JP2002017845A - 軟性眼内レンズ - Google Patents
軟性眼内レンズInfo
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- JP2002017845A JP2002017845A JP2000205574A JP2000205574A JP2002017845A JP 2002017845 A JP2002017845 A JP 2002017845A JP 2000205574 A JP2000205574 A JP 2000205574A JP 2000205574 A JP2000205574 A JP 2000205574A JP 2002017845 A JP2002017845 A JP 2002017845A
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Abstract
有し、取り扱い易い軟性眼内レンズを提供する。 【解決手段】 アクリル酸エステルとメタクリル酸エス
テルとを主成分とするモノマー混合物を共重合すること
により得られる軟性眼内レンズにおいて、前記モノマー
混合物中にフェノキシエチルアクリレートが42重量%
〜62重量%、n−ブチルメタクリレートモノマーが3
5重量%〜55重量%存在する。
Description
挿入する軟性眼内レンズに関する。
出した後、水晶体の代わりとして眼内レンズを挿入する
手法が一般的に用いられている。眼内レンズを挿入する
には、はじめに眼球に眼内レンズを挿入するための切開
創を設け、この切開創より内部の白濁した水晶体を超音
波白内障手術装置等にて破砕して吸引しておき、次に水
晶体があった場所に眼内レンズを切開創より挿入する。
られる切開創は、その切口が大きいと眼球に負担が掛か
ると同時に術後の乱視等の原因となる可能性がある。こ
のため、小さな切開創にて軟性の眼内レンズを鑷子等の
挿入器具によって折り曲げて挿入することにより眼球へ
の負担を減らすようにしている。なかでも非含水性のア
クリル系素材を使用した軟性眼内レンズが数多く使用さ
れている。
性のアクリル系素材の眼内レンズはレンズ自体に粘着性
を有するものが多く、挿入器具にくっついてしまった
り、折り曲げた際に光学部同士がくっついてしまうた
め、その取り扱いが難しいという問題があった。
967093号に粘着性を抑制した眼内レンズが開示さ
れている。しかしながら、ここで開示される眼内レンズ
は粘着性の除去という問題は解決されているが、解放時
間が20〜60秒と長く、迅速な手術に対応することが
できない。
作に追従した解放挙動を有し、取り扱い易い軟性眼内レ
ンズを提供することを技術課題とする。
に、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とす
る。
酸エステルとを主成分とするモノマー混合物を共重合す
ることにより得られる軟性眼内レンズにおいて、前記モ
ノマー混合物中にフェノキシエチルアクリレートが42
重量%〜62重量%、n−ブチルメタクリレートモノマ
ーが35重量%〜55重量%存在することを特徴とす
る。
式(1)
アルキル基である)で示されるアクリレートモノマーを
1重量%〜10重量%含むことを特徴とする。
n−ブチルアクリレートであることを特徴とする。
ニルエチルアクリレートモノマーを1重量%〜10重量
%含むことを特徴とする。
は、紫外線吸収材を0.1重量%〜3重量%含むことを
特徴とする。
る。
キシエチルアクリレートとn−ブチルメタクリレートと
を主成分とした共重合物である。この軟性眼内レンズは
アクリル系の眼内レンズが有する特有の粘着性が非常に
少ない。また、この軟性眼内レンズは挿入器具にて折り
曲げた眼内レンズを眼内で開かせる解放動作に追従した
解放速度が得られるものである。
アクリレートのモノマーの組成比は、好ましくは40重
量%〜62重量%であり、より好ましくは52重量%〜
56重量%である。フェノキシエチルアクリレートのモ
ノマーが40重量%未満の場合、共重合によって得られ
る眼内レンズのガラス転移温度(Tg)が低くならず、
室温での折り曲げ易さに影響を及ぼす。
2重量%を超えると、得られる眼内レンズのガラス転移
温度は下がるが、眼内レンズ自体に生じる粘着性が増す
とともに反発力も強くなってしまう。
成比は、好ましくは35重量%〜55重量%であり、よ
り好ましくは38重量%〜40重量%である。n−ブチ
ルメタクリレートのモノマーが35重量%未満の場合、
眼内レンズ自体に生じる粘着性が増してしまう。また、
n−ブチルメタクリレートのモノマーが50重量%を超
える場合、共重合によって得られた眼内レンズのガラス
転移温度(Tg)が低くならず、室温での折り曲げ易さ
に影響を及ぼす。また、軟性眼内レンズの劣化が生じ易
い。
ートとn−ブチルメタクリレートの配分比を調節するこ
とにより、ガラス転移温度を低くさせつつ、得られる軟
性眼内レンズ自体の粘着性を抑制することができる。
上げずにガラス転移温度を下げるためには、上記のモノ
マーの他に直鎖又は側鎖アルキル基を持つアクリレート
を若干量配合することが好ましい。本実施形態ではn−
ブチルアクリレートを使用する。n−ブチルアクリレー
トの配合量は前記2つのモノマーの配合比にもよるが、
好ましくは全体の1重量%〜10重量%であり、さらに
好ましくは3重量%〜6重量%である。1重量%未満の
場合、得られる軟性眼内レンズの特性に影響を及ぼし難
い。また、10重量%を超える場合は、軟性眼内レンズ
に生じる反発力が弱くなってしまい、取り扱いが難しく
なってしまう。
転移温度を下げることができるモノマーであればn−ブ
チルアクリレート以外にも使用することができ、例えば
フェニルエチルアクリレートも使用することができ、配
合量は前述同様に好ましくは全体の1重量%〜10重量
%、さらに好ましくは3重量%〜6重量%程度である。
により、ガラス転移温度が低く、15℃程度から容易に
折り曲げ可能で粘着性が抑制された軟性眼内レンズを得
ることができる。この軟性眼内レンズにさらに若干量の
紫外線吸収材を添加しておくことで、さらに紫外線吸収
能を有する軟性眼内レンズを提供することができる。
外線吸収材が好適に用いられ、その割合は全体の0.1
重量%〜3重量%程度でよい。これより少ないと紫外線
吸収効果が得られず、これより多くても紫外線吸収効果
は変わらない。
性眼内レンズを製作する方法を以下に説明する。初めに
上記に挙げたモノマーを所望する眼内レンズの硬さ、反
発力、解放速度が得られるように、前述した(メタ)ア
クリレート類を主材料に種々のビニル系共重合性モノマ
ーを組み合わせて各々反応容器内に入れた後、架橋剤、
重合開始剤を添加して重合反応を行う。
4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート等を使用するこ
とが好ましい。また、重合開始剤としては2,2−アゾ
ビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニト
リル、ベンゾイン、メチルオルソベンゾイルベンゾエー
ト等を使用することが好ましい。架橋剤の添加量は好ま
しくは1重量%〜6重量%であり、さらに好ましくは2
重量%〜5重量%である。
た恒温水槽に反応容器を置き、24時間程度重合反応さ
せる。次に、80℃〜100℃程度にしたオーブン内に
反応器を入れて24時間程度、重合反応させる。その
後、オーブンから反応容器を取出した後、さらに真空オ
ーブンにて温度を100℃前後、24時間程度にて反応
させることにより、重合反応を完結させて軟性アクリル
基材を得る。
性モノマーを共重合させることにより得られた軟性アク
リル基材を用いて眼内レンズを製作する。眼内レンズに
はレンズパワーを持つ光学部とこの光学部を眼内におい
て保持するための支持部とを別々に形成し、その後の工
程で1つに結合させることにより得られる3ピースタイ
プと、基材を切削加工して光学部と支持部とが一体であ
る1ピースタイプとに大別される。
眼内レンズを製作するには、予め凍結により基材を固め
ておき、その後切削機にてレンズ形状に切削する等の眼
内レンズ切削加工技術を使用して製作することが可能で
ある。本発明は1ピースレンズ、3ピースレンズのどち
らでも適用することが可能である。
する眼内レンズの型枠に流し込み成型物を得る方法が使
用できる。
は、粘着性、折り曲げ硬さ、反発力、解放時間について
行った。粘着性の評価は、鑷子によって折り曲げた眼内
レンズを解放させたときのレンズ同士の接着性(Tackin
essチェック)と、2つの鑷子を使用して1つの眼内レ
ンズを交互に挟み直したときに生じる鑷子への接着性
(Stickinessチェック)とを評価した。
用した。眼内レンズに対して徐々に力を加えていくこと
で眼内レンズの折り曲げを行い、φ6mmの眼内レンズ
の折り曲げ間隔(折り曲げている間の間隔)が5mmに
なった時点での測定値を読みとった。この読み取った測
定値を折り曲げに要する荷重として折り曲げ硬さの評価
を行った。
て眼内レンズを折り曲げて行き、折り曲げ間隔が3mm
になったところでそれ以上の折り曲げを止め、折り曲げ
間隔3mmを維持した。この維持に必要な荷重を反発力
とし、その時の測定値を読み取った。解放時間は、眼内
レンズを鑷子にて二つに完全に折り曲げた後、眼内レン
ズを解放してから元の形状(開いた状態)に戻るまでの
時間を計測した。
ト(EGPEA)を62重量%、n−ブチルメタクリレ
ート(n−BMA)を35重量%、架橋剤として1,4
−ブタンジオールジアクリレート(BDDA)を3重量
%からなる混合物を反応器内に入れた後、重合開始剤と
して2,2−アゾビスイソブチロニトリルを若干量添加
し、重合反応を開始させた。
℃の恒温水槽にて24時間、その後95℃のオーブン内
に24時間おいて反応を進めた後、反応を完結させるた
めに真空オーブンにて95℃、24時間置き、軟性アク
リル基材を得た。その後、得られた軟性アクリル基材を
低温にて切削加工を行うことにより、眼内レンズの光学
部を形成してこれを試料1の眼内レンズとした。得られ
た試料1の眼内レンズの粘着性、折り曲げ硬さを測定、
評価した。
合は○、わずかに粘着がある場合には△、粘着性が強く
鑷子から離れにくい場合には×とした。また、折り曲げ
硬さは前述した方法と異なり、光学部を鑷子にて2つに
折り曲げた際に、僅かな力にて折り曲がれば○、力を加
えないと折り曲がらない場合には△、全然折り曲がらな
い場合には×とした。評価は室温18℃〜27℃の間に
て行った。
2(EGPEAを48.5重量%、n−BMAを48.
5重量%、BDDAを3重量%、重合開始剤若干量)、
試料3(EGPEAを42重量%、n−BMAを55重
量%、BDDAを3重量%、重合開始剤若干量)として
製作し、試料1と同じように粘着性、折り曲げ硬さの評
価を行った。
に示す。
いて試料2の眼内レンズが最も好ましい評価となった。
また、試料1の組成比のようにEGPEAの割合が多く
なれば(n−BMAの割合が少なくなれば)、粘着性が
高くなってしまい使用が難しくなる。また、試料3の組
成比のようにEGPEAの割合が少なくなれば(n−B
MAの割合が多くなれば)、眼内レンズ自体が硬くなっ
てしまい、眼内レンズの折り曲げが難しくなってしま
う。
トを55.0重量%、n−ブチルメタクリレートを3
9.5%重量%、架橋剤として1,4−ブタンジオール
ジ(メタ)アクリレートを5.0重量%、紫外線吸収材
として2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリリロキ
シプロピル−3′−tert−ブチルフェニル)−5−クロ
ロ−2H−ベンゾトリアゾールを0.5重量%からなる
混合物を反応器内に入れた後、重合開始剤として2,2
−アゾビスイソブチロニトリルを若干量添加し、重合反
応を開始させた。
℃の恒温水槽にて24時間、その後95℃のオーブン内
に24時間おいて反応を進めた後、反応を完結させるた
めに真空オーブンにて95℃、24時間置き、軟性アク
リル基材を得た。その後、得られた軟性アクリル基材を
低温にて切削加工を行うことにより、眼内レンズの光学
部を形成して眼内レンズを得た。得られた眼内レンズに
ついて前述した測定方法により各種物性(粘着性、折り
曲げ硬さ、反発力、解放時間)を測定、評価した。
ンズの表面に粘着性はなく、良好な結果となった。折り
曲げ硬さ、反発力、解放時間の測定は室温18℃〜32
℃の間にて行った。
て、折り曲げ硬さは図1、反発力は図2、解放時間は図
3にそれぞれ示す。
トを54.0重量%、n−ブチルメタクリレートを3
9.7%重量%、n−ブチルアクリレートを4.0重量
%、架橋剤として1,4−ブタンジオールジ(メタ)ア
クリレートを2.0重量%、紫外線吸収材として2−
(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリリロキシプロピル
−3′−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾールを0.3重量%からなる混合物を反
応器内に入れた後、重合開始剤として2,2−アゾビス
イソブチロニトリルを若干量添加し、実施例2と同様の
手順を経て軟性眼内レンズを得た。得られた眼内レンズ
について各種物性を測定、評価した。
ンズの表面に粘着性はなく、良好な結果となった。折り
曲げ硬さ、反発力、解放時間の測定は室温18℃〜32
℃の間にて行った。
1、図2、図3にそれぞれ示す。
る軟性眼内レンズを用いて実施例1と同様な評価を行っ
た。眼内レンズはMA60BM(アルコンラボラトリー
ズインク製)を使用した。眼内レンズの表面に粘着性は
なく、良好な結果となった。折り曲げ硬さ、反発力、解
放時間の測定は室温18℃〜32℃の間にて行った。
2、図3にそれぞれ示す。
コーン樹脂製の眼内レンズAQ−110N(キャノンス
ター(株)製)を用いて実施例2と同様な物性の測定を
行った。物性の測定により得られた結果を図1、図2、
図3にそれぞれ示す。
は良好な結果となった。図1に示す折り曲げ硬さに関し
ては、実施例2の眼内レンズが22℃にて荷重20.3
g、実施例3の眼内レンズが荷重11.4gであったの
に対して、比較例1の眼内レンズは22℃にて荷重2
5.0g、比較例2の眼内レンズは荷重20gであっ
た。
眼内レンズが22℃にて荷重49.7g、実施例3の眼
内レンズが荷重16.3gであったのに対して、比較例
1の眼内レンズは22℃にて荷重24.0g、比較例2
の眼内レンズは荷重61.0gであった。
の眼内レンズが22℃にて6秒、実施例3の眼内レンズ
が13.8秒であったのに対し、比較例1の眼内レンズ
は22℃にて48秒、比較例2の眼内レンズは何れの温
度においても瞬時に解放してしまった。
れた軟性眼内レンズであれば、適度な室温(22〜26
℃程度)において、簡単に折りたたむことができるとと
もに、その後の眼内レンズの解放時間が10秒前後であ
るため、眼内レンズを折りたたんで眼内に入れた後、解
放動作を行う場合であっても、その解放動作に追従して
眼内レンズが開く状態となる。比較例1の眼内レンズで
は開くのに時間がかかりすぎてしまい、治療時間をむや
みに長引かせてしまう原因となる。また、比較例2の眼
内レンズでは、瞬時に開いてしまうため、その解放動作
の調節が非常に難しい。
適度な室温において簡単に折り曲げることができるとと
もに、眼内での解放動作に追従して眼内レンズが開くこ
とができるため、従来の眼内レンズに比べ、一層取り扱
い易い眼内レンズが得られる。
である。
す図である。
を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 アクリル酸エステルとメタクリル酸エス
テルとを主成分とするモノマー混合物を共重合すること
により得られる軟性眼内レンズにおいて、前記モノマー
混合物中にフェノキシエチルアクリレートが42重量%
〜62重量%、n−ブチルメタクリレートモノマーが3
5重量%〜55重量%存在することを特徴とする軟性眼
内レンズ。 - 【請求項2】 請求項1の軟性眼内レンズは、一般式
(1) 【化1】 (式中、R1はC4〜C12の直鎖又は側鎖のアルキル基で
ある)で示されるアクリレートモノマーを1重量%〜1
0重量%含むことを特徴とする軟性眼内レンズ。 - 【請求項3】 請求項2のアクリレートモノマーはn−
ブチルアクリレートであることを特徴とする軟性眼内レ
ンズ。 - 【請求項4】 請求項1の軟性眼内レンズは、フェニル
エチルアクリレートモノマーを1重量%〜10重量%含
むことを特徴とする軟性眼内レンズ。 - 【請求項5】 請求項1〜4の軟性眼内レンズは、紫外
線吸収材を0.1重量%〜3重量%含むことを特徴とす
る軟性眼内レンズ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000205574A JP4268741B2 (ja) | 2000-07-03 | 2000-07-03 | 軟性眼内レンズ |
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---|---|---|---|
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Publications (2)
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---|---|---|---|---|
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JP2007185519A (ja) * | 2002-06-18 | 2007-07-26 | Saamodeikkusu Inc | 生物活性物質放出コーティングと制御された湿潤法 |
WO2019138952A1 (ja) * | 2018-01-09 | 2019-07-18 | 株式会社ニデック | 眼内レンズ |
JP2019136319A (ja) * | 2018-02-09 | 2019-08-22 | 株式会社ニデック | 軟質アクリル系眼内レンズ材料および眼内レンズ |
JP2020121043A (ja) * | 2019-01-31 | 2020-08-13 | 株式会社ニデック | 軟質眼内レンズ |
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2000
- 2000-07-03 JP JP2000205574A patent/JP4268741B2/ja not_active Expired - Fee Related
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