく用いることができる。
紫外線吸収性モノマー成分は、重合成分の総量を100質量部としたとき0.1~1質量部程度の割合で含まれることが適切と考えられる。紫外線吸収性モノマー成分の割合が0.1質量%よりも少なすぎると、上記の軟質眼内レンズの紫外線吸収能が低くなりすぎて有効に機能しない可能性があるからである。また、紫外線吸収性モノマー成分の割合が1質量%よりも多すぎると、上記の軟質眼内レンズが物性変化や経時変化等により変色する可能性があるためである。紫外線吸収性モノマー成分の割合は、典型的には0.15~0.7質量%程度、例えば0.2~0.5質量%程度がより好適である。
また、水晶体は黄色味を帯びているため、反対色である青色光の透過を一部抑制する性質を有する。したがって、ここに開示される軟質眼内レンズについても黄色系色素や赤色系色素等により着色されて、色覚調整が施されていることが好ましい。このような着色剤としては、この種の軟質眼内レンズの着色剤として使用されている公知のアゾ系化合物、ピラゾール系化合物等を適宜使用することができる。これらは、上記の重合性のモノマー成分との関係から適宜配合量を決定することができる。例えば、重合性のモノマー成分100質量部に対して、約0.001~0.1質量部程度の範囲で含むことができる。
軟質眼内レンズ1を作製する方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の、公知の(メタ)アクリレート共重合体の合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。中でも、例えば、上記重合成分が適宜配合された混合モノマー組成物を重合させる、溶液重合法を好ましく用いることができる。また、軟質眼内レンズ1の成形には、いわゆるキャストモールド製法や旋盤切削法(lathe cutting)等の従来公知の成形方法を適宜採用することができる。例えば、キャストモールド製法では、具体的には、目的の軟質眼内レンズ1の形状に対応したキャビティ(空隙)を備える鋳型を用意し、この鋳型に原料組成物(原料モノマー溶液)を供給して、鋳型内で原料組成物を重合させるとよい。また例えば、切削法では、具体的には、目的の軟質眼内レンズ1の組成に対応した混合モノマー組成物をシート状(板状等を含む。)に重合させ、重合したシート状の軟質眼内レンズ材料を切削することで所望の形状の軟質眼内レンズ1に加工するとよい。切削は、シート状の軟質眼内レンズ材料を凍結して実施するとよい。なお、軟質眼内レンズ1の形状は多様であり、切削工程も多様な工程により実行することができる。このような観点から、ここに開示される軟質眼内レンズ1は、目的の最終形状を備えない軟質眼内レンズ(すなわち軟質眼内レンズ材料)をも包含するものとして把握することができる。例えば、ここに開示される軟質眼内レンズ1は、切削加工前のシート状の軟質眼内レンズ材料をも包含することができる。
以上のここに開示される軟質眼内レンズ1は、インジェクタ50による眼球への挿入が特に好適に実施できるように構成されている。したがって、高い柔軟性はそのままに、脆さを克服して強度が改善されている。また、軟質眼内レンズ1は、射出口62によって一部にでも折り畳み形状を保持する力が作用している場合はその折り畳み形状を維持し、射出口62による保持力が解消すると速やかに形状回復する。このことによって、射出時の軟質眼内レンズ1と射出口62との接触抵抗を低減することができ、軟質眼内レンズ1の早期の回復による切削創への干渉を抑制することができる。このような軟質眼内レンズ材料の性状は、例えば、国際ゴム硬さが30以上40以下のものとして好適に実現することができる。これにより、インジェクタ50のプランジャ56によって光学部10の周縁の簿肉部を押圧された場合であっても、当該押圧部にクラック等が入ることなく、破断や損傷が抑制され得る。
また、ここに開示される軟質眼内レンズ材料は、引張強度についても改善されている。このことにより、上記のとおりプランジャ56によって光学部10の周縁の簿肉部を局所的に押圧された場合であっても当該押圧部が延伸し、破断や損傷が好適に抑制される。このような引張強度は、例えば、MMAを含まない軟質眼内レンズと比較して、引張破断強度や破断伸度が向上されていることによって確認することができる。一例として、(A)EGPEAを53.9質量部、BMAを39.7質量部、BAを4.0質量部の配合で含み、MMAは含まないモノマー成分を共重合させることにより得られる公知の軟質眼内レンズと比較して、引張破断強度は120%以上(好ましくは150%以上、より好ましくは180%以上)向上され、また、破断伸度は110%以上(好ましくは115%以上、より好ましくは120%以上)向上され得る。
その結果、ここに開示される軟質眼内レンズ1は、インジェクタ50からの射出後の回復時間が適切に短縮されている。すなわち、軟質眼内レンズ1は、カートリッジ60の射出口62によって折り畳み形状を保持する力が作用している間は、折り畳み形状を維持して回復を抑制するが、射出口62による保持力が解消されると速やかに形状回復する。その結果、軟質眼内レンズ1が、インジェクタ50から完全に射出されたときから、折り畳み形状が平坦に完全に回復するまでの回復時間が、例えばおおよそ30~60秒間(好ましくは、おおよそ30~50秒間)に調整されている。これにより、軟質眼内レンズ1が過度に柔軟であって、インジェクタ50からの射出時に軟質眼内レンズ1または切開創に損傷をもたらすことなく、眼球への挿入を円滑に行うことができる。
以下、本技術に関するいくつかの実施例を説明するが、本技術をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
[試験例1]
重合成分として、下記の重合性モノマーを表1に示す配合で用意し、架橋剤、紫外線吸収剤および重合開始剤を加えて均一に混合することで、例1~4の眼内レンズ用原料組成物を用意した。そしてこの原料組成物を、反応器内に流し込み、60℃で12時間、100℃で12時間の条件で重合させることで、例1~4の眼内レンズの評価用試料を得た。
なお、重合性モノマーとして、以下の4種を用いた。また、架橋剤としては1,4―ブタンジオールジアクリレート(BDDA)を、紫外線吸収剤としては2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリリロキシプロピル-3’-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(UV-X)を、重合開始剤としては2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いた。
EGPEA :エチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート
BMA :n-ブチルメタクリレート
BA :n-ブチルアクリレート
MMA :メチルメタクリレート
[基本特性]
各例の評価用試料について、屈折率とガラス転移点(Tg)とを測定した。屈折率は、デジタル屈折計(株式会社アタゴ製、RX-7000i)を用い、室温(23℃)にて測定した。また、ガラス転移点は、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、DSC6220)を用い、測定温度を-50℃から200℃の範囲として熱分析することで求めた。これらの結果を、下記の表1の「屈折率」および「Tg」の欄と、図3とに示した。ただし、図3には、MMA量を例1~4以外の配合に変化させた試料についてのデータも示している。
[引張試験]
各例の評価用試料について、折曲時の柔軟性を評価する指標として、引張特性を調べた。具体的には、各例の評価用試料から試験片を切り出し、JIS K7161:2014に準じて引張試験を実施して、試験片が破断するまでの引張荷重-伸び特性を求めた。なお、試験片としては、厚さ3mmのシートから、両端のタブ部の幅10mm、中央の平行部の幅5mm、平行部の長さ25mm、肩部を線状に設けたダンベルタイプの試験片を用意した。引張試験機としては、(株)井元製作所製の多目的材料試験機を用い、23~25℃の環境下、標線間距離25mm、試験速度100mm/min、N=4の条件で試験した。その結果、得られた伸び-応力特性(代表)を図4に示した。また、引張応力-ひずみ特性から破断強度、最大伸び、破断伸度(引張破壊時の伸び率)とを算出し、下記の表1の「破断強度」、「最大伸び」、「破断伸度」の欄にそれぞれ示した。なお、破断強度は、試験片の破断時の荷重を、試験前の試験片の標線間の断面積で除した値であり、引張破壊応力に対応する。最大伸びは、引張試験機のチャックに固定されたダンベル型引張試験片の、標線間距離の最大変化量である。破断伸度は、試験片の破断時の標線間距離の増加量(=最大伸び)を試験前の標線間距離に対する割合(%)で表した値である。
[レンズ折曲試験]
各例の評価用試料を凍結させて切削加工することにより、眼内レンズの光学部を形成して評価用レンズを用意した。そしてこの評価用レンズについて、所定量の折曲げに要する荷重を測定することで折曲げ硬さを調べた。折曲荷重は、図5の(a)に示すように、テーブル圧縮試験機を用い、レンズ成形体の光学部の直径方向に荷重を加えることでレンズを断面U字形に湾曲させ、(b)に示すように、当該直径方向の端部間の距離が3mmとなったときの荷重を測定した。なお、評価用レンズは、光学部の直径を6mmとし、上記で測定した屈折率に応じて度数が10D、20D、30Dとなるように、各例で3通りを用意した。各評価用レンズの折曲荷重の測定結果を、図6に示した。また、3通りの度数のレンズのうちの20Dのレンズについての折曲げ荷重を、下記の表1の「折曲硬さ」の欄に示した。
Figure 0007253139000001
[評価]
各例の眼内レンズの評価用試料は、表1および図3に示されるように、MMAの割合に概ね対応してTgおよび屈折率が変化することがわかった。MMAの割合が0~20質量%の範囲では、全ての評価用試料の屈折率が1.514~1.519の範囲に収まり、眼内レンズ材料として適切な値であることが確認された。また、ガラス転移点については、全ての評価用試料のTgがヒトの体温よりも十分低いことが確認された。ただし、眼内レンズが室温近傍で安定して柔軟性を発現するには、Tgは15℃以下程度であることが好ましいことから、MMA量は13質量%よりも少ない方がよいといえる。
また、MMAの含有量によって、各試料の引張伸び特性にも大きな影響があることがわかった。図4に示すように、MMAを含まない例1の試料に対して、MMAを含む試料については、MMAの添加量に応じて延伸性が大きく高められることがわかった。MMAは、ハードレンズの原料として知られているように、レンズ材料の硬度や強度を高める作用がある。MMAを少量でも添加することで、破断強度、最大伸びおよび破断伸度の全てが顕著に高められることが確認できた。また、具体的には数値を示していないが、MMAの含有量によって各例の試料の弾性率(弾性変形時の荷重-伸び曲線の傾き)も大きく変化し得ることがわかった。ここで、レンズ用材料の弾性率は、インジェクタからレンズを射出する際の、レンズ折曲げのための負荷と関連する。レンズの弾性率が高いほど、インジェクタのプランジャを押し込む際に力を要する。図4の弾性変形時の荷重-伸び曲線から、例2の試料は、例1の試料と荷重-伸び曲線の形状が殆ど変わらないまま、破断強度等が高められているのに対し、例3および例4の試料は、弾性変形時の荷重-伸び曲線の傾きから大きく変化することがわかった。インジェクタによる眼内レンズの射出をスムーズに実施するためには、MMA量は例3の13質量%よりも少ない方がよいといえる。
MMAの含有量は、表1および図6に示すように、眼内レンズ成形体の折曲げ特性にも大きく影響を及ぼすことがわかった。上記の引張試験の結果からもわかるように、各例の評価用試料はいずれも十分な柔軟性を有していた。そのため、全ての眼内レンズ成形体について、折曲げ試験時に座屈したり、意図しない変形を生じることなく、安定してU字状に変形することが確認された。そしてこのときの折曲げに要する荷重は、眼内レンズ成形体の度数(厚み)とMMAの含有量とにより大きく異なる結果となった。インジェクタからの眼内レンズの射出操作において、術者がストレスなくレンズを折り曲げられる荷重を考慮すると、折曲荷重はおおよそ2N以下が望ましい。MMAの含有量が13質量%の例3の場合眼内レンズの度数に依らずに安定して軽い力で折曲げ可能な眼内レンズとするには、MMAの含有量は13質量%よりも少なくすることが好ましいといえる。
[試験例2]
重合成分として、下記の重合性モノマーを表2に示す配合で用意し、架橋剤、紫外線吸収剤、重合開始剤および着色剤を加えて均一に混合することで、例2-1~2-6の眼内レンズ用原料組成物を用意した。そしてこの原料組成物を、反応器内に流し込み、60℃で12時間、100℃で12時間の条件で重合させることで、例2-1~2-6の眼内レンズの評価用試料を得た。なお、重合性モノマー、架橋剤、紫外線吸収剤および重合開始剤としては、試験例1と同様の化合物を用いた。また、着色剤としては、この種の眼内レンズの着色に用いられている黄色染料と赤色染料とを併用し、配合量は合計で0.01質量%に満たないために表2には示していない。なお、試験例2における例2-1および例2-3は、4種の重合性モノマーの配合が、試験例1の例1と例2にそれぞれ対応している。
[ゴム硬さ]
各例の評価用試料について、国際ゴム硬さ(IRHD)を測定した。具体的には、評価用試料から1.5cm角の試験片を切り出し、ISO48:2010(JIS K6253-2)のM法(中硬さ用マイクロサイズ試験)に準じて、平面硬さを測定した。デュロメータとしては、(株)テクロック製のGS-680sel(JIS K6253:2012に規定されるタイプAデュロメータ)を用い、試験片を温度:21~23℃、湿度:30~70%RHの試験環境で1時間以上慣らしたのち、試験数:n=5にてゴム硬さを測定した。得られた国際ゴム硬さから算術平均値を算出し、下記表2の「IRHD」の欄に示した。なお、IRHDは下限が「30」であり、IRHD30未満の硬度については測定できないため「ND」と表示した。
[引張特性の評価]
各例の評価用試料について、JIS K7161:2014に準じて引張試験を実施した。具体的には、上記で用意した原料組成物を短冊試験片用の金型に流し込み、同様の条件で重合させることで、厚さ1.2mm、幅12mm、長さ75mmの短冊状の試験片を得た。引張試験機としては、(株)島津製作所製の卓上形精密万能試験機(AGS-50NX)を用いた。そして用意した試験片を、温度21~23℃、湿度30~70%RHの試験環境で1時間以上慣らしたのち、標線間距離15mm、試験速度100mm/minとして引張試験を行い、試験片が破断するまでの引張荷重-伸び特性を求めた。そしてこの引張試験の結果から、破断強度と破断伸度とを算出し、下記の表2の「破断強度」、「破断伸度」の欄にそれぞれ示した。
Figure 0007253139000002
[評価]
表2の例2-1~2-5に示されるように、MMAの含有量が増えるにつれてIRHDが高くなる傾向があることが確認された。これは、従来から知られているMMAの高硬度特性によるものと考えられる。IRHDが30に満たないと眼内レンズを形成したときのゴム弾性が弱すぎる場合があり、例えば、インジェクタ内でプランジャによって押圧されたときに薄いレンズの周縁部が破損する虞があった。したがって、IRHDは30以上であるとよい。しかしながら、IRHDが高すぎるとインジェクタ内で眼内レンズを丸める際の抵抗が高くなって操作性が劣る虞がある。したがって、IRHDは40以下程度であることが好ましい。
また、引張特性に関し、例2-2~2-4の試験片の荷重-伸び特性は、例2-1と同様のカーブを描きながらもMMAの含有量が増えるにつれて伸び量が増え、破断強度および破断伸度ともに高くなることがわかった。しかしながら、例2-5に示されるように、MMAの含有量が13質量%と過剰になると、他のモノマー成分とのバランスによっては、破断強度および破断伸度ともに低下することがわかった。引張試験の結果から、MMAの含有量が過剰になると、重合状態(固まり方)そのものが変わり得ると考えられる。これらのことから、MMAの含有量は、13質量%を超えないことが好ましい。また、例2-3と例2-6との比較からわかるように、MMAを含有させる代わりに、メタクリレートであるBMAの量を増やしても、IRHDや破断強度および破断伸度の上昇は見られないことがわかった。添加するアクリレートは、MMAのように炭素鎖が短いことが有効であることがわかった。
[試験例3]
試験例1の例1と例2の評価用試料から評価用レンズを作製し、折り畳み状態からの回復時間を測定した。具体的には、各評価用試料を凍結し、切削加工することにより、支持部を備えるワンピースタイプの評価用眼内レンズを作製した。評価用レンズの光学部の直径は6mm、全長(最大寸法)は13mmとした。そして、この評価用レンズをインジェクタに搭載し、異なる環境温度で水中に射出したときの、評価用レンズの開放に要する時間をそれぞれ測定した。
インジェクタとしては、約2.3mmの切開創から眼内レンズの挿入を可能とする、吐出口の内径が1.85mm×1.75mm(長径×短径の略楕円)のインジェクタを用いた。試験環境温度は、下記の表3に示すように、21±1℃、25±1℃、27±1℃の3通りとし、実験に用いる評価用レンズ、インジェクタ、および水は、いずれもそれぞれの測定環境で2時間以上慣らしてから試験を実施した。開放時間は、評価用レンズの全体がインジェクタから排出されたときから、丸まっている(折り畳まれた)評価用レンズが平面状に完全に形状を回復(解放)するときまでの時間とした。試験はN=5で実施し、開放時間の算術平均値を、下記の表3に示した。
Figure 0007253139000003
例1の眼内レンズは、表3に示されるように、いずれの環境温度においても回復時間が20秒以下と短時間であった。このような短時間での形状回復は、挿入手術に要する時間が短くなる点においては好ましい。しかしながら、例1の眼内レンズは、インジェクタから射出されている途中に開き始めている様子が確認され、インジェクタのノズル先端によって眼内レンズに負荷がかかることがわかった。より小さな切開創から眼内レンズを挿入する際は、眼内レンズがインジェクタから完全に排出されるまで、眼内レンズは折りたたまれた形状を維持することが望ましいと考えられる。このような観点から、本技術では、眼内レンズが射出されてから完全に回復するまでの時間が30秒から60秒程度となる回復挙動を好ましい態様としている。これに対し、例2の眼内レンズは、いずれの環境温度においても回復時間が30秒から60秒の範囲内となり、射出性が良好であることが確認された。また、その回復挙動についても、眼内レンズが一部でもインジェクタのノズル内に残っていてノズルにより拘束される虞があるときには、レンズは折り畳まれたままの形状を維持し、眼内レンズがインジェクタから完全に射出されたタイミング(インジェクタからの拘束力が完全に解消されたタイミング)でレンズは速やかに開くことが確認された。このことから、適量のMMAを含む例2の眼内レンズは、インジェクタからの射出性に適した柔軟性と、適度なゴム硬さおよび形状回復性とを兼ね備えていることが確認された。
以上、本技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 眼内レンズ
10 光学部
20 支持部
20a 屈曲部
50 インジェクタ
60 カートリッジ

Claims (3)

  1. アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを主成分とする重合性のモノマー成分の共重合体からなり、
    前記モノマー成分は、
    フェノキシエチルアクリレートを42質量%以上62質量%以下、
    n-ブチルメタクリレートを35質量%以上55質量%以下
    メチルメタクリレートを3質量%以上10質量%以下、および、
    次式:CH =CH-COO-R (ただし、式中のR は炭素数が2~8の直鎖、分岐鎖または環状の官能基である);で表されるモノマー成分を1質量%以上10質量%以下、
    の割合で含む、軟質眼内レンズ。
  2. 国際ゴム硬さが、30以上40以下である、請求項1に記載の軟質眼内レンズ。
  3. 直径が6mmで度数が30Dとなるように成形したとき、
    前記直径方向に前記直径方向の距離が3mmとなるように湾曲させるのに要する荷重が2N以下である、請求項1または2に記載の軟質眼内レンズ。
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